dark energy: theory?

Similar documents
自然界に思いをはせる ( エーテル = 第 5 元素 ) 地と天は異なる組成 古代ギリシャの四元素説空気 火 木 地も天も同じ組成 古代中国の五行説 火 土土水 ( いずもりよう : 須藤靖 ものの大きさ 図 1.1 より ) 金 水 2

大宇宙

WFMOS で期待されるサイエンス ( ダークエネルギー編 ) 2008 年度光学赤外線天文連絡会シンポジウム 地上大型望遠鏡計画 :2020 年のための決心 2008 年 8 月 22 国立天文台 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻須藤靖 1

ニュートン重力理論.pptx

Microsoft PowerPoint - 公開講座 pptx

宇宙のダークエネルギーとは何か

Microsoft PowerPoint - komaba ppt [互換モード]

宇宙の組成を探る

スライド 1

week2_all

JPS-Niigata pptx

Microsoft PowerPoint - Ppt ppt[読み取り専用]

大阪大学 大学院理学研究科博士前期課程 ( 宇宙地球科学専攻 第 2 次募集 ) 入学試験問題小論文 (2013 年 10 月 26 日 11 時 00 分 ~12 時 30 分 ) 次の [1] から [5] までの 5 問のうちから 2 問を選択して解答せよ 各問には別の解答 用紙を用い 解答用

1/10 平成 29 年 3 月 24 日午後 1 時 37 分第 5 章ローレンツ変換と回転 第 5 章ローレンツ変換と回転 Ⅰ. 回転 第 3 章光速度不変の原理とローレンツ変換 では 時間の遅れをローレンツ変換 ct 移動 v相対 v相対 ct - x x - ct = c, x c 2 移動

それを矛盾なくこの世の問題として解決できるような知恵が必要となる この世 ( 宇宙 ) のはじまり 1 はじまり より前 : 特異点 はじまりとは 時間の区切りの中で 終わりと共に特異な点となる 宇宙のはじまりにおいても この特異点は問題となっている この世のはじまりも 特異点で ビックバンと呼ばれ

Microsoft PowerPoint - komaba ppt [互換モード]

素粒子論的宇宙論基礎 新井真人 ( チェコ工科大学 )

相対性理論入門 1 Lorentz 変換 光がどのような座標系に対しても同一の速さ c で進むことから導かれる座標の一次変換である. (x, y, z, t ) の座標系が (x, y, z, t) の座標系に対して x 軸方向に w の速度で進んでいる場合, 座標系が一次変換で関係づけられるとする

1/12 平成 29 年 3 月 24 日午後 1 時 1 分第 3 章測地線 第 3 章測地線 Ⅰ. 変分法と運動方程式最小作用の原理に基づくラグランジュの方法により 重力場中の粒子の運動方程式が求められる これは 力が未知の時に有効な方法であり 今のような 一般相対性理論における力を求めるのに使

Microsoft PowerPoint - sinra-bansho05_4-cosmparam.ppt

スライド 1

数値計算で学ぶ物理学 4 放物運動と惑星運動 地上のように下向きに重力がはたらいているような場においては 物体を投げると放物運動をする 一方 中心星のまわりの重力場中では 惑星は 円 だ円 放物線または双曲線を描きながら運動する ここでは 放物運動と惑星運動を 運動方程式を導出したうえで 数値シミュ

多次元レーザー分光で探る凝縮分子系の超高速動力学

1/17 平成 29 年 3 月 25 日 ( 土 ) 午前 11 時 37 分第 7 章 : 量子力学とディラック方程式 ( 学部 4 年次向 ) 第 7 章量子力学とディラック方程式 Ⅰ. クライン ゴルドン方程式の完全平方化 素粒子場 : y ( x,t ) の従うクライン ゴルドン方程式は

Xamテスト作成用テンプレート

Curvature perturbation from Ekpyrotic collapse with multiple fields

素粒子物理学2 素粒子物理学序論B 2010年度講義第4回

具合が大きくなり 一般相対性理論 3 に基づく重力の記述が破綻するためである この問題を解決する新しいアプローチとして 1997 年米国プリンストン大のマルダセナ教授は ブラックホールの中心を含めて正しく重力を記述する理論を提唱した この理論によれば ちょうどホログラムが立体図形の情報を平面上に記録

