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クロイワザサの植栽マニュアル ( 暫定版 ) 平成 27 年 3 月 西表森林生態系保全センター

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イネ科イネ科イネ科イネ科37 図鑑の見方 秋冬の植物 アキメヒシバ Digitaria violascens 4 5 花期 6 出現ポイント 7 タイプ 8 生息地 9 原産地 花期 8~10 月出現ポイント B タイプ一年草生息地畑道端原産地日本全土 1 科名 本図

帰化植物秘話

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第1部 わかやまの貴重な動植物 1 選定の考え方 (1) 対象種 県内域に生息 生育する陸産 淡水産及び汽水産の野生動植物とする ただし 海域を生息域とするウミガメ類については 産卵地が県内域で確認されている種を 選定の範疇に含めた 原則として外来種や飼育種 栽培種は除外するが これらに該当する種で

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コスジマグソコガネ捕獲個体 (6/16) 17 個体 ライトトラップ BOX15 糞トラップ 2 任意 - 獣糞内 -0 移動例 (6/16) オオコオイムシ捕獲個体 (6/21) 105 個体 ( 成虫 : 子持ち 16 子無し 38 幼虫 51) コスジマグソコガネ捕獲個体 (6/22-23)

: 調査地域 予測地域 図 現地調査による重要な動植物種と環境類型区分図との重ね合わせ結果 重要な種の保護の観点から 確認地点は表示しない 5-45

資料 2 セイヨウオオマルハナバチの代替種の利用方針 について 環境省農林水産省

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釧路根室森林計画区の第五次国有林野施業実施計画の変更について 変更理由 次の理由から国有林野管理経営規程 ( 平成 11 年農林水産省訓令第 2 号 ) 第 14 条第 2 項 に基づき変更する 1 平成 27 年 9 月 28 日付け 27 林国経第 49 号林野庁長官通知に基づき保護林を再編 す

目 次 平成 27 年度九州森林管理局重点取組事項 1 公益重視の管理経営の一層の推進 1 森林資源の循環利用による多面的機能の維持増進 ページ 1 2 国民生活の安全 安心の確保に向けた取組 (1) 民国連携した治山事業 (2) 海岸防災林の整備に向けた検討 (3) 木材の利用推進及び生物多様性保

レブンアツモリソウ保護増殖ロードマップ ( 概要版 ) 平成 28 年 11 月 ( 平成 31 年 2 月公表版 ) 環境省北海道地方環境事務所 林野庁北海道森林管理局 礼文町

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北杜市 ( 長坂 IC 付近 ) 低い盛土構造 ( 植栽 ) 高さ 5~7m 程度の盛土 ( 土を盛って造る道路 ) です この写真は高速道路沿いの一般道からを見上げています 盛土の斜面に草木を植えて覆っています 中央自動車道の例 盛土 一般道 一般道 植栽 盛土 1

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となっており このサイクルによって被害が拡大します このため 被害を防ぐためには 1 カミキリやセンチュウの侵入 増殖防止を目的とする 予防 2 被害を受けたアカマツの 駆除 の 2 つの対策が必要になります 4 空中散布中止までの取り組み国有林では 昭和 62 年度に半過山で最初の被害が発生し そ

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2016 年 2 月 18 日 KES エコロジカルネットワーク 2016 年度 取組み基準 特定非営利活動法人 KES 環境機構 2016 年度の取組みは 従来の 1. 希少植物の生息域外保全活動 に 2. 自社敷地内の緑化活動 3. その他生態系保全活動 を加え3 項目とします なお 京都市生物

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播種量については 発生期待本数 (m あたりの発芽成立本数 ) ) を基に算出されているため 発生期待本数により試験施工の内容を設定するものとした 国土交通省北海道開発局では 現状 発生期待本数を, 本 /m として 種子散布による緑化を行っている また 道路土工切土工 斜面安定工指針 では イネ科

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1 巡目調査 ( 平成 3~7 年度 ) 2 巡目調査 ( 平成 8~12 年度 ) ゲンジボタルの確認された調査地区 (1 巡目調査 2 巡目調査 ) 6-61

様式 1 資料調査及び更新可能性 1 次判定 (1/4) 林小班名 林班 小班 調査年月 年 月 1. 施業要件の確認 森林調査簿記載内容 検討 機能類型 山地災害防止 ( 土砂 ) 山地災害防止 ( 気象 ) 自然維持 森林空間利用 快適環境形成 水源涵養 施業方法 育成単層林 育成複層林 天然生


