資料 4 企業スポーツの持続的発展のための提案 2009 年 4 月 17 日三井住友海上火災保険 ( 株 ) シニアアドバイザー井口武雄 1
具体的提案内容 (1) 税制面からの企業に対するインセンティブ制度の創設 1 施設 設備に対する固定資産税減免措置 企業スポーツ活動に必要な施設や設備に対する固定資産税を減じる あるいは 免じる新たな税制を設ける 2 寄付金に対する優遇税制制度 特定の企業スポーツを応援する一般市民からの運営資金サポートとしての寄付 金について その全額を寄付者の所得控除の対象とする もしくは一定割合を税額控除とする また 受け取った企業もその全額を所得から控除することができる制度とする 2
具体的提案内容 (2) 企業に所属するスポーツ選手の支援策 1 企業スポーツ選手を支援するセーフティーネット組織 団体の新設 廃部となった企業に所属する選手および現役を引退した選手を一定期間受け入れ それらの選手に対する次のような支援を行う 現役続行を希望する選手に対しては このセーフティーネット組織の選手として各種競技に出場できるようにする 企業に所属して現役続行を希望する選手に対しては 受け入れ企業との仲介 交渉支援を行う 現役続行を希望する選手に対しては 必要なトレーニングのための施設を提供する 現役を引退した選手に対しては 就職斡旋 およびそのために必要な技術や資格を取得するための支援を行う 現役および引退選手双方を対象とした セカンドキャリア等に関するカウンセリング ( 各種相談 ) を行う 3
具体的提案内容 (2) 企業に所属するスポーツ選手の支援策 1 企業スポーツ選手を支援するセーフティーネット組織 団体の新設 ( 続き ) セーフティーネット組織は 社会貢献 地域貢献として 次のような活動を行う 所属選手は 地域スポーツ活動に対する指導 子供のスポーツ活動に対する指導を行う その促進のための情報ネットワークを構築する この活動に参画する企業には助成金を出す 4
具体的提案内容 (2) 企業に所属するスポーツ選手の支援策 2 企業スポーツ選手の雇用形態に対するインセンティブ制度 選手を嘱託や契約ではなく 一般社員として雇用する企業に対して補助金助成等の一定のインセンティブを付与する 一般社員とすることにより 現役引退後も引き続いて当該企業の一般社員として残留できる あるいは会社を離れる場合でも雇用保険が支給されることになり 選手の将来の不安解消につながる 5
具体的提案内容 (3) 国による企業スポーツ認定制度 (1) (2) の制度 施策を有効に実行 推進するためには その対象となる企業やそのスポーツ部 および選手についての定義付けが必要 国による企業スポーツの認定制度の創設対象とするスポーツの種類 規模 実績といった認定要件を予め定め 該当する企業からの申請により専門機関が認定を行い 認定された企業スポーツは上記のメリットを享受できる という仕組み その認定条件のひとつとして 選手の一般社員としての雇用 という要件を加える 6
参考資料 7
(1) 2004 年アテネオリンピック代表選手構成 1% 8% 13% 4% 1% 2% 13% 58% 会社員教員団体職員自衛官 警察官プロその他高校生大学生 n=312 8
(1) 2006 年トリノオリンピック代表選手構成 14% 19% 4% 50% 会社員教員団体職員自衛官 警察官プロその他高校生大学生 0% 10% 2% 1% n=113 9
(2) スポーツ分野での活躍に対する国民の受け止め方 よりうれしい 日本代表チーム 日本代表選手が国際大会で活躍する よりうれしくない 環境問題の分野で日本が世界のリーダーとなる 日本で発明された科学技術が世界中で活用される 日本の学力が高まる 日本の文化人が国際的に高い評価を得る 国の史跡 旧跡や自然景観が世界遺産に登録される 日本人がノーベル賞を受賞する 日本企業の国際競争力が向上する 自衛隊などの国際的な活動で日本の評価が高まる 日本のアニメやゲームが世界的に賞賛される ( 出典 ) 財団法人大崎企業スポーツ事業研究助成財団 企業スポーツに対する社会的関心 認知にかかわる調査研究 ( 株式会社野村総合研究所が調査実施 ) オリンピック等の国際大会での日本代表チーム 選手の活躍に対して 国民は他の分野での日本人の活躍以上に大きな喜びを感じている 10
(3) 企業スポーツの役割 子供がスポーツを始めるきっかけ ( 例 ) 憧れの選手 ( ヒーロー ) がいる 身近にそのスポーツをやっている人がいる 優秀な指導者がいる 人 ( 親 友人 ) に勧められて テレビや生で試合を見て このような選手 指導者 環境を作り 身近なものとするのも企業スポーツの役割のひとつ 11