研究機関とサイエンスコミュニケーション①(森田)

第2回 星の一生 星は生まれてから死ぬまでに元素を造りばらまく

H20マナビスト自主企画講座「市民のための科学せミナー」

宇宙の始まりと終わり

ブラックホールを コンピュータ上で 創る 柴田大 ( 京都大学基礎物理学研究所 )

ひも理論で探る ブラックホールの謎

( ) Note Ω m = 1 Ω m : ( ) r-process α 1: 2 32T h(t 1/2 = y) 2 38U(t 1/2 = y) 2 35U(t 1/2 = 7.038

week3_all

スライド 1

( 全体 ) 年 1 月 8 日,2017/1/8 戸田昭彦 ( 参考 1G) 温度計の種類 1 次温度計 : 熱力学温度そのものの測定が可能な温度計 どれも熱エネルギー k B T を

超新星残骸Cassiopeia a と 非球対称爆発

ポリトロープ、対流と輻射、時間尺度

プランクの公式と量子化

観測的宇宙論WS2013.pptx

<91BA8E5290C428938C8B9E91E58A778D918DDB8D CA48B868F8A909495A898418C CA48B868B408D5C208B408D5C92B CD967B939682C982D082C682C282C882CC82A C2082B182CC92988ED282C995B782AF207C208CBB91E C8

Microsoft Word - note02.doc

7 1213

本講義の内容 I. 宇宙に始まりがあると考えられる理由 II. 宇宙はなぜ進化する III. 宇宙の進化と物質世界の進化 IV. 宇宙の未来 V. 宇宙論の進化

線積分.indd

宇宙線のまとめ 3 x 10 10 cm 3 惑星間空間の粒子密度は1 cm 3 数密度 星間空間のいたるところに存在し 地球に飛来する宇宙線はほぼ等方的である GeV 109 ev にピーク 太陽からくる高エネルギー粒子 が存在する 地上付近では宇宙線は大気と衝突するため 宇宙空間から直接来る一次

クレジット : UTokyo Online Education 学術俯瞰講義 2016 河野俊丈 ライセンス : 利用者は 本講義資料を 教育的な目的に限ってページ単位で利用することができます 特に記載のない限り 本講義資料はページ単位でクリエイティブ コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止ライセン

栗まんじゅう問題の考察 篠永康平 ドラえもんの有名な道具の一つに バイバイン というものがある これは液体状の薬品で 物体に 1 滴振り掛けると その物体の個数が 5 分ごとに 2 n 個に増殖する 食べ物の場合は 食べるなどして元の形が崩れると それ以上の増殖はない 5 分ごとに 2 倍に増えるの

Microsoft PowerPoint - H21生物計算化学2.ppt

( ) Note WMAP > 100Mpc [ ] dr ds 2 = c 2 dt 2 a(t) kr 2 + r2 (dθ 2 + sin 2 θdφ 2 ) (1) a(t)

領域シンポ発表

Microsoft PowerPoint - qchem3-9

1/30 平成 29 年 3 月 24 日 ( 金 ) 午前 11 時 25 分第三章フェルミ量子場 : スピノール場 ( 次元あり ) 第三章フェルミ量子場 : スピノール場 フェルミ型 ボーズ量子場のエネルギーは 第二章ボーズ量子場 : スカラー場 の (2.18) より ˆ dp 1 1 =

Taking the Universe s Baby Picture 宇宙誕生時の写真を撮る David Spergel デイビッドスパーゲル Princeton University プリンストン大学

概論 : 人工の爆発と自然地震の違い ~ 波形の違いを調べる前に ~ 人為起源の爆発が起こり得ない場所がある 震源決定の結果から 人為起源の爆発ではない事象が ある程度ふるい分けられる 1 深い場所 ( 深さ約 2km 以上での爆発は困難 ) 2 海底下 ( 海底下での爆発は技術的に困難 ) 海中や

