2 母子保健の水準 本県における母子保健の水準について 妊娠 出産 乳幼児 思春期に関する統計を全国と比較しながらみていきます (1) 妊娠 出産妊娠から出産に至るまでの時期は 母体の心身の変化が大きく 母体の健康状態が胎児に影響を与えやすい時期です 妊娠すると市町に妊娠の届出をすることになりますが 栃木県では妊娠 11 週以内の届出が平成 12 年 74.% に対し平成 25 93.5% と早期化しています 一方 28 週以降の届出は 平成 12 年 1.2% に対し平成 25.6% と半減しているものの 件数でみると 1 件程度あることがわかります 28 週以降の妊娠届出数 ( 栃木県 ) 25 2 15 1 235232 27 21 189 165 197 19 125141 13 15 115 98 5 H12 H14 H16 H18 H2 H22 H24 資料 : こども政策課調べ 出産順位別の母親の平均年齢は 全国が第 1 子 3.4 歳 第 2 子 32.3 歳 第 3 子 33.4 歳で 県は第 1 子 29.9 歳 第 2 子 31.9 歳 第 3 子 33.3 歳といずれも全国よ り若くなっています 出生順位別に見た母親の平均年齢 全国栃木県 34 33 32 32.3 31.9 33.4 33.3 年齢 31 3 29 3.4 29.9 28 第 1 子第 2 子第 3 子 - 11 -
全出生中の複産児の割合は 全国の平成 16 年 1.17% 平成 25 年 1.1% に対し 栃木県は平成 16 年 1.2% 平成 25 年 1.22% と全国よりも高い傾向が見られます 複産児の数では 17~19 件程度で推移しています 全出生中の複産児数及び割合 * 複産数 ( 県 ) 複産割合 ( 全国 ) 複産割合 ( 県 ) 1.6 5 複産児の割合 % 1.4 1.2 1..8.6.4.2 1.33 1.2 1.21 1.17 1.18 1.16 218 214 239 1.17 1.14 25 1.22 1.3 1.13 1.1 1.7 1.7 1.6 1.1.97.96 1. 1.1 18 194 183 172 173 192 45 4 35 3 25 2 15 1 5 複産児数 H16 H17 H18 H19 H2 H21 H22 H23 H24 H25 全出生に占める母の年代別出生割合では 1 代の母親の割合が全国及び栃木県とも平成 14 年 ( 全国 1.85% 栃木県 2.14%) をピークに減少傾向にあり 平成 25 年では全国 1.26 栃木県 1.32 となりました 一方 45 歳以上の母親の割合は 全国が平成 4 年 2% 平成 25 年.11% と約 5 倍 栃木県が平成 4 年 1% 平成 25 年.1% と 1 倍に増えてきています 全出生に対する母の年齢別割合 [%] 2.5.3 2..25 2 歳未満 1.5 1..2.15.1 4 5 歳以上.5 5 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H1 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H2 H21 H22 H23 H24 H25 2 歳未満 ( 県 ) 1.71 1.51 1.52 1.43 1.39 1.51 1.61 1.7 1.72 2.7 2.14 1.93 1.85 1.68 1.54 1.46 1.39 1.37 1.14 1.38 1.19 1.32 2 歳未満 ( 全国 ) 1.52 1.47 1.38 1.36 1.29 1.4 1.45 1.55 1.66 1.79 1.85 1.74 1.67 1.56 1.46 1.4 1.42 1.37 1.26 1.27 1.23 1.26 45 歳以上 ( 県 ) 1 4 3 5 3 4 6 2 4 3 2 3 5 5 6 2 3 4 3 6 7.1 45 歳以上 ( 全国 ) 2 3 4 3 3 3 4 4 3 3 4 4 4 6 5 6 6 7 7 8 9.11-12 -
