PowerPoint プレゼンテーション

Similar documents
個人投資家の証券投資に関する意識調査(結果概要)

「個人投資家の証券投資に関する意識調査」の結果について

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

積立 NISA の創設 1. 改正のポイント (1) 趣旨 背景 1 家計の安定的な資産形成を支援する観点から 少額の積立 分散投資を促進するための 積立 NISA が創設される (2) 内容 1 積立 NISA は 20 歳以上の居住者等が金融機関に開設した非課税口座内に 積立 NISA 専用の累

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

上場株式等の譲渡益に係る課税 上場株式等の税金について 上場株式等の譲渡益に係る税率は以下の通りです 平成 25 年 1 月 1 日 ~ 平成 25 年 12 月 31 日 平成 26 年 1 月 1 日 ~ 平成 49 年 12 月 31 日 平成 50 年 1 月 1 日 ~ % (

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

なるほどNISA 第3回 なぜ、どのような経緯でNISAが導入されたか?

公募株式投資信託の解約請求および償還時

相続の基礎 ~ 「相続」を学ぼう!! ~ 生前贈与①有価証券

. 個人投資家の年齢層と年収 個人投資家 ( 回答者 ) の年齢層 8% 6% 28% 2~3 代 5% 2% 3% 4 代 5 代 6~64 歳 65~69 歳 7 代以上 個人投資家 ( 本調査の回答者 ) の過半数 (56%) は 6 歳以上のシニア層 昨年調査 6 歳以上の個人投資家 56%

税調第19回総会 資料3-3

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

6 成人年齢引下げに伴い一般 NISA つみたて NISA の対象年齢を 18 歳以上とするこ と 根拠法の制定 恒久化 1NISA 制度が国民の安定的な資産形成に資する恒久的な制度となるよう根拠法 (NISA 法 ) を制定すること 2 口座開設期間を恒久化すること 3 非課税期間を恒久化すること

特定口座一般口座株式等の譲渡 売却などが該当 ) による所得は 申告分離課税の対象となっており 原則として お客さまによる譲渡損益の計算や申告納税の手続きが必要です 特定口座には これらの事務負担を軽減する機能があります 特定口座の機能 上場株式等の譲渡損益の計算 管理を行います 特定口座内に保管す

贈与税の非課税特例 ①住宅取得等資金の贈与

Ⅰ 家計の自助努力による資産形成を支援するための税制措置 1. つみたて NISA の制度期限の延長 NISA 制度の恒久化 根拠法の制定等 1つみたて NISA について 平成 49 年までとされている投資可能期間 ( 制度期限 ) を延長することにより 来年以降に投資を開始しても投資可能期間が少

2017 年度税制改正大綱のポイント ~ 積立 NISA の導入 配偶者控除見直し ~ 大和総研金融調査部研究員是枝俊悟

Microsoft Word - NO.2 株式の譲渡 2.docx

平成平成 年度税制改正要望に関する基本的考え方 本年度は 東日本大震災からの復興支援を視野に入れつつ 以下の考え方を柱として 必要な税制上の措置を要望する 主な具体的要望項目 1. 東日本大震災からの復興支援 地方公共団体が委託者となる土地信託に係る登録免許税等の非課税措置 日本版レベニ

【添付資料】インターネット証券4社共同実施「証券税制に関わるアンケート」の結果

新しい非居住者債券所得非課税制度の概要 < 平成 22 年度税制改正前の制度の概要 > 非居住者等が受ける振替国債及び振替地方債のについては 一定の手続要件を満たせば非課税とされていました しかし 非居住者等が受ける振替社債等のについては 原則 15% の税率により源泉徴収課税がなされていました 非

金融資産運用設計関連 主な改正事項

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

金融庁の税制改正要望について(1)

概要 平成 27 年までと平成 28 年以後の証券税制の比較 平成 27 年までは 上場株式等 と 公社債等 の税制上の取扱いが異なっています 平成 28 年以後は 金融所得課税の一体化 により 上場株式等 と 公社債等 の税制上の取扱いが統一されます 平成 27 年まで 上場株式等 上場株式 公募

