1. はじめに 足元までの北海道経済においては インバウンド客を中心とした観光需要増加が明確になりつつある状況です 加えて 本年 3 月には北海道新幹線が開業するなど 観光需要の増加を 機会 と捉える道内企業が多くなっています こうした外部環境の変化をふまえ 北海道銀行では従来以上に北海道観光の発展

Similar documents
北海道新幹線開業による地域経済への波及効果と課題 1 JR 北海道が発表した資料によれば 北海道新幹線開業後 1 ヵ月間 (3 月 26 日 ~4 月 25 日 ) までの一日平均利用者数は 約 5,600 人 前年同曜日期間の在来線特急 急行列車と比べて約 2 倍の利用となった 週刊ホテルレストラ

Ⅰ 事業所に関する集計 1 概況平成 26 年 7 月 1 日現在の本道の事業所数 ( 国及び地方公共団体の事業所を含む 事業内容不詳の事業所を含む ) は 25 万 3,139 事業所 従業者数は 245 万 7,843 人となっており 全国順位は 事業所数 従業者数ともに 東京都 大阪府 愛知県

平成22年7月30日

調査要領 1. 調査の目的 : 人口減少による労働力不足が懸念されるなかで 昨年 4 月には女性活躍推進法 ( 正式名称 : 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律 ) が施行されるなど 女性の社会進出がさらに進むことが期待されている そこで 女性の活躍に向けた取り組み状況について調査を実施す

< 業種別 > 2 製造業主要判断 の推移 製造業 29/ /3 見込 /6 予想 < 製造業 > 当期 は 8.0( 前期比 -1.7) 当期 は 9.1( 同 -8.9) 当期 は 5

Microsoft Word - 5_‚æ3ŁÒ.doc

北海道ドライブ観光促進社会実験 実施結果 1 例N 3を表示凡アプリ利用者の属性 実験期間中 1,211 人の外国人観光客が北海道内でアプリ Drive Hokkaido! を利用 ( 実験期間中の全道の外国人レンタカー貸渡台数 19,543 台の約 6% に相当 ) 国 地域別では香港 シンガポー

平成22年7月30日

目次 アンケート回答者属性 企業向けアンケート 弁理士向けアンケートの回答者属性 P2 1. 標準化 1-1 企業 P3 1-2 弁理士 P7 2. データの取扱い 2-1 企業 P 弁理士 P14 本調査研究の請負先 : 株式会社サンビジネス 1

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

平成 29 年度下期新潟市景況調査 ( 本報告 ) Ⅳ テーマ別調査結果 93

目次 要旨 1 Ⅰ. 通信 放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信 放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信 放送業界の業績動向 6 (3) 国民

< 業種別 > D.I. 2 製造業主要判断 D.I. の推移 製造業 30/ /9 見込 /12 予想 < 製造業 > 当期 は 24.5( 前期比 +0.8) と景況感は横ばいであった

リオおよび東京五輪に対する埼玉県内企業の意識調査

2. 本市の上期観光入込客数について平成 27 年度上期観光入込客数は 総数 377,300 人で 前年の 351,600 人より 25,700 人 7.3% の増となった その内訳として 道内客が 84,900 人で 前年の 94,200 人より 9,300 人 9.9% の減 道外客が 292,

2. 中途採用をしたことがあるか 中途採用をしたことがある企業は 全体の 95% で あった 調査対象を 右表の 7 つの業種グループに 分類してそれぞれの傾向を分析すると 建設業 運 輸業 サービス業ではすべての企業が中途採用をし たことがあると回答した その他の業種グループで も 9 割前後の企

Microsoft Word - 報告書.doc

News Release 2018 年 8 月 1 日 香川県内民間企業の 2018 年夏季ボーナス支給見込み アンケート調査結果について 百十四銀行 ( 頭取綾田裕次郎 ) では 香川県内に本社または主工場をもつ民間企業 640 社を対象として 2018 年夏季ボーナスの支給予想について アンケー

滋賀県内企業動向調査 2018 年 月期特別項目結果 2019 年 1 月 滋賀銀行のシンクタンクである しがぎん経済文化センター ( 大津市 取締役社長中川浩 ) は 滋賀県内企業動向調査 (2018 年 月期 ) のなかで 特別項目 : 働き方改革 ~ 年次有給休暇の取得