栃木県の不妊相談件数は 多少の増減があるものの平成 15 259 件に対し 平成 25 は 97 件と約 3.5 倍になっています 相談方法としては 電話の割合が高くなっていますが 来所相談も漸増傾向にあります また 不妊治療費の助成件数 ( 栃木県及び宇都宮市の助成件数 ) も 相談件数同様年々増加し 平成 16 29 件に対し 平成 25 1,966 件と約 6.8 倍の伸びを示しています 不妊相談方法別相談件数 来所電話 E メール文書 2 4 6 8 1, 1,2 [ 件 ] H15 H16 H17 H18 H19 H2 H21 H22 H23 H24 H25 資料 : こども政策課調べ 259 件 493 件 634 件 649 件 756 件 841 件 747 件 727 件 887 件 972 件 97 件 妊産婦死亡数は 妊娠 出産又は妊娠 出産に関連する病気が原因で死亡した場合をいいます ( 妊娠に関連しない病気や 事故 災害 犯罪などの原因による死亡は含みません ) 昭和 55 年 ~ 平成 2 年頃までは 全国より高い妊産婦死亡率でしたが 平成 7 年以降は 全国と同程度の死亡率になっています 件数でみても 年間 ~2 人となっています - 13 -
妊産婦死亡率の推移 ( 出産 1 万対 ) 栃木県死亡数全国栃木県 出産十万対 / 人 3 25. 2 15. 1 5. 28.2 22.2 19.1 19.5 15.1 8.2 6.9 7.1 6.3 6.3 1.7 6. 5.3 5.7 5.4 5.6 5.5 5.7 5.6 5.7 6.1 4.3 4.8 3.1 3.5 3.4 4.8 4.1 4. 3.8 S55 S6 H2 H7 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H2 H21 H22 H23 H24 H25 12 11 1 9 8 7 6 人 5 4 3 2 1 (2) 出生妊娠満 22 週以後の死産 ( 死児の出産 ) に早期新生児死亡 ( 生後 7 日未満の死亡 ) を加えたものを周産期死亡といいます また 出産 ( 出生と妊娠満 22 週以後の死産を合わせた数 ) 千件に対する周産期死亡数を周産期死亡率といいます 周産期死亡率は 母体の健康状態に強く影響を受けることから 母子保健の重要な指標とされています 周産期死亡率の状況をみると 全国では平成 13 年 5.5 平成 25 年 3.7 と徐々に減少しています 栃木県は平成 13 年 5.2 平成 25 年 3.7 と年によって多少の増減があるものの 全国同様減少傾向にあります 周産期死亡率 8. 7. 6. 出産5. 千対4. ( 人3. ) 2. 1. H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H2 H21 H22 H23 H24 H25 5.5 5.5 5.2 5.2 6.5 5.3 6.1 5. 4.8 4.4 4.8 4.7 4.5 3.9 全国 栃木県 4.3 4.4 4.2 4.2 4.1 3.7 4.3 4.1 4.1 4. 3.8 3.7 次に 生まれてくる子どもについてみていきます 生まれたときの体重による分類では 2,5g 未満を 低出生体重児 と呼び さらにそのなかで 1,5g 未満を 極低出生体重児 1,g 未満を 超低出生体重児 といいます - 14 -
全体の出生数に占める低出生体重児の割合は 3 年前は 5% 前後でしたが 平成 25 年では全国 9.6% 県 11.% と増加しており 世界平均の 6.8%(OECD34 カ国 ) と 比べても非常に高い数字になっています 低出生体重児数及び全出生に占める割合 低出生体重児出生数 ( 県 ) 全出生中の割合 ( 県 ) 全出生中の割合 ( 全国 ) 2, 12. 1,95 1 1,9 低出 1,85 生 1,779 1,787 1,812 8. 体 1,8 1,784 重 1,734 1,745 1,746 児 1,75 1,731 6. 1,676 1,681 1,698 1,77 数(1,7 1,6751,674 栃 4. 木 1,65 県)1,6 2. 1,55 1,5 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H2 H21 H22 H23 H24 H25 全出生に占める低体重児出生の割合 ( % ) もう一つの分類方法として 在胎週数による分類があります 通常 在胎 37~42 週未満で出産しますが これよりも期間が短いと 早産児 ( 在胎 37 週未満 ) 長いと 過期産児 ( 在胎 42 週以上 ) といいます 在胎 37 週未満で産まれてきた早産児の場合 体が小さく 機能が未熟な場合があります 早産児は 全国では 低体重出生児 と同様増加傾向にあり 全出生数のうちに占める割合は平成 25 年 5.8% と報告されています 早期産の割合( 全国 ) 7. % 6. 4.9 5. 4.5 4.1 4.2 4. 3. 2. 1. 5.4 5.7 5.7 5.7 5.7 5.8 S55 S6 H2 H7 H12 H17 H22 H23 H24 H25 (3) 乳幼児母子保健の水準を表す指標のひとつとして子どもの死亡に関する統計があります ここでは 生後 28 日未満の新生児死亡 1 歳未満の乳児死亡 それ以降の死亡にわけて状況をみていきます まず 乳児死亡の大半を占める新生児死亡数の推移をみると 栃木県において昭和 6-15 -
