新型インフルエンザ研修会 日場対 時 : 平成 21 年 6 月 1 日 ( 月 )19:00~ 所 : 小倉医師会館 5 階象 : 市内医療機関従事者 次 第 1 挨拶上野陽右北九州市医師会会長 19:00~19:05 熊澤淨一北九州市保健福祉局医務監 19:05~19:10 2 説明 新型インフルエンザに係る北九州市の対応について 19:10~19:30 北九州市保健福祉局保健衛生課新型インフルエンザ対策担当課長田中隆信 3 講演 新型インフルエンザ外来診療における感染対策 ~Personal Protection を中心に~ 19:30~20:20 NPO 法人 KRICT 理事 北九州市立八幡病院副院長伊藤重彦 4 質疑応答 ( 新型インフルエンザに係る Q&A) 北九州市保健福祉局保健衛生課新型インフルエンザ対策担当課長 NPO 法人 KRICT 理事 北九州市立八幡病院副院長 田中隆信 伊藤重彦
新型インフルエンザに係る北九州市の 対応について 北九州市保健福祉局保健衛生課 新型インフルエンザ対策担当課長 田中隆信
新型インフルエンザ外来診療における感染対策 ~Personal Protection を中心に ~ NPO 法人 KRICT 理事 伊藤重彦 北九州市立八幡病院副院長
20 6 1 NPO KRICT A H1N1 Standard Precautions Expanded Precautions Cough Etiquette 20 30 1 NPO-KRICT
1 3ml 10 SARS 3 m CDC 6 2 WHO 3 1 KRICT 2 2 NPO-KRICT
A(H5N1) PPE KRICT PPE 48 PPE PPE N95 1 2m PPE N95 N95 PPE N95 3 NPO-KRICT
WHO CDC PPE PPE PPE PPE 1 2m N95 PPE PPE PPE PPE PPE 4 NPO-KRICT
3 PPE の汚染部位 清潔部位について ① PPE の前面は汚染されている ② PPE の側面と後面は比較的清潔である ③ 汚染が高度の PPE から順番に外す ④ すべての PPE を外した後に手洗いを行う 4 PPE の外し方 CDC ;Guideline for Isolation Precautions :Preventing Transmission of Infectious Agents in Healthcare Settings, 2007 に掲載されている PPE 着脱手順とシェーマを引用して解説します 手 袋 の外 し方 ① 片方の手袋を裏返 ② もう片方の手袋ですで ③ 手袋に端をつかんで して外す に外した手袋を包み込む 廃棄する ゴ ー グル の外 し 方 ① 手袋を外した後で ゴーグルやフェースシールドを外す ② そのまま廃棄ボックス または再利用ボックスへ入れる 5 NPO-KRICT
N95 6 NPO-KRICT
0.05 30 60 0.05 30 60 0.05 0.1 5-6 100 0.05 50 0.1 A(H1N1) PPE 7 NPO-KRICT
新型インフルエンザに関する Q&A Q1 今般の新型インフルエンザの特徴をどのように考えればよいか Q2 発熱している患者が受診したときはどうすればよいか Q3 インフルエンザ迅速診断キットでA 型 (+) が判明し PCR 検査を行いたい場合はどうすればよいか また 夜間や休日に出た場合はどうすればよいか Q4 国内で新型インフルエンザの感染が確認されている地域に旅行した者が発熱等で受診した場合の対応はどうすればよいか Q5 職場や学校等でインフルエンザ様症状を呈している者が集団発生している場合はどうすればよいか Q6 発熱外来の体制はどうなっているか Q7 タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザウイルス薬は十分あるのか Q8 一般医療機関で新型インフルエンザ患者を診療した場合 その医療機関は休診しなければならないか Q9 インフルエンザの迅速診断キットが入手できないがどうすればよいか Q10 疑似症患者と医師が判断したらすぐに届出が必要なのか Q11 受付や問診の際は対面で話しても大丈夫か Q12 受付でトリアージをするために必要な問診項目は Q13 使用した聴診器やカルテ 筆記用具 患者の椅子などの消毒はどこまで行えばよいか Q14 消毒薬は何が有効か Q15 患者が増え隔離室 待合間隔が取れない場合はどうすればよいか Q16 疑い患者の待合中のトイレはどうしているか Q17 ( 医療従事者が ) 濃厚接触したかどうかの判断はどうすればよいか Q18 感染性廃棄物いれの蓋は必要か Q19 一般診療所ではインフルの疑われる患者診察で どの程度の防護が必要か Q20 手袋など防護具など着脱のタイミングは Q21 インフル患者専用の診察ブースは必要か 北九州市保健福祉局保健衛生課新型インフルエンザ対策担当課長 NPO 法人 KRICT 理事 北九州市立八幡病院副院長 田中隆信伊藤重彦
