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現行見直し案見直し理由等 カラス 被害時期 : 通年 ニホンザル 被害対象 : 農作物全般への食害 農業施設へ被害 生活環境被害 ヒヨドリ 被害時期 : 通年 アナグマ 被害対象 : 果樹への食害 被害対象 : 農作物全般への食害 ハクビシン 被害対象 : 農作物全般への食害 住居侵入による生活環境

Taro-H30業務仕様書 (祖母傾地域)

人とクマのあつれき 近年 人とクマのあつれきがメディアを賑わせる人身事故件数の推移 (2006 ~ 2015 年度 ) ことが多くなってきました クマは本来 人目を避けて暮らす動物ですが 残念ながら人とクマとの間にはトラブルが発生しています シカやイノシシなどは農業被害が中心ですが クマの場合は人身

Microsoft Word - 01 変更計画書


1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域対象鳥獣イノシシ ニホンジカ ヌートリア アライグマ ハシブトガラス ハシボソガラス ( 以下 カラス類 と言う ) ツキノワグマ ニホンザル カワラバト キジバト ( 以下 ハト類 という ) アオサギ ダイサギ( 以下 サギ類 という ) 計画

実施計画の参考様式(この様式については、決定したものではありません

(別記様式第1号)

第3次_表紙.ec6

養老山地で生息が確認されたクマについて Q1. クマってどんな生き物? 本州に生息するクマはツキノワグマで 冬季 (12 ~3 月頃 ) は冬眠し 冬眠から覚めると山菜などを食べ 6 月頃に繁殖期を迎えます 夏は草や木の実や昆虫を探し 秋になると木の実を食べることが多くなります 利用する餌は多様性に

イノシシH30年度別計画

高齢者虐待防止対応マニュアル別冊 6 関係機関との連携 (1) 各機関の役割 市町村や地域包括支援センター等の関係機関は それぞれ対応可能な範囲があります 範囲を超えた対応は行うことができません また 事例によって関係機関の対応を依頼する場合があります 市町村が中心となるコアメンバー会議によって 大

(別記様式第1号)


(Microsoft Word - \220\255\215\364\222\361\214\276\217\221.docx)

奈良県ライフライン 情報共有発信マニュアル 第 3.3 版 平成 24 年 7 月 奈良県ライフライン防災対策連絡会

4 有害鳥獣捕獲マイスター等による捕獲技術の向上 ( 農林事務所 猟友会 ) わな猟免許新規取得者を対象に有害鳥獣捕獲マイスター等による捕獲技術研修 実地指導を実施 (6 農林事務所で 8 回実施計 147 人受講 ) 2 捕獲の強化 (1) ニホンジカの捕獲強化 ( 猟友会委託 ) 指定管理鳥獣捕

計画作成年度

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箱わなによる捕獲の流れ 箱わなの設置場所を選ぶ 餌付けにより誘引する 餌付けを続けて警戒心を解く 捕獲する 1

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域イノシシ ニホンジカ 中獣類 ( ハクビシン アライグマ そ対象鳥獣の他狩猟獣 ) カラス類 ( ハシブトガラス ハシボソガラス ) カモ類 ニホンザル ツキノワグマ計画期間平成 29 年度 ~ 平成 31 年度対象地域福井市 2. 鳥獣による農林

人 3,500 3,000 狩猟登録者数の推移 3,241 3,180 3,202 3,247 3,373 合計 網 わな 銃 2,500 2,000 1,843 1,845 1,910 1,965 2,100 1,500 1,000 1,398 1,335 1,292 1,282 1,273 50

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域 対象鳥獣計画期間対象地域 シロガシラ イノシシ キジ平成 27 年度 ~ 平成 29 年度うるま市全域 ( 注 )1 計画期間は 3 年程度とする 2 対象地域は 単独で又は共同で被害防止計画作成する全ての市町村名を記入 する 2. 鳥獣による農

