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4. 粘土の圧密 4.1 圧密試験 沈下量 問 1 以下の問いに答えよ 1) 図中の括弧内に入る適切な語句を答えよ 2) C v( 圧密係数 ) を 圧密試験の結果から求める方法には 圧密度 U=90% の時間 t 90 から求める ( 5 ) 法と 一次圧密理論曲線を描いて作成される ( 6 )

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( 対象区域 ) 第 5 地区計画の対象区域は 工業団地 ( 国母工業団地 南部工業団地 機械金属工業団地 ファッション工業団地 ( アリア ディ フィレンツェ ) をいう 以下同じ ) の区域内及び隣接地又は近接地 ( おおむね工業団地から500メートル以内 ) とする ( 区域の設定 ) 第 6

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目的 2 汚染水処理対策委員会のサブグループ 1 地下水 雨水等の挙動等の把握 可視化 が実施している地下水流動解析モデルの妥当性を確認すること ( 汚染水処理対策委員会事務局からの依頼事項 )

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6 章擁壁工 6.1 プレキャスト擁壁工 6.2 補強土壁工 ( テールアルメ工 多数アンカー工 ) 6.3 ジオテキスタイル工 6.4 場所打擁壁工 場所打擁壁 (1) 場所打擁壁 (2) 1-6-1

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177 箇所名 那珂市 -1 都道府県茨城県 市区町村那珂市 地区 瓜連, 鹿島 2/6 発生面積 中 地形分類自然堤防 氾濫平野 液状化発生履歴 なし 土地改変履歴 大正 4 年測量の地形図では 那珂川右岸の支流が直線化された以外は ほぼ現在の地形となっている 被害概要 瓜連では気象庁震度 6 強

根拠条項 第 131 条の 2 第 3 項 壁面線の指定等がある場合の高さ制限の例外認定 法令の定め第 131 条の 2 3 前面道路の境界線若しくはその反対側の境界線からそれぞれ後退して壁面線の指定がある場合又は前面道路の境界線若しくはその反対側の境界線からそれぞれ 後退して法第 68 条の 2

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3 市長は 第 1 項の規定により指定した土地の区域を変更し 又は廃止しようとするときは あらかじめ久喜市都市計画審議会 ( 以下 審議会 という ) の意見を聴くものとする 4 第 1 項及び第 2 項の規定は 第 1 項の規定により指定した土地の区域の変更又は廃止について準用する ( 環境の保全

目 次 平方北部物流施設地区地区計画計画書 1P 平方北部物流施設地区地区計画計画図 3P 平方北部物流施設地区地区計画 地区整備計画 の内容の解説 4P (1) 建築物等の用途の制限 5P (2) 建築物の敷地面積の最低限度 6P (3) 建築物等の高さの最高限度 6P (4) 壁面の位置の制限

及びその周辺の地域における自然的条件 建築物の建築その他の土地利用の状況等を勘案し 集落の一体性を確保するために特に必要と認められるときは この限りでない (2) 区域内の主要な道路が 環境の保全上 災害の防止上 通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置されており か

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来る条件とした また本工法は がけに近接して施工する場合 掘削及び混合 攪拌から 転圧 締固め施工時 施工に伴うがけへの影響を避けることが難しいので がけに影響を与えず施工出来る場合を条件とした 具体的にはバックホー等の施工機械を がけに近接配置して施工することを避けるとともに 特にがけ近接部分の転

図 1 盛土内の水は安定に悪い 抵抗する力は 分子で抵抗する力 =スベリ面の長さ 粘着力 +スベリ面から上の土の重量 cos( 円弧中心とスベリ面を結ぶ線が鉛直となす角度 ) tan( せん断抵抗角 ) となります ここで 盛土内に水があると抵抗する力から 水圧分をマイナスする必要がありますので 安

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第 2 章横断面の構成 2-1 総則 道路の横断面の基本的な考え方 必要とされる交通機能や空間機能に応じて, 構成要素の組合せ と 総幅員 総幅員 双方の観点から検討 必要とされる道路の機能の設定 通行機能 交通機能アクセス機能 滞留機能 環境空間 防災空間 空間機能 収容空間 市街地形成 横断面構

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2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように

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大和川流域調整池技術基準 平成 30 年 3 月 奈良県県土マネジメント部河川課

目次 第 1 章総則 1 1 目的... 1 1 2 適用範囲... 2 1 3 防災調整池設置の基本方針... 3 1-4 洪水調節方式... 4 第 2 章計画基準 2 1 洪水到達時間... 5 2 2 流出係数... 7 2 3 計画対象降雨... 8 2-4 計画ハイドログラフ... 12 2 5 許容放流量... 13 2 6 洪水調節容量の算定... 14 2-7 設計堆積土砂量... 18 第 3 章施設の設置 3 1 構造型式... 19 3 2 ダムの型式... 21 3 3 ダムの安定... 21 3 4 ダムの基礎地盤... 22 3 5 基礎地盤調査... 23 3 6 ダムの材料... 24 3 7 ダムの形状... 25 3 8 のり面保護等... 26 3 9 余盛... 26 3 10 余水吐... 27 3 11 非越流部の天端高... 28 3 12 放流施設... 29 第 4 章施行及び管理基準 4 1 盛土の施工... 32 4 2 品質管理... 33 4 3 安全対策... 33 4-4 多目的利用... 33

