(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

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(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

速報!  平成27年度税制改正セミナー

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

2. 改正の趣旨 背景 中小企業経営者の高齢化が進んでいるが その半数以上が事業承継の準備を終えていない このような現状を放置すると中小企業の廃業の増加により地域経済に深刻な打撃を与える恐れがある 事業承継の円滑な実施は 事業が継続されることによる雇用の維持に加え 休廃業企業のうち一定数は経常利益が

事業承継関連税制について 関東経済産業局 平成 30 年 6 月 中小企業金融課

2018年度税制改正大綱 - 資産税関連の主な改正点

納税猶予打切りリスクの緩和 利子税率の引き下げ 承継 5 年超で 5 年分の利子税の免除 債務控除方式の変更 債務控除を株式以外の財産から行うことで 納税猶予の効果を高める < 平成 27 年度税制改正 > 贈与税の納税猶予 免除制度の拡充 1 代目が存命中に 2 代目が 3 代目に納税猶予 免除制

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

参考. 改正前の制度概要 ( 改正対象は太字 ) (1) 税の納税猶予の全体像 ( 概要 ) の要件 会社の代表者であったこと 時には代表権を有していないこと と同族関係者で決議数の 50% 超の株式を保有かつを除いた同族内で筆頭株主であったこと 認定対象会社の要件 の要件 会社の代表者であること

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

<4D F736F F F696E74202D DC C5817A94F18FE38FEA8A948EAE939982C982C282A282C482CC91A1975E90C A91B190C582CC945B90C C814596C68F9C81698E968BC68FB38C7090C590A7816A82CC82A082E782DC82B520202

(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

1. はじめに 中小企業経営者の高齢化が進展する中 事業承継の円滑化は喫緊の課題です 平成 30 年度税制改正において 事業承継の際に生ずる相続税 贈与税の負担を軽減する 非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例 ( 以下 事業承継税制 ) が抜本的に改正されました 本改正では

××税制(所得税・法人税・法人住民税・事業税)

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目次 特例措置の概要等... 5 ( 問 1) 非上場株式等についての相続税 贈与税の納税猶予及び免除に係る一般措置と特例措置との違い... 5 ( 問 2) 相続開始後の特例承継計画の提出... 8 ( 問 3) 特例措置の対象となる株式等の種類... 9 ( 問 4) 特例措置における雇用確保要

事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

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注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

平成19年12月○日

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

1 贈与税の納税猶予制度の認定要件 ( 施 規則第 6 条第 1 項第 11 号 ) 贈与税の納税猶予制度の適 を受けるには 以下の要件等を満たすことが必要です 対象会社要件 中 企業者であること 上場会社等 俗営業会社に該当しないこと 資産保有型会社 は資産運 型会社 ( 以下 資産保有型会社等

贈与税の納税猶予制度の認定要件 ( 施 規則第 6 条第 1 項第 13 号 ) 贈与税の納税猶予制度の適 を受けるには 以下の要件等を満たすことが必要です 3 ( 贈与者 ) 先代経営者以外の株主等の要件 先代経営者からの贈与 は相続以後に 贈与を った者であること ( 先代経営者からの贈与 は相

1 非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例 ( 租税特別措置法第条の 7 の 5) 特例措置 ⑴ 制度のあらまし ( 注 1 円滑化法の認定 ) を都道府県知事から受ける非上場会社の後継者である受贈者 ( 特例経営承継受贈者 といいます ) が 贈与者から非上場会社の株式又は出資 (

( 相続時精算課税適用者の死亡後に特定贈与者が死亡した場合 ) (6) 相続時精算課税適用者 ( 相続税法第 21 条の9 第 5 項に規定する 相続時精算課税適用者 をいう 以下 (6) において同じ ) の死亡後に当該相続時精算課税適用者に係る特定贈与者 ( 同条第 5 項に規定する 特定贈与者

