~MATLAB EXPO 2012~ スライディングモード制御の インクジェットプリンターへの適用 2012/10/30 ブラザー工業株式会社畠山雄一 MathWorks Japan 赤阪大介 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 1
本講演の背景 提供している製品 技術の有用性を確認したい スライディングモード制御を実機に適用したい 提唱しているMBDを開発現場で適用したい 製品性能と開発効率を向上させたい スライディングモード制御が適用可能か検証したい MBDを活用し効率的な設計を行いたい 共同プロジェクト 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 2
アジェンダ ブラザーの紹介 インクジェットプリンターの概要 キャリッジ駆動の課題 スライディングモード制御の検証 まとめ 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 3
ブラザーの紹介 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 4
ブラザーの概要 会社情報 (2012 年 3 月 31 日現在 ) ブラザーグループ本社 商号 : ブラザー工業株式会社 創業 :1908 年 4 月 設立 :1934 年 1 月 資本金 :192 億 9 百万円 売上高 :4,974 億円 ( 連結 ) 従業員 :31,314 名 ( 連結 ) 代表 : 代表取締役社長小池利和 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 5
グローバルネットワーク (2012 年 5 月現在 ) BROTHER INTERNATIONAL EUROPE LTD. BROTHER (CHINA) LTD. BROTHER INDUSTRIES, LTD BROTHER INTERNATIONAL CORPORATION (U.S.A.) BROTHER INDUSTRIES (VIETNAM) LTD. BROTHER INTERNATIONAL SINGAPORE PTE. LTD. BROTHER INDUSTRIES (SHENZHEN) LTD. BROTHER TECHNOLOGY (SHENZHEN) LTD. 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 6
市場別売上高の構成比 ( 連結 ) 日本 23.0% アジア他 20.6% 米州 28.7% 欧州 27.6% (2011 年度 ) 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 7
ブラザーの事業と製品 Printing & Solutions プリンティング アンド ソリューションズ事業 プリンター 複合機 ファクス 電子文具 スキャナー Personal & Home パーソナル アンド ホーム事業 家庭用ミシン 刺しゅうミシン 職業用刺しゅうミシン カラーレーザー複合機 モノクロレーザープリンター Machinery & Solution マシナリー アンド ソリューション事業 工業用ミシン 産業機器 薄型インクジェット複合機 ラベルライター 工業用ミシン 工作機械 Network & Contents ネットワーク アンド コンテンツ事業 通信カラオケ コンテンツサービス New Businesses 新規事業 業務用通信カラオケシステム フィットネス向け業務用レッスンシステム Web 会議 シースルー型ヘッドマウントディスプレー 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 8
ブラザーの事業構成 N&C 事業 9.2% その他事業 2.6% M&S 事業 14.2% 工作機械 9.8% 工業用ミシン 4.4% P&H 事業 6.2% P&S 事業 67.8% プリンター複合機ファクス電子文具スキャナー (2011 年度 ) 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 9
11 月上旬新製品発売 DCP-J4210N MFC-J4510N A3 出力 有線 & 無線 LAN 自動両面プリント A3 出力有線 & 無線 LAN 自動両面プリントファクス ADF 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 10
11 月上旬新製品発売 特長 1: サイズの ふつう が変わる A4 用紙横送り給紙実現でクラス最小奥行き290mm 2012 年 7 月 8 日現在 ブラザー調べ 国内インクジェット複合機におけるサイズ比較 ( モバイル除く ) 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 11
11 月上旬新製品発売 特長 1: サイズの ふつう が変わる さらに A3 用紙まで出力可能 A3 用紙を便利に活用 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 12
11 月上旬新製品発売 特長 2: スピードの ふつう が変わる A4 カラー印刷 18 枚 / 分 A4 モノクロ印刷 20 枚 / 分の高速プリント 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 13
インクジェットプリンタの概要 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 14
インクジェットプリンタの印刷の仕組み キャリッジ駆動と用紙搬送を交互に行う 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 15