第 1 章 総則 1 1 目的総合的な治水対策の一手法として 特定開発行為に伴い生ずる流出増を抑制し 下流河川に対する洪水負担を軽減することを目的として設置する防災調整池の計画 設計に係る技術的事項についての一般原則を示すものである (1) 大和川流域では 昭和 58 年 2 月に流域内の 25 市町村を中心とする大和川流域総合治水対策協議会を発足し 同協議会は昭和 60 年 7 月に総合治水対策の基本方針を定めた 大和川流域整備計画 を策定した この流域整備計画は 治水施設の整備をより重点的に実施する治水対策と 流域がもつべき 保水機能を確保し 適正な土地利用の誘導を図る流域対策を二本柱としている (2) 大和川流域では 今後行われる宅地開発等に伴い 河川の洪水流量の増加が見込まれてい る 流域整備計画では この流出増に対処し 開発地の下流の治水安全度を低下させないた めに 雨水流出抑制施設の設置を積極的に図っていくものとしている (3) 近年 流域対策の取組の低迷 小規模開発の増加など総合治水に関する新たな課題が発生しており 総合治水の取組を一層強化するため 平成 29 年 10 月 16 日に 大和川流域における総合治水の推進に関する条例 が公布された 本条例では ながす対策 ( 治水対策 ) ためる対策 ( 流域対策 ) ひかえる対策 ( 土地利用対策 ) の三本柱で総合治水を推進する他に 防災調整池等の設置必要面積を引き下げ 技術基準に適合した防災調整池等の設置を義務付けている (4) 本技術基準は 今後 大和川流域の総合治水対策の一環として設置される防災調整池の計 画 設計についての一般原則を示すものである 1

1 2 適用範囲 本技術基準は 特定開発行為 (1ha 以上 ) に伴い 流出抑制を目的として設置される防災調整池 の計画 設計に適用するものとする (1) 本技術基準が対象とする調整池とは 宅地開発等に伴い 洪水調節を目的として設置される貯留機能をもつ流出抑制のための施設をいう その貯留方法は 一般に当該開発地への降雨を集め その下流端において一時貯留するものであり その貯留構造は 一般にダム式や掘込式 地下式等となる (2) 本技術基準を適用する特定開発行為とは 開発面積が 1ha 以上の店舗 工場等の用に供する開発行為 宅地面積が 1ha 以上の宅地造成 採取面積が 1ha 以上の岩石や砂利の採取 開発面積が 1ha を超える森林開発である ただし 公共公益施設については 大和川流域雨水貯留浸透施設技術基準 ( 案 ) を適用するものとする 5ha 以上の特別開発行為に対しては その他流域基準 ( 宅地及びゴルフ場等開発に伴う調整池技術基準 ) と大和川流域調整池技術基準の 2 つを適用し 厳しい方の比流量 必要容量を採用する (3) 本技術基準は 調整池の計画及び構造について一般的技術的基準を示したものであるが このうち構造に関しては ダム式でその高さが 15m 以上となる場合は 河川法及びそれに基づいた各規程によることが必要であり 細部規程については ダム設計基準及び河川管理施設等構造令による必要がある 2

1 3 防災調整池設置の基本方針 防災調整池は 特定開発行為に伴う流出増を開発前の流量にまで調節することを基本とし そ の計画規模は 総合治水対策及び河川改修の計画規模と整合を図るものとする (1) 防災調整池は従来より 宅地開発等に伴って開発地からの流出量が 下流河川の現在の流下能力を上回らないことを基本として設置されてきたところである しかしながら 開発者が防災調整池を設置して洪水調節を行う本来的な趣旨は 流出増を抑制し 流域のもつ従前の保水機能を保全することにあるところから 本技術基準では 防災調整池の機能として開発前の流量にまで洪水調節を行うことを基本とする (2) また 防災調整池は従来より 河川改修にかわる代替的手段として位置付けられており 防災調整池の計画規模は 市街化区域では 1/30 市街化調整区域では 1/50 として 河川改修の長期的な計画と整合が図られてきたところである 本技術基準においても この河川改修の長期的な計画と整合を図ることはもちろん 調整池が総合治水対策の一環として設置されることに鑑み 総合治水対策の計画規模との整合を図るものとする (3) したがって 本技術基準では 河川改修の長期計画の対象となる 30 年確率降雨 ( 市街化調 整区域にあっては 50 年確率降雨 ) に対し流出増とならないとともに 総合治水対策の対象降 雨である昭和 57 年 8 月降雨に対しても 流出増とならないよう設計するものとする 3

1 4 洪水調節方式 防災調整池の洪水調節方式は 原則として自然放流方式とする (1) 防災調整池等が設置される敷地面積は 非常に小さいため 降雨開始から流出発生までの時間が極めて短い よって確実に調節効果をあげるように調節方式は人工操作によらない自然放流方式を原則とする (2) 防災調整池等からの放流先は開発地区周辺の排水路 あるいは都市下水路となる場合が多 く 地下式を計画し 自然放流が不可能となる場合は 充分な安全対策を施した排水施設を 設けることとする 4

第 2 章 計画基準 2 1 洪水到達時間 合理式に用いる洪水到達時間は次の等流流速法 土研式および角屋式により算出し 妥当なも のを用いる 合理式を用いる時には 洪水到達時間の決定が重要であるが 造成地面積が狭いため 10 分 ~20 分の程度になることもめずらしくない このような短い到達時間の調査には種々の困難があって 十分の精度では論じられない また 洪水到達時間を求める際には まだ宅地の排水計画が十分決定されていない段階のことでもあり 問題が多い ここでは等流流速法と土研式ならびに角屋式を用い 三つの式の算出値を総合的に判断して妥当なものを用いることとしたが 一般的な造成地に対して上記三つの式で算出するとかなりの差があるため 等流流速法を主体にし 土研式 角屋式の計算結果を参照して 洪水到達時間を決定するものとする この場合 等流流速法については 合理式で求められた流量に応じる流速が等流流速法で求めた流速と大きな差異が生じないことを検討してから用いるよう注意し 土研式については その適用をデータ範囲から著しく隔たらないように留意しなければならない 1 等流流速法この方法は 洪水到達時間を洪水時の雨水が流域から河道へはいるまでの時間 ( 流入時間 t1) と流量計算地点まで河道を流れ下る時間 ( 流下時間 t2) との和であるとする方法 (tc= t1+t2 とする方法 ) である 流入時間 t1 については 開発前に対しては流域斜面長の長短に応じて 30 分以内の適切な時間をとる 開発後に対しては一般に下水道計画において使用される 5~10 分程度をとる 流下時間 t2 については 次式により算定する t2= L/v (2-1) ここに t2: 河道または水路流下時間 ( 分 ) L: 流路延長 (m) v: 管路においては マニング式により求めた満管流速 開水路においては 計画流量程度の流量に対しマニング式より求めた流速 (m /sec) また 新規開発地区等において造成計画が決まっていない場合での概略検討には 表に示すク ラーヘンの式を流下速度として仮定すればよい 5

