Tokai University 葵凝翼演爨藤灘靉蒸灘曝 : 瀁灘 : 懸翼覊藤婆灘灘凝灘戀繖 : 翼灘継灘瀑灘疼 : 灘 : 濾凝爨凝懸 大学柔道選手の膝関節障害 戸松泰介竹内秀樹山田成 ( 東海大学医学部整形外科 ) 今井 望 Key word :Knee joint( 膝関節 ) ln ury ( 外傷 ) Judo Dlayer ( 柔道選手 ) Knee injury in university judoplayers Orthopedic Surgery Schooi of Mediclne Tokai University TaisukeTOMATSU,HldekiTAKEUCHI,Nari YAMADA and Nozomu IMAI Knee injuryis one of the most frequentroublesfor the judoplayers and se >erely influenceson the 量 ty, Both knees of 103 Tokai Universityjudoplayers were examined.12 knees were diagnosed to have judo activ meniscal lesions.33 knees had knee instabilitydue to ligamentous insufficencysuch as 12 medial,41ateral, 16anterior and l posterior instability. 28knees of 23 judoplayers were operated at Tokai University Ilospita 置 from l975 to 1985.18 knees had menisectomy and 10 knees primary repair er reconstruction of ligament.at the follow up 80ut of 14 players who received menisectomy and 40ut of 9 player wh て ) received ligament repair returned to fulljudo activity as a competitive player.generallyheavy weight players who had knee injurywere more difficult to return to previous levelof activity than the lightweight players. 1 はじめに 日本の国技である柔道が東京オリンピック以来 重の重い選手が多く 下肢にかかる負担も大きく 技をかけにいってつぶされたり かけられた足を捻られたり等 膝関節の事故は足関節とともに極めて多い 10 代後半から20 代前半にかけては最も 諸外国にも普及し 今や国際的なスポーツの一つ 意欲があり 力をっ け また技術的にも磨きのか に数えられているが この柔道に関する医学的研究の報告は極く僅かを数えるに過ぎない 柔道は格闘技であり その性質上 身体のいたる所に損傷 障害を起こしやすい 柔道選手は一般的に体 かる時期であり この時期での損傷や障害は重要な意味を持つ したがって この時期での損傷 障害の性質を調査し 外傷 障害の予防や治療の 方向付けを行うことは重大な意義を持つ こととな 63 NII-Electronic N 工工一 Eleotronio Library Service