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

Microsoft Word 役立つ情報_税知識_.doc

個人投資家の参加拡大

株式等の譲渡(特定口座の譲渡損失と配当所得等の損益通算及び翌年以後への繰越し)編

7.(1)NISA 口座の開設時の手続きの見直し 1. 改正のポイント (1) 趣旨 背景 NISA 口座の稼働率向上のため 非課税口座の開設手続きについての見直しが行われる (2) 内容 NISA 口座の開設申し込み時に 即日での買付けを可能とすること (3) 適用時期平成 31 年 1 月 1

税金の課税方法 個人の税金の課税方法について確認しましょう 大きく分けて 総合課税と分離課税の二種類があります 総合課税 1 年間の所得を全部まとめて一定の税率で課税する方法 所得額によって異なる税率 金額に応じて確定申告を行う 源泉分離課税他の所得と分離して その所得の支払いの際に一定の税率で源泉

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

NISAファンドナビ_t4

1 どちらかをご選択特定口座と客さま般口座の特定口座の概要 特定口座とは 個人のお客さまが公募株式投資信託を換金され利益が出た場合は 原則 確定申告が必要ですが お客さまの確定申告にかかる負担を軽減させるべく当金庫が納税の代行などを行う制度として 特定口座 があります 特定口座 をご利用いただくこと

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

2 2 上場株式等 の範囲の拡大 上場株式等には 上場株式 上場投資信託の受益権 (ETF) 上場不動産投資法人の投資口 (REIT) 公募株式等証券投資信託の受益権が含まれていた 今回の租税特別措置法の改正により 発行者の情報が一般に公開され その商品内容を入手することが容易に可能な公社債を 上場

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

なるほどNISA 第9回 財形貯蓄・確定拠出年金などとの違い

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

JIPs_019_nyuko_3

Microsoft Word - FP2級法改正情報 doc

JIPs_010_nyuko

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

P12 第 6 章個人向け国債国債の契約締結前交付書面 手数料などなど諸費用諸費用について 個人向け国債を中途換金する際 原則として下記により算出される中途換金調整額が 売却される額面金額に経過利子を加えた金額より差し引かれることになります ( 1 変動 10 年 : 直前 2 回分の各利子 ( 税

【表紙】

以下本人の給与収入速報 平成 29 年度税制改正解説所得課税 ~ 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し 2 配偶者の給与収入が 万円超 15 万円以下の場合の改正案の控除額及び改正前後の影響について 配偶者特別控除 配偶者の給与収入 万円超 15 万円 15 万円以上 11 万円 11 万円以上 1

他制度より圧倒的に自由度が高いNISA~「使いづらさ」とうまく付き合ってNISAを活用する方法を考える

<4D F736F F D20837A815B B83578C668DDA BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D81762E646F63>

日本版スクーク ( イスラム債 ) に係る税制措置 Q&A 金融庁


1 各調整方式の比較 前提 : 法人実効税率 % 金融所得の税率 20% ( 配当軽課の場合の配当分の法人税率は 30%) 比較のポイント 適用税率 法人税率か所得税率か 金融所得課税一元化にマッチするか( 税率 損益通算 ) 簡素な制度か 特定口座への対応はか 法人の税負担は軽減されるか

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D5F E646F63>

(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

株式等の譲渡(前年からの繰越損失を譲渡所得及び配当所得等から控除)編

上場株式等の配当等に対する課税

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

1. 日本の証券市場の現状 図表 1 日本の家計資産保有率 出典 : 資金循環の日米欧比較 より引用 この図から欧米諸国と比べ預貯金の割合が高く有価証券の割合が低いといえ る 14 年 1 月には NISA( 少額投資非課税制度 ) が開始され 家計の 貯蓄か ら投資 への促進が現在行われている し

<4D F736F F D F C F91E A8E91904D91F582CC817582C282DD82BD82C44E CE8FDB8FA C789C182CC82A8926D82E782B92E646F63>

( 契約締結前交付書面 ) 平成 30 年度富士の国やまなし県民債の説明書 平成 30 年度富士の国やまなし県民債の契約締結にあたっては この書面の記載事項をよくお読みいただいたうえで お申し込みください ( 平成 30 年 12 月 3 日現在 )

