カチオン界面活性剤化粧 香粧品分野 ( リポソカードシリーズ ) 1. はじめにライオン スペシャリティ ケミカルズは脂肪酸等からアルキルアミンを経て 第四級塩を製造しています (LIPOQUAD) リポソカード(LIPOTHOQUAD) はそれらを構造別に分類したブランド名です (LIPOQUAD) やリポソカード (LIPOTHOQUAD) は アルキル基の鎖長 アルキル基が持つ不飽和結合の数 N 置換メチルや N 置換アルキルの数 対イオンの構造等 多くの種類の構造を取り揃えています 従って それぞれの用途に応じて 最も適した (LIPOQUAD) リポソカード(LIPOTHOQUAD) を選択することができます また リポソカード (LIPOTHQUAD) はポリオキシエチレン基が窒素原子に結合していますので (LIPOQUAD) などの通常の第四級塩とは異なった溶解性 相溶性をしめすとともに 物理化学的性質も異なります (LIPOQUAD) リポソカード(LIPOTHOQUAD) は陽イオン性界面活性剤であり 低濃度で独特の界面活性を示します その特性を活かして 樹脂 繊維 農薬 金属 紙等 多くの工業界で柔軟仕上剤 帯電防止剤 防食材 乳化剤 衛生用洗剤原料を始め 広い分野で生産工程や製品の改良に利用されています 2. 化学構造 (LIPOQUAD) リポソカード(LIPOTHOQUAD) は次の化学構造を持っております ここで R は脂肪酸から誘導された炭化水素基を示します また Xˉは主に CIˉや CH 3 SO 4ˉなどの対イオンを示しますが その他 Brˉ OHˉ CH 3 COOˉなどの対イオンを持っている四級塩もあります これらの特殊四級塩につきましては当社カタログ 相間移動触媒と特殊四級化合物 を参照願います (LIPOQUAD) 1 モノアルキルトリメチル塩 1
2 ジアルキルジメチル塩 3 トリアルキルモノメチル塩 4 テトラアルキル塩 テトラアルキル型アーカードの詳細は 当社カタログ 相間移動触媒と特殊四級化合物 をご参照下さい 5 モノアルキルジメチルベンジル塩 リポソカード (LIPOTHOQUAD) 6 ポリオキシエチレンアルキルメチル塩 m n はアルキレンオキサイドの付加モル数をあらわします 2
3. 外原規対応製品と成分表 製品名 外原規 2006 成分名称 T-28 塩化ステアリルトリメチル T-30 塩化ステアリルトリメチル T-800 塩化ステアリルトリメチル 16-29 塩化セチルトリメチル 16-50E 塩化セチルトリメチル 18-63 塩化ステアリルトリメチル 22-80 塩化アルキルトリメチル CB-50 塩化ベンザルコニウム液 2C-75 塩化ジココイルジメチル 2HP-75 塩化ジステアリルジメチル 2HP フレーク 塩化ジステアリルジメチル 化粧品表示名称 INCI コード 基本組成 (%) ステアルトリモニウムクロリド STEARTRIMONIUM 28 水 WATER 72 ステアルトリモニウムクロリド STEARTRIMONIUM 30 水 WATER 70 ステアルトリモニウムクロリド STEARTRIMONIUM 50 エタノール ALCOHOL 42.5 水 WATER 7.5 セトリモニウムクロリド CETRIMONIUMU 29 水 WATER 71 セトリモニウムクロリド CETRIMONIUMU 50 エタノール ALCOHOL 36 水 WATER 14 ステアルトリモニウムクロリド STEARTRIMONIUM 63 イソプロパノール ISOPROPYL ALCOHOL 32 水 WATER 5 ベヘントリモニウムクロリド BEHENTRIMONIUM 80 エタノール ALCOHOL 18 水 WATER 2 ベンザルコニウムクロリド BENZALKONIUM 50 水 WATER 50 ジココジモニウムクロリド DICOCODIMONIUM 75.00 イソプロパノール ISOPROPYL ALCOHOL 20.00 水 WATER 5.00 ジステアリルジモニウムクロリド DISTEARYLDIMONIUM 75 イソプロパノール ISOPROPYL ALCOHOL 15 水 WATER 10 ジステアリルジモニウムクロリド DISTEARYLDIMONIUM 95 イソプロパノール ISOPROPYL ALCOHOL 3 水 WATER 2 3