2015 年 6 月 19 日 ジェトロバンコク事務所 タイ日系企業進出動向調査 2014 年 調査結果について ~ 日系企業 4,567 社の活動を確認 ~ 1. 調査目的 タイへの日系企業の進出状況については 2008 年当時の状況について ( 独 ) 中小企業基盤 整備機構が タイ日系企業進出

(Taro-\222\262\215\270\225[.A4\207B.jtd)

質問1

新規文書1

目 次 [Ⅰ] 調査方法 2 [Ⅱ] 地域区分図 3 [Ⅲ] アンケート調査票 4~5 [Ⅳ] 第 2 回不動産市況 DI 調査結果の概要 6 [Ⅴ] 設問ごとの回答内訳 [-1] 設問 2,3( 住宅地価格 ) 7~9 [-2] 設問 2,3( 商業地価格 ) 10~12 [-3] 設問 2,3(

平成 29 年 1 月 25 日 北海道ドライブ観光パス社会実験 ( 仮称 ) のパートナーを募集! ~ 民間アプリを活用し外国人レンタカー利用者のデータを収集 ~ 北海道開発局では 平成 29 年度に 北海道ドライブ観光パス社会実験 ( 仮称 ) を実施する予定です 今般 スマートフォンのアプリケ

2. 有期契約労働者を雇用しているか 設問 1 パート アルバイト 契約社員 嘱託 派遣社員などの有期契約労働者を雇用していますか 選択肢 1 雇用している 2 雇用していないが 今後雇用する予定 3 雇用していないが 以前雇用していた 4 雇用しておらず 今後も雇用しない予定 全体

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

熊本商工会議所 製本第四四半期(HP・報道機関用)

最終デジタル化への意識調査速報

平成 23 年 11 月 17 日 問い合わせ先 国土交通省土地 建設産業局土地市場課課長補佐松本浩 係長塩野進代表 : ( 内線 :30-214) 直通 : 土地取引動向調査 ( 平成 23 年 9 月調査 ) の結果について 1. 調査目的 本調査

学生の確保の見通し等を記載した書類

熊本商工会議所 製本第四四半期(HP用)

「北海道における外国人観光客の消費動向と今後の誘致の課題」

調査結果 外国人労働者の受入れについて 自分の職場に外国人労働者が いる 28% 情報通信業では 48% が いる と回答 全国の 20 歳 ~69 歳の働く男女 1,000 名 ( 全回答者 ) に 職場における外国人労働者の受入れ状況や外国人労働者の受入れに対する意識を聞きました まず 全回答者

分野別目次

キャッシュレス決済導入に関するアンケート調査報告 調査先 : 当所会員事業所のうち 小売業 飲食店 宿泊業 生活関連サービス業を抽出 調査期間 : 令和元年 5 月 17 日 ~6 月 14 日 回答数 :70 事業所 回答事業所 業種 回答企業 業種 1 小売業 25 2 飲食店 27 3 サービ

14_(参考資料5)経済波及効果・サイクリング客数等の基礎的なデータ収集_180317(セット)

PowerPoint プレゼンテーション

CSR(企業の社会的責任)に関するアンケート調査結果《概要版》

平成 24 年 5 月 1 日 問い合わせ先 国土交通省土地 建設産業局土地市場課課長補佐松本浩 係長長瀨裕太代表 : ( 内線 :30-214) 直通 : 土地取引動向調査 ( 平成 24 年 3 月調査 ) の結果について 1. 調査目的 本調査は

スライド 1

17-22_調査2-6月号.indd

平成 30 年度上期観光入込客数状況について Ⅰ. 本市の上期観光入込客数の概要について 平成 30 年度上期観光入込客数は 総数 380,100 人で 前年の 399,700 人より 19,600 人 4.9% の 減となった (1) 道内客 道外客の状況 道内客が 98,200 人で 前年の 9

各 位 平成 27 年 5 月 11 日 会社名株式会社みちのく銀行代表者名取締役頭取髙田邦洋 ( コード番号 8350 東証第一部 ) 問合せ先経営企画部長須藤慎治 ( ) 第四次中期経営計画の策定について 株式会社みちのく銀行 ( 頭取髙田邦洋 ) は 平成 27 年 4

青函地域経済活性化フォーラム ( 第 2 回 ) 北海道新幹線開業による青函地域経済への波及効果等と課題 平成 28 年 5 月 27 日

アンケートの概要 平成 23 年度 平成 24 年度及び平成 25 年度グループ補助金の東北地域の交付先 7,927 に対しアンケートを実施し 5,809(73.3%) から回答があった ( アンケート調査は第 1 次 ( 平成 23 年 8 月 )~ 第 10 次 ( 平成 26 年 3 月 )

