( 別記 ) 兵庫県水田フル活用ビジョン 1 地域の作物作付の現状 地域が抱える課題 < 現状 (H29)> 本県は 摂津 播磨 但馬 丹波 淡路の五国からなる多様な気候風土を有する県であり 耕地面積の 90% 以上を水田が占めている また 水田の 6 割には主食用米と酒造好適米が作付けされており 主食用米では基幹奨励品種であるコシヒカリ キヌヒカリ ヒノヒカリ及びきぬむすめが多く作付されているほか 但馬地域の コウノトリ育むお米 などの特別な栽培方法や地域特性を活かしたブランド米や輸出に向けた取組も始まっている 酒造好適米では北播磨を中心として全国シェアの約 60% を占める酒造好適米 山田錦 を筆頭に様々な品種が生産されている 主食用米 酒造好適米以外の作物では 野菜が耕地面積の約 15% で作付けされているほか 飼料用米や畜産業と連携した飼料作物 食品産業と連携した大豆 麦等が生産されている 野菜については 近年 生産者の高齢化等により生産量が減少しており 近畿の中でのシェアも低下している一方で 施設野菜 露地野菜の新たな産地化の動きも見られている また 本県の農業構造は 農業従事者の平均年齢が 68.9 歳 第二種兼業農家の割合が 68% と全国と比較して高く また 一戸当たりの経営耕地面積も 94a と全国の半分以下となっている このことから 米の生産コストが全国平均より高くなっているほか 農業産出額から見た労働生産性も低い状況にある < 課題 > 平成 30 年産から米の生産数量目標の廃止に伴い これまで以上に産地や生産者の経営 販売戦略に基づく 需要に応じた米生産の推進が重要となっている このため 本県では県と JA グループ等農業団体で構成する兵庫県農業活性化協議会 ( 以下 県協議会 という ) を通じ 県産米の需要動向の調査 分析及びこれを踏まえた生産目安の産地への提供や 米生産をめぐる情報提供を行っていく必要がある また 契約栽培等の需要と直結した生産を推進するため 契約栽培等出荷相談先リストの取組や優良事例の情報提供を行っていく必要がある あわせて 本県の多様な自然環境や都市近郊の立地 食品産業の集積など 兵庫の強みを最大限に活かしていくため 飼料用米 麦 大豆等の需要と直結した戦略作物や将来を見据えた輸出用米の取組のほか 地域の気候風土を活かした特色ある野菜等園芸作物の作付を推進していく必要がある 特に 野菜については 安定供給に向けた生産体制の強化や産地化を進めていく必要がある また 新規就農者の確保や集落営農組織等の法人化により効率的かつ安定的な農業経営を行う担い手を育成し 産地の維持 拡大につなげていく必要がある 2 作物ごとの取組方針等 平成 30 年産から始まる米政策見直しに円滑に対応するため 米については県協議会と連携して 1 米の作付の目安となる 生産目安 を算定 提供し 作付の判断を行うた
めに必要な情報を提供するとともに 2 関係者一体となった契約栽培等の需要と直結した生産を推進していく また 生産者の収益性向上につながる地域の気候風土を活かした特色ある野菜等園芸作物への作付を促進し 産地づくりを進めていくため 生産者への作付誘導のインセンティブとなる産地交付金を戦略的に活用していく さらに 市町段階においても 産地づくりや品目を横断した水田全体の収益力向上と安定化に向けた取組を支援していくため 担い手や JA 等の意見を踏まえ 産地交付金の必要なメニュー見直しと戦略的な品目 単価の設定を行うよう促していく (1) 主食用米これまで本県では 良食味米の生産技術や環境創造型農業の普及による付加価値の高い米づくりや食品事業者等の需要に応じた品種の導入等により ブランド化 高品質化を進めるとともに 農地集積 集約化による規模拡大や 直播栽培等の導入による低コスト化を推進してきた 今後は米政策の見直しに円滑に対応し 生産者自らの経営 戦略的な判断ができるよう 県協議会と連携して 全国的な需給見通し 県協議会による県産米の需要動向調査結果及び主食用米の生産余地を踏まえ 総合的に算定した本県主食用米の作付の目安となる 生産目安 を提供することにより需要に応じた生産を推進していく また 生産者 生産者団体 卸売業者 行政が一体となって契約栽培等実需者と直結した生産を拡大していくため 1 特定の産地に対する需要情報の提供 2 契約栽培等出荷相談先リストなどによる業務用米の契約栽培の推進 3 需要と直結した生産の優良事例の情報提供などに取り組んでいく (2) 酒造好適米日本酒全体の国内出荷量は 長期的には減少傾向であるが 近年では吟醸酒や日本食ブームによる輸出量は増加傾向にあることから 本県の山田錦をはじめとする酒造好適米は地元酒造メーカーからの安定的な需要がある 特に吟醸酒等の高級酒の原料となる山田錦については産地の JA や市町等が一体となってグレードアップ兵庫県産山田錦の取組による品質管理を徹底し 需要に的確に対応した生産を推進していく (3) 非主食用米ア飼料用米飼料用米は 畜産農家の減少に伴う需要量減少の懸念があることから 自給飼料生産の推進と地域内での耕畜連携の取組をさらに進めることにより 今後も現状のを維持していく イ米粉用米米粉用米は 需要の伸び悩みや 等への転換もあり 近年作付は横ばいである 今後は 食品事業者等との連携を進めることにより 新たな需要を喚起することや 産地交付金も活用しながら 現状のを維持していく
