健康寿命の指標

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目 次 1 平成 29 年愛知県生命表について 1 2 主な年齢の平均余命 2 3 寿命中位数等生命表上の生存状況 5 4 死因分析 5 (1) 死因別死亡確率 5 (2) 特定死因を除去した場合の平均余命の延び 7 平成 29 年愛知県生命表 9

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命についてグラフ化したものを図 1 に示す 福岡県の健康寿命は 男性が.13 年 女性は.52 年で男性より女性が 5.39 年長かった 平均寿命は 男性が.44 年 女性は 年で 平均寿命と健康寿命の差である不健康な期間の平均は 男性が 1.31 年 女性は 3.03 年であった 健康

まえがき 平成 24 年福島県簡易生命表 は 平成 24 年の福島県日本人人口 ( 推計 ) と平成 22~25 年の人口動態統計 ( 確定数 ) を基にして 本県の死亡状況が今後変化しないと仮定したとき 各年齢の者が1 年以内に死亡する確率や平均的にみて今後何年生きられるかという期待値などを 死亡

女 男 埼衛研所報第 47 号 2013 年 討した. (2) 市町村の状況算出で得られた埼玉県内 63 市町村における平均余命, 健康寿命, 要介護期間及び健康割合の年次推移について検討した. また, 平成 13 年と 23 年の健康寿命の分布を検討した. 結果及び考察 1 各指標の算出結果埼玉県

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高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

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738 第 60 巻日本公衛誌第 12 号 2013 年 12 月 15 日 健康日本 ( 第二次 ) の目標を考慮した健康寿命の将来予測 ハシモト 橋本 ムラカミ 村上ノダ野田 シュウジ修二 ヨシタカ カワ川 ド 戸 ハヤカワ 義孝 3 早川 タツ龍 ヤ オジマ 也 7 尾島 ミ美 ユ由 キ 紀

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図. 各要因による 9.4 年間での日英 ( イングランド ) の生存期間の差 ~ 日英高齢者の生存期間の比較研究から ~ 注 ) 調査開始時点の日英の年齢や健康状態の差を調整した上でも 9.4 年間の間に日本人が女性で319 日 男性で132 日 英国人よりも長生きをしていました グラフの数字は

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09 NCD の負担軽減 現状世界保健機関 (WHO) によると 2008 年の世界の死亡数 5,700 万人のうち 63% にあたる3,600 万人がNCD (Noncommunicable Diseases) によるものと推計している 1 具体的な疾患として WHOは糖尿病 慢性閉塞性肺疾患など

特定健診の受診率は毎年上昇しており 平成 28 年度は県平均よりも 7% 高い状況 となっていますが 国が示す目標値 60% を達成するには更なる工夫や PR が必要とな っています 長与町国保の医療費は平成 25 年度から上昇していましたが 平成 28 年度は前年度より約 3 億円減少し 1 人当

はじめに第1章基本方針第2章岐阜市の現状第3章第4章第二次ぎふ市民健康基本計画の評価今後の取り組み第5章効果的な推進体制第6章参考資料7 第 3 章岐阜市の現状 1 岐阜市の人口統計 (1) 人口の推移 本市の人口は 昭和 60 年以降 減少傾向にあったものの 平成 18 年柳津町との合併により 一

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平成 21 年循環器疾患登録の年集計について 喫煙習慣の割合は 男性で約 4 割 女性で約 1 割である 週 1~2 回以上の運動習慣のある割合は1 割程度と 男女共に運動習慣のある者の割合が低い 平成 21 年における循環器疾患登録者数 ( 循環器疾患にかかった人のうち届出のあった人 ) について

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81 平均寿命 女 単位 : 年 全 国 長野県 島根県 沖縄県 熊本県 新潟県 三重県 岩手県 茨城県 和歌山県 栃木県

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内容詳細 日本人の循環器疾患危険因子と社会的要因の関連 - 国民健康 栄養調査対象者の疫学研究 NIPPON DATA2010 の結果より - POINT 無作為抽出された全国 300 地区で実施された平成 22 年国民健康 栄養調査に参加した 20 歳以上の男女 2891 人のデータを分析しました

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-3- Ⅰ 市町村国保の状況 1 特定健康診査受診者の状況 平成 23 年度は 市町村国保 (41 保険者 )98,439 人の特定健康診査データの集計を行った 市町村国保の診者数は男性 女性ともに 歳の割合が多く 次いで 歳 歳の順となっている 男性 女性 総数



