Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

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第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

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学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

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課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください


1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

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3 題材の目標 (1) (2) 4 題材の評価規準 ( 指導要録の四つの観点 ( 生活や技術への関心 意欲 態度 ) から題材の学習を通して目指す生徒の姿を示します ) 文章の語尾は 評価規準の作成, 評価方法の工夫改善のための参考資料 ( 中学校技術 家庭 ) 平成 23 年 11 月 ( 国立教

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3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

の間で動いています 今年度は特に中学校の数学 A 区分 ( 知識 に関する問題 ) の平均正答率が全 国の平均正答率より 2.4 ポイント上回り 高い正答率となっています <H9 年度からの平均正答率の経年変化を表すグラフ > * 平成 22 年度は抽出調査のためデータがありません 平

単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

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(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って

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2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

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今年度は 創立 125 周年 です 平成 29 年度 12 月号杉並区立杉並第三小学校 杉並区高円寺南 TEL FAX 杉三小の子

2 各教科の領域別結果および状況 小学校 国語 A 書くこと 伝統的言語文化と国語の特質に関する事項 の2 領域は おおむね満足できると考えられる 話すこと 聞くこと 読むこと の2 領域は 一部課題がある 国語 B 書くこと 読むこと の領域は 一定身についているがさらに伸ばしたい 短答式はおおむ

北九州市学力向上ステップアップ事業第Ⅱ期推進指定校 実施計画

123

授業の構成要素 学び合う授業で育つ 3 つの力 資料 2 基礎 基本の力知識 理解 技能 問題解決力思考力 判断力 表現力 想像力 学ぼうとする力学習意欲 自己有用感 身に付けた知識 技能を活用したり その成果を踏まえた探究活動を行う中で学び合う授業を展開する 教師の役割 < 問題提示の工夫 > 多

人間関係を深めるとともに, 児童が自己の生き方についての考えを深め, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 集団宿泊活動やボランティア活動, 自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない その際, 特に児童が基本的な生活習慣, 社会生活上の

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平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

4 選抜方法 ( 1 ) 選抜の方法 学力検査の成績 調査書の得点 第 2 日の検査 ( 面接 ) の得点 を全て合計した 総得点 により順位をつけ 各選抜資料の評価等について慎重に審議しながら 予定人員までを入学許可候補者として内定する < 総得点の満点の内訳 > 調査書の得点第 2 日の検査学力

4. 題材の評価規準 題材の評価規準 については, B 日常の食事と調理の基礎 (2),(3), D 身近な消費生活 と環境 (1) の 評価規準に盛り込むべき事項 及び 評価規準の設定例 を参考に設定して いる 家庭生活への関心 意欲 態度 お弁当作りに関心をもち, おか 生活を創意工夫する能力

考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

瑞浪市調査結果概略(平成19年度全国学力・学習状況調査)

2、協同的探究学習について

成績評価を「学習のための評価」に

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

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7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

し, 定期的に評価することで 自己の考え を自覚する場面を意図的に設定している 本教材の学習においては, 様々な情報の中から必要な情報を取り出し, 整理 分析し, それに基づいた自分の考えを表現する活動を通して, 自己の考えの深まりや広がり を実感させることによって, 課題改善につなげたいと考えてい

4.原稿(資料)

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教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

刊行に寄せて 青森県教育委員会では 小 中 高等学校 1 2 年間を見通した 縦の連携 を基軸とした学校教育を推進し 児童生徒の学力向上について取り組むべき方策を検討することを目的に 学力向上庁内戦略会議 を設置し 算数 数学 理科 英語の 3 教科について 児童生徒の学力向上に関する専門的な事項に

4 選抜方法 (1) 選抜の方法 本校の 期待する生徒像 に基づき, 学力検査の成績, 調査書, 面接の結果 等を総合的に判定して入学者の選抜を行う ア 下表のとおり合計点を算出する 学力検査 調査書 5 教科の 教科の学習の記録 出欠 行動 特別活動 部活動等 面接 得点合計 の記録 の記録 の記