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

[ 課税対象化 ] POINT1. 1 の売却益が課税対象に 改正前 ( 平成 27 年 12 月 31 日まで ) 原則非課税 改正後 ( 平成 28 年 1 月 1 日から ) % 2 の申告分離課税 1 国債 地方債 外国国債 外国地方債 公募公社債 上場公社債 ゼロクーポン債等

マーケット環境の理解 Copyright(c) Akira Sugiyama all rights reserved 2

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

公社債税制の抜本改正(個人投資家編)<訂正版>

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D5F E646F63>

税金読本(8-5)特定口座と確定申告

株式等の譲渡(特定口座の譲渡損失と配当所得の損益通算及び翌年以後への繰越し)編

【投信調査室コラム】日本版ISAの道[その1]

〇なぜ 家計の安定的な資産形成 を推進? 〇なぜ つみたて NISA? 〇職場で つみたて NISA を普及!! はじめに! 1

< F31322D89FC90B390C C18F578D8692C7985E5B315D2E6A74>

3. 住宅税制 消費税率の引上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化し 及び緩和する観 点から 住宅税利について以下のとおり所要の措置を講じます 住宅ローン減税を平成 26 年 1 月 1 日から平成 29 年末まで 4 年間延長し その期間のうち平成 26 年 4 月 1 日から平成 29

平成 31 年度税制改正要望における主な要望項目 1. 家計の安定的な資産形成の実現 NISA 制度の恒久化等 相続した株式の譲渡における相続税 ( 株式分 ) の取扱いに関する見直し 金融所得課税の一体化 教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の恒久化及び拡充 2. 金融のグローバル化への対応

<4D F736F F D208F8A93BE90C520926D8EAF94BB92E E291E >

! ジュニア NISA の 5 つのポイント 28 年から 未成年者が利用できる ジュニア NISA が始まりました! 父母や祖父母さまが 大切なお子さま お孫さまの将来のために お子さま お孫さま名義で投資を行い 非課税でお金を育てる制度です 対象は日本に住む 0~19 歳の未成年者

株式等の譲渡(前年からの繰越損失を譲渡所得及び配当所得から控除)編

配当所得 配当所得の金額 = 収入金額 - 元本取得のための ( 源泉徴収前 ) 借入金の利子 原則 支払い時に源泉徴収 確定申告によって精算 総合課税 申告不要あり 株式の配当 株式投資信託の収益分配金 保険会社から受け取る基金利息など 申告分離課税あり 例外 非課税株式投資信託の特別分配金 (

2013年5月18日 MSセミナー資料

Microsoft PowerPoint - +修æ�£ä¸�;㕒間帅çfl¨ã•‚ㆤㆿㅅㅊ咓呤屉FPmama - ㇳã…flã…¼.ppt [äº™æ‘łã…¢ã…¼ã…›]

銀行ではじめるNISA・つみたてNISAガイドブック

それが知りたい!NISA講座


平成 26 年度税制改正要望における主な要望項目 1. 家計の資産形成の支援と成長資金の供給拡大のための税制上の措置 NISA( 少額投資非課税制度 ) の利便性向上 金融所得課税の一体化 ( 金融商品に係る損益通算範囲の拡大 ) 金融庁主担 財務省 農水省 経産省が共同要望 2. 事業再生の一層の

源泉徴収口座 のメリット 1 ~ 譲渡益 償還益の確定申告不要 ~ 2016 年から 公社債や公募公社債投信等 ( 以下 公社債等 ) の譲渡 ( 償還 ) 益はすべて課税対象とされ 原則 確定申告が必要となります 源泉徴収ありの特定口座 ( 以下 源泉徴収口座 ) を利用すれば 上場株式等や公社債

債券税制の見直し(金融所得課税の一体化)に伴う国債振替決済制度の主な変更点について

なっとくインドネシア

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

PowerPoint プレゼンテーション

スライド 1

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D5F E646F63>

【11】ゼロからわかる『債券・金利』_1704.indd

ファンド名説明 ifree 8 資産バランス 本を含む世界の 8 資産へ均等に分散投資します 株式および不動産投資信託に投資することで世界の経済成 の果実を享受するとともに これらとは値動きの異なる債券にも投資することで安定した収益の確保も期待できます これまで預貯 中 だったお客様が幅広く資産を分