ンゴ類及びその他底生生物 ) の生息状況を観察した ジグザグに設置したトランセクト ( 交差することのないよう, かつ, 隣り合う調査線の視野末端が重複するように配置された調査線 ) に沿って ROV を航走させ トランセクト上に宝石サンゴがあった場合は 位置 種 サイズ等を記録した 同時に海底の操

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背景 業務の目的 業務名 中部地域における希少種保全 外来種対策に係わる調査業務 発注者 : 環境省 目的 中部地方環境事務所 中部地域における希少種保全や外来種対策に係わる様々な情報を収集 整理し 行政や市民団体等が希少種保全や外来種対策の取組を実施するための参考となる資料を作成する COP10

機械化林業平成 29 年 6 月号掲載 大型機械による地拵の効果について 下刈の省力化による低コスト造林の可能性を探るー 北海道森林管理局森林技術 支援センター山嵜孝一 1. はじめに北海道の林床を特徴づけるササ類は 旺盛な繁殖力と強い適応性を持っています そのため 人工造林の主要樹種であるトドマツ

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3 ウ ワ ミ ズ ザ ク ラ 幹 の 樹 皮 に は 横 縞 の 模 様 も な く 花 も 桜 の 概 念 か ら は ほ ど 遠 い 形 を し て い る が こ れ も 桜 の 仲 間 で あ る 20 メートル に も な る 大 木 で 4 月 の 中 頃 新 葉 が ひ ら い て

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(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図


抜本的な鳥獣捕獲強化対策 平成 25 年 12 月 26 日環境省農林水産省

この対策にはいくつか考えられるが 面的に食害を回避させるならば植生保護柵の設置が選択肢のひとつとなる 植生保護柵は 林業活動を目的とした設置だけに留まらない 兵庫県ではシカの食害によって落葉広葉樹林の林床植生の衰退が顕著であるため ( 藤木 2012a) 林床植生回復のために落葉広葉樹林内に植生保護

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八王子市緑地保護地区 斜面緑地保全区域面積推移 八王子市内の東京都緑地保全地域面積推移 m2 270,00 250,00 230,00 210,00 190,00 170,00 150,00 130,00 110,00 90,00 70,00 50,00 30,00 斜面緑地保全区域 緑地保護地区

欄の記載方法について 原則として 都道府県毎の天然更新完了基準に定められた更新調査 ( 標準地調査 ) の結果を元に造林本数欄に更新本数を記載する ただし 調査せずとも天然更新完了基準を明らかに満たしていると判断できる場合 ( 例えば 小面積の伐採等 ) には 造林地の写真その他の更新状況のわかる資

再造林 育林の低コスト化に関する指針 育林の低コスト化に関する指針平成 27 年 3 月高知県林業振興 環境部 1 指針の目的平成 24 年 9 月に策定した 皆伐と更新の指針 では 伐採時期を迎えた人工林を皆伐した後 再造林の適地と判断される伐採跡地では 森林資源の持続的な利用を図るうえでも再造林

平成 21 年度から あいち森と緑づくり税 を活用し 森林 里山林 都市の緑の整備 保全等に取り組んできた結果 第 4 章に示したとおり 一定の成果を上げることができました しかしながら 本県の森と緑を健全な状態で将来に引き継ぐためには 依然としてさまざまな課題があります 次ページ以降に 森と緑づく

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Ⅲ 対策を優先すべき主な外来植物 オオカワヂシャの生態的特徴と対策手法 種の生態的特徴と対策手法 オオカワヂシャの生態的特徴と対策手法 10 オオカワヂシャ Veronica anagallis-aquatica / ゴマノハグサ科 一 越年生草本 特定外来生物 原産地域 ヨーロッパ アジア北部 1

1 自然に対する関心 (1) 自然に対する関心 平成 24 年 6 月 平成 26 年 7 月 関心がある( 小計 ) 90.4% 89.1% 非常に関心がある 29.5% 21.9%( 減 ) ある程度関心がある 60.9% 67.2%( 増 ) 関心がない( 小計 ) 8.8% 10.5% あま

調査時点と比較して大幅に増加したのは 埋め立て と 踏みつけ で ほかに 石灰採掘 や 池沼開発 森林伐採 も新たに加わっている 一方 時点より減少したのは 管理放棄 水質汚濁 帰化競合 ゴルフ場 で 下水道の普及や新たなゴルフ場開発の凍結など 世相を反映したものになっている 消滅要因の変化 不明そ

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PRESS RELEASE (2017/1/18) 染井吉野 など サクラ種間雑種の親種の組み合わせによる正しい学名を確立 ポイント 4 つの種間雑種の学名を エドヒガン等の親種の組み合わせで整理しました Cerasus yedoensis という学名は エドヒガンとオオシマザクラの種間雑種名として

