HILS実装のためのプラントモデリングツールの活用

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HILS 実装のためのプラントモデリングツールの活用 MathWorks Japan アプリケーションエンジニアリング部 ( 制御 ) アプリケーションエンジニア新井克明 2016 The MathWorks, Inc. 1

ハードウェアインザループシミュレーション (HILS) 制御対象の振る舞いを模擬し 試作 量産コントローラの機能検証を行うアプローチ 実機を利用したテストよりも再現性高くテストシナリオの繰り返し実施が可能 実機では再現させにくい故障モード等の機能評価が容易 実際の制御対象 Test 実機での評価 適合 量産 / 試作 ECU 実際のコントローラと制御対象を用いた機能 性能評価 実機挙動を再現したモデルをシミュレータに実装 量産 / 試作 ECU HILシミュレータプラントモデル HIL シミュレータによるコントローラの機能評価 HILS シミュレータを活用した コントローラの機能評価 PCG&SIL/PIL 量産コード生成 & 等価性検証 シミュレータでの 入念な機能検証を経て 実機による本テストに移行 2

HIL シミュレーション環境構築のための MathWorks ツールチェーン Simulink の最新機能を活用したリアルタイムシミュレーション環境を実現できます プラントモデリング 本セッションで注目するポイント データモニタリング パラメータ適合 テストシナリオ管理 実行 MATLAB Simulink Stateflow MATLAB&Simulink および SLRT Explorer ( 2) 他社製適合ツール / ユーザーアプリケーション Simulink Test Simscape MATLAB Coder Simulink Coder 専用 HW Speedgoat ( プロセッサボード +IO ボード ) モデルのリアルタイム 入出力のシミュレーション HDL Coder ( 1) FPGA 搭載 IO ボード ベンチマーク環境 Powertrain Blockset Simulink Real-Time 1: Simscpe および Powertrain Blockset は HDL コード生成に対応していません 2: Simulink Real-Time 付属の測定 / 適合用 GUI 3

MathWorks が提供するプラントモデリングツール [ 本セッションでのキーポイント ] HILS 環境実装のためのプラントモデリングツールの機能向上や各種 Tips を紹介 Simulink ベース パワートレインコンポーネントによるプラントモデリング Powertrain Blockset Simscape ベース マルチドメインコンポーネントによるプラントモデリング Simscape 数式によるプラントモデリング Simulink 4

アジェンダ - HILS 実装のためのプラントモデリングツールの活用 - プラントモデルの HILS 運用への課題とアプローチ HILS 実装で使えるプラントモデリングツールと利用方法 Powertrain Blockset (Simulink) Simscape まとめ 5

デスクトップでのプラントモデルのシミュレーション オフラインシミュレーション : 可変ステップソルバーでの演算が一般的 固定ステップに較べて一般的に演算精度が高い モデルの振る舞いに応じてステップサイズを可変にして演算 ( 演算負荷は時間軸において不均等 ) システムのダイナミクスが大きい場合に詳細度上げて ( タイムステップを細かく ) 演算 可変ステップソルバー : コード生成には非対応 HILS 実装にあたっては固定ステップでの演算が必要 6

HIL シミュレータでのプラントモデルのシミュレーション オンラインシミュレーション : 固定ステップソルバーで演算 ( コード生成された形で実装 ) 一定のタイムステップでモデルを実行 ステップサイズと精度はトレードオフの関係 演算精度と安定性を保てるステップサイズの検討 ユーザーが指定できるステップサイズ 設定可能なステップサイズ (CPU のオーバーラン限界 ) ー : 可変ステップー : 時間分割数 N = 20 ー : 時間分割数 N = 10 ー : 時間分割数 N = 8 演算精度を確保するためのタイムステップ HIL シミュレータ プラントモデルの実行時間 モデルのシミュレーション実行 入出力処理 / その他ステップサイズ アイドル HIL シミュレータの演算性能の制約 モデルの忠実度とリアルタイム性のバランスの検討が必要 7

HILS でリアルタイム性能と演算精度を保つためには 粗いタイムステップでも安定した演算を行えるようなモデルにする 本セッションで取り扱うトピック 1 モデルの演算ロバスト性の向上 ユーザーが指定できるステップサイズ ソルバー ( 計算エンジン ) 自体の性能向上 ソルバーの選択 設定可能なステップサイズ (CPU のオーバーラン限界 ) モデルの詳細度 規模の見直し プラントモデルの実行時間 モデルのシミュレーション実行 入出力処理 / その他 アイドル 時間 2 リアルタイム OS/ シミュレータ HW の演算能力の向上 マルチコアによる並列実行 より細かいタイムステップ時間への対応 ハイスペックなプロセッサの採用 タイムステップを細かくできるように演算速度を上げる FPGA への実装 資料末尾の参考情報参照 8

