「経済政策論(後期)」運営方法と予定表(1997、三井)

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1 各調整方式の比較 前提 : 法人実効税率 % 金融所得の税率 20% ( 配当軽課の場合の配当分の法人税率は 30%) 比較のポイント 適用税率 法人税率か所得税率か 金融所得課税一元化にマッチするか( 税率 損益通算 ) 簡素な制度か 特定口座への対応はか 法人の税負担は軽減されるか

Taro-入門ⅠA-2019.jtd

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

計算書類等

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

連結貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 当連結会計年度 ( 平成 29 年 3 月 31 日 ) 資産の部 流動資産 現金及び預金 7,156 受取手形及び売掛金 11,478 商品及び製品 49,208 仕掛品 590 原材料及び貯蔵品 1,329 繰延税金資産 4,270 その他 8,476

リリース

第4期 決算報告書

営業活動によるキャッシュ フロー の区分には 税引前当期純利益 減価償却費などの非資金損益項目 有価証券売却損益などの投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目 営業活動に係る資産 負債の増減 利息および配当金の受取額等が表示されます この中で 小計欄 ( 1) の上と下で性質が異なる取引が表示され

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平成 29 年 11 月期第 3 四半期決算短信 日本基準 ( 非連結 ) 平成 29 年 10 月 11 日 上場会社名 株式会社アメイズ 上場取引所 福 コード番号 6076 URLhttp:// 代表者 ( 役職名 ) 代表取締役社長 ( 氏名 ) 穴見

平成 31 事業年度 自平成 31 年 4 月 1 日 (2019 年 4 月 1 日 ) 至平成 32 年 3 月 31 日 (2020 年 3 月 31 日 ) 第 15 期 事業計画 ( 案 ) 本州四国連絡高速道路株式会社 - 0 -

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

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平成 29 年 12 月期第 3 四半期決算短信 日本基準 ( 非連結 ) 平成 29 年 11 月 7 日 上場会社名 株式会社太陽工機 上場取引所 東 コード番号 6164 URLhttp:// 代表者 ( 役職名 ) 代表取締役社長 ( 氏名 ) 渡辺 登 問

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キャッシュフローで考えよう! 意思決定の管理会計 解答編 第 1 章 [1. 1] 150,000 枚以下 A,50,000 枚以上 B 2 正しい 14.7 円 3 不利 4 受ける 5 有利 6 正しくない [1. 2] 132,000 個以下 A,32,000 個以上 B 21,600 円正し

精算表 精算表とは 決算日に 総勘定元帳から各勘定の残高を集計した上で それらに修正すべき処理 ( 決算整理仕訳 ) の内 容を記入し 確定した各勘定の金額を貸借対照表と損益計算書の欄に移していく一覧表です 期末商品棚卸高 20 円 現金 繰越商品 資本金 2

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「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

Microsoft Word 【公表】HP_T-BS・PL-H30年度

下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

第 16 回ビジネス会計検定試験より抜粋 ( 平成 27 年 3 月 8 日施行 ) 次の< 資料 1>から< 資料 5>により 問 1 から 問 11 の設問に答えなさい 分析にあたって 連結貸借対照表数値 従業員数 発行済株式数および株価は期末の数値を用いることとし 純資産を自己資本とみなす は


日商簿記 1 級 & 全経上級ダウンロード講座工原 No.17 構造的意思決定 出題実績 日商簿記 1 級 P7 を参照して下さい全経簿記上級 収録日 : 平成 25 年 10 月 1 日 検定簿記講義 サク スッキリ 教科書 ページ数 貨幣の時間価値 加重平均資本コスト率 正味現

第 3 期決算公告 (2018 年 6 月 29 日開示 ) 東京都江東区木場一丁目 5 番 65 号 りそなアセットマネジメント株式会社 代表取締役西岡明彦 貸借対照表 (2018 年 3 月 31 日現在 ) 科目金額科目金額 ( 単位 : 円 ) 資産の部 流動資産 負債の部 流動負債 預金