Microsoft PowerPoint - DL_saiyo_2017

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

ニュースリリース 中小企業の雇用 賃金に関する調査結果 ( 全国中小企業動向調査 2013 年 月期特別調査 ) 年 4 月 8 日株式会社日本政策金融公庫総合研究所 3 割の企業で正社員は増加 3 社に 1 社で給与水準は上昇 従業員数 2013 年 12 月において


01 年 月 1 人あたりオフィス面積の分布と推移 図表 1は 01 年の東京 区における 1 人あたりオフィス面積の分布で 中央値は.9 坪であった ( 半数のテナントは.9 坪より小さく 残りの半数のテナントは.9 坪より大きい ) 01 年 月 17 日 図表 1 1 人あたりオフィス面積の分

職業訓練に関するアンケート調査 ( 企業 ) 集計表 岩手労働局 産業分類別回答事業所数 1 ( 単位 : 社 ) = 回答数構成比 1 農林水産業 % 2 建設業 % 3 電気 ガス 水道業 % 4 情報通信

スライド 1

<4D F736F F F696E74202D E9197BF C A89EF8C CC82CC95818B798FF38BB52E >

北海道観光入込客数調査の内容と留意事項 1 北海道観光入込客数調査について本調査は 観光庁が定めた 観光入込客統計に関する共通基準 に準じて平成 22 年度に道が改正した 北海道観光入込客数調査要領 に基づき 観光入込客数などを推計したものです 2 調査内容 (1) 観光入込客数 ( 実人数 ) 市

○観光景勝地の整備及び管理事業等に対する補助金交付要綱

北海道観光入込客数調査の内容と留意事項 1 北海道観光入込客数調査について本調査は 観光庁が定めた 観光入込客統計に関する共通基準 に準じて平成 22 年度に道が改正した 北海道観光入込客数調査要領 に基づき 観光入込客数などを推計したものです 2 調査内容 (1) 観光入込客数 ( 実人数 ) 市

Ⅰ 観光振興計画制定の背景 1 観光による地域振興 観光立国推進基本法 に基づき策定された 観光立国推進基本計画 の中で 観光立国の実現は地域経済の活性化 雇用機会の増大 国民の健康の増進 潤いのある豊かな生活環境の創造 国際相互理解の増進等の意義を有するものである と位置づけられています また 東

Microsoft Word - ③調査仕様書.doc

42


(Microsoft PowerPoint \201y\221\3461\216l\224\274\212\372_\225\361\215\220\217\221HP\224\305\201z.pptx)

P.1 平成 28 年度タイ市場調査結果 北海道観光成 市場誘客促進事業 ( タイ市場 ) 概要編 公益社団法 北海道観光振興機構

<81798A6D92E8817A F925093C682C6834E838D83582E786C7378>

平成 21 年第 1 回 ( 平成 21 年 2 月 1 日実施 ) 鳥取県企業経営者見通し調査報告 目次ヘ ーシ 御利用にあたって 1 1 業界の景気判断 3 2 自己企業の売上高判断 5 3 自己企業の経常利益判断 7 4 生産数量の判断 9 5 在庫水準の判断 10 6 生産設備の規模判断 1

レンタカー業者の経営実態調査

構成 ヘルスケアサービスを担うインフラとしてのドラッグストア 日本におけるドラッグストア業界の発展 ドラッグストアに期待される役割 ドラッグストアを巡る環境の変化 1 高齢化社会 人口減少の進展 2 買い物弱者 への対応 3 他の小売業との競争激化 4 消費者に対する専門性認知の必要性 5 セルフメ

Microsoft PowerPoint - GM未替誓㕒朕絇稿㕂 _社åfi¡ã†®å�¦ã†³æfl¯æ‘´ã†¨ä¸�é•fl攡çfl¨ç−¶æ³†.pptx

PowerPoint プレゼンテーション

中国韓国シアレーシアランスメリカネガルイツギリスナダ取組 ➀ 英語で通行止め情報をリアルタイム発信別紙 1 外国人ドライバーへのアンケートで 91% が道路の通行規制情報等の提供を重視 北海道地区道路情報 ( 英語サイト ) を開設し 道路の通行規制情報を提供 (PC スマホ) 英語サイトでは 外国