(様式第1号)

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域 対象鳥獣 ツキノワグマ カラス類 サギ類 カワウ カモ類 ハト類 スズメ イノシシ タヌキ ハクビシン ニホンジカ ニホンザル 計画期間 平成 28 年度 ~ 平成 30 年度 対象地域 長岡市全域 2. 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に

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( 松尾委員 ) 調査は 10 年後なのか 環境が変わった時に計画の変更見直しは可能なのか 調査は必要に応じて実施可能 指定される状況でなくなれば 解除手続きはある ( 八代田委員 ) 今のままだとシカ被害が進んでいく可能性が高い 今後 捕獲強化を実施するのであれば 捕獲の効果を見るような調査を組む

PowerPoint プレゼンテーション

既存の高越ガス設備の耐震性向上対策について

項目ご意見等の概要部会の考え方 ( 案 ) 1 操業中及び猶予中の工場等における土壌汚染状況調査 有害物質使用届出施設等の廃止後の土壌汚染状況調査が実施されておらず かつ 調査の猶予を受けていない土地についても 土地の利用履歴等の報告や土壌汚染状況調査の対象とする規定を設けるべきである 有害物質使用

防除実施計画(表紙、目次)

三重県新地震・津波対策行動計画(中間案)130308

00表紙・目次(最終確認用)0316

1. 対象鳥獣の種類 被害防止計画の期間及び対象地域 対象鳥獣 計画期間 ニホンザル ツキノワグマ イノシシ ニホンジカ 平成 28 年度 ~ 平成 30 年度 対象地域小国町 ( 注 )1 計画期間は 3 年程度とする 2 対象地域は 単独で又は共同で被害防止計画作成する全ての市町村名を記入する

学校の危機管理マニュアル作成の手引

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(別記様式第1号)

Microsoft Word - 「ハンドル形電動車椅子安全利用に関する知識・技能についての教育・訓練の基本項目」について.docx

Microsoft PowerPoint - 04-検討プロセス及び検討体制

29jisshikeikaku

Microsoft PowerPoint 特定鳥獣イノシシ研修(配布用) (2)


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猟 流し猟 少人数巻狩り 林道車上狙撃 待ち伏せ猟 足くくりわな 囲いわな ) を実施し 各手法の特長や課題 適する時期 場所等を把握 秦野市三廻部と山北町世附で 神奈川県猟友会の捕獲熟練者との協働による猟犬を用いた少人数巻狩りを試行 山北町玄倉の捕獲困難地において 少人数捕獲に精通した NPO 法

平成 28 年度 県内におけるツキノワグマの目撃等情報 クマらしき動物の目撃等の情報も含みます ( 平成 29 年 3 月 3 日現在 ) 月日時間頭数状況場所等 1 4 月 8 日 - - 痕跡伊勢原市大山クマの糞を確認人里 出没区分 目撃 痕跡 撮影 その他 2 5 月 4 日 18 時 29

監査に関する品質管理基準の設定に係る意見書

目 次 第 1 はじめに 2 1 ガイドライン策定の目的 2 2 ガイドラインの対象となる防犯カメラ 2 3 防犯カメラで撮影された個人の画像の性格 2 第 2 防犯カメラの設置及び運用に当たって配慮すべき事項 3 1 設置目的の設定と目的外利用の禁止 3 2 設置場所 撮影範囲 照明設備 3 3

1 はじめに 本市では 平成 17 年に 鹿児島市安心安全まちづくり条例 を定め 地域の安全は地域で守る を基本理念に 市と市民 事業者等が連携 協働し 安心して安全に暮らせるまちづくりを進めてきました これまでに防犯パトロール隊や青色防犯パトロール車による防犯活動をはじめ 安心安全ネットワーク会議