財剎諸表 (1).xlsx

損金経理と積立金経理の違い ( 圧縮超過額がない場合の基本構造 ) 例 A 社は 50の国庫補助金を得て 100で機械を取得した なお A 社の経常利益は 100 である * 仕訳の違い ( 単位 : 百万円 ) 損金経理積立金経理 補助金受贈と機械取得時の仕訳 ( 両者とも同じ ) 現金預金 50

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科目 期別 損益計算書 平成 29 年 3 月期自平成 28 年 4 月 1 日至平成 29 年 3 月 31 日 平成 30 年 3 月期自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 ( 単位 : 百万円 ) 営業収益 35,918 39,599 収入保証料 35,765 3

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

相続対策としての土地有効活用

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

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3. その他 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) 無 (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 無 2 1 以外の会計方針の変更 無 3 会計上の見積りの変更 無 4 修正再表示 無 (3)

スライド 1

IFRS基礎講座 IAS第21号 外貨換算

( 資産の部 ) ( 負債の部 ) Ⅰ 特定資産の部 1. 流動負債 366,211,036 1 年内返済予定 1. 流動資産 580,621,275 特定社債 302,000,000 信託預金 580,621,275 事業未払金 2,363, 固定資産 6,029,788,716 未払


税調第20回総会 資料2-1

株式会社ゴールドクレスト (8871) 平成 26 年 3 月期第 1 四半期決算短信 添付資料の目次 1. 当四半期決算に関する定性的情報 2 (1) 経営成績に関する説明 2 (2) 財政状態に関する説明 2 (3) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明 2 2. 四半期連結財務諸表 3

平成25年度 第134回 日商簿記検定 1級 商業簿記 解説

第10期

第 部 B/S とキャッシュフロー 表 B 金満家この 1 年間の投資と調達の内容 ( 昨年末 ~ 本年末 )( 単位 : 百万円 ) 車 15 家 5 銀行借入 5 内部留保 ( 注 ) 昨年末と本年初は同じ B/S この結果 本年末の B/S は表 C のようになります 表 C

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財務諸表 金融商品取引法第 193 条の 2 第 1 項の規定に基づき 当社の貸借対照表 損益計算書 株主資本等変動計算書及び附属明細表については 有限責任あずさ監査法人の監査証明を受けております 貸借対照表 科目 ( 資産の部 ) 流動資産 2017 年度末 2018 年 3 月 31 日現在 (

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第28期貸借対照表

野村アセットマネジメント株式会社 平成30年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

(3) 可処分所得の計算 可処分所得とは 家計で自由に使える手取収入のことである 給与所得者 の可処分所得は 次の計算式から求められる 給与所得者の可処分所得は 年収 ( 勤務先の給料 賞与 ) から 社会保険料と所得税 住民税を差し引いた額である なお 生命保険や火災保険などの民間保険の保険料およ

5 事業用の車両等を売却 ( 譲渡 ) した場合の売却益 ( 譲渡益 ) 売却損 ( 譲渡損 ) については 事業所得とはならない 総合課税の譲渡所得 ( 土地 建物以外 ) の扱いになり 所有期間 (5 年超か以下か ) によって長期譲渡所得 短期譲渡所得に区分される 6 使用可能期間が1 年未満

科目印収納科目一覧

【表紙】

日本基準でいう 法人税等 に相当するものです 繰延税金負債 将来加算一時差異に関連して将来の期に課される税額をいいます 繰延税金資産 将来減算一時差異 税務上の欠損金の繰越し 税額控除の繰越し に関連して将来の期に 回収されることとなる税額をいいます 一時差異 ある資産または負債の財政状態計算書上の

資産運用として考える アパート・マンション経営

第6期決算公告

野村アセットマネジメント株式会社 2019年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

社会保険料の賃金への影響について

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

スライド 1

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平成31年3月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