Newsletterむさしの12.indd

東急不動産ホールディングス 統合報告書2017 4th Chapter 価値創造への戦略

TCS_AI_STUDY_PART201_PRINT_170426_fhj

<4D F736F F F696E74202D208DC58F498D65819A F E94C55F959B8BC681458C938BC682C991CE82B782E98AE98BC682CC88D38EAF92B28DB82E >

第5回 企業の取引リスクに対する意識調査

(社)日本監査役協会

第1回「若手社員の仕事・会社に対する満足度」調査   

訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート 調査の概要 訪日外国人旅行者を対象に 旅行中に困ったこと 受入環境 ( 多言語対応 通信環境 公共交通等 ) へのニーズ 満足度等に係るアンケートを実施した 訪日外国人利用者の多い成田国際空港 東京国際空港 関西国際空港を中心とした空港

「企業におけるオム二データ・オム二チャネル戦略に関する動向調査」 2014年9月4日

Newsletterむさしの_7.indd

リサーチ Press Release 報道関係者各位 2015 年 10 月 27 日 アウンコンサルティング株式会社 インバウンド PPC 取組み状況調査台湾 旅行業界編 ~ 日系企業のインバウンド取組み状況は?~ アジア 8 拠点で SEM( 検索エンジンマーケティング ) サービス インターネ

特許庁工業所有権保護適正化対策事業

News Release 報道関係各位 2013 年 6 月 11 日 ~1 都 3 県在住者を対象に 今年の夏休みの国内旅行について調査 ~ 今年の夏休みは 海外より国内派 その理由は 短い日程で行けるから 50 代 30 代男性 20 代女性の3 割以上が旅費を増やすと回答今後行きたい国内の世界

【別添3】道内住宅ローン市場動向調査結果(概要版)[1]

中小企業の雇用・賃金に関する調査結果(全国中小企業動向調査(中小企業編)2015年10-12月期特別調査)

目次 1. 調査概要 1 2. 調査結果の分析 2 第 1 部今回のローン担保証券 (CLO) について 問 1.CLO を知った経緯 2 問 2.CLO を利用した理由 メリット 5 問 3. 条件面でネックと感じたこと 改善を望むこと 8 問 4. 今回の募集に関して感じたこと 改善を望むこと

派遣社員の評価に関する 派遣先担当者調査結果

リスモン調べ 第4回 離婚したくなる亭主の仕事

Microsoft Word - Łñ“’‘‚†i…v…„…X†j.doc

訪日中国人観光客を対象とした『日本旅行』に関するアンケートの結果を公開

はじめに は 日本中の中小企業が今よりもっと容易に海外進出を果たす為の仕組みづくりとして 海外進出コンソーシアムを結成します このコンソーシアムは 当社と大手貿易支援企業のパートナー関係を中核とし 貿易に関して得意分野を持つ企業とのコラボレーションにより構成されます Copyright(C) 201

アンケート2012.key

景気見通し調査 ( 平成 25 年 3 月期 ) 調査結果 福井商工会議所 中小企業総合支援センター 調査の概要 当調査は 福井商工会議所管内の小規模事業所の短期的な景気動向を把握するため 毎年 3 月 6 月 9 月 12 月の年 4 回実施している 調査時期 平成 25 年 3 月 13 日 (

(Microsoft Word - Weekly\223\307\216\322\203A\203\223\203P\201[\203g\222\262\215\270\214\213\211\312\203\214\203|\201[\203g_No.1_Ver.3.0.doc)

中小企業の海外進出に対する意識調査

イノベーション活動に対する山梨県内企業の意識調査

人手不足に対する企業の動向調査

Microsoft PowerPoint アンケート調査

北海道MICE戦略(仮称)

Microsoft Word - ₥+ èª¿æŁ»ï¼›ï¼“çŽºè¡¨å¾„èª¤åŁŠä¿®æŁ£.docx

Transcription:

観光関連事業者向けヒアリング調査 結果概要 目次 1. はじめに... 2. 調査概要... 3. ヒアリング調査結果... (1) 観光入込客の動向に対する感想... (2) 北海道新幹線開業効果が当該地域へ与えるインパクト... (3) 観光需要が観光関連事業者の業績に与えるインパクト... (4) 観光関連事業者が今後注力したいターゲット... (5) 観光関連事業者が特に意識する 外部環境の変化... (6) 観光需要獲得に向けた優先検討事項... (7) 観光需要獲得に向けた設備投資計画... 4. さいごに ( 調査結果の考察 )... 2016 年 4 月