平成16年版 真島のわかる社労士

Microsoft Word - 第67号 来年からの贈与税改正と相続時精算課税を選択する際の注意点

事業承継税制の拡充・資産税逃れ対策等

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

Microsoft Word - 36号事業承継.doc

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Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

5 適用手続 ⑴ 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は 贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内に 相続時精算課税選択届出書 ( 贈与者ごとに作成が必要 ) を贈与税の申告書に添付して 納税地の所轄税務署長に提出する ( 相法 21の92) なお 提出された当該届出書は撤回することができない

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

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障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

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1 第 2 章都道府県知事の認定について 第 1 節第一種特例贈与認定中小企業者 贈与税の納税猶予制度の認定要件 ( 施行規則第 6 条第 1 項第 11 号 ) 贈与税の納税猶予制度の適用を受けるには 以下の要件等を満たすことが必要です 1 対象会社要件 中小企業者であること 上場会社等 風俗営業

1.一般の贈与の場合(暦年課税)編

平成23年度税制改正の主要項目

2011年度税制改正大綱(相続・贈与税)

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平成 31 年度住宅関連税制改正の概要 ( 一社 ) 住宅生産団体連合会 平成 31 年 3 月 (1) 住宅ローン減税の拡充 ( 所得税 個人住民税 ) 消費税率 10% が適用される住宅取得等をして 2019 年 10 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの間にその者の居住の用に

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

このうち 申告納税額がある方 ( 納税人員 ) は640 万 8 千人で は41 兆 4,298 億円 申告納税額は3 兆 2,037 億円となっており 平成 28 年分と比較すると 人数 (+0.6%) (+ 3.4%) 及び申告納税額 (+4.6%) はいずれも増加しました 所得者区分別の状況イ

<TAC> 無断複写 複製を禁じます ( 税 18) 相上 (8)C10-1 相続税法 上級 演習 8 テキスト 2 第 8 回 - 解答 点 - 第一問 問 1 持分の定めのない法人に対し財産の贈与又は遺贈があった場合において 税負担の不当減少を防 止

日税研メールマガジン vol.143 ( 平成 31 年 2 月 15 日発行 ) 公益財団法人日本税務研究センター Article 平成 31 年度税制改正大綱の解説 ( 2) 税理士金井恵美子 * 本稿では 前号 ( vol.142) に引き続き 平成 31 年度税制改正の大綱 に示された改正事

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

時価で譲渡したものとみなされ所得税が課税され かつ その所得税は相続税の課税価格の計算上被相続人の債務として控除されていることにより 所得税と相続税の負担の調整は済んでいますので この特例の適用は受けられません 2 取得費に加算される金額平成 26 年度の改正前は 相続財産である土地等の一部を譲渡し

(2) 父母 ( 祖父母 ) から子 ( 孫 ) への住宅取得等資金の贈不 父母 ( 祖父母 ) など直系尊属から その子 ( 孫 ) へ居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) を贈不した場合 表の通りの金額について贈不税が非課税となります また 贈不税の基礎控除

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

PowerPoint プレゼンテーション

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『事業承継の際の相続税・贈与税          の納税猶予制度』

速報!  平成27年度税制改正セミナー

2. 改正の趣旨 背景 国内に住所を有しないことにより相続税 贈与税の課税を免れる租税回避行為を抑制するため 平成 12 年度改正 ( 相続人 受贈者の国籍による納税義務判定の導入 ) 平成 25 年度改正 ( 相続人 受贈者が日本国籍なしの場合の課税強化 ) が行われてきた 平成 29 年度改正で

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

第一法基通改正7

3. 住宅税制 消費税率の引上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化し 及び緩和する観 点から 住宅税利について以下のとおり所要の措置を講じます 住宅ローン減税を平成 26 年 1 月 1 日から平成 29 年末まで 4 年間延長し その期間のうち平成 26 年 4 月 1 日から平成 29

企業中小企(2) 所得拡大促進税制の見直し ( 案 ) 大大企業については 前年度比 以上の賃上げを行う企業に支援を重点化した上で 給与支給総額の前年度からの増加額への支援を拡充します ( 現行制度とあわせて 1) 中小企業については 現行制度を維持しつつ 前年度比 以上の賃上げを行う企業について