新型インフルエンザに関する Q&A 一般医療機関向け Q1 今般の新型インフルエンザの特徴をどのように考えればよいか ( 出典 : 厚生労働省 ) 今回の新型インフルエンザ (A/H1N1) は 感染力は強いが 多くの感染者は軽症のまま回復しており 抗インフルエンザウイルス薬の治療が有効であるなど 季節性インフルエンザと類似する点が多い 他方 季節性インフルエンザとの最大の違いは 季節性インフルエンザでは 高齢者が重篤化して死亡する例が多いのに対し 今回の新型インフルエンザでは 海外の事例によれば 基礎疾患 ( 糖尿病 ぜん息等 ) を有する者を中心に重篤化し 一部死亡することが報告されています なお 潜伏期間は1 日から7 日とされています Q2 発熱している患者が受診したときはどうすればよいか まずは 臨床診断を行い 下記を参考に 新型インフルエンザを臨床的に強く疑う 場合は 保健所保健予防課 (522-8711) 連絡してください 該当しない場合は 基本的に一般医療機関での診療をお願いします 38 以上の発熱または急性呼吸器症状 のある患者で 1 新型インフルエンザの感染がまん延している国 ( 地域 ) からの帰国後 7 日以内 ( 平成 21 年 6 月 1 日現在 : 国の定めるまん延している国 ( 地域 ) は メキシコ アメリカ ( 本土 ) カナダ ) 2 新型インフルエンザ患者と濃厚な接触後 7 日以内 3 新型インフルエンザ患者数の急速な増加が見られる地域への滞在 旅行後 7 日以内 ( 平成 21 年 6 月 1 日現在 : 市が判断する急速な増加が見られる地域は 兵庫県 大阪府 ) 急性呼吸器症状 : 最近になって少なくともア~エの2つ以上の症状を呈した場合ア ) 鼻汁もしくは鼻閉 イ ) 咽頭痛 ウ ) 咳嗽 エ ) 発熱または熱感や悪寒 ( 参考 ) 新型インフルエンザにかかる症例定義及び届出様式の再改定について( 平成 21 年 5 月 22 日厚生労働省通知 )
Q3 インフルエンザ迅速診断キットで A 型 (+) が判明し PCR 検査を行いたい場合はどうすればよいか また 夜間や休日に出た場合はどうすればよいか 迅速診断キットで A 型 (+) の判定で 医師が新型インフルエンザを臨床的に強く疑う場合は 保健所保健予防課 (522-8711) へご連絡ください また 連絡の受付は 24 時間対応を行っています Q4 国内で新型インフルエンザの感染が確認されている地域に旅行した者が発熱等で受診した場合の対応はどうすればよいか 現在 (6 月 1 日時点 ) 国内でのまん延地域はありませんが 急速な患者数の増大が見られる地域へ滞在した方で 臨床的に新型インフルエンザの疑いがある場合は 保健所保健予防課 (522-8711) へご連絡ください 患者より状況等を確認の上 必要に応じて発熱外来への受診を案内します ( 平成 21 年 6 月 1 日現在 急速な患者数の増大が見られる地域は 兵庫県 大阪府です ) Q5 職場や学校等でインフルエンザ様症状を呈している者が集団発生している場合はどうすればよいか インフルエンザ様症状を呈している者が集団発生し 臨床的に新型インフルエンザを強く疑う場合は保健所保健予防課 (522-8711) へご連絡ください Q6 発熱外来の体制はどうなっているか 本市では 市立医療センター 市立門司病院 八幡医師会駐車場 ( 市立八幡病院と済生会八幡総合病院共同 ) の 3 ヶ所に 発熱外来 を設置しています (6 月 1 日現在 ) 保健所が発熱外来への受診について調整しています Q2 のような患者が来院した場合は 必ず保健所保健予防課 (522-8711) へご連絡ください Q7 タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザウイルス薬は十分あるのか 現在 一般に流通しているものの他 国や各都道府県において備蓄が進められております 福岡県においても 緊急時には備蓄している薬を迅速に供給することとしています 現在 県は卸売業者を通して県内の流通量を調査しており 不足が生じる場合は 卸売業者を通じて医療機関へと流通させることとなっています
Q8 一般医療機関で新型インフルエンザ患者を診療した場合 その医療機関は休診しなければならないか 各医療機関での判断になります まずは 各医療機関において 新型インフルエンザに限らず感染症が疑われる患者を診療する際には 感染防止策を講じていただくようお願いします Q9 インフルエンザの迅速診断キットが入手できないがどうすればよいか 流通量が不足して 入手できなくなった場合は 複数の販売業者へ問合せしていただくようお願いします なお インフルエンザ迅速診断キットがない場合であっても 症例定義改訂についての Q&A(5 月 22 日版 ) を参考に 医師が強く疑った場合には 保健所への連絡をお願いします Q10 疑似症患者と医師が判断したらすぐに届出が必要なのか ( 出典 : 厚生労働省 ) 直ちに届出が必要なわけではありません インフルエンザ様の症状 インフルエンザ迅速診断キットの結果を踏まえ新型インフルエンザが臨床的に強く疑われる場合は 原則 医師は疑似症患者と判断し 保健所に疫学的な情報を含めて連絡することになります この段階では 疑似症患者ではあるものの 感染を疑うに足りる正当な理由がある ( 以下 正当な理由 とする ) という要件が不足しているため 法に基づく届出の対象にはなりません 医師からの連絡を受け 保健所 都道府県等において疫学的な情報から 正当な理由 があるかどうかについて検討し あるとされた場合には 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 ( 以下法という ) 第 12 条第 1 項に基づき医師は疑似症患者の届出を行う義務が生じます