橡ボーダーライン.PDF

1/17 平成 29 年 3 月 25 日 ( 土 ) 午前 11 時 1 分量子力学とクライン ゴルドン方程式 ( 学部 3 年次秋学期向 ) 量子力学とクライン ゴルドン方程式 素粒子の満たす場 y ( x,t) の運動方程式 : クライン ゴルドン方程式 : æ 3 ö ç å è m= 0

PowerPoint Presentation

A

対症療法でないセンター試験改革を - WEBRONZA+科学・環境 - WEBマガジン - 朝日新聞社(Astand)

genron-3

パソコンシミュレータの現状

<4D F736F F F696E74202D D488A778AEE B4F93B982CC8AEE A2E707074>

基礎化学 Ⅰ 第 5 講原子量とモル数 第 5 講原子量とモル数 1 原子量 (1) 相対質量 まず, 大きさの復習から 原子 ピンポン玉 原子の直径は, 約 1 億分の 1cm ( 第 1 講 ) 原子とピンポン玉の関係は, ピンポン玉と地球の関係と同じくらいの大きさです 地球 では, 原子 1

CERT化学2013前期_問題

重力渦動による反重力推進の可能性 ( 電磁型フォワード エンジンの検討 ) ToM Possibility of Antigravity Propulsion by Gravitational Vortex 1. 序論 R.L. フォワードは Guidelines to Antigravity (1

Microsoft PowerPoint - 1章 [互換モード]

余剰次元のモデルとLHC

Hanako-公式集力学熱編.jhd

有限密度での非一様なカイラル凝縮と クォーク質量による影響

木村の物理小ネタ ケプラーの第 2 法則と角運動量保存則 A. 面積速度面積速度とは平面内に定点 O と動点 P があるとき, 定点 O と動点 P を結ぶ線分 OP( 動径 OP という) が単位時間に描く面積を 動点 P の定点 O に

Formulation and constraints on decaying dark matter with finite mass daughter particles

多重宇宙と人間原理

H8.6 P

Microsoft PowerPoint - 科学ワインバー#2

銀河風の定常解

2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように

Microsoft PowerPoint - 第9回電磁気学

eLISAによる重力波コスモグラフィーとHubbleパラメータ問題

Microsoft PowerPoint - aep_1.ppt [互換モード]

PowerPoint プレゼンテーション

(Microsoft Word - \216\221\227\277\201i\220\333\223\256\201jv2.doc)

Microsoft Word

Microsoft Word - 中村工大連携教材(最終 ).doc

: (a) ( ) A (b) B ( ) A B 11.: (a) x,y (b) r,θ (c) A (x) V A B (x + dx) ( ) ( 11.(a)) dv dt = 0 (11.6) r= θ =

<4D F736F F D20824F B834E835882CC92E8979D814690FC90CF95AA82C696CA90CF95AA2E646F63>

自由落下と非慣性系における運動方程式 目次無重力... 2 加速度計は重力加速度を測れない... 3 重量は質量と同じ数値で kg が使える... 3 慣性系における運動方程式... 4 非慣性系における運動方程式... 6 見かけの力... 7 慣性系には実在する慣

Microsoft PowerPoint - siryo7

(203) 相対性理論と量子力学の時間概念の相異と 中論 からの考察 宇宙は 4 次元時空か 3 次元空間か 青木 宏 1. はじめに 2011 年 9 月に国際研究チーム OPERA が光速より速いニュートリノが観測されたと報告し 超光速粒子 の発見として論争になった しかし 残念ながら 実験に不

木村の理論化学小ネタ 理想気体と実在気体 A. 標準状態における気体 1mol の体積 標準状態における気体 1mol の体積は気体の種類に関係なく 22.4L のはずである しかし, 実際には, その体積が 22.4L より明らかに小さい

今回の話の内容 I. 宇宙に始まりがあると考えられる理由 II. 宇宙のインフレーション III. 万年 IV. 宇宙の進化と物質世界の進化 V. 宇宙の未来 VI. 世界は法則に支配されているか


Transcription:

ダークエネルギー 千葉剛 日本大学文理学部

内容 観測 現象論 宇宙の未来 ダークエネルギー以外の可能性 理論 ( 宇宙項問題 )

