東日本大震災初動期復旧期復興期創造的復興2

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津波警報等の留意事項津波警報等の利用にあたっては 以下の点に留意する必要があります 沿岸に近い海域で大きな地震が発生した場合 津波警報等の発表が津波の襲来に間に合わない場合があります 沿岸部で大きな揺れを感じた場合は 津波警報等の発表を待たず 直ちに避難行動を起こす必要があります 津波警報等は 最新

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東北地方太平洋沖地震への 気象庁の対応について ( 報告 ) 気象業務の評価に関する懇談会 平成 23 年 5 月 31 日 気象庁 1

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東日本大震災 鳴らされていた警鐘

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を誘発すると共に 家屋等の災害廃棄物とともに港内外水域に漂流 沈没することとなり 航路や泊地等の水域施設が使用不可能な状況となった また 押し波 引き波により 航路や泊地等の水域施設において 洗掘あるいは埋没が発生し 洗掘された箇所では 防波堤の転倒等が誘発され 埋没した箇所では 計画水深の確保のた

過去に経験のない規模の巨大地震 津波が発生 東日本大震災の概要 死者 行方不明者数 死者 15,355 名 行方不明者 8,281 名 (6 月 4 日現在 警察庁調べ ) 建築物被害 ( 住家 ) 全壊 10 万 9,147 棟 半壊 6 万 9,789 棟 一部破損 31 万 7,710 棟 全

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目 次 1. 想定する巨大地震 強震断層モデルと震度分布... 2 (1) 推計の考え方... 2 (2) 震度分布の推計結果 津波断層モデルと津波高 浸水域等... 8 (1) 推計の考え方... 8 (2) 津波高等の推計結果 時間差を持って地震が

平成28年4月 地震・火山月報(防災編)

2019 年1月3日熊本県熊本地方の地震の評価(平成31年2月12日公表)

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日本海溝海底地震津波観測網の整備と緊急津波速報 ( 仮称 ) システムの現状と将来像 < 日本海溝海底地震津波観測網の整備 > 地震情報 津波情報 その他 ( 研究活動に必要な情報等 ) 海底観測網の整備及び活用の現状 陸域と比べ海域の観測点 ( 地震計 ) は少ない ( 陸上 : 1378 点海域

1 想定地震の概要南海トラフで発生する地震は 多様な地震発生のパターンが考えられることから 次の地震の震源域の広がりを正確に予測することは 現時点の科学的知見では困難です そのため 本市では 南海トラフで発生する地震として 次の2つの地震を想定して被害予測調査を行いました (1) 過去の地震を考慮し

津波情報に活用する観測地点の追加について 別紙 津波情報への活用を開始する海底津波計の分布図 活用を開始する海底津波計沿岸の津波観測点 GPS 波浪計海底津波計 活用を開始する海底津波計の地点名称は 沖 を省略して記載しています ( 宮城牡鹿沖 及び 茨城神栖沖 を除く)

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図 東北地方太平洋沖地震以降の震源分布図 ( 福島第一 第二原子力発電所周辺 ) 図 3 東北地方太平洋沖地震前後の主ひずみ分布図 ( 福島第一 第二原子力発電所周辺 )

第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

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2018 年の山形県とその周辺の地震活動 1. 地震活動の概況 2018 年に 山形県とその周辺 ( 図 1の範囲内 ) で観測した地震は 2,250 回 (2017 年 :2,447 回 ) であった 山形県内で震度 1 以上を観測した地震は 図の範囲外で発生した地震を含めて 47 回 (2017

災害等の特徴 東日本大震災の被害状況 平成 23 年 3 月 11 日 ( 金 )14 時 46 分頃 三陸沖を震源とする東日本大震災 ( モーメントマグニチュード 9.0 最大震度 7 宮城県栗原市 ) が発生し 東日本に甚大な被害が発生 我が国の観測史上最大規模 ( モーメントマグニチュード9.