表 2-1 クラーヘンの流下速度 勾配 I 1 /100 以上 1 /100 ~1 /200 1 /200 以下 流下速度 v 3.5 m/s 3.0 m/s 2.1 m/s 2 土研式 土木研究所では全国の流出試験地について 到達時間 tc をまとめたところ次の式をえた 開発後 tc=2.40 10-4 (L/S) 0.7 (2-2) ここに tc: 洪水到達時間 (hr) L: 河道延長 (m) S: 河道の勾配 なお 上式の適用範囲は L =4 10 3 ~4 10 5 (m) までである これらの式で tc: は降雨ピークから洪水ピークまでの時間の 2 倍として求めた値である 3 角屋式 土木研究所は同じく全国流出試験地について角屋氏らが提案した洪水到達時間の推定式に対し て次のような結果を得た tp=c re -0.35 A 0.22 (2-3) ここに tp: 洪水到達時間 ( 分 ) C: 流域の土地利用状態等で決まる定数 re: 有効降雨強度 (mm/hr) A: 流域面積 (km 2 ) 有効降雨強度 re (mm/hr) は降雨強度と流出係数との積として算出する C の値は開発前では C =180 開発後では C=60 とする 6

2 2 流出係数 流出係数は 開発地の集水域の地被の状況 土地利用等を考慮した値を用いるものとする (1) 流出係数の値を定めることは極めて難しい 一般的に流出係数の値は降兩強度 降雨の継続時間 地質 流域の地被の状況 流域勾配 流域平面形状等によって変化するほか 対象とする流域の位置 大きさの程度によっても変化するものである (2) 本基準では流出係数の標準値として次の値を用いるものとする 開発前 0.6 開発後 0.9 調整池の集水域には 原則として上記の開発後の標準値を適用するものとするが 集水域内に 緑地 畑地等の自然地が残存する場合には 自然地には開発前の標準値を適用し 面積を重みと する加重平均値を流域全体の流出係数とすることができる 7

2 3 計画対象降雨計画対象降雨は 30 年確率降雨 ( 市街化調整区域にあっては 50 年確率降雨 ) 及び昭和 57 年 8 月降雨とする なお 30 年 (50 年 ) 確率降雨は 原則として中央集中型降雨波形を用い 降雨継続時間は 24 時間を標準とする (1) 調整池の設計に用いる計画対象降雨は 30 年確率降雨 ( ただし 市街化調整区域にあって は 50 年確率降雨 ) 及び昭和 57 年 8 月降雨とする (2)30 年 (50 年 ) 確率降雨の作成には 奈良県の河川計画において用いられている確率降雨強度式を用いるものとする 中央集中型ハイエトグラフの作成方法は 図 2-1に示す通りで 洪水到達時間 (tc) ごとに降雨強度 (r) を求めるものとし いずれの継続時間 (n tc) に対しても 平均降雨強度 (r) が降雨強度曲線を満足するように作成するものである 降雨強度曲線 中央集中型降雨波形 a h r) / m b r(m 度 c 強 d 雨降 降雨強度曲線 ) m I(m 量雨 3c-2b a 2b-a 4d-3c < 注 >ハイエトグラフの時間ピッチ (T) は 一般に洪水到達時間 (tc) を用いる C T 2T 降雨継続時間 t t C 時間 t T 2T 3T 3T 4T 4T 図 2-1 ハイエトグラフのつくり方 確率降雨強度式を表 2-2 に示し 30 年及び 50 年確率中央集中型降雨波形を図 2-2 に示す 8

) m (m 量雨分 0 1 30 25 20 15 10 30 年確率降雨 9.63mm/10 分 5.18mm/10 分 23.80mm/10 分 14.38mm/10 分 6.90mm/10 分 4.04mm/10 分 5 0 0 120 240 360 480 600 720 840 960 1080 1200 1320 ) m (m 量雨分 0 1 30 25 20 15 10 50 年確率降雨 10.48mm/10 分 5.66mm/10 分 25.80mm/10 分 15.63mm/10 分 7.52mm/10 分 4.41mm/10 分 5 0 0 120 240 360 480 600 720 840 960 1080 1200 1320 図 2-2 中央集中型確率降雨波形 9

確率 表 2-2 奈良県確率降雨強度式 降雨強度式 1 分 t 90 分 91 分 t 600 分 2 年 =. 3 =. 5 =. 10 =. 20 =. 30 =. 50 =. 100 =. 200 =. 500 =. =.. =.. =.. =.. =.. =.. =.. =.. =.. =.. ここに t: 任意継続時間 ( 分 ) I: 各 t に対する降雨強度 (mm/hr) (3) 本技術基準にいう昭和 57 年 8 月降雨とは 実績降雨により奈良県の大和川流域全体の流域平均降雨波形を求めたものである 図 2-3には 57 年降雨波形を示す なお 昭和 57 年 8 月降雨の降雨継続時間内降雨強度式は (2-4) 式に示すとおりであり ピーク流量算定にはこれを用いるものとする =. (2-4) ここに t: 任意継続時間 ( 分 ) I: 各 t に対する降雨強度 (mm/hr) 10

11

2 4 計画ハイドログラフ 雨水流出のピーク流量及びハイドログラフの算出は 合理式によるものとする 降雨による流出量の計算法は 原則として合理式を用いることとする (1) ピーク流量計算法 雨水流出のピーク流量は 合理式 (2-5) により求める なお 洪水到達時間内平均降雨強 度は 降雨強度式より求める = (2-5) ここに Q: ピーク流量 (m 3 /s) f: 流出係数 r: 洪水到達時間 tc 内の平均降雨強度 (mm/hr) A: 集水面積 (ha) (2) 流出ハイドログラフの計算法流出ハイドログラフは 合理式の理論により ハイエトグラフを用いて図 2-4のように算定する この方法は 単位図の考え方と合理式を組み合わせて計算しようとするものであり 加えてピーク流出係数と流出率が一致するとの仮定によるものである ここに r: 計画ハイエトグラフにおける洪水到達時間 tc 内平均降内強度 (mm/hr) f: 流出係数 tc: 洪水到達時間 ( 分 ) a.b.c: 降雨強度 r による流出ハイドログラフ 図 2-4 流出ハイドログラフの計算 12