1. はじめに 足元までの北海道経済においては インバウンド客を中心とした観光需要増加が明確になりつつある状況です 加えて 本年 3 月には北海道新幹線が開業するなど 観光需要の増加を 機会 と捉える道内企業が多くなっています こうした外部環境の変化をふまえ 北海道銀行では従来以上に北海道観光の発展へ向けて貢献すべく その手法を検討する必要性があると認識 本年 1 月 観光需要に接する機会の多い業種に属する もしくは 既に観光関連事業に取り組んでいる事業者 ( 企業 ) 様へのアンケート形式でのヒアリング調査を実施いたしました 本調査結果からは 観光関連事業者が北海道観光の現状をどのように捉え いかなる問題 課題認識を抱えているのか という一端を把握可能だと考えられます そこで北海道銀行では 本調査結果を通じて観光に関与する幅広い主体間で観光関連事業者様の問題意識 課題点を共有していただくことが 各種の問題 課題解決 ひいては 北海道観光の発展の一助になるものと考え 本稿を公表することにいたしました 加えて 本調査結果をふまえ 北海道銀行では本年 4 月 1 日付で設置する観光推進専担部署 観光推進室 を中心に 本支店一丸となって北海道観光の発展に向けた取組みを加速させていくことも併せてご報告とさせていただきます 2. 調査概要 調査対象道内に本店所在地を置く観光需要に接する機会の多い業種に属する もしくは 既に観光関連事業に取り組んでいる事業者 ( 企業 ) 計 465 社を有意抽出 調査月平成 28 年 1 月 調査手法北海道銀行職員による聞き取り調査 ( 面談 電話等 ) ヒアリング回答事業者 ( 企業 ) 数計 354 社 ( 詳細は下表の通り ) < 業種別回答社数構成比 > < 地域別回答社数構成比 調査業種 調査対象回答数調査対象回答数構成比構成比地域別構成比構成比 ( 社 ) ( 社 ) ( 社 ) ( 社 ) (%) (%) (%) (%) 宿 泊 業 96 20.6 63 17.8 札幌 石狩 194 41.7 160 45.2 食料品製造業 86 18.5 70 19.8 十 勝 51 11.0 39 11.0 運 輸 業 80 17.2 65 18.4 道 北 48 10.3 35 9.9 小 売 業 74 15. 54 15. 道 南 48 10. 28 7. 外 食 業 58 12. 45 12. 後 志 27 5. 24 6. 卸 売 業 22 4.7 19 5.4 胆振 日高 28 6.0 19 5.4 不 動 産 業 8 1.7 8 2.3 オホーツク 20 4.3 18 5.1 物品賃貸業 12 2.6 8 2.3 空 知 26 5.6 16 4.5 そ の 他 29 6.2 22 6.2 道 東 23 4.9 15 4.2 合 計 465 100.0 354 100.0 合 計 465 100.0 354 100.0 ( 注 ) 業種は 主要事業内容にて分類 ( 注 ) 調査対象企業の本店所在地にて分類 - 1 -

3. ヒアリング調査結果 (1) 観光入込客の動向に対する感想 北海道への観光入込客は増加基調にありますが 当該地域( 貴社本店所在地 ) においても増加していると感じられますか という設問に対する回答結果は 以下の通りとなりました ( 回答社数 :354 社 ) 観光関連事業者の 68.4% が 当該地域における観光入込客が 増加している と感じている 地域別にみると 回答結果にバラつきが見受けられる ニセコ 小樽を含む後志地区では 急増している 回答した事業者が半数を超えるなど 実に 9 割以上の事業者が観光入込客増加を実感している 一方 道東地区 空知地区では 急増している と回答した事業者がゼロであった 道東地区は 減っている と回答した事業者が 1 割以上を占める他 少しでも 増えている と回答事業者が全体の半数に満たなかった 空知地区は 大半が 変わらない と回答 少し増えていると感じる 減っている の構成比も概衡しており 観光客増加を実感している事業者が非常に少ない < 全体 > 道北 道南 道東 胆振 日高 十勝 札幌 石狩 後志 空知 オホーツク 1. 急増していると感じる 2. 少し増えていると感じる 3. 変わらない 4. 減っている < 地域別にみ 0% 20% 40% 60% 80% 100% (2) 北海道新幹線開業効果が当該地域へ与えるインパクト 北海道新幹線が開業しますが 当該地域の観光入込客数にはどのような影響を予想していますか という設問に対する回答結果は 以下の通りとなりました ( 回答社数 :354 社 ) 回答事業者のうち約 6 割が 観光入込客の増加という好影響 を見込んでいる 地域別にみると 新幹線駅が開業する道南地区の他 地理的に近い後志地区 胆振 日高地区 そして 札幌 石狩地区において開業効果を見込む声が 6 割を超える 一方 道北地区 オホーツク地区 十勝地区 道東地区など道南地区から一定の距離を有する地区では 開業効果を期待する声が少ない < 全体 > 1. 急増すると思う 2. 少し増えると思う 3. 開業効果はないと思う 4. 減少すると思う < 地域別にみ 1. 急増すると思う 2. 少し増えると思う 5.9 55.1 61.0% が 開業効果を見込む 道北 道南 道東 胆振 日高 十勝 3. 開業効果はないと思う 38.1 札幌 石狩 後志 4. 減少すると思う 0.8 空知 オホーツク 0% 20% 40% 60% 80% 100% - 2 -