家族みんなの防災ハンドブック 保存版

防災対策にも役立つ道路整備 (津波防潮ラインとしても機能する道路盛土)

建設の施工企画 写真 2 浦安液状化 断層型 逆断層型 写真 3 地震の種類 北アメリカプレートと その下に 有毒ガス測定 沈み込んでいる太平洋プレートとの間で起きた 海溝型地震 3 追跡の概要 1 対象箇所の選定 対象箇所は 次に示す条件で選定した ① 震度 5 強以上が記録され

津波に対する水門 陸閘等の操作指針について 1. 目的 本指針は, 水門 陸閘等に関して, 海岸, 河川, 港湾, 漁港等の管理者 ( 以下 施設管理者 という ) と現場操作員が平常時及び津波発生時に実施すべき事項や, 施設に関する閉鎖基準等及び配備体制などの基本的な方針を定め, 本県沿岸に襲来す

平成23年東北地方太平洋沖地震の概要について

2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者

H19年度

1 東日本大震災での多くの被害が発生!! 平成 23 年 2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は 三陸沖を震源としたマグニ チュード 9.0 仙台市内での最大震度 6 強 宮城野区 という巨大な地震でした 東部沿岸地域では 推定 7.1m 仙台港 もの津波により 家屋の浸水やライフラ

凡例震度 7 震度 6 強震度 6 弱震度 5 強震度 5 弱震度 4 震度 3 震度 2 震度 1 陸前高田市 震央 ( 本震について発表したマグニチュード ) 3 月 11 日 14 時 49 分発表 M:7.9( 気象庁マグニチュード : 速報値 ) 3


資料 3-11 岡山県沿岸における津波浸水想定 説明資料 岡山県 平成 26 年 5 月 岡山県沿岸の概要 ( 今回の津波浸水想定の対象範囲 ) 岡山沿岸 ( 延長約 537km) 岡山県玉野市の沿岸状況 岡山沿岸の海岸地形は 瀬戸内海が遠浅であることから 古くから農地や塩田造成等の埋め立てに影響を

東日本大震災における施設の被災 3 東北地方太平洋沖地震の浸水範囲とハザードマップの比較 4

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宮城県総合防災情報システム(MIDORI)

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津波の怖さを知っていますか? 平成 5 年 (1993 年 ) 北海道南西沖地震では地震発生から 5 分と経たないうちに大津波が押し寄せ 死者 202 人 行方不明者 28 人などの被害が生じました ( 写真は函館海洋気象台職員撮影 ) 宮崎地方気象台

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ii 8. 河川法と漁港法との調整に関する協定 ( 抄 ) 運輸省港湾局と農林省水産庁生産部とに関連ある港湾災害復旧事業の処理について 76 第 2 漁港関係災害関連事業 Ⅰ 補助金交付要綱 1. 漁港関係災害関連事業等補助金交付要綱 77 Ⅱ 災害関連漁業集落環境施設復旧事業 1. 災

東日本大震災被災地の現状視察報告書 ( 有 ) オトギ緑化プラン 2011 年 ( 平成 23 年 )3 月 11 日 14 時 46 分 18 秒 宮城県牡鹿半島の東南東沖 130km の海底を震源として発生した東北地方太平洋沖地震は 日本における観測史上最大の規模 マグニチュード 9.0 を記録

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第 Ⅰ 章東日本大震災からの復旧 復興に向けて 1. 東日本大震災による被害と初期対応 平成 () 年 3 月 日に 三陸沖を震源と する国内観測史上最大規模の地震が発生し 広い範囲で強い揺れが観測された また 太平洋沿岸を中心に高い津波が観測され 特に東北地方の太平洋沿岸地域で大規模な津波被害が発

PowerPoint プレゼンテーション

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北海道開発局津波対策検討委員会 ( 平成 23 年第 1 回 ) 議事要旨 1. 委員会概要 日時 :2011 年 9 月 20 日 ( 火 ) 14:00~17:00 場所 : 第 1 合同北海道開発局 4F 災害対策本部室 出席者 : 河田惠昭 委員長 関西大学教授社会安全学部長 谷岡勇市郎 委

ハード対策と 集落の高所移転 警報 早期避難などによるいわゆるソフト対策を組み合わせて総合的に進められてきた 図 - 1 は ハード対策とソフト対策の組み合わせによる総合的な津波防災の概念図である 横軸は津波の高さ ( 規模 ) であり 縦軸には負の方向に被害の大きさを示してある 津波被害は津波の高

東日本大震災に係る災害等廃棄物処理事業の実地調査について

アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

177 箇所名 那珂市 -1 都道府県茨城県 市区町村那珂市 地区 瓜連, 鹿島 2/6 発生面積 中 地形分類自然堤防 氾濫平野 液状化発生履歴 なし 土地改変履歴 大正 4 年測量の地形図では 那珂川右岸の支流が直線化された以外は ほぼ現在の地形となっている 被害概要 瓜連では気象庁震度 6 強