1 アライグマの 分布と被害対策 1 アライグマの分布 1977 昭和52 年にアライグマと少年のふれあいを題材とし たテレビアニメが全国ネットで放映されヒット作となった それ 以降 アライグマをペットとして飼いたいという需要が高まり海 外から大量に輸入された しかしアライグマは気性が荒く 成長 す

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資料 -5 第 5 回岩木川魚がすみやすい川づくり検討委員会現地説明資料 平成 28 年 12 月 2 日 東北地方整備局青森河川国道事務所

スライド 1

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図 1 東カリマンタン州ブキットスハルトの位置図 図 3 石炭火進行の模式図 に上がっているため 上部にある木が倒れたりする 図 2 地面の裂け目から火を噴く石炭火 と そこから酸素の供給があり 素早く上方に進ん で石炭火の誕生となる 図 3 一旦火が入ると地 面の下なので 進行は遅いが なかなか消

3 再生資材等の利用 (1) 再生骨材等の利用工事現場から 40km の範囲内に再資源化施設がある場合は 工事目的物に要求される品質等を考慮したうえで 原則として 再生骨材を利用する (2) 再生加熱アスファルト混合物の利用工事現場から 40km 及び運搬時間 1.5 時間の範囲内に再生加熱アスファ

(2)里山の整備

DNA 抽出条件かき取った花粉 1~3 粒程度を 3 μl の抽出液 (10 mm Tris/HCl [ph8.0] 10 mm EDTA 0.01% SDS 0.2 mg/ml Proteinase K) に懸濁し 37 C 60 min そして 95 C 10 min の処理を行うことで DNA

津波警報等の留意事項津波警報等の利用にあたっては 以下の点に留意する必要があります 沿岸に近い海域で大きな地震が発生した場合 津波警報等の発表が津波の襲来に間に合わない場合があります 沿岸部で大きな揺れを感じた場合は 津波警報等の発表を待たず 直ちに避難行動を起こす必要があります 津波警報等は 最新

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2. イネ科花粉症原因植物 ( 外来牧草類 ) 既存文献等からイネ科花粉症の原因植物をリストアップすると 表 -1 の通りである 日本におけるイネ科花粉症の原因植物は 特に春 ~ 初夏に開花する寒地型の外来牧草類が主体である これらの外来牧草類は 本来牧草地等に導入されたものであるが 生育が旺盛であ

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平成31年度予算概算決定額 森林整備事業 治山事業 林野公共事業 (平成30年度1次補正予算額5,199百万円 182, ,049 百万円 平成30年度第2次補正予算額 32,528百万円) 臨時 特別の措置 として31年度概算決定額44,128百万円を別途措置 対策のポイント 林業の成

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第 1 章環境監視調査の項目及び調査の手法 1.1 調査項目及び調査時期 平成 28 年度に実施した事後調査の調査項目及び調査時期を表 に 調査 工程を表 に示します だみ 大気質 表 平成 28 年度に実施した環境監視調査の調査項目

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鹿児島県立博物館研究報告第 35 号 :67 71,2016 薩摩半島西部におけるオキナワキンケビロウドカミキリの分布 金井賢一 * 福元正範 ** 入田隼一 ** 榊俊輔 ** 東哲治 ** Distribution of Acalolepta permutans okinawana (Coleo

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資料 5-2 1. 森林生態系保護地域としての適切な管理の推進 2 外来種対策 < 検討課題 > 外来種対策の実施について ( 対象となる団地 : 全て ) < 主な意見 > 公共工事等で法面緑化に使用される種及び飛来等で繁殖する外来種の駆除などの対策が必要 湯湾岳への外来種の入り込みが多く見られる 入山時における対策が必要 < 現状 > 外来植物種については 森林生態系保護地域内で 32 種を確認 木本についてはアブラギリ フトモモ クスノキが確認されたが 分布域が拡大する可能性は小さい 草本については 人為改変箇所 ( 林道工事等で外部から土砂が運ばれる頻度が高い箇所 林冠にギャップがある箇所 ) において 外来種の生育を確認 <これまでの主な取組 ( 検討中も含む ) > 公共工事におけるガイドラインを検討 県 外来植物の駆除 県 市町村 民間団体 外来植物の侵入状況調査 林野庁 < 対応方向 > モニタリング調査等により 外来種の生育状況について把握するとともに 生育する種の特性を踏まえた対応策を検討 関係機関と連携し侵略リスクの高い種 生態系サービスへの影響が大きい種について地域住民 観光客等へ周知 啓発を図ると共に優先度を踏まえながら駆除等の対策を実施 公共工事等に伴う外来種の進入の防止に努める 1

