Health care Management Consulting Group <2015> 診療報酬 Q&A 集 19 号 平成 27 年 1 月 10 日 株式会社ヘルスケア経営研究所
診療報酬 Q&A 集 目次 ワンポイントアドバイス *~ 医療法で定められる医療安全管理 ~ 1 入院料 Q1 入院診療計画書の 特別の栄養管理 について 3 入院基本料等加算 Q2 感染防止対策加算について 3 特定入院料 Q3 緩和ケア病棟入院料の施設基準ついて 4 医学管理等 Q4 心臓ペースメーカー指導管理料について 4 在 宅 Q5 認知症対応型通所介護利用者への訪問診療について 5 手 術 Q6 超音波骨折治療法について 5 精神科 Q7 精神科訪問看護 指導料ついて 6 介 護 Q8 老健での訪問リハビリについて 7 その他 Q9 勤務時間の計算について 7 Q10 人間ドックについて 8
~ 医療法で定められる医療安全管理 ~ 2007 年医療法改正により 医療機関の管理者は 医療の安全を確保するための指針の策定 従業員に対する研修の実施をはじめとする 医療の安全を確保するための措置を講じることが定められました ( 医療法第 6 条の 10) 具体的には 1 医療安全管理 2 院内感染対策 3 医薬品安全管理 4 医療機器安全管理の 4 つの体制確保が義務付けられており 今回はその内容をお伝えいたします なお 診療報酬の入院料算定の要件と異なる点がありますので ご注意ください 医療機関が行うべき医療安全管理 ( 医療法 ) 医療の安全確保のための具体的な措置として義務付けられているもの 医療安全管理院内感染対策 1 医薬品安全管理医療機器安全管理 指針対策等 医療安全指針を策定 院内感染対策指針を策定 2 医薬品業務手順書を作成 医療機器保守点検計画を作成 体制確保等 医療安全委員会の設置 院内感染対策委員会の設置 安全管理責任者の配置 安全管理責任者の配置 職員 従業員研修 3 年 2 回程度実施年 2 回程度実施必要に応じて実施 新機器導入時 他必要に応じて実施 その他 事故報告等 感染症の発生状況の報告等 医薬品安全使用のための情報収集等 医療機器安全使用のための情報収集等 1 医療安全管理と一体的に実施してもよい 2 無床診療所 ( 医科 歯科 ) においては 当該委員会の設置は任意 3 医薬品安全管理 医療機器安全管理にかかる研修は他の研修と併せて実施してもよい なお 基本は院内研修だが 無床診療所においては外部研修でも可 ASK/HMCG 1
医療機関が行うべき医療安全管理 ( 医療法 ) 医療法の規定と診療報酬の入院基本料算定の要件で異なる点 ( 病院 有診のみ ) 診療報酬の要件 医療安全管理院内感染対策その他 職員研修の実施計画を立案すること 職員研修は 医療機関以外の研修の受講でも良い ( 医療法では院内研修 ) 感染情報レポート が週 1 回程度作成されており 当該レポートが院内感染防止対策委員会において十分に活用される体制が取られていること 各病室への水道または速乾式手洗い液などの消毒液を設置する必要がある 褥瘡対策 栄養管理体制を実施する必要がある 日帰りなどの短期入院でも入院診療計画書を作成しなければならない 退院療養計画の策定についての定めはない ASK/HMCG 出典 : 全国保険医団体連合会 保険診療の手引き 2014 年 4 月版 2
入院料 Q1 入院診療計画書の 特別の栄養管理 について 当院では 特別の栄養管理の有無欄が あり でも なし でも 栄養管理計画を作成しています 先日の保健所の医療監視で 入院診療計画書の特別の栄養管理の有無欄が なし となっているのに 栄養管理計画書を作成しているのはおかしい と言われています 確かに なし の場合には計画書の作成は不要という記述はありますが 作成して何か差し支えがあるのでしょうか また この 特別の栄養管理 について あり なし の判断基準が何かあるのでしょうか A: 特別の栄養管理の有無については 入院時に患者の栄養状態を医師 看護師 管理栄養士が共同して確認するとあります 特別な栄養管理が 無し の場合も 栄養管理計画書を作成し栄養管理をすることは問題ないと考えますが 