営 業 報 告 書

科 目 貸借対照表平成 30 年 3 月 31 日現在 当年度前年度増減 ( 単位 : 円 ) Ⅰ 資産の部 1. 流動資産 現金預金 28,313,776 24,804,212 3,509,564 未 収 金 5,810,958 5,810,958 0 流動資産合計 34,124,734 30,6

貸借対照表 ( 平成 31 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 円 ) 科目金額科目金額 ( 資産の部 ) 流動資産 現 金 預 金 未 収 運 賃 未 収 金 商 品及び貯 蔵品 仮 払 金 その他の流動資産 ( 負債の部 ) 1,818,796,319 流動負債 1,693,668,23

128 Z E I K E I T S U S H I N 10. 3

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PowerPoint プレゼンテーション


土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

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営 業 報 告 書

財務諸表 金融商品取引法第 193 条の 2 第 1 項の規定に基づき 当社の貸借対照表 損益計算書 株主資本等変動計算書及び附属明細表については 有限責任あずさ監査法人の監査証明を受けております 貸借対照表 科目 ( 資産の部 ) 流動資産 平成 27 年度末平成 28 年 3 月 31 日現在

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(2) 財政状態 ( 連結 ) の変動状況 総資産純資産自己資本比率 1 株当たり純資産 百万円 百万円 % 円 銭 19 年 12 月期第 1 四半期 8,992 5, 年 12 月期第 1 四半期 8,740 5, 年 12

4. 計数計画の策定 - (2/18) 解答 貸借対照表 ( 一部科目集約 ) ( 単位 : 千円 ) 実績 -1 計画 0 年目 計画 1 年目 計画 2 年目 計画 3 年目 計画 4 年目 計画 5 年目 H24/9 H25/9 H26/9 H27/9 H28/9 H29/9 H30/9 現金


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2018年12月期.xls

第1章 簿記の一巡

日本基準基礎講座 有形固定資産


リコーグループサステナビリティレポート p

東京電力エナジーパートナー

第 76 期 計算書類 自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 大泉物流株式会社

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Transcription:

007 年 月 6 日 ( 木曜 限 )/5. 法人所得課税. 法人税 ( 法人所得課税 ) の意義 法人擬制説 法人は株主の集合体 法人税は株主に対する所得税の前取り ( 源泉徴収 ) 法人税と配当課税の存在は二重課税 ( 統合の必要性 ) 配当控除制度法人実在説 法人は個人から独立した存在 法人税は法人自体が有する担税力を前提にした租税. 法人所得と経常利益 < 経常利益 ( 企業会計 )> 目的 株主や債権者などの利害調整 & 経営情報の開示営業費用 売上原価 + 販売費 + 一般管理費 ( 減価償却費は営業費用に含まれる ) 営業利益 売上 - 営業費用営業外収益 受取利息 + 受取配当 + 資産評価益 +ec 営業外費用 支払利息 + 資産評価損 +ec 経常収益 売上 + 営業外収益経常費用 営業費用 + 営業外費用経常利益 経常収益 - 経常費用 < 法人所得 > 目的 適正 ( 公平 & 中立 ) な課税を実現するための課税標準法人所得 ( 課税所得 ) 益金 - 損金益金 経常収益 - 資産の評価益 - 受取配当 +ec 損金 経常費用 - 資産の評価損 + 特別償却 +ec < 減価償却制度 > 減価償却資産 時間の経過とともに価値が減少する資産 ( 例 ) 建物 機械など減価償却制度 減価償却資産の取得価額を使用する年数にわたって費用配分する制度特別償却 設備導入後の早期に通常の減価償却費を超えて認められる減価償却費 ( 問題.) 資産の評価益 ( 評価損 ) が法人所得に参入されない理由について検討しなさい