( 別記様式第 1 号 ) 計画作成年度平成 28 年度 計画変更年度平成 29 年度 計画主体 筑紫野市 筑紫野市鳥獣被害防止計画 < 連絡先 > 担当部署名所在地電話番号 F A X 番号メールアドレス 筑紫野市環境経済部農政課筑紫野市二日市西一丁目 1 番 1 号

<81798DC58F498CB48D65817A8A C55F B91E693F18EED93C192E892B98F628AC7979D8C7689E62E786C7378>

西会津町における鳥獣被害対策について ~ 自分達の畑は自分達で守る ~ 西会津町の概要 人 口 7,523 人 世帯数 2,813 世帯 高齢化率 40.0% 面 積 298km2 (86% が山林 ) 平均降雪期間 128 日 平均最深積雪量 142cm 福島県耶麻郡西会津町 町内中心部より望む飯

Microsoft Word - 鳥瓣被害韲æ�¢è¨‹çfl»ï¼‹H30-32;朕絇Ver

Microsoft Word 修正 特定計画(イノシシ)案

1. 有害鳥獣対策の法規制の緩和と捕獲業務の体制強化 建議 農作物の大敵である有害鳥獣の被害防止対策につきましては 毎年 補助事業等の活用により ワイヤーメッシュ柵 電気牧柵器及び箱罠の設置等に多額の予算を計上していただき また その普及や管理に関する知識の伝達等にご尽力いただいておりますことに対し

5_【資料2】平成30年度津波防災教育実施業務の実施内容について

【通知】海外療養費・出産育児一時金の支給の適正化に向けた対策等について

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内部統制ガイドラインについて 資料

三ケ島工業団地周辺地区 第一回勉強会

抜本的な鳥獣捕獲強化対策 平成 25 年 12 月 26 日環境省農林水産省

(別紙様式第1号)

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

目次 1 現状と課題 1 2 目的 1 3 出没時の第 1 次受信部署の役割と連絡体制 1) 第 1 次受信部署による情報の整理 1 2) 第 1 次受信部署の対応 1 住居集合地域等にイノシシが出没した人身被害が発生又はそのおそれが生じた場合 農作物被害が発生した又はそのおそれが生じた場合 4 県

1 大阪府の石綿対策の制度 1-1 建築物等の解体等工事に係る法 条例の主な規制内容 建築物の解体等工事 吹付け石綿 断熱材 保温材 被覆材 成形板 ( 石綿使用面積 1,000m 2 以上 ) 成形板 ( 石綿使用面積 1,000m 2 未満 ) 石綿無 着手前 着手中 事前調査条例条例条例条例

の内訳 ( ): ア基本的な考え方について / イ取組について / ウその他の反映状況 ( ): 計画案に反映した /B の趣旨が既に素案に盛り込まれている / 1 ア P10-3 で イノシシによる被害を防止するための捕獲や防護柵設置等の とあるが 鳥獣害対策は 被害の予防を大前提とし それでも対

秋子割合 現状評価と課題の整理 市内のイノシシ対策の現状を評価し, 課題を整理するため, 地理情報分析および捕獲状 況分析を行った ( 資料編参照 ). 1 地理情報分析による評価集落単位の各種行政資料 ( 捕獲情報, 防護柵設置状況, 市民からの要望など ) について, 地図上での分析 ( 地理情

第 1 はじめに 1 ガイドライン策定の目的安全で安心なまちづくりを進める上で 近年 防犯カメラの設置は広く有用であると認められており 市内においても防犯カメラの設置が進んでいます しかし その一方で 知らないうちに自分の姿が撮影され 目的外に利用されること等に不安を感じる市民の方もいます そこで

. ポイント 火山活動の変化を的確に検知し 迅速に登山者等に伝達できる 観測体制強化 関係機関への情報伝達迅速化 屋外放送 携帯端末 パトロールから伝達等 予測不能な突発的噴火の際 避難できる施設が整備されている 噴石等に耐えられる堅牢施設 避難すべき施設を登山者が認知等 噴火警報発表時 噴火時に登