記号 密度パラメター : Wi = 8pGri/3H8 /3H0 2 特に曲率については WK = -K/a0 2 H0 2 するとフリードマン方程式 H 2 = S 8pGri/3 - K/a 2 より 1= S Wi ダークエネルギーの状態方程式 : w=px/rx

時間と空間のスケール ハッブルの法則 : v=h0r H0 =72 7 km/s/mpc 時間 T=1/ H0 = 136 億年 (@137 億年 )! 距離 L=c/H0 =136 億光年 = 4160 Mpc z までの距離 l < L そこでの H(z) ( 膨張則 ) に依存 宇宙の物質構成による l L

観測

標準光源で距離を測る 明るさ 1 2m 明るさ 4 1m

Ia 型超新星 : z~1 で超新星は暗かった 光度距離は遠い m-m=5log(h0dl) ) + 25-5log(H 5log(H0 Mpc) dl(z)=(luminosity/4pflux) 1/2 =(1+z)/(H0 WK ) ) X sink[h [H0 WK Û0 z dz/h(z)] =(1+z)Ûdz/H(z) (K=0) a 加速 膨張率 H(z) が小さいと距離 dl(z) は長くなる 過去に膨張速度が遅ければよい 現在は膨張速度は加速していることになる 減速 t H(z) 2 /H0 2 = WR (1+z) 4 + WM(1+z) 3 + WX(1+z) (1+z) 3(1+w) WX に敏感 ( ダークエネルギーが宇宙の主成分になるのは最近 )

ln r 輻射 物質 ダークエネルギー ln a

時間を遡る 加速膨張 : 過去の膨張速度は遅い じ大きさ (z) 時間 速膨張の方が過去 = 遠方 = 暗い 現在 減速膨張 : 過去の膨張速度は速い 10

Riess et al.(2004)

WX ( 加速膨張のエネルギー源 ) の直接的証拠

CMB( 宇宙背景輻射 )

CMB: z dec=1100 での角径距離 da(z)= (z)=d/q =(1/H0 WK (1+z)) (1+z)) sink[h [H0 WK Û0 z dz/h(z)] =dl(z)/(1+z) (z)/(1+z) 2 WK と WMh 2 に敏感 (z=1100 は物質が支配的 ) D=H -1 (z=1100)/ 3 q H(z) 2 =H0 2 (WM(1+z)(1+z) 3 +WK (1+z) 2 +WX(1+z) (1+z) 3(1+w) 3(1+w) )

曲率正 : 曲率 0 曲率負 : 15

ダークマターの密度 WMh 2 を固定

Hinshaw et al.(06)

縮退線 WMh 2 =0.12

WMh 2 =0.12 + HST WM = 0.23 WK = 0 ダークエネルギーの間接的証拠 WX =1-WK -WM >0

CMB+2dFGRS+SDSS+SNIa WK=-0.024+0.016(-0.013) w=-1.062+0.128(-0.079)

超新星 宇宙背景輻射 加速膨張する宇宙

現象論

ダークエネルギー : 加速膨張する宇宙 の現象論 加速膨張させるには宇宙定数でなくてもよい w=p/r<-1/3 であればよい : a /a - (r+3p) >0 宇宙定数 ( 位置エネルギー ) なら w=-1 スカラー場なら 位置エネルギー V (f)( 運動エネルギー (df/dt) 2 /2 w=[(df/dt) 2 /2 - V(f)]/[(d )]/[(df/dt)/dt) 2 /2+V(f)] f がゆっくり転がれば w~-1

クインテッセンス X マター ダークエネルギー 宇宙定数を一般的にしよう 千葉 杉山 中村 ( 97): X-マター ( なぞの物質 ) コールドウェル デーブ スタインハート ( 98): クインテッセンス ( 第五元素 ) 火 水 空気 土 第五元素 ( 天上の物質 ) 光 ニュートリノ バリオン ダークマター 第五元素 ターナー : ダークエネルギー ( 99) ( はじめ おかしなエネルギー といっていた )

ダークエネルギーとは? 負の圧力 ( 斥力的 ) を持った宇宙のエネルギー成分 w=p/r -1 なら時間変化する dr/dt = -3H( 3H(r+p) 0 さらに空間的なゆらぎ ( 非一様性 ) も存在する ( なめらかでない ) ダークエネルギーの密度時間一定面空間