判断基準等に関しては 保健所及び所轄の厚生局と協議され適切にご対応ください 入院基本料等加算 Q2 感染防止対策加算について 診療点数早見表の (2) イに バンコマイシン等の抗 MRSA 薬及び広域抗菌薬等の使用に際して届出制又は許可制をとり 投与量 投与期間の把握を行い 臨床上 問題となると判断した場合は 投与方法の適正化をはかる とあります 当院では ICD CNIC による抗菌薬投与の監視を行っており ICD CNIC から主治医へ顕微鏡検査や培養検査の提出指示 抗菌薬変更の指示やアドバイスを出しながら 抗菌薬の投与量や投与期間の把握を行い 投与方法の適正化を図っています そのため 早見表にあるような ( 主治医からの ) 届出制 許可制をとっておりません 届出制や許可制ではなくとも 抗菌薬の投与方法の適正化をはかるための体制をとっている場合 当加算の基準を満たしていると判断してよろしいのでしょうか 3
A: イ感染防止対策チームは微生物学的検査を適宜利用し, 抗菌薬の適正使用を推進する バンコマイシン等の抗 MRSA 薬及び広域抗菌薬等の使用に際して届出制又は許可制をとり, 投与量, 投与期間の把握を行い, 臨床上問題となると判断した場合には, 投与方法の適正化をはかる との要件であるため 抗菌薬の適正使用を行うという視点で 抗 MRSA 薬及び広域抗菌薬等を使用する際には事前の届出制 許可制というルールでの運用が必要です 特定入院料 Q3 緩和ケア病棟入院料の施設基準について 医科点数表で 緩和ケア病棟入院料の施設基準に 当該病棟内に緩和ケアを担当する常勤の医師が 1 名以上配置されている とあります この常勤の配置医師について 専任 とも 専従 とも記載がないようですが 緩和ケアを専従としなくても 病棟内に常時勤務する緩和ケア担当医師を 1 名以上配置するという解釈でよろしいでしょうか A: その通りです 専従との規定がありませんので 病棟において 緩和ケアを行わない時間は 他の業務を行なうことか可能と解釈されます 医学管理等 Q4 心臓ペースメーカー指導管理料について 有料老人ホーム入所者で当院でペースメーカーチェックをされている患者がいます 1 月より有料老人ホームでペースメーカーチェックを予定しています 医師 業者の方同伴の上でペースメーカーチェックをした場合 心臓ペースメーカー指導管理料は算定可能でしょうか それとも病院に来て頂いた方がよいのでしょうか 4
A: ペースメーカーの機能指標の計測は 蘇生装置等が完備された医療機関内で行う必要があるものと解されます 有料老人ホーム等で行った場合は 緊急時の対応ができないため算定できないものと考えます 算定留意事項の (2) には 以下の記載がございます 心臓ペースメーカー指導管理料は, 電気除細動器, 一時的ペーシング装置, ペースメーカー機能計測装置 ( ペーサーグラフィー, プログラマー等 ) 等を有する保険医療機関において, 以下省略 在 Q5 宅 認知症対応型通所介護利用者への訪問診療について 医療機関の敷地内に 認知症対応型通所介護があり 通所日以外の日に利用者自 宅への訪問診療を検討しているのですが 単独での外来受診が可能という理由で 訪問診療は可能でしょうか A: 在宅患者訪問診療料は 在宅での療養を行っている患者であって 疾病 傷病のために通院による療養が困難な患者に対して算定するものであり 少なくても独歩で家族 介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは 通院は容易であると考えられるため 在宅患者訪問診療料は算定できないとあります よって 単独での外来受診が可能であれば算定不可になります 手 Q6 術 超音波骨折治療法について 外来にてオステオトロン ( 超音波骨折治療法 ) のみで来院される患者がいますが 診察なしで行うことは無診診療にあたりますか 5