007 年 月 6 日 ( 木曜 限 )/5. 法人所得課税と実効税率 < 日本の法人所得課税 > 年度の法人所得 A 年度の法人事業税額 A : 年度の法人税の課税標準 (.) 課税標準税率税額国税法人税 A ] (0.) 地方税 法人住民税 法人事業税 [ (0.7) ) ( [ (0.096) A ] < 法人所得課税の実効税率 > T + ( ) + ( 法人税額 + 法人住民税額 + 法人事業税額 ) T / ( 年度の ) 法人所得課税の実効税率 であれば A (.) であるから ( + ) (.) となる したがって T + ( ) + ( + ) + (.4) ( + ) + となる そして 現在は 0. 0.7 0.096 であるから T である ( + + ) + 0.( + 0.7) + 0.096 0.4087 + 0.096 (.5) ( 問題.) のとき 法人税の実効税率 / が約 7.7% 法人住民税の実効税率 ( ) / が約 4.74% 法人事業税の実効税率 / が約 8.76% であることを確認しなさい < 法人所得課税の国際比較 > 国 日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス 法人所得課税の実効税率 (%) 40.87 40.75 0.00 48.55 6.67 ( 注 ) アメリカの実効税率は地方税 ( 州法人税 ) がカリフォルニア州の場合について計算している

007 年 月 6 日 ( 木曜 限 )/5.4 法人 ( 所得課 ) 税と設備投資 法人 ( 所得課 ) 税 特別償却などが設備投資にどのような影響を与えるかを検討しよう ( 新しい ) 機械 台の購入価格を p ( 年間での ) 真の経済的減価償却率をδ とする したがって 真の経済的減価償却 ( 定額減価償却 ) はδ p となる また 利子率 ( 年利 ) を r とする < 機械の中古市場とレンタル料 > 中古機械の市場が存在しているとすると 年経過すると機械の価値がδ p だけ低下して ( δ) p になる したがって リース会社が借り入れで資金調達して 新しい機械を p で購入してレンタルし 年後にレンタル料 x を受け取るとともに 年後にその機械を中古市場で売却すると 受け取る金額は x + ( δ ) p であり返済する元利合計は ( + r) p である つまり 利益は x + ( δ ) p - ( + r) p (.6) となる そして リース業界が競争的であれば利益がゼロとなるようにレンタル料 x が決まることになるので レンタル料は x ( r + δ ) p (.7) と定まることになる ( 問題 -) リース会社のレンタル料収入 機械を中古市場で売却するときに生じるキャピタル ロス 資金調達コストという概念を用いて (.6) を導出しなさい < 機械をレンタルした場合 > 機械 台による経常収益 ( 益金 ) を R とし 営業費用は簡単化のためゼロとする 法人税が存在しない場合は 企業の利益 π は π R - ( r + δ ) p (.8) である したがって R > ( r + δ ) p 機械をレンタルする (.9) R < ( r + δ ) p 機械をレンタルしない (.9b) ということになる ( 問題 -4)(.9) より利子率 r が上昇すると設備投資がどのような変化するかを検討しなさい 税率 の法人税が存在する場合においても レンタル料が全て費用 ( 損金 ) として考慮されるな らば 企業の税引き後利益 π は ( R ( r p) π ( ) + δ ) (.0) である したがって 法人税の存在は機械のレンタル行動に影響を与えないことになる ( 問題.5) 法人税の存在は機械のレンタル行動に影響を与えない理由を説明しなさい