ダークエネルギーとは? 負の圧力 ( 斥力的 ) を持った宇宙のエネルギー成分 w=p/r -1 なら時間変化する dr/dt = -3H( 3H(r+p) 0 さらに空間的なゆらぎ ( 非一様性 ) も存在する ( なめらかでない ) 非一様性 = 時間一定面

ダークエネルギーのパラメター 状態方程式 : w=p/r (w=-1: 1: 宇宙定数 ) w =dw/hdt=dw/dlnadw/dlna ダークエネルギーの音速 ( 揺らぎの伝播 cs 2 =dp/ p/dr ): 揺らぎの伝播 w -1 のとき ): Chiba-Sugiyama Sugiyama-Nakamura,MNRAS,289(1997)L5-L7 L7 現在の観測的制限 : w=-1.08+0.20 1.08+0.20-0.180.18 (157 SNIa+WMAP, GOODS,2004) w=-1.023 1.023 0.090(stat) 0.090(stat) 0.054(sys) (71 SNIa+SDSS(BAO), SNLS,2005) w =-1.48+0.90-0.81 0.81 (GOODS,2004)

Riess et al.(2004)

ダークエネルギーモデルの予言 3w(1-w)(1+w) 3w(1-w)(1+w)/(1-2 3(1-w)(1+w) Caldwell-Linder,PRL(05) Chiba, PRD(06) 1+w <0.1 なら s(w )<0.1~0.5 (w<-1 なら w もっと大きいかも )

宇宙の未来

ダークエネルギー :px=wrx: フリードマン方程式 エネルギー方程式の形に変形できる : 有効ポテンシャル : 全エネルギー :

有効ポテンシャル w>-1/3 ( 引力的 ) WK=1-WM-WX<0: 再収縮 w=-1/3 a WK=1-WM-WX<-WX : 再収縮 WM>1 t a -1 a -1 開いた宇宙 a -1-3w 閉じた宇宙 -Wx

w<-1/3 ( 斥力的 ) w<-1 のときは新しい可能性 : ビッグリップ (Big Rip) rx a -3(1+w) 密度も増大! a 膨張率 H も増大 -1 じきに膨張速度が発散し宇宙空間が引き裂かれる : ビッグリップ a t*-t -2/3 1+w a -1-3w

宇宙の運命 -1/31/3 > w -1: 永遠に膨張 w -1/3: 永遠の膨張か再収縮 ( ビッグクランチ ) w<-1: ビッグリップ Chiba,Takahashi, Sugiyama, Classical and Quantum Gravity, vol. 22, 3745-3758 (2005)

宇宙の主な出来事 (-1/3>w> 1/3>w>-1) 1)

宇宙の主な出来事 (w=-3/2) 350 億 -6 千万年 銀河の解体 350 億 -3ヶ月 太陽系の解体 350 億 -30 分 地球の爆発 350 億 -10-19 秒 原子の解離 350 億年 ビッグリップ

ダークエネルギー以外の可能性

観測 : 加速膨張する宇宙を示唆 ダークエネルギーを示唆していない 観測 : 遠方の超新星は明るくなかった dl(z)=(1+z)ûdz/h(z) アインシュタイン方程式の右辺 ( 物質項 ) を変える : 新しい物質の導入 = ダークエネルギー 左辺 ( 曲率項 = 重力 ) を変える : 重力理論を変える

可能な選択肢 ダークエネルギー入りのアインシュタイン重力 L>0 >0 ( 宇宙定数 ) or L=0 でポテンシャルエネルギーのあるスカラー場 ( ミニインフレーション ) or その両方 or ダークエネルギーなしなしの非アインシュタイン重力 両方 ( ダークエネルギー入りの非アインシュタイン重力 )

そもそもの問題は WM <1 WM=rM/rcrit=8pGrM/3H0 2 ~( 物質 )/( 重力 ) : アインシュタイン方程式の右辺と左辺の比 WM =1 にするには 1. ダークエネルギーの導入 : WX =1-WM 2. 観測が間違っている!? X Htrue<H0(=72 7) 7) WMh 2 =0.10 H=32 (!?) dg/dt 0 dg/dt/g<10-2 H0

