第39回宇宙産業・科学技術基盤部会 

Similar documents
大規模災害等に備えたバックアップや通信回線の考慮 庁舎内への保存等の構成について示すこと 1.5. 事業継続 事業者もしくは構成企業 製品製造元等の破綻等により サービスの継続が困難となった場合において それぞれのパターン毎に 具体的な対策を示すこと 事業者の破綻時には第三者へサービスの提供を引き継

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1


授業計画書

<4D F736F F F696E74202D E291AB8E9197BF A F82CC8A A390698DF42E707074>

[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

11

手法 という ) を検討するものとする この場合において 唯一の手法を選択することが困難であるときは 複数の手法を選択できるものとする なお 本規程の対象とする PPP/PFI 手法は次に掲げるものとする イ民間事業者が公共施設等の運営等を担う手法ロ民間事業者が公共施設等の設計 建設又は製造及び運営

資料 2-4 新型基幹ロケット開発の進め方 ( 案 ) 平成 26 年 4 月 3 日 宇宙政策委員会 宇宙輸送システム部会 1. 新型基幹ロケット開発の進め方の位置づけ本書は 宇宙政策委員会第 15 回会合 ( 平成 25 年 5 月 30 日 ) の資料 1-1 宇宙輸送システム部会の中間とりま

平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

技術士総合監理部門.indd

ISO 9001:2015 改定セミナー (JIS Q 9001:2015 準拠 ) 第 4.2 版 株式会社 TBC ソリューションズ プログラム 年版改定の概要 年版の6 大重点ポイントと対策 年版と2008 年版の相違 年版への移行の実務

<4D F736F F F696E74202D F B8817A93648AC E096BE8E9197BF E >

防衛装備品に関する契約制度の改善方策について 超過利益返納条項付契約 企 業のコストダウン インセンティブを引き出す契約制度を中心に ( 以下 22 年報 告書 という ) において 防衛省における過去の実績価格 見積資料等についてデ ータベースとして蓄積し 有効に分析 活用することが重要であるとさ

J-SOX 自己点検評価プロセスの構築

参考資料 5 用語集 SPC( 特別目的会社 ) SPC(Special Purpose Company) は特別目的会社ともいわれ プロジェクトファイナンスにおいては 特定のプロジェクトから生み出されるキャッシュフローを親会社の信用とは切り離す事がポイントであるが その独立性を法人格的に担保すべく

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

DumpsKing Latest exam dumps & reliable dumps VCE & valid certification king

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化

日本機械学会 生産システム部門研究発表講演会 2015 資料

<4D F736F F F696E74202D A B837D836C CA48F435F >

活動指標及び 活動指標標準仕様書 導入手順書策定数 ( 改定を含む ) 活動見込 31 活動見込 2 活動指標及び 活動指標 RPA 補助事業の完了数 活動見込 31 活動見込 5 活動指標及び AI 実証地域の完了数 活動指標 活動見込 31 活動見

豊橋市 PPP/PFI 手法導入優先的検討方針 効率的かつ効果的な公共施設等の整備等を進めることを目的として 多様なPPP/P FI 手法導入を優先的に検討するための指針 ( 平成 27 年 12 月 15 日民間資金等活用事業推進会議決定 ) に基づき 公共施設等の整備等に多様なPPP/PFI 手

表紙1_4

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド (PMBOK ガイド ) 第 6 版 訂正表 - 第 3 刷り 注 : 次の正誤表は PMBOK ガイド第 6 版 の第 1 刷りと第 2 刷りに関するものです 本 ( または PDF) の印刷部数を確認するには 著作権ページ ( 通知ページおよび目次の前 )

