第 1 章事業概要 1. 事業の目的 本事業は 質の高いサービスの提供や 外国語での対応ができる人材を育成 確保するため 県内観光関連企業 団体が行う人材育成研修や語学研修の取り組みを支援し 国際観光地としての沖縄の評価の向上を目的とする 雇用した人材の定着促進 観光客 ( 国内外 ) の満足度向上 沖縄県が第 5 次沖縄観光振興基本計画で目指している 世界水準の観光リゾート地 の形成に向けて ( 国内外の ) 観光客の満足度向上 リピーターの獲得 国際観光地としての評価向上 雇用した人材の定着促進を目指すためには 人材育成が必要であり 沖縄観光に携わる各企業 団体が人材育成に取り組むことによって スキル 生産性が向上し その結果 観光客の満足度向上 リピーターの獲得 国際観光地としての評価向上 に繋がり 更に企業収益があがることで 雇用した人材の定着 に結びつくことが期待できる 国際観光地としての評価向上 世界水準の観光リゾート地 形成 リピーターの獲得 2. 沖縄観光産業の現状 平成 26 年沖縄県入域観光客統計概況沖縄県文化観光スポーツ部観光政策課 ( 平成 27 年 1 月 ) 平成 26 年の入域観光客数は 705 万 6,200 人で 対前年 64 万 2,500 人増加 率にして 10.0% の増加となり 2 年連続で過去最高を更新し 初の 700 万人台を記録した また 月別では 全ての月において前年同月を上回るとともに 各月の過去最高記録を更新した 昨年に続き国内客 外国客ともに過去最高の入込となっており 前年と比べて増加した要因は 円安の継続に伴う国内および訪日旅行需要増 や 海外航空路線の拡充 クルーズ船の寄港回数増による外国人観光客の増加 1
と考えられ 特に外国人観光客の増加が大きく寄与している 今後 沖縄の観光が持続的に成長していくためには 観光消費の拡大と外国人観光客の更なる市場拡大が必須であるが 国内外から多くの観光客を迎えるためには 観光関連産業従事者のホスピタリティマインドの底上げと外国語の対応能力の向上を行うと同時に 個別事業者を越えた業界レベルでの人材育成の取り組みが必要になると考えられる 観光客が望む質の高いサービスを提供できる人材を育成 確保することで 一人当たりの生産性が高まり その結果 企業収益が向上し 従業員の労働条件 ( 賃金等 ) の改善にも結びつくため 県経済全体にとってもプラスとなる したがって 企業における人材育成能力の強化は 従業員の所得の向上 県内企業の経営基盤の強化 さらに沖縄県の産業基盤の強化にとっても重要である ただ 県内においては中小零細企業が多いことから 人材育成への取り組みを実現するためには 行政の支援やサポート体制の整備が不可欠であり 資金面での行政支援を行うとともに 効果的な研修の組み立て方についても アドバイスやサポートできる機関が必要である 県経済の活性化 従業員の就業意欲向上 賃金 UP ステップ UP キャリア UP 従業員のスキル向上 従業員の定着化 労働環境の見直し 企業収益 UP 生産性向上 観光産業基盤強化消費拡大顧客満足度 UP 顧客対応力向上 観光関連企業 団体従事者 観光関連企業 団体経営者 観光客 人材育成 行政の支援 サポート体制 3. 沖縄観光産業の課題 観光産業は沖縄県におけるリーディング産業であるにもかかわらず 県民への観光産業への理解 魅力が充分に周知されていないため ステータスの低さなどによる労働者不足や離職率の高い現状が続いている その改善策として経営者における人材育成 活用の重要性に対する意識改革が必要であり 従業員においては 観光を支えているという誇りとさらなる高度なサービス 経営を学ぶ意欲を持つことが必要である また 本県の観光業は 中小零細企業が多いことから 自社研修を実施することが難しい状況にあることを考慮し 沖縄観光の重要なソフトインフラの整備の意味合いにおいても 公的支援によるセミナーや研修の実施は大変重要である さらに 沖縄 21 世紀ビジョン基本計画の 世界水準の観光リゾート地の形成 を実現する為には 外国語の対応能力とともに 外国人観光客の受入体制整備など 多様なニーズに対応できる仕組み作りが求められているが 沖縄県が実施している 平成 25 年度外国人観光客受入に関する実態調査事業 によると 外国人観光客の満足度 では 外国語の対応能力や案内表記についての満足度は低く 外国人観光客を受け入れる際の課題 として 外国語対応ができないことが 76% を占めており まだまだ外国人観光客の受入体制が整っていないことがうかがえる 2