る 現在 我々は東海大学体育学部と スポーツ 表 1 大学柔道部員 206 膝中の異常所見 医学研究の一環として柔道部員の 1 年時および卒 右膝左膝計 業時にアンケート調査 直接検診および X 線検査を行っている 1 ) 今回はこのアンケート調査と 不幸にも膝関節を損傷し 当大学病院に入院 手術を受けた大学柔道部員から 柔道における膝関節損傷の特性について述べる 2 ) 半月板障害 内側 44 31 12 外 側 外反動揺牲 8 4 12 内反動揺性 0 4 4 前方引き出し 7 9 16 II 対象および方法 後方引き出し 1 o 1 計 24 21 45 1 ) 東海大学柔道部 1 年生 81 名に対し 膝関節に 関するアンケート調査を行った さらに 103 名 206 膝に対し直接検診 および X 線撮影を行っ 受傷したものが 32 例で 技をかけられた際の受傷 9 例に比しはるかに多い 第 3 者が倒れてきて受 た 2 ) 東海大学柔道部員で膝関節の手術を行った 23 傷する いわゆる投げ足による損傷が 2 例あった 次に大学柔道選手 103 名 206 膝についての直接検 名に対し 受傷状況および治療 復帰状態を調 診の結果では 30 名 45 膝に異常所見を見い だし 査した た ( 表 1 ) なお 半月板障害と判定したものは In 績果 膝関節痛 locking, giving way 等の自覚症状があ り 他覚的にも tibialrotation test で click を認 本学柔道部員の柔道歴は 7 年から 12 年で 小学校高学年から中学時代に開始した者が多く 得意技はかつぎ技が 81 名中 32 名 (39.5% ) はね技が 48 名 (59.3% ) で 組手は右 44 名 (54,3%) 左 33 名 (40.7% ) であり 効き手以上に左組手が多く 野球の右利き左打ちに類似している 膝靱帯損傷 めたものである 靱帯損傷による関節不安定性を 認めたものは 33 例であった 前方引き出し症状陽 性のものが 16 膝と多い 外反動揺性を認めたもの 12 例 内反動揺性 4 例であった 直接検診した 103 名 206 膝にっいてさらに X 線検査を行った結果 103 名中 69 名 (67%) に顆間隆起の尖鋭化 脛骨 膝蓋骨の骨棘 脛骨粗面の不整などの骨性変化を の既往ありと回答した者は 81 名中 50 名 (61.7% ) 認めた その他 分裂膝蓋骨 2 例 膝蓋骨離断性 であり 右膝の損傷が左膝に比しやや多く 内側 骨軟骨炎 1 例を認めた は外側の約 5 倍多かった 得意技でかつぎ技と回 答した 32 名中 18 膝に また はね技と回答した 48 名中 31 膝に膝靱帯損傷の既往あり はね技はかつ 次に直接検診による異常所見と X 線検査による 骨性変化を対比させると 外反動揺性のある者で 顆間隆起の尖鋭化を認めるものが 12 例中 7 例と多 ぎ技より損傷例も多く 損傷率も高い いが 他の異常所見例では骨性変化は必ずしも多 かつ ぎ技では 左膝損傷 4 名に対し 右膝損傷 いとはいえない は 11 名と多く また はね技では右膝 10 名に対し 次に膝損傷 障害のため 手術を行っ た症例の 左膝が 14 名とやや多い 右組手 44 名中右膝損傷は 14 左膝損傷は 9 左組手 33 名中右膝損傷は 7 原因 予後および柔道競技に与えた影響について 検討した 東海大学柔道部員で昭和 50 年から 60 年 左膝損傷は 7 であり 右組手は右膝に多く 左組 までで膝関節の手術を行っ た術後 2 年以上経過し 手の損傷は左右同数であっ た 膝受傷状況は練習 た 23 名である 半月板損傷は 14 名 18 膝であり 右 中 54 例で 66.7% を占め 試合やその他のトレーニ 側 13 例 左側 5 例である 外側半月板損傷は円板 ング中よりはるかに多い また 技をかけにいき 状の 5 例を含め 13 例と 内側 5 例に比し多い 靱 64
Tokai University 帯損傷は 9 名 10 膝であり 右側 2 例 左側 8 例で 内訳は前十字靱帯損傷 (ACL ) 1 例 内側側副靱帯損傷 (MCL ) 5 例 外側側副靱帯損傷 (LCL ) 1 例 ACL + MCL 2 例 後十字靱帯損傷 (PCL )+ MCL 1 例である ( 表 2 ) 手術症例の身体的特徴を みると 身長は 163cm より 185cm まで 平均 176.7cm が 6 例あった また 100 回以上も locking を起こした症例もある 一方 靱帯損傷では大学 1 年時 の損傷が多く 陳旧例は少ない ( 表 5a b ) 手 術は半月板損傷では tota1 または subtotal 