品質改善に取り組めば 生産性もアップ ~ ソフトウェア開発技術適用事例のデータ分析から見えてきたこと ~ 2016 年 5 月 12 日 独立行政法人情報処理推進機構技術本部ソフトウェア高信頼化センター ソフトウェアグループ 連携委員春山浩行 1
目次 取組み概要 取組みの背景 取組みの成果物 適用事例の特徴 適用分析の特徴 適用事例の分析結果から見えたこと JISAによる調査結果 どうやって 実践のヒント をみつけるか 書籍発行について紹介 今後に向けて 2
取組み概要 SEC セミナー 3
取組みの背景 1 社会生活になくてはならない製品 システムにおいて ソフトウェアが重要な位置付けとなり その信頼性の確保が重要視される 特に IoT(Internet of Things) で利用される機器やシステムの規模が拡大するに伴い それらを制御する ソフトウェア の不具合に起因する機器の故障や システムの停止が社会に与える影響は大きい 表多大な影響を与えた情報システム障害件数 ( 月平均件数 ) の推移 ( エンタプライズ系 ) 出典 : SECJournal Vol.10 No.6 Mar.2015 (IPA 刊 ) 情報システムの障害状況 2014 年後半データより 4
取組みの背景 2: 先進的な開発手法 技術の適用要求 複雑化 高度化する情報処理システムに対して 従来の技術 手法では事足りず 多くのケースで新たに先進的な開発技術 手法の適用が求められている 組込み系 プロジェクトマネージャのスキル向上開発技術 手法 ( 要件定義 設計 製造等 ) の向上 技術者の確保 プロジェクトマネージャのスキル向上 委託先の確保 能力向上 開発環境 ( ツール等 ) の整備 改善管理手法 管理技術 ( 見積り 品質管理等 ) の向上 プロジェクト 成果物の監査等の体制の強化 プロジェクトマネージャの確保 エンタプライズ系 開発技術 手法 ( 要件定義 設計 製造等 ) の向上 プロジェクトマネージャのスキル向上技術者の確保 技術者のスキル向上 プロジェクトマネージャの確保 開発環境 ( ツール等 ) の整備 改善 プロジェクト 成果物の監査等の体制の強化 管理手法 管理技術 ( 見積り 品質管理等 ) の向上委託先の確保 能力向上 出典 :2012 年度 ソフトウェア産業の実態把握に関する調査 報告書 (IPA/SEC 刊 ) 5
取組みの成果物 1IPAでは ソフトウェアの信頼性確保を実現するための 先進的な技術 手法 に着目して それらを実践した成功事例 ( ベストプラクティス ) を収集 取りまとめ IPA SECのWebサイトに公開 先進的な設計 検証技術の適用事例報告書 2013 年度版 先進的な設計 検証技術の適用事例報告書 2015 年度版 2 これらの 適用事例 からそれぞれの開発現場の課題を解決するヒントを得るために整理 分析し書籍化 事例に見る先進的な設計 検証技術の適用分析 58 件の事例を分析して先進的な技術 手法の適用に取り組むことで 得られた 知見 を解説するもの 解決したい課題とその 実践のヒント になる適用事例や適用技術 手法とを紐付けるもの 6
適用事例の特徴 1: 課題を解決した事例 技術 手法の解説だけでなく それをどのように現場に定着させたか / 現場で使いこなしたか等のノウハウを提供する 悩み 事例集 ガイドブック 喜び 7
適用事例の特徴 2: 多岐にわたる分野の事例 要件定義プロセス 運用プロセス 設計プロセス 検証プロセス 多岐にわたる 58 の好事例を収集 8
適用分析の特徴 1: 複数の分類軸を設け 事例の見える化 抱えている課題を解決するヒント として活用するために分類軸を設け 整理し事例の特徴の見える化を実施 分類軸 分類要素 課題のテーマ 品質詳細テーマ 結果 課題克服 副次効果発揮 更なる取組み設定新規取組み設定 設計系 検証系 工程 領域 エンタープライズ系 Web フロント系 組込み 制御系 技術 手法 ソフトウェアプロトタイプ開発モデル グローバル展開 9
適用分析の特徴 2: 課題 効果の項目 ( テーマ ) を細分化 全体傾向を知るために 品質は詳細な項目に細分化し QCD 以外の項目も取り上げて 課題 効果の見える化を実施 品質コスト納期 α システム / ソフトウェア製品品質 機能適合性 互換性 性能効率性 使用性 利用者の品質生産性 ( 対応時間短縮 ) 人材育成 意識改革 有効性 効率性 満足性 リスク回避性 プロジェクト マネジメント見積支援普及促進 信頼性 セキュリティ 利用状況網羅性 体制 ( 強化 再構築 ) 保守性 移植性 グローバル展開 10
適用事例の分析結果から見えたこと 1 取組み目的のトップは品質 品質 コスト 生産性 ( 対応時間短縮 ) 納期 アシュアランス ( 保証 ) 人材育成 意識改革 プロジェクトマネジメント 普及促進 体制 ( 強化 再構築 ) 障害原因の分析 見積支援 対象事例数 58 26 26 15 14 10 9 9 9 5 0 0 課題設定率 100% 45% 45% 26% 24% 17% 16% 16% 16% 9% 0% 0% グローバル展開 11
