キャリアコンサルティング技能検定 2 級論述問題の解き方について キャリア コンサルタントの相談の基本は何であろうか? 相談過程の基本は 相談場面の設定 自己理解支援 仕事理解支援 啓発的経験支援 意思決定支援 方策の実行支援 新たな仕事への適応支援 相談過程の総括であったと思う この過程へのこだわりが強い問題が出題されたら はっきり言って厳しい 実技試験でも必要だから この相談過程 ここで頭にいれておいてね 相談場面の設定自己理解支援仕事理解支援啓発的経験支援意思決定支援方策の実行支援新たな仕事への適応支援相談過程の総括 特に自己理解 職業理解 ( 仕事理解 ) については 最初に相談者が相談に来たときに この相談者は自己理解が出来ているか 職業理解が出来ているか を毎回確認するようにしてくださいね! 次のページからの問題をやってみよう! 1
問題 D-1 逐語記録 を読み 以下の問いに答えなさい 解答用紙の設問ごとに記述すること 相談者 (CL と略 ):28 歳男性両親と同居本人の希望で来談 キャリアコンサルタント (CC と略 ): 相談機関の専任社員 ( 逐語記録 ) CC1 CL1 CC2 CL2 CC3 CL3 CC4 CL4 CC5 CL5 CC6 CL6 CC7 CL7 こんにちは 今日はどのようなご相談ですか すみません 実は就職活動に行き詰まってしまって 就職活動に行き詰まってしまったのですか ええ もう 100 社以上に応募を出しているんですけど 全然面接とかの連絡も来なくて どのような職種または業界を希望されているのですか 業界にはこだわってません 主に営業職です 営業ですか 営業をされたいのですか 別にそういうわけではないのですけど 営業が基本だから 営業が基本ですか いや 特にこれと言ってやりたい仕事はなかったし とにかく親も大手に入って営業でもやれって言うもんですから 営業でどのようなことをやりたいのですか そうですね 何となくそれなりに営業成績をあげて 30 歳くらいには課長になって いずれは業界のリーダーとかそういったものになりたいですね どんな業界のリーダーですか 具体的にはよくわからないんですけど 父親が今石油業界の学会か何かにいて執筆をしたり講演をしたりしているんで 将来は自分もそういうことをしたいかなって思ってて でも どうやっていいかわからなくて 親に相談したら とりあえず営業だって言うもんですから 2
CC8 CL8 CC9 CL9 CC10 CL10 執筆とか講演とかがしたい でもとりあえず営業なんですか その辺がよくわかりません 別に執筆とか講演とかがしたいわけじゃないんです ただ それなりの専門家っていうか 今の時代 何か専門性がないと駄目じゃないですか でもよくわからないので とにかく営業でもやってみようと思って 営業でもやってみようですか その専門性について 自分で考えたことはありますか いえ 自分が興味あるのはゲームなんで ゲームの企画とかそういったものがやりたいなあって思ったりもします でも 親がまずは営業っていうんで それで今は営業職を募集しているところに手当たり次第応募してます とすると 営業は別にやりたいことではないのですね そうですね 営業が基本だなんて言うから 親にはやりたくないとは言ってないですけど ( 後略 ) 問 1 相談者がこの面談で相談したい 問題 は何かを記述せよ (20 点 ) 問 2 キャリア コンサルタントとしてあなたが考える 相談者の 問題 は何かを記述せよ (20 点 ) 問 3 あなたは 上記 2 つの 問題 を合わせ 相談者を援助するために 1 どこに目標をおいて 2 どういうことを実施したいか あなたの具体的な方策を記述せよ (60 点 ) 3
問題 D-1 の解答と解説 問 1 相談者がこの面談で相談したい 問題 は何かを記述せよ (20 点 ) この問題は相談者が相談したい問題だから 相談者の発言のみに集中する まとめていくと 営業職の募集に応募しているが うまくいかない そして営業でどんなことをやりたいかは自分でもよくわかっていない というより営業をやりたいわけではなく 業界も決まっていない 将来は専門性がないと駄目だと感じているが それもよくわからず 親に言われるがままに営業職の仕事につこうとしているが 本当は営業もやりたいわけではない この問 1 ははっきり言って相談者発言の要点のまとめだ だから相談者が言っていることを見逃さないようにしてほしい そして勝手に想像せずに 相談者の発言のみから判断してほしい 気をつけてほしいのは 本人の言葉であっても 相談者は営業が基本であると思っており と書いてしまっては である 営業が基本などとは思っていない 相談者本人の言葉に 営業が基本 とあるが その後の発言にあるとおり親に言われたからそう言っているだけであって CC5 の発言を CL5 で否定している そこから本人は営業が基本とは思っていないと判断できる また CL10 から営業が基本という言葉が親に言われたことであることが明確だ 模範解答相談者は 現在就職活動中であり 営業職に応募しているがうまくいっていない また 特に営業をやりたいと感じているわけではなく 親に言われて営業職に応募しているに過ぎない 将来に何らかの専門性を持たなければ駄目だと感じているがそれについてもよくわかっていない このような状況下でどうしたらよいかわからないことが相談者の相談したい問題である 採点基準 : 本当は営業をやりたいと感じていない が書かれていない場合 0 点 親に言われて営業職の応募 について書かれていない場合 マイナス 5 点 専門性 について書かれていない場合 マイナス 5 点 どうしたらよいかわからない について書かれていない場合 マイナス 5 点解答の文章が発言の羅列で 相談したい問題が明確になっていない場合 マイナス 10 点 この問 1 の出題者側の意図は 相談者の言っていることをきちんと正確に理解しているか? であるので 解答に主観性はなく 客観的な書き方になる 4
