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目標 5) (1) 対象の言動を受け止め否定せず 関わることができる (2) 一貫した治療的態度で接する事ができる (3) レクリエーションの企画 実施を通して対象の状況に応じた声かけ誘導ができる 目標 6) (1) 対象の生活状況の理解と 施設の役割を学習する (2) サービス提供をする医療福祉従

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Transcription:

精神科救急医療病棟退院者の地域生活を支えるための. 精神科救急医療病棟退院者の地域生活を支えるための訪問看護支援方法の検討訪問看護支援方法の検討 吉野賀寿美鈴木由美子飯沼紀子中田貴子 ( 医療法人社団五稜会病院 ) はじめに 近年 医療の質の向上および地域生活支援の充実化を図り精神科救急医療システムが推進され 入院期間の短縮化が可能になってきている一方 精神疾患の特徴である易刺激性により社会生活の中で受ける様々な刺激に対処する力が育たないまま退院に至ることで再入院を繰り返すケースが生まれている現状がある また いかに治療や看護ケアの質の改善及びマンパワーの強化をしても 90 日以内での退院が困難な難治性のケースがある 急性期病棟を有する当院においても同様の事態が起こっており こういった課題解決に取り組むことが求められている 現在当院で退院後の患者の生活を支える支援として 外来看護カウンセリング デイケア リワーク支援 訪問看護があるが 前者 つはいずれも患者自らが出向くことができてはじめて受けられるサービスである しかし 退院後の患者の中には退院後に受ける様々な刺激で不調をきたし サービス利用のために出向くことができなくなるものも少なくない また 難治性のケースの中には在宅に医療者側が出向き 支援を提供することで退院可能な場合もある したがって 当院提供の外来支援としての訪問看護の質の向上に取り組み きめこまやかなケアを提供することで 退院後の患者の生活を支えることができ より多くの難治性の患者の退院および再入院を減らすことができるとおもわれる そこで 濃厚な支援提供により重症な精神障害をもつ人々でも地域生活継続を可能にする ACT (Assertive Community Treatment: 包括型地域生活支援プログラム ) の実践方法を参考にすることで 当院の訪問看護実践のあり方を見直し 患者の地域生活継続支援の質の向上を目指すことができると考えた 目的 本研究の目的は 精神障害者の入院期間の短縮はおよび地域生活支援の充実化を目指すため ACT 実践方法を取り入れ 当院急性期病棟退院者が症状をかかえながらも地域生活の継続を可能にしえる訪問看護支援の方法を見出すことである 対象と方法 本研究目標達成のため 以下の課題を設定し研究を実施する. 00 年 0 月 日 ~0 年 0 月末までの間に当院急性期病棟に入院中の患者の中で

当該病棟から 90 日以内に退院できなかった患者の基本情報と入院経過を記述し 原因分析した. 00 年 0 月 日 ~0 年 0 月末までの間に当院急性期病棟に入院中の患者の中で 90 日以内に退院した者のうち退院後 年以内に再発に至った患者の基本情報 経過 受けていた支援内容を記述し 原因分析した また 再発者のうち訪問看護利用者に関しては 訪問看護スタッフにインタビューを行い 再発者に対するケア上の困難点を明らかにした. 課題 の分析結果を踏まえ ACT 実践に同行訪問および ACT 実践者との事例検討を実施した 4. 上記検討結果を踏まえ 困難点改善のために当院の訪問看護マニュアルを見直した 結果. 課題 の結果と考察研究期間中の急性期病棟全入院患者は 0 名であり 内 名は症状悪化により他病棟より転入してきたものであり本研究の対象者から除外するものとした したがって 研究対象者は 79 名 ( 男性 0 名 女性 68 名 ) 平均年齢 4.7 歳であった 対象者の病名の内訳は統合失調症および統合失調感情障害 56 名 うつ病性障害 4 名 アルコール依存症 9 名 双極性感情障害および気分障害 7 名 人格障害および解離性障害他 名 広汎性発達障害および行為障害 7 名 認知症 名 その他 4 名であった 90 日以内に退院できなかった患者状況当該病棟から 90 日以内に退院できなかった患者は 名 ( 男性 9 名 女性 名 ) 平均年齢は 49 歳 GAF スコア平均は 5 点 抗精神薬一日総量平均 (chlorpromazine- 以下 CP- 換算 ) は 49,6mg であった このうち 4 名はまだ入院中であるが他の 7 名は退院しており 平均在院日数は 08 日であった 対象者の入院前の生活として 家族と同居していた者は 5 名 単身生活 名 施設やグループホーム入所者は 4 名であり サービス利用者は 人中 人と半数に満たなく 内容としてデイケアのみ 6 名 デイケアと訪問看護の両方利用が 名 訪問看護のみ 名 ヘルパー 名と社会資源がうまく活用されていない状況が明らかにされた 対象者の病名と入院長期化の原因は図 に示す 図. 対象者の病名

8 病状の回復困難 家族の受け入れ拒否 退院への不安 図. 入院長期化の原因 退院後の生活支援調整 上記の結果より 90 日以内の退院が困難となっているのは統合失調症および統合失調感情障害の患者が 7 割以上となっており また入院長期化の原因として病状の回復困難 退院後の生活支援整備 家族の受け入れ拒否の順で多くなっている 退院後の生活支援整備の中には 施設の空き待ちといったどうにもならない状況もあるが 80% 以上が施設以外で単身生活者や家族と同居している者であり 退院後の生活サポートの検討や導入の検討が遅れて入院が長期化したケースである つまり 症状を抱えながらも生活できるような地域支援 フォローアップがあれば入院期間の短縮が可能であることが示唆された これは 入院前の使用サービスからも 対象者本人の生活の場に出向いてサービス提供がなされている状況からも伺えた 90 日以内に退院した者のうち退院後 年以内の再発者当該病棟より 90 日以内に退院した者は 48 名 うち退院後 年以内に再発に至った者は 名 ( 男性 名 女性 名 ) 平均年齢は 7.8 歳 GAF スコア平均は 6 点 抗精神薬一日総量平均 (CP 換算 ) は 86.86mg であった 対象者の退院後の生活状況として 施設やグループホームに退院した者はなく 5 名が家族と同居し 7 名が単身生活した また退院後にサービスを導入した者は 名中 7 名のみであり 内容として当院のデイケアが 5 名 訪問看護が 名 生活支援センターが 名という状況であった 対象者の病名と再入院に至った原因は図 4 に示す 4 4 9 5 7 7 図. 対象者 ( 再発者 ) の病名 図 4. 再入院の原因

