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2009 年 11 月 16 日版 ( 久家 ) 遠地 P 波の変位波形の作成 遠地 P 波の変位波形 ( 変位の時間関数 ) は 波線理論をもとに P U () t = S()* t E()* t P() t で近似的に計算できる * は畳み込み積分 (convolution) を表す ( 付録

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07 別冊③三次元差分法を用いた長周期地震動の推計手法

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地下構造モデル作成の考え方

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咲洲地区における 地震動作成方法

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強震動委員会中原恒 ( 東北大学大学院理学研究科 ) 震源から放射された地震動の振幅は, 通常は伝播距離とともに減衰する. 波面が広がることに起因する部分は幾何減衰と呼ばれる. 幾何減衰を除いた部分は, 伝播距離あるいは伝播時間とともに指数関数的に減衰するものと表現され, その減衰を特徴づける量が

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3.2 長周期地震動予測に資する地下構造モデルの検討等 (1) 研究の内容 (a) 研究の題目長周期地震動予測に資する地下構造モデルの検討等 (b) 担当者 所属機関 役職 氏名 独立行政法人防災科学技術研究所 研究領域長 藤原広行 独立行政法人防災科学技術研究所 主任研究員 森川信之 独立行政法人

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177 箇所名 那珂市 -1 都道府県茨城県 市区町村那珂市 地区 瓜連, 鹿島 2/6 発生面積 中 地形分類自然堤防 氾濫平野 液状化発生履歴 なし 土地改変履歴 大正 4 年測量の地形図では 那珂川右岸の支流が直線化された以外は ほぼ現在の地形となっている 被害概要 瓜連では気象庁震度 6 強

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目 次 要旨 3 1. はじめに 4 2. SPGAモデルおよびSMGAモデルから計算される地震動の特徴 震源モデル 地震動算定条件 地震動算定結果 6 3. 南海トラフの地震を対象としたSPGAモデルの設定 対象とする地震 SPGAのパラ

これまで観測記録に基づく十分な議論がなされてきているとはいえない 本研究では 極大地震動の観測された IWTH25 を対象として 地表 / 地中のスペクトル比を上下動および水平動に対して解析し 強震時及び弱震時または強震前後における表層地盤の震動特性の違いとそのような違いを生じさせた地盤の弾性波速度

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電力 4) では, 敷地直下の褶曲構造による影響が指摘されている. 本論文ではまず柏崎刈羽原子力発電所内で観測された強震動の特徴を整理した上で, 上述とは異なる解析手法であるボクセル有限要素法を用いた強震動シミュレーションの結果を示す. さらに, 使用した三次元地下構造モデルの特徴の整理 改良を進め

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日本建築学会技術報告集第 19 巻第 42 号, ,2013 年 6 月 AIJ J. Technol. Des. Vol. 19, No.42, , Jun., 2013 軟弱地盤に建つ超高層 RC 造集合住宅の地震応答評価と被害との対応 2011 年東北地方太平洋沖地震

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例 e 指数関数的に減衰する信号を h( a < + a a すると, それらのラプラス変換は, H ( ) { e } e インパルス応答が h( a < ( ただし a >, U( ) { } となるシステムにステップ信号 ( y( のラプラス変換 Y () は, Y ( ) H ( ) X (

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Taro-H22年度最終報告書巻末資料

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資料 1 南海トラフの巨大地震モデル検討会 第 6 回会合 深部地盤モデルの作成の考え方 平成 23 年 12 月 12 日