用紙搬送機構の構成 モータ ローラ制御機構 用紙搬送ローラ 用紙搬送方向 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 16
キャリッジ駆動機構の構成 ベルト キャリッジモータ キャリッジ リニアエンコーダ キャリッジ駆動方向 ベルト キャリッジモータ 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 17
キャリッジ駆動の課題 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 18
キャリッジ駆動の概略 キャリッジ駆動と用紙搬送を交互に行う キャリッジの駆動波形 キャリッジ速度 印字領域 加速領域 減速領域 キャリッジ キャリッジ位置 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 19
プリンタに求められる性能 高速 高画質 小型 製品個体差によるバラツキ抑制 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 20
キャリッジ駆動における課題 高速 加速時間 高画質 速度変動 小型 加速距離 停止精度 ロバスト性 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 21
キャリッジ駆動における課題 高速 キャリッジ速度 加速時間 目標速度の 90% 高画質 速度変動 小型 加速距離 停止精度 加速時間 時間 ロバスト性 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 22
課題への取り組み 高速動作が可能かつロバスト性の高い制御器の開発 スライディングモード制御の実機への適用検証 スライディングモード制御 高いロバスト性 キャリッジ駆動制御 1 ロバスト性を確保可能? 2 ロバスト性確保を前提とした速応性への対応が可能? 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 23
スライディングモード制御の検証 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 24
スライディングモード制御の概要 非線形なフィードバック制御手法の 1 つ 体系化された設計手法 制御の構造がシンプル 外乱やモデルバラツキに対するロバスト性 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 25
スライディングモード制御の検証項目 キャリッジ速度を制御するコントローラ設計 MATLAB/Simulink を用いた設計の容易さを検証 チューニングの容易さを検証 ロバスト性と速応性の両立を検証 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 26
スライディングモード制御の検証項目 キャリッジ速度を制御するコントローラ設計 MATLAB/Simulink を用いた設計の容易さを検証 チューニングの容易さを検証 ロバスト性と速応性の両立を検証 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 27
プラント ( 制御対象 ) モデルの作成 システム同定によりプラントモデルを取得 キャリッジ駆動系 モータ駆動電圧 ( 一定値 ) プラント 実験データ System Identification Toolbox キャリッジ速度 2 次の伝達関数 + 無駄時間でモデル化 キャリッジ駆動系の主要な動特性を捉える 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 28
キャリッジ速度 システム同定結果 ステップ応答の比較 実速度モデル 主な動特性を捉えられている このモデルを設計に用いる 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 29 時間
制御器の全体構成 スライディングモード制御器 + 状態観測器 目標速度 Vref 目標指令 + - 速度偏差 1/s 1/s サーボ機構積分器 ( 積分器 ) スライディングモー Sliding Mode Controller ド制御器 スライディングモード制御器 モータ駆動電圧 実速度 State-Observer 状態観測器 状態推定値 Simulink モデル 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 30
スライディングモード制御器の設計 K と G は正の値を 目標指令 V ref 状態 x 切替関数 線形フィードバック 非線形フィードバック モータ 駆動電圧 u 制御器のパラメータは 3 つ S : 線形フィードバックと切替関数のゲイン K, G : 非線形フィードバックのゲイン 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 31
フィードバックゲイン S の設計 線形な状態フィードバック制御理論に基づき設計可能 Control System Toolbox Sは最適レギュレータ問題を解くことにより設計 (lqrコマンド) 速応性の調整が可能であるため チューニングパラメータとして選択 速応性に関するパラメータとして Q が選択可能である 評価関数を最小化するため 最適性を有する 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 32
設計の容易さ検証に関するまとめ 複雑な計算を MATLAB ツールを用いることにより 容易に解を得ることが出来た System Identification Toolbox を用いてシステム同定モデルを取得した Control System Toolbox を用いて最適レギュレータの解を得ることが出来た スライディングモード制御器がシンプルな構成であることを示した ゲイン サチュレーション 加算器のみで構成される チューニングパラメータは 3 つに絞ることが出来る スライディングモード制御器設計を容易に実現 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 33