49 年 12 月 31 日までの間 源泉徴収される配当等の額に係るの額に対して 2.1% の税率により復興 特別が源泉徴収されます b. 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 分割型分割及び株式分配並びに組織変更による場合を除く 以下本 1において同じ

投信つみたてプラン-12P.indd

投資信託ホームページ構成案

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

FX取引に係る確定申告について

PowerPoint プレゼンテーション

商品分類 属性区分 委託会社の情報 1

Transcription:

証券税制の流れと課題 ~ 貯蓄から投資へ の進め方 平成 26 年 8 月 4 日 0

証券税制の変遷と課題税制の変更は 個人の投資行動に大きな影響を及ぼしている 譲渡益課税の軽減措置が終了する昨年の個人の日本株売買では 8.7 兆円を超える金額が売り越されたが 今年から始まった非課税投資のNISA( 少額非課税投資制度 ) では 3 月末までに650 万口座が開設され 3ヵ月間で新たに1 兆円の投資資金が流入している この証券税制がどの様に変わってきたか主要な項目別に見直してみた上で その課題に改めて向き合ってみたい 課税する有価証券取引税制度が導入されていた (1999 年に廃止 ) 1988 年度からは 原則譲渡益課税に変わったが 申告分離課税 ( 税率 26%) か源泉分離課税 ( 売買代金の1.0 5%) が選択できる2 者択一の制度が取り入れられ この制度は2002 年まで続く 2003 年からは 源泉分離課税方式が廃止され申告分離に一本化されたが 税率は2 0% に引き下げられた なお 景気対策として同時にこの譲渡益課税に対する軽減措置が取られ 10% 課税が昨年末まで続いていたが 本年から本則の税率 20% に戻っている キャピタル ゲイン課税の変遷 戦後の所得税制の基点は1949 年のシャウプ勧告に拠るが 利子 配当 譲渡益も一旦全額総合課税とされた しかし 資本が脆弱な当時の日本企業への投資を促す為に 1953 年から原則有価証券譲渡益は非課税とされ 196 1 年に一定の大口取引が課税化されたものの 日本経済の高度成長期を経て 原則非課税は1988 年まで続いていた なお この原則非課税制度に伴って 取引金額に 非課税投資制度の変遷 厳密にいえば投資の為だけではなかったが マル優 制度 ( 少額貯蓄非課税制度 別途国債投資に限った特別マル優制度があり ) が1963 年に始まり1988 年まで存続しており 公社債や公社債投信に加え1972 年からは株式投信も投資残高 300 万円まで非課税の対象となっていた この制度は 1988 年に高齢者 (65 歳以上 ) 障害者 母子家庭向けに限られ 2005 年には障害者以外の部分 1

も廃止されている 一方 2001 年 10 月には景気刺激策として一時的な投資の為の非課税措置が取られ 2002 年中に購入した1000 万円までの株式を2 年間保有した場合 (2007 年末まで ) 100 万円までの株式を1 年間保有した場合 (2005 年末まで ) それぞれに限り非課税とするものだった また 目的が個人年金資産形成に限られるが 2001 年 10 月から確定拠出年金制度 ( 日本版 401K) が始まっており 毎月の拠出額が上限があるものの残高の制限がない非課税投資制度とも言える なお 本年から始まったNISAに関しては 取りあえず制度期限 10 年間の暫定的導入とされている なお 現状での投資に関する税制面の課題については 大きく分けると金融所得一体課税の進め方と非課税投資 制度の拡充だが 実務的には下図の様な点が挙げられる 配当課税について 1965 年に 1 銘柄年 5 万円以下 (1974 年に10 万円以下に引き上げ ) の申告不要制度 ( 税率 10%) 1 銘柄年 5 0 万円未満の源泉分離選択課税制度 ( 税率 15%) が創設され その後 税率が段階的に引き上げられたが 2003 年に上場株式等の申告不要制度 ( 税率が原則 20% 但し軽減措置が昨年まで実施され10%) の導入に伴い 両制度は廃止された 2