1. 震度分布の推計方法 中央防災会議 (2003) 1 は 強震波形計算によって求められた地表の震度と経験的手法によって求められた地表の震度を比較検討し 強震波形計算による結果を主に それにより表現できていないところについては 経験的手法による結果も加えて 最終的な震度分布を求めている これらの手法については これらを見直すほどの知見の蓄積が十分でないことから 本検討会の震度計算においても 同様の手法により震度分布を推計することとする ( 図 1.1) 震源断層モデル 強震波形計算による手法波形計算工学的基盤上の波形及び震度 経験的手法距離減衰式工学的基盤上の最大速度 浅部における震度の増幅 地表の震度 浅部における最大速度の増幅 地表の最大速度 地表の震度 主として強震波形計算結果表現できないところは 経験的手法の結果 震度分布 図 1.1 震度分布の求め方 ( 概要 ) 1 中央防災会議 (2003): 東南海 南海地震等に関する専門調査会 ( 第 16 回 ) 東南海 南海地震に関する 報告 1

2. 強震波形計算による手法 強震波形計算では 中央防災会議 (2003) と同様に統計的グリーン関数法を用いる 統計的グリーン関数法は 入倉 他 (1997) 2 による重ね合わせ手法に基づく経験的グリーン関数法を基本とする 震源断層から計算地点の地震基盤までについては伝播過程における減衰 地震基盤から工学的基盤までについては 重複反射理論による増幅を考慮して 工学的基盤上における水平 2 成分と上下成分の波形を計算する この 3 成分の波形より工学的基盤の震度を計算し さらに浅部地盤 3 における増幅を考慮して地表の震度を計算する 震源断層から計算地点に至る地盤構造については 地震基盤 (Vs=3km/s 相当層 ) 以深 地震基盤から工学的基盤 (Vs=0.35~0.7km/s 相当層 ) 上面 および工学的基 盤以浅の 3 つの領域に分割し このうち 工学的基盤以浅の地盤モデルを 浅部地盤 モデル 地震基盤から工学的基盤までの地盤モデルを 深部地盤モデル と呼ぶ ( 図 2.1) 計算地点 浅部地盤モデル 工学的基盤 (Vs=0.35~0.7km/s 相当層 ) 深部地盤モデル 地震基盤 (Vs=3km/s 相当層 ) 地震基盤以深の構造 断層面 ( プレート面 ) 図 2.1 地盤構造の概念 2 入倉孝次郎 香川敬生 関口春子 (1997): 経験的グリーン関数を用いた強震動予測方法の改良, 日本地震学会講演予稿集, 1997 年度秋季大会, B25. 3 南海トラフの巨大地震モデル検討会 第 4 回会合資料 2 表層地盤モデルの作成の考え方 2

1 地震基盤における波形の計算対象とする断層面を小断層に分割し その小断層毎に要素波形を作成する グリーン関数としては ω -2 則に従う震源スペクトル (Boore,1983) 4 に経験的な位相特性を与えたものを用いる 震源から地震基盤までの速度構造としては 計算領域下の平均的な速度構造を用 いることとし 各要素から計算地点下の地震基盤に伝播する時間 および地震基盤 における入射角を計算する 計算地点 Vs=0.7km/s Vs=0.35km/s 工学的基盤 Vs=3km/s 地震基盤 図 2.2 地震基盤における要素波形の計算断層面 ( プレート面 ) 図 2.2 地震基盤における波形の計算 4 Boore, D. M.: Stochastic simulation of high-frequency ground motions based on seismological models of the radiation spectra, Bull. Seism. Soc. Am., Vol. 73, 1983, pp.1865-1894. 3

2 工学的基盤における波形の計算地震基盤における要素波形に対して 工学的基盤までの地盤構造による増幅を考慮するため SH 波については斜め入射の SH 波動場 SV 波については P-SV 波動場の応答計算を行い工学的基盤の波形を計算する 工学的基盤上の3 成分の波形より 計測震度を計算する 計算地点 Vs=0.7km/s Vs=0.35km/s 深部地盤 Vs=3km/s 図 2.3 工学的基盤における波形計算 断層近傍における強震動の補正 統計的グリーン関数法は遠方近似に基づいているので 幾何学的減衰は震源距離 R の逆数 1/R で表現されるが 震源との距離が近い場合は地震波動の振幅が過大評価される 地震波振幅の幾何減衰は 遠方では 1/R で近似されるが 断層に近いところでは 1/(R+C) でよりよい近似となることが解析的に示されている このことは経験的な手法でも同様の形で表現されている このため 中央防災会議 東海地震に関する専門調査会 と同様に 幾何学的減衰として 1/(R+C) を導入し C の値を調節することで経験的な手法と平均的に一致するようにした 4