4. アインシュタインが間違っていた! ディラトン重力 ( 第 5 の力 ) ( スカラーテンソル / ブランスディッケ )(1961-) 5. 高次元モデル (Dvali-Gabadadze Gabadadze-Porrati,2000) 遠方で重力は 5 次元的になる ( 逆 2 乗則から 3 乗則へ ) 5. フリードマンが間違っていた! われわれは低密度領域に住んでいる (Tomita, 1997-) ダークマターのゆらぎによって宇宙の加速膨張は起こせるか? (Kolb et al., 05-) 起こせない!

Tomita,PTP(01) size: 240/h Mpc

4. アインシュタインが間違っていた!? ディラトン重力 ( 第 5 の力 ) ( スカラーテンソル / ブランスディッケ )(1961-) 5. 高次元モデル (Dvali-Gabadadze Gabadadze-Porrati,2000) 遠方で重力は 5 次元的になる ( 逆 2 乗則から 3 乗則へ ) 5. フリードマンが間違っていた! X われわれは低密度領域に住んでいる (Tomita, 1997-) ダークマターのゆらぎによって宇宙の加速膨張は起こせるか? (Kolb et al., 05-) 起こせない!

残った可能性は ダークエネルギー アインシュタイン以外の重力理論

誰がダークエネルギーを注文したか? アインシュタインが宇宙定数 インフレーションは ( もともとを導入は ) 素粒子の統一理論によ しかし加速膨張する宇宙なり予言されたど考えもしなかった ( 静止宇 インフレーションはビッグバ宙を作るため ) ン宇宙論のさまざまな問題 ダークエネルギーは宇宙論を解決した的問題を解決するどころか しかも インフレーションはむしろ問題を作っている ( 宇宇宙の構造の種 ( 密度揺ら宙項問題 : 後述 ) ぎ ) を予言し ある種の それならば ダークエネギー重力波の存在も予言なしの可能性を考えよう

アインシュタイン以外の重力理論 太陽系近傍の実験 ( 惑星の運動 光の伝播 ) で検証できる カッシーニ衛星や月への測距 (Lunar Laser Ranging (Apollo 11)) から アインシュタイン理論からのずれは 0.001% 以下 ( アインシュタインは 99.9999% 正しい!!) 重力定数の時間変化への制限は dg/dt/g<4x10-13 yr -1 13 yr

重力が測られているのは 10-2 cm 1AU 1kpc 1Mpc 1000Mpc 大きな余剰次元? ニュートン理論の変更? アインシュタインの変更?

ダークエネルギーと重力理論の変更の可能性を区別するには : 観測どうしの整合性のチェック たとえば二つの方法で決定されたハッブルパラメター H(z) の比較 弱い重力レンズ : 密度揺らぎ d(z) H 1 (z) 超新星 : dl(z) H2(z) もし アインシュタイン重力が正しい重力理論なら二つは一致するはず ( 重力による密度揺らぎの成長 ) /(1-1/2rcH) ブレーンモデル

重力レンズ超新星 Ishak,Upadhye,Spergel(2005) Knox,Song,Tyson(2005)

宇宙項問題

L(@ 真空のエネルギー )(Zeldovich(67)) アインシュタイン方程式 : 真空 : 最大対称空間 ( ローレンツ不変 ) Tmn = -rl gmn L = 8pG rl

理論物理学者は Lが嫌い 理論の評価 ( ゼロ点振動の和 ) rl ~Ûd 3 k Ñw/2 ~ m 4 pl ~10 93 g/cm 3 ( プランク長さより長い波長の波 ) 反粒子粒子 しかし観測によると : rl < 10-29 g/cm 3 ~10-124 m 4 pl ~ 10-56 m 4 WS (1990 年代前半 ) 理論屋の偏見 :L は ( 何らかの理由で ) ゼロのはず!

