子どもの生活に関するアンケート調査 より 小中学生の放課後生活 ~ 小学生男子 ボール遊びをするところがない 3 割弱小学生女子 塾や習い事で忙しい 2 割強 ~ 08 年 3 月 第一生命保険相互会社 ( 社長斎藤勝利 ) のシンクタンク ( 株 ) 第一生命経済研究所 ( 社長小山正之 ) では 全国の中学 3 年生までの子どもをもつ父親 母親とその子どもを対象に 標記についてのアンケート調査を実施いたしました この程 その調査結果がまとまりましたのでご報告いたします 小学生の放課後の過ごし方の現実と希望 (P2) 小学生の放課後の過ごし方は 友達と遊ぶ が約 8 割 習い事に行く が約 6 割 習い事に行く 勉強する は希望と現実のギャップが大きい 中学生の放課後の過ごし方の現実と希望 (P3) 中学生の放課後の過ごし方は クラブ活動に参加する が 7 割以上 希望する過ごし方は 友達と遊ぶ 体を休める 寝る が上位 小中学生の放課後 困っていること (P4) 小学生男子 ボール遊びをするところがない 女子 塾や習い事で忙しい が第 1 位 中学生 男女ともに第 1 位 クラブ活動で忙しい 第 2 位 塾や習い事で忙しい 普段一緒に遊ぶ友達 (P5) 小中学生ともに クラスや学校の友達 と最も多く遊んでいる 小学生の第 2 位 近所の友達 中学生の第 2 位 クラブ活動の友達 有意義な放課後生活に必要なこと (P6) 有意義な放課後生活には 通学路の安全確保 子どもが安心して遊ぶことができる 公園や広場を増やすこと 運動能力向上のための活動を行うこと 等が必要 < お問い合わせ先 > 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部研究開発室広報担当 ( 室井 新井 ) TEL.03-5221-4771 FAX.03-3212-4470 アドレス http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi
アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国の中学 3 年生までの子どもをもつ父親 母親およびその子どものうち小学 4 年生 ~ 中学 3 年生までの子 該当子が複数いる場合は最年長子のみ 2. サンプル数父親 母親 1,078 組子ども 567 名 3. 有効回収数 ( 率 ) 父親 927 名 (86.0%) 母親 930 名 (86.3%) 子ども 548 名 (96.6%) 4. サンプル抽出方法第一生命経済研究所生活調査モニター 5. 調査方法質問紙郵送調査法 6. 実施時期 07 年 3 月 1
電子ゲームをして小学生の放課後の過ごし方の現実と希望 小学生の放課後の過ごし方は 友達と遊ぶ が約 8 割 習い事に行く が約 6 割 習い事に行く 勉強する は希望と現実のギャップが大きい 図表 1 小学 4~6 年生の放課後の過ごし方の現実と希望 < 複数回答 > (%) 100 82.6 80 60 0 友達と遊ぶ84.6 63.1 習い事に行く15.1 59.4 音楽をきく 本やマンガをよむ58.4 43.3 テレビをみたり 家で過ごす22.1 52.7 勉強する13.1 49.7 遊ぶ44.6 27.5 26.8 24.2 23.8 23.5 21.1 15.1 7.0 5.4 3.4 4.4 4.7 3.0 1.3 児童クラブ活動に参加体を休める 寝る一人で遊ぶ希望その他現実 放課後クラブや学公園や広場に行く童保育に行く館で遊ぶする(n=298) 注 : 小学 4~6 年生の子どもの回答結果 小学 4~6 年生の子どもに 放課後どのように過ごしているかをたずねました 友達と遊ぶ (82.6%) が最も多く 次いで 習い事に行く (63.1%) が第 2 位となりました ( 図表 1) 以下 テレビをみたり 音楽をきく 本やマンガをよむ (59.4%) 家で過ごす (58.4%) 勉強する (52.7%) 電子ゲームをして遊ぶ( テレビゲームや携帯用のゲーム等 ) (49.7%) といった屋内での過ごし方が続き その後に 公園や広場に行く (24.2%) といった屋外で遊ぶという項目が続きました また 同じく小学 4~6 年生の子どもに 放課後に希望する過ごし方をたずねたところ 上位 2 位は 友達と遊ぶ (84.6%) 電子ゲームをして遊ぶ (44.6%) となりました 現実と希望の回答割合のギャップが特に大きい項目をみると 習い事に行く 勉強する といった項目であり 希望よりも現実の回答割合のほうが約 ポイント高くなっています これらの項目は 多くの小学生にとって あまり希望しないが現実には行っている 過ごし方 であるといえます 反対に 現実よりも希望のほうが高い項目( 公園や広場に行く や 体を休める 寝る 等 ) もありますが 約 3ポイント以下の差です ある程度 希望する過ごし方を実際に行ってはいるものの 他方 希望しない過ごし方を余儀なくされているという側面も浮き彫りになっています 2