A. Read the table. A. 下の表をよく見ましょう CITY COUNTRY Ankara Turkey Turkish Lima Peru Spanish Mexico City Mexico LANGUAGE Spanish Seoul South Korea Korean Sy

結果の概要

Transcription:

2011.7.14 資料 1 健康寿命の指標 橋本修二 藤田保健衛生大学医学部衛生学講座

報告の内容 Ⅰ. 健康寿命の指標の算定方法 Ⅱ. 健康寿命の指標の算定結果 ( 追加 ) 健康寿命の年次推移 地域分布と関連要因

Ⅰ. 健康寿命の指標の算定方法

健康寿命とは 健康寿命とは 健康な状態で生存する期間 あるいは その指標の総称を指す

健康寿命の算定方法 ( 模式図 ) 生存数 100000 90000 80000 生存関数 ( 男性 2007 年 ) 健康でない 健康 ( 年 ) 80 70 平均生存期間 ( 男性 2007 年 ) 健康でない健康 70000 60 60000 50 50000 40 40000 30000 20000 30 20 10000 10 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 年齢 ( 歳 ) 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 年齢 ( 歳 )

健康寿命の指標 健康寿命として 様々な指標が提案 使用されている 指標間の主な違いは下記である A. 健康な状態の概念規定 B. 健康な状態の測定方法 C. 集団の平均の算定方法

A. 健康な状態の概念 自覚的健康 (in good or better health) 活動制限なし (without activity limitation) 介護の必要なし (without functional dependency) 慢性疾患なし (without chronic diseases) など

B. 健康な状態の測定 : 自覚的健康 日本 2001 年 ( 国民生活基礎調査 ): あなたの現在の健康状態はいかがですか よい まあよい ふつう / あまりよくない よくない英国 2001 年 (Census): Over the last 12 months would you say your health has on the whole been: Good, fairly good / or not good? 米国 2001 年 (National Health Interview Survey): Would you say your health in general is: Excellent, very good, good / fair or poor?

B. 健康な状態の測定 : 活動制限なし 日本 2001 年 ( 国民生活基礎調査 ): あなたは現在 健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか 日常生活動作 外出 仕事 家事 学業 運動 その他のすべてなし / いずれかあり英国 2001 年 (Census): Do you have any long-term illness, health problem or disability which limits your daily activities or the work you can do? Yes / No. 米国 2001 年 (National Health Interview Survey): 日常生活動作 仕事などの活動に関する複数の質問で すべてに制限なし / いずれかに制限あり

B. 健康な状態の測定 : その他 慢性疾患なし米国 2001 年 (Healthy People 2010): 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患 高血圧 糖尿病 腎臓病 喘息 関節炎のすべてなし / いずれかあり日本 2002 年 ( 患者調査 ): 受療あり / 受療なし介護の必要なし日本 2005 年 ( 介護給付費実態調査 ): それ以外 / 要介護 2~5

C. 集団の平均の算定 :DFLE vs DALE Disability-free life expectancy (DFLE): 集団において 各個人の生存期間を健康 / 不健康の 2 つの状態に区分し 健康状態にある生存期間の平均値を算定 Disability-adjusted life expectancy (DALE): 集団において 各個人の生存期間を健康から不健康までの複数の状態に区分し 健康状態での生存期間へ換算した平均値を算定 たとえば 軽度障害の 1 年間 = 健康状態の 0.6 年間重度障害の 1 年間 = 健康状態の 0.3 年間

C. 集団の平均の算定 :Sullivan 法 Sullivan 法 : 国内外で広く適用 基礎資料として 生命表と横断調査による不健康有病率を用いる 定常人口の不健康有病率が調査集団の不健康有病率と一致する と仮定 Rogers 法 ( 多相生命表法 ): 主に小集団へ適用 基礎資料として 追跡調査による不健康の発生率と回復率 健康者の死亡率と不健康者の死亡率を用いる

Ⅱ. 健康寿命の指標の算定結果

健康寿命の指標の算定結果 健康寿命について 下記の指標が算定されている 世界 193 か国 (WHO) : 健康寿命欧州 27 か国 (EHEMU): 活動制限なし英国 (Office for National Health Statistics) : 活動制限なし 自覚的健康米国 (Healthy People 2010) : 活動制限なし 自覚的健康 慢性疾患なし日本 ( 厚生労働研究班 ) : 活動制限なし 自覚的健康 介護の必要なし