A: 超音波骨折治療法として治療開始日の医師の診療及び一連の指示に基づき治療されているのであれば 初回のみ K047-2 難治性骨折超音波治療法 ( 一連につき ) 12,500 点 ないし K047-3 超音波骨折治療法 ( 一連につき )5,000 点のいずれかで算定します その後は 一連として初回に算定するため オステオトロンのみで来院されている場合 再診料を含め算定する項目はないものと思われます 精神科 Q7 精神科訪問看護 指導料について 精神科訪問看護 指導料について (6) 精神科訪問看護 指導料 (Ⅱ) は 1 人の保健師 看護師 作業療法士又は精神保健福祉士が同時に行う精神科訪問看護 指導の対象患者等の数は5 人程度を標準とし 1 回の訪問看護 指導に8 人を超えることはできない とあります 上記の 1 回の訪問看護 指導 とは 1 人の看護師が1 日に算定できるのは8 人までという意味でしょうか それとも 1 度に行うのが8 人までということでしょうか 例えば 1 人の看護師が午前中に5 人程度を同時に1 時間行い 個別に2 人を各 1 時間ずつ行った後 昼休憩で病院に一旦帰り 午後から6 人を同時に1 時間行った場合 13 人全員算定可能でしょうか A:1 回の訪問看護 指導ごとに8 人とされておりますので 午前 午後と分けて訪問される場合は 訪問の都度 8 人までを上限に算定可能と解されます よって ご質問の場合は 13 人に対して算定可能です 6
介 Q8 護 老健での訪問リハビリについて 老健で訪問リハを始める場合 リハビリの指示を行った医師は 情報提供を行った医師に対し 3 月に 1 回その利用者の状況について情報を提供する事となっています これは 老健医師が必ず利用者宅に訪問し診療をしなければならないのでしょうか それとも訪問しなくてもこちらの送迎で利用者に来てもらい 老健医師が施設にて診療することでも問題ないのでしょうか また 診療は利用者の状態に応じて必要性を適切に判断すると書かれてあります 3 月に 1 回の情報提供をするうえで 診療は必要と思われますが 実際訪問する PT 等の情報で診療は必ずしも 3 月ごとでなくても良いと判断してもよいですか A: 老健医師の診察は利用者の居宅又は送迎にて施設内で行っても問題ありません また 医師の診察は少なくとも3か月に1 回 利用者の状態に応じその必要性を適切に判断することになります その他 Q9 勤務時間の計算について 夜勤者の 勤務時間ごとの区分 が 17 時 ~24 時の 7 時間 0 時 ~9 時の 9 時間となっています 他の職種は休憩時間は差し引いて記入してあるのですが 夜勤の場合のみ休憩も含まれています 夜勤者も 17 時 ~24 時の 6 時間 0 時 ~9 時の 8 時間で計算するのでしょうか A: 実際に勤務する時間と勤務計画上の配置時間 (= 勤務時間ごとの区分 ) は異なります 勤務時間ごとの区分は 17 時 ~24 時の 7 時間 0 時 ~9 時として夜勤中の休憩時間も含めて記載します ( 次項へ続く ) 7
( 前項の続き ) Q10 人間ドックについて 人間ドックを開始するにあたり 施設基準などはありますか A: 自由診療ですので 施設基準の届出は必要ありません 但し 無床診療所の場合は 入院ドックはできないため 近隣のホテルに宿泊いただくなどの対応が必要になります なお 協会けんぽ の指定等を検討されているのであれば 外来との待合室分離や健診項目の検査 ( 内視鏡や透視等 ) の実施が求められますので 指定医療機関の予定があれば その点も考慮が必要です 8
記載内容についてご不明な点は 下記メールアドレス または FAX へお問い合わせ下さいますよう お願い申し上げます 回答内容は 医科点数表の解釈 を主体としておりますが 保険種別 ( 社保 国保 労災等 ) 並びに 都道府県で解釈内容が全く異なるケース ( 算定要件内容及び施設基準 指導内容 ) もありますので ご了承くださいますようお願い申し上げます この資料は 平成 26 年 10 月 15 日時点の回答であり それ以降 厚労省の疑義解釈等によっては回答内容が異なることをご了承ください この資料は 保険請求の審査対策のみではなく院内の勉強会でも活用ください 株式会社ヘルスケア経営研究所 E-Mail:hmcg-fuk@hmcg.co.jp Fax :092-433-3520 9