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Transcription:

ISO レポート ISO/TC 4/SC 6/WG 1 第 1 回ウィーン会議報告 (ISO 9628( インサート軸受及び偏心固定輪 - 主要寸法及び公差 ) の改正 ) NTN 株式会社平澤義光 1. まえがき 2016 年 5 月 13 日に TC 4/SC 6/WG 1( 以下,WG 1 という ) の第 1 回ウィーン会議がオーストリア規格協会 (ASI) で開催され, 日本のエキスパートとして会議に出席したので, その概要について報告する 2. ウィーン会議までの経過概要 2014-07 ISO 9628 の定期見直し投票が開始され, 日本は 確認 で投票した 2015-05 定期見直し投票の結果, 改正 を行うことが決定 改正の主な内容は GPS の適用及び 2011 年 3 月に発行された ISO 9628/Amd 1 の本体への取り込み 改正作業のための WG 1 設置を問う投票が回付され, 同時にプロジェクトリーダ及びエキスパートの募集が行われた 日本は WG 設置には賛成とし,WG が設置された場合はエキスパートを登録するとして投票を行った 2015-10 プロジェクトリーダが決まらないため,SC 6( インサート軸受 ) から 改正の中止 が提案され, 投票に付された 日本は 中止に賛成 に投票 投票結果は, 中止に賛成 が 10 か国, 中止に反対 が 5 か国であった 2016-02 SC 6 から プロジェクトリーダが決まったため, 改正を実施する 旨の連絡があった これに伴い, 日本からエキスパート登録した 2016-05 WG 1 第 1 回ウィーン会議開催 3. 関連文書 WG 1 関連文書を表 1 に示す 表 1-WG 1 関連文書 文書番号提出元題目又は内容発行年月 SC 6 N 241 幹事国 ISO 9628 定期見直し投票結果 2015-05 SC 6 N 242 幹事国 ISO 9628 定期見直し投票における各国意見 2015-05 SC 6 N 243 幹事国 ISO 9628 改正のための WG 設置を問う投票 2015-05 SC 6 N 245 幹事国 ISO 9628 改正の中止を問う投票 2015-10 SC 6 N 246 幹事国 ISO 9628 改正の中止を問う投票の結果及び WG 設置の連絡 2016-02 SC 6 N 247 幹事国 ISO 9628 改正の課題及び行動計画 2016-02 注幹事国とは SC 6 の幹事国を示す 4. 議題及び参照文書 WG 1 第 1 回ウィーン会議の議題及び参照文書を表 2 に示す 表 2-WG 1 第 1 回ウィーン会議の議題及び参照文書議題議事次第参照文書 1 開会 - 2 出席者の点呼 -

議題議事次第参照文書 3 議題の採択 SC 6 N 247 4 改正の概要 SC 6 N 247 5 ISO 9628/Amd 1 について SC 6 N 247 6 改正発行までのタイムスケジュール SC 6 N 247 7 定期見直し投票結果及び意見に対する見解 SC 6 N 241,SC 6 N 242 8 従来の用語及び定義と,GPS の用語及び定義との統合要否 9 ISO 492:2014 の適用 - 10 ISO 9628 の序文に GPS の定型文を適用するか? - 11 ISO 1132-1 の用語及び定義の考慮 - 12 NWIP( 新業務項目提案 ) について - 13 決定事項 - 14 その他の業務 - 15 次回会議 - 16 閉会 - - 5. 会議の内容議題 1 開会コンビーナの Mr. Svensson が開会を宣言した 議題 2 出席者の点呼 出席者全員が自己紹介を行った WG 1 第 1 回ウィーン会議には, 表 3 に示す 6 か国 12 名が参加 した 表 3-WG 1 第 1 回ウィーン会議参加者 参加者名 国名 所属 Michael Svensson スウェーデン SKF(WG 1 コンビーナ, プロジェクトリーダ ) Christoph Essl オーストリア SKF Davide Zanghi イタリア SKF Stefan Gatersleben ドイツ Schaeffler Evgery Varlamov ロシア EPK Sergey Shalimov ロシア EPK 室谷周良 日本 JTEKT 伊井博之 日本 NACHI 紙屋文博 日本 NACHI EUROPE 鬼頭史行 日本 JBIA 平澤義光 日本 NTN Eva Heib ( 日本 ) ( 通訳 ) 2/5