(3) 観光需要が観光関連事業者の業績に与えるインパクト 観光客による消費は 貴社の業績( 売上高 ) へどのように影響していますか という設問に対する回答結果は 以下の通りとなりました ( 回答社数 :354 社 ) 約 6 割の事業者が 業績を押し上げる効果がある と回答 主要業種で比較すると 宿泊業 小売業では 業績を押し上げる効果がある という回答が特に多い一方で 食料品製造業では 業績への影響がない という回答が半数を超えた < 全体 > 15.5 65.0% が 業績にプラスの効果と回答 25.4 82.5% が 業績にプラスの効果と回答 49.4 57.1 34.2 17.5 0.8 0.0 < 食料品製造業 > < 運輸業 > 2.9 48.6% 業績がにプラスの効果と回答 15.4 64.6% が 業績にプラスの効果と回答 45.7 49.2 51.4 35.4 0.0 0.0 < 小売業 > 0 10 20 30 40 50 24.1 70.4% が業績にプラスの効果と回答 11.1 60.0% が 業績にプラスの効果と回答 46.3 48.9 25.9 37.8 3.7 2.2-3 -

(4) 観光関連事業者が今後注力したいターゲット 貴社における今後特に注力したいターゲットはどの客層ですか いずれか一つをお選び下さい という設問に対する回答結果は 以下の通りとなりました ( 回答社数 :320 社 ) 今後特に注力したいと考えるターゲットは 道外客 ( 除く海外客 ) という回答が最も多かった もっ回答構成比をみる限り 道内客 海外客 との差は大きくない 地域別にみると 北海道新幹線開業効果を見据えている道南地区では 道外客 海外客 と回答する事業者が多い一方で 道内客 を最も注力したいターゲットとする事業者は少ない 外国人人気の高いニセコ 小樽を含む後志地区では 海外客 をターゲットして挙げる事業者が多い 十勝地区は 海外客 をターゲットとして挙げる事業者が少ない また オホーツク地区では 圧倒的 道外客 をターゲットとする事業者が多い 参考として インバウンド客のターゲットに挙げられた具体的な国 地域名としては 台湾 中国 香港訪日外国人来道者数のうち国 地域別で多い国 地域順の回答結果となっていた < 全体 > 0 10 20 30 40 50 1. 道内客 2. 道外客 ( 除く海外客 ) 3. 海外客 < 地域別回答 1. 道内客 2. 道外客 ( 除く海外客 ) 3. 海外客 27.5 34.1 38.4 道北 道南 道東 胆振 日高 十勝 札幌 石狩 後志 空知 オホーツク 0% 20% 40% 60% 80% 100% (5) 観光関連事業者が特に意識する 外部環境の変化 貴社が特に意識している観光関連産業を取り巻く 外部環境の変化 は 何でしょうか という設問に対する回答結果は 以下の通りとなりました ( 回答社数 :351 社 最大 3つまで回答可 回答数計 :797) 観光関連事業者が特に意識する外部環境の変化としては 少子 高齢化の進展による国内 道内客の減少 海外客の急増 インバウンド客の消費意欲の強さ などの回答が上位に入った 主要業種別にみると 宿泊業では 観光分野での人材不足 団体旅行から個人旅行というニーズの変化 を挙げる事業者が全体と比べて多い一方で インバウンド客の消費意欲の強さ に着目している事業者は少ない 食料品製造業では 食の安心 安全に対するニーズの高まり 海外における日本食ブーム を挙げる事業者が 他業種と比べて多い 運輸業では 団体旅行から個人旅行というニーズの変化 観光分野での人材不足 を挙げる事業者が全体と比べて多い 小売業では 海外客の急増 インバウンド客の消費意欲の強さ などインバウンド客による消費を意した回答項目が全体と比べて多い他 食品を取り扱う小売事業者を中心に 食の安心 安全に対するニーズの高まり を意識している声も多い 外食業では インバウンド客の消費意欲の強さ を特に意識している事業者が最も多い - 4 -