内に 耐火建築物以外の建物についてはその購入の日以前 20 年以内に建築されたものであること 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の中古住宅 を 平成 17 年 4 月 1 日以降に取得した場合には 築年数に関係なく適用が受けられます (56ページ 一

平成 30 年度税制改正 ( 所得税 ) の主な内容 1. 給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除への振替給与所得控除及び公的年金控除の控除額を一律 10 万円引き下げ 基礎控除の控除額が一律 10 万円の引き上げとなる 2. 給与所得控除 公的年金等控除 基礎控除の見直し (1) 給与所得控除の

1.修正申告書を作成する場合の共通の手順編

個人事業者向けの事業承継税制が創設

個人版事業承継税制の創設について 現行税制上の事業承継支援特例を踏まえた検討

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

事業承継支援について

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

3.相続時精算課税の適用を受ける場合編

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

3.相続時精算課税の適用を受ける場合編

株式の贈与 相続税を ゼロ に! 中小企業の事業承継税制と金融支援 - 中小企業経営承継円滑化法事業者向け手引き - 神奈川県

所令要綱

(1) 政策目的 多様な就業の機会を提供すること等により我が国の経済の基盤を形成している中小企業の事業承継を円滑化することにより 中小企業の事業活動の継続を実現し 雇用の確保や地域経済の活力維持につなげることを目的とする (2) 施策の必要性 全国の経営者の平均年齢は年々上昇しており 例えば資本金

4.住宅取得等資金の非課税の適用を受ける場合編

1 設備投資をして生産性を高めたい! ~ 中小企業経営強化税制の創設 ~ ~ 固定資産税特例の拡充 ~ 利用できるのは 法 人 個人事業主 法人税 所得税固定資産税 省力化のため セルフレジ ( 複数台合計で約 1,500 万円 ) を導入したい! 何か使える支援策はないかしら? 経営力を向上させる

2.配偶者控除の特例の適用を受ける場合(暦年課税)編

平成 29 年度税制改正解説資産課税 納税義務の見直し 1 国外財産に関する相続税 贈与税の納税義務の範囲が見直されます 被相続人が日本国籍を有しない者であって 一時的滞在 ( 2) をしていたものを除く 2

の範囲は 築 20 年以内の非耐火建築物及び築 25 年以内の耐火建築物 ((2) については築 25 年以内の既存住宅 ) のほか 建築基準法施行令 ( 昭和二十五年政令第三百三十八号 ) 第三章及び第五章の四の規定又は地震に対する安全上耐震関係規定に準ずるものとして定める基準に適合する一定の既存

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

法人税 結婚 子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設教育資金贈与の見直し非上場株式等に係る贈与税 相続税の納税猶予制度の見直し法人税率の引き下げについて 個人 (20 歳以上 50 歳未満の者に限る 以下 受贈者 という ) の結婚 子育て資金の支払に充てるためにその直系尊属 ( 以下

問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

平成19年度市民税のしおり

2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策 Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? Part 2 相続税の負担を軽減するには?

教育資金の一括贈与に係る非課税特例の創設

用語の意義 この FAQ において使用している用語の意義は 次のとおりです 用語 意義 所得税法 ( 所法 ) 所得税法 ( 昭和 40 年法律第 33 号 ) をいいます 所得税法施行令 ( 所令 ) 所得税法施行令 ( 昭和 40 年政令第 96 号 ) をいいます 改正所令 所得税法施行令の一

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

第 5 章 N

4.住宅取得等資金の非課税の適用を受ける場合編

スライド 1

Transcription:

資産課税事業承継税制の特例の創設等 事業承継税制は 10 年間の特例措置として抜本的に拡充される 特例後継者 ( 仮称 ) が 特例認定承継会社 ( 仮称 ) の代表権を有していた者から 贈与又は相続若しくは遺贈により当該特例認定承継会社の非上場株式を取得した場合には その取得した全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について その特例後継者の死亡の日等までその納税を猶予する < 改正のポイント > 納税猶予の対象株式数の制限がなくなる 相続においても対象株式に係る相続税の全額が猶予される 雇用確保要件が大幅に緩和される 適用対象者の拡大により 承継パターンが多様化する 一定の要件を満たす納税猶予対象株式の譲渡 合併 解散等については納付額の減免措置が講じられる 特例後継者が贈与者の推定相続人以外の者であっても相続時精算課税制度の適用が可能となる 1

(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の全額 雇用確保要件 経営承継期間内の一定の基準日における雇用の平均が 贈与時又は相続時の雇用の 8 割 を下回った場合には納税猶予は打ち切りとなる 経営承継期間内の一定の基準日における雇用の平均が 贈与時又は相続時の雇用の 8 割 を下回ったとしても当該要件を満たせない理由を記載した書類を都道府県に提出すれば納税猶予は継続される 先代経営者の要件 後継者の要件 代表権を有する又は有していた先代経営者 1 人から 株式を承継する場合のみ適用対象 代表権を有している又は代表権を有する見込みである 後継者 1 人への承継のみ適用対象 複数人 ( 代表者以外の者を含む ) からの特例後継者への承継も適用対象 代表権を有する複数人 ( 最大 3 名 ) への承継も適用対象 猶予期限の確定事由 ( 譲渡 合併 解散等 ) に該当した場合の納付金額 株式の贈与時 相続時の相続税評価額を基に計算した納付税額 一定の要件を満たす場合には 株式の譲渡若しくは合併の対価の額又は解散の時における相続税評価額を基に 納付金額を再計算し 当該納付金額が当初の納税猶予税額を下回る場合 差額は免除 相続時精算課税制度の適用対象者 贈与者は贈与をした年の 1 月 1 日において 60 歳以上の父母又は祖父母 受贈者は贈与を受けた年の 1 月 1 日において 20 歳以上の者のうち 贈与者の直系卑属等 贈与者 ( その年の 1 月 1 日において 60 歳以上 ) の推定相続人以外の者 ( 同日において 20 歳以上 ) である特例後継者も適用対象 2

特例制度の適用要件 1 特例承継計画を提出した特例認定承継会社の代表権を有していた者から 2 当該特例承継計画に記載された特例後継者が 贈与又は相続若しくは遺贈により当該特例認定承継会社の非上場株式を取得した場合に適用される < 定義 > 特例承継計画 ( 仮称 ) 特例認定承継会社 ( 仮称 ) 特 例 後 継 者 ( 仮 称 ) 認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けた特例認定承継会社が作成した計画であって 当該特例認定承継会社の後継者 承継時までの経営見通し等が記載されたものをいう 平成 30 年 4 月 1 日から平成 35 年 3 月 31 日までの間に特例承継計画を都道府県に提出した会社であって 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第 12 条第 1 項の認定を受けたものをいう 特例認定承継会社の特例承継計画に記載された当該特例認定承継会社の代表権を有する後継者 ( 1) であって 当該同族関係者のうち 当該特例認定承継会社の議決権を最も多く有する者 ( 2) をいう ( 1) 同族関係者と合わせて当該特例認定承継会社の総議決権数の過半数を有する者に限る ( 2) 当該特例承継計画に記載された当該後継者が 2 名又は 3 名以上の場合には 当該議決権数において それぞれ上位 2 名又は 3 名の者 ( 当該総議決権数の 10% 以上を有する者に限る ) 3