Q11 受付や問診の際は対面で話しても大丈夫か 患者が せきやくしゃみをすれば 1 2m 以内にはインフルエンザウィルスを含む飛沫が届きます 従って対面中に せきやくしゃみをされると飛沫を受けます (1) マスクを着けていない感染患者とマスクを着けていない受付職員が 1 2 m 以内で対面することは危険です (2) マスクを着けた患者とマスクを着けていない受付職員が 1 2m 以内で対面することは比較的安全です (3) マスクを着けていない患者とマスクを着けた受付職員が 1 2m 以内で対面することは比較的安全です (4) マスクを着けている患者とマスクを着けた受付職員が 1 2m 以内で対面することは安全です *(1) の場合は濃厚接触にあたります Q12 受付でトリアージをするために必要な問診項目は (1) 咳エチケット ( トリアージ ) の問診として 1 せき くしゃみなどの呼吸器症状 があるか聞きます症状のあるかたはマスクを着けていただき 少し離れた場所で問診を続けます新型インフルエンザに関する問診として 2 38 以上の急な発熱 鼻汁 鼻閉 咳 頭痛の有無の確認 3(1) 国内外の流行地の滞在 旅行 (2) 新型インフルエンザ感染者との濃厚接触 (3) 学校 職場 家庭などで複数感染 (3 名以上 ) の有無を確認します このようなかたは 新型インフルエンザの疑いがあります ( 保健所へ連絡します ) Q13 使用した聴診器やカルテ 筆記用具 患者の椅子などの消毒はどこまで行えばよいか (1) 聴診器は本来 患者毎にアルコールで清拭消毒するのが原則です 症状のある患者を診察後は 接触感染対策として必ず消毒用アルコールで清拭消毒してください (2) カルテや筆記用具の消毒は困難ですので 触ったあとに職員が定期的に手洗いすることで十分だと思います (3) 患者の触った家具はその都度の消毒は困難なので 1 日の終わりに消毒をしてください ただし 目に見える吐物や廃液が付着した場合は ペーパータオルで拭き取ったあとで 直ちに消毒します
Q14 消毒薬は何が有効か インフルエンザウィルスは一般の細菌よりも消毒薬抵抗性が低いと言われています 新型インフルエンザウィルスに対しては中水準消毒薬を使用します 生体消毒薬としてアルコール製剤 非生体消毒薬として次亜塩素酸ナトリウムが推奨されています Q15 患者が増え隔離室 待合間隔が取れない場合はどうすればよいか 咳エチケットの患者間の間隔は約 1m です できるだけこの間隔を空けます 症状のある患者さんが正しくサージカルマスクを着用されていると間隔が狭い場合でも感染のリスクは低下します 衝立やカーテンで隔離するのも有効です 天気がよく不快な温度 湿度でない場合は 一時的に外来近くの屋外を利用することも検討してください Q16 疑い患者の待合中のトイレはどうしているか 基本的に トイレは使用して頂いてかまいません トイレの使用前後には手指消毒を指導してください 便中のウィルスの感染については証明されていません Q17 ( 医療従事者が ) 濃厚接触したかどうかの判断はどうすればよいか 患者の距離と行為内容を考えると 診療行為はすべて濃厚接触となります 従って 決められた PPE 着用が必要です WHO は 3 フィート以内 CDC は 6 フィート以内の接触を濃厚接触としています Q18 感染性廃棄物いれの蓋は必要か 感染性廃棄物いれの蓋は必要です これは スタッフや患者さんが不用意に汚染物にふれないためにも必要です また マスクやティッシュなど軽いものであれば 風で舞い上がることがあるかもしれません Q19 一般診療所ではインフルの疑われる患者診察で どの程度の防護が必要か ( 医師 看護師 ) PPE はできるだけ多くの種類を着けるに越したことはありません 患者がマスクを着けている場合と着けていない場合でも異なることがあります 基本的 PPE は サージカルマスク 手袋 ガウン ( ゴーグル ) です 1. 最低限の PPE はサージカルマスクです 2. 接触の度合いに従って 手袋とガウンを着けます 3. 近くでの診療 迅速診断用検体採取ではゴーグルを着けます
Q20 手袋など防護具など着脱のタイミングは 問診で症状のある患者を診察する際には 直前で手袋 ガウンを着用してください 接触感染対策ですから 濃厚接触範囲外での着用は不要です 診療中は終日サージカルマスクを着けた状態と考えますが 患者と距離があることでマスクを着けていなかった場合は 診察前に必ずサージカルマスクを着用します Q21 インフル患者専用の診察ブースは必要か 部屋が確保できれば診察後の接触感染予防のための清拭消毒がゆっくりできるので そのほうがいいでしょう 一つの部屋で診察する場合も せきやくしゃみによる飛沫量が多くなければ問題ありません 診療医師の PPE と周囲の簡単な清拭消毒で十分と考えます