2 5 許容放流量 調整池の下流への許容放流量は 計画対象降雨の全てに対し それぞれの開発前におけるピー ク流量の値を上回らないものとする (1) 調整池は 2-3 節に示す計画対象降雨の全てに対し 2-4 節に示す方法により算定した計画ハイドログラフを調節し その下流への放流量が開発前のピーク流量を上回らないように設計しなければならない 開発前のピーク流量は 当該開発地の開発前の洪水到達時間 流出係数等を考慮し 2-4 節に示すように合理式により算定するものとする (2)30 年確率降雨と昭和 57 年 8 月降雨の両方に対し ピーク放流量がそれぞれの開発前のピーク流量を上回らないよう設計する場合 放流管を 2 段式とすると効果的に洪水調節を行うことができる すなわち 昭和 57 年 8 月降雨に対し 下段の放流管で洪水調節を行い 30 年確率降雨に対し 上段 下段の放流管で洪水調節を行う方法である 上記のように放流管を2 段式とし 開発地の流出係数を 0.9 にすると 30 年確率降雨時の放流管からの放流比流量は 貯留水位が最大となる状態において 開発面積 1ha あたり 上段 :Q/A =0.045m 3 /s/ha 下段 :Q/A= 0.045m 3 /s/ha となることが確かめられている また 昭和 57 年 8 月降雨時の放流比流量は 開発面積 1ha あたり 下段 :Q/A= 0.033m 3 /s/ha となることが確かめられているため 上段の放流管の位置は 開発面積 1ha あたり 300m 3 の貯留を行った場合の満水時に相当する高さとなる なお 確率年を 50 年とした場合は この値は 上段 :Q/A =0.053m 3 /s/ha 下段 :Q/A= 0.047m 3 /s/ha となるが確かめられている したがって 30 年確率降雨時の開発面積 1ha あたりの放流比流量は 上下段 :Q/A= 0.09 m 3 /s/ha 上段 :Q/A =0.057m 3 /s/ha 下段 :Q/A= 0.033m 3 /s/ha とする また 50 年確率降雨時の開発面積 1ha あたりの放流比流量は 上下段 :Q/A= 0.10 m 3 /s/ha 上段 :Q/A =0.067m 3 /s/ha 下段 :Q/A= 0.033m 3 /s/ha とする 13

2 6 洪水調節容量の算定 調整池は 計画対象降雨の全てに対して 開発後における洪水のピーク流量の値を調整池下流 への許容放流量にまで調節するために必要な容量をもたなければならない (1) 必要調節容量は 図 2-5で流入ハイドログラフ ( 流域からの流出量八イドログラフ ) を ABCE 調整池放流管からの流出量を AGCDH 下流許容放流量を CF とした場合 面積 ABCGA の部分に相当する この算出には 原則として放流管の条件を種々に変化させ 洪水調節計算を行ない 必要調節容量を求めなければならない 図 2-5 流出流入ハイドログラフ (2) 洪水調節計算は流入量 I と流出量 O との差が調整池に水平に貯留するものとして連続の式 を用いるが その基本式は (2-6) 式のとおりである =I-O (2-6) 数値計算は (2-6) 式の中央差分をとった (2-7) 式によって行う V(t+Δt)=V(t)+{I(t+Δt/2)-O(t+Δt/2)} Δt (2-7) ここに V: 貯留量 (m 3 ) V=f(H)( 水位容量曲線 ) H: 水位 (m) I,O: 流入量および流出量 (m 3 /s) 14

但し I(t+Δt/2)= O(t+Δt/2)= ここに Δt: 計算の時間ピッチ (sec) (t+δt),(t): 計算の時刻を示すサフィックス 一方 調整池からの流入量 O となる放流管吞口 ( オリフィス ) からの放流量は (2-8) 式に示す流量公式によって計算する 即ち 洪水調節計算は この流量公式と連続式 (2-7) 式を連立に解く逐次計算となる 以上述べた洪水調節計算の手順が 図 2-7に示すフローチャートである 1H 1.2D Q=1.7~1.8 B H 3/2 2H 1.8D Q=C B D 2 /2 31.2D<H<1.8D この間については H=1.2D の Q と 1.8D の Q を用いた直線近似とする ここに C: 流量係数 ( ベルマウスを有する時 C=0.85~0.95 ベルマウスのつかない場合は C=0.6~0.8 となる ) g: 重力加速度 (=9.8m/s 2 ) B: 放流孔の幅 D: 放流孔の高さ 図 2-6 放流孔の諸元 15

記号説明 V : 貯留容量 (m 3 ) C1: 流量係数 ( 自由越流 ) H : 湛水位 (m) C2: 流量係数 ( オリフィス ) Ho: オリフィス敷高 (m) B : オリフィス巾 (m) D : オリフィス高さ (m) I : 流入量 (m 3 /s) O : 放流量 (m 3 /s) t : 時刻 図 2-7 洪水調節計算フローチャート 16

(3)30 年確率降雨と昭和 57 年 8 月降雨の両方に対し ピーク流量がそれぞれの開発前のピーク流量を上回らないよう設計する場合 2-5 節に示すように放流管を2 段式とすると 最大貯留量は開発地単位面積 1ha あたり V/A= 530m 2 /ha となることが確かめられている したがって 通常の場合 調節池の洪水調節容量はこの値を用いてよい なお 確率年を 50 年とした場合は この値は V/A= 585m 2 /ha となるので 市街化調整区域内では この値を用いるものとする 30 年確率 ( 市街化区域内 ) 上段 Q/A=0.057m 3 /s/ha V/A=530m 3 /ha 下段 Q/A=0.033m 3 /s/ha V/A=300m 3 /ha 上下段 Q/A=0.09m 3 /s/ha 50 年確率 ( 市街化調整区域内 ) 上段 Q/A=0.067m 3 /s/ha V/A=585m 3 /ha 下段 Q/A=0.033m 3 /s/ha V/A=300m 3 /ha 上下段 Q/A=0.1m 3 /s/ha 図 2-8 設計放流量と洪水調節流量 17