方法頻度初めは 回 /W 以後必要に応じ変更 状況により 日数回訪問など必要に応じて頻度設定 支援内容上記から 再発者の多くが統合失調症および統合失調感情障害であり 再入院の原因として様々な要因によるストレスから病状悪化であることがわかる 再発者 名のうち 社会資源を利用していたのはわずか 7 名であり また複数のサービスを利用している者はなく単一のサービスのみしか使用していない 非常に支援の希薄さが見られた さらに 再発者の 78% の者が家族と同居していることから 家族からのフォローだけでは病状悪化への対処が困難であること そして家族自身の患者を支えるための支援の必要性も伺えた 結果 の両考察より 症状を抱えながらの生活や家族が対象者に対していかなる支援を行っているかを把握し 患者の地域生活継続を支えるための必要なサポートをアセスメントし 実際にサポートを提供していくことが必要であり そのため患者と家族の生活の場に出向き 必要な支援が行える訪問看護の活用が有効であると考えられる. 課題 ~4 の結果と考察当院訪問看護のマニュアルに訪問看護スタッフへのインタビュー ( 再発者への訪問看護支援の内容 困難点について ) からの情報を追加し 当院の訪問看護支援の内容をまとめた また ACT 実践での同行訪問での支援の内容 事例検討で行っている支援内容について確認した内容をまとめた この つの実践内容を比較検討し 当院の訪問看護マニュアルの内容の改善を行った 表. 当院訪問看護と ACT 実践の比較 看護師 精神保健福祉士 (PSW) 医師 看護師 PSW 作業療法士 薬剤師 学生ボラン ティア 必ず 名一組 日中のみの支援 病状観察 服薬状況の確認 ( 精神症 状のアセスメント 医師への報告 受 診の促しとつきそい ) 生活状況の観察と援助 ( 部屋の整理 相談とサービス導入 ) 金銭管理の状況把握 状況と内容に応じて ~ 名で支援 夜間の緊急訪問対応 や泊まり込み支援 病状観察 服薬状況の確認 ( 精神症状のアセスメント 薬の宅配 注射の実施 内科疾患 受診の促しとつきそ い 往診 薬剤指導 褥創処置などの身体ケア ) 生活状況の観察と援助 ( 自宅の修繕 買い物 料理 食事の宅配 掃除 洗濯 入浴援助 ) 金銭管理の状況把握と援助 楽しみの援助 ( 喫茶店への同行 記念日のお祝い会開 催 ドライブ 外出 アロマセラピーマッサージ カラ オケの付添など利用者の趣味の付添 ) 4

インタビューの結果 当院訪問看護におけるケア上の困難点としては スタッフ人数の限界あり 頻回訪問の必要性があっても出来ない現状 訪問者に患者を乗せることができない限界 日中のみの支援に限られていることがあげられた 上記の比較より人的資源の違いによるケアの幅やケア提供の頻度に限界があるものの サービス内容の違いは大きい 当院は現在主に看護師による訪問看護となっており すぐに他職種を含めることは経営上の限界もあるが 看護師でも担えるケアはある ACT の実践では 例えばある PSW の日曜大工が趣味であったため 利用者の家の修繕を手伝うこともあった つまり職種を超えて 自分ができる援助をできるだけの範囲で提供することで支援の幅に広がりが生まれると思われる また 訪問の頻度や時間について現在 4 時間対応が可能なほどの人的資源はないが 名訪問から 名での訪問にすることで ニーズに合わせてより頻回訪問が可能になると考えられる もちろん 精神症状に応じて 名での訪問が必要な場合はあるが全ケースに 名である必要はない ACT では 複数スタッフの訪問が必要な場合は 連絡し合って時間を合わせて合流し訪問 その他はそれぞれ単独で動いていた こういった柔軟な動きを導入することでより濃厚なケアが提供できると思われる おわりに 本研究の実施により 退院後に必要な支援を受けていない患者が多くいること そういった人々にサービス提供することで再発を避ける可能性があることが明らかになった また 入院が長期化してしまう多くの患者にとって 退院後により濃厚な支援が提供されることで退院が可能になるケース より短い入院期間で地域に戻れるケースがあることが明らかになっている 今回 ACT 実践を参考に当院の訪問看護実践マニュアルを改善し 患者の地域生活継続支援の質向上を目指そうと試みたが マニュアル以前にシステムの見直しが必要であることがわかった 今後 その上で実際のマニュアル改訂を行う必要が明らかにされた 経費使途明細 ACT-K への研修参加旅費 ( 往復航空券 人分 87,800 円 宿泊費 人分 08,90 円 その他交通費,70 円 ) 同上研修費 (5,000 円 日 人 ) 会議時費 ( 水 98 円 6 人 回 ) 消耗品 (USB メモリー,590 円 ファイル類 5,70 円,CR-ROM,EXPAC) 合計 08,00 円 90,000 円,76 円 7,760 円 0,6 円 5