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外来植物生育調査報告 ( 一社 ) 日本森林技術協会 奄美群島の生物多様性の脅威として 外来種問題が頻繁に話題となっている その主要なテーマとして取り上げられているのが マングースやノネコ ノイヌなどの外来動物問題であり その悪影響を示すデータが提示され 実際の対策にも活かされている また マングース対策においては マングースの減少によって アマミノクロウサギやアマミイシカワガエルなどの固有種が回復してきたという具体的な成果が報告されている 一方で 外来植物については 現状把握が十分されておらず 対策の必要性の有無や 対策の具体的な内容 優先順位の検討については今後の課題となっている 本業務では 奄美群島の森林生態系保護地域と希少植物の多様性が極めて高い湯湾岳において 歩道や車道から観察された外来植物を記録し 分布状況の把握と対策についての提言をすることを目的として実施した 調査期間 2014 年 8 月 25~27 日 ( 奄美大島 ) 同 8 月 28~30 日 ( 徳之島 ) 外来植物確認地点 図 1 金作原における外来植物確認地点 4

図 2 神屋における外来植物確認地点 図 3 八津野における外来植物確認地点 5

図 4 湯湾岳 ( 特定動物生息地保護林 ) における外来植物確認地点 図 5 徳之島北部における外来植物確認地点 6

図 6 徳之島中部 井之川岳 三京林道 ( 左 ) 犬田布岳 ( 右 ) における外来植物確認地点 7

( ) 表 1 各団地の調査ルートにおいて出現した外来種の一覧 ( : 保護林内 保護林外 ) 区分 科名 種名 金作原 神屋 奄美大島 ナン川 八津野 道八津野林 央瀬林戸道内中 湯湾岳 道天徳城之岳島 北林部 井之川岳 徳之島 徳之島中部 犬田布岳 三京林道 出現箇所数 木本 クスノキクスノキ 2 トウタ イク サシナアフ ラキ リ 1 フトモモフトモモ 1 キシ カクシセンネンホ ク sp ( ト ラセナ ) 〇 2 竹イネホウライチク 1 草本 水草 イラクサココ メミス 1 ツリフネソウアフリカホウセンカ〇 1 イリオモテニシキソウ 1 トウタ イク サオカ サワラコミカンソウ 2 ミソハキ ネハ リミソハキ 1 ヒメハキ コハ ナヒメハキ 1 ナスイヌホオス キ sp 1 チリメンナカ ホ ソウ 1 クマツツ ラヒメクマツツ ラ 1 シソエコ マ 1 オオアレチノキ ク 2 カッコウアサ ミ 6 コセンタ ンク サ 〇 3 タチアワユキセンタ ンク サ 5 キクヒメムカシヨモキ 〇 6 ケナシヒメムカシヨモキ 3 ヒロハホウキキ ク 1 ヘ ニハ ナホ ロキ ク 2 サトイモハフ カス ラ 1 イク サ Juncus sp 1 イネ科 sp( 在来?) 1 イトメヒシハ 4 イネイヌメヒシハ 2 オカ サワラスス メノヒエ 5 タチスス メノヒエ 〇 5 ショウカ ケ ットウ 1 アリノトウク サオオフサモ 1 出現種数 ( 保護林外含 ) 出現種数 ( 保護林外含 ) 箇所ごと 6 7 7 8 4 団地ごと 6 7 15 0 (3) 0 (3) 7 7 7 1 (9) 13 (17) 9 計 32 種 8