健康寿命 : 世界 193 か国 2007 年の健康寿命 ( 年 ) 80 男性 0 歳 2007 年の健康寿命 ( 年 ) 80 女性 0 歳 70 70 60 60 50 50 40 40 30 192 か国 日本 30 192 か国 日本 20 20 30 40 50 60 70 80 2002 年の健康寿命 ( 年 ) 20 20 30 40 50 60 70 80 2002 年の健康寿命 ( 年 )

活動制限なしの平均寿命 : 欧州 27 か国 2009 年の活動制限なし平均寿命 ( 年 ) 80 男性 0 歳 2009 年の活動制限なし平均寿命 ( 年 ) 80 女性 0 歳 70 70 60 60 50 26 か国 英国 50 26 か国 英国 40 40 50 60 70 80 2005 年の活動制限なし平均寿命 ( 年 ) 40 40 50 60 70 80 2005 年の活動制限なし平均寿命 ( 年 )

活動制限なし 自覚的健康 : 英国 ( 年 ) 活動制限なし平均寿命 : 英国 90 男性 0 歳女性 0 歳 85 80 75 70 65 60 55 活動制限あり活動制限なし ( 年 ) 90 85 80 75 70 65 60 55 自覚的健康の平均寿命 : 英国 男性 0 歳 自覚的健康でない自覚的健康 女性 0 歳 500 500 2001 2 3 4 5 6 2001 2 3 4 5 6 年次 2001 2 3 4 5 6 2001 2 3 4 5 6 年次

健康寿命の 3 指標 : 米国 ( 年 ) 平均寿命と健康寿命の3 指標 : 米国 85 男性 0 歳 80 75 70 65 60 55 50 45 1999-2000 2001-2002 ( 年 ) 平均寿命と健康寿命の3 指標 : 米国 85 女性 0 歳 80 75 70 65 60 55 50 45 1999-2000 2001-2002 400 平均寿命活動制限なし自覚的健康慢性疾患なし 400 平均寿命活動制限なし自覚的健康慢性疾患なし

活動制限なし平均寿命 : 日本 ( 年 ) 90 85 80 活動制限なし平均寿命 : 日本男性 0 歳女性 0 歳 ADL 制限あり活動制限あり活動制限なし 女性の活動制限なし平均寿命 ( 年 ) 76 75 日本の都道府県 (0 歳 2007 年 ) 75 70 65 74 73 600 1995 1998 2001 2004 2007 1995 1998 2001 2004 2007 年次 72 68 69 70 71 72 73 男性の活動制限なし平均寿命 ( 年 )

自覚的健康の平均寿命 : 日本 ( 年 ) 90 85 80 自覚的健康の平均寿命 : 日本 男性 0 歳 自覚的健康でない自覚的健康 女性 0 歳 女性の自覚的健康の平均寿命 ( 年 ) 75 74 日本の都道府県 (0 歳 2007 年 ) 75 70 65 73 72 600 1995 1998 2001 2004 2007 1995 1998 2001 2004 2007 年次 71 67 68 69 70 71 72 男性の自覚的健康の平均寿命 ( 年 )

平均自立期間 : 日本 ( 年 ) 25 20 男性 65 歳 平均自立期間 : 日本 要介護 ( 要介護 2~5) 自立 ( それ以外 ) 女性 65 歳 2009 年の平均自立期間 ( 年 ) 18 日本の都道府県 ( 男性 65 歳 ) 15 17 10 5 16 0 2005 6 7 8 9 2005 6 7 8 9 年次 15 15 16 17 18 2005 年の平均自立期間 ( 年 )

おわりに 健康寿命の指標の算定方法において 健康な状態の概念として 活動制限なし 自覚的健康 介護の必要なし 慢性疾患なし等と規定されている 健康な状態の測定として WHO 欧州 英国 米国 日本では それぞれ異なる方法が使用されている 健康寿命の指標の算定結果において 日本では 活動制限なしと自覚的健康の平均寿命 高齢者の平均自立期間のいずれも 年次に伴い延伸する傾向が観察されるとともに 都道府県間に大きい差のある傾向がみられた

( 追加 ) 健康寿命の年次推移 地域分布と関連要因

年次推移と地域分布をみるにあたって 健康寿命は平均寿命の影響が大きい 健康寿命の年次推移と地域分布は 平均寿命のそれと強く相関する 健康寿命とともに 平均寿命に占める割合が重要な指標となる 日本の平均寿命において 近年 75 歳以上の余命の延伸が大きい 高年齢では 若年齢に比べて 健康でない平均寿命が長い傾向である 健康寿命の年次推移や地域分布をみるとき 年齢範囲を分けることも大切である (75 歳未満 以上など )

