Taro-初稿訂正(五所川原中央小 

Similar documents
Microsoft Word - 9概要(多保田春美).docx

資料5 親の会が主体となって構築した発達障害児のための教材・教具データベース

Taro-自立活動とは

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

英語科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 指導者 : 津田優子 1. 指導日時平成 30 年 2 月 2 日 ( 金 ) 公開授業 Ⅱ(10:45~11:35) 2. 指導学級 ( 場所 ) 第 2 学年 3 組 ( 男子 20 名女子 17 名計 37 名 ) 3. 場所京都教育大学附属桃山中

H30全国HP

24 京都教育大学教育実践研究紀要 第17号 内容 発達段階に応じてどのように充実を図るかが重要であるとされ CAN-DOの形で指標形式が示されてい る そこでは ヨーロッパ言語共通参照枠 CEFR の日本版であるCEFR-Jを参考に 系統だった指導と学習 評価 筆記テストのみならず スピーチ イン

単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

今年度は 創立 125 周年 です 平成 29 年度 12 月号杉並区立杉並第三小学校 杉並区高円寺南 TEL FAX 杉三小の子

No_05_A4.ai

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

3 情緒障害 選択性かん黙等のある児童生徒については 情緒障害の状態になった時期や その要因などに応じて中心となる指導内容が異なります 例えば カウンセリング等を中心とする時期 緊張を和らげるための指導を行う時期 学習空白による遅れなどを補いながら心理的な不安定さに応じた指導を行って自信を回復する時

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

Taro-H29結果概要(5月25日最終)

瑞浪市調査結果概略(平成19年度全国学力・学習状況調査)

010国語の観点

平成 30 年 6 月 8 日 ( 金 ) 第 5 校時 尾道市立日比崎小学校第 4 学年 2 組外国語活動 指導者 HRT 東森 千晶 JTE 片山 奈弥津 単元名 好きな曜日は何かな? ~I like Mondays.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 本時のポイント

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

file:///D:/Dreamweaber/学状Web/H24_WebReport/sho_san/index.htm

表紙.indd

難聴児童の伝える力を 高めるための指導の工夫 -iPadを活用した取り組みを通して-

平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

小学校国語について

Microsoft Word - 全国調査分析(H30算数)

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

(Microsoft Word - \207U\202P.doc)

いろいろな衣装を知ろう

実践 報告書テンプレート

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

tokusyu.pdf

gggggggggggggggggggggggggggggggggggggkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkk

(4) ものごとを最後までやりとげて, うれしかったことがありますか (5) 自分には, よいところがあると思いますか

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

Microsoft PowerPoint - syogaku [互換モード]

ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県和歌山市 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

2 調査結果 (1) 教科に関する調査結果 全体の平均正答率では, 小 5, 中 2の全ての教科で 全国的期待値 ( 参考値 ) ( 以下 全国値 という ) との5ポイント以上の有意差は見られなかった 基礎 基本 については,5ポイント以上の有意差は見られなかったものの, 小 5 中 2ともに,

KABC Ⅱ 検査報告書作成日 : 年月日 1 氏名 : 男 女検査年月日 : 年月日生年月日 : 年月日 ( 歳 ) 検査者 : 学校 学年 : 2 相談内容 ( 主訴 ) 3 検査結果 1) 全般的な知的水準 ( 認知総合尺度 ) および習得度の水準 ( 習得総合尺度 ) 2) 認知面および習得

1. 調査結果の概況 (1) の児童 ( 小学校 ) の状況 < 国語 A> 今年度より, ( 公立 ) と市町村立の平均正答率は整数値で表示となりました < 国語 B> 4 国語 A 平均正答率 5 国語 B 平均正答率 ( 公立 ) 74.8 ( 公立 ) 57.5 ( 公立 ) 74 ( 公立

H

小学校の結果は 国語 B 算数 A で全国平均正答率を上回っており 改善傾向が見られる しかし 国語 A 算数 B では依然として全国平均正答率を下回っており 課題が残る 中学校の結果は 国語 B 以外の教科で全国平均正答率を上回った ア平成 26 年度全国学力 学習状況調査における宇部市の平均正答

(Microsoft Word - \217\254\212w\202U\224N\201i\216R\217\343\201j.doc)

(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

1

Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

1 高等学校学習指導要領との整合性 高等学校学習指導要領との整合性 ( 試験名 : 実用英語技能検定 ( 英検 )2 級 ) ⅰ) 試験の目的 出題方針について < 目的 > 英検 2 級は 4 技能における英語運用能力 (CEFR の B1 レベル ) を測定するテストである テスト課題においては