表 2 調査ルートごとの外来植物の生育状況の概要 島別団地調査ルート外来植物分布状況の概要 奄美大島 徳之島 金作原 神屋 八津野 湯湾岳 徳之島北部 徳之島中部 中央林道 ( 知名瀬 )~ 金作原林道 中央林道 ナン川林道 八津野林道 瀬戸内中央林道 湯湾岳登山道 天城岳登山道 山クビリ線 北西 NTT 線 井之川岳登山道 犬田布岳登山道 三京林道 林道の入り口や崩落地の工事跡などにタチスズメノヒエ コセンダングサなどいくつかの帰化植物がまとまって見られ 森林内の林道上ではイトメヒシバやオガサワラスズメノヒエなどが点在している ただし林道上からずれた自然林内に入り込んでいる帰化植物は見られなかった 車の通れる比較的広い未舗装の林道で 林道上に帰化植物が多く見られた エゴマやコバナヒメハギ イリオモテニシキソウが見られたのはここだけであった カッコウアザミもところどころで群生していた ここも車の通れる広い未舗装の林道で帰化植物が多く見られた ネバリミソハギや Juncus sp. など比較的最近入ってきたと思われる帰化植物が多かった場所である 林内には2か所にシナアブラギリが入り込んでいた 林道入口にフトモモが数本あり 未舗装の車道上はイトメヒシバやカッコウアザミが多く見られた 途中で土砂崩れのためあまり奥地にまでは林道を入り込めなかった センネンボク sp はかつて林業作業小屋があった場所の近くで 人為的に持ち込まれた可能性もある アスファルト舗装の林道脇 法面に外来植物が確認された クスノキの幼樹が確認されたが 周辺に母樹は確認されなかった 登山道入り口の園地はタチスズメノヒエなどが繁茂するが 林内の登山道沿いには帰化植物は見られなかった ただ山頂近くに神社があり その近くの2か所が切り開かれた広場になっていてそこにはタイワントリアシなどとともにタチスズメノヒエやコセンダングサなどの帰化植物が見られた 外来種が確認された箇所は全て民有林であり 国有林内の登山道においては外来植物の生育は確認されなかった 登山道へのアプローチである山クビリ線はアスファルト舗装された林道であり その道路沿いにはいくつかの帰化植物が点々と見られた 東からの山頂への登山道沿いは明るい開けた場所や倒木ギャップも多かったが コヤブタバコなどの自生種しか見られなかった 山頂部は見晴らし確保のために伐採された広い空き地になっており ミソナオシなどの自生種とともにカッコウアザミが繁茂していた ただカッコウアザミ以外の帰化植物は調査時点では見られなかった 天城岳同様 車道ぞいや駐車場周辺では帰化植物は見られたが 林内の登山道沿いでは帰化植物は見られず ギャップはリュウキュウバライチゴやアカミノヤブガラシなどの自生植物が繁茂して埋めていた 山頂部に広場があり 一面の芝地 ( シバ属植物ではないが ) になっていたが その植物の同定は果期が過ぎていたためできなかった ただそれ以外の帰化植物などは見られなかった 山麓部は耕作地が近くまで隣接しており 登山道の入り口付近では 数多くの帰化植物や栽培逸出植物が見られた ただし 生態系保護地域に入ると登山道沿いには概ね帰化植物は見られず 山頂広場も周辺を森で覆われているため帰化植物は見られなかった ただし 途中 1か所でホウライチクが数株まとまって見られる場所があった 樹冠が閉じた林道沿いは概ね外来植物の生育はないが 崖崩れが多い場所で 林道工事跡など 土砂が外部から運び込まれている箇所では 外来草本の生育が確認された 耕作地に近く 多くの帰化植物が見られた 調査時には 本年に運び込まれた土砂が保管されており そこから多様な外来植物が繁茂していた 9

表 3 林内に生育が確認された外来植物 種名 生育状況 駆除の実現可能性 調査の方針案 八津野ナン側林道沿い八津野林道犬田布岳 シナアブラギリ 2 箇所で 1 本 5 本の高木を確認 その他 稚樹 1 本を確認 環境は鬱蔽した広葉樹林であり 稚樹の生育は難しいと考えられる 低木ステージの個体もなく分布が広がる様子はない 周辺に大きなギャップはなく 伐倒後の萌芽成長の懸念は低いため駆除は容易と思われる 併せて 詳細な生育調査によって 他の個体が確認される可能性もある センネンボク クスノキ フトモモ センネンボクは 1 本のみ クスノキは高木が 5 本程度 フトモモは林道入り口に数本 センネンボクとクスノキは広がる様子はない フトモモは 琉球列島では自然林内に入り込む数少ない木本性の帰化植物で 渓流沿いを丹念に調べると まだ生育箇所の確認が増えるかもしれない センネンボク クスノキは駆除は容易と思われる フトモモも数は少ないので確認個体の駆除は容易だが 調査によって 他にも個体が確認される可能性がある ハブカズラ ( 保護林外 ) センネンボク ( 保護林外 ) ホウライチク 登山道入り口付近の歩道沿いの林内にハブカズラ センネンボクが生育 かつて畑だった場所と思われ 人間活動由来の個体だと思われる ホウライチクは森林生態系保護地域内にも生育している そこまで広がる様子もなく 尾根に 2 株と一つの谷筋に生育する個体群である ハブカズラ センネンボクは駆除は容易 ホウライチクも 計画的な駆除によって 除去は可能と考えられる 表 4 確認された外来植物種のピックアップ写真 金作原 タチスズメノヒエ タチスズメノヒエ 神屋 エゴマコバナヒメハギケナシヒメムカシヨモギ 10