(2) 承継パターンの拡大 1 事業承継税制の適用対象者の拡大 現行制度特例制度 ( 複数人からの承継 ) 特例制度 ( 複数人への承継 ) 先代経営者 70% 保有 先代経営者 50% 保有 代表者以外の者 20% 保有 先代経営者 70% 保有 父父母父 贈与 子 50% 贈与子 20% 贈与 50% 贈与子 A 子 B 20% 贈与 特例後継者特例後継者 先代経営者(1 人 ) から 後継 複数人( 代表者以外の者を含む ) から特例後継者への承継も適用対象 複数人( 最大 3 名 ) への承継も適用対象 者 (1 人 ) への承継のみが適用 承継のタイミングが同時でなくとも 特例承継期間 (5 年 ) 内に 当該 各特例後継者は 下記 4 点の要件を満たす必要がある 対象 承継に係る贈与税 相続税申告書の提出期限が到来するものに限 1 代表権を有すること り 適用対象今年度改正により 現行制度についても 複数の贈与者からの贈与等による承継は適用対象となる 2 同族関係者と合わせて 特例認定承継会社の総議決権の過半数を有すること 3 同族内で最も多く ( 特例後継者が2 名いる場合には上位 2 名以内 3 名以上いる場合には上位 3 名以内 ) の議決権保有数であること 4 総議決権数の10% 以上を有すること ( 適用要件については不明 ) 2 相続時精算課税制度の適用対象者の拡大 特例後継者が贈与者の推定相続人以外の者 ( その年の 1 月 1 日において 20 歳以上である者に限る ) であり かつ その贈与者が同日において 60 歳以上の者である場合には 相続時精算課税の適用を受けることができる 4

(3) 譲渡 合併 解散時等の納税猶予税額の減免 経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合 において 特例承継期間 (5 年 ) 経過後に (a) 特例認定承継会社の非上場株式の譲渡をするとき (b) 特例認定承継会社が合併により消滅するとき (c) 特例認定承継会社が解散するとき等には 次のとおり納税猶予税額を免除する 経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合 とは 次のいずれかに該当する場合をいう ( 解散した場合は 5 を除く ) 譲渡 合併 解散等 ( 以下 譲渡等 という ) の時期によっては 特例の要件で判定することもできる 指標 1 利益金額 2 売上高 原則 直前の事業年度終了の日以前 3 年間のうち 2 年以上 特例認定承継会社が赤字 直前の事業年度終了の日以前 3 年間のうち 2 年以上 特例認定承継会社の売上高が その年の前年の売上高に比して減少 判定時期の特例譲渡等が直前の事業年度終了の日から 6 月以内 (4 については 1 年以内 ) に行われた場合 直前の事業年度終了の日の 1 年前の日以前 3 年間のうち 2 年以上 特例認定承継会社が赤字 直前の事業年度終了の日の 1 年前の日以前 3 年間のうち 2 年以上 特例認定承継会社の売上高が その年の前年の売上高に比して減少 3 有利子負債の額 直前の事業年度終了の日における特例認定承継会社の有利子負債の額が その日の属する事業年度の売上高の 6 月分に相当する額以上 直前の事業年度終了の日の 1 年前の日における特例認定承継会社の有利子負債の額が その日の属する事業年度の売上高の 6 月分に相当する額以上 4 上場会社の株価 特例認定承継会社の事業が属する業種に係る上場会社の株価 ( 直前の事業年度終了の日以前 1 年間の平均 ) が その前年 1 年間の平均より下落 特例認定承継会社の事業が属する業種に係る上場会社の株価 ( 直前の事業年度終了の日の 1 年前の日以前 1 年間の平均 ) が その前年 1 年間の平均より下落 5 その他 特例後継者が特例認定承継会社における経営を継続しない特段の理由がある ( 解散の場合を除く ) - ( 例 ) 利益金額の場合 ( 原則 ) ( 特例 ) 直前事業年度 3 2 1 2 年以上赤字 直前事業年度 4 3 2 1 2 年以上赤字 6 月以内 譲渡等 譲渡等 5