Microsoft Word - PPPPFI手法導入における優先的検討に係る指針

PowerPoint プレゼンテーション

プロジェクトを成功させる見積りモデルの構築と維持・改善 ~CoBRA法による見積りモデル構築とその活用方法について~

スライド 1

Bカリキュラムモデル簡易版Ver.5.0

国立大学法人富山大学 PPP/PFI 手法導入優先的検討要項

Microsoft Word - H290324優先的検討規程(裁定).docx

説明項目 1. 審査で注目すべき要求事項の変化点 2. 変化点に対応した審査はどうあるべきか 文書化した情報 外部 内部の課題の特定 リスク 機会 利害関係者の特定 QMS 適用範囲 3. ISO 9001:2015への移行 リーダーシップ パフォーマンス 組織の知識 その他 ( 考慮する 必要に応

<4D F736F F F696E74202D EF8B638E9197BF82CC B A6D92E894C5816A E >

PowerPoint プレゼンテーション

1. はじめに 1 需要曲線の考え方については 第 8 回検討会 (2/1) 第 9 回検討会 (3/5) において 事務局案を提示してご議論いただいている 本日は これまでの議論を踏まえて 需要曲線の設計に必要となる考え方について整理を行う 具体的には 需要曲線の設計にあたり 目標調達量 目標調達

説明項目 1. 審査で注目すべき要求事項の変化点 2. 変化点に対応した審査はどうあるべきか 文書化した情報 外部 内部の課題の特定 リスク 機会 関連する利害関係者の特定 プロセスの計画 実施 3. ISO 14001:2015への移行 EMS 適用範囲 リーダーシップ パフォーマンス その他 (

< D92E8955C81698D488E968AC4979D816A2E786C73>

が実現することにより 利用希望者は認証連携でひもづけられた無料 Wi-Fi スポットについて複数回の利用登録手続が不要となり 利用者の負担軽減と利便性の向上が図られる 出典 : ICT 懇談会幹事会 ( 第 4 回 )( 平成 27(2015) 年 4 月 24 日 ) 2. 現状 日本政府観光局

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F F696E74202D E9197BF A8F B AF C982C282A282C42E B8CDD8AB B83685D>

MogiExam 専門的な MogiExam は権威的な資料を提供します

目 次 第 1 章資源エネルギー庁が応札者に提示する資料及び応札者が提出すべき資料等 第 2 章評価項目一覧に係る内容の作成要領 2.1 評価項目一覧の構成 2.2 提案要求事項 2.3 添付資料第 3 章提案書に係る内容の作成要領及び説明 3.1 提案書の構成及び記載事項 3.2 提案書様式 3.

付録2 第26号科学衛星(ASTRO-H)プロジェクトについて

提案評価基準

Microsoft PowerPoint - HP用(説明資料).ppt

P00041

資料 H3ロケットの開発状況について

スライド 1

2 採用する受注者選定方式の検討について廃棄物処理施設整備事業で一般的に採用されている受注者選定方式は表 -2のとおりです 受注者選定方式の検討に際しての論点を下記に整理しましたので 採用する受注者選定方式について審議をお願いいたします 本施設に求められる5つの整備基本方針に合致した施設の整備運営に

<4D F736F F D2092B789AA8E EE B193FC974490E693498C9F93A28B4B92F E378DF492E8816A2E646F6378>

Microsoft Word - ③調査仕様書.doc

PowerPoint プレゼンテーション

1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一

RO ( 改修 Rehabilitate- 運営等 Operate) 方式ハ民間事業者が公共施設等の設計及び建 BT( 建設 Build- 移転 Transfer) 方式設又は製造を担う手法民間建設借上方式 2 優先的検討の対象とする事業及び検討開始時期一優先的検討の対象とする事業建築物の整備等に関

第5回 国際的動向を踏まえたオープンサイエンスの推進に関する検討会 資料1-1

「標準的な研修プログラム《

<4D F736F F D20815A96BC8CC389AE91E58A E EE B193FC974490E693498C9F93A297768D802E646F6378>

イノベーション活動に対する山梨県内企業の意識調査

本事業の意義 実効性 ( 見直しの必要性 ) 医療情報データベース基盤整備事業 ( 平成 23 年度 ~ 10 協力医療機関 ) 日本再興戦略 ( 平成 25 年 6 月 14 日 ) 医療 介護情報の電子化の促進 医薬品の副作用データベースシステムについて データ収集の拠点となる病院の拡充や地域連