9 箇所名 江戸川区 -1 都道府県東京都 市区町村江戸川区 地区 清新町, 臨海町 2/6 発生面積 中 地形分類 盛土地 液状化発生履歴 近傍では1855 安政江戸地震 1894 東京湾北部地震 1923 大正関東地震の際に履歴あり 土地改変履歴 国道 367 号より北側は昭和 46~5 年 南

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素早い避難の確保を後押しする対策として位置付けるべきものであることとされているところである 国及び関係公共団体等は 最大クラスの地震 津波に対して被害を減ずるため これらの報告で示された地震 津波対策を速やかに具体化し 推進する必要がある 主な津波対策を以下に示す (1) 強い揺れや弱くても長い揺れ

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8km M km M M8.4 1M M M 東北地方太平洋沖で想定されていた地震 Fig % 8 9% M8. 6 3m M % Fig.1 Distribution of

九州地方とその周辺の地震活動(2016年5月~10月)

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目次 はじめに P3 1 災害 緊急の範囲 P3 2 時間と場所を考慮した対応の必要性 P3 3 時間ごとの対応 P4 4 場所ごとの対応 P5 5 デジタルサイネージの提供コンテンツ P6 6 緊急時を意識したデジタルサイネージシステム P6 7 情報の切替 復帰の条件 P7 8 緊急運用体制 P

図 -1 震度分布図 ( 宮城県周辺 ) 図 -2 浸水区域図 岩手県 宮城県 山形県 40 福島県 平成 23 年 3 月 11 日 16:00 気象庁発表 2. 被害の状況等 1) 県全体被害額 9 兆 2,229 億円 2) 農林水産関係 1 兆 2,952 億円 ( うち津波被害額 1 兆

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地震の概要 検知時刻 : 1 月 3 日 18 時分 10 発生時刻 : 1 月 3 日 18 時 10 分 マグニチュード: 5.1( 暫定値 ; 速報値 5.0から更新 ) 場所および深さ: 熊本県熊本地方 深さ10km( 暫定値 ) 発震機構 : 南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型 ( 速報

本ワーキンググループにおけるこれまでの検討事項

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新潟県中越沖地震を踏まえた地下構造特性調査結果および駿河湾の地震で敷地内の揺れに違いが生じた要因の分析状況について

1 首都直下地震の概要想定震度分布 (23 区を中心として震度 6 強の想定 ) 首都直下地震 想定震度分布 出典 : 中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループ 首都直下地震の被害想定と対策について ( 最終報告 ) ( 平成 25 年 12 月 ) 2

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この資料は速報値であり 後日の調査で変更されることがあります 時間帯 最大震度別回数 震度 1 以上を観測した回数 弱 5 強 6 弱 6 強 7 回数 累計 4/14 21 時 -24 時 /15 00 時 -24 時 30

3. 水供給システム ( 図 7~ 図 8) 3.1 根拠データ 断水戸数: 厚生労働省 平成 年 (2 年 ) 東北地方太平洋沖地震の被害状況及び対応について の中に記載された ( 別紙 ) 水道における被害情報 の市町村別集計データおよび都県別集計データ 2/3/ :3( 報番号不明 水道産業新

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東南東約 130km 北緯 38.1 度, 東経 度, 地下 24km) であり, 地震の規模を示すマグニチュード (M) は 9.0 であった これは大正 12 年の大正関東地震の M7.9, 昭和 8 年の昭和三陸大地震の M8.4 をはるかに上回りわが国観測史上最大規模の地震であっ

(/9) 07 年に発生した地震の概要. 佐賀県の地震活動 07 年に佐賀県で震度 以上を観測した地震は 9 回 (06 年は 85 回 ) でした ( 表 図 3) このうち 震度 3 以上を観測した地震はありませんでした (06 年は 9 回 ) 表 07 年に佐賀県内で震度 以上を観測した地震

熊本市耐震改修促進計画 骨子(案)

過去に官邸対策室を設置した事例 2 平成 18 年 7 月 5 日 北朝鮮による飛翔体発射事案に関する官邸対策室設置北朝鮮による弾道ミサイル発射事案に関する官邸対策室に名称変更 10 月 9 日 北朝鮮による核実験実施情報に関する官邸対策室設置 平成 19 年 3 月 25 日 石川県能登を中心とす

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佐賀県の地震活動概況 (2018 年 12 月 ) ( 1 / 10) 平成 31 年 1 月 15 日佐賀地方気象台 12 月の地震活動概況 12 月に佐賀県内で震度 1 以上を観測した地震は1 回でした (11 月はなし ) 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 図 1 震央分布図 (2018 年 1