ICTを軸にした小中連携

Microsoft Word - 博士論文概要.docx

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

Microsoft PowerPoint - 中学校学習評価.pptx

Taro-12事例08.jtd

3 昨年度の校内研究の成果を基に本校では 平成 24 年度の校内研究で 授業における 手立て と 評価 のつながりを意識した授業づくりについて 指導評価シート を基に検討した 平成 24 年度北海道鷹栖養護学校研究紀要 また 平成 25 年度から 2 カ年計画で 般化 を目的とした指導方法について研

群教セ I01-08 平 集 特 情緒障害 中学校自閉症 情緒障害特別支援学級における人と関わる意識を高める支援の工夫 自己肯定感を高めるための振り返りと ソーシャルスキルトレーニングを通して 特別研修員田子賢一 Ⅰ 研究テーマ設定の理由 自閉症 情緒障害特別支援学級の生徒は 社会生活

Microsoft Word - 6年国語「パネルディスカッションをしよう」

保健体育科学習指導案


いきたいと考える 第二に ビデオに撮ったインタビューの様子を繰り返し見て振り返ることで パターンに沿った質問だけでなく 自分なりの質問を考える活動に発展させていきたい そのために ビデオ視聴による振り返りを3 回行う また 自己評価だけでなく 他者評価により互いの良さを確認することで 話すことへの自

演習:キャップハンディ ~言葉のわからない人の疑似体験~

教科 : 外国語科目 : コミュニケーション英語 Ⅰ 別紙 1 話すこと 学習指導要領ウ聞いたり読んだりしたこと 学んだことや経験したことに基づき 情報や考えなどについて 話し合ったり意見の交換をしたりする 都立工芸高校学力スタンダード 300~600 語程度の教科書の文章の内容を理解した後に 英語

Microsoft Word - 研究の概要他(西小) 最終

Microsoft Word - 社会科

平成 22 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 22 年 4 月 20 日 ( 火 )AM8:50~11:50 平成 22 年 9 月 14 日 ( 火 ) 研究主任山口嘉子 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (105 名 )

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

<4D F736F F D2091E58DE38BB388E791E58A77834C C F815B834E D80202D B2E646F6378>

4 本単元と情報リテラシーの関わり 課題設定担任による 説明会におけるデモンストレーションを見ることを通して 本単元を貫く言語活動としての これぞ和の文化! おすすめの 和の文化 を調べて説明会を開こう を知り 見通しを持たせ学校司書による関連図書紹介を通して 和の文化への関心を高め 進んで調べよう

(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って

< F2D95F18D908F E522E6A7464>

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

第 9 章 外国語 第 1 教科目標, 評価の観点及びその趣旨等 1 教科目標外国語を通じて, 言語や文化に対する理解を深め, 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り, 聞くこと, 話すこと, 読むこと, 書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う 2 評価の観点及びその趣旨

2 生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査 児童生徒に対する調査 学校意欲 学習方法 学習環境 生活の諸側面等に関する調査 学校に対する調査 指導方法に関する取組や人的 物的な教育条件の整備の状況等に関する調査 2

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

トコラージュ というメディアの形態を提案する 本単元では 説明文の 構成メモ をフォトコラージュの形でまとめる このことにより 資料を活用して説明文を書くことが容易になる フォトコラージュとは次に示すように 2 枚以上の写真と それに対する説明文を対応させた情報伝達の形式である 本学級では 社会科の

H26関ブロ美術プレ大会学習指導案(完成版)

(3) 将来の夢や目標を持っていますか 平成 29 年度 平成 28 年度 平成

主語と述語に気を付けながら場面に合ったことばを使おう 学年 小学校 2 年生 教科 ( 授業内容 ) 国語 ( 主語と述語 ) 情報提供者 品川区立台場小学校 学習活動の分類 B. 学習指導要領に例示されてはいないが 学習指導要領に示される各教科 等の内容を指導する中で実施するもの 教材タイプ ビジ

生活単元学習指導案 日時 : 平成 27 年 11 月 17 日 ( 火 ) 授業者 : 谷麻紗美 1. 単元名 校内販売を成功させよう 2. 単元について本学級は平成 27 年度より設置された特別支援学級 ( 知的 ) である 現在 1 年生の男子 3 名が在籍しており 障害の程度はさまざまである