2 7 設計堆積土砂量設計堆積土砂量は 土地造成完了後のものについて計画する 堆積土砂量は土地利用 地形 地質 維持管理の方法を考慮して定めるが 集水面積 1 ヘクタールあたり 15m 3 を標準とする 土地造成中の流出土砂量が 当該調整池に流入する場合は 別に造成中の堆積土砂量を確保するものとする (1) 調整池には 上流域より洪水とともに流入する土砂対策として 土地造成完了後の堆積土砂量を確保するものとする 土地造成完了後の堆積土砂量は 実例等により 集水面積 1 ヘクタールあたり 1.5m 3 / 年が標準的な値とされている 設計に用いる堆積年数は 調整池の維持管理の方法等により異なるが ここでは 10 年程度を見込むものとして 設計堆積土砂量を 15m 3 /ha とした (2) 土地造成中に造成区域から発生する土砂は 仮設防災工による土砂流出防止工法等により処理することとするが 当該調整池により処理する場合は 別に造成中の堆積土砂量を確保しなければならない 土地造成中の堆積土砂量は 土地造成単位面積あたり 150 m 3 /ha 年とする 18

第 3 章 施設の設置 3 1 構造型式 防災調整池は 洪水調節機能が確実に発揮でき 十分安全で良好な維持管理が可能な構造を選 定するものとする (1) 調整池は 周辺の地形 地質 地下水位 土地利用等の諸条件を考慮し 設置後の維持管 理等も総合的に勘案し 確実に洪水調節機能を発揮できる安全な構造とする 具体的な構造型式としては ダム式 掘込式 小堤 小掘込式 地下式などが考えられる 構造型式の考 え方は以下のとおりである ダム式 : 周辺地盤高から計画高水位 HWL の差 H が 0.6m 以上の場合掘込式 : 周辺地盤高が計画高水位 HWL より高い場合小堤 小掘込式 : 周辺地盤高から計画高水位 HWL の差 H が 0.6m 未満の場合 (2) ダム式は 山地 丘陵地で行なわれる比較的大規模な開発に対して採用されることが多い ダム式では 一般に貯留される水深も深く 貯留されるエネルギーも高くなることから 他 の貯留型式に比べ 高い構造上の安全性が要求されることとなる 本技術基準では ダム式を採用する場合 原則として盛土方式を考えており その詳細な構造基準について 特に次 節以降に規定を設けているところである (3) 掘込式は ダム式に比べ構造上の安全性は高いが 主として平坦地を掘り込んで雨水を貯留する型式であるため 貯留水深は流入水路や放流先水路の高さ 地下水位などの制約を受けることが多い したがって 掘込式を採用する場合は 事前に地下水位等の調査を行い必要な容量が確保できるかどうか把握しておく必要がある (4) 小堤 小掘込式は 丘陵地あるいは平坦地の比較的小規模な開発に対して採用されること が多い 周囲小堤の高さは ダム式に比べはるかに小さいので ダム式ほど構造上の安全性 を必要としない 本技術基準では 周辺地盤高から測った計画高水位が 60cm 未満の場合には 周囲小堤を自立式のコンクリート構造としてよいものとする また 盛土構造とする場合でも 天端幅 は 2m を下回らない値とすることができる 19

図 3-1 小堤 小堀込式 (5) 一部が掘込式 一部がダム式の場合 ダム式部分を含む面 ( 区間 L) について池の形状を判断する 区間 L における標高の平均値 (10m ピッチ程度 ) と計画高水位 HWL の差によって 掘込式とダム式に区分し 各構造型式の基準を適用する 図 3-2 一部が掘込式 一部がダム式の場合 (6) 調整池内の植栽は 落ち葉でオリフィス閉鎖の可能性があることや容量減になるため 原 則認めないものとする また 調整池の池底の透水性舗装は 擁壁を指示する地盤等に影響 を及ぼす恐れがあるため 原則認めないものとする 20

3 2 ダムの型式 ダムの型式は 均一型を標準とするが 適当な材料が得られる場合にはゾーン型としてもよい ゾーン型のダムを施工するのには手間がかかり 低いダムではゾーン型の利点が大きくない ため 均一型のダムを標準とした 必要な堤体の安定性と止水性を確保するためには 適切な材料を選択することがまず大切である よい材料が必要量得にくい場合には 不透水性ゾーン と透水性ゾーンを持つゾーン型を採用することにした 小規模なダムでは十分な施工が難しい ので 薄いコアを堤体内に設けるコア型のダムは不適当と考えた 図 3-3 フィルダムの型式及び標準断面 3 3 ダムの安定 フィルダムは ダムの安定に必要な強度および水密性を有しなければならない フィルダムは 経済的に入手しうる材料を用いて築造するため 築造箇所の条件 材料の性質などを十分考慮に入れ 安定性の高い堤体を設計することが大切である 堤体はすべり破壊に対して安全であると同時に 必要な止水性を確保しなければならない 21

3 4 ダムの基礎地盤 ダムの基礎地盤は 前節のダムの安定性を確保するために必要な強度および水密性を有するものとする また ダムの安定上必要があれば 基礎地盤の処理 十分な排水能力を持ったドレー ンの設置などを行わなければならない (1) ダムの基礎地盤が 粘土 シルト 有機質土などの いわゆる軟弱地盤である場合には土質試験結果を用い 地盤のせん断破壊ならびに沈下に対して検討を加え 十分な安全を見込んだ設計をしなければならない ここで云う軟弱地盤とは概ね標準貫入試験の N 値が5 以下の地盤を指す (2) 基礎地盤が軟弱で堤体の安定がえられない場合には 軟弱地盤の除去置換などを行う必要 がある (3) 砂れき層などの透水性地盤上にダムを築造する場合には 浸透流量がダムの安定を確保す る許容範囲内になければならない (4) 基礎からの漏水が堤体のり尻付近に流出し 堤体が損傷する恐れがある場合 堤体下流側のり尻部を砂れき材料で作り 空石積で押える構造にすることが必要である また 基礎の透水係数が 10-3 cm/sec より大きく漏水の起る恐れがある場合には 上流部の地盤にブランケット工法などを施し 漏水を押えることが必要である 22

