平成 27 年 1 月版 分譲マンション耐震改修のすすめ ~ あなたは お住まいのマンションの をご存知ですか?~ 写真提供西宮市デジタルライブラリー 1 横浜に大きな地震は来るの? 地震の発生確率や 過去の地震被害を知りましょう (P.1) 2 耐震性能 とはなんのこと? 耐震性能のことを知りましょう (P.2) 3 耐震改修とは どのような工事? 具体的な工法をみて 耐震改修の検討をしましょう (P.3) 4 耐震改修とは どのように進めていくの? 1 市の制度を利用して 耐震改修に向け前進しましょう (P.5)
地震と住まいを考える 大地震が起きる確率 文部科学省が管轄する地震調査研究推進本部によると 日本で起こりう る全ての地震の位置 規模 発生間隔を考慮し 横浜市において 今後 ( 1) 30 年以内に震度 6 弱以上の揺れに見舞われる確率は 78%( 平成 26 年 12 月 19 日公表 全国地震動予測地図 より ) と 高い確率であることがわかります 1 震度 6 弱とは 人間 : 立っていることが困難になる RC 造建物 : 耐震性の低い住宅では 壁 梁 柱などの部材に ひび割れ 亀裂が多くなる 耐震性の高い住宅でも 壁 梁 柱などの部材に ひび割れ 亀裂が入ることがある 気象庁震度階級関連解説表 より 横浜市 提供 ( 独 ) 防災科学技術研究所 J-SHIS 昭和 56 年以前の建物の耐震性 建物を建てるときは 耐震基準に適合していることが必要です この基準は 昭和 56 年に大幅に改定され それ以前の耐震基準で建てられた建物は 阪神 淡路大震災で多くの被害を受けました 鉄筋コンクリート造のマンションでは 特にピロティ 形式の建物の被害が多くみられました 昭和 56 年以前の建物は 現在の耐震性能を把握し 必要に応じて地震対策が必要です ピロティ形式とは? 1 階部分が駐車場や店舗になっているため 壁が抜けている建物の形式 写真提供西宮市デジタルライブラリー - 1 -
耐震性能とは 耐震性能とは 大きな地震に対する建築物の強さのことをいいます アイエス耐震性能は 建築士が行う耐震診断で算出される I s 値 ( 構造耐震指標 ) という指標により 評価されます I s 値は 建築物の地震力に対する強度 粘り強さ (P.4 参照 ) 形状 経年劣化などを考慮し 建築物の階ごとに算出します I s 値の数値による評価は 以下のように定められています I s 値 評価 0.6 以上倒壊 又は崩壊する危険性が低い 0.3 以上 0.6 未満倒壊 又は崩壊する危険性がある 0.3 未満倒壊 又は崩壊する危険性が高い 区分所有しているマンションが耐震診断を行っている場合 区分所有者は その結果を知ることができます まずは 理事会や管理会社等に確認してみましょう 耐震診断の結果 ひとつの階でも I s 値が 0.6 未満の場合は 地震対策の検討をおすすめします 横浜市マンション耐震診断支援事業 市では 耐震診断を行うマンションの支援も行っています 耐震診断を行っていないマンションは まず無料の予備診断を! 予備診断 市が図面確認及び現地調査により 本診断の必要性を判断します 対象昭和 56 年 5 月末日以前に建築確認を得て着工した分譲マンション ( その他条件あり ) 費用無料問合せ一般社団法人横浜市建築士事務所協会 ( 市の委託先 ) 電話 045-662-2711 Fax 045-662-8981 本診断建築士事務所が本診断 ( 精密診断 ) を行い 耐震改修の必要性を判断します 対象予備診断の結果 本診断の必要性あり と診断されたマンション 補助内容本診断費用の3 分の2( 建築物の立地 高さ等の条件により その他の補助内容あり ) 問合せ横浜市建築局建築防災課電話 045-671-2943-2 -
耐震改修の主な工法と事例 耐震改修には さまざまな工法があります 建築物の耐震性能によって 適切な工法は異なりますが 主な工法と耐震改修工事を実施したマンションの事例を紹介しますので お住まいのマンションの耐震改修工事をイメージしてみましょう 1 外付けフレーム及び外付けブレース設置 下の図のように 強度の向上を目的として 建物の外側にフレームやブレースを取り付ける工法です あと施工アンカー 補強前 補強後 外付けフレーム架構 既存建物 床スラブ増設 増築フーチング 基礎梁の増設 既存建物基礎 - 外付けブレース設置の事例 - 豊栄綱島マンション ( 港北区 ) 管理組合の方の体験談 ( 体験談及び写真は改修工事当時のものです ) ~ 居住者にとって平等な耐震改修工事を ~ 阪神 淡路大震災では 1 階部分が開口部となっているピロティ形式のマンションに被害が多かったそうですね うちのマンションもピロティ形式なので マンションニュースに掲載したところ 耐震化の機運が高まり平成 11 年に耐震診断を受けました 診断結果が悪かったので耐震改修を考えたのですが お金 仮住まい デザインの3 点が大きな課題になりました 耐震改修を実施した豊栄綱島マンションと管理組合のみなさんマンション内の全員が納得できるように 何度も話し合いやアンケートを行ったことが苦労した点ですね お金については マンションの長期修繕計画とその資金計画を立てることにより 横浜市の補助制度を活用すれば見通しがたつことが分かりました また 工法を工夫することにより マンションに住まいながらにして工事をできる工法を採用 見た目もできるだけやさしい色にしました この耐震改修工事で住まいは安全になりました 地震の時にはそれ以外の不便も出てくると思います そうしたときにスムーズに助け合えるように取り組みを進めたいと思います 2 耐力壁の増設 強度の向上を目的として 右図のように RC 造の耐力壁を増設する工法です ピロティ 形式の解消に有効 - 3 - 施工中 施工後
3 耐震スリット設置 バランスの改善や柱の粘り強さ ( ) の向上を目的として 右図のように 柱に取付く腰壁やそで壁と柱の間にスリット ( 隙間 ) を設ける工法です 設置前 設置後 同じ大きさの力をかける柱 Aの方がより変形できる 粘り強さとは? 柱に横から力をかけると 柱が変形し ある一定以上の力を加えると壊れます その柱の変形能力を粘り強さといい 素材の性能や長さなどにより決まります 例えば右図のように 同素材の柱 A と柱 B に 同じ大きさの力をかけると A の方が長いので より大きく変形します この場合 柱 A の方が粘り強い となります 柱 A 柱 B 柱 A 柱 B - 耐震スリット設置の事例 - 紅葉坂パークハイツ ( 西区 ) 管理組合の方の体験談 ( 体験談及び写真は改修工事当時のものです ) ~ 工法の利点を活かし 居住したまま耐震改修工事を ~ 耐震改修工事に至った発端は 東日本大震災により 地震対策の必要性を感じたことです その後 市の補助制度を利用し 本診断を受診したところ 耐震改修の必要性あり との判定でしたが I s 値が比較的低くないことが判明しました この診断結果より 耐震スリットを設置することで改修が可能であることがわかり 市の補助制度を利用すれば個々の費用負担も少なかったので 耐震改修工カッターによる耐震スリットの設置事の実施が現実的に可能だと思いました 改修工事に向けた合意形成の際に心がけたことは 管理組合の立場に立ち 適切にコンサルタントを行なえる設計事務所の選択することでした 設計事務所から 耐震改修により安心感の確保及び財産価値の保全となること 工事の概要 工事による影響の説明を受けることで 合意形成をスムーズに行うことができました 又 共用部分のみに耐震スリットを設置する計画をしたので 工事中も居住性に影響がほとんどなく 全員が居住したまま工事を実施しました 工事完了後の現在 市の補助制度を利用して耐震改修を行った際に交付される耐震改修済証表示板 ( プレート ) を共用玄関に掲げて 内外の人に建築物の安全性を示すことができ 以前よりも安心して生活できるようになったと感じています 耐震スリット設置箇所の仕上げ 4 炭素繊維柱補強 柱の粘り強さ ( ) の向上を目的として 右図のように炭素繊維を柱に巻きつけ補強する方法です 既存柱 エポキシ樹脂で接着 炭素繊維シート - 4 -
マンション耐震改修を支援する事業 市では マンション管理組合が耐震改修等を検討 実施することへのさまざまな支援を行っています 是非 ご活用ください 今後 耐震診断から耐震改修までを 一貫してサポートをする事業を検討していきます 1 マンション管理相談 豊富な知識と経験を持つ相談員が マンションの共用部分の維持管理や管理組合の運営等に関する相談を無料で行います 日時毎週土曜日 13:00~17:00 場所都筑区中川 1-4-1 ハウスクエア横浜 住まいの相談カウンター費用無料問合せ NPO 法人横浜市住宅リフォーム促進協議会 ( 市の委託先 ) 電話 045 912 7482 Fax 045 912 4711 毎週水曜日休業 こんな管理組合にオススメ 耐震改修を検討したいけれど 長期修繕計画の見直し方が全くわからない! 