6 指導計画 (7 時間扱い ) (1) 単元の 1: 字手紙 のねらいの確認と受取人決定指導計画 2: 手紙の基本知識の確認と書くことの内容の整理 3: 時候の挨拶作成 ひと文字練習と下書き 4: ひと文字練習と下書き 5: 相互評価 推敲 ( 本時 ) 6: 推敲および清書 7: 清書と宛名書き

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

Taro-① 平成30年度全国学力・学習状況調査の結果の概要について

資料8-2 各教科等における障害に応じた配慮事項について

< F2D87408E7793B188C C993A190E690B6816A2E6A7464>

単元の目標 カレーライスを作ることに興味 関心をもち, 進んで活動する カレーライスの作り方を調べ, 作り方, 材料, 用具を発表することができる カレーライス作りの活動を通して, 食材を知ったり, 道具を使う仕事にふれたりして, 生活経験を豊かにする 人との関わりを通してコミュニケーション能力を身

小学校における県平均正答率との比較 市と県の平均正答率の差を比べると 国語 A B 算数 A B 理科のすべての教科 領域 区分で 5ポイント以上の差のものはなくなった 国語 A 市 :68.2% 県 :70.1% 差 :-1.9ポイント 国語 B 市 :49.6% 県 :53.6% 算数 A 市

2 各教科の領域別結果および状況 小学校 国語 A 書くこと 伝統的言語文化と国語の特質に関する事項 の2 領域は おおむね満足できると考えられる 話すこと 聞くこと 読むこと の2 領域は 一部課題がある 国語 B 書くこと 読むこと の領域は 一定身についているがさらに伸ばしたい 短答式はおおむ

別紙様式 平成 30 年度全国学力 学習状況調査の結果と考察及び対策について 東松島市立宮野森小学校 1 国語科 (1) 国語 A 平均正答率 ( 宮城県 全国との比較 ) 話す 聞く能力 書く能力 読む能力 言語についての知識 理解 技能 全体 県比較

調査の概要 1 目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図るとともに そのような取組を通じて 教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する また 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の

(6) 調査結果の取扱いに関する配慮事項調査結果については 調査の目的を達成するため 自らの教育及び教育施策の改善 各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることが重要であることに留意し 適切に取り扱うものとする 調査結果の公表に関しては 教育委員会や学校が 保護者や地域住民に対して説明責任を果

特別支援学級 1 2 組国語科学習指導案 児童 1 年 (1 名 )2 年 (1 名 )3 年 (3 名 ) 4 年 (1 名 )5 年 (2 名 ) 計 8 名指導者藤澤勝利 (T1) 小綿幸子 (T2) 國久伸子 (T3) 1 単元名 ( 題材名 ) 文をつくろう 2 単元 ( 題材 ) につい

算数でも 知識 (A) 問題 活用 (B) 問題とも 全領域で全国平均を上回りました A 問題では 14 問中 12 問が全国平均を上回り うち8 問が5ポイント以上上回りました 下回った2 問は 直径と円周の長さの関係理解 と 除法で表す2 量関係の理解 でした B 問題では 10 問中 9 問が

Microsoft Word - ④「図形の拡大と縮小」指導案

知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

平成 30 年度 品川区学力定着度調査 の結果から明らかになった課題と学力向上に向けた取組 ( 国語 ) 1. 国語の定着状況についての概要 どの学年もほとんどすべての項目において 目標値を上回った 昨年度から取り組んできた 文章を書き表す際の 言葉の正しい使い方の指導 が 言葉についての知識 理解

Transcription:

青森県総合学校教育センター 特別支援教育長期研究講座報告 [2013.3] Ⅰ1-08 小学校 特別支援教育機能的な言語の使用に困難さのある自閉症児へのコミュニケーションカードを活用した言語による要求伝達の形成 五所川原市立中央小学校教諭宮越涼子 要 旨 質問に対してエコラリアや単語で答える自閉症 情緒障害学級に在籍する 11 歳の自閉症児に対して, 実態把握から導き出された指導目標や方法を基盤にし, 生活単元学習におけるマスコット作り活動を通して, 要求行動の変容を目指した指導を行った 要求構文と表情イラストのあるコミュニケーションカードを使用して四つの要求構文を習得することで, 対象児は他者への関わりに変容を示した キーワード : 自閉症機能的な言語コミュニケーションカード要求構文生活単元学習 Ⅰ 主題設定の理由 佐々木 (2006) は, 自閉症に見られる特徴として, 言葉に遅れがあるために単語で答える, 気持ちをうまく伝えられないために理解してもらえない, 聞かれたことにエコラリアで答えてしまう, というコミュニケーションに関する障害を有することが, 挙げられるとしている また, 会話でのやりとりができないために社会生活を送る上で困難な状況が生まれ, かんしゃくを起こしたり, 自傷行為や他傷行為をしたりしてしまうなどの行動上の問題が見られるとしている 自閉症児に対しての対人的使用を目指した言語指導は, これまでも数多く試みられている 藤原 (1985) は, 豊富な言語を有しているにも関わらず, その機能的使用に乏しい自閉症児の実験観察を通して自己充足が困難な事態を設定することによって言語ニーズを高め, 児童の要求行動を他者が的確に捉えて即時に対応することの重要性を示唆した 長沢 森島 (1992) は, 自閉症児に対してことばを機能的に使用するための要求言語の訓練を行った 言語使用に適した学校生活場面を設定し, ことばによる要求に対して即座に対応できる状況を体験していったことで, いろいろな場面でのことばの使用を獲得できたことを報告している また, 松田 植田 (1999) は, 一定の表出言語を有しながらも言語の対人的使用に遅れの見られる自閉症児に対して共同ルーティンを設定し,2~3 語文の質問構文等の対人的使用を目的とした指導を行った 体系化, 構造化された活動場面の継続により, 正しい構文の習得が図られ, 活動に見通しを持つことで, 活動に能動的に取り組もうとする行為の主導化が強まり, 他者への関わりに変容が見られたことを報告している 本研究では, 機能的な言語の使用に困難さのある自閉症児に対して, 生活単元学習のマスコット作り活動の中で意図的に要求を伝える場面を設定し, 適切な 4 パターンの要求構文の対人的使用を目的としたコミュニケーション指導を行った このコミュニケーション指導を行うことで, 自閉症児の他者への関わりに変容が見られるのではないかと考え, その指導方法の妥当性について検討することとした 指導を行う際には, 要求構文と表情イラストのあるコミュニケーションカードを使用し, 要求構文を繰り返し伝達することで, 構文の習得を図りたいと考えた Ⅱ 研究目標 機能的な言語の使用に困難さのある自閉症児に対して, 生活単元学習の中で要求構文とイラストのあるコミュニケーションカードを活用し, 要求を伝達するための指導を行うことで, 言語による要求伝達行動の形成を図る Ⅲ 研究仮説 機能的な言語の使用に困難さのある自閉症児が, 要求構文をパターン化された場面の中で身につけることにより, 日常生活場面における要求伝達が増え, 他者への関わりに変容が見られるのではないか