地震被害想定調査における 強震動・津波浸水予測の進捗状況

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第1章 災害予防計画

2011 年 12 月 15 日発行 東日本大震災リスク レポート ( 第 5 号 ) 次の大地震 大津波への対応 : 防災計画の見直しと企業に求められる対応 発行 : 三菱商事インシュアランス株式会社リスクコンサルティング室 はじめに 1 本年 3 月 11 日 ( 金 ) の東日本大震災の発生か

<GK クルマの保険 ( 車両保険 )> ( 自動車によるあて逃げに限ります ) お客さまのおクルマは 車両保険 に加入していますか? 自動車保険の車両保険では 一般車両 もしくは 10 補償限定 のいずれでも 台風や集中豪雨による洪水の事故が対象となります 地震 噴火またはこれらによる津波 によっ

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1. 気象庁の津波警報の概要 2. 東北地方太平洋沖地震に対する津波警報 3. 津波警報の改善について 2

平成 30 年 4 月 9 日 01 時 32 分頃の島根県西部の地震 震度分布図 各地域の震度分布 : 震央 各観測点の震度分布図 ( 震央近傍を拡大 )

地震動推計の考え方 最新の科学的知見や過去の被害地震を踏まえ 5 つの想定地震を設定し 検証 首都圏に甚大な被害が想定される東京湾北部地震について 震源深さが従来の想定より浅いという最新の知見を反映した再検証の実施 1703 年に発生した巨大地震 ( 元禄型関東地震 ) を想定し 本県への影響を新た

その一方で 防災行政無線の聞き取り状況の調 査では 図 3に示すように20% の人が放送内容を聞き取れなかったと答えており 今後の改善 もしくは代替え手段の充実の必要性を示唆している なお 情報の入手先としてテレビの割合が低いのは地震による停電 ( 岩手県 宮城県では95% 以上が停電 ) が原因と

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東日本大震災初動期復旧期復興期創造的復興2

第 1 章 東日本大震災の概要 3

第1章 東日本大震災の概要 第1節 災害の概要 第1項 地震の概要 平成 23 年 3 月 11 日 金 14 時 46 分に発生した 平成 23 年東北地方太平洋沖地震 は 三陸沖を震源とするマグニチュード 9.0 の我が国観測史上最大規模の地震でした こ の地震により本県栗原市で震度7 宮城県 福島県 茨城県 栃木県の広範囲で震度6強 の強い揺れを観測しました この東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う福島第一原子力 発電所事故等の災害を総称して 東日本大震災(平成 23 年4月1日閣議決定) と呼称す ることになりました 第1節 災害の概要 地震の概要 発生時刻 平成 23 年3月 11 日 金 14 時 46 分 震 源 三陸沖 牡鹿半島の東南東約 130km 付近 深 さ 約 24km 規 模 Mw9.0 断層の大きさ 長さ 450km 幅 200km 地震の種類 海溝型地震 逆断層型 震度分布 写真 1-1-1 地震発生時の 宮城県庁内の様子 北海道から九州にわたる広範囲で地震の揺れを観測しており 本県栗原市で震度 7 宮城県 福島県 茨城県 栃木県の4県の一部で震度6強 岩手県 宮城県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県の7県の一部で震度6弱を観測しました 図 1-1-1 震度分布図(左)及び推計震度分布図 右 気象庁ホームページより 4