年に 82 人であったものが 平成 25 年には 16 人と年々減少しています これを出生千当たりでみると 昭和 6 年に全国及び栃木県で 3.4 であったものが 平成 25 年には全国 栃木県ともに 1. と確実に減少しています 新生児死亡の原因は ほとんどが 周産期に発生した病態や先天性の疾病などによる ものです 新生児死亡の推移 死亡数 ( 県 ) 死亡率 ( 全国 ) 死亡率 ( 県 ) 3.4 3.5 3.2 12 3.4 2.9 3. 1 2.5 亡 2.6 2.1 8 死率(2. 1.8 2.2 亡出 2. 1.6 1.3 1.4 1.5 6 数(生 1.5 82 64 1.4.9 1. 1. 1. 人)死千 54 1.3 4 対)1. 1.3 1.2 39 1.2 31 1.1 1.1 1. 1..5 28 2 22 24 26 15 16 16 16 S6 H2 H7 H12 H17 H18 H19 H2 H21 H22 H23 H24 H25 次に 乳児死亡数では 栃木県において昭和 6 年に 13 人であったものが 平成 25 年には 29 人と 新生児死亡数同様年々減少しています これを出生千当たりの数でみると 昭和 6 年に全国及び栃木県で 5.5 であったものが 平成 25 年には全国 2.1 栃木県 1.9 となっており 確実に減少していることがわかります 乳児死亡の原因は 先天的な疾病 や 周産期に特異的な障害 によるものがほとんどとなっています また 何の前触れもなく寝ている間に亡くなってしまう乳幼児突然死症候群 (SIDS) は 平成 13 年に 全国 29 人 (24.8/ 出生 1 万対 ) 栃木県 5 人 (26.4/ 出生 1 万対 ) でしたが 平成 25 年には全国 124 人 (12./ 出生 1 万対 ) 栃木県 2 人 (12.8/ 出生 1 万対 ) と減少傾向にあります 乳児死亡の推移 死亡数 ( 県 ) 死亡率 ( 全国 ) 死亡率 ( 県 ) 6. 5.5 5.6 16 5.1 5.5 14 5. 4.6 12 3.9 4. 亡 4.3 3.3 3.5 3.2 1 死率(2.9 亡 3. 2.5 13 3.2 112 2.8 2.1 2.4 2.4 8 出数(生 2.6 2.6 2.6 1.9 96 2.4 6 人)死千 2. 2.3 2.3 74 2.2 2.1 対)4 1. 58 6 56 5 43 34 38 38 2 29 S6 H2 H7 H12 H17 H18 H19 H2 H21 H22 H23 H24 H25-16 -
平成 25 年乳児死亡の死因別状況 順位 第 1 位 全国栃木県死因死亡数割合死因死亡数割合 ( 全体 ) (2,185) (1) ( 全体 ) (29) (1) 先天奇形 変形及び染色体異常 811 37.1 先天奇形 変形 染色体異常 12 41.4 第 2 位 周産期に発生した病態 548 25.1 周産期に発生した病態 8 27.6 第 3 位 染色体異常, 他に分類されないもの 229 1.5 染色体異常, 他に分類されないもの その他の周産期に特異的な呼吸障害及び心血管障害 3 1.3 3 1.3 乳幼児突然死症候群による死亡率の推移 死亡数 ( 県 ) 死亡率 ( 全国 ) 死亡率 ( 県 ) 3 1 26.4 9 25. 21.9 8 24.8 19.4 19.3 7 亡 2 16.4 16.2 6 死率(16.3 14. 13.5 13.6 13.9 亡出 15. 13.1 12.6 12. 5 数(生 4 十人)死 1 12.8 万 5 5.6 5.8 5.7 5.8 5.8 3 5.9 対)2 5. 