Ⅳ 研究の実際とその考察 1 研究の方法とその内容 (1) 実態把握ア学校生活全般の様子対象児は, 自閉症 情緒障害学級に在籍する5 年生の自閉症女児で, 指導開始時の生活年齢は11 歳 3 か月であった 対象児は, これまでの経験から学校生活の大まかな流れを理解できており, 毎日繰り返し行っている朝の会, 帰りの会, 給食, 縦割り班清掃, 協力学級の授業へ参加する場合の校内の行き来等の活動は, 指示がなくてもおおむね一人で行うことができていた 4 年生の2 学期から, 協力学級の友達と同じように行動したいという様子が多く見られるようになり, 協力学級の授業に参加するのを拒否することが少なくなってきていた しかし, 行動を遮られたり, 関わる側の対応や声がけが自分の思考と違っていたり, 勘違いをして混乱したりすると, 大声を出す, 寝転がって動かない, 泣く, 自分の頭をたたく, 服の袖口をかむ, 相手をたたく等の行動が見られた また, 単語での応答が多く,2 語文や3 語文は理解ができていたが, 少し長い口頭での指示になると理解できずにエコラリアが見られたり話している人の声色や声の高さなどから相手が怒っていると勘違いしたりすることも多かった イ学習の様子国語では, 小学 1 年 ~2 年程度の読み物を音読できていたが, 内容の読み取りが苦手で, 句読点がなかったり, 分かち書きされていなかったりすると文節を捉えることが難しかった 漢字は,2 年生程度の読み書きができていた 算数では,3 年生程度の基礎的な計算ができていたが, 文章題は苦手としていた 学級担任が常に付き添って協力学級の体育, 音楽, 家庭科, 外国語活動, 書写, 学級活動の授業に参加していた 授業中は静かに着席しているが, 集中できない時には, 途中で自由帳に絵を描いて参加していた 指先が器用であるため, 家庭科の裁縫が得意であったり, 音楽のリコーダーは担任の指の動きを手本として, みんなと一緒に吹くことができたりしていた ウ諸検査等の結果 ( ア ) K-ABC 心理 教育アセスメントバッテリー対象児のK-ABC 検査結果を表 1に示した 検査時の年齢は,11 歳 2か月であった 結果は, 継次処理 82, 同時処理 91, 習得度 58であった 継次処理及び同時処理と習得度の間にいずれも1% の有意差が見られ, 習得度が低く示された 下位検査では継次処理の 数唱, 語の配列 が低く, 継次処理の中でも 手の動作 のように見本を視覚的に示したものは得意であるが, 聴覚的な記憶は苦手であることが示された 一方, 同時処理の下位検査の結果から, 図形の視写や具体物を操作する活動が対象児にとって理解しやすいことが考えられた これらのことから, 対象児の習得度が低く示されているのは, 語彙が不足していることや教師の指示が通りづらいこと, 得意な同時処理の能力が十分生かされていないことにあると予想された また, 対象児の得意な視覚的情報を活用した学習を行うことで, 学習効果が上がるのではないかと予想された ( イ ) ITPA 言語学習能力診断検査 ITPA 言語学習能力診断検査の結果 ( 表 2) から, 対象児は6 歳 6か月程度の言語学習年齢で, 言葉やコミュニケーションの発達に遅れが見られること, また, 聴覚 - 音声が低く, 視覚 - 運動が高く示されたことから, 指導するに当たっては視覚的な手掛かり, 絵や文字を多く用いることが有効であることが予想された 決まった言語表現や会話を用いてコミュニケーションの経験を積むこと, 対象児の興味に合わせた関わりを通じて対人意識を高めることが必要であると考えられた 表 1 K-ABC 検査の結果 (11 歳 2か月 ) 表 2 ITPA 検査の結果 (11 歳 0か月 ) ( ウ ) J.COSS 日本語理解テスト J.COSS 日本語理解テストの結果は, 表 3 の通りで, 対象児の言語レベルは,5~6 歳レベルであるこ

とや 2~3 語文まで理解できることが示された ( エ ) コミュニケーションサンプル自発的なコミュニケーションの実態把握のために, 坂井 宮崎 (2009), 熊谷 (2012) を参考にコミュニケーションサンプルを作成し, 行動観察を行った これにより, 対象者の自発的な表出を場面, 方法, 対象等の観点に基づき分析した 本研究では, 平成 24 年 9 月 3 日からの 5 日間の学校生活の全てにおいて記録をとり, 機能, 手段, 相手のそれぞれについて, 割合を算出した 自発的なコミュニケーションとしては, 要求の割合が最も高かった ( 表 4) 手段は, 要求物の名前を言うことや学級担任の名前を呼んで見つめることが多く, 単語での応答が, 全体の 85% を占めていた ( 表 5) 対象の大人は学級担任が最も多く, 次に授業や普段多く関わりのある学習支援員やことばの教室の担当教員が多かった その他の教師への関わりは挨拶程度であった 休み時間にクラスメイトに遊びの要求をすることも多かった ( 表 6) 表 3 J.COSS 日本語理解テストの結果表 4 機能の分類結果 (10 歳 11 か月 ) 表 5 手段の分類結果 表 6 相手の分類結果 エ実態把握からの指導方針諸検査等の結果から, 次のことを念頭において指導に当たることとした ( ア ) 絵や文字による視覚情報を媒介とした支援を行う ( イ ) 対象児が得意とする視覚と運動の能力を生かした活動場面を設定する ( ウ ) 対象児にとって分かりやすい3 語文までの要求構文の習得を図る ( エ ) 指導場面は, 自発的なコミュニケーションの相手として一番関わりを求める学級担任との授業とする (2) 検証場面と方法ア標的行動困った時, 欲しいものがあった時, 活動が終わった時に, 自発的に2~3 語文の要求構文を言語で伝える行動を標的行動とした イ方法 ( ア ) 支援ツール対象児は, 日頃からイラスト集にある絵を指導者に見せて自分の感情を伝えようとすることがあったことから, 坂井 宮崎 (2009), キャロル グレイ (2005) を参考に要求構文と表情イラストのある4 種類のコミュニケーションカード ( 図 1) を使用した イラストには, 構文が書かれた吹き出しをつけた それぞれに書かれてある要求構文は, 以下のa~dである カードの裏側には般化を想定し, どんな時に使ったらよいのかを文章にして添付した 活用場面では, カードを提示するのではなくカードを見ながら構文を話して伝えるよう指導した a ~をおしえてください b ~なので, たすけてください c ~をください d ~がおわりました図 1 コミュニケーションカード ( イ ) 場面指導する場面は, 生活単元学習とした 生活単元学習は, 児童生徒が生活上の目標を達成したり, 課題を解決したりするために, 一連の活動を組織的に経験することによって自立的な生活に必要な事柄を実際的 総合的に学習するものである また, 考慮する点として, 興味関心などに応じたもの, 見通しを持って主体的に取り組めるものと記されている ( 特別支援学校学習指導要領解説総則等編 ) そこで, 対象児の興味関心が高く, 手先の器用さを生かしたキャラクターのマスコット作りを題材に取り上げることとした 協力学級の家庭科では, 裁縫の学習に意欲的であったが, 技能的には未熟であり, 玉結び, 玉どめは