外国人観光客受入に関する実態調査報告書 ( 平成 25 年 3 月 31 日 ) 4. 沖縄観光産業の労働環境 中長期的な取り組みが必要な人材育成や研修等に踏み出せない原因として 県内における観光産業の雇用形態が 契約社員や派遣社員が多く正社員での雇用が少ないという点である 人材の定着が不確定要素である中小零細企業では 人材育成のプログラムに資金を投入し 継続的な雇用を生み出す仕組みはく 即戦力となる人材の活用と 状況に応じた人員数の調整が行われており 若年層や後継者が育たない環境となっている そのため 観光産業への就労は長期的なものとはならず 短期間の雇用形態で就労についた結果 観光を支えているという誇りを持つ機会が失われ 高度なサービスを学びスキルアップしたいという向上意欲や 社内で学ぶ機会もなく 雇用のミスマッチが生じている 解決策として まずは 経営者における人材育成 活用の重要性に対する意識改革や 人材育成に取り組む組織体制づくり 観光業における労働環境の整備が急務である 3
雇用のミスマッチ原因と解決策 経営者 就労希望者 解決策 雇用のミス 長期的な視野でステップアップできる仕組みがある会社に就業したい入社後もスキルアップできる環境が必要 人材育成に資金を投入しても すぐに成果が出ない即戦力となる人材の採用 状況に応じた人員調整 経営者における人材育成 活用の重要性に対する意識改革人材育成に取り組む組織体制づくり 後継者となりうる人材の発掘ができない 継続的な雇用が出来ない マッチ 長期雇用でないため 向上意欲がわかない 観光業における労働環境の整備 継続雇用が出来ないため 人材育成への取組みが後回しになってしまっている 日々の接客や業務に対しての誇りと責任感をもつことが出来ない 従業員のモチベーションアップ 意欲向上 沖縄県が実施した県内の賃金 労働時間 雇用の動き ( 毎月勤労統計調査地方調査 ) の平成 25 年によると 現金給与総額の産業別では 観光産業の要である宿泊業 飲食サービス業が 125,411 円で最下位となっており 産業別離職率でみても 高い傾向にある また 沖縄県の労働環境の特徴として若年層の失業率も高い 採用後即戦力となる人材や経験者を求める県内企業に対して 若年層は就業経験が浅く 企業が求める技能 技術を備えていないため 就職の機会が得られなかったり 入社できても労働条件が悪く早期に退職するといったケースが多い 若年層の早期離職は キャリアパスを描く上で軸となるスキル構築に不利となり スキル構築が不十分なまま再就職しても 生産性は向上しない そのため入社後に 社内教育や OJT などで スキルアップ ステップアップできる環境が必要不可欠である 沖縄県の賃金 労働時間 雇用の動き 毎月勤労統計調査地方調査年報 - 沖縄県企画部統計課 ( 平成 25 年 ) 4
5
6
5. 事業スキーム 世界に通用する観光人材育成事業事業スキーム 1. 背景 目的 3. 事業イメージ 国際観光地として沖縄の評価を向上するため 国内外の観光客が満足する高いサービスを提供できる人材を育成 確保する必要がある また 経営者及び次世代を担うリーダー層の意識啓発やスキル向上を図ることにより 経営基盤の強化や経営革新等の取り組みを促す必要がある 2. 事業概要 県内の観光関連事業者の対応能力向上を図るため 人材育成を行う事業者を公募し 事業者の課題に応じ 語学力 異文化理解 コミュニケーション力 専門知識等の専門家を派遣し 研修を実施する また 企業の語学取得力を促進させるための取組に対し支援を行うとともに 観光人材育成セミナーを実施する 沖縄県 委託 実施状況報告 沖縄コンベンションビューロー ( 観光人材育成センター ) Ⅰ. 講師派遣事業 (1) 人材育成データベースの構築 ( 各講師情報 電子申請 研修実施情報 ) 語学力 コミュニケーション力 (2) 企業の公募 研修のコーテ ィネート 講師とのマッチンク (3) 講師派遣の実施 (4) 研修モニタリングの実施 (5) 研修終了後のフォローアップ (6) 効果測定 Ⅱ. 語学研修リータ ー設置支援 Ⅲ. 観光人材育成セミナー 専門知識 講師の派遣 研修モニタリンク フォローアッフ 効果測定 応募 実施状況の報告等 民間企業 観光関連団体等 平成 26 年度の世界に通用する観光人材育成事業は Ⅰ 講師派遣事業 Ⅱ 語学研修リーダー設置支援 Ⅲ 観光人材育成セミナーの 3 つのメニューで構成した 7