第3章 指導・監査等の実施

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イノシシH30年度別計画(資料編)

加賀市農業委員会農地等の利用の最適化の推進に関する指針 平成 30 年 1 月 26 日制定 加賀市農業委員会 第 1 指針の目的 農業委員会等に関する法律 ( 昭和 26 年法律第 88 号 以下 法 という ) の一部改正法が平成 28 年 4 月 1 日に施行され 農業委員会においては 農地等

CSRコミュニケーションブック

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別紙 Ⅰ 対象事業の概要環境影響評価法 ( 平成 9 年法律第 81 号 以下 法 という ) 第 15 条に基づき 事業者である国土交通省関東地方整備局及び横浜市から 平成 30 年 6 月 22 日に送付のあった環境影響評価準備書 ( 以下 準備書 という ) の概要は次のとおりである 1 事業

龍ケ崎市通学路交通安全プログラム ~ 通学路の安全確保に関する取組の方針 ~ 平成 27 年 3 月 龍ケ崎市教育委員会

平成 30 年度茨城県地域猫活動推進事業実施要領 第 1 目的本事業は, 地域猫活動に取り組む市町村や地域を茨城県が支援することにより, 県内に地域猫活動を普及 定着させ, 飼い主のいない猫の適正管理を図り, 快適な生活環境の保持増進に寄与することを目的とする 第 2 用語の定義この要領における用語

平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

汚染の除去が行われた場合には 指定を解除その他 区域の指定等 1 要措置区域 ( 法第 6 条 ) 土壌汚染の摂取経路があり 健康被害が生ずるおそれがあるため 汚染の除去等の措置が必要な区域 汚染の除去等の措置を都道府県知事等が指示 ( 法第 7 条 ) 土地の形質の変更の原則禁止 ( 法第 9 条

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医療安全管理指針

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3-1 地域の特殊性を考えた戦略 東北地方には 広いイノシシの空白地帯 ( 未生息地域 ) があることが他の地方と大きく異なり 未生息地域にイノシシを侵入させない 定着させないことが肝心となる このためには 農業部局と環境部局による一層の連携はもとより 国や自治体 また住民と一体となった明確な戦略が

資料 4 平成 26 年報告書に提言された取組のうち 回収率目標達成アクションプラン以外の取組状況について 平成 29 年 12 月 4 日 経 済 産 業 省 環 境 省

ただし 森林の土地の所有権の取得と併せて 当該森林について法第 10 条の2の規定に基づく開発行為の許可を受けて他の用途へ転用する場合など 地域森林計画の対象とする森林から除外されることが確実であるときは 届出書の提出を要さないものとして運用して差し支えない (2) 土地の所有者となった日届出書の提

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

岐阜県手話言語の普及及び障害の特性に応じた意思疎通手段の利用の促進に関 する条例 目次前文第一章総則 ( 第一条 - 第八条 ) 第二章基本的施策の推進 ( 第九条 - 第十六条 ) 附則 ( 前文 ) 手話が言語であることは 障害者の権利に関する条約において世界的に認められており わが国においても

アマミノクロウサギ保護増殖事業計画 平成 27 年 4 月 21 日 文部科学省 農林水産省 環境省

資料3

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3 くろまぐろの知事管理量について 海洋生物資源の採捕の種類 別又は期間別の数量に関する事項 ( 1) 採捕の種類別の割当量について 2 に掲げる知事管理量の小型魚における採捕の種類別に定め る割当量は 次の表のとおりとし 大型魚は採捕の種類別に定 めないものとする 採捕の種類 小型魚 本県の漁船漁

いないか 又は収穫が行われなくなった樹木のこと 畑や敷地に植えられたカキやクリが一般的で あり 他に耕作放棄地に放置されたリンゴやブドウなどもある (5ページ) 泥浴び イノシシが地面に転がり 泥に体をこすりつける行為のこと 体に付いたノミやダニを落したり 夏毛の時は虫に刺されないために行うとされる