2HT-75 2HT フレーク 塩化ジアルキル ( 14 ~ 18) ジメチル塩化ジアルキル ( 14 ~ 18) ジメチル クオタニウム-18 QUATERNIUM-18 75 イソプロパノール ISOPROPYL ALCOHOL 15 水 WATER 10 クオタニウム-18 QUATERNIUM-18 95 イソプロパノール ISOPROPYL ALCOHOL 3 水 WATER 2 4. 代表性状 モノアルキルトリメチルクロライド : (LIPOQUAD) 製品名主成分溶媒 12-37W 16-29 16-50E C-50 T-28 T-30 T-50 T-800 18-63 22-80 塩化ドデシルトリメチル 塩化セチルトリメチル 塩化セチルトリメチル 塩化ヤシアルキル トリメチル 塩化アルキル (C 16-18) トリメチル 塩化アルキル (C 14-18) トリメチル 塩化アルキル (C 14-18) トリメチル 塩化アルキル (C 16-18) トリメチル 塩化アルキル (C 16-18) トリメチル 塩化ベヘニルトリメチル 水分 (%) 有効成分 (%) ph 37 6.5 色調 (G/H) 外観 (20 ) 澄明淡黄 色液体 消防法 71 29 6.5 6 以下液体非危険物 エタノール 14 50 7.5 液体 IPA 14 50 6 6 以下液体 72 28 6.5 2 以下液体非危険物 70 30 6.5 液体非危険物 IPA 14 50 6.5 8 以下液体 エタノール 7 50 7.5 3 以下液体 IPA 5 63 7 エタノー ル 2 80 6 ペースト フレーク 第二類 引火性固体 モノアルキルジメチルベンジルクロライド : (LIPOQUAD) 水分有効成分色調外観製品名主成分 ph 消防法 (%) (%) (G/H) (20 ) 塩化アルキル ( C8-18) ジメチルベンジル 50 50 7.5 液体非危険物 CB-50 4
ジアルキルジメチルクロライド : (LIPOQUAD) 製品名主成分溶媒 210-50E 210-80E 2C-75 2HT-75 2HT フレーク 2HP-75 2HP フレーク 20-75 塩化ジデシルジメチル 塩化ジデシルジメチル 塩化ジヤシアルキル ジメチル 塩化ジ硬化牛脂アルキル ジメチル 塩化ジ硬化牛脂アルキル ジメチル 塩化ジアルキル ( C 14-18) ジメチル 塩化ジアルキル ( C 14-18) ジメチル 塩化ジオレイルジメチル 水分 (%) 有効成分 (%) ph エタノール 5 50 7.5 エタノール 5 80 7.5 色調 (G/H) 外観 (20 ) 液体 液体 IPA 5 75 7.5 7 以下液体 IPA 10 75 7.5 5 以下ペースト IPA 2 95 5.5 5 以下フレーク IPA 10 75 7.5 5 以下ペースト IPA 2 95 5.5 5 以下フレーク IPA 10 75 5.5 3 以下液体 消防法第二石油類指定可燃物可燃性液体類第二石油類第二石油類指定可燃物可燃性固体類第二石油類指定可燃物可燃性固体類第二石油類 ポリオキシアルキレン化アルキルクロリライド : リポソカード (LIPOTHQUAD) 製品名 主成分 溶媒 有効成分 EO 付加色調外観 ph (%) モル数 (G/H) (20 ) リポソカー 塩化ビスヒドロキシエチル ド C/12 アルキル (C 8-18) メチル IPA 75 2 6.5 11 以下 液体 エソカード 塩化ビス ( ポリオキシエチレン ) C/25 アルキル (C 8-18) メチル 95 以上 15 6.5 11 以下 液体 リポソカー塩化ビスヒドロキシエチルド O/12 オレイルメチル IPA 75 2 6.5 11 以下 液体 消防法第三石油類 レジコート (REDICOTE) 水分有効成分色調外観製品名主成分溶媒 ph (%) (%) (G/H) (20 ) レジコート塩化牛脂アルキルペンタメチルジア IPA 15 50 7.5 10 以下液体 E-11 ンモニウム 消防法 5