オガサワラコミカンソウイリオモテニシキソウムラサキカッコウアザミ 八津野ナン川林道 カッコウアザミオオアレチノギクネバリミソハギ シナアブラギリシナアブラギリケナシヒメムカシヨモギ 八津野林道 センネンボク ( ドラセナ ) オオフサモ ( 水草 ) クスノキ 11

八津野 ( 瀬戸内中央林道 ) クスノキクスノキキダチコミカンソウ コセンダングサ 湯湾岳 ( 頂上直下神社 ) タチスズメノヒエ 山頂の植生 天城岳 ( 山頂のみ ) カッコウアザミ ベニバナボロギク 山クビリ線 ヒメクマツヅラ 12

井之川岳山頂植生 井之川岳 犬田布岳 ホウライチク犬田布岳山頂植生 ( 外来種なし ) ハブカズラ ( 保護林外 ) アフリカホウセンカ ( 保護林外 ) ゲットウ ( 保護林外 ) センネンボク ( 保護林外 ) 三京林道 土砂置き場 ( すべて外来草本 ) 工事跡の外来植物 1 工事跡の外来植物 2 13

まとめ 木本 4 種 竹 1 種 陸上草本 26 種 水草 1 種の計 32 種の外来植物種が確認された ほとんどの草本は 樹間のギャップ地や林道上 林道工事などで外部から土砂が運び込まれる頻度が高い箇所で 人為的な環境に生育が確認された 森林内で生育している木本はアブラギリ フトモモ クスノキが確認され 数本の高木と 稚樹が確認されるにすぎずなかった 稚樹の生育環境は鬱弊した林内で 発芽後の生育は難しいと考えられること 他に低木ステージの個体は見られなかったことから 在来照葉樹の生育に伴って 衰退段階にあると考えられた 少なくとも分布を広げている様子は見られなかった 人為改変箇所においては 外来植物の対策は以下の理由により現実的ではない印象を受けた 自然植生にとっては不適な場所であること そのため たとえ駆除しても他の外来植生に置き換わってしまうこと 生育状況が面的であり 本数も多いこと 三京林道において 土砂置き場から生育していた植物がすべて外来種であり 持ち込まれた土砂が外来植物のひとつの移入源になっていることが示唆された これ以降移入しうる外来種については 土砂の管理ができればある程度管理できる可能性がある 付録 : 各帰化植物の説明 クスノキ (Cinnamomun camphora L., クスノキ科 ) 常緑の高木で奄美や沖縄地方では栽培または逸出したものとされている 八津野国有林内の 1 か所で植栽された大木を数本 もう 1 か所で稚樹 1 本を確認した コゴメミズ (Pilea microphylla (L.) Liebm., イラクサ科 ) 人家周りなどの比較的湿ったコンクリートの隙間や田畑などに生育する帰化植物 試験堪水後の秋利神川沿いでも見たことがあるが どちらにせよ人為的な影響の強い場所に限って見られる 八津野で見られた個体も堰のコンクリート上であった アフリカホウセンカ (Impatiens walleriana Hook.f., ツリフネソウ科 ) 犬田部岳の山麓林道で確認したが そこは耕作地や民家に近い場所で 栽培品が逸出したものと思われる イリオモテニシキソウ (Euphorbia thymifolia L., トウダイグサ科 ) トウダイグサ科の帰化植物で高さはせいぜい 20cm ほどで たいていは地面をはっている 神屋の未舗装の林道上で確認したが 植物体が小さいので他で見逃した場所もあると思われる 九州以南では市街地などでもときどき見られる オガサワラコミカンソウ (Phyllanthus debilis Klein ex Willd., トウダイグサ科 ) トウダイグサ科の帰化植物で高さは 60cm ほどになる キダチコミカンソウ (P. amarus) と非常によく似ており 区別するには花を見る必要があるが今回は確認できなかった 正確な同定はできていないが 一応ここでは過去に奄美大島での分布情報のあるオガサワラコミカンソウとした 八津野の国有林内の舗装した車道の吹き付け法面で確認した シナアブラギリ (Vernicia fordii (Hemsl.) Airy Shaw, トウダイグサ科 ) 中国原産の落葉高木 西日本各地に帰化しており 場所によっては自然林内に入りこんで群落を形成しているところもある 奄美大島の八津野の国有林内の 2 か所で各 1 5 本を確認した オオフサモ (Myriophyllum aquaticum (Vell) Verdic. アリノトウグサ科 ) ブラジル原産の水生の帰化植物 八津野国有林内の 1 河川の堰の貯水地に繁茂しているのをやや離れた林道上から確認した ネバリミソハギ (Cuphea carthagenensis (Jacq.) Macbr., ミソハギ科 ) ミソハギ科の帰化植物で沖縄県内では以前から普通に見られていたが奄美大島 徳之島ではこれまであまり知られてこなかった ここ数年で奄美大島でも各地で見られるようになったようで 今回も八津野の林道上で広い範囲に繁茂しているのが確認された フトモモ (Syzygium jambos (Linn.) Alston フトモモ科 ) 14