十分に習得していなかったため, 活動中には技能面で困る場面がたくさん出てくることが想定された 指導期間を指導期 Ⅰ, 観察期 Ⅰ, 指導期 Ⅱ, 観察期 Ⅱ の四つに分け, 指導期 Ⅰ ではカードの使い方の指導を行い, 観察期 Ⅰ でカードを使って要求伝達がどの程度できるのかを観察した 指導期 Ⅱ では観察期 Ⅰ の使い方の様子から改善の検討及びその指導を行い, 再度, 観察期 Ⅱ で要求伝達がどの程度できるか検証した ( ウ ) 分析方法全指導場面をビデオ撮影した 映像から標的行動の回数をカウントし,1 単位時間毎の正答率 ( 正しく言えた要求構文の回数 / 口頭で要求を伝えた全回数 100 ) の推移を比較 検証した 併せて, 対象児が話した言葉の変容を記録した 2 支援の実際 (1) 指導期 Ⅰ(9/18~9/29の8 時間 ) 表 7 指導期 Ⅰの課題分析表 表 7の課題分析表を用いながらマスコット作りに関してのアセスメントを行った 玉結び, 玉どめなどの技能の向上が見られ,6 回目では, 全ての作業がおおむね一人でできるようになった 製作の手順については製作の様子の写真を添付し, 視覚的に捉えやすいものを準備した 4 枚のコミュニケーションカードは, リングでまとめ机の上に置き具体的な場面での使い方を教師がやって見せ指導した マスコットについては, 複雑でないものを選び数時間でできるものとした 図 2のように製作手順やマスコット完成見本は, 黒板に掲示し, 机の上は裁縫道具やカード等を置く場所を決め材料の置かれている場所も固定して行った 必要な材料はカードを使って要求させるようにした (2) 観察期 Ⅰ(10/4~10/17の7 時間 ) 前半は, コミュニケーションカードを頻繁に使用していたが, 後半は, コミュニケーションカードを使用せずに要求することが増えた しかし, 構文の前半部分の不正確さが目立った 授業中の独り言や授業に関係のない話をすること, 歌を歌うことは指導開始前に比べると減ってきたものの, 指導者に否定的な言葉がけをされると頭をたたく, 奇声をあげる, 床に寝転がる等の行動上の問題がまだ見られていた 不正確な言い方のパターンは, 表 8の通りで, 促音抜けや動詞抜け, 動詞の活用間違いや助詞の間違いが見られた (3) 指導期 Ⅱ(10/29~11/2の5 時間 ) 間違いの見られた構文の前半部分に, 具体的な言葉を入れて指導することとした 観察期 Ⅰで間違いの多かったの は, 糸の絡まった時, 綿がうまく入れられない時, 玉どめができない時であったので, 糸がからまったのでたすけ 図 2 教室の配置 てください わたのつめかたをおしえてください 玉どめのやりかたをおしえてください の3 種類のカードを準備した また, 机上の整理や綿つめ用の棒や布巾など, 必要な道具も新たに準備をして使い方の指導を行うとともに, 否定的な言葉がけをすることをやめ, 肯定的な指示や言葉がけをするようにした (4) 観察期 Ⅱ(11/7~11/12の5 時間 ) 玉どめができるようになったり, 綿のつめ方を自分から工夫したりする等, 技能面での向上が見られたため, 要求構文を話す回数は観察期 Ⅰに比べると減少した 指示によ 表 8 不正確な言い方のパターン るカード使用やカードを見ながらの使用が少なくなり, 場面に合った構文を使っていた 促音が抜けるこ ともあったが, 糸がからまったのでたすけてください の構文は, ほぼ正確に言えるようになった ま