中学生の放課後の過ごし方の現実と希望 中学生の放課後の過ごし方は クラブ活動に参加する が 7 割以上 希望する過ごし方は 友達と遊ぶ 体を休める 寝る が上位 図表 2 中学生の放課後の過ごし方の現実と希望 < 複数回答 > (%) 80 71.6 64.4 58.8 60 53.2 45.2 48.0 48.0 39.2 42.0 0 ク音楽をきく 本やテレビをみたり 友達と遊ぶ体を休める 寝る家で過ごすラブ活動に参加マンガをよむする54.0 39.6 遊ぶ36.4 電子ゲームをして32.4 勉強する31.6 8.4 8.0 習い事に行く16.4 6.4 一人で遊ぶ6.4 5.6 0.8 0.4 2.8 2.0 児童館で遊ぶ公園や広場に行く(n=250) 希望その他現実 注 1: 中学生の子どもの回答結果注 2: 放課後クラブや学童保育に行く の項目に対しては 現実 希望 ともに回答がゼロであった 同様に中学生に対して 放課後どのように過ごしているか また希望する過ごし方についてたずねました 回答割合をみると 現実の過ごし方は クラブ活動に参加する が7 割以上を占め 小学生で高い割合を示した 友達と遊ぶ は 5 割以下 電子ゲームをして遊ぶ は 4 割以下 習い事に行く は3 割程度となりました ( 図表 2) 一方 希望する過ごし方としては 友達と遊ぶ (64.4%) 体を休める 寝る (54.0%) が上位を占めました 現実と希望とのギャップが特に大きい項目をみると クラブ活動に参加する 勉強する 習い事に行く といった項目であり 希望よりも現実のほうが ポイント以上高くなっています 反対に 現実よりも希望のほうが高い割合を示した項目は 友達と遊ぶ 体を休める 寝る といった項目であり 12 ポイント以上開いています 中学生の場合 放課後 本当はもっと友達と遊んだり 体を休めたいと思っていても クラブ活動や勉強 習い事に忙しいという様子がうかがえます 3
小中学生の放課後 困っていること 小学生男子 ボール遊びをするところがない 女子 塾や習い事で忙しい が第 1 位 中学生 男女ともに第 1 位 クラブ活動で忙しい 第 2 位 塾や習い事で忙しい 図表 3 小中学生の放課後 困っていること ( 性別 )< 複数回答 > 50 30 10 0 0 10 30 50 男子 (n=148) 女子 (n=150) 43.2 41.3 27.0 14.7 14.9 18.7 12.8 24.7 11.5 8.0 10.8 11.3 4.7 17.3 4.1 4.0 2.0 6.0-1.3 ボール遊びするところがない遊ぶところがない塾や習い事で忙しい一緒に遊ぶ友達が少ない暇である何をして遊んだらいいかわからない誰と遊んだらいいかわからないクラブ活動で忙しいその他困っていることはない 13.5 2.0 14.9 8.8.3 17.6 7.4 7.8 8.8 男子 (n=148) 9.8 2.7 女子 (n=102) 3.9 2.7 1.0 31.1 26.5 1.4 2.9 38.5 48.0 注 : 小学 4 年生 ~ 中学生の子どもの回答結果 小中学生それぞれに 放課後の生活において困っていることをたずねました その結果 困っていることはない への回答が 小中学生の男女ともに約 4 割を占めましたが それ以外の 困っている内容 を示した項目については 小中学生あるいは性別によって回答傾向が異なります ( 図表 3) すなわち 小学生の男子は ボール遊びをするところがない (27.0%) 女子は 塾や習い事で忙しい (24.7%) が第 1 位となりました また 小学生女子の第 2 位は 遊ぶところがない (18.7%) 第 3 位は 何をして遊んでいいかわからない (17.3%) であり いずれも約 2 割の回答割合です 中学生をみると 男女ともに クラブ活動で忙しい ( 男子 31.1% 女子 26.5%) と 塾や習い事で忙しい ( 男子.3% 女子 17.6%) が上位 2 位までを占めました 4