投資に関する税制の課題 NISA の拡充 制度の恒久化 非課税枠 利用年数の拡大 利便性の向上 影響する政策 成長戦略の中での個人の非課税投資の在り方 金融所得一体課税へ取組み デリバティブ取引も含めた各金融商品間の損益通算へ 預金利子を含めや一体課税へ マイナンバー制度など環境整備 確定拠出年金制度の拡充 主婦や公務員など制度利用対象者の拡大 拠出金額の増額と柔軟性 中小企業利用の為の解約条件緩和 個人の年金制度設計 3

金融所得一体課税の進め方政府が個人の金融所得課税に関して一体化を進めるとの基本方針は既に決定されている ( 政府税調金融小委員会報告 2004 年 6 月 15 日 ) その目的は 貯蓄から投資へ を政策的に進めることと 家計金融資産の効率的活用が経済活力維持の鍵となるとしており その為 金融商品間の課税の中立性 簡素で分かり易い税制 一般の個人の投資リスクの軽減 などを進めるべきとしている その具体的内容として 報告書では次の様なことが示されていた ( 以下 委員会報告より ) 税率を20% として 次の課税方式を均衡化する= 原則総合課税だった大口以外の上場株式の配当 公募株式投信の収益分配金 譲渡益非課税だった公社債 公社債投信の譲渡益 雑所得として総合課税されていた外貨預金の為替差益 同じく雑所得若しくは一時所得として総合課税されていた金融所得類似の保険収益 などが対象として上げられている 損益通算の範囲を拡大すること= 貯蓄から投資へ という政策的要請に応えて 株式譲渡損失との損益通算を認める範囲を 以下の様に利子所得も含めて検討すること 株式譲渡損益と公社債譲渡損益 上場株式の配当と譲渡損失 公社債投信の収益分配金と譲渡損失 株式譲渡損失と利子所得 納税環境の整備 = 損益通算を行うためには 納税者が利益と損失を税務当局に申告することが必要 その際 税務当局は 番号を利用して 納税者の申告書の内容と配当などの支払者から提出される支払調書の内容とをマッチングする 実際の一体化に向けての取組みは 2009 年に上場株式及び公募の株式投信の譲渡損失と配当 収益分配金の損益通算から始まっており 2016 年からは次の債券取引に係る譲渡損益と利子 収益分配金の損益通算及び株式関連と債券関連の損益通算が出来るように平成 25 年度の税制大綱で決定されている 4

損益通算や譲渡損失繰越の対象となる債券 特定公社債等 = 国債 地方債 公募社債 国内外の公営企業等が発行した債券 公募公社債投信等なお これらの債券等の投資は 利子 収益分配金が源泉分離から申告分離へ 譲渡益も非課税から申告分離へ課税制度が変更される また 平成 26 年度の金融庁からの税制要望では 金融商品間での損益通算の範囲が制限されており 投資家が多様な金融商品に投資しにくい状況といった問題認識が示され 損益通算範囲をデリバティブ取引 預貯金についても拡大することが要望されている 同様の要望は 前年度も要望事項として上げられていたが平成 25 年度の税制改正大綱では検討継続事項とされて 平成 26 年度もその状況が続いている 金融行政や業界では今後一層の金融所得一体課税へ向けての要望を強めていくと予想されるが 主に次の3 点が考えられている 1 金融商品に係る損益通算範囲を ディリバティブ取引 預貯金利子も拡大すること 2 損失繰越期間を3 年間から延長もしくは無期限とすること 3 課税実務を簡素化するために 特定口座の利便性向上やマイナンバー制度導入に伴う税務分野での利用促進を進めること 1については 総合取引所実現を睨んで取引所デリバティブから先行してという要望が出されているが 財務省が懸念する租税回避行為と投資家サイドのリスク回避行為の論点が整理されていくことが必要とみられる 但し 欧米諸国ではデリバティブ取引を金融商品間の損益通算の対象とするのが主流となっている また2については少なくとも10 年間 できれば米国やドイツの様に無期限とすることが望まれている 3に関しては 2016 年実施を控えたマイナンバー制度の課税 口座管理実務上の利用が期待されているが 損益通算を預貯金まで含める場合のキーとなりそうだ また このことは次章で述べるNISAなどの非課税制度拡大にも影響する可能性が高い 5