フトモモ科の常緑高木で 琉球列島では自然林内に入り込む数少ない木本性の帰化植物である 八津野の国有林入口の林道沿いで数本見られたが 渓流沿いなどを丹念に調べたらもう少し数は多いかもしれない コバナヒメハギ (Polygala paniculata Linn. ヒメハギ科 ) 別名カスミヒメハギ 琉球列島の畑周りや林道上でふつうに見られる小型の帰化植物 場所は神屋の 1 か所のみであったが 未舗装の林道上で比較的数多く見られた イヌホオズキ sp(solanum sp., ナス科 ) この仲間はイヌホオズキ アメリカイヌホオズキ オオイヌホオズキ ナンゴクイヌホオズキなど種類も多く 花と果実の標本がないと同定が難しい ただどちらにせよ全て南米原産の帰化植物なので 今回は イヌホオズキ sp とした 三京林道の土砂置き場周辺で見られた チリメンナガボソウ (Stachytarpheta dichotoma Vahl., クマツヅラ科 ) 沖縄では普通に見られるクマツヅラ科の帰化植物だが奄美大島 徳之島ではそれほど多くはない 今回は徳之島井之川岳の山麓駐車場周りで見られた ヒメクマツヅラ (Verbena littoralis H.B.K. クマツヅラ科 ) 別名ハマクマツヅラ アレチハナガサやヤナギハナガサに似るがより小型で全体的にやわらかい 荒れ地に点在するが今回は天城岳の舗装林道沿いの一か所で見られた エゴマ (Perilla frutescens (Linn.) Britt. シソ科 ) シソ科の栽培または逸出帰化植物 神屋の林道上の各地で群生していた ただ今回みたものはエゴマ独特の匂いがあまりせず また花期前だったので葉しかみておらずやや同定に不安が残る エゴマで間違いないとは思われるがいずれ花を確認したい オオアレチノギク (Erigeron sumatrensis Retz., キク科 ) ヒメムカシヨモギと並んで日本の暖地ではもっともふつうに見られるキク科の帰化植物 国有林内での群生地は見られなかったが 二か所の林道沿いで見られた コセンダングサ (Bidens pilosa L., キク科 ) 日本の暖地にもっともふつうに見られるセンダングサの仲間で 今回は両島で見られた ただし調査地が 8 月と花期前だったので花の確認はできていない タチアワユキセンダングサ (Bidens pilosa L. var. radiata Sch. Bip., キク科 ) 白色の大きな舌状花をつけるセンダングサの仲間 この仲間はタチアワユキセンダングサやシロノセンダングサ アワユキセンダングサ オオバナノセンダングサなど和名と学名が混乱している分類群だが 今回は タチアワユキセンダングサ としておく 国有林内で見られた場所は少なかったが 両島とも島内どこででも見られる帰化植物である ヒメムカシヨモギ (Erigeron canadensis L., キク科 ) 日本の暖地にふつうに見られる帰化植物 奄美大島 徳之島の国有林内では林道沿いや山麓の空き地などでふつうに見られた ケナシヒメムカシヨモギ (Erigeron pusillus Nutt., キク科 ) ヒメムカシヨモギに酷似しているが 茎の毛がかなり少ないことや 葉が細長いことで区別できる 神屋や八津野の国有林の林道沿いではむしろこのケナシヒメムカシヨモギが多い場所があった ヒロハホウキギク ( Symphyotrichum subulatum (Michx.) G.L.Nesom var. squamatum (Spreng.) S.D.Sundberg, キク科 ) 日本の暖地にふつうに見られる帰化植物 ただし奄美大島 徳之島の国有林内ではそれほど多くはなく 井之川岳の山麓駐車場近くでのみ見られた ベニバナボロギク (Crassocephalum crepidioides S.Moore, キク科 ) 日本の暖地にふつうに見られる帰化植物 ただし奄美大島 徳之島の国有林内ではそれほど多くはなかった カッコウアザミ (Ageratumconyzoides L., キク科 ) 熱帯アメリカ原産の一年生草本 琉球列島には普通に見られる帰化雑草で 今回も奄美大島 徳之島両島の国有林内で見られた 特に未舗装の林道上や空き地に生育し 神屋や八津野の林道 天城岳の山頂広場では群生していた 花の色は白色と淡紫色のタイプがあるが 奄美 徳之島では紫色タイプが多かった ちなみに ムラサキカッコウアザミ (Ageratum houstonianum Mill.) は同じような場所に生育する帰 15