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目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

4 本単元と情報リテラシーの関わり 課題設定担任による 説明会におけるデモンストレーションを見ることを通して 本単元を貫く言語活動としての これぞ和の文化! おすすめの 和の文化 を調べて説明会を開こう を知り 見通しを持たせ学校司書による関連図書紹介を通して 和の文化への関心を高め 進んで調べよう

解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

彩の国埼玉県 埼玉県のマスコット コバトン 科学的な見方や考え方を養う理科の授業 小学校理科の観察 実験で大切なことは? 県立総合教育センターでの 学校間の接続に関する調査研究 の意識調査では 埼玉県内の児童生徒の多くは 理科が好きな理由として 観察 実験などの活動があること を一番にあげています

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

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西ブロック学校関係者評価委員会 Ⅰ 活動の記録 1 6 月 17 日 ( 火 ) 第 1 回学校関係者評価委員会 15:30~ 栗沢中学校 2 7 月 16 日 ( 水 ) 学校視察 上幌向中学校 授業参観日 非行防止教室 3 9 月 5 日 ( 金 ) 学校視察 豊中学校 学校祭 1 日目 4 9

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4 調査結果について (1) 教科に関する調査の結果 ( 公立 ) の平均正答率を % として換算した市内の領域 観点 問題形式別正答率 グラフの途切れは, 問題が出題されなかった項目 < 小学校 > : 概要 : 課題 : 今後の学習ポイント国語 A( 基礎 ) 国語 B( 活用 ) 話すこと聞く

○数学科 2年 連立方程式

3 特別支援学級における学習指導案 特別支援学級においても 学習指導案は授業の設計図としての働きに変わりはありません しかし 特別支援学級では 児童生徒の実態から指導の内容や計画を考えることに大きな意味があります 通常の学級の学習指導案では 例えば 単元について は学習指導要領に沿った指導計画に基づ

2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

目 次 平成 29 年度島根県公立高校入試の改善方針について 1 Ⅰ 改善方針の概要 2 1 基本的な考え方 2 改善方針の内容 3 実施の時期 Ⅱ 選抜制度の具体的内容 3 1 選抜の機会 2 検査の時期 3 選抜資料 学力検査 3-2 個人調査報告書 3-3 面接 3-4 その他の資

1. 日時 日時平成 年 ( 年 ) 月 日 ( ) 時間目 ( 時 分 ~ 時 分 ) 2. 場所 場所 市立 中学校 室 3. 学年 組 人数 学年 組 人数 年 組 名 4. 単元 単元 ( 単元名 ) ( 小単元名 ) 5. 教材観 ( 題材観 ) < 教材観の考え方 > 教科書の該当単元全

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第 1 学年国語科学習指導案 日時 平成 27 年 11 月 11 日 ( 水 ) 授業 2 場所 八幡平市立西根中学校 1 年 2 組教室 学級 1 年 2 組 ( 男子 17 名女子 13 名計 30 名 ) 授業者佐々木朋子 1 単元名いにしえの心にふれる蓬莱の玉の枝 竹取物語 から 2 単元

2 生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査 児童生徒に対する調査 学校意欲 学習方法 学習環境 生活の諸側面等に関する調査 学校に対する調査 指導方法に関する取組や人的 物的な教育条件の整備の状況等に関する調査 2

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

<H19 年度からの平均正答率の経年変化を表すグラフ > * 平成 22 年度は抽出調査のためデータがありません 平成 23 年度は震災のため中止となりました 豊能町立小学校全国学力学習状況調査結果 ( 平均正答率全国を 1 として ) H19 H20 H21 H

平成 30 年度授業シラバスの詳細内容 科目名 ( 英 ) 担当教員名 情報技術と職業 - 演習 (Information Technology at Work Place - 授業コード exercise ) 松永多苗子 星芝貴行 坂井美穂 足立元 坪倉篤志 科目ナンバリン 福島学 グコード 配当