適用事例の分析結果から見えたこと 2 品質課題の中でも もっとも多い品質改善の目的は機能適合性と保守性が中心 ( トップ 2) 機能適合性 保守性 信頼性 性能効率性 移植性満足性使用性互換性 セキュリティ 有効性 効率性 リスク回避性 対象事例数 34 27 13 12 12 11 10 9 9 9 7 6 5 課題設定率 59% 47% 22% 21% 21% 19% 17% 16% 16% 16% 12% 10% 9% 利用状況網羅性 補足機能適合性 : 使用するときに 明示的および暗黙のニーズを満足させる機能を提供する度合い 保守性 : 保守者によって修正できる有効性や効率性の度合い 参考システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価 (ISO/IEC 25000 SQuaRE) システム及びソフトウェアの品質モデル JIS X 25010:2013(ISO/IEC 25010:2011) 製品品質モデル 8 特性 12
適用事例の分析結果から見えたこと 3 品質改善の目的第三位は適用領域毎の違いあり 機能適合性 保守性 満足性 12 9 7 57% 43% 33% 保守性 機能適合性 セキュリティ 6 4 4 50% 33% 33% 機能適合性 保守性 信頼性 18 12 7 55% 36% 21% 13
適用事例の分析結果から見えたこと 4 ねらいに対する効果を表す 課題克服の割合 は 97% と高く 成功事例として有益な情報であることを示している 全体課題設定効果発揮課題克服副次効果発生更なる取組設定新規取組設定 発生件数 287 362 278 84 44 61 割合 ( 率 ) - 126% 97% 29% 15% 21% 14
適用事例の分析結果から見えたこと 5 品質改善は 生産性 コスト 人材育成 にも副次効果を発揮 副次効果発揮割合とは 副次効果発揮事例数 全事例数 (58 件 ) 15
JISA による調査結果 1: 先進的な技術の認知度 着手度の検証 11 年の実績のある JISA( 情報サービス産業協会 ) による調査結果 認知度が低い & 着手意向が高い 認知度が高い & 着手意向が高い バブルサイズ ( 大きさ ) は SI 実績指数 着手指向指数 認知度が低い & 着手意向が低い 認知度 (%) 出典: 一般社団法人情報サービス産業協会平成 27 年度情報サービス産業における情報技術マップに関する調査報告 16 認知度が高い & 着手意向が低い 16
JISA による調査結果 2: 対象技術の先進度合の検証 17
どうやって 実践のヒント を見つけるか 18
どうやって 実践のヒント を見つけるか一度 あなたのプロジェクトの状態を整理してみましょう! 19
どうやって 実践のヒント を見つけるか抽出条件を満たす事例参照番号と適用技術 手法が判明 抽出条件 設計系 組込み 制御系 基本設計詳細設計 機能適合性保守性 20
どうやって 実践のヒント を見つけるか実際には 適用事例分類一覧表を活用して 抽出 21
5 月 11 日に刊行! 本書の特徴 現場への開発技術導入で得られるメリットを明確化 システムの開発 運用 保守時の課題とその解決策としての技術の関連付けを解説 技法や効果発揮項目などから課題解決のヒントとなる事例を効果的に探索 22
今後に向けて IoT 時代に向けてキーとなる技術 システムとシステムの関連 IoT 時代を見据えて 収集対象の事例の分野を以下の領域に注力 A) システムズエンジニアリング E) DevOps B) モデルベース開発 F) IoT 時代のエンタープライズ系と組込み 制御系 C) セキュリティ対応開発との連携の技術 D) 派生開発 G) サービス創出を支える技術 23
補足 : 事例に見る先進的な設計 検証技術の適用分析 から 1 適用技術で効果が出ている項目は何か 24
補足 : 事例に見る先進的な設計 検証技術の適用分析 から 2 適用技術で効果が出ているのは品質のどこか 25
補足 : 事例に見る先進的な設計 検証技術の適用分析 から 3 適用技術をよく使っている工程はどこ? 26
補足 : 事例に見る先進的な設計 検証技術の適用分析 から 4 適用技術をよく使っている工程はどこ? 企画 エンタープライズ系 運用 保守 企画 Web フロント系 運用 保守 企画 組込み 制御系 運用 保守 適用領域 適用工程 27
補足 : 事例に見る先進的な設計 検証技術の適用分析 から 5 併用している適用技術は何? 併用技術 手法 適用対象技術 手法 28
新試験はじまる! 情報セキュリティマネジメント試験 情報セキュリティの基礎知識から管理能力まで 組織の情報セキュリティ確保に貢献し 脅威から 継続的に組織を守るための基本的スキルを認定する試験 受験をお勧めする方 個人情報を扱う全ての方 業務部門 管理部門で情報管理を担当する全ての方 28 年度秋期試験実施時期 初回応募者約 2 万 3 千人!! 実施日 2016 年 10 月 16 日 ( 日 ) 申込受付 2016 年 7 月 11 日 ( 月 ) から
IT パスポート公式キャラクター上峰亜衣 ( うえみねあい ) プロフィール : マンガ https://www3.jitec.ipa.go.jp/jitescbt/html/uemine/profile.html i パス は IT を利活用するすべての社会人 学生が備えておくべき IT に関する基礎的な知識が証明できる国家試験です