3 5 基礎地盤調査基礎地盤の土質 地層構成等の状態を把握するため ダムサイト附近に 3 個所以上のボーリングを施さなければならない ただし 既調査資料がある場合は この限りではない (1) 調査方法としてはボーリングと規定したが 必要に応じ他の方法 ( 竪坑 斜坑 横坑 ト レンチあるいは物理探査等 ) を組合せて行う場合もある (2) ボーリングの位置は 予定ダム軸線上の左右岸及びほぼ中心の位置とする また 必要に よっては 他の地点についても行う (3) ボーリングの深度は信頼できる基礎の深さまで または堤高の 3 倍程度とする ( 信頼でき る基礎とは 強さの面からは標準貫入試験の N 値で約 20 以上の地層 または透水の面からは 必要な止水性が得られる地層を指す 図 3-4 ボーリング位置図 23

3 6 ダムの材料 ダムに用いる土質材料は予め試験を行ない 安定性の高い材料であることを確かめなければな らない 堤体の安定性の高い材料とは次のようなものである 1 高い密度を与える粒度分布であり かつ せん断強度が大で安定性があること 2 透水度は最大の水頭に対して堤体の許容しうる範囲内にあること 3 ダムの安定に支障を及ぼすような膨張性又は収縮性がないものであること 4 降雨あるいは浸透流で堤体の含水比が上昇しても軟泥化し 法崩れ等を起こさないものであ ること 5 有害な有機物及び水に溶解する成分を含まないこと 6 含水比が高く締固めが困難な材料でないこと 表 3-1 の材料 ( 日本統一土質分類法による ) は不適当であるか またはダムの形態により考 慮して使用すべき材料である 表 3-1 ダムの材料 主要区分 ダム材料としての評価 区分 名称 記号 均一型ダム ゾーン型ダム 粗粒土 細粒土 れき 砂 シルト粘性土火山灰質粘性土 有機質土 高有機質 土 GW GP SW SP (MH) (CL)(CH) (OV)(VH1) (VH2) (OL) (ON) (Pt) (Mk) ( 不適当 ) 透水係数が 10-3 ~10-2 cm/s 以上であり漏水が起き易く単粒度のものは間隙が大きい また植生の場としても不適 ( 不適当 ) 透水性が大きく パイピング等を起こし易く破壊の原因となるおそれがある ( 場合により不適当 ) 水を含んだ場合機械施工が困難となり締固めが十分出来ない ( 不適当 ) 含水比が著しく高いものが多く このまま機械で締固めたり整形することが困難である 完成後も変形する恐れがある ( 不適当 ) 含水比が高く締固め困難 また上の乾燥湿潤による容積変化が大きく安定性が悪い ( 一部使用可 ) 透水部のみ ( 一部使用可 ) 透水部に使用可だだし 法面保護工が必要 ( 一部使用可 ) 不当性コアおよびブランケットに適する ( 不適当 ) 左に同じ ( 不適当 ) 左に同じ 24

3 7 ダムの形状ダムの形状は ダムの高さ ダムの材料および基礎地盤の性質を考えて すべりの生じないよう決定するものとする また ダムの斜面こう配は 次表に示す値より緩やかなものとする ただし 基礎地盤の軟弱な場合には安定計算を行い安定の検討を行なうものとする (1) 安定な基礎地盤上に適切な材料で良好な施工が行われる場合に限り 堤体の安定計算は行わなくてよい (2) 軟弱地盤上のダムの安定計算には円弧スベリの計算を行い その荷重としては自重および 建設中 竣工時における間げき圧をとる なお 安全率は建設中においては 1.1 以上 竣工 時においては 1.25 以上とする (3) 表 3-2に示した斜面こう配は 安定した地盤上のダムを対象にしたものである 上流側の斜面こう配は 貯水池内の水位がかなり急激に減水する条件を考えて緩やかにした れき 砂はゾーン型の材料としてのみ用い 均一型の材料としては使用しないものとした 表 3-2 ダムの斜面勾配 材質 上流側勾配 下流側勾配 摘要 れき (GW,GP) れき質土 (GM,GC) 砂質土 (SM,GC) 粘質土 (ML,CL) 粘土 (MH,CH) 3.0 割 3.0 3.5 3.0 3.0 2.5 割 2.5 3.0 2.5 3.0 ゾーン型の遮水部のみ使用可 25

3 8 のり面保護等 ダムの上流側のり面は 波浪 雨水などにより侵食されないように 石張 捨石 粗朶張 芝 張などの処置を施こし また下流側のり面は 雨水および浸透流によって侵食されないよう石張 芝張などの処理を施すものとする ダムの堤頂は幅 4m 以上とし 表面は侵食などに対して安全なように必要に応じて 表面保護 の処理を施すものとする 湛水時間が比較的短かいので 上流側のり面ではそれほど丈夫なのり面処理を施す必要はな いか 局部的な洗掘がのりすべりの原因になることもあるので 全面にわたって適当なのり面 処理を施す また 水位低下の速度が大きいので 砂質土の堤体では材料が流出しないように 保護しなければならない 下流側のり面については 風雨 凍上などによって侵食が生じない よう保護する 萇大なのり面になると 雨水の表面流出によってガリ侵食が生じやすいので 小段を設け排水溝によって処理する 地山部からの表面水がダムを侵食することも多いので 取付部には排水溝を設置する また ダム堤頂は一般道路として使用してはならない 3 9 余盛 ダムには堤体および基礎地盤の沈下を見込んで余盛を行うものとする 基礎地盤が軟弱地盤である場合を除き 普通の条件であれば堤体築造後の堤体および基礎地 盤の圧縮量はそれほど大きくない このため土質別に余盛の値を変えずに天端の風雨による侵食 人 車の通行などによる損傷などを含め 表 3-3 に示す余盛高を決めた 軟弱地盤上の ダムの場合には 圧密による沈下量を別に検討して加えるものとする 表 3-3 標準余盛高標高余盛高 5m 以下 40cm 5~10m 50cm 10m 以上 60cm 26