株式の相続税評価額( 税額 + 直前配当等の額 ) 速報 1 減免額の計算 : 原則 再計算後の納付金額が当初の納税猶予税額を下回る場合には その差額が免除される イメージ図 < 贈与 相続時 > < 譲渡 合併 解散時 > 当初の納税猶予税額 特例承継期間 (5 年 ) 経過後 免除される額 再計算後の納付金額 解散時の相続税評価額又は譲渡又は合併の対価の額 ( 注 ) 譲渡又は合併時の相続税評価額の 50% 相当額が下限 再計算後の納付金額 の計算方法次のイ及びロの金額の合計額 ( 合併の対価として交付された吸収合併存続会社等の株式の価額に対応する贈与税額等を除いた額とし 当初の納税猶予税額を上限とする ) イ再計算した贈与税額等 : 次の a 又は b の場合に応じ それぞれに掲げる額を基に再計算した贈与税額等 a 譲渡又は合併の場合 : 譲渡又は合併の対価の額 ( 譲渡又は合併の時の相続税評価額の 50% 相当額を下限 ) b 解散の場合 : 解散の時における株式の相続税評価額 ロ直前配当等の額 : 譲渡等の前 5 年間に特例後継者及びその同族関係者に対して支払われた配当及び過大役員給与等に相当する額 6

際の譲渡又は合併の対価速報 2 減免額の計算 : 特例 ( 譲渡又は合併の対価の額 < その時の株式の相続税評価額の 50% 相当額の場合 ) 担保の提供を条件に 譲渡又は合併時に再計算した納付金額は一旦猶予され 譲渡又は合併後 2 年を経過する日において 一定の要件を満たす場合には 当該猶予されている額と再々計算後の納付金額との差額が免除される イメージ図 譲< 贈与 相続時 > < 譲渡 合併時 > < 譲渡 合併後 2 年経過時 > 当初の納税猶予税額 渡又は合併時の株式の相続税評価額特例承継期間 (5 年 ) 経過後 相続2 年を経過税評価額 免除される額 ( 第 1 段階 ) 再計算後の納付金額免除される額 ( 第 2 段階 ) 猶予金額再々計算後の納付金額 再々計算後の納付金額 の計算方法次のイ及びロの金額の合計額 ( 合併の対価として交付された吸収合併存続会社等の株式の価額に対応する贈与税額等を除く ) イ再々計算した贈与税額等 : 実際の譲渡又は合併の対価の額を基に再々計算した贈与税額等ロ直前配当等の額 : 譲渡等の前 5 年間に特例後継者及びその同族関係者に対して支払われた配当及び過大役員給与等に相当する額 譲渡又は合併後 2 年を経過する日において 一定の要件を満たす場合とは 次のいずれも満たす場合をいうイ譲渡後の特例認定承継会社又は吸収合併存続会社等の事業が継続しているロこれらの会社において 特例認定承継会社の譲渡又は合併時の従業員の半数以上の者が雇用されている 7

2. 適用時期 平成 30 年 1 月 1 日から平成 39 年 12 月 31 日までの間に贈与又は相続若しくは遺贈により取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用する 3. 実務上の留意点 10 年間に限定した特例制度の創設である 特例制度では 贈与 相続 遺贈により取得した全株式に係る贈与税及び相続税の全額について納税が猶予される 特例制度を適用するには 平成 35 年 3 月 31 日までに特例承継計画を都道府県へ提出する必要がある 雇用確保要件が大幅に緩和され 加えて減免措置が拡充されるので 将来の業績悪化を気にせず 納税猶予を受けられる 推定相続人以外の特例後継者への贈与についても 相続時精算課税制度が適用できるため 納税猶予が打ち切りになった場合の税負担リスクが軽減され 承継がしやすくなる ( 但し 相続税の納税義務者になる ) 4. 今後の注目点 相続開始後又は贈与実行後の承継計画の提出は認められるか 有利子負債 には 同族関係者からの借入金も含まれるのか 上場会社の株価 ( 直前の事業年度終了の日以前 1 年間の平均 及びその前年 1 年間の平均 ) の確認方法 本制度を適用して贈与を行い 平成 40 年以降に当該贈与者が亡くなったときの相続税は 現行制度 ( 株数の 2/3 まで 80% 減 ) に戻るのか 現行制度適用者への救済措置は一切ないのか 8