アジェンダ - HILS 実装のためのプラントモデリングツールの活用 - プラントモデルの HILS 運用への課題とアプローチ HILS 実装で使えるプラントモデリングツールと利用方法 Powertrain Blockset (Simulink) Simscape まとめ 9

パワートレイン向けプラントモデリングツール Powertrain Blockset Simulink ベースのオープン & カスタマイズ可能なライブラリ パワートレイン用テンプレートモデル ライブラリの提供 燃焼エンジン搭載一般乗用車 電動自動車 (HEV / EV) 汎用エンジン ( ダイナモと接続された SI / CI) パラメータスタディ HILS 実装に利用可能な軽快なモデル 高速実行可能な車両シミュレーションを活用してパラメータ最適化 HILS 実装が可能 標準ドライブサイクル スタンダードへの対応 MDF ファイルの読み込み 10

HILS への Powertrain Blockset の活用 プラントモデリングのスタートポイントしてテンプレートモデルを活用 HILS 実装を意識したシミュレーションスピードの速いテンプレートモデルを各種提供しています 1 テンプレートモデルからスタート 2 コンポーネント詳細度の切り替え 3 固定ステップソルバーへ切り替え ヘルプ Examples Mapベースの部品を提供 < ダイナミクス有り > (e.g.) 車両モデル 燃焼エンジン搭載車両 HEV EV < マップベース > バリアントから選択 11

ステップサイズの変化に注目したリアルタイム実行可否の判断 可変ステップソルバー実行時のステップサイズを参考に 固定ステップサイズを検討 ステップサイズが変化する理由 変化タイミングの検出 ( ゼロクロッシング ) 積分演算の許容誤差収束のため ステップサイズの回復が緩やかな場合 固定ステップで演算する場合でも小さなステップサイズが必要となる可能性あり シミュレーション中ほとんどがステップサイズが 0.01s 素早いステップサイズの回復 イベント 緩やかなステップサイズの回復 >> semilogy(tout(1:end-1),diff(tout),'-x') 12

ステップサイズ等の指標はソルバープロファイラーでチェック ソルバープロファイラー : シミュレーション指標確認用ユーティリティ (Simulink 標準機能 ) ステップサイズの可視化 イベントの監視 ゼロクロッシング ソルバーリセット 該当ブロックへのジャンプ 13

ソルバープロファイラーで Powertrain Blockset の演算の様子をチェック HILS への実装を意識した精度とスピードがバランスしたテンプレートモデルを提供 ほとんどの実行時間 >100μsec に集中 イベント発生時もステップサイズの回復が早く演算が復帰 素早いステップサイズの回復 = 固定ステップ実行でも精度を保ちやすい マルチーモード HEV モデルでのステップサイズの変化の様子 ( 可変ステップ ode23tb ソルバー ) 14

シミュレーション設定変更時の結果レビュー 比較を SDI で簡単に実施 Simulation Data Inspector (SDI): シミュレーション結果の可視化 差分比較ツール Scope ブロック無しで信号をダイレクトにロギング シミュレーション結果を蓄積 演算結果 / 信号ごとに結果を比較可能 15

Powertrain Blockset のリアルタイム実行時のベンチマーク Simulink ベースでモデリングされているため高速な演算が可能です Conventional Vehicle Engine type Average Turnaround (s) Maximum Turnaround (s) SI 15.3E-6 19.2E-6 SI Mapped 09.6E-6 11.1E-6 CI 14.9E-6 17.8E-6 CI Mapped 09.7E-6 16.4E-6 Electric Vehicle Engine type Average Turnaround (s) Maximum Turnaround (s) Dynamic 07.4E-6 09.9E-6 Mapped 07.7E-6 10.5E-6 テスト環境のスペック CL630 ATX mainboard Intel Core i7 3.5 GHz CPU 4GB DDR3 RAM (2x2GB) 60GB SSD Simulink ソルバー ode4 with FixedStep of 0.001 sec. ( 本ベンチマークは R2016b リリースでの実施結果です ) 16

アジェンダ - HILS 実装のためのプラントモデリングツールの活用 - プラントモデルの HILS 運用への課題とアプローチ HILS 実装で使えるプラントモデリングツールと利用方法 Powertrain Blockset (Simulink) Simscape まとめ 17

物理モデリング支援ツール Simscape パワエレ/電力系統 動力伝達 1D駆動系 回路図ベースの複合物理モデリング https://jp.mathworks.com/products/simscape.html Simscape Power Systems 電子回路 アナログ/デジタル/センサ Simscape Electronics Simscape Driveline 熱流体 油圧回路 Simscape Fluids 機構 3Dマルチボディ系 Simscape Multibody 18