ウ新市場開拓用米将来を見据えて 輸出など新たな市場の開拓を検討し 需要の掘り起こしを行っていく エ WCS 用稲耕畜連携を進める手段の一つとして 地域の畜産農家の需要に応じて取り組むこととし 畜産農家と結びついた取組を進めていく オは 近年の米価推移により 主食用米との収益の乖離が進んでいる一方 地元酒造メーカーからの酒造好適米とあわせた継続的な県産の需要等に対し 十分に供給できておらず 生産拡大を図る必要がある は主食用米と同様の機械装備や生産技術等が活用でき 最も取り組みやすい品目であり 酒造メーカー等の需要と直結した複数年契約や 契約栽培等出荷相談先リストなどによる契約栽培の取組を推進することにより生産拡大を図っていく (4) 麦 大豆 飼料作物麦 大豆は 土地利用型農業を進める上で米と並ぶ重要な作物である 県内の食品事業者と結びついた高タンパク小麦の契約栽培など 県産で品質の優れた麦 大豆に対する醤油醸造会社 製麺 製パン業者等からの特定需要がある 水稲 麦 大豆等の輪作体系の中で 麦の排水対策 大豆の難防除雑草対策を進め 実需者の求める品質向上や収量増につなげ の拡大を進めていく 飼料作物は 自給飼料生産の推進と地域内での耕畜連携の取組として現状のを維持していく (5) そば なたね地域特産作物として 各地域で定着しているが 今後大幅な需要の増加は見込まれないため 産地交付金も活用しながら 現状のを維持していく (6) 高収益作物 ( 野菜等 ) 野菜は これまで兵庫県認証食品を中心として作付拡大を図ってきたことにより 県内の野菜生産量に対する兵庫県認証食品の割合は一定程度高まってきた しかし 県内の野菜消費量に対する県産野菜のシェアは低い状況にあるため 兵庫県認証食品を含む野菜の安定的な生産体制の構築が必要である このため 法人経営体や認定農業者等の担い手を中心に 先進的技術等を活用した施設野菜や省力化技術を活用した露地野菜の生産体制の強化や産地化を進めていく (7) 畑地化の推進水田での利用が難しい地域などについては 水田の畑地化を検討し 高収益作物の作付拡大につなげる
3 作物ごとの作付予定面積 作物 平成 29 年度の 平成 30 年度の作付予定面積 平成 32 年度の作付目標面積 主食用米 29,581 30,195 31,200 酒造好適米 6,213 6,000 6,000 飼料用米 327 323 300 米粉用米 30 29 30 新市場開拓用米 7 27 30 WCS 用稲 775 804 650 688 520 650 備蓄米 0 0 0 野菜 9,431 9,454 9,500 麦 2,410 2,410 2,450 大豆 2,680 2,680 2,0 飼料作物 2,520 2,520 2,500 そば 275 258 260 なたね 20 19 20 その他地域振興作物 2,640 2,640 2,650 小豆果樹花き 花木地力増進作物景観形成作物 690 690 0 4 課題解決に向けた取組及び目標 整理番号 対象作物使途名目標 現状値 目標値 1 2 の取組助成 ( 生産性 品質向上助成 ) 1 戸あたりの種子更新率 (29 年度 )0.3ha (29 年度 )69.3% (32 年度 )0.6ha (32 年度 )75% 3 4 の取組 ( 結びつき強化支援 ) ( 複数年契約 ) (29 年度 )30ha (32 年度 )450ha 5 6 飼料用米 飼料用米の取組 ( 生産性向上 担い手支援助成 ) 飼料用米 1 戸あたりの (29 年度 )1.8ha (32 年度 )2.1ha 7 8 新市場開拓用米 新市場開拓用米の取組 ( 担い手支援 ) 新市場開拓用米の種子更新率 (29 年度 )7ha (29 年度 )69.3% (32 年度 )32ha (32 年度 )75%
9 野菜 施設野菜 ( 法人支援 ) 施設野菜 ( 農業法人 ) の (29 年度 )39ha (32 年度 )42ha 10 野菜 施設野菜 ( 認定農業者等支援 ) 施設野菜 ( 認定農業者 等 ) の (29 年度 )259ha (32 年度 )262ha 11 12 野菜 露地野菜 ( 法人支援 ) 露地野菜 ( 農業法人 ) の (29 年度 )169ha (32 年度 )172ha 13 14 野菜 露地野菜 ( 認定農業者等支援 ) 露地野菜 ( 認定農業者 等 ) の (29 年度 )1,353ha (32 年度 )1,364ha 15 16 飼料用米 米粉用 米 ( 多収品種 ) 飼料用米 米粉用米の 多収品種の導入助成 飼料用米 1 戸あたりの米粉用米 1 戸あたりの (29 年度 )1.8ha (29 年度 )0.6 ha (32 年度 )2.1ha (32 年度 )1.0ha 17 18 の複数年契 約 (3 年間 ) 助成 1 戸あたりの (29 年度 )0.3ha (30 年度 )0.4ha 19 そば なたね ( 油 糧用 ) そば なたねの 取組助成 そばの なたねの (29 年度 )275ha (29 年度 ) 20ha (32 年度 )260ha (32 年度 ) 20ha 20 新市場開拓用米 新市場開拓用米取組 拡大助成 新市場開拓用米の (29 年度 )7ha (32 年度 )30ha 21 - 畑地化の取組取組面積 (29 年度 )0ha (32 年度 )3ha 必要に応じて 面積に加え取組によって得られるコスト低減効果等についても目標設定してください 目標期間は 3 年以内としてください