スライディングモード制御の検証項目 キャリッジ速度を制御するコントローラ設計 MATLAB/Simulink を用いた設計の容易さを検証 チューニングの容易さを検証 ロバスト性と速応性の両立を検証 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 34
チューニングパラメータ パラメータは 3 つ 各自で役割分担 K: ロバスト性 ( 非線形フィードバックのゲイン ) K を大きくするとロバスト性が向上 Q: 速応性 (S を最適レギュレータで設計する際の重み ) Q を大きくすると速応性が向上 G: チャタリング抑制 ( 非線形関数の勾配 ) G を小さくするとチャタリングの抑制効果向上 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 35 チャタリングとは非線形切替に起因する高周波振動を指す
パラメータ G の設定 G = 0.1 で固定 G は大きいほどチャタリングが発生しやすい キャリッジが高周波振動しないように実験で試行錯誤しながら値を決定した 目標速度 V ref 状態 x パラメータ G モータ駆動電圧 u 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 36
キャリッジ速度 キャリッジ速度 複数台実機のプラントモデル 量産試作機から 5 台抜き出してシステム同定を実施 実験データ 同定モデル応答 設計に用いたメカメカ A メカ B メカ C メカ D メカ E 設計に用いたモデルモデル A モデル B モデル C モデル D モデル E 時間 時間 ロバスト性検証のための適切なモデルを取得 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 37
キャリッジ速度 キャリッジ速度 キャリッジ速度 バラツキに対するロバスト性のシミュレーション検証 モデル 6 個に対して K の効果をシミュレーション検証 ( パラメータ : Q = 5) K = 0.05 K = 5000 設計に用いたモデルモデル A モデル B モデル C モデル D モデル E 時間 バラツキ大 バラツキ小 時間 時間 K を大きくすることによりモデルバラツキを抑制 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 38
キャリッジ速度 キャリッジ速度 キャリッジ速度 バラツキに対するロバスト性のシミュレーション検証 モデル 6 個に対して K の効果をシミュレーション検証 ( パラメータ : Q = 5) K = 0.05 K = 5000 設計に用いたモデルモデル A モデル B モデル C モデル D モデル E 時間 バラツキ大 バラツキ小 時間 外乱抑制効果や速応性の検証は中心値のモデルCを使用 時間 K を大きくすることによりモデルバラツキを抑制 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 39
キャリッジ速度 キャリッジ速度 入力外乱に対するロバスト性のシミュレーション検証 インパルス外乱に対して K の効果をシミュレーション検証 ( パラメータ : Q = 1000) 目標指令 K = 5000 K = 0.05 K が小さい場合定常偏差が発生 外乱による変動が発生 偏差 目標指令 K = 5000 K = 0.05 時間 時間 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 40
キャリッジ速度 入力外乱による速度変動の抑制効果 外乱の影響を見るために定常速度を目標速度に合わせて比較 K = 5000 K = 0.05 目標速度 +10% 目標速度 時間 K を大きくすることにより外乱の影響を抑制 目標速度 -10% 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 41
キャリッジ速度 速応性のシミュレーション検証 パラメータ Q の効果をシミュレーション検証 ( パラメータ : K = 5000) 目標指令 時間 目標指令 Q=5 Q=50 Q=1000 Q=10000 Q を大きくすることにより速応性が向上 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 42
キャリッジ速度 キャリッジ速度 バラツキに対するロバスト性の実機確認 量産試作機から 5 台抜き出して K の効果を実機確認 ( パラメータ : Q = 5) K = 0.05 K = 5000 バラツキ大 バラツキ小 時間 時間 K を大きくすることにより製品個体差バラツキを抑制 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 43
入力外乱を発生させるための実験 キャリッジの進む前方に障害物を設置 1 衝突前 2 衝突中 3 衝突後 障害物 : 柔らかいフィルム状の物質 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 44
キャリッジ速度 外乱による速度変動の抑制効果の実機確認 K が小さい場合定常偏差が発生 外乱に対して K の効果を実機確認 ( パラメータ : Q = 1000) 外乱により変動が発生 時間 目標指令 K = 5000 K = 0.05 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 45