スキル領域 職種 : ソフトウェアデベロップメント スキル領域と SWD 経済産業省, 独立行政法人情報処理推進機構

< F2D A982E CA817A975C8E5A8C888E5A>

目 次 第 1 審査概要 本書の位置づけ 審査方式 審査体制... 1 第 2 優先交渉権者決定の手順 参加資格審査 基礎審査 加点審査 優先交渉権者の決定... 6 別紙 1 提案内容の審査項目及び評

2. 各検討課題に関する論点 (1) 費用対効果評価の活用方法 費用対効果評価の活用方法について これまでの保険給付の考え方等の観点も含め どう考 えるか (2) 対象品目の選定基準 1 費用対効果評価の対象とする品目の範囲 選択基準 医療保険財政への影響度等の観点から 対象となる品目の要件をどう設

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

資料 2-2 SUT タスクフォース 意見取りまとめ (1) ー SUT 産業連関表の基本構成の考え方ー 2017 年 8 月 24 日国民経済計算体系的整備部会 部会長 SUTタスクフォース座長宮川努 1

Microsoft PowerPoint - 事業実施方針+++

資料 - 3 流山市浄水場運転及び維持管理等業務委託 落札者決定基準 平成 30 年 10 月 流山市上下水道局

公共建築改善プロジェクト(仮)

情報及び情報システムの特性

監視手法に関する調査 分析 我が国の卸電力取引に係る競争状況 不正取引を監視し それを踏まえた対応を検討するための基礎資料として活用するため ( 6) の諸外国の規制当局や取引所に係る調査 分析を行う 調査に当たっては文献 インターネット 各国の規制当局及び取引所の関係者等へのヒアリングを通じ 幅広

実現力を高める方法

項目記載事項必須 1.4 非機能性 更新業務仕様書の 3-4 非機能要件 を踏まえ 提案するシステムに関して 基本的な考え方や方針 アピールポイント等を簡潔かつ明瞭に記述すること 3-4 非機能要件 の (1) から (4) に区分し すべての項目について記述すること 1.5 他システム連携 更新業

参考資料3(第1回検討会資料3)

< F2D91DE E8BE08B8B D8790CF97A78BE082CC>

変更履歴 バージョン日時作成者 変更者変更箇所と変更理由 RIGHTS R ESER VED. Page 2

<4D F736F F F696E74202D A838C F838A B C982C282A282C42E B8CDD8AB B83685D>

13 (参考資料4-5)松下参考人資料(三菱総研)

<90528DB88EBF96E2955B2E786C73>

過去問セミナーTM

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) JST 中間評価 1 の実施要領 平成 29 年 6 月改定 JST 国際部 SATREPS グループ 1. 地球規模課題国際科学技術協力 (SATREPS) プロジェクトの中間評価について SATREPS は JST による研究支援お

バリデーション基準 1. 医薬品 医薬部外品 GMP 省令に規定するバリデーションについては 品質リスクを考慮し 以下の バリデーション基準 に基づいて実施すること 2. バリデーション基準 (1) バリデーションの目的バリデーションは 製造所の構造設備並びに手順 工程その他の製造管理及び品質管理の

PowerPoint プレゼンテーション

新興国市場開拓事業平成 27 年度概算要求額 15.0 億円 (15.0 億円 ) うち優先課題推進枠 15.0 億円 通商政策局国際経済課 商務情報政策局生活文化創造産業課 /1750 事業の内容 事業の概要 目的 急速に拡大する世界市場を獲得するためには 対象となる国 地

公共工事等における新技術活用システムについて 別添 公共工事等に関する優れた技術は 公共工事等の品質の確保に貢献し 良質な社会資本の整備を通じて 豊かな国民生活の実現及びその安全の確保 環境の保全 良好な環境の創出 自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであり 優れた技術を持続的に創出して