理論物理学者は Lが嫌い ( だけど ) 理論の評価 ( ゼロ点振動の和 ) rl ~Ûd 3 k Ñw/2 ~ m 4 pl ~10 93 g/cm 3 ( プランク長さより長い波長の波 ) しかし観測によると : rl ~ 10-29 g/cm 3 ~10-124 m 4 pl ~ 10-56 m 4 WS (1990 年代後半 ) 理論屋の偏見 :L は ( 何らかの理由で ) ゼロのはず! ( とはいえなくなった )

真空も重さを持っている 量子論 ( 差額主義 ): 真空からの差額だけが問題 絶対値は関係ない ( 原子のスペクトル線 ) 一般相対論 ( 平等主義 ): どんな物質でもエネルギー ( 質量 ) を持ってさえいれば重力は感知する 宇宙項問題 : 理論と観測の不一致

ダークエネルギーについてのコメント J.Harvey: : Basically,peaple don t t have a clue as to how to solve this problem. S.Weinberg: : Right now, not only for cosmology but for elementary particle theory, this is the bone in our throat. F.Wilczek: maybe the most fundamentally mysterious thing in all of basic science. E.Witten: would be number 1 on my list of things to figure out.

量子論と重力 量子重力理論が必要 超ひも理論 ひも理論はわれわれの世界 ( 真空 ) を説明するはず : なぜ 4 次元なのか時空の起源質量の起源 物質の起源ダークマターは何かダークエネルギーは何か正しい重力は何か

ひも理論は唯一の世界 ( 真空 ) を 予言するはずだが ストリングランドスケープ問題 (2000-): ひも理論には莫大の数 (~10 300 ~10 1000 ) の真空があるらしい それぞれ違う宇宙 ( 物理定数 真空のエネルギー密度 ) に対応する もしそうなら宇宙定数 (w=-1) がもっともらしい

problem is NP complete(or hard)!

mpl 4 10 300 ~10 1000 密度 rl ~ 10-124 mpl 4 となる真空はいくつかある 0

ひも理論は唯一の世界 ( 真空 ) を 予言するはずだが ストリングランドスケープ問題 (2000-): ひも理論には莫大の数 (~10 300 ~10 1000 ) の真空があるらしい それぞれ違う宇宙 ( 物理定数 真空のエネルギー密度 ) に対応する われわれの宇宙に近い真空はいくつかある (10 124 vs. 10 300 )

でも ランドスケープでいうすべての真空 ( 遠くから見た真空 ) が量子重力理論の正しい真空 ( 近くで見た真空 ) に対応しているとは限らない (Vafa,05-) Swampland( 沼地 )

まとめ 宇宙論的観測 加速膨張する宇宙 加速膨張 ダークエネルギーか重力理論の変更 ( ひも ) 理論からは真空はひとつに決まらない それなら 観測観測から決めればよい それができるのは天文学的観測だけである w=-1 かどうかが重要な情報である アインシュタイン重力以外の可能性はいくつかの観測間の整合性や太陽系近傍の実験から検証できる

これからの課題 宇宙は期待していたようには美しくない ( ように見える ) 通常の物質 4% ダークマター 23% ダークエネルギー 73% この一見美しくない宇宙を理解すること 疑問 ( 宇宙の組成 ) がひとつ解けると 新たな疑問が生じる

知識 無知 理解 知識 体積 無知 理解 知識 知識無知 無知 体積表面積 表面積

19 世紀の暗雲 ケルビン卿 ( ウィリアム トムソン ) (1824-1907) 熱と光の力学理論にかかる 19 世紀の二つの暗雲 (Nineteenth Century Clouds over the Dynamical Theory of Heat and Light) と題する講演を王立研究所で行う (1900 年 ) 1. エーテルが発見されないこと 2. 気体の熱運動に関する法則の破綻 ( エネルギー等分配則 )

20 世紀の暗雲? エーテル ( 特殊 ) 相対性理論 熱 量子力学 20 世紀の暗雲は? 1. ダークマター ( 新粒子 新しい法則 ) 2. ダークエネルギー ( 新しいエネルギー 新しい法則 ) 2. ダークエネルギー これらの問題を追及することで 21 世紀の物理学は進歩する 67

われわれは今岐路に立っている : ダークエネルギーそれとも新しい重力 what is vacuum? what is gravity?

God may be subtle, but he is not malicious. ( 神は老獪だが悪意悪意はない )

ご参考までに