5. 物理的 化学的性質 1 化学的性質のような第四級塩型の陽イオン性活性剤は アミンの塩基性が極めて強くなるので その水溶液に水酸化ナトリウムのような強アルカリを添加しても多くの場合は外観の変化はありません これに対し アミンと酢酸の塩であるアミン塩も陽イオン性界面活性剤として働きますが アルカリを添加すると酸とそのアルカリが反応し アミンが遊離しますので 陽イオン性界面活性剤として働きません ここがとの大きな違いです また に 石鹸やアルキルアリルスルホネート等の陰イオン性界面活性剤を添加すると 複分解を起こし 水に不溶な塩を形成して沈殿します そこで 界面活性剤としての働きが失われます 従って 特殊な例を除き陰 イオン性界面活性剤で作られたエマルションを破壊する解乳化剤として用いられることもあります 2 安定性は広範囲の ph で安定です モノアルキル型は硬水中でも比較的安定です しかし ジアルキル型は 硫酸塩やリン酸塩のような 2 価や 3 価の塩が存在すると不溶性の塩を形成し 沈殿を起こす場合があります 通常 は 120 前後で分解が始まり 140~160 以上の温度では約 2 時間で完全に分解します 3 溶解性一般にモノアルキル型のは水に可溶 ジアルキル型のは炭化水素化合物やその他の有機溶剤に可溶 という傾向があります 多くのモノアルキル型のは水に対して比較的広範囲の濃度で溶解します 例えば T-800 は 31 以上の温度で水に溶解します それに対して ジアルキル型のは水には溶解しませんが 水に分散します 2HT-75 は四級塩の濃度として約 7.5% まで水中に安定な分散が可能です はクロロホルム等に対してかなりの溶解性を持ちます モノアルキル型はノルマルヘキサン シクロヘキサン ベンゼン 酢酸エチルには不溶 (0.5% 以下 ) ですが メタノール エタノール イソプロパノールには溶解性 (5% 以上 ) があります ジアルキル型である 2C-75 2HT-75 はベンゼン クロロホルム メタノール イソプロパノール等には 5% 以上溶解しますが アセトンには極僅かにしか溶解しません 4 表面張力低下能陽イオン性界面活性剤であるは優れた表面張力低下能を持ちます 水の表面張力は 71.97mN/ mですから 0.1% のの濃度で表面張力はおよそ半分に下がることになります 従って は陽イオン性湿潤剤 起泡剤 乳化剤などとして有効に働きます 6
表 -1. の表面張力低下能 界面活性剤 表面張力 (mn/m) 水 72.0 12-33 33.0 16-29 34.1 C-50 34.3 2C-75 30.2 2HT-75 37.3 有効成分濃度 :0.1% 測定温度 :25 5 粘度と温度の関係 一般に類は温度が高くなるに従って 粘度が低下する傾向があります 図に製品の温度 粘度曲線を示します 6 比重と温度の関係 一般に類は温度が高くなるに従って 比重が低下する傾向があります 図に製品の温度 比重曲線を示します 7
6. 応用性能 1ヘアケア製品への応用当社の 22-80 はアルキル鎖長のベヘニル分 (C22 分 ) が非常に高く そのためヘアコンディショナーやトリートメントに配合すると しっとり感 に優れた製品が得られます 表に 22-80 および他の四級塩のアルキル鎖長分布を示します また コンディショナーとトリートメントの代表配合例とその評価結果を示します 表 2 アルキル分布の比較アルキル鎖長 22-80 四級塩 A 四級塩 B C16 0 2 2 C18 3 23 9 C20 3 8 15 C22 89 63 72 C24 2 1 0 表 3 配合例アルキル鎖長 コンディショナー処方例配合量 (%) トリートメント処方例配合量 (%) 22-80 1.0 3.0 ステアリルアルコール 3.0 10.0 POE(5) ステアリルアルコール 0.5 0.5 プロピレングリコール 5.0 5.0 香料 色素 適量 適量 精製水 バランス バランス 8