医療機器開発マネジメントにおけるチェック項目


Microsoft PowerPoint - 【資料6】業務取り組み

<4D F736F F D208AEE967B8C7689E65F DC58F4994C58EA993AE8D C882B5>

用地補償総合技術業務 における入札参加条件等 2. 業務実績に関する要件 緩和 従来 企業予定主任担当者にもとめる業務実績要件の期間 過去 10 ヶ年 の業務実績 企業予定主任担当者にもとめる業務実績要件の期間 過去 15 ヶ年 の業務実績 したがって H29 契約案件は平成 14 年度以降に完了し

ISO の概要

< EBA817A906C8E D7390AD8E968BC6838C B B E94C5816A5F E786C73>

内部統制ガイドラインについて 資料

新設 拡充又は延長を必要とする理地方公共団体の実施する一定の地方創生事業に対して企業が寄附を行うことを促すことにより 地方創生に取り組む地方を応援することを目的とする ⑴ 政策目的 ⑵ 施策の必要性 少子高齢化に歯止めをかけ 地域の人口減少と地域経済の縮小を克服するため 国及び地方公共団体は まち

15288解説_D.pptx

目次 4. 組織 4.1 組織及びその状況の理解 利害関係者のニーズ 適用範囲 環境活動の仕組み 3 5. リーダーシップ 5.1 経営者の責務 環境方針 役割 責任及び権限 5 6. 計画 6.1 リスクへの取り組み 環境目標

介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

Microsoft PowerPoint - ☆PTポイント・概要(セット)

Transcription:

資料 3 調達制度の在り方の検討について 平成 30 年 5 月 28 日 内閣府宇宙開発戦略推進事務局

宇宙基本計画及び宇宙基本計画工程表 ( 調達制度の在り方関係 ) 抜粋 宇宙基本計画 ( 調達制度関連抜粋 ) ( 平成 28 年 4 月 1 日閣議決定 ) 民間事業者が健全な事業性を維持しながらも 衛星製造等の費用低減に合理的に取り組めるような調達制度の在り方について 諸外国の動向も踏まえつつ 検討を行う ( 内閣府等 ) 宇宙基本計画工程表 ( 平成 29 年度改訂 ) ( 調達制度の在り方の検討 ) ( 平成 29 年 12 月 12 日宇宙開発戦略本部決定 ) 成果目標 : 民間事業者が健全な事業性を維持しながらも 衛星製造等の費用低減に合理的に取り組めるような調達制度の在り方について 諸外国の動向も踏まえつつ 検討する 平成 29 年度末までの達成状況 実績 : 諸外国における調達制度に関する動向 宇宙分野におけるイノベーション創出等に与える効果や責任分担等について調査 検討を行うとともに 確定契約の導入推進や 適切かつ合理的な経費率の検討にあたり その前提となる適正な価格算定を行える体制等の検討に向けた取組を行う 平成 30 年度以降の取組 : 平成 30 年度からは 平成 29 年度までに行った調査 検討を基に 民間事業者が健全な事業性を維持しながらも 衛星製造等の費用低減に合理的に取り組めるような調達制度の在り方について継続的な検討を行うとともに必要な措置を実施する 1

取組の方向について 今年度以降の取組の方向 民間事業者が健全な事業性を維持しながらも 衛星製造等の費用低減に合理的に取り組めるよう 米国等での取組状況調査を踏まえ コスト見積能力とリスク管理能力の向上策を検討し 確定契約の導入 深化について平成 30 年度中に今後の具体的な取組内容を決定し 平成 31 年度から実施する 確定契約の導入 深化に向けた取組の観点 コスト見積能力の向上 リスク管理能力の向上 ( による追加コスト発生の抑制 ) 米国の取組状況調査 を踏まえ 上記 2 つの能力向上に向けて次ページ以降に示す取組方策案の実現可能性を追求し 平成 31 年度から実施する 米国と我が国では法制度が異なり また宇宙開発の人員規模も異なることから 米国の取組を我が国でそのまま適用することは難しい 2