(別記様式第1号)

Microsoft Word - ヒグマ管理計画2-1本文.docx

その他の法令等 消防法京都市火災予防条例道路法廃棄物の処理及び清掃に関する法律 対象 状況屋外における火災予防上危険なもの ( 火災の危険が迫っている場合のみに限定 ) 空き家, 空き地で火災予防上危険なもの認定区域内に生じている道路の交通に支障を及ぼすおそれのある行為自己所有地でごみ ( 一般廃棄

人材登録に必要な実績について Q1: 人材登録されるために必要な実績は? A: 分野ごとの必要な実績は以下のとおりです ( 詳細は募集要項をご覧ください ) 鳥獣保護管理プランナー次のア ) イ) のいずれかについて 鳥獣保護管理に関する計画の策定や見直し等に関する経験年数の合計が 5 年以上あると

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Taro-07_学校体育・健康教育(学

3_意見募集の結果

Transcription:

クマ ( ツキノワグマ ) 出没時におけるマニュアル ( 暫定追補版 ) はじめにツキノワグマは 森林生態系の頂点に位置する生物であり クマが将来にわたって生息できる環境をつくることは 人と自然の共生にとって重要な意味を持つ 愛知県では レッドデータブックあいち2002 でクマを絶滅危惧 ⅠA 類 ( 絶滅の危機に瀕している種 ) に位置づけ 狩猟の自粛を促すなど保護を図ってきた しかしながら 2010 年には三河山間地域において大量のクマが確認され 地域住民にとっては大きな不安材料となった また 関係市町村もイノシシ檻などに意図せずに誤って捕獲 ( 以下 錯誤捕獲 とする ) されたクマの対応に苦慮することとなった クマは 2~3 年ごとに発生するブナ科堅果類 ( ドングリ ) の凶作の年 冬眠前にエサを求めて人里に近づくことから 今後 クマが周期的に大量出没する可能性がある そこで 愛知県では これまでの行政向けの危機管理マニュアルや県民向けのクマ出没対応マニュアルを充実するとともに 人とクマとの共生を図ることとした その基本的な考え方は以下のとおりである (1) 中長期的には 人とクマの共生を目指していく まず 県民に対して クマと遭遇しても危険が回避できるようなクマに関する正しい知識の普及 浸透を図るとともに 健全は森林生態系の整備や緩衝帯の整備などにより 人とクマが棲み分けできるような地域づくりを進めていく (2) クマの出没予想を行い 狩猟者等に対してイノシシ檻等によるクマの錯誤捕獲を避けるための対応を定める (3) 錯誤捕獲が生じた場合 クマに関する専門家の助言を得て 速やかな対応ができるようにする (4) こうした対応を行うため 愛知県ツキノワグマに関する専門家会議を設置し そのメンバーに岐阜県や長野県の専門家等の参加を得ることで 近隣県との連携の上対応を進める (5) 尾張 西三河 新城設楽それぞれの地区において クマに関する対策協議会を設置して それぞれの地区の状況に応じた対応策を検討する 当面はこうした考え方に基づき 地域住民の安全確保を最優先として 住民 関係機関に対する迅速な情報提供を図りながら対応していく なお 今後もツキノワグマに関する専門家会議や尾張 西三河及び新城設楽それぞれの対策協議会における検討を踏まえながら適宜改善し 平成 24 年秋までにはマニュアル全体を再度見直すものとする