< 外部環境の中で特に意識している項目 > 回答選択肢全体宿泊業 食料品製造業 運輸業小売業外食 少子 高齢化の進展による国内 道内客の減少 22.7 25.8 27.1 23.9 20.2 16.8 海外客の急増 19.9 20.1 15.3 21.1 25.8 15.8 インバウンド客の消費意欲の強さ 13.6 6.9 11.1 9.2 16.9 24.8 食の安心 安全に対するニーズの高まり 13.2 5.7 25.7 3.5 18.5 11.9 団体旅行から個人旅行というニーズの変化 10.8 15.7 2.8 20.4 4.8 10.9 観光分野での人材不足 8.5 17.6 0.7 13.4 6.5 4.0 海外における日本食ブーム 5.3 0.6 10.4 2.1 4.8 11.9 体験型旅行 ( スポーツ 農業等 ) ニーズの高まり 2.6 1.9 4.2 2.8 0.8 3.0 無線 LAN 環境へのニーズの高まり ( 主に海外客 ) 1.5 1.9 0.7 2.1 1.6 1.0 ヘルス ( 医療 ) ツーリズムの可能性の高まり 0.8 0.6 0.7 1.4 0.0 0.0 事業継続計画 (BCP) 対策の必要性の高まり 0.6 3.1 0.0 0.0 0.0 0.0 ( 注 1) 上記は複数回答可 ( 最大 3 つまで ) その他 0.5 0.0 1.4 0.0 0.0 0.0 小計 100.0100.0 100.0 100.0 100.0 100. ( 注 2) 業種別回答社数構成比における色付きセル部分は 全体の回答社数構成比と比べて 構成割合が高い項目を示している (6) 観光需要獲得に向けた優先検討事項 観光需要獲得に向けて 貴社が検討していることを教えてください という設問に対する回答結果は 以下の通りとなりました ( 回答社数 :352 社 優先度の高いもの最大 3つまで回答可 回答数計 :740) 回答選択肢を多く用意したこともあり 回答が分散した こうした中 全体では 集客を図るための広宣伝の活発化 を挙げる事業者が最も多かった 次いで 食料品製造業 小売業 外食などを中心に 観光客をターゲットとした新商品の開発 を挙げる事業者が多い 全体を通じて 従業員の確保 新規採用 店舗 施設内での案内表示等の多言語化への対応 海外客への対応力強化を目的とした従業員教育 店舗 施設のリニューアル 既存営業エリア内での出店 など 増加する観光客を見据えた 受入体制の強化対策項目 を回答する事業者も比較的多い < 観光需要獲得に向けた優先検討事項 > 選択肢全体宿泊業 食料品製造業 運輸業小売業外食 集客を図るための広告宣伝の活発化 13.5 13.8 16.1 15.5 11.5 10.4 観光客をターゲットとした新商品の開発 12.7 6.9 21.2 6.2 16.0 17.7 従業員の確保 新規 ( 含む新卒 中途 ) 採用 12.6 14.5 7.6 17.8 12.2 9.4 店舗 施設内での案内表示等の 多言語化 への対応 12.3 11.3 11.0 10.9 16.0 13.5 海外客への対応力強化を目的とした従業員教育 8.1 6.9 7.6 11.6 7.6 7.3 旅行代理店 口コミサイト等との接点強化 7.7 12.6 6.8 7.8 3.8 9.4 検討していない 6.8 2.5 13.6 5.4 5.3 4.2 店舗 施設のリニューアル 既存営業エリア内での出店 6.1 13.8 0.8 2.3 6.1 7.3 宿泊 外食予約サイトの運営事業者との連携 4.9 6.3 3.4 4.7 2.3 6.3 国内 道内の他地域への進出 展開 3.6 0.6 1.7 1.6 6.9 5.2 免税店に関する設備 ( 含む更なる充実化 ) 3.2 1.9 2.5 0.8 9.2 3.1 クレジットカードなどの決済関連機能の充実化 2.7 2.5 1.7 5.4 2.3 1.0 店舗 施設内等における Wi-Fi 等の無線 LAN 整備 2.4 4.4 0.8 4.7 0.8 2.1 他の観光関連事業への参入 1.4 0.0 1.7 1.6 0.0 2.1 ムスリム ( ハラール等 ) への対応 0.9 1.3 2.5 0.0 0.0 1.0 その他 1.1 0.6 0.8 3.9 0.0 0.0 小計 100.0100.0 100.0 100.0 100.0 100. ( 注 1) 上記は複数回答可 ( 優先度の高いものから 3 つまで ) ( 注 2) 業種別回答社数構成比における色付きセル部分は 全体の回答社数構成比と比べて 構成割合が高い項目を示している - 5 -