3 1 1 1 1 1 1 2 1 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H2 H21 H22 H23 H24 H25 次に 1 歳から 4 歳までの幼児死亡率 ( 人口 1 万対あたりの死亡数 ) をみると 昭和 6 年に全国 48.8 栃木県 4(4 人 ) に対し 平成 25 年では全国 18.6 栃木県 29.1(1 人 ) と減少傾向にありますが 栃木県は全国に比べて高い傾向にあります 平成 25 年の死因では 第 1 位が全国及び栃木県ともに 先天奇形 変形及び染色体異常 第 2 位は全国 傷病及び死亡の外因 栃木県 肺炎 第 3 位は全国 呼吸器系の疾患 栃木県 腸管感染症 不慮の事故 となっています 幼児 (1~4 歳 ) 死亡の推移 死亡数 ( 県 ) 死亡率 ( 全国 ) 死亡率 ( 県 ) 5 5.5 51.3 45.8 48.8 45. 37.7 4 41.7 5 亡 4 29.8 3.4 34.4 率(28.3 28.5 死 3 4 亡人 3.4 21. 数(口 43 25.3 24.6 27.6 29.1 3 十人)死 2 4 万 36 39 22.8 22.3 21.2 22.2 2.9 18.6 2 対)1 22 22 2 11.7 23 25 2 1 15 8 1 S6 H2 H7 H12 H17 H18 H19 H2 H21 H22 H23 H24 H25 7 6-17 -
平成 25 年幼児死亡 (1~4 歳 ) の死因別状況 順位 第 1 位 全国栃木県死因死亡数割合死因死亡数割合 ( 全体 ) (773) (1) ( 全体 ) (25) (1) 先天奇形 変形及び染色体異常 142 2.5 先天奇形 変形及び染色体異常 4 16. 第 2 位 傷病及び死亡の外因 127 14. 肺炎 3 12. 第 3 位 呼吸器系の疾患 111 11.5 腸管感染症 不慮の事故 1 4. 1 4. (4) 思春期思春期は 成人期への移行期であり 心身ともに変化が大きく 人格形成にとって大切な時期です また 母性 父性を育む時期でもあり 思春期の健康問題は生涯にわたり 時には次の世代に影響を残すこともあります 近年 性感染症や人工妊娠中絶など性行動の問題に加え 不登校や引きこもりなどの心の問題など 思春期における問題は多様化 深刻化しており その対応が急務となっています 栃木県の性感染症報告状況は 平成 17 年の総報告数に占める 2 歳未満の割合が 1.1% でしたが 平成 25 年では 6.8% と減少しています 更に 報告数をみると 全国が平成 2 年 1,822 件に対し平成 25 年 4,763 件と増加しているのに対し 栃木県は平成 17 年の 77 件から平成 25 年は 5 件と減少しています - 18 -
また 人工妊娠中絶の状況をみると 2 歳未満の実施率は 平成 7 年に全国 6.2 栃木県 7.5 であったものが ピーク時の平成 13 年には全国 13. 栃木県 17.5 と急激に増加しました 特に栃木県の実施率は 全国よりも高い状況が続いていましたが 平成 16 からは 全国と同レベルの実施率になり 平成 25 には全国 6.6 栃木県 6.7 と平成 13 年頃の 5% 以下に減少してきています 実数でみても 栃木県では平成 12 年の 1,79 件に対し 平成 25 では 36 件と 3% 以下に減ってきました このように 本県においては 2 歳未満の性感染症の割合や人工妊娠中絶の実施率は漸減傾向にあり 全国平均に近づいています 2 歳未満の人工妊娠中絶実施状況 18. 実 16. 施 14. 率(12. 1 女 8. 子 6. 人 4. 口 2. 千 対)H7 年 H12 年 H13 年 H14 H15 H16 中絶数 ( 県 ) 179147 951 752 587 515 461 395 389 37 315 35 32 36 中絶率 ( 全国 ) 6.2 12.1 13. 12.8 11.9 1.5 9.4 8.7 7.8 7.6 7.1 6.9 7.1 7. 6.6 中絶率 ( 県 ) 7.5 17.4 17.5 16.1 13.2 1.7 9.9 8.9 7.7 7.8 7.6 6.9 6.5 6.8 6.7 H17 H18 H19 H2 資料 : 衛生行政報告例 H21 H22 H23 H24 H25 14 12 1 8 6 4 2 人工妊娠中絶数 ( 県 ) (1) 2 歳未満 は 分母に 15~19 歳の女子人口を用い 分子に 15 歳未満を含めた 人工妊娠中絶件数 を用いて計算 (2) 平成 13 年までは年集計 平成 14 年以降は集計 - 19 -