1. 錯誤捕獲防止対策 本県の場合 クマの狩猟は自粛していることから クマが捕獲されるのは そのほとんどがイノシシ檻等における錯誤捕獲である 錯誤捕獲の場合は 放獣するのが原則であるが クマの場合は危険が伴うため 簡単に放獣できないのが実情である このため まずは錯誤捕獲を起こさないことが重要である 愛知県でのクマの大量出没は ドングリ ( ブナ科堅果類 ) の凶作と関連していると考えられるため 隣県のドングリの豊凶調査の情報や出没情報等を入手し クマの出没予想などの参考情報を市町村等に提供する わなによるクマの錯誤捕獲を防止するために わなの設置者は 脱出口付の檻 ( クマスルー檻 ) の使用や わな設置場所付近においてクマが出没した場合は クマが好むもの ( 米ぬか等の発酵物等 ) をエサにすることを控える 又は檻を閉じる等の錯誤捕獲防止対策を行うものとする 2. クマ出没の目撃情報が寄せられた以降の対応 (1) 住民等から目撃情報があった場合 住民等から市町村に対して クマに関する目撃情報が寄せられた場合 市町村は速やかに地元猟友会及び管轄の県民事務所又は新城設楽山村振興事務所 ( 以下 県民事務所 ) 環境保全課に速やかに報告するものとし 県民事務所環境保全課は速やかに県自然環境課に報告するものとする 市町村の担当職員及び地元猟友会は 目撃現場に行き 聞き取り調査及び足跡などの痕跡を調査 出没の確度を判断するものとする 必要に応じて 県 ( 県民事務所環境保全課及び自然環境課 ) も現地調査を行うものとする その結果 出没の確度がある と判断した場合 市町村は 出没地域の出没情報を提供し 注意喚起を行うものとする 県自然環境課は 出没情報や注意点を県のホームページに掲載し 広く県民に情報提供や注意喚起を実施するものとする (2) 出没の状況などから人身被害発生の可能性が高いと判断された場合 ( 住民の安全確保と捕獲許可 ) 出没の状況などから 人身被害発生の可能性が高いと判断された場合 市町村は住民の安全確保を行うとともに 警察に通報する 警察は この通報を受けてパトロールの実施を行うものとする 市町村は 県による助言等 ( 捕獲市町村以外の放獣地 専門家 譲渡先の紹介 ) や専門家会議による助言等を踏まえて 対応を検討 (1 放獣 2 引渡 3 殺処分の順で検討する ) した上でクマの捕獲許可手続を取り 地元猟友会に捕獲を依頼する

地元猟友会は 市町村からの依頼を受け 捕獲を行う ( 捕獲後の対応 ) 市町村は 捕獲許可の際に定めた対応に基づいた対応を行うものとする 放獣の場合は 専門家による協力を得ながら放獣するものとし 放獣は原則捕獲した当日中に行うものとする 殺処分を実施する場合は 地元猟友会に依頼し 捕獲物は適正処理を実施するものとする 3. 錯誤捕獲が発生した場合 (1) 有害鳥獣捕獲時に錯誤捕獲が発生した場合 住民等から錯誤捕獲の情報が市町村に寄せられた場合 市町村は 地元猟友会 管轄の県民事務所及び警察に通報するものとする 県民事務所は 県自然環境課に通報する 市町村は 第 3 者が現地に立ち入ることにより混乱を生じる可能性が予想される場合は 地元警察署に第 3 者の立入を制限するよう要請する 市町村は 地元猟友会及び県民事務所と供に現地確認を行い 錯誤捕獲に係る経緯の聞取りや現地の状況や捕獲したクマの状態について調査し 専門家会議委員による助言を踏まえながら 放獣が可能であるか検討する 市町村は 放獣が可能であれば専門家会議委員の助言を踏まえながら放獣を行うが 放獣が不可能な場合 クマの捕獲許可を申請し 引き続き移動放獣 引渡しの検討を行う 検討の結果 可能であれば移動放獣 引渡しを行う 検討の結果 移動放獣や引渡が不可能な場合 地元猟友会に依頼して殺処分を行う 殺処分した捕獲物は適正処理を行う 以上の対応は 原則錯誤捕獲当日中に判断し 実施する (2) 狩猟時に錯誤捕獲が発生した場合 狩猟者等から錯誤捕獲の通報が寄せられた場合 県は市町村及び地元猟友会と供に現地確認を行い 狩猟者から錯誤捕獲の経緯を聞取り 現地の状況や捕獲したクマの状態について調査し 専門家会議委員の助言を踏まえて 放獣を検討する 県は 第 3 者が現地に立ち入ることにより混乱を生じる可能性が予想される場合は 地元警察署に第 3 者の立入を制限するよう要請する その場での放獣が可能な場合 専門家会議委員の助言を得ながらその場で放獣を行う その場での放獣が不可能な場合 県は 移動放獣 引渡しの検討を行い 可能な場合は 関係市町村から捕獲許可を取得し 移動放獣 引渡しを行う 検討の結果 移動放獣 引渡しが不可能な場合は 県は関係市町村から捕獲許可を取得し 殺処分を地元猟友会に委託する 殺処分した捕獲物は 適正処理を行う 以上の対応は 原則錯誤捕獲当日中に判断し 実施する