金融所得一体課税への進展 2009 年 2012 年 2016 年 株式及び株式投信への投資 譲渡損失と配当の損益通算開始 損失繰越期間 3 年 店頭 FX 取引も 20% の申告分離課税へ 相互の損益通算可能に デリバティブ取引 債券や公社債投信取引 デリバティブ取引間の損益通算開始 損失繰越期間 3 年 譲渡益が課税対象となり 20% の申告分離へ 利子と譲渡損失の損益通算開始 損失繰越期間 3 年 6

非課税投資制度への期待金融所得課税の一体化が進められる中 個人の投資を拡大するためにも非課税の投資制度拡充が望まれている 勿論 中心になるのがNISAだが 制度が始まって半年しか経っていないものの 個人の投資拡大に向けて証券会社 金融機関の期待は大きい その背景としては アベノミクスの成長戦略に対する期待感があり 岩盤の様に思えた一般国民の貯蓄選好から 投資へ向かう為の今後の実効性のある政策が望まれている NISAに関する今後の拡充策としては 同制度の維持を 現在の10 年間の暫定的期間から 制度を恒久化する事 1 年間の投資枠を 現在の100 万円から増額させる事 ( マスコミ報道では 年 240 万円案も政府内で検討 ) 現在 5 年間の累積投資期間 ( 年 100 万円 5 年間 = 累積投資金額 500 万円まで ) を長期化する事などが考えられるが 一層のNISA 口座に関する利便性 向上も必要だ 平成 26 年度税制改正大綱では 最初の制度設計として 当初 4 年 その次の4 年 最終期間の2 年の間でなければ口座開設の金融機関は変更できなかったが 2015 年より毎年金融機関を変更することが出来ることとなった また 海外転勤などで一旦 NISA 口座を廃止した場合 翌年以降の再開設も認められた 今後のNISAの更なる拡充には 一般国民の認知と利用の向上が必要だが その為には官民一体となって同制度の国民への浸透策が図られている 金融庁が5 月に実施した調査 (NISA 口座の利用状況について ) では 今年 3 月末の口座数は650 万口座で約 1 兆円の資金が投資されており その内約 6 割が投資信託 約 4 割が上場株式等となっている 同時に約 1 万名の証券会社や金融機関などの営業担当者へのアンケート調査が実施されているが 営業現場では顧客からの質問が多い点として 非課税期間が5 年間であること ( 全体の52.3%) 特定口座と損益通算が出来ないこと ( 同 42.5%) が挙げられており また若年層の利用拡大の為には4 割以上の営業担当者が投資教育が重要としている 7

一方 主に企業を通じて加入し従業員が年金資産を自ら運用する確定拠出年金制度は 今年 4 月に加入者数が5 00 万人を突破した 拠出金残高は8 兆円を超え その内 3 割強が投資信託で運用されている この制度については 経団連からも年金税制の改善として 拠出限度額の大幅な引き上げ 拠出限度額内でのマッチング拠出の完全自由化 退職一時金からの資産移管方法の弾力化など 企業の実情に合わせた柔軟な制度設計が出来るよう改善要望が上がっている ( 平成 26 年度税制改正要望 ) 加えて国民間で幅広く利用するために 公務員などへの加入対象者の拡大 資産の中途引き出し要件の緩和などが要望事項として加わっている なお 政府は今年 10 月から毎月の拠出金上限を5.1 万円から5. 5 万円へ引き上げることを6 月に閣議決定している 以上の非課税投資制度は 個人の新たな投資家層を拡大していく事に重点が置かれており また投資による資産形成も重要な政策目的となっているが その為には 個人の資産形成目的に合わせた投資教育 適切な商品供給 これらを支える商品やサービス提供業者にとっても効率的なインフラ整備などが制度が国民間に定着するポイントとなりそうだ この他 証券業協会による平成 26 年度税制改正要望では 世代間の資産移転促進の為 祖父母などが上場株式を新規に購入して3 年以上保有した場合 孫などへの贈与について1000 万円まで贈与税非課税とする税制措置の要望も行っている 8