キャリッジ速度 外乱による速度変動の抑制効果の実機確認 外乱の影響を見るために定常速度を目標速度に合わせて比較 目標速度 +10% K = 5000 K = 0.05 目標速度 目標速度 -10% 時間 K を大きくすることにより外乱の影響を抑制 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 46
キャリッジ速度 速応性の実機確認 パラメータQの効果を実機確認 ( パラメータ : K = 5000) 時間 Q を大きくすることにより速応性が向上 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 47
チューニングの容易さ検証に関するまとめ 各パラメータがキャリッジ駆動においても 理論通りの効果があることを示した Kはロバスト性を向上させるパラメータである Qは速応性を向上させるパラメータである 各パラメータの役割が明確なため チューニング容易 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 48
スライディングモード制御の検証項目 キャリッジ速度を制御するコントローラ設計 MATLAB/Simulink を用いた設計の容易さを検証 チューニングの容易さを検証 ロバスト性と速応性の両立を検証 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 49
モータ駆動電圧キャリッジ速度 複数モデルに対するシミュレーション検証 目標仕様達成可能であることを確認 ( パラメータ : Q = 200000, K = 5000) 要求時間内で目標速度の 90% に到達 目標指令目標速度の 90% 設計に用いたモデルモデル A モデル B モデル C モデル D モデル E 時間 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 50
キャリッジ速度 複数台を用いた実機確認 パラメータQの効果の実機確認結果 ( パラメータ : K = 5000) 時間 Q を大きくすることにより振動が発生 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 51
キャリッジ速度 複数台を用いた実機確認 パラメータQの効果の実機確認結果 ( パラメータ : K = 5000) Q=1000 を選択 時間 Q を大きくすることにより振動が発生 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 52
キャリッジ速度 複数台を用いた実機確認 目標仕様を達成可能かを確認 ( パラメータ : Q = 1000, K = 5000) 目標速度の 90% 要求時間 時間 速応性を上げてもロバスト性の劣化なし 要求時間内で目標速度の90% に未到達 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 53
ロバスト性と速応性の両立の検証に関するまとめ シミュレーションにおいてはロバスト性を確保したうえで 速応性が仕様内に収まることを確認した 実機において ロバスト性は十分確保できたが 振動が原因で速応性は仕様を満たせなかった ロバスト性は確保!! 速応性向上が今後の課題! 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 54
まとめ 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 55
スライディングモード制御の検証項目 キャリッジ速度を制御するコントローラ設計 MATLAB/Simulink を用いた設計の容易さを検証 チューニングの容易さを検証 ロバスト性と速応性の両立を検証 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 56
スライディングモード制御の検証結果 キャリッジ速度を制御するコントローラを設計 MATLAB/Simulink を活用して制御器設計を容易に実現 各役割が明確 理論通りのパラメータの効果 ロバスト性は確保 速応性は仕様未達成 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 57
課題と今後の展開 今回検討したスライディングモード制御では速応性向上と振動発生がトレードオフであった 今後は振動の抑制方法や他の制御手法との併用による速応性向上を試みる シミュレーション上で発生しなかった振動が実機では発生した より実機との整合性の高いプラントモデルを構築して シミュレーション検証の精度向上を試みる 非線形フィードバックゲインKの値の大きさによって定常偏差が生じる原因を明確にする 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 58
今回の共同研究で得たこと (MathWorks) スライディングモード制御がプリンタのキャリッジ駆動に対して ロバスト性を発揮することを確認した 各制御パラメータの役割が明確なためチューニングが 比較的容易であることを確認した 実機実験の結果からモデルに立ち戻り どう制御器やプラントを 改善すればよいかの道筋が見えた モデルと実機のギャップや各実機の個体差を見越したシステム 設計がいかに重要であるかを改めて認識した 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 59
今回の共同研究で得たこと ( ブラザー工業 ) お互いの得意分野を持ちよることで短期間でスライディングモード制御理論を実機確認まで行うことができた モデルベースデザインにおけるモデリングの重要性を再認識した 制御理論だけでなく MATLAB ツールの有効的な使い方を習得することができた 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 60
ご清聴ありがとうございました 2012 Brother Industries, Ltd. & The MathWorks, Inc. All Rights Reserved. 61