取組方策案について (1) 提案書様式について 衛星開発等での企業への提案要請 において 提案の様式を定型化する 各企業提案におけるコストやリスク等の特徴の比較評価に資するため 政府機関等から企業に提案要請を行った際 従来は各企業それぞれで整理のうえ提案されてきたところ 発注者側が予め評価軸に沿った様式を設定することで 発注者と企業の意識のズレを予防し 各企業の提案を横並びで比較することを可能とする キーとなる開発要素やリスク要因となる要素については 予め詳細な階層までブレイクダウンした様式を提示することで 提案を深堀りして分析することを可能とする DoD や NASA では RFP 様式を定型化している なお 開発プロジェクトにおけるキーとなる要素やリスク要因となる要素については 予め詳細な階層までブレイクダウンした様式を提示し 詳細な情報提供を企業に求めている 入札 企画競争 RFP(Request for Proposal) 等 3

取組方策案について (2) WBS (Work Breakdown Structure 1 ) について プロジェクト間で WBS 様式の共通化を行い WBS に基づいたプロジェクト管理を行う プロジェクト管理の体系化と 経験 知見の蓄積 活用を容易にするため プロジェクトを WBS の要素ごとに整理して管理することで 緻密な管理を可能とする WBS 様式の共通化により プロジェクトの蓄積データの共有 活用を容易にし リスク要因の事前把握やコスト見積もりの比較評価を容易にする ( 共通様式に基づくデータのため過去データを照会しやすい ) DoD や NASA では共通化された WBS 様式を用い プロジェクトの 4 面 ( コスト リスク テクニカルパフォーマンス スケジュール ) を管理している 2 WBS の要素ごとにプロジェクトを管理することで 課題と投入資源等の因果関係を具体的に把握している 過去プロジェクトのデータを共通形式で蓄積し 3 コスト スケジュールの見積や リスク要因の事前把握等に幅広く活用している 1 システム プログラムの全体像を定義するための構造 業務タスクを階層構造の中で相互に関連付ける 2 DoD にて WBS の作り方の枠組みと手順を示すガイドラインを作成 管理している なお 米軍や NASA は調達部門だけで千人規模の人員を抱えており 我が国で米国と同様の取組を行うことは難しい 3 米国では連邦調達法に基づきコスト実績データが政府側に提供されている 4

取組方策案について (3) コスト見積手法について プロジェクトライフサイクルの段階に応じて 統計的なコスト見積手法等の複数の見積手法を活用する プロジェクトの初期段階等 システムの詳細が定まっておらず積上法によるコスト見積が難しい場合でも一定の見積を可能とするため 見積の妥当性評価に資するため ( 複数のコスト見積手法の併用により 客観的な評価 分析を可能とするため ( クロスチェック )) DoD や NASA ではコスト見積にさまざまな手法を用いている ( 類推法 パラメトリック法 積上法等 ) プロジェクトライフサイクルの段階に応じて複数のコスト見積手法を並行して活用している 米国におけるプロジェクトの進捗とコスト見積手法のイメーシ 統計的手法 ( 類推法 ) プロジェクトの進捗 技術開発 システム開発 製作 統計的手法 ( パラメトリック法 ) 積上法 類推法 : 類似したプログラム アイテムとの比較によるコスト見積パラメトリック法 : 類似したプログラム アイテムの特性値 ( 質量 推力 観測分解能 トランスポンダ数等 ) とコストとの数学的関連性に基づくコスト見積 積上法 : 必要な工数や材料を洗い出し 単価を掛けることによるコスト見積 パラメトリック法のイメージ コストコスト見積類似アイテムB 類似アイテム A 求める仕様 類似アイテム C 特性値 5