第1項 地震の概要 県内の状況 本県では 栗原市で最大震度 7 を 大半の市町村で 6 弱 以上の揺れを観測しました 三陸沿岸では 30m 仙台湾南 部海岸でも 10mを超える大津波が発生し 沿岸地域に壊滅 的な被害をもたらしました 近年の実測観測値 チリ地震津波など を大きく超える 巨大な津波は 広範囲に及ぶ浸水 327km2 と強い流体力 により沿岸の構造物や家屋の破壊と流出 海岸の浸食や堆 積などによる地形変化 津波漂流物による二次的な被害 養殖施設や船舶の漂流 可燃物の流出と火災 道路や鉄道 など交通網の分断 農業 漁業 製造業の産業基盤の喪失 など 想像を絶する甚大な被害をもたらしました 漁船 水産加工設備 沿岸養殖場などの水産関連施設をはじめ 農地を含む農業関連施設や沿岸部に立地する様々な企業の 関連施設など 沿岸部で行われてきた産業活動の全てが甚 大な被害を受け 多くの人々が就労の場を失いました 人的被害の少なかった内陸部でも 住宅被害や宅地の崩 壊 学校や商業施設等の建物被害 道路や公共交通機関網 の分断 電力などのエネルギーの供給停止などにより 日 常生活に大きな支障が生じたことをはじめ 東北地方を出 図 1-1-2 市町村における最大震度 表 1-1-1 市町村における最大震度一覧 入りする原材料 部品及び製品などの供給網が分断し そ の影響が海外まで波及するなど 被害は多岐にかつ広範囲 に及びました また 住家被害では 全壊 半壊家屋が 23 万棟を超え 地域によってはライフラインの復旧の目処が立たず ピー ク時には県内 1,183 箇所の避難所に 32 万人の被災者が避難 を余儀なくされました そして 東京電力福島第一原子力発電所の施設被害は 被害の規模をさらに深刻なものとし 大地震 大津波 原 発事故 風評被害などの複合被害に直面することになりま した 余震の概要 東北地方太平洋沖地震は 余震が非常に多いのが特徴 であり M7.0 以上が6回発生 M7.6 M7.5 M7.4 M7.3 M7.2 M7.0 し 最大余震は平成 23 年 3 月 11 日 金 15 時 15 分に茨城県沖を震源とする M7.6 の余震で 最大震度6強を記録しました 平成 24 年2月末時点で震度5以上の余震は本震を含めて 46 回 震度4以上の余震は 226 回を記録しました 図 1-1-3 余震活動の領域について 気象庁ホームページより 5

第1章 東日本大震災の概要 主な地震の余震回数比較 本県では 平成 23 年4月7日 木 23 時 32 分に発生した最大震度6強の余震によって 本震 で損傷していた道路などの公共土木施設被害がさらに拡大し 一部で運行再開していた東北本線 が再度運休するなど 県民生活に甚大な被害を与えました また 福島県いわき市などでは陸域で余震が発生し 地表面に地震断層が確認されたほか こ の陸域では非常に活発な余震が見られたことが特徴です 表 1-1-2 震度5以上を観測した地震 平成 23 年 3 月 11 日 平成 25 年5月 13 日 気象庁ホームページより 第1節 災害の概要 図 1-1-4 海域で発生した主な地震の余震回数比較 本震を含む マグニチュード 5.0 以上 気象庁ホームページより 震度4 120 震度5弱 震度5強 震度6弱 震度6強 震度7 109 100 80 60 50 40 16 20 9 10 11 0 3月 4月 5月 6月 7月 8月 平成23年 8 9月 2 10月 2 2 6 11月 12月 1月 1 2月 平成24年 図 1-1-5 東日本大震災以降震度4以上を観測した回数 月別 3月は 11 日より 気象庁ホームページより 6

第2項 津波の概要 第2項 津波の概要 東北地方太平洋沖地震に伴い 太平洋沿岸を中心に高い津波を観測し 特に東北地方から 関東地方の太平洋沿岸では甚大な被害を受けました 津波発生状況 気象庁は 地震の揺れが継続していた平成 23 年3月 11 日 金 14 時 49 分に北海道から関東地方 の太平洋沿岸に大津波警報 北海道の日本海側 関東地方から沖縄地方に津波警報 北海道のオホー ツク海 瀬戸内海 九州地方の東シナ海側などに津波注意報を発令し 本県では 15 時 14 分に津波予 想高が 6m から 10m 以上に変更となりました 津波警報の発表状況 表 1-1-3 津波警報の発表状況 全国各地で観測された津波 図 1-1-6 主な調査地点における津波痕跡から推定した津波の高さ 気象庁ホームページより 7

