デンマークとの新租税条約

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[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

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6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

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iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

2 租税条約があるか 租税条約が締結されている国の外国法人に対しては 租税条約で国内税法と異なっ て規定されている場合は 租税条約の規定が優先して適用される ( 国租法第 28 条 ) 3 免税所得に該当するか 国内源泉所得に該当しても 国内税法上または租税条約上 課税されるかあるいは 免税されるか

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

A. 受贈者に一定の債務を負担させることを条件に 財産を贈与することを 負担付贈与 といいます 本ケースでは 夫は1 妻の住宅ローン債務を引き受ける代わりに 2 妻の自宅の所有権持分を取得する ( 持分の贈与を受ける 以下持分と記載 ) ことになります したがって 夫は1と2を合わせ 妻から負担付贈

タイ財務省 (Ministry of Finance) は 2015 年 5 月 1 日付の官報にて勅令 (Royal Decree) No. 586, 587 を公布しました これは 国際地域統括本部 (International Headquarters IHQ ) 及び国際貿易センター (In

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き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

PE 帰属所得計算の実務と課題 平成 28 年 7 月 4 日公開草案事例を検討する 平成 29 年 7 月 11 日 ユナイテッド パートナーズ会計事務所代表取締役西村善朗 1. 平成 28 年 4 月 1 日以後開始事業年度に 報告対象となるもの (3 月決算法人である内国法人については 平成

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本報告書の利用についての注意 免責事項 本報告書は 日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) ニューデリー事務所が現地会計事務所 KPMG に作成委託し 2017 年 3 月に入手した情報に基づくものであり その後の法律改正などによって変わる場合があります 掲載した情報 コメントは作成委託先の判断によるも

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KPMG Japan Tax Newsletter 18 October 2017 デンマークとの新租税条約 1. 恒久的施設 ( 第 5 条 )... 2 2. 事業利得 ( 第 7 条 )... 2 3. 配当 ( 第 10 条 )... 2 4. 利子 ( 第 11 条 )... 2 5. 使用料 ( 第 12 条 )... 3 6. 譲渡収益 ( 第 13 条 )... 3 7. 特典を受ける権利 ( 第 21 条 )... 4 8. 相互協議手続 ( 第 24 条 )... 4 9. その他の改正点... 4 10. 効力発生 ( 第 30 条 )... 5 2017 年 10 月 11 日 日本国政府とデンマーク王国政府との間で 所得に対する租税 に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約 ( ) の署名が行われました は 1968 年に発効 したを全面的に改正するもので OECD モデル租税条約及び BEPS 防止措置実施条約 (*2) におおむね沿ったものとなっています 税源浸食及び利益移転 (Base Erosion and Profit Shifting/BEPS) プロジェクトの最終報告書における勧告を反映した 2017 年版 OECD モデル租税条約改正案が 2017 年 7 月 11 日にパブリックコメントに付されています (*2) 正式名称は 税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約 で BEPS プロジェクトの Action 15( 多数国間協定の策定 ) の勧告に基づき策定され 2017 年 6 月 7 日 67 の国 / 地域により署名されました BEPS 防止措置実施条約は BEPS プロジェクトにおける勧告を既存の租税条約に効率的に反映させる仕組みです 日本及びデンマークの両政府は BEPS 防止措置実施条約に署名していますが いずれの政府もを BEPS 防止措置実施条約の対象租税協定として選択していませんので BEPS 防止措置実施条約は及びのいずれにも適用されません このニュースレターでは の主なポイントをご紹介いたします

KPMG Japan tax newsletter/october 2017 2 1. 恒久的施設 ( 第 5 条 ) 第 5 条は 第 4 項 ( 天然資源の探査のための採掘機器等の規定 ) を除き 2017 年版 OECD モデル租税条約改正案第 5 条に沿った規定となります 代理人 PE(Permanent establishment/ 恒久的施設 ) の規定は 問屋 ( コミッショ ネア ) 契約及びこれに類する方策を通じた恒久的施設の地位の人為的な回避を 防止する規定に改正されます 特定の活動を PE から除外する規定は 2017 年版 OECD モデル租税条約改正 案第 5 条のコメンタリーで代替案として示された規定 ( 一定の活動については準 備的又は補助的な性格のものであることを PE から除外する要件としないこととす る規定 ) に近いものとなっています なお 細分化防止規定も導入されます 2. 事業利得 ( 第 7 条 ) 第 7 条は 外国法人 非居住者の支店等 ( 恒久的施設 ) に帰属する事業利得 に対する課税について 本支店間の内部取引を認識し 独立企業原則を適用して恒久的施設に帰属する利得を計算することを規定しています これは OECD モデル租税条約第 7 条 ( 事業利得 )( 恒久的施設に帰属する利得の算定方法として OECD 承認アプローチを採用した規定 ) と同様の規定となっています 3. 配当 ( 第 10 条 ) 配当に係る軽減税率は 以下のように見直されます 受益者 軽減税率 受益者 軽減税率 配当の支払を受ける者が利得の分配に係る事業年度の終了の日に先だつ 12 ヵ月間の期間を通じて 配当支払法人の議決権株式の 25% 以上を所有する法人 10% 配当の支払を受ける者が特定される日を末日とする 6 ヵ月間の期間を通じて 配当支払法人の議決権 ( 配当支払法人がデンマーク法人の場合は その法人の資本 ) の 10% 以上を直接に所有する法人 0% 年金基金 0% 上記以外 15% 上記以外 15% 4. 利子 ( 第 11 条 ) 利子に係る軽減税率は 以下のように見直されます 10% 0% の留意点 利益連動型の利子 ( 債務者若しくはその関係者の収入 売上げ 所得 利得その他の資金の流出入 債務者若しくはその関係者の有する資産の価値の変動若しくは債務者若しくはその関係者が支払う配当 組合の分配金その他これらに類する支払金

