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スライド 1

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Ⅳ 工事実施要領 1 一般 (1) 工事区分工事の区分は 次のとおりとする 1 工事の場所による区分 ( 別図 (1) 参照 ) a. 滑走路又は過走帯における工事 b. 滑走路ショルダー ( 所定の幅 強度及び表面を有し 滑走路の両側に接する区域をいう 以下同じ ) における工事 c. 着陸帯 (

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5) 輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し これを適確に実施する こと ( 輸送の安全に関する目標 ) 第 5 条前条に掲げる方針に基づき 目標を策定する ( 輸送の安全に関する計画 ) 第 6 条前条に掲げる目標を達成し 輸送の安全に関する重点施策に応じて 輸送の安全を確 保

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参考 本報告書本文中に用いる分析の結果を表す用語の取扱いについて 本報告書の本文中 3 分析 に用いる分析の結果を表す用語は 次のとおりと する 1 断定できる場合 認められる 2 断定できないが ほぼ間違いない場合 推定される 3 可能性が高い場合 考えられる 4 可能性がある場合 可能性が考えられる 可能性があると考えられる

Ⅱ 熊本県防災消防航空隊所属ユーロコプター式 AS365N3 型 ( 回転翼航空機 ) JA15KM 個人所属ロビンソン式 R44Ⅱ 型 ( 回転翼航空機 ) JA344T 航空機同士の接近

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回避操作の有無 自機なし相手機なし (2) 両機の機長及び管制官の口述によれば 両機の飛行の経過は概略次のとお りであった A 機は 平成 25 年 10 月 14 日 上記発生場所において 同空港地上管制席の管制官 ( 以下 グラウンド という ) と通信を設定し 救助訓練の ため 4 名が搭乗し対地高度 60ft( 約 18m) で機首を 南西に向けてホバリングして いた 一方 慣熟飛行で同空 港に飛来していたロビンソン式 R44Ⅱ 型 JA344T( 以下 B 機 とい う ) は 飛行場管制席の管制官 ( 以下 タワー という ) に 離陸後スト レートアウト ( 直線出発 ) する旨伝え タワーからの許可を得て同空港滑走 路 07 を 11 時 00 分ごろ離陸し 空港から約 5nm 東に位置する場外離着陸 場 ( 以下 場外 B という ) に向かった B 機の機長は 直線出発で場外 B に向かう場合 通常 滑走路末端手前付 近まで直進し その後右におよそ 15 度変針しているが このことについて これまでタワーから特に指摘されたことはなかったとしている B 機の機長 は 当日は 他の離着陸機のために早く滑走路を空けようと考え タワーに その意図を伝えることなく離陸直後に右に変針し ホバリング中の A 機直上 を飛行した A 機の機長は B 機の離陸直後から同機を視認していた B 機がまだ高度 が低い段階で自機の方向に変針して接近して来たため危険を感じた しか し 地上にいる隊員への影響を考慮しつつ 最終的には B 機は自機の上空 を通過すると判断し 回避操作は行わなかった B 機との高度差は 地面か ら自機までの高さ18mよりも近いと感じたので15mと航空局に報告しつた なお この時は ロープを下に降ろした状態で 人の吊り上げは行って いなかった 救助訓練中の A 機 (B 機の接近時は人の吊り上げは行っていなかった ) 風向 220 A 機のホバリング位置及び B 機の推定飛行経路 風速 5kt (11 時 00 分の観測値 ) B 機 R44 A 機 AS365 国土地理院撮影の空中写真 (2008 年撮影 ) を使用 管制塔 1000m B 機の機長は 場外 B に向けて飛行中 約 45 度下方の約 60m 先に A 機 を発見した その時点で A 機が救助訓練を行っているように見えたのでそ れ以上上昇してくることはないと考えたこと及び高度差も危険を感じるもの - 2 -