損傷では primary repair 靱帯 陳旧例では再建術を行 っている 後療法は半月板損傷では早期より四頭 で ほぼ均等に分布しているが 体重は 63kg から 136 までで平均 92.1 であり 重量級に手術症例が多い ( 表 3 > 今回の手術と直接関連のある膝の初回受傷状況は 半月板損傷では技をかけにいった際の受傷と技をかけられた際の受傷がそれぞれ 7 例ずつ 靱帯損傷では それぞれ 3 例と 4 例である 靱帯損傷に他人がぶつかって受傷する い 表 4 初回受傷状況 半月板損傷 技をかけにいって 7 技をかけられて 7 寝技 1 不 詳 3 靱帯損傷技をかけにいって 3 技をかけられて 4 投足 3 わゆる技足が 3 例ある ( 表 4 ) 初回受傷より手術 表 5 a 半月板損傷 に至るまでの期間は 半月板損傷で最長 7 年の症 例が 2 例あり 他にも 1 年以上経過してい るもの 初回受傷学年 ( 膝 ) 手術時学年 表 2 手術症例 中学 1 半月板損傷 14 名 右膝 13 左膝 5 靱帯損傷 9 名 右膝 2 左膝 8 高校 1 年 3 3 年 3 LM l3 ( 円板状 : 5 ) ACL l MCL 5 大学 1 年 4 大学 1 年 MM 5 LCL l 2 年 3 2 ACL 十 MCL 2 PCL 亠 MCL l 3 年 3 3 4 年 1 4 表 3 体重別手術件数 表 5 b 靱需損傷 口半月板損傷 148 初回受傷学年 高校 2 年 ( 膝 ) 手術時学年 ( 人 ) 65432 大学 1 年 大学 1 年 2 年 2 年 3 年 3 年 61k9 66 72 65 71 78 79 87 96 1}1 86 95 ilo 4 年 4 年 65 NII-Electronic N 工工一 Eleotronio Library Service
筋訓練を開始し 3 カ月で 簡単な練習を再開さ 表 7 a ) 靱帯損傷術後柔道復帰できた症例 せている 靱帯損傷では 6 カ月を目安としている 半月板手術後 試合まで復帰できたものは 14 名中 8 名であり 手術後 以前より 成績がはるかに上がった者一もいる 方 通常の練習には参加で きるが試合まで復帰できなかっ た者は 14 名中 6 名 4 名平均体重 80.8 聖 t.lcllt.mcl 十 PCL lt.mclit.mcl 十 ACL で 1 名に日常生活動作 (ADL ) 上現在も支障を生 じている 柔道の試合まで復帰できた症例は外側半月板損傷 10 膝であり 円板状半月板の 5 例はすべて復帰している 内側半月板損傷は 1 例のみであった 受傷より手術までの経過は 2 週間以内が 5 例であり 1 年以上経過しているものは 3 例であった このようにしてみると 柔道に完全復帰できた症例は損傷発生より 手術に至るまでの経 表 7 b ) 靱帯損傷術後柔道復帰できなかっ た症例 5 名 平均体重 95.4 1t.MCL 十 ACL lt.mclrt.mcllt.aclrt.mcl 過の短いもので外側半月板手術例のものが多い 一方 試合まで復帰できなかった症例では内側半 月板損傷 4 膝 外側半月板損傷 3 膝と内側損傷例 が多く また 受傷より手術までの期間で 1 年以 上の症例が 7 膝中 4 膝と多い ( 表 6a b ) 靱帯 損傷手術後の経過で試合まで復帰できたものは 9 名中 4 名で うち 3 名は以前より強くなっ たと答 えている 試合まで復帰できなかったものは 9 名 表 6 a ) 半月板手術後 柔道復帰できた症例 8 名 平均体重 95.6kg LM lo 膝 ( 円板状 : 5 膝 > MM 1 膝 手術まで 2 週以内 5 例 3 月以内 2 1 年以内 1 1 年以上 3 中 5 名だが 体育の教師をしているものが 2 名い る 日常生活上 支障のあるものは 3 名である 柔道の試合まで復帰できた 4 名は LCL, MCL + PCL, MCL,MCL + ACL 損傷であり 平均体重は 80.8 で いずれも 1 年で試合に復帰している ただし得意技はすべ て投げ技から寝技や引き込み 足などに変化している 試合まで復帰できなかっ た者は 5 名で MCL 損傷 3 名 ACL, MCL + ACI 損傷で平均体重は 95.4kg と重い ( 表 7a b ) 今回のアン が多く この 痛感した w. 