た, 観察期 Ⅰ で全く使用されなかった ~ をおしえてください の構文を使用する様子が見られた 3 結果 (1) カードなしでの要求構文伝達の正答率の推移観察期におけるカードなしでの要求構文伝達の正答率の推移を図 3 に示した 観察期 Ⅰ に比べると観察期 Ⅱ の正答率が高くなった 図 3 の点線は, 観察期 Ⅰ のセラレーションを示している セラレーションとは, アクセラレーションとデセラレーションとの造語で増減傾向のことである 検定には, SINGWIN を使用した 観察期 Ⅱ の正答率のほとんどがラインの上に位置しており, カードなしでの要求構文伝達の割合が増加していることが認められた 観察期 Ⅱ の 11 月 8 日はカードを見ながら言うことが多かったため一時的にカードなしの正答率が下がっているが, 最終日には 100 % の正答率を示した (2) カード使用の有無による構文を正しく使えた割合の推移カード使用の有無による構文を正しく使えた割合の推移を図 4 に示した 技能の向上に伴い要求構文を使用した回数は減少したが, 割合に注目してみると, 観察期 Ⅰ に比べカードを使わずに自発的に構文を話す割合が増えた 正答率は観察期 Ⅰ では 58% であったが観察期 Ⅱ では 74% と高く示された (3) エピソードの記録観察期 Ⅱ の終了後,2~3 語文の言葉で伝えようとする回数が増えてきた 例えば, 具合が悪くて来室した保健室での養護教諭との会話の中で, 給食を食べないので, お家に帰ります と伝えたり, 授業中に問題が難しくて困った時, 学習支援員に 難しいので教えてください とお願いしたりする様子が見られた また, 休み時間や担任が不在時に困ったことや要求したいことがあると, 特別支援の職員室を訪れて意思を伝えることが増えた 学校生活における行動にも変容が見られた 指導前は, 要求が通らず, 協力学級での授業中に大声を出したり, 遊んでいる時に突然友達の頬をたたいたり, 要求が伝わらずにかんしゃくを起こして泣いたりすることも多かった 協力学級からグラウンドへ移動する時に, 窓ガラスをたたいて割ってしまったこともあった 学級担任が出張で不在の時は, 怒って課題をやらずに寝転がったり, かんしゃくを起こしたりしていた 指導後の 12 月は, 生理中の腹痛で泣き叫んだり, たんがからんでいらいらした時に乱暴な態度が見られていたが, 学級担任が出張のため不在でも落ち着いて過ごすことができるようになった 4 考察本研究では, 機能的な言語の使用に困難さのある自閉症児に対して, コミュニケーションカードを活用した言語による要求伝達の形成を図った 観察期 Ⅰ では, 自分の興味関心の高いマスコット作りに意欲的に取り組み, 積極的にカードを使用しながら伝えていたが, 場面によるカードの使い分けができず, 構文前半部分の不正確な言い方が多く見られた これは, 構文の前半部分を空欄にしたために, 空欄に入る部分の言葉のイメージが持てなかったり, 助詞や動詞を適切に活用できなかったりしたことが要因と考えられた そこで, 指導期 Ⅱ で, 空欄にしていた構文の前半部分に具体的な言葉を入れて指導改善を図ったところ, 観察期 Ⅱ では, 場面に応じた正確な要求構文を話すことが増えるとともにカードを見ずに話すことも増えた 今回の研究では,6 歳程度の言語学習能力があり,2~3 語文程度の文の理解が可能な自閉症児に対して, より具体的な構文の書かれたコミュニケーションカードを活用して指導を行うことの有効性が示された また, 繰り返し活用する場面を設定し, 児童の要求に即座に応えることで児童は, 要求が相手に伝えられたという成功体験を積み重ね, それが自信となって, 自分から 2~3 語文で要求することが増え, 落ち着いて学校生活を過ごすことにつながったと考える 自閉症児の変容について松田らは, (1) 正しい構文の習得 (2) 行為の主導化 (3) 他者へのかかわりの高次化 と示している ( 松田信夫 植田恵子,1999) これらのことから, 今回の研究では, この 3 段階を支持する結果となった 図 3 図 4 カードなしでの要求構文伝達の正答率の推移 カード使用の有無による構文を正しく使えた割合の推移