関連要因の検討にあたって 健康寿命は 健康 不健康 死亡の状態間の移行率により定まる ( 不健康の発生率 不健康の回復率 健康者の死亡率 不健康者の死亡率 ) それぞれの移行率に対して 要因の関連の強さが異なる可能性がある 健康寿命の関連要因に関して これまでに多くの知見が得られているが 一方で不詳の事項も少なくない 今後 さらに研究を進めることが重要である

健康寿命の関連要因の検討例 目的 : 平均自立期間に対する喫煙と体格の影響を評価する 資料 : 大崎コホート研究の調査情報を利用 65 歳以上の男 7,175 人と女 9,098 人を 3 年間 (2006 年 12 月 ~2009 年 12 月 ) の追跡調査 ベースライン時の喫煙と体格 および その後の要介護の発生 回復と死亡状況を使用 方法 : 要介護は 介護保険の要介護 2 以上と規定 状態間移行率の算定 要因との関連性の検討 多相生命表法による平均自立期間の算定

平均自立期間の状態と移行率 要介護発生率 要介護者死亡率 自立要介護死亡 要介護回復率 自立者死亡率

平均自立期間の状態間の移行率 (100 人年対 ) 要介護の発生率と回復率 ( 男 ) 15 (100 人年対 ) 自立者と要介護者の死亡率 ( 男 ) 要介護発生率 要介護回復率 40 自立者死亡率 要介護者死亡率 10 30 20 5 10 0 65-69 70-74 75-79 80-84 85-89 90- 年齢 ( 歳 ) 0 65-69 70-74 75-79 80-84 85-89 90- 年齢 ( 歳 )

喫煙状況別 移行率比と平均自立期間 2.5 喫煙状況別の移行率比 ( 男 ) ( 年 ) 喫煙状況別の平均自立期間 ( 男 ) 非喫煙を 1 とする比 25 2 現在喫煙過去喫煙 20 1.5 15 1 10 0.5 5 0 要介護発生率比 要介護回復率比 自立者死亡率比 要介護者死亡率比 0 現在喫煙過去喫煙非喫煙

体格別 移行率比と平均自立期間 2.5 体格別の移行率比 ( 女 ) 正常 (BMI18.5~25 未満 ) を 1 とする比 ( 年 ) 30 体格別の平均自立期間 ( 女 ) 2 やせ (BMI18.5 未満 ) 肥満 (BMI25 以上 ) 25 1.5 20 15 1 10 0.5 5 0 要介護発生率比 要介護回復率比 自立者死亡率比 要介護者死亡率比 0 やせ (BMI18.5 未満 ) 肥満 (BMI25 以上 ) 正常 (BMI18.5~25 未満 )

年次推移に対する喫煙の影響の試算 65 歳以上の男において 喫煙率が2001~2007 年で 1 年あたり 0.9% の低下 喫煙者の平均自立期間は非喫煙者よりも 4.2 歳短い この喫煙率の低下を平均自立期間に換算すると 1 年あたり 0.03 年の延伸 ( 年 ) 0.15 0.1 0.05 0 平均自立期間は ( 男 65 歳 ) 2005~2009 年で 1 年あたり 0.14 年の延伸 平均自立期間は喫煙率の低下により 1 年あたり 0.03 年の延伸 22% に相当と試算

年次推移に対する喫煙の影響の試算 2007 年の 65 歳以上の男において 喫煙率は都道府県間で 最大と最小の差が 12.0% 喫煙者の平均自立期間は 非喫煙者よりも 4.2 歳短い この喫煙率の間差を 平均自立期間に換算すると ( 年 ) 2 1.5 1 0.5 平均自立期間は ( 男 65 歳 2007 年 ) 都道府県間で最大と最小の差が 2.19 年 平均自立期間は都道府県間で 喫煙率の間差により 0.42 年の差 19% に相当と試算 0.42 年の差に相当 0

ご静聴ありがとうございました 本報告は 下記 2つの研究班の研究成果に基づいている 厚生労働科学研究費補助金 ( 循環器疾患 糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 ) による 健康寿命の年次推移 地域分布と関連要因の評価に関する研究班 ( 平成 22 年度 ) 健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究班 ( 平成 23 年度 )