非課税投資制度への期待 望まれるもの 新たな個人投資家層の拡大 NISAの拡充非課税投資制度の整備 投資教育 個人の投資による資産形成 確定拠出年金制度の拡充 世代間資産移転の促進 適切な商品供給 効率的なインフラ整備

業界の取組みと変化 そして可能性金融所得一体課税や非課税投資制度の拡充が投資関連ビジネスにどの様な変化をもたらすかを考える時に 先ず個人の投資に起こるであろう次の様な変化に注目する必要がある が求められる その為 投資信託の信託報酬など投資家が負うコスト引き下げと伴に 受託者の運用能力向上や運用の透明性を求める動きが強まるが このことは本年 6 月に公表された新成長戦略においても 豊富な家計資産が成長マネーに向かう循環の確立 の為に必要と指摘されている NISAなどの非課税投資制度拡充により 若年層を中心に新たに投資を始める個人が増加する 新たに投資を始める層は 投資による資産形成が目的となるので毎月積み立ての様な累積投資手法が見直される 金融所得一体課税は 個人が自らの金融資産全体 ( 負債を含む ) を一括で管理するというニーズを高める これらの個人の投資に対する変化を受けて 以下の様な投資関連ビジネスの変化が予想される 新しい個人投資層の投資の中心は投資信託が中心になるとみられるが 少額 長期 累積投資に向いた商品性 政策的にも新たな投資家層の為の投資教育は強化されそうだ これらは行政や業界が中心となって進められるとみられるが 確定拠出年金制度の導入企業では 従業員向け投資教育に注力する企業も増えると予想される 但し 個人が実際の投資行動を取る為には 個々のライフスタイルや人生観などにあった助言が必要だ その為 投資サービスを提供する側から見ると 既存の個人投資家層への投資コンサルティングとは異なり どの様に新しい個人層への助言を効率的に行っていくかが課題となりそうだ 個人投資家は自分のポートフォリオを作るにあたり まず現在の金融資産全体をバランスシートの様に見直すことから始め 自分の投資余力や投資スタンスを考える 10

その際 ファンドの運用の様にリスク オンやリスク オフを効率的に行ったり 保有金融資産のリスクヘッジや保有単価引き下げの様な投資行動をとる個人投資家層が増えることも考えられる これら様々な投資態度を支えるために証券会社の営業現場ではコンサルティングがその中心となっていくのではないだろうか これを受け証券会社の個人営業のスタイルも 金融商品販売型から資産管理型へその重心が移っていく可能性がある 以上の様な投資関連ビジネスの今後起こりうる変化について 次の様な対応が証券会社や金融機関には必要ではないだろうか インターネット環境の整備 = 多くの個人への助言活動を効率的に行う為にも リアルタイムな個人の金融資産管理や個々に適した金融商品情報 その他営業現場でのコンサルティング支援機能などを営業現場におけるインターネット環境整備が求められる 関連 ( 情報等 ) インフラの共同利用 = 投資に関連した情報や管理インフラなど間接費用の削減ニーズは常に証券会社などの命題となっているが NISAなどでの新規個人層獲得を契機に 同業間などの共同利用が進んでも良い 職域営業 投資教育の活用 =みずほ銀行は職域営業で新たなNISA 口座獲得を目指すサービスを始めたが これは給与天引きで投資信託を購入したものをNISA 口座で管理する この様に 職域営業 + 累積非課税投資といったことが他の金融機関や証券会社と金融機関の協働で増えるだろう また 確定拠出年金制度を導入した企業へ投資教育を行うことでも 職域営業の窓口は増えるだろう 11

取組みと変化 可能性 コスト削減と効率化 職域営業 投資教育の活用 インターネット環境の整備 投資関連ビジネスの変化 資産管理型へ 投資リスク把握と管理 新しい個人投資家層 個人の投資リスク認識 関連インフラの共同利用 少額 長期 累積投資の活用 累積投資手法の見直し 12