Ⅴ 研究のまとめ 機能的な言語の使用を自閉症児が身につけるためには, 様々な状況や場面で活用できるカードを使用するよりも, 使用する状況や場面を限定した具体的な構文が記載されたカードを使用することが有効であった 単元設定をするに当たっては, 実態把握を十分に行い, 児童の認知的な発達水準に配慮することが大切であり, 児童の興味関心の高い教材を取り入れ, 一連の学習活動が繰り返し行えるような指導計画の工夫が必要であると考える 構文を発する場面が繰り返し設定されたことにより, 要求に対して即座に対応してもらう成功体験が積み重なったことも成果につながったと考える Ⅵ 本研究における課題 本研究では, 生活単元学習の限定された時間の中で, 要求構文と表情イラストのあるコミュニケーションカードを活用し, 言語による要求伝達行動の形成を図った 今後の課題としては, 構文を活用しながら進んで要求を伝達する場面を他の授業や日常生活場面でもっと広げていくことである 例えば, 卒業式や入学式等の行事において, 具体的な要求構文の書かれたコミュニケーションカードを活用していきたい また, 関わり手の広がりにも着目し, 継続した指導に取り組んでいきたいと考えている < 引用文献 > 1 松田信夫 植田恵子 1999 自閉症児に対する要求構文等の対人的使用に向けた指導ー共同行為ルーティン ホットケーキ作り を通してー 特殊教育学研究 ( 第 36 巻第 5 号 ),p.7 < 参考文献 > 太田昌孝 永井洋子 1992 自閉症治療の到達点 2 認知発達治療の実践マニュアル- 自閉症のStage 別発達課題 - 日本文化科学社 キャロル グレイ 2005 コミック会話 自閉症など発達障害のある子どものためのコミュニケーショ ン指導 明石書店 熊谷洋治 2012 言語表出に困難のある知的障害生徒の携帯電話のカメラ機能を活用した ~をくださ い 行動の形成 青森県総合学校教育センター 特別支援教育長期研究講座報告 坂井聡 宮崎英一 2009 ケータイで障害のある子とちょこっとコミュニケーション 学習研究社 佐々木正美 2006 自閉症のすべてがわかる本 講談社 下平弥生 2010 自閉症児のコミュニケーション指導法に関する研究ースクリプト, スクリプト フェ ンディング法による自発的会話スキルの促進 - 岩手大学大学院教育研究科 修士論文 関戸英紀 1994 エコラリアを示す自閉症児に対する共同行為ルーティンによる言語指導ー 買い物 ルーティンでの応答的発話の習得ー 特殊教育学研究 ( 第 31 巻第 5 号 ),pp.95-102 長崎勤 吉村由紀子 土屋恵美 1991 ダウン症幼児に対する共同行為ルーティンによる言語指導ー トースト作り ルーティンでの語彙 構文, コミュニケーション指導ー 特殊教育学研究 ( 第 28 巻 第 4 号 ),pp.15-24 長沢正樹 森島慧 1992 機能的言語指導法による自閉症児の要求言語行動の獲得 特殊教育学研究 ( 第 29 巻 第 4 号 ),pp.77-81 藤原義博 1985 自閉症児の要求言語行動の形成に関する研究 特殊教育学研究( 第 23 巻 第 3 号 ),pp.47-53 P.A. アルバート A.C. トルーマン 2004 はじめての応用行動分析 日本語版 第 2 版 二瓶社 松田信夫 伊藤圭子 2001 観察場面を導入した共同行為ルーティンに基づく自閉症児へのコミュニケ ーション指導ー実態把握と指導方針との連携を基盤にー 特殊教育学 ( 第 38 巻 第 5 号 ),pp.15-23 松田信夫 植田恵子 1999 自閉症児に対する要求構文等の対人的使用に向けた指導ー共同行為ルーテ ィン ホットケーキ作り を通してー 特殊教育学研究 ( 第 36 巻第 5 号 ),pp.1-8 宮原貴子 2011 行動問題を示す自閉症児の自立活動の時間における指導を活用した要求行動の形成 青森県総合学校教育センター 特別支援教育長期研究講座報告 文部科学省 2009 特別支援学校学習指導要領解説 総則等編 ( 幼稚部 小学部 中学部 ), 教育出 版