(7) 観光需要獲得に向けた設備投資計画本調査では 観光需要獲得に向けた設備投資計画の有無についてもヒアリングいたしました 回答結果をみると 投資計画有り ( 予定あり ) と回答した事業者が 352 社中 2015 112 社となり年度内及び時期未定分も含めた設備投資計画金額は 約 760 億円 ( 計 84 社分 ) に達しました 投資計画先数ベースでは 宿泊業 運輸業 小売業の順に多い状況となりました なお 既に着工している大型工事分 ( インフラ関係 ) も投資計画金額の中には含まれています < 設備投資計画の有無 > 予定あり 31.8% (112 社 ) 当面予定なし 68.2% (240 社 ) 4. さいごに ( 調査結果の考察 ) 上記結果からは 北海道観光及び観光事業者が抱える課題点や特徴の一端が見受けられます 例えば (2) 北海道新幹線開業効果が当該地域へ与えるインパクト という設問に対する回答結果をる限り 道南地域と比較的距離のない地域では 地元にも開業効果が期待されるという声が多い一方 それ以外の地域では 開業効果を期待する声が少ない状況でした こうした回答結果をふまえると 北海道地域全体の課題としては 北海道新幹線開業効果を道内の広範囲に拡げていくための取組みを更に加速させていく必要性がある と指摘できそうです (4) 観光関連事業者が今後注力したいターゲット という設問に対する回答結果では 本店所在地別にみて注力したいターゲットに差異があると確認できます 道内各地域 各自治体の中には 観光 を地域活性化策の一つの柱として戦略 戦術を検討している場合も多い状況です 官 民が効果的に連携 協働していくためには 地域に属する観光事業者とその他の地域の主体間にて 誘客 受入ターゲットの目線が合っているのかという点を確認し 必要に応じて目線を合わせるための対話をすること が優先すべき課題であると考えられそうです (5) 観光関連事業者が特に意識する 外部環境の変化 という設問に対する回答結果からは 観光関連事業者が道内 道外客の減少という内需縮小懸念 ( 脅威 ) を受け止めていると言えます またそれと同時に インバウンド客の増加 や 団体旅行から個人旅行へ 食の安心 安全に対するニーズの高まり とた量的 質的な外部環境の変化を 機会 と捉えて行動する必要があるといった 観光関連事業者における問題 課題認識 が見受けられました (6) 観光需要獲得に向けた検討事項 という設問に対する回答結果からは 外部環境の変化 ( 機会 脅威 ) と自社の内部環境 ( 強み 弱み ) をふまえ 多種多様な検討事項 ( 対応策 ) が存在することが明確になったと理解できます この結果を大きく分類すれば 営業戦略 ( 販売促進 商品開発 ) 受入体制の整備 分類される項目が上位の回答結果となっており インバウンド客の増加を意識した検討事項が多いとも感じられる結果と指摘できます また 商品開発 という側面では ( 観光客向けの )PB 商品の共同開発 委託先を探している という小売業の声があった一方 ( 観光客向けの )PB 商品の製造受託などが増えいる という食料品製造業者の声もございました このように 観光需要の獲得に向けた異業種間 ( 川上 下企業間 ) 連携 協働という動きが少しずつ活発化している状況と受け止められそうです 以上 本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり 金融商品等の売買や投資などの行動を勧誘するものではありません 本資料の記載内容は 信頼できると考えられる情報源に基づいたものですが その正確性 完全性を保証するものではございません - 6 -

観光関連事業者向けヒアリング調査 結果概要 調査 発行企画 編集 株式会社北海道銀行株式会社道銀地域総合研究所 ( 本資料に関する内容照会先 ) 照会先株式会社道銀地域総合研究所経済調査部 ( 担当 : 坂野 ) 住所北海道札幌市中央区大通西 4 丁目 1 番地 TEL 011(233)3562