2 殺菌剤への応用 210-80E( ジデシルジメチルクロライド ) は CB-50( アルキル (C8-18) ジメチルベンジルクロライド ) よりも優れた抗菌 殺藻 防微の能力を有し さらに高硬度の条件化においてもアルキルジメチルベンジルクロライドより有効に作用します 表に抗菌性 防微性とその処方例を示します 表 4 第四級塩の殺菌力評価項目 ジデシルジメチルクロライド アルキルジメチルベンジルクロライド 抗菌能 ( 最小発育阻止濃度 ppm) 黄色ブドウ球菌 0.5 0.5 大腸菌 5.0 10.0 緑膿菌 50.0 150.0 フェノール係数黄色ブドウ球菌 1050 375 チフス菌 1052 275 殺藻能 (ppm) クロレラ 0.5 2.0 緑藻類 0.5 2.0 耐硬水性 (CaC03 ppm) [ 試料濃度 :200ppm] 大腸菌 1500 550 防微性 ( 最小発育阻止濃度 ppm) クロカビ 5 20 星芒状白セン菌 5 20 カンジタ 1 20 引用文献日本界面活性剤工業会訳 特別なテトラアルキル化合物の界面活性 微生物作用およびその応用 ( 原邦 Angele,M.H.,Seifen-0le-Fette 101 1975,273) 表 5 配合例 成分 配合量 (%) 210-80E 7.0 レオックス CL-90 5.0 ディゾルビン NA 2.0 カデナックス DMC-W 5.0 水 バランス 9
3 柔軟剤への応用は多くの繊維や布地に対して柔軟性を付与することができます 下図はアルキル鎖長を変化させた場合の綿布地の柔軟効果を測定したものです 点数が高くなるにつれて 柔軟効果は高くなることを示しています このことから 炭素数の増加とともに柔軟効果が高まり 2HT が優れていることがわかります 7. 用途 1 柔軟剤と染色助剤は多くの繊維や布に対して 優れた柔軟効果を付与します 2HT-75 は特に優れた効果を発揮します これは 2HT-75 が正の電荷を帯びているのに対して 布地や繊維が負に帯電していますので の分子は布地や繊維に強固に吸着されることに基づくものです 柔軟効果は特に綿繊維 布に対して高くなります また 染色槽に加えたごく少量の 2C-75 は各種の布地に対する染色助剤となり 染色が難しいナイロン繊維にも強固に染色ができます 2 ヘアケア製品 類のもつ帯電防止能を生かしてヘアコンディショナーやヘアトリートメント等に組み込みますと 髪のパサ ツキを抑え 優れた感触の製品が得られます 3 帯電防止剤はプラスチック類の静電気を除去します の希薄溶液を各種プラスチックに塗布またはスプレーしますと帯電を防止できます また 繊維の帯電防止剤としても使用されます と当社の乳化剤リポノールの組み合わせにより処方が可能となります 10
4 乳化剤 ミネラルオイル 灯油 シリコーン油 殺虫剤成分等を乳化分散するために とリポノールを組み合わせて用 いますと 乳化安定性の良い金属洗浄剤 自動車ワックス 殺虫剤などが得られます 5 衛生剤 殺菌剤 のもつ殺菌力 制菌力を活かして 衛生殺菌製剤が得られます 6 その他 触媒反応試薬 植物成長剤 ( 殺藻剤 ) 排水処理剤 紙用添加剤 カタログに記載した内容は 予告なしに改定することがあります このカタログに記載した情報は 当社の最新の知見に基づくものですが その内容を保証するものではありません 実際の生産現場でご使用頂く際には ご需要家各位の実情に即した入念なご検討 ご吟味の上 ご採用頂きます様 お願い申し上げます このカタログに記載した情報を使用して得た結果や特許上の問題については その責は負いかねますので ご承知おき下さい ご使用に際しては SDS をご参照下さるようお願い申し上げます 作成日 :2018 年 07 月 改定日 :------------- 11