007 年 月 6 日 ( 木曜 限 )4/5 < 機械を購入 ( 設備投資 ) した場合 > 法人税が存在するもとで 設備投資と資金調達行動の関係 設備投資と減価償却制度の関係について検討しよう 設備投資と資金調達行動資金調達の手段は負債 ( 借入 & 社債発行 ) による調達と自己資本 ( 株式発行 & 内部留保 ) による資金調達に大別できる そして 損金として考慮できるのは負債で調達した場合の利子支払だけであり 自己資本で調達した場合の機会費用 ( 自己資金を運用したときに得られる収益 ) を考慮することができない このような資金調達コストに関する取り扱いの差が 設備投資行動に対して資金調達方法を非中立的にしていることを以下で示そう 負債 ( 借り入れ ) による資金調達比率をα とすれば 負債による資金調達額はα p であり 損金に考慮される利子支払額は rα p となる 機械を購入した場合の法人所得 ( 課税所得 ) は R rα p δ p となるので 法人税額は ( R rα p δ p) (.) である したがって 税引き後利益 π は π R ( r + δ ) p - ( R rα p δ p) ( )( R ( r + δ ) p) - p ( α) r (.) となる たとえば 資金を全て負債で調達している ( α ) 場合は (.) は (.0) に一致するので 法人税の存在は資金調達行動に対して中立的である しかし 負債での資金調達を (α を ) 減少させると (.) の右辺の値が減少するので設備投資行動が抑制されることになる 言い換えると 法人税が存在するもとで 利子支払だけが損金への参入を認められている場合は 資金調達手段を負債によるものへと誘導する効果を持っていることになる 設備投資と加速度減価償却の関係損金に参入できる減価償却費は 政策的に真の経済的減価償却とは異なるパターンで参入することが認められることがある たとえば 真の経済的減価償却のパターンが毎年 δ p ずつ / δ 年間にわたって償却されていく場合に 加速度的に毎年 δ p ずつ /( δ ) 年にわたって償却されるとして損金への参入が認められることがある ( ) すなわち どちらの減価償却のもとでも償却される費用の合計額は同じであるが 加速度減価償却のほうが設備投資実施後に減価償却される時点がより早くなるわけである なお 以下では簡単化のため資金は全て負債で調達されているとする ( α ) ( 問題.6) δ 0. のとき 加速度減価償却が実施されないときと 実施されるとき (. 5) で減価償却の年数はどのように変化するか 4

007 年 月 6 日 ( 木曜 限 )5/5 機械を購入した場合に損金に参入される減価償却費は 年目から /( δ ) 年目までは δ p であり /( δ ) + 年目から / δ 年目まではゼロとなる したがって 法人所得 ( 課税所得 ) は 年目から /( δ ) 年目までは R r p δ p であり /( δ ) + 年目から / δ 年目までは R rp ということになる なお 以下では簡単化のためδ / の場合に着目して のケースと のケースを比較検討する 真の経済的減価償却 ( ) のケース : 年目の税引き後利益 π と 年目の税引き後利益 π は一致して π R ( r + / ) p - ( R r p p / ) (.) となる このとき 年間にわたる税引き後利益の割引現在価値 Π は π Π π + + ( ) ( R ( r + / ) p) (.4) + r + r である したがって 法人税と減価償却制度の存在は設備投資行動に対して中立的である 加速度減価償却 ( ) のケース : 年目の税引き後利益 π は π R ( r + / ) p - ( R r p p) ( )( R ( r + / ) p) + p / (.5) であり 年目の税引き後利益 π は π R ( r + / ) p - ( R r p) ( ) ( R ( r + / ) p) p / (.6) となる すなわち 加速度減価償却は 年目の税引き後利益を p / だけ増加させるとともに 年目の税引き後利益を p / だけ減少させる効果をもつことになる そして 年目の増加分と 年目の増加分が同じということは加速度減価償却が設備投資行動に与える影響がないということ であろうか その点を確認するために 年間にわたる税引き後利益の割引現在価値 Π を求めてみると π r p Π π + + ( ) ( R ( r + / ) p) + (.7) + r + r + r である したがって 加速度減価償却のもとでの税引き後利益の割引現在価値のほうが 真の経済的減価償却のもとでの税引き後利益の割引現在価値よりも大きいことになる ( Π > Π ) すなわち 加速度減価償却制度は設備投資を促進する効果をもつことになる なお この加速度減価償却は 年目に納めるべき法人税を無利子で延納することを許す制度として理解することも可能である 年目に猶予された納税額 p / を 年目に利子を付けて納税するとすれば ( + r) p / だけ納税する必要がる しかし それを p / だけの納税で済ませてもらえたということは rp / だけの利子支払を免除されたと理解することができる そして これを現 r p 在価値で評価すると ということになる ((.7) を参照 ) + r 5