考察 ケート調査では練習時の膝損傷発生 ことから適切な練習指導の必要性を 柔道は格闘技で 倒す 倒されるから 勝負が始まり 外傷は両者のバランスが崩れた際 に発生し 柔道競技特有の受傷状況がみられる 表 6 b ) 半月板手術後 柔道復帰できなかった症例 6 名平均体重 92.2 LM 3 膝 MM 4 膝 手術まで 2 週以内 1 例 3 月以内 0 1 年以内 2 1 年以上 4 柔道の立ち技は はね技とかつぎ技に大別される はね技とは内股 大外刈りなど攻撃足が宙に浮いて行う技であり かつぎ技とは背負い投げ 体落としなど攻撃足が地について行う技である 今回の調査では 技をかけにいった際の損傷が多く 靭帯損傷の手術例では足の運びが悪く 膝 伸展 lock 状態での受傷であり 半月板損傷では軸足に荷重と捻れが加わり損傷する場合が多い 66
膝手術例のうち半月板損傷手術例は外側 13 例 内側 5 例と外側に多く 円板状半月板損傷例を含 め 外側例は柔道復帰できた症例が多い 日常生 活に支障ありとした 1 例は内側半月板損傷で ACL のゆるみを合併していたものであり 靱帯損 傷の有無に常に留意すべきである 靱帯損傷に関 しては 今回の手術例をみると MCL 損傷例が多 い しかしながら東海大学柔道部員 206 膝の直接検 診結果では 内反動揺性は 4 膝にみられるだけで 一方 前方引き出し症状陽性者は 16 例にみられた このことは野口ら 3 ) も述べているように 柔道競 技では十字靱帯損傷例でも他のスポーツと異なり, 比較的障害が少ないためであろう したがって 靱帯損傷による関節不安定性を認めたものは33 膝で 前方引き出し16 膝 外反動揺 12 膝 内反動揺 4 膝であった X 線上の変化は関節症様変化を67% に認め 分裂膝蓋骨 2 例 膝蓋骨離断性骨軟骨炎 1 例を認めた 4 ) 手術例は 23 例で半月板摘出 ( 全または部分切除 ) 14 名 18 膝 靱帯損傷は 9 名 10 膝であり 半月板損傷では外側例 受傷より早期に手術を行ったものほど 復帰率がよい 靱帯手術例では 体重が重いものに復帰できなかった例が多かっ た Q 軽い損傷程度でかたづけられ受診していないものにも十字靱帯損傷例は多いと思われる 大学柔道選手 81 名にっきアンケート調査を行い 膝靱帯損傷の既往のあるものを体重別にみると 71 以下 の体重のものでは 26 名中 14 名 (53.8%) 72 から 95 までのものでは 38 名中 23 名 (60.5% ) 96 以上のものは 17 名中 13 名 (76.5% ) であった した がっ て体重の重い者は損傷を受けやすく 手術に 至る場合が多い さらに術後の回復も重量選手はやや劣っている これは重量選手の場合 軽量選 手の ように巧みに技の変更を完成させることも難 しく 重い荷重を支えるため 術後の筋力の回復が軽量者に倍して要求され 練習相手の少なさか ら十分な筋力がっ かぬうちに練習にかり出される 機会が多いからであろう 適切な復帰計画のアド バイスが必要であろう V 結語 大学柔道選手 86 人に対してのアンケート調査と 103 名 206 膝の直接検診および膝手術患者 23 名に対しての予後調査を行い 次のごとき結論を得た 1 ) 受傷機転では技をかけにいった時の膝外傷が 多い 2 ) 膝靱帯損傷では伸展後で 半月板損傷では軸足に荷重と捻れが生じた時に生ずることが多い 3 ) 直接検診では 30 名 45 膝に半月板症状を認め 文献 1 ) 竹内秀樹ほか : 一流大学柔道選手を中心とした柔道の膝関節障害について 臨床スポーツ医学 Vo1,3 別冊 117 1986 2 ) 竹内秀樹ほか : 大学柔道選手の膝関節手術例に ついて 整形外科スポーツ医学会誌 Vol.7 41 19883 ) 野口昌彦ほか : 柔道選手の膝関節外傷 障害の実態にっいて 整形外科スポーツ医学会誌 Vol. 5 67 1986 67