Simscape なら技術領域を横断した物理システムのモデリングが可能です ハイブリッド自動車 Simscape Driveline 機械系モデル 制御電気機械 ギア 差動ギア タイヤ 車両ボディエンジン 遊星ギア 三相モータ 三相発電機 三相インバータ DC/DCコンバータ バッテリー Simulink と Stateflow による制御ロジック Simscape PowerSystems 電気系モデル 19

Simscape の HILS 実装に向けた関連する機能改善 リリースを重ねるごとに様々な改善が行われています Simscape ハードストップ演算スムージングオプション追加 (R2017b) 摩擦演算スムージングオプション追加 (R2017a) HILS 実装に関するヘルプドキュメントもあります 油圧システムのドライノード検出 (R2016b) ローカルソルバーの改良 (R2016a) Simscape Driveline ベルトプーリー : 遠心力を無視 (R2017b) 20

Simscape におけるプラントモデルの演算速度の向上のアプローチ 精度と演算速度のバランスを踏まえて HILS 実装に向けてモデルを検討 モデルの設計とブロックパラメータ ソルバーの設定 プラントモデル & パラメータ Simulink ソルバー 3 コード生成 & 実装 4 HIL シミュレーション Simscape ローカルソルバー 2 高速化の検討 1 シミュレーション 演算結果のチェック ソルバープロファイラー リザルトエクスプローラー (Simscape) 変数ビューワー (Simscape) 21

HILS 実装に向けて Simscape で具体的に検討できること Simscape ローカルソルバーおよびグローバルソルバー構成の最適化 物理ネットワークごとに異なるソルバー構成を指定できる機能を活用 モデルをリアルタイム実行するために 固定ステップのグローバルソルバーと各ローカルソルバーを個別に構成 Simulink ソルバー Simscape ローカルソルバー シミュレーション速度を低下させる影響の原因となる要素を除去 / 修正 不連続点を発生させる要素時定数が小さく 急激な変化を引き起こす要素 ハードストップまたはバックラッシュ 剛性が高いバネ + 減衰が最小限の小さな質量 スティックスリップ摩擦 静電容量 インダクタンス 抵抗の小さい電気回路 スイッチまたはクラッチ 圧縮可能な小さなボリュームがある油圧回路 フィルターや遅延による不連続関数 ( ステップ変化 ) を平滑化複雑なコンポーネントを単純なモデルに置き換え複素方程式を その解を格納したルックアップテーブルで置き換え非線形コンポーネントを線形コンポーネントに置き換え 22

Simscape ローカルソルバーと物理モデルのパーティショニング Simscape ローカルソルバー : Simscape へ固定ステップでの演算方法を指定できます Simulink のグローバルソルバーとは別に ソルバータイプ / ステップサイズ / 収束演算回数を設定 後退オイラー (Backward Euler) ロバスト性を重視した設定 ( 振動が抑制 ) 台形積分 (Trapezoidal Rule) 精度を重視した設定 ( 振動を再現 ) Simscape ネットワークを切り分けて個別に設定も可能です グローバルソルバー Simulink モデル Simscape ローカルソルバー #1 Simscape 物理ネットワーク Simscape 物理ネットワーク Simscape ローカルソルバー #2 23

Simscape ローカルソルバー使用時のシミュレーションスピード向上 新しいリリースを利用することでシミュレーション速度が改善が望めます シミュレーションタイプ R2015b 所要時間 R2016a 所要時間 速度向上 デスクトップシミュレーション (Normal) 10.4 s 8.0 s 1.3 倍 デスクトップシミュレーション (RSim) (Simulink Coder にてコード生成 ) Simscape ローカルソルバー有効 (Simulink Coder (GRT) にてコード生成 ) 12.2 s 6.1 s 2.0 倍 15.2 s 3.1 s 4.9 倍 ( 例 : 約 200 ノードの中型電気ネットワークモデルのベンチマーク結果 ) 計算速度が重視される HILS での適用可能範囲も広がりました 24

HILS 実装のための Simscape モデルのカスタマイズ 例 : 空気圧モーター + 回転機構モデルの HILS 実行しやすいモデルとしてカスタマイズ 1 タイムステップの確認 2 パラメータの変更によるスムーズ化 3 結果の比較 25

個々の Simscape ブロックの演算結果やイベント発生状況を確認 Simscape Results Explorer Simscape ネットワーク内のシミュレーション結果の確認 シミュレーションスピードのボトルネックとなっている箇所をチェック ゼロクロッシングの発生状況のチェック ゼロクロッシングが発生した箇所 ソースへのリンク >> sscexplore(simlog) 26

Simscape モデルに対する設定項目のチェック パフォーマンスアドバイザー : 実行速度改善のためのチェックを支援 リアルタイムシミュレーションに有利な Simscape に関する設定をサジェスチョン アクティビティ : リアルタイムアプリケーションを実行 で Simscape の設定をチェック可能 27