問 2 キャリア コンサルタントとしてあなたが考える 相談者の 問題 は何かを記述せよ (20 点 ) この問題はキャリアコンサルタントとしての考え つまり専門性を持ったプロの考えを書かないといけない さて 思い出そう 例の相談過程の基本を 相談場面の設定 自己理解支援 仕事理解支援 啓発的経験支援 意思決定支援方策の実行支援 新たな仕事への適応支援 相談過程の総括 上から順番に逐語記録と照合しよう 相談場面の設定 であるが 相談者がきちんと相談に来て自分の相談内容を話しているし キャリアコンサルタントを信用しているから今の相談者の状態をしっかりと話している よって相談場面の設定はきちんと出来ていると理解できる 次に自己理解支援であるが この相談者は自己理解が出来ているかな? チェックしてみよう 1 どんな仕事をやりたいのか? 逐語記録には本人の希望は記載されていない 2 仕事についての具体的な目標は? 何もない ただ単に専門性が必要という程度 3 職種は? 営業と言っているが本人のやりたい職種はまだはっきりしていない 4 業界は? こだわっていない というより業界をちゃんと理解しているかどうかもあやしい 5 自分の興味は? ゲームへの興味 ゲームの企画という言葉はあるが 相談者はそれを仕事と結び付けていない またこの段階ではゲームというものにどれだけこだわりがあるのかは不明である ということで自己理解が出来ていないと判断できる 当然ながらこの自己理解という言葉は大事だ 模範解答例相談者は 営業職に応募しているが 実際にはそれをやりたいと感じていない またどのような仕事をやりたいか 仕事についての具体的な目標もなく 職種や業界についても的が絞れていない状態である 唯一専門性を持つことが大事であることだけは認識しているようであるが 全体的に自己理解が不足していることが問題であると考えられる 採点ポイント : やりたい仕事 目標が明確でない が書かれていない マイナス 5 点 職種 業界が絞れていない が書かれていない マイナス 5 点 専門性 について書かれていない マイナス 5 点 自己理解不足 またはそれに似たような言葉が書かれていない 0 点 5
問 3 あなたは 上記 2 つの 問題 を合わせ 相談者を援助するために 1 どこに目標をおいて 2 どういうことを実施したいか あなたの具体的な方策を記述せよ (60 点 ) この問題を解くときに注意する点は 上記 2 つの 問題 を合わせ と記載されていることである つまり問 1 と問 2 の自分の解答がしっかり反映されていないとまずい だから 問 1 と問 2 の自分の解答に対して問 3 の 1 と 2 が矛盾している場合 0 点 ということになるので要注意! 問 1 について 結局この相談者についてわかっていることは どうしたらよいかわからない ことであり 相談者の情報は 親のいいなり 専門性 ゲーム だけであり 相談者の就職に役に立ちそうな相談者の情報は 専門性 くらいである そして問 2 について 自己理解不足という判断をしている よってまず 1 の目標としては相談者の現在の状況の把握 ( これは相談者本人の ) であり 次に自己理解不足の解消である 以下が模範解答となる 1 相談者が現在の自分の状況を認識し その上で相談者本人の興味や関心 その他のこれまでの経験によって獲得した適性等を確認し 自己理解不足を解消していく そして 2 であるが まだ何度か同じような勘違いをしているので ここで言っておくと この 2 は 1 の目標達成のための具体的な方策であり 1 の次の段階にやることではない だから 2 は 1 の目標を達成するための具体的な方策が書かれていない場合は一発アウトとなる あと ここでの注意点だが 2 の解答は結局相談者本人がやるべきことを書いてしまい キャリコンとしての自分の方策にならなくなってしまう その時に使えるのが カウンセリングを通じて支援する という言葉である 相談者本人が XXXXX 出来るようにカウンセリングを通じて支援する この書き方は もうこの場で覚えておいてほしい さて 問題に戻る 1 の目標であるが 自己認識 自己理解がその内容なので その具体的な方策を書いてみよう 次ページが模範解答となる 6
2 相談者の現在の就職活動における状況は 親の言動に影響されており それが自分の意志による活動でないことは自覚しているが 同時に自分自身の目標がなく 自己理解できていないことをカウンセリングを通じて認識してもらう そして自己理解を促進するため 傾聴を中心としたカウンセリングを行い 場合によっては VPI( 職業興味検査 ) 等を行う ということで 自己理解 職業理解が問題となっている場合 解答の自由度があがるため 間違いやすくなる とにかく キャリアコンサルティングの過程 そして実際の方策について見直しておこう! 7