化植物だが今回は見られなかった センネンボク sp(cordyline sp., キジカクシ科 ) いわゆる ドラセナ と総称される植物の仲間でごく稀に栽培品が逸出帰化している 今回も両島で 1 か所ずつ見られたが ともに畑跡に近いなど人為的な影響のある場所であった ハブカズラ (Epipremnum pinnatum (L.) Engl., サトイモ科 ) 奄美以南に帰化するサトイモ科のつる植物 沖縄ではオウゴンカズラ ( ポトス ) などとともに自然林の林縁などで比較的ふうつに見られる 今回は徳之島の犬田部岳の山麓一か所でリュウキュウマツに絡みついたかなり大きな株を確認した ただしそこはアフリカホウセンカやセンネンボクなども近くにあった場所で かつての畑跡も近く 直接的な人為的影響によるものと思われる Juncus sp( イグサ科 ) イグサ科イグサ属の植物で 八津野の林道上で点々と見られた 奄美大島で知られている自生種の中で該当するものがなく 林道上でカッコウアザミなどと混じって生育している様子からもおそらく奄美大島では未確認の帰化植物ではないかと思われる 現在詳しい同定作業中である イネ科 sp( 自生種?)( イネ科 ) 花や果実がなく時期的に同定できないイネ科植物はいくつかあったが 井之川岳山頂広場に群生しているイネ科植物は区別して イネ科 sp とした 帰化植物なのか自生種なのかは今のところ不明である イトメヒシバ (Digitaria leptalea Ohwi, イネ科 ) メヒシバ属の植物 特にメヒシバは日本の暖地にごく普通にいたるところで見られるが イトメヒシバは沖永良部島が北限でそれ以南の琉球列島に自生するとされてきた植物である 近縁種に タイワンイトメヒシバ という変種があるが これも石垣島以南に分布する自生種である 今回の調査で 奄美大島の各地の林道上にかなり広い範囲でこのイトメヒシバが生育していることが確認された 花序の枝が長く硬く独特な感じで 他のメヒシバの仲間とは明らかに異なるので今まで知られていないということは分布していなかったか数が極端に少なかったものと思われる 今回のように普通に見られるようになったのはごく最近のことで 自生種が分布を広げたというより人為的に持ち込まれた国内帰化植物ではないかと思われる なおイトメヒシバかタイワンイトメヒシバなのかは同定が難しいのでまだ確定できていないが 一応ここではイトメヒシバとしておく イヌメヒシバ (Digitaria setigera Roth, イネ科 ) イトメヒシバと同じくメヒシバ属の植物ではあるが これは熱帯産の帰化植物である 奄美大島の 2 か所で確認したが 在来のメヒシバと似ているのでもしかしたら他の場所で見逃した場所があるかもしれない ただしどちらにせよ林道上などの人為的にかく乱された場所にしかない オガサワラスズメノヒエ (Paspalum conjugatum Bergius, イネ科 ) 西表島などでは登山道などに沿ってもっとも奥地にまで入り込んでいる帰化植物であったが 奄美大島 徳之島ともに車の入り込む林道上でのみ見られた タチスズメノヒエ (Paspalum urvillei Steud., イネ科 ) オガサワラスズメノヒエがせいぜい 50cm ほどの小型の植物なのに対し タチスズメノヒエは 1.5m 近い高さにまで達する大型の植物で 株も大きく根もしっかりしており 繁茂するとかなり厄介な帰化植物である ただ車道ぞいや山麓の駐車場 空き地など人為的かく乱の強い場所においてのみ見られる 湯湾岳の山頂近くでも見られたが そこは祠が建てられた場所の空き地内であった ホウライチク (Bambusa multiplex (Lour.) Raeusch. ex Schult. et Schult.f., イネ科 ) 中国原産のホウライチク属の帰化竹類 地下茎が広がらず株立ちとなるいわゆる バンブー類 である 犬田部岳の 5 合目あたりの一つの谷に数株点在しているのが確認されたが おそらくかつてその近くまで耕作されていた名残ではないかと思われる ただその周辺に自然に広がっているような感じも見られたので 早めの除去が必要かもしれない ゲットウ (Alpinia zerumbet (Pers.) B.L.Burtt et R.M.Sm., ショウガ科 ) 犬田部岳の山麓部の 1 か所で見られたが 耕作地や畑跡も近いので栽培逸出個体と思われる 16