KPMG Japan tax newsletter/october 2017 3 を基礎として算定される利子又はこれに類する利子 ) については 10% の軽減税率が適用されます 5. 使用料 ( 第 12 条 ) においては 使用料に係る源泉地国課税が免除されることになります 10% 0% の留意点 においては 産業上 商業上若しくは学術上の設備の使用若しくは使用の権利の対価 船舶又は航空機の裸用船契約に基づいて受ける料金 及び著作権等の譲渡による収入は 使用料の範囲から除かれています 6. 譲渡収益 ( 第 13 条 ) 譲渡収益条項は 以下のように改正されます 一方の締約国の居住者が以下のものの譲渡により取得する収益 他方の締約国における課税権の有無 他方の締約国内にある不動産 他方の締約国内に有する恒久的施設の事業用資産を構成する財産 自由職業を行うため他方の締約国内において使用することができる固定的施設に係る財産 他方の締約国の居住者である法人の株式 (25%/5% テストに該当する場合のみ ) 法人の株式又は同等の持分で その価値の 50% 以上がその譲渡に先立つ 365 日の期間のいずれかの時点において 他方の締約国内にある不動産により直接又は間接に構成されるもの (*2) 国際運輸に運用する船舶又は航空機等なしなし 上記以外の財産なしなし 譲渡者が保有し又は所有する株式が その課税年度中のいずれかの時において その法人の株式の総数の 25% 以上で かつ 譲渡者のその課税年度中に譲渡した株式の総数がその法人の株式の総数の 5% 以上である場合には 25%/5% テストに該当することになります (*2) その株式又は同等の持分が公認の有価証券市場において取引され かつ その一方の締約国の居住者及びその特殊関係者が所有するその株式又は同等の持分の数がその種類の株式又は同等の持分の総数の 5% 以下である場合は 除かれます

KPMG Japan tax newsletter/october 2017 4 7. 特典を受ける権利 ( 第 21 条 ) 2017 年版 OECD モデル租税条約改正案において導入が提案されている 第 29 条 ( 特典を受ける権利 ) に沿って にも第 21 条 ( 特典を受ける権利 ) が設けられ 以下の規定が導入されることになります 特典制限規定 (Limitation on Benefits: LOB) - 配当 利子 使用料について源泉地国における免税規定の適用を受けるためには 適格者テスト等一定の要件を満たすことが必要となります 主要目的テスト (Principal Purpose Test: PPT) - 条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合には 原則として 条約の特典が与えられないこととなります 8. 相互協議手続 ( 第 24 条 ) にも相互協議手続条項はますが 納税者は自己が居住者である締約国の権限のある当局に対してのみ 相互協議の申立てをすることが認められています では 2017 年版 OECD モデル租税条約改正案第 25 条と同様に 相互協議の申立てを両国のいずれかの権限のある当局に対しても行うことができることになるほか 新たに仲裁規定が設けられます 9. その他の改正点には 以下の規定 条項等が新たに設けられています 対象となる者 ( 第 1 条 ) - ハイブリッド エンティティ ( 両国間で課税上の取扱いが異なる事業体 ) に関する規定 関連企業 ( 第 9 条 ) - 対応的調整に関する規定 租税の徴収における支援 ( 第 26 条 ) また 以下の規定は OECD モデル租税条約に沿った規定に改正されています 居住者 ( 第 4 条 ) - 双方居住者 ( 個人以外 ) のタイブレーカールール (2017 年版 OECD モデル租税条約改正案 ) 情報の交換 ( 第 25 条 )

KPMG Japan tax newsletter/october 2017 5 10. 効力発生 ( 第 30 条 ) は 両国においてそれぞれの国内手続 ( 日本においては国会の承認 ) に従って承認された後 その承認を通知する外交上の公文の交換の日の後 30 日目に効力を生ずることになります の主な適用開始時期は以下のとおりです 課税年度に基づいて課される租税 課税年度に基づかないで課される租税 効力を生ずる年の翌年の 1 月 1 日以後に開始する各課税年度の租税 効力を生ずる年の翌年の 1 月 1 日以後に課される租税 KPMG 税理士法人 106-6012 東京都港区六本木 1-6-1 泉ガーデンタワー TEL: 03-6229-8000 FAX: 03-5575-0766 530-0005 大阪府大阪市北区中之島 2-2-2 大阪中之島ビル15F TEL: 06-4708-5150 FAX: 06-4706-3881 450-6426 愛知県名古屋市中村区名駅 3-28-12 大名古屋ビルヂング26F TEL: 052-569-5420 FAX: 052-551-0580 www.kpmg.com/jp/tax info-tax@jp.kpmg.com ここに記載されている情報はあくまで一般的なもので 特定の個人や組織が置かれてい る状況に対応するものではません 私たちは 的確な情報をタイムリーに提供するよう 努めておりますが 情報を受け取られた時点及びそれ以降においての正確さは保証の限りで はません 何らかの行動を取られる場合は ここにある情報のみを根拠とせず プロフェ ッショナルが特定の状況を綿密に調査した上で提案する適切なアドバイスをもとにご判断く ださい 2017 KPMG Tax Corporation, a tax corporation incorporated under the Japanese CPTA Law and a member firm of the KPMG network of independent member firms affiliated with KPMG International Cooperative ( KPMG International ), a Swiss entity. All rights reserved. The KPMG name and logo are registered trademarks or trademarks of KPMG International.