議題 3 議題の採決 SC 6 N 247 記載の議題案から, 表 2 に示す内容に変更された議題が承認された 議題 4 改正の概要今回の ISO 9628 改正の最大の目的は,GPS の適用であることがコンビーナから示された 議題 5 ISO 9628/Amd 1 についてコンビーナから, 追補として発行された ISO 9628/Amd 1 の内容を, 改正規格の本体に加える方針が示された 議題 6 改正発行までのタイムスケジュール当該規格の改正作業開始から改正発行までの期間は, 最長 3 年として ISO/CS( 中央事務局 ) に届け出ている 箇条 2 で示したように, 改正する ことは 2015 年 5 月に決定したため, 手続き上はこの日から改正作業が開始されたことになっている しかし実際はプロジェクトリーダ不在によるブランク期間があり, 今回のウィーン会議までに 1 年が経過してしまった よって 2018 年 5 月までの 2 年間で, 本来 3 年かけて行う予定だった改正作業を行い, 規格を改正発行しなければならない そのため,2016 年 6 月及び 9 月 ( 状況によっては 11 月も ) にウェブ会議を開催し, 開発の加速を図ることとした 議題 7 定期見直し投票結果及び意見に対する見解コンビーナから定期見直し投票結果の報告が行われた 主な内容を以下に示す 2015 年 5 月の定期見直し投票では, 確認 6 か国, 改正 7 か国, 棄権 3 か国であった 改正に投票した 7 か国のうち 6 か国は,GPS を適用して改正すべしとの意見であった 現行 ISO 9628 に対して, 前述の GPS の適用 及び 追補の取り込み 以外に変更 追加すべき点について審議を行った 主な内容を以下に示す 定期見直し投票時に, 日本から提出した 2 点の誤記訂正の意見は共に認められた 現行規格では, インサート軸受の球面外径の許容差が規定されていないが, 規定が必要ではないかとの意見が出た これに対し日本からは, 対応国家規格 (JIS B 1558) では外径許容差が規定されているが, これは過去の経緯から日本国内で運用されているもので,ISO に持ち込む意思はないことを示した 本件については次回会議で改めて議論することとした 内輪及び偏心固定輪の, それぞれの取り付け面の呼び角度 (7 ) にも許容差が必要ではないかとの提案があった これに対し日本からは, 基本的に内輪及び偏心固定輪は同一の製造業者が製造するため, その業者の社内規格値で管理すれば良く,ISO での規定は不要と考える旨を示した 本件についても次回会議で改めて議論することとした C 1 寸法 ( 外輪幅の中央から給油帯域の中心までの距離 ) 及び C 2 寸法 ( 給油帯域の幅 ) でも同様の議論があり, 次回会議で改めて議論することとした 軸受の使用条件に対する, ラジアル内部すきまの推奨値を記載してはどうか, との意見があった これに対し日本からは, ラジアル内部すきまの推奨値は軸受製造業者のノウハウの一種であり, 記載すべきではないと回答した 議論の結果, 推奨値は記載しないことになった 3/5

議題 8 従来の用語及び定義と,GPS の用語及び定義との統合要否今回の会議では議論せず, 追ってコンビーナが提案することとなった 議題 9 ISO 492:2014 の適用既に発行されている ISO 492:2014( ラジアル軸受 - 製品の幾何特性仕様 (GPS), 許容差及び許容値 ) の適用について, 以下の内容で合意した 基本方針として,ISO 492 の内容を適用できる部分についてはそのまま適用する 現行 ISO 9628 では, 最大値だけが規定されており, 最小値が規定されていない寸法がある これは ISO 492 にない要素であり,GPS でどう表現するか,AG 2(GPS 適用に関する支援グループ ) に検討を依頼することとした 外見上明確な形状の変化がない部分 ( 外輪幅の中央等 ) からの寸法及び許容差が規定されている部分もあり, これらの表現方法についても AG 2 に検討を依頼することとした 議題 10 ISO 9628 の序文に GPS の定型文を適用するか? 現在の ISO 9628 で規定されている許容差及び許容値に GPS を適用するのみとし,GPS の定型文を適用しないことで合意した 議題 11 ISO 1132-1 の用語及び定義の考慮今回の会議では議論せず, ドラフト回付後に改めて議論することとした 議題 12 NWIP( 新業務項目提案 ) の必要性について今回の会議では議論せず, ドラフト回付後に改めて議論することとした 議題 13 決定事項以下の内容が決定事項として合意された 定期見直しにおいて提案された表記上の修正意見は全て認められた 寸法表は現行規格のままとする 最大値のみが規定されている寸法に対する GPS 表記を検討する ISO 9628 本体及び追補に記載されている, 許容差及び許容値, 並びにラジアル内部すきまの表を統合する 議題 14 その他の業務特になし 議題 15 次回会議 6 月及び 9 月 ( 状況によっては 11 月も ) にウェブ会議を開催する 対面会議は,11 月末 ~12 月初めに予定されている WG ベルリン会議に合わせて開催する 議題 16 閉会コンビーナから会議参加者に謝意が述べられ, 閉会した 4/5

6. あとがき WG 1 は,2015 年 5 月に設置されたが, その後の本格的な活動開始まで紆余曲折のあったいわくつきの WG である 今回のウィーン会議でも, 何とかプロジェクトリーダのなり手を見つけられたものの, 事務局 は未決定であり, 親委員会である SC 6 の国際幹事 ( アメリカ ) も欠席であった TC 4 における各 SC 及び WG では, 議長やコンビーナは軸受製造業者の従業員またはその OB が務める場合がほとんどであるが, 国際幹事や事務局は, 基本的に各国の規格協会またはそれに相当する機関の者が務め, 軸受製造業者の従業員が務めることはない これは国際幹事や事務局が, 製品の知識よりも ISO 規格開発や会議運営等のルールに精通していなければならないためである 言い換えれば製品知識だけでは国際幹事や事務局は務まらないのであり, 実際今回コンビーナ プロジェクトリーダ 事務局役の一人三役をこなすことになった SKF の Svensson 氏は非常に大変そうであった 今冬開催予定の対面会議では, スムーズな議事進行のためにもぜひ事務局を決定してもらいたいと考えている 今回の会議には, いわゆる GPS 専門家 が参加しなかったため,GPS 適用をはじめとする本格的な議論はこれからとなる 今後も, より使用者が使いやすい規格となるよう, 日本ベアリング工業会各社の協力を得ながら, 積極的に提案を行っていく 以上 5/5