3. 深部地盤モデル作成の考え方 (1) 中央防災会議の従来のモデル中央防災会議 (2001 5 2003 6 2006 7 ) は 強震波形計算を行うために 深部地盤の速度構造については いくつかの領域での弾性波探査 常時微動探査により得られている成果から 地震基盤および工学的基盤の深さの平均的な分布を内挿により求めた その際 重力異常 深層ボーリングデータ及び地質構造を参照した 参考資料 1 に各速度層の代表値と上面深度分布図を示す (2) 文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会 8 のモデル文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会 ( 以下 地震調査委員会 という ) は 震源断層を特定した地震の強震動予測手法 ( レシピ ) 9 をとりまとめ レシピを用いた強震動評価 (16 地震 ) 及び検証 (3 地震 ) を実施してきた 強震動評価に用いる深部地盤構造モデルは 物理探査資料 地形 地質資料 深層ボーリング資料等より速度層ごとの深度コンター図を地域ごとに作成していた ( 参図 2.1 参照 ) その後 2009 年に地震調査委員会 8 は 地震動予測地図作成の一環として実施してきた強震動評価のために全国深部地盤構造モデルを構築した この全国深部地盤構造モデルは 上述の強震動評価及び検証を実施した領域のモデル さらに既往の深部地盤構造モデルも取り込んで全国の速度層ごとの深部コンター図を作成したものである ( 参表 2.1 参図 2.2~2.3 参照 ) 作成に際しては 地震観測記録による確認及び調整を行っている なお この全国深部地盤構造モデルは 独立行政法人防災科学技術研究所が運営している地震ハザードステーション (J-SHIS) 10 によって Web 公開されている (3) 本検討会の深部地盤モデル本検討会の強震波形計算においては 最新の資料を活用して全国を統一して作成した地震調査委員会の全国深部地盤構造モデルを用いることとする なお 今後の強震波形計算結果の震度分布を求めた際に歴史地震の震度分布や近年の観測記録等との整合性を点検し 必要であれば本検討会において深部地盤モデルの一部修正を行うこととする その際は 地震調査委員会と連携して実施することとする 5 中央防災会議 (2001): 東海地震に関する専門調査会 ( 第 11 回 ) 資料 3-1 関連資料 6 中央防災会議 (2003): 東南海 南海地震等に関する専門調査会 ( 第 16 回 ) 参考資料 2 地盤構造に関する資料 7 中央防災会議 (2006): 東南海 南海地震等に関する専門調査会 ( 第 26 回 ) 地盤構造に関する資料 8 文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会 (2009): 全国地震動予測地図 - 地図を見て私の街の揺れを知る - 技術報告書 2009 年 12 月 9 文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会 (2008): 震源断層を特定した地震の強震動予測手法 ( レシピ ) ( 平成 20 年 4 月 11 日更新 ) 10 ( 独 ) 防災科学研究所 : 地震ハザードステーション (J-SHIS) http://www.j-shis.bosai.go.jp/ 5