3 10 余水吐調整池には 設計降雨以上の洪水を処理し 貯水位の異常な上昇を防止するために 余水吐を設けるものとする 余水吐は自由越流式とし 確実に洪水処理が行えるよう安全な構造とする (1) 設計降雨以上の洪水とは 100 年確率流量を原則とし 合理式によって求めるものとする ただし ダム式にあっては 余水吐ダム本体の越流に対する安全確保上 200 年確率流量の 1.2 倍以上または 100 年確率流量の 1.44 倍以上の流量を放流しうるものとする (2) 余水吐の越流頂の標高は 計画高水位とする また 越流幅は (3-1) 式によって求める B= (3-1) / ここに B: 余水吐越流幅 (m) Q: 余水吐設計流量 (m 3 /s) H: 越流水深 (m) C: 流量係数 (=1.8) (3) ダム式はその構成上 ダム本体の越流に対して弱点を有しているので ダムの安全確保上 洪水時におけるダム本体の越流は厳に防止する必要がある このため ダム式の余水吐は 次の各号に定める機能及び構造をもつよう設計するものとする 1 流入水路は 平面的に流れが一様で かつ流水に乱れを生じないようにする また 流木 塵芥によって閉そくしないような構造とし 土砂の流入 あるいは洗掘を防止するために 水路流入部周辺を保護するものとする 2 越流は自由越流方式とし ゲートその他放流量を人為的に調節する装置を設けてはならな い 3 導流水路は幅 2m 以上の長方形断面開水路とし 流れが乱れないように線形は直線とし 水路幅 あるいは水路縦断勾配の急変は避ける構造とする 4 余水吐末端の下流水路との接続部には 減勢工を設けて 余水吐から放流される流水のエ ネルギーを減勢処理しなければならない 5 余水吐は良質な地山地盤上に設置するものとし さらに不等沈下や浸透流が生じないよう 施工上十分な処理をしなければならない 計画高水位 堤体 流入水路 越流堰 導流水路 減勢工 下流水路 図 3-5 ダム式の余水吐の一般図 27

3 11 非越流部の天端高調整池の非越流部 ( 周囲堤等 ) の天端高は 前節に規定する余水吐の放流量を流下させるに必要な水位以上とする ただし ダム式の場合 この高さに 0.6m を加えた高さ以上とする 余水吐の設計洪水流量を放流するために必要な越流水深は 余水吐の越流頂標高以上にとるものとし 非越流部の天端高は この越流時の水位以上の高さとする ただし ダム式の場合は ダム本体の越流に対する安全確保上 この水位に さらに風浪 地震浪 不測の障害等による余水吐放流能力の低下等に対する余裕も見込んだ高さ以上とする必要があるので 余裕高として 0.6 m を加えるものとする 28

3 12 放流施設放流施設は 放流管設計流量を安全に処理できるものとし 次の各号の条件を満たす構造とする (1) 流入部は 土砂が直接流入しない配置 構造とし 流木 塵芥等によって閉塞しないように考慮しなければならない (2) 放流施設には ゲート バルブなどの 水位 流量を人為的に調節する装置を設けてはならない (3) 放流管は 放流管設計流量に対して のみ口部を除き 自由水面を有する流れとなる構造とする (4) 放流管は 外圧や不等沈下に対して十分に耐え 管内からの漏水および管外の浸透流の発生を防止できる構造とし 施工上においても十分の処理をしなければならない (1) 放流施設は 貯水池に常時流入する流水がある場合はこれを排水し 出水時には 流入量を調節して放流するための設備である また 放流管はできるだけ直線とし 管長を短くする工夫が必要である 彎曲させる必要が生じた場合でも角度はできるだけ小さくし 屈折は避けなければならない ダム式で 下流水路の取付け等の理由から 放流管を 2 本以上設置する必要のあるときは 平面的に少なくとも 10m 以上離すものとする (2) 放流施設は 土砂や塵芥等が流入することによって放流能力の低下 管路の閉そく ある いは損傷の生じないような構造とする必要がある この対策として 通常 放流管上流端に排水塔を設け その流入口標高を設計堆砂面以上に設置し 流入口周辺にはちりよけスクリ ーンを設置する 29

また 排水塔の設計では 流入口標高以下の貯水量を排水するため 塔下部の一部をフィル ター構造にしておく必要がある ちりよけスクリーンは スクリーンを通過する流速ができる だけ小さくなるような配置 構造とする必要がある (3) 放流管流入部は計画堆砂面以上にあり 洪水流入時には貯水位の低い時点から十分な放流機能をもち 設計洪水流入時の最高水位において放流管に設計流量以上の流量が流入しない構造とする必要がある そのため 一般に図 3-6に示すような流入部構造が利用される のみ囗断面積 A0(m 2 ) は 放流管設計流量 Q(m 3 /sec) に対して次式で計算される A0= (3-2) ここに C: 流量係数 ( ベルマウスを有する時 C=0.85~0.95 ベルマウスのつか ない場合は C=0.6 を標準値とする ) g: 重力加速度 (=9.8m/s 2 ) H0: 放流管のみ口中心を基準面とする設計水頭 ちりよけスクリーン ( 流入口 ) H 給気管 計画堆砂面 排水塔 HL ( のみ口 ) 放流管 図 3-6 放流施設流入部構造 30