(4) 年次別企業スポーツ休廃部数の変遷 ( モータースポーツを除く ) 70 出所 ) スポーツデザイン研究所 60 50 40 30 58 49 44 34 35 20 16 13 10 8 8 8 10 7 2 4 6 8 6 8 0 12 1991 年 1992 年 1993 年 1994 年 1995 年 1996 年 1997 年 1998 年 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 昨年 9 月以降この半年間に発表された企業スポーツの休廃部は 21 チームにもおよび 景気の影響を大きく受け 急激に環境が悪化している
(5) 企業がスポーツから撤退する理由 1 本社の経費削減の一環 ( リストラ ) 2 本社が消滅 3 選手の補充が困難 4 企業スポーツによる広告宣伝効果の低下 13
(6) バレーボールから撤退した繊維産業の例 年度 各国 GDP(A) 繊維産業売上高 (B) ( 単位 : 十億円 ) 構成比 ((B) (A)) 2003 497,485 884 0.2% 2000 511,462 1,103 0.2% 1995 496,922 1,920 0.4% 1990 440,125 2,324 0.6% 1985 316,115 3,085 1.0% 1980 234,949 2,781 1.3% 1977 186,448 2,154 1.3% 出所 ) 日本統計年鑑 14
(7) 企業スポーツの衰退によるマイナスの影響 41.1 43.6 15.4 そう思うまあそう思うそうは思わない ( 出典 ) 財団法人大崎企業スポーツ事業研究助成財団 企業スポーツに対する社会的関心 認知にかかわる調査研究 ( 株式会社野村総合研究所が調査実施 ) 企業スポーツが衰退することによって 日本のスポーツ振興や競技レベルの維持 向上にマイナスの影響があると思うか という質問に対して 約 85% の市民がマイナスの影響があると考えている 15
(8) 企業スポーツの衰退抑制に向けた手段 42.1 29.0 6.1 11.9 10.3 0.7 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1. 企業スポーツに取り組む企業 チームへの補助金の交付 2. 企業スポーツに取り組む企業 チームの減税 ( 企業スポーツに要した費用の控除など ) 3. 企業スポーツに取り組む企業 チームに対する表彰制度の創設 4. 企業スポーツに取り組む企業 チームへの体育施設 設備などの優先的利用 5. 企業スポーツに取り組む企業 チームへの寄付金の非課税措置の導入 6. その他 ( 出典 ) 財団法人大崎企業スポーツ事業研究助成財団 企業スポーツに対する社会的関心 認知にかかわる調査研究 ( 株式会社野村総合研究所が調査実施 ) 企業スポーツ衰退抑制のため 約 4 割の人が企業スポーツに取り組む企業 チームへの補助金の交付を 約 3 割が減税が適当と考えている 16
(8) 企業スポーツの衰退抑制に重要な役割を果たす主体 24.7 19.6 38.5 10.9 1.3 5.0 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1. 国 2. 地方自治体 3. 地域の企業や住民 ( 企業の本社やチームの本拠地がある地域など ) 4. 他の企業 ( 企業スポーツに取り組む企業以外 ) 5. その他 6. 誰も支援すべきではない ( 出典 ) 財団法人大崎企業スポーツ事業研究助成財団 企業スポーツに対する社会的関心 認知にかかわる調査研究 ( 株式会社野村総合研究所が調査実施 ) 企業スポーツの衰退抑制のため 支援において最も重要な役割を果たすべき主体について 国と答えた人が 1/4 地方自治体が約 2 割となっており 半数近くが何らかの公的支援が必要と考えている 17
(9) 当社が女子陸上 女子柔道に力を入れる理由 1 社員の士気高揚 一体感の醸成 従業員 代理店 約 2 万人約 7 万店 2 活力ある企業文化の発信 強さ さわやかさ 挑戦 若さ 躍動 3 スポーツ振興への貢献 国内スポーツ振興 地域社会のスポーツ振興 国際スポーツ支援の交流の促進 18
(10) 選手の仕事と練習 競技の両立 女子柔道選手週 4 日間午前勤務 ( 長期合宿期間以外 ) 練習時間 : 午後 2 時 30 分 ~ 午後 7 時 30 分 女子陸上選手週 3 日間午前勤務 ( 長期合宿期間以外 ) 練習時間 : 早朝 6~7 時午後 3 時 30 分 ~ 午後 5 時 30 分 19
(11) 選手引退の後の生活 =セカンドキャリアー 1 選手が不安に思っていること ( 当社の例 ) 社会で自分の事務能力が通用するか 一定の収入を得られるか 新たな就職先を見つけられるか 資格を取りたいが何をどのように勉強したらいいか分からない 会社に残って仕事をするには今何をすべきか 20
(11) 選手引退の後の生活 =セカンドキャリアー 2 引退後の選択 ( 当社の例 ) マネージャー コーチとして残る 会社の通常社員となる( 勤務地は実家からの通勤圏 ) 会社を退職する 実例 コーチ1 名 会社勤務 4 名 退職 2 名 ( 専門学校に入学 ) 21