2 横浜市マンション アドバイザー派遣事業 分譲マンションの適正な維持管理や耐震改修 建替を支援するため マンション アドバイザー ( 市に登録した一級建築士 マンション管理士 弁護士 税理士等 ) を管理組合等に派遣し 相談に応じます 費用初回無料 2 回目以降は 1 回あたり 1 万 2 千円問合せ NPO 法人横浜市住宅リフォーム促進協議会 ( 市の委託先 ) 電話 045 912 7474 Fax 045 912 4711 毎週水曜日休業 こんな管理組合にオススメ 長期修繕計画の見直し方法を詳しく知りたい! ( 例 ) 一級建築士を派遣 3 横浜市マンション再生支援事業 耐震改修等の大規模改修や建替えに関する検討等 再生活動を行おうとするマンション管理組合等に対して その業務に要する費用の一部を市が補助します 補助内容再生活動にかかる検討活動費用に対し2 分の1 以内 ( 上限 30 万円 複数のマンション管理組合などが行う活動は 60 万円 ) 注意事項事前に管理組合の議決 横浜市マンション登録制度への登録が必要問合せ横浜市建築局住宅再生課電話 045 671 4083 Fax 045 641 2756 こんな管理組合にオススメ 耐震改修にむけ 専門的なコンサルタント業者に業務を依頼したい! - 5 -
4 横浜市マンション耐震改修促進事業 マンションの耐震改修の設計費用 工事監理費用及び工事費用の一部を補助します 対象要件 本診断の結果 耐震改修が必要 と判定されているマンション 耐震改修設計実施の際に 次の 1 3 のいずれかの認定 評価又は確認を得るもの 1 耐震改修計画の認定及び耐震改修計画の妥当性についての第三者評価 2 増築に伴う建築確認 3 その他の認定 補助内容 耐震改修設計費用の3 分の2 耐震改修工事費用の3 分の1( ) かつ下の表の限度額以内 ( ) 建築物の立地 高さ等の条件により その他の補助内容あり 耐震改修工事に係る工事監理費用の 3 分の 2 2 回に分けて耐震改修を行う 段階改修補助制度もあります! 表延べ面積ごとの限度額 延べ面積 5,000 m2未満 5,000 m2以上 10,000 m2未満 10,000 m2以上 限度額 2,000 万円 3,500 万円 5,000 万円 問合せ 横浜市建築局建築防災課 電話 045-671-2943 お得な情報 一定の条件を満たした耐震改修工事を行うと 所得税の控除と固定資産税の減額措置を受けられます!( 期限あり ) 所得税の控除内容 当該住宅の 耐震改修に係る耐震工事の標準的な費用の額 から市が交付した補助金額を差し引いた額の 10% を控除 ( 上限 25 万円 ( 消費税の経過措置により消費税率 5% が適用される場合は上限 20 万 ) その年 1 回のみ ) 上記の控除額は 補助申請の内容と 耐震改修費用の負担割合 ( 修繕積立金の拠出割合等 ) により横浜市で算出します 固定資産税の減額内容 当該住宅に係る翌年度分 ( ) の固定資産税額 (120 m2相当部分まで ) が 2 分の 1 に減額 - 6 -
窓口のご案内 横浜市建築局企画部建築防災課 時間平日午前 8 時 45 分 ~ 午後 5 時 15 分 電話 045-671-2943 F A X 045-641-2756 ホームページ E-Mail http://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/kenbou/bousai/mantai.html kc-taishin@city.yokohama.jp 所在地 231-0012 横浜市中区相生町 3-56-1 交通 1JR 関内 駅 JN ビル (* 案内図参照 ) 北口より徒歩 5 分 2 横浜市営地下鉄 関内 駅 3 番出口より徒歩 3 分 3 みなとみらい線 馬車道 駅 1 番出口より徒歩 5 分 馬車道 案内図 みなとみらい線 馬車道 駅 1 番出口 関内ホール 関内大通り みずほ銀行 建築局建築防災課 1 階はスルガ銀行です 市営地下鉄 関内 駅 3 番出口 市庁舎北口 JR 関内駅 白い壁の高いビルです 横浜スタシ アム 耐震改修の検討は 管理組合員一人一人の協力が必要です みなさんで話し合いましょう 不明な点があれば 是非 市に問合せください! 発行横浜市建築局企画部建築防災課平成 27 年 1 月 - 7 -