ではなかったことから 衝突の危険はないと判断し 回避操作を行わなかった B 機の機長によると A 機上空通過時の対地高度は 目測で200ft ( 約 61m) 以上はあった それ以下の高度で飛行すると ( ホバリングをしているA 機の ) 手前の建物と接近して危険を感じる また A 機の存在を知っていたら そちらには向かわなかった としている タワーは B 機が離陸直後に滑走路から若干南 ( 右 ) 側に逸脱したことは目視により認識していたが B 機が直進方向から逸脱していることに対する確認及びB 機に対してA 機に関する交通情報の提供は行わなかった その理由として次の4 点を挙げた 1 直線出発はB 機の要求に基づき許可 ( 管制指おおむ示の一つ 以下同じ ) したものなので 概ね滑走路延長線方向に向かうはずであり A 機の訓練場所方向には飛行しないと考えたこと 2A 機のホバリング高度は隣接する建物より低いため 空港の離着陸機が A 機に接近することはないものと考えていたこと 3 本事案発生当時は 他に担当していた 3 機の離着陸機に対する指示等を行っていたこと 4 過去にB 機からの送信が長くなり 他機との交信に影響を受けたことがあり 同様の事態になることを懸念したこと B 機の推定離陸方向 A 機のホバリング位置 タワーの右側から見た A 機及び B 機の位置関係 2.2 死傷者なし 2.3 損壊なし 2.4 気象熊本空港の11 時 00 分の航空気象観測値風向 220 風速 5kt 卓越視程 30km 雲 SKC(SKY CLEAR: 雲がないこと ) 気温 25 露点温度 13 高度計規正値(QNH)30.08inHg 2.5 その他必要な事 (1) 有視界飛行方式による直線出発 (STRAIGHT OUT DEPARTURE) について項航空保安業務処理規程第 5 管制業務処理規程において パイロットから要求があった場合に指示をする用語として STRAIGHT OUT DEPARTURE APPROVED という用語があるが 有視界飛行方式による直線出発の飛行方法については 同処理規程には規定されていない また ICAO( 国際民間航空機関 ) の国際標準 勧告方式及び航空業務方式においても規定されていない 航空局監修によるAIM JAPAN(Aeronautical Information Manual Japan)(AIM JAPAN 編纂協会編集日本航空機操縦士協会発行 ) には 有視界飛行方式による場周経路からの離脱方法として 同書の第 3 章 345 トラフィックパターン に次の説明図と記述がある - 3 -

飛行場によってトラフィックパターン及び進入要領 飛行経路 離脱方法が定められている場合がある 特に規定されていない場合は通常次の方法による (1~5 略 ) 6 場周経路を離脱する場合は 滑走路末端を過ぎた後 そのまま直進するか又は場周経路高度 * に到達した後 左旋回をして45 の方向に離脱する そのほかクロスウインドレッグから外側に 45 の方向に離脱する B 機の機長は 直線出発について 滑走路の全長を使用する場合の離陸滑走開始地点付近から左右それぞれ 15 度程度以内は直線出発の許容範囲という認識を持っていた 航空局航空交通管制部管制課によると 直線出発については具体的な飛行方法及び範囲について規定されていないが 一般的には離陸直後の旋回は行われない という認識で管制を行っている 固定翼 回転翼の区別はない とのことである (2) 有視界飛行方式による直線出発に関する他国の例 FAA( アメリカ連邦航空局 ) による飛行情報及び航空管制方式に関する公式ガイド (Official Guide to Basic Flight Information and ATC Procedures) であるAIMの Chapter 4, Air Traffic Control, Section 3, Airport Operations, 4-3-3. Traffic Patterns には トラフィックパターンからの離脱方法として次の記述がある ( 抄訳 )4. 滑走路末端を過ぎるまで直進を維持する ( 中略 )6. 場周経路を離脱する場合は 直進を維持する または滑走路末端以降において場周経路高度 (pattern altitude) に到達後 ( 左旋回場周経路の場合は左に 右旋回場周経路の場合は右に )45 旋回する (3) 管制圏等における飛行方法と管制指示との関係について航空法第 96 条第 1 項には次のように定められている 航空機は 航空交通管制区又は航空交通管制圏においては 国土交通大臣が安全かつ円滑な航空交通の確保を考慮して 離陸若しくは着陸の順序 時期若しくは方法又は飛行の方法について与える指示に従って航行しなければならない * 場周経路高度 とは ダウンウインド レグにおいて維持すべき飛行高度をいう 3 分析 3.1 気象の関与 なし 3.2 操縦士の関与 あり 3.3 管制官の関与 あり - 4 -