アジェンダ - HILS 実装のためのプラントモデリングツールの活用 - プラントモデルの HILS 運用への課題とアプローチ HILS 実装で使えるプラントモデリングツールと利用方法 Powertrain Blockset (Simulink) Simscape まとめ 28

まとめ HILS 実装にも適用可能なプラントモデリングツールと活用方法を紹介 [ 本セッションでのキーポイント ] HILS 環境実装のためのプラントモデリングツールの機能向上や各種 Tipsを紹介 Powertrain Blockset Simulinkベースのパワートレイン用プラントモデリングツール HILS 実装も意識した精度とスピードがバランスしたテンプレートを提供 Simscape Simscape ローカルソルバーによる演算速度向上 シミュレーション高速化 安定化のための改善が続々追加実装 29

ご興味のあるお客様は是非 MathWorks にお問い合わせ下さい 環境構築のご検討の際には MathWorks にご相談下さいシミュレーションだけでなく 実機テストフェーズでも MATLAB&Simulink および各種プラントモデリングツール : トライアルライセンス (1 ヶ月 ) でご評価いただけます Simulink Real-Time: 評価用ハードウェアのお貸し出しが可能です プラントモデリングツールの活用をご検討下さい! < お問い合わせ先 > 御社営業担当または MathWorks ウェブサイト http://jp.mathworks.com/company/aboutus/contact_us/index.html 30

Accelerating the pace of engineering and science 2017 The MathWorks, Inc. MATLAB and Simulink are registered trademarks of The MathWorks, Inc. See www.mathworks.com/trademarks for a list of additional trademarks. Other product or brand names may be trademarks or registered trademarks of their respective holders. 31

参考資料 32

Speedgoat のハードウェアバリエーション Performance Mobile Baseline プロセッサ Intel Core i7 3.5GHz (4 core) プロセッサ Intel Core i7 2.5GHz (2 core) プロセッサ Intel Quad Core 2GHz メモリ /HDD 4GB / 64GB-SSD メモリ /HDD 4GB / 64GB-SSD メモリ /HDD 4GB / 64GB-SSD 用途 / 特徴 用途 / 特徴 用途 / 特徴 ラボ向け据え置き型筐体 HIL/RCP 用途 ハイスペックなプロセッサを活用して演算負荷の大きいプラントモデルを実行 フィールド 車載テスト向けハードウェア RCP 用途 省スペース /CPU パフォーマンスのバランス型 ファンレス仕様 小型のエントリーモデル RCP 用途 ( バイパス開発 ) コンパクトなハードウェア構成 19cm( 幅 ) 19cm( 奥行 ) 8cm( 高さ ) ( 拡張スロット無しの場合のサイズの目安 ) 33

リアルタイム OS/ シミュレータ HW の演算能力の向上 シミュレータ HW の演算能力の向上 Simulink Real-Time/Speedgoat の場合 - 実行したいモデルの規模に応じたプロセッサの選択 or FPGA ボードでモデルを分割演算 FPGA プロセッサ Speedgoat Performance Dual Xeon CPUs (24core) Intel Core i7 4.2GHz (4 core) Intel Core i7 3.5GHz (4 core) Speedgoat Mobile Intel Core i7 2.5GHz (2 core) Speedgoat Baseline プロセッサと FPGA でモデルを分散処理 Speedgoat IO342 FPGA ボード プロセッサ Xilinx Kintex UltraScale FPGA (1450k) 5520 DSP slices 8 GB DDR4 RAM Two FMC slots Intel Quad Core 2GHz HDL Coder による FPGA 実装は固定小数点設計された Simulink の一部ライブラリのみをサポートします 34

リアルタイム OS/ シミュレータ HW の演算能力の向上 リアルタイム OS の演算能力の向上 - Simulink Real-Time/Speedgoat の場合 - マルチコア同時実行モード 同一ステップサイズのモデルを分割実行 Polling モード ベースタスク ( 最も細かいサンプル時間のタスク ) を固定したコアで常に実行 タスク実行時間のスパイクを最小化 スケジューラのオーバヘッド削減 Base-rate Task をコア固定で実行 Core Task Core Task I/O Core Task Core Task Suspended Task Task Task 35

Simscape モデルのマルチコアでの分散処理 e.g. IEEE 123 ノードモデル 個々のネットワークに対して ( マルチコアでの ) 同時実行タスクをアサイン サブネットワーク間は Simulink 信号として電圧 - 電流をインターフェイス サブネットワークは異なるソルバー設定をもつことができます powergui solver settings: - Discrete (EMT) - Phasor 36

マルチコアでのタスク実行時間 (Task Execution Times: TET) ~25 µs ネットワークの演算周期 150μsec に対して 25μsec で演算を終了 ( ベンチマーク環境 ) Speedgoat with Intel quad-core i7 (4 GHz) 37