表 3.1 地震調査委員会の全国深部地盤モデルの層構造 番号 P 波速度 S 波速度密度 Q 値 (km/s) (km/s) (g/cm 3 ) (Qs) 1 1.6 0.35 1.85 60 2 1.6 0.40 1.85 60 3 1.7 0.45 1.90 60 4 1.8 0.50 1.90 60 5 1.8 0.55 1.90 60 6 2.0 0.60 1.90 100 7 2.0 0.65 1.95 100 8 2.1 0.70 2.0 100 9 2.1 0.75 2.0 100 10 2.2 0.80 2.0 100 11 2.3 0.85 2.05 100 12 2.4 0.90 2.05 100 13 2.4 0.95 2.10 100 14 2.5 1.00 2.10 150 15 2.5 1.1 2.15 150 16 2.6 1.2 2.15 150 17 2.7 1.3 2.20 150 18 3.0 1.4 2.25 150 19 3.2 1.5 2.25 150 20 3.4 1.6 2.30 150 21 3.5 1.7 2.30 150 22 3.6 1.8 2.35 150 23 3.7 1.9 2.35 150 24 3.8 2.0 2.40 200 25 4.0 2.1 2.40 200 26 4.0 2.1 2.40 200 27 5.0 2.7 2.50 200 28 4.6 2.9 2.55 200 29 5.0 2.7 2.50 200 30 5.5 3.1 2.60 300 31 5.5 3.2 2.65 300 32 5.7 3.3 2.70 300 33 6.0 3.4 2.75 300 6

参考資料 1 中央防災会議による深部地盤モデル 中央防災会議 東南海 南海地震等に関する専門調査会 は 東南海 南海地震の 強震動の検討を行うために 屈折法及び反射法探査結果 ボーリング孔における PS 検層結果 微動アレイ探査結果などを用いて 深部地盤モデルを作成している 参表 1.1 中央防災会議 (2003) 6 による深部地盤の各速度層の閾値及び代表値 層 P 波速度 (km/s) S 波速度 (km/s) 密度 (g/cm 3 ) 1 2.0-2.8 0.67-1.0 2.0 (2.1) (0.7) 2 2.8-3.8 1.0-1.8 2.1 (3.1) (1.4) 3 3.8-5.3 1.8-2.6 2.6 (4.7) (2.4) 4 5.3 以上 (5.5) 2.6 以上 (2.9) 2.6 7

第 1 層上面深度 ( 代表速度 :0.7Km/s) 第 2 層上面深度 ( 代表速度 :1.4km/s) 第 3 層上面深度 ( 代表速度 :2.4km/s) 第 4 層上面深度 ( 代表速度 :2.9km/s) 参図 1.1 中央防止会議 (2006) 7 による深部地盤の各速度層の上面深度分布図 8

参考資料 2 文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会による強震動評価の評価領域及 び深部地盤全国モデル 地震調査委員会は 参図 2-1 に示す評価領域に対して強震動評価及び検証を行うために 物理探査資料 地形 地質資料 深層ボーリング資料等をもとに深部地盤構造モデルを作成した さらに これらの成果及び他の研究者による成果 そして新たな物理探査結果等をもとに 全国を統一した深部地盤構造モデルの構築を行った この深部地盤構造モデルは 地震観測記録をもとに モデルの修正を行っている 11 参図 2.1 地震調査委員会による強震動評価の評価領域 11 11 地震調査研究推進本部ホームページより http://www.jishin.go.jp/main/p_hyoka03.htm 9

参表 2.1 各地域のモデルを取り込んだ全国地震動予測地図のための深い地盤構造モデルの速度構造地震調査委員会 (2009) 8 Vp:P 波速度 (km/s) Vs:S 波速度 (km/s) ρ: 密度 (g/cm 3 ) Q: 内部減衰 参図 2.2 全国モデルにおける堆積層 地震基盤以深の速度構造の模式図地震調査委員会 (2009) 8 10

参図 2.3 深い地盤構造のモデルの各層上面深さ分布 ( その 1) 地震調査委員会 (2009) 8 11

参図 2.3 深い地盤構造のモデルの各層上面深さ分布 ( その 2) 地震調査委員会 (2009) 8 12

参図 2.3 深い地盤構造のモデルの各層上面深さ分布 ( その 3) 地震調査委員会 (2009) 8 13

参図 2.3 深い地盤構造のモデルの各層上面深さ分布 ( その 4) 地震調査委員会 (2009) 8 14

参図 2.3 深い地盤構造のモデルの各層上面深さ分布 ( その 5) 地震調査委員会 (2009) 8 15