取組方策案について (4) 技術成熟度の管理について 技術要素について TRL の各レベルの定義を具体的かつ明確にし プロジェクトの段階に応じて一定のレベルまで向上させ 開発リスクを低減する プロジェクトと幹部 プロジェクトと企業が技術開発に取り組む際の共通認識を醸成するため プロジェクト移行後のリスク事象発生を抑えるため NASA の TRL のレベル設定イメージ 実際のフライトモデルが製作され 既に実地での性能が確認されている 実際のフライトモデルが製作され 試験が完了している システムとして実証モデルが実際の使用環境に近い条件の下で試験されている システムとして実証モデルが試験されている 技術要素としての実証モデルが実地の環境と近い条件で試験されている TRL(Technology Readiness Level: 技術成熟度レベル ) 技術開発がどの段階まで進捗したかを定量的に把握するためのツール 技術成熟度を 9 つのレベルに分けて定義している 技術要素としての実証モデルが実験室レベルで試験されている 技術的なコンセプトモデルが定量的に検討されている DoD や NASA では研究開発プロジェクトにおいて技術評価のツールとして活用 プロジェクト化などの開発の段階ごとに一定の基準を満たす必要がある (C)NASA 技術的な概念モデルが提案されている 原理的な可能性が示されている : 出典日本宇宙工業会平成 22 年 6 月第 678 号 6

取組方策案について (5) リスクの特定について 過去プロジェクトに基づいたリスク要因のチェックリストを整備 活用するとともに 感度分析 を行う 過去プロジェクトで得られた知見をリスクに関して整理し チェックリスト化することで 組織内での横断的な共有を推進し リスク識別能力を高めるため 経済状況の変化等 過去プロジェクトでは識別されていないリスク要因まで網羅的に抽出し 前提条件の変化による影響を識別するため 感度分析 (sensitivity analysis) プロジェクト開始時の前提条件 ( 為替 部品供給企業の経営状況 関税 ) が変化した際にどれだけの影響が出るかの分析 プロジェクトの計画が崩れるのは 前提が崩れるからであり どの前提が動いた時にどのような影響があるのかを予め検討することで将来に備えることが出来る DoD や NASA では WBS に基づく過去プロジェクトの蓄積データを用いてチェックリストを整備し リスクの特定を行っている DoD や NASA では プロジェクト開始時の前提条件 ( 為替 部品供給企業の経営状況 関税 ) の変化によるコスト スケジュール等へのリスクを分析するため プロジェクト開始前から終了までの間で繰り返し感度分析を実施している 7

取組方策案について (6) 独立的な評価について プロジェクトチームの外にコスト リスク テクニカルパフォーマンス スケジュールを独立的に評価できる機能を配置する プロジェクト管理において客観的視点を提供するため 経営層が行う進捗管理においてセカンドオピニオンとするため DoD や NASA では Independent Verifier というチームがプロジェクトからは独立して プロジェクトの 4 面 ( コスト リスク テクニカルパフォーマンス スケジュール ) を評価している Independent Verifier のメンバーは会計 要素技術 プロジェクト管理など様々なバックグラウンドを持つ人材から構成され WBS に基づく過去データを用いて試算を行っている プロジェクトの進捗管理時に プロジェクトとは別に上位組織 ( 経営層等 ) に報告しており 経営層はプロジェクト計画の妥当性評価のために プロジェクトの試算と Independent Verifier の試算を比較している ( コストに一定以上の乖離がある場合には プロジェクトの試算結果に再確認が求められる ( 拒否されるわけではない ) ) 8

取組方策案について (7) 企業との対話について プロジェクトの初期段階での民間事業者との対話 意見交換を促進する 世界最高水準の成果創出や国際競争力の強化等を狙った難しいプロジェクトが増える中 プロジェクトの初期段階で民間事業者と積極的に対話 意見交換を重ねることで 最適な提案を引き出しプロジェクトの価値を高めるとともに コスト増減要因やリスク要因の理解を深めるため DoD や NASA では 契約締結後 180 日以内に 関係する企業が集結した会議 (IBR: Integrated Baseline Review) を行って WBS 各要素の実現可能性とそのための資源についてレビューしている ( 元請け下請け問わず参加 ) 9