4. クマが出没しにくい地域環境づくり クマが集落等に出没する原因については ドングリ ( ブナ科堅果類 ) の豊凶状況などの原因も指摘されているが 集落内のクリやカキ あるいは畑作物や生ゴミなどもクマの誘因物になるとの指摘があることから 普段からそうしたクマの誘因物を除去するなどの対策が必要である また 集落の周囲などにおいてクマが身を隠しやすい場所をなくすため 集落や畑等の周囲において 間伐や下草刈りを進めることも必要である このため 地域の集落を中心として 市町村をはじめとする関係機関が協力して こうしたクマが出没しにくい地域環境づくりを進めていくものとする

ツキノワグマ対応に関するフローチャート 地元警察市町村地元猟友会県 ( 自然環境課 県民事務所 ) 住民からクマの出没目撃情報 隣接県の出没情報や堅果類の豊凶について市町村 猟友会に情報提供 ( 有害鳥獣捕獲時に誤った捕獲が発生した場合 ) 地元警察市町村地元猟友会県 ( 自然環境課 県民事務所 ) 誤った捕獲の防止対策捕獲者等から誤った捕獲の通報 目撃現場に行き 現地確認 ( 聞取調査 痕跡調査等 ) 現地確認 現地確認 出没の確度があると判断した場合 立ち入り規制 放獣の検討 専門家会議による助言 出没地域の住民 学校などに出没情報を提供し 注意喚起 出没状況などから人身被害発生の可能性が高いと判断された場合 または人身事故が発生した場合 出没情報や注意点をホームページに掲載し 広く県民に情報提供及び注意喚起 可不可能放獣クマの捕獲許可移動放獣 引渡しの検討不可能可移動放獣 対応の決定まで現場で監視殺処分 専門家会議による助言 捕獲市町村外の放獣地 専門家 譲渡先紹介 引渡し 捕獲物の適正処理 住民の安全確保 パトロールの実施 クマの捕獲許可 ( 対応を検討 ) 検討順位 1 放獣 2 引渡し 3 殺処分 捕獲市町村外の放獣地 専門家 譲渡先紹介 専門家会議による助言 ( 狩猟時に誤った捕獲が発生した場合 ) 地元警察 市町村 地元猟友会 県 ( 事務所環境保全課 自然環境課 ) 誤った捕獲の防止対策 狩猟者 猟友会から誤った捕獲の通報 放獣 引渡し 捕獲 殺処分 専門家による放獣協力 立ち入り規制 クマの捕獲許可 現地確認対応の決定まで現場で監視申請許可 専門家会議の助言を得て放獣の検討 可 放獣 不可能 クマの捕獲許可 捕獲物の適正処理 専門家会議の助言を得て移動放獣 引渡しの検討 殺処分捕獲物の適正処理 不可能 可 移動放獣引渡し