(4) 放流管路は 放流管設計流量に対して 原則として開水路となるよう設計する このため 放流管のみ口は 計画高水位において設計流量以上の流量が管路内に流入しない構造とし 管路部の流水断面積は 設計流量に対して管路断面積の 3/4 以下となるよう設計する 放流管出口は 上記流量条件において 下流水位以下にならないよう出口敷高を設定しなければならない また 必要に応じて 放流管のみ口の直下流には 管内の気圧を安定させるために給気管を設けるものとする 給気管の管径は 100mm を標準とする なお 掘込式施設等で 下流水路の水位関係によって圧力式管路となる場合は 放流管にかかる圧力水頭が小さい場合にかぎり 放流管を圧力式管路としてもよい この場合には 設計 施工に十分な配慮を必要とすると同時に 保守点検等の維持管理を十分行うものとする (5) ダム式の場合 放流管は良質な在来地盤を切りこんで設置し 埋め戻しは慎重かつ十分な 締固めのもとに行なわなければならない 放流管は 鉄筋コンクリート造りとし ヒューム 管 高外圧管等のプレキャスト管を用いる場合でも 全管長にわたって鉄筋コンクリートで 巻くものとする また 放流管は不等沈下等による破損を防止するため 10m 間隔程度ごと に継手を設けなければならない 継手構造は可撓性の止水板を用いて水密性を保つものとし その周辺は鉄筋コンクリートカラーで囲み カラー本体との間および本体の突合せ部には 伸縮性のある目地材を充填して 漏水を生じないよう処理しなければならない さらに 放流管の両端部には遮水壁をとりつけるものとし 管中間には管長 10~15m の間隔で 管の全 周にわたる遮水壁 ( うなぎ止めと称される ) を設けて 放流管の外壁に沿う浸透流の発生を 防止する この遮水壁は放流管の本体と一体構造のものとする 継手 遮水壁等の設計例を 図 3-6 に示す 図 3-7 継手 遮水壁の設計例 31

第 4 章施工及び管理基準 4 1 盛土の施工ダム式の場合 次の各号を考慮して盛土の施工を行わなければならない (1) ダムの敷地は盛土に先だって雑草 樹木の根 有機物を含む表土及び雑物等を除去しなければならない (2) 傾斜面に盛土する場合は 段切を行わなければならない (3) まき出し厚さ 転圧機種および転圧回数は 施工に先だち試験盛土あるいは土質試験により定めなければならない (4) ダムの施工は出水期をさけて行わなければならない (1) 段切りは 盛土の滑動を防止するために行い その標準は 段切高さ 1~1.5 m 最小幅 1m 以上とする (2) 盛土のまき出し厚さ及び転圧機種 転圧回数は 試験盛土を行い決定することを原則とす るが 類似の土質で施工例のある場合は特別に試験盛土をせずに土質試験結果を比較検討し まき出し厚さ及び転圧機種 転圧回数を決定してもよい また高さが 5.0m 以下のダムで盛土材料が良質な場合は試験盛土を行わず 表 4-1 で施工することができるものとする 表 4-1 盛土のまき出し厚さ 転圧機種 転圧回数機械まき出し ( 厚さ ) 締め固め回数 ブルドーザー (15t) タイヤローラー (15t~20t) 30cm 30cm 8 回以上 5 回以上 礫まじり土および高含水比粘性土については 室内土質試験のみでは締め固め基準を決めに くいので 試験盛土をするのが望ましい (3) 盛土の締固めは原則として締固め度 ( 現場乾燥密度 室内最大乾燥密度 ) で規定するもの とする 高含水比粘性土などの材料では空気間げき率で規定することがある 盛土の締固め基準は 次の通りである 1 乾燥密土による場合 まき出し各層ごとに JIS A 1210( 土の突き固め試験方法 ) の方法による最大乾燥密度の 90% 以上の密度になるよう均一に締め固めるものとする 2 飽和度または空気間げき率による場合 まき出し各層ごとに飽和度 85~95%( 空気間げき率 10%~2%) の範囲に入るよう均一に 締め固めるものとする 32

(4) 試験転圧は代表的な盛土材料について行ない まき出し厚さ 30~40cm で 3 層以上とする 試験転圧には使用する転圧機械を用いて盛土締固め基準に合致するまで転圧し 必要な転圧 回数を決定するものとする 4 2 品質管理 ダム式の場合 盛土の施工中は原則として必要な現場試験を行わなければならない 施工中は 盛土高さ 1.0m 毎に 3 ヶ所以上締固め度をもとめ 転圧が充分に行なわれていることを確認しなければならない ただし 乾燥密度の測定によることが適当でない場合は 空気間げき率を用いることができる なお 管理試験によって得られた数値は一定の管理方式にあてはめて処理し その結果をその後の施工手段や 管理試験に反映させて良好な施工に役立たせなければならない 4 3 安全対策 調整池周辺には 事故防止のためフェンスを設けたり 調整池の目的等を記した標示板を設置 するなどの対策をとるものとする 住民の転落等による事故防止と機能維持のため 調整池周辺 とくに流入施設 放流施設付近にはフェンスの設置等を配慮しなければならない また 貯留施設周辺には 貯留施設の目的 機能 規模 注意事項等などを記した説明板を設けるなどして付近住民の理解と協力が得られるように心掛けるものとする なお 点検修理等の維持管理作業中の事故防止のためには 検廊等に手摺の設置を行うこととする 4 4 多目的利用調整池を公園 駐車場等の他の利用目的を有する施設として利用する場合は この利用目的に支障のないよう配慮しながら 調整池の所定の洪水調節機能を確保できる構造 規模としなければならない (1) 調整池が本来の機能を発揮するのは 洪水時に限られるため 平常時の土地の有効利用を図る目的から 調整池を公園 駐車場等と併用する場合がある このような場合 調整池以外の利用目的を損なわないよう必要に応じ 安全対策や排水対策を講ずるものとするが 調整池が本来洪水調節の目的を有するものであるから 所定の機能を確保するよう構造 規模を設定しなければならない 33

(2) 調整池の管理者は 他の目的で利用する場合の施設の管理者と維持管理について十分協議を行い 必要に応じ管理に関する協定を締結するなどして当該施設の全ての利用目的が十分 に達成されるよう努めなければならない 34