一緒に遊ぶ友普段一緒に遊ぶ友達 小中学生ともに クラスや学校の友達 と最も多く遊んでいる 小学生の第 2 位 近所の友達 中学生の第 2 位 クラブ活動の友達 図表 4 普段一緒に遊ぶ友達 ( 就学状況別 )< 複数回答 > (%) 96.6 100 80 60 0 クラスや学校の友達92.4 39.9 近所の友達13.6 15.4 64.8 クラブ活動の友達13.8 塾や習い事の友達17.6 4.0 ブ 学童保育の友達2.8 放課後クラ中学生 (n=250) 1.0 児童館の友達- 0.7 その他2.0 4~6 年生 (n=298) 0.3 達はいない小学 2.0 注 : 小学 4 年生 ~ 中学生の子どもの回答結果 普段一緒に遊ぶ友達についてたずねました 小中学生ともに クラスや学校の友達 の回答割合が第 1 位となりました ( 小学生 96.6% 中学生 92.4%)( 図表 4) ただし 2 位以下の回答割合の順序は異なり 小学生の第 2 位は 近所の友達 (39.9%) 中学生の第 2 位は クラブ活動の友達 (64.8%) となっています 放課後の過ごし方 において 小学生は 友達と遊ぶ 中学生は クラブ活動に参加する の回答割合が高いという結果が示されましたが 交友関係はこれと関連しており 概ね 小学生はクラスや学校に加え 近所の友達と 中学生はクラスや学校に加え クラブ活動を通じた友達と遊んでいます 5
有意義な放課後生活に必要なこと有意義な放課後生活には 通学路の安全確保 子どもが安心して遊ぶことができる公園や広場を増やすこと 運動能力向上のための活動を行うこと 等が必要 図表 5 子どもが放課後を有意義に過ごすために必要なこと ( 子の就学状況別 ) 60.1 92.2 81.4 84.8 79.9 90.1 84.8 49.8 70.4 73.3 76.1 82.3 82.7 86.4 87.2 95.5 43.5 48.3 84.8 91.4 84.0 85.9 86.2 81.0 0 60 80 100 通学路の安全確保子どもが安心して遊ぶことができる公園や広場を増やすこと運動能力向上のための活動を行うこと子どもが自宅で休息すること色々な学年の子ども達との交流の場を増やすこと親同士のコミュニケーション子どもが学校や地域のクラブ活動に参加すること芸術や伝統文化を学ぶことこどもが公園などの掃除や 福祉施設などでのボランティア活動を行うこと補習などの学習を行うこと児童館の認知向上放課後児童クラブ(学童保育)を増やすこと小学 4~6 年生の母親 (n=243) 中学生の母親 (n=269) (%) 注 1: 小学 4 年生 ~ 中学生の子どもを持つ母親の回答結果注 2: 数字は 各項目に対して とても必要である と まあ必要である の合計値子どもが放課後の生活を有意義に過ごすために どのようなことが必要であると思うかを母親にたずねました 子どもの就学状況による回答傾向の違いはあまりなく 通学路の安全確保 子どもが安心して遊ぶことができる公園や広場を増やすこと 運動能力向上のための活動を行うこと 等が上位を占めました ( 図表 5) 中学生の多くはクラブ活動に参加していることを前述しましたが 中学生の母親の 子どもが学校や地域のクラブ活動に参加すること への回答割合も 9 割以上を占めており そのような過ごし方に親も肯定的のようです 他方 小学生が参加できるクラブ活動が少ないためか 小学生のクラブ活動への参加はあまり多くありません 今後 小学生のクラブ活動のあり方について 多くの子どもの参加機会を増やす方向で再考の余地があるものと思われます 6
研究員のコメント 小中学生およびその父母の回答をもとに 放課後の過ごし方についての実態と意識をみてきてきました 小中学生は 本当は遊んだり ゆっくり休みたいと思っていますが 実際には 多くの小学生は習い事 中学生はクラブ活動で忙しくしています なぜ このように小中学生は 習い事やクラブ活動で放課後を忙しく過ごしているのでしょうか その背景には ボール遊びをするところがない や 遊ぶところがない というように 遊ぶ場所が限定されてしまっており 思うように遊べないことも影響していると思われます 実際に 地域によっては ボール遊び禁止 の公園が増えており 子どもがボールを追いかけて遊べない状況が余儀なくされています このようなことから 子どもが放課後生活を有意義に過ごすためには 通学路の安全確保のみならず 子どもが安心して遊ぶことができる公園や広場を増やすこと等が求められます また 小学生のクラブ活動参加は現状では少ないようですが 小学生の親の多くは クラブ活動への参加を希望しています 小学生のクラブ活動の参加機会を増やすことによって 特に放課後生活をもてあましているように見受けられた小学生女子をはじめとして 子どもたちの友達づくりにも寄与すると思われます 学校のみならず 家庭や地域等で過ごす放課後生活も 子どもの成長にとっては重要なものです 次世代育成支援として 子どもが放課後 たくさんの友達とのびのびと遊ぶことができるような環境整備の充実も必要と考えます ( 研究開発室主任研究員的場康子 ) 7