3.4 判明した事項の解 析 (1) 相手機の特定 A 機及びB 機の機長の口述並びに本重大インシデント発生時刻前後における同空港の離着陸機の記録から ホバリング中の A 機直上を低高度で飛行した相手機はB 機と認められる (2) B 機が離陸直後に右に変針したことについて B 機は 自らの要求に基づきタワーから直線出発を指示されていたにもかかわらず 離陸直後に右に変針した B 機が離陸直後に右に変針したのは 同機の機長が 他の離着陸機のために早く滑走路を空けようとしたことによるものと考えられるが B 機の機長は 右に変針することをタワーに伝えていなかった これは同機長が 滑走路の全長を使用する場合の離陸滑走開始地点から左右にそれぞれ 15 程度内は直線出発の許容範囲という解釈をしていたこと及びこれまで同機が離陸後にタワーへの通報をせず滑走路末端手前付近から右に変針することを繰り返していたことが関与した可能性が考えられる 有視界飛行方式における直線出発について具体的な飛行方法及び範囲に関する規定はないが 直線出発を指示した場合には 一般的には離陸直後の旋回は行われないという認識で管制は行われている B 機の機長も 直線出発の場合 普段は滑走路末端手前付近までは直進している 直線出発を指示された操縦士は 少なくとも滑走路末端以前に変針する場合は あらかじめタワーに伝えた上で指示に従う必要があるものと考えられる (3) B 機の機長のA 機発見後の判断 B 機の機長は A 機の交通情報を持っていないにもかかわらず A 機を発見した時点で 救助訓練であるように見えたことから それ以上上昇してくることはないと判断して A 機の直上を通過し 結果的に A 機の機長に危険を感じさせることとなった A 機がB 機を視認していれば A 機は上昇することはないが ホバリングの方向によっては B 機を視認できず 上昇することもあり得るため B 機は A 機を視認した時点で針路を変更するべきであったものと考えられる (4) タワーの対応 B 機の機長は A 機の約 60m 手前に接近するまでA 機に気付かず A 機の存在を知っていたらそちらには向かわなかったと述べている B 機が離陸直後に滑走路から若干南 ( 右 ) 側に逸脱したことを目視により認識していたタワーが B 機が直進方向から逸脱していることに対する確認及びB 機に対してA 機に関する交通情報の提供をしなかったことについては 以下の4 点が考えられる 1 直線出発はB 機の要求に基づき指示したものであることから B 機は概ね滑走路の延長線方向に向かうはずであり A 機の訓練場所方向には飛行しないと考えたこと 2A 機のホバリング高度は隣接する建物より低いため 空港の離着陸機が A 機に接近することはないものと考えていたこと 3 本事案発生当時 タワーは 他に担当していた 3 機の離着陸機に対する指示等も行っていたため B 機の動向を継続的に注視することができなかったと考えられること 4B 機からの送信が長くなり他機との交信に影響を受ける可能性を危惧したこと 管制官は 何らかの理由により航空機が指示どおりに飛行しない場合も - 5 -

あり得ることを念頭に置き 指示どおりでない飛行を認識したときには 改めて適切な指示 助言等を行う必要があるものと考えられる (5) 空港隣接地で訓練を行う場合の通信設定について熊本空港においては A 機はグラウンドと通信設定をして訓練開始 終了の連絡と無線の聴取を行っており その情報はグラウンドからタワーに伝えられている そのため A 機はタワーと交信する航空機の動向を無線聴取により直接把握することができない状況にあった A 機がタワーと交信することでA 機が他機の情報を得やすくなるだけでなく 他機も A 機の情報が得られる可能性もあることから A 機の訓練は タワーと通信設定をして行うことについて検討されることが望ましいものと考えられる (6) 有視界飛行方式による直線出発について有視界飛行方式による場周経路からの離脱方法については 我が国において 航空局監修の AIM JAPANにその記載があるものの明確に規定されたものはない 航空交通管制区又は航空交通管制圏においては 航空機は管制官の指示に従って航行しなければならないが 管制官と操縦士との間で指示の解釈に大きな相違があっては安全な運航に支障となり得るため 航空局は 有視界飛行方式による直線出発の方法を明確にすることについて検討する必要があるものと考えられる (7) 危険度の判定 A 機の機長は B 機の離陸直後から同機を視認しており 危険は感じたものの 地上にいる隊員への影響を考慮し 最終的には高度差を確保し得ると判断して回避操作を行わなかった 一方 B 機の機長は A 機を視認したのは60m 手前付近ではあったが衝突の危険はないと判断し回避操作は行わなかった これらのことは 異常接近の条件である 回避の操作を取る余裕のない状態での空中衝突又は空中接触の危険性がある程度に接近したもの 異常な回避操作により空中衝突又は空中接触を避け得たもの のいずれにも該当しないことから本重大インシデントは異常接近ではなく ICAOの分類基準による No risk of collision に該当すると考えられる ( 別添参照 ) 4 原因本重大インシデントは 直線出発を指示されたB 機が タワーに伝えることなく離陸後すぐに右に変針したため 訓練中の A 機に接近したことによるものと推定される なお 両機ともお互いに相手機を視認した上で回避操作を行っていないことから 本重大インシデントは 異常接近ではなかったものと考えられる - 6 -

別添危険度の判定指針 I C A O PANS-ATM CHAPTER1. DEFINITIONS Aircraft proximity 調査報告書における対応する記述例 区分 説明 Risk of collision The risk classification of an aircraft proximity in which serious risk of collision has existed. きわめて差し迫った衝突又は 接触の危険があった Safety not assured The risk classification of an aircraft proximity in which the safety of the aircraft may have been compromised. 衝突又は接触の危険が発生する 可能性はあったが 急迫した危険 は避けられた No risk of collision The risk classification of an aircraft proximity in which no risk of collision has existed. 衝突又は接触の危険はなかった Risk not determined The risk classification of an aircraft proximity in which insufficient information was available to determine the risk involved, or inconclusive or conflicting evidence precluded such determination. 危険度についての明確な判断は 困難であった 注 :PANS-ATM16.3.2 では 航空機の接近に関するインシデント調査の中で 危険度を判定し 判定の区分は上記によって行われるべきであるとしている - 7 -