第1章 東日本大震災の概要 津波による影響 東北地方太平洋沖地震に伴う大津波は 高潮や波浪を対象に計画高を決定した第一線の防潮堤 をはるかに超え 内陸へ深く浸入しました 海岸線を越えて遡上した津波は 地盤高の低い海岸 線の松林を根こそぎ倒伏させ 構造物をことごとく破壊し その先端部で発生した射流は 恐る べき破壊力で構造物 家屋 自動車などを破壊し あたり一面をがれきの海にしました さらに 陸上に上った津波は 戻り流れとなり 破壊した家屋や港湾貨物などを次々と海へ流 出させ 第1波の越流で破壊した防潮堤をさらに陸側から破壊し 壊滅的な被害を与えました 河川を遡上した津波は 地震動に耐えた河口付近の橋梁を波圧と揚圧力により落橋させました また リアス式海岸での大津波は すさまじい破壊力で海岸沿いに密集した家屋はもとより RC 構造の業務ビルを基礎杭とともに倒壊させ 防潮堤 水門 港湾及び漁港などの沿岸部の施設を 壊滅的に破壊しました 大型の船舶やバスなどの車両は 内陸へ奥深く漂流し 建物を破壊した 後 無残にも内陸部に取り残されました また 海岸線から内陸1km に位置する仙台空港は 流れ込んだ津波漂流物が滑走路を塞ぎ 使用不能となりました 第1節 災害の概要 津波に伴い 流出した燃料に起因する火災が被害を拡大させ 避難や救助の妨げとなりまし た 道路は 震災がれきや大規模な浸水により通行が遮断され 電力の不通のため通信手段を失 い 多くの避難所は 道路が啓開されるまでの数日間孤立し 避難者の安否さえ不明でした 地 域医療を担う多くの病院が被災し かろうじて津波を逃れて救護されたにもかかわらず 十分な 手当を受けられずに落命する被災者も見られました 救援物資は届かず 必要な物資が不足し 運搬するための車両や燃料すら手配が困難でした 被災状況の把握は困難を極め 事態が明らか になったのは 発災後数日を経過し 自衛隊などによる救護 救援活動が本格化してからのこと でした 海外における津波の観測 海外では アメリカ大陸やオーストラリア大陸の沿岸都市や島国において 東北地方太平洋沖 地震に伴い発生した津波が観測されおり 津波高さが 2m を超える都市もありました 津波高さ 0 100 200 300 (cm) ポートフォード (アメリカ) クレセントシティ (アメリカ) ポートサンルイス (アメリカ) 200 カフルイ (アメリカ) 200 サンタクルーズ島 (エクアドル) アリカ (チリ) カルデラ (チリ) コキンボ (チリ) タルカワノ (チリ) 202 247 226 245 214 242 209 図 1-1-7 海外の検潮所で観測された津波の高さ 最大値 気象庁ホームページより 8

第2項 津波の概要 津波による浸水被害 本県の沿岸全 15 市町において 津波による浸水被害を受け 推定浸水域にかかる8市7町で人口 1,205,851 人のうち 277,952 人で 23.1 世帯数は 466,356 世帯のうち 97,705 世帯で 21.0%の方々が甚 大な浸水被害を受けました 図 津波浸水範囲 図 1-1-8 浸水域図 国土地理院ホームページより 表 1-1-4 推定浸水域にかかる人口及び世帯数 9

第1章 東日本大震災の概要 津波痕跡図 本県では 今後の津波対策検討の基礎資料とするため 震災後の平成 23 年4月から5月にか けて 県内沿岸全域にわたって津波痕跡の現地調査を実施しました 三陸沿岸リアス部は入り組 んだ地形のため T.P20m 以上の痕跡が観測され 仙台湾南部は平坦な地形のため内陸へ深く浸入 したことを示す痕跡が観測されました 図 1-1-9 津波痕跡図 山元町 松島町 第1節 災害の概要 図 1-1-10 津波痕跡図 松島町 女川町 図 1-1-11 津波痕跡図 女川町 気仙沼市 10

第3項 地殻変動の概要 第3項 地殻変動の概要 東北地方太平洋沖地震に伴う津波による直接的な被害に加え 石巻市牡鹿地区をはじめと する広範囲のエリアで大きな地殻変動が発生し 石巻市や気仙沼市などでは 住宅街が満潮 時に浸水する被害が深刻化しました 本震 M9.0 に伴う地殻変動 東北地方太平洋沖地震に伴う大規模な地盤沈下の発生により 海抜0m 以下の面積が 56km2 で地震 前の 3.4 倍に増加し 大潮の満潮位 T.P+0.7m 以下の面積は 129km2 で地震前の 1.9 倍に増加したこ とが確認されました 水平変動 上下変動 石巻市牡鹿 石巻市牡鹿 図 1-1-12 本震 M9.0 に伴う地殻変動 変動量線図 図 1-1-13 本震 M9.0 に伴う地殻変動 変動量線図 海水面以下となった土地 写真 1-1-2 地盤沈下した県道 石巻市渡波 表 1-1-5 地震後の海抜0m 以下の 面積等の割合 図 1-1-14 海水面以下となった土地の地震前後の比較 出典 国土地理院 11