1. 調査結果の概況 (1) の児童 ( 小学校 ) の状況 < 国語 A> 今年度より, ( 公立 ) と市町村立の平均正答率は整数値で表示となりました < 国語 B> 4 国語 A 平均正答率 5 国語 B 平均正答率 ( 公立 ) 74.8 ( 公立 ) 57.5 ( 公立 ) 74 ( 公立

本日 2012 年 2 月 15 日の記者説明会でのご報告内容をお送りいたします 文部科学省記者会でも配布しております 報道関係各位 2012 年 2 月 15 日 株式会社ベネッセコーポレーション代表取締役社長福島保 新教育課程に関する校長 教員調査 新教育課程に関する保護者調査 小学校授業 国語

Transcription:

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があります これは 従前の学習指導要領が示した学力のとらえ方を一層深め 学力の質の向上を図ることをねらいとしています 各学校においては 自校の児童生徒の実態を踏まえ はぐくむべき学力を明らかにすることが第一に必要です 2 学習の評価の目的や意義 平成 12 年 12 月の教育課程審議会答申には次のように示されています ( 抜粋 ) 学習の評価は 教育がその目標に照らしてどのように行われ 児童生徒がその目標に向けてどのように変容しているかを明らかにし また どのような点でつまずき それを改善するためにはどのように支援していけばよいかを明らかにしようとする 言わば教育改善の方法と言うべきものであり 学習の評価を適切に行うことは公の教育機関である学校の基本的な責務である また 児童生徒にとって評価は 自らの学習状況に気付き 自分を見つめ直すきっかけとなり その後の学習や発達を促すという意義がある ポイント 学習の評価は 教育改善の方法です 学習の評価を行うことは 学校の基本的な責務です 児童生徒にとって 評価は自分を見つめ直すきっかけであり その後の学習や発達を促すものです 3 学習の評価のとらえ方 関心 意欲 態度 思考 判断 技能 表現 知識 理解 の 4 観点による観点別学習状況の評価を基本とし 目標に準拠した評価 ( いわゆる絶対評価 ) を一層重視するとともに 生徒一人一人のよい点や可能性 進歩の状況などを評価するため 個人内評価を工夫することが大切です すなわち 目標に準拠した評価は 知識や技能の実現状況ばかりでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力を含めて学習の実現状況を適切に評価していくことになります

そして その評価を指導に生かすことが大切です すなわち 指導と評価は別物ではなく 評価の結果によって後の指導を改善し さらに新しい指導の成果を再度評価するという 指導に生かす評価を充実させることが重要です そのためには評価は学習の結果に対して行うだけでなく 学習指導の過程における評価の工夫を一層進めることが大切です また 評価活動を 評価のための評価に終わらせることなく 指導の改善に生かすことによって 指導の質を高めることも一層重要となります 4 目標に準拠した評価 ( いわゆる絶対評価 ) の重視 目標に準拠した評価とは 目標をいくつかの観点から分析し その観点ごとの評価規準を作成し その実現状況をみる評価のことです すべての子どもが学習指導要領に示されている内容を確実に習得することを目指していることから 目標に準拠して それが実現しているかどうかを一人一人に即して評価することを大切にするために重視されています 5 評価規準 小学校教育課程一般指導資料 新しい学力観に立つ教育課程の創造と展開 ( 平成 5 年 9 月 ) には 1 評価規準 という用語については 新しい学力観に立って子どもたちが自ら獲得し身に付けた資質や能力の質的な面 すなわち 学習指導要領の目標に基づく幅のある資質や能力の育成の実現状況の評価を目指すという意味から用いたものです また 2 新しい指導要録 ( 平成 3 年 ) では 観点別学習状況の評価が効果的に行われるようにするために 各観点ごとに学年ごとの評価規準を設定するなどの工夫を行うこと と示されています と述べられています したがって各学校においては これまで作成していた各教科の評価規準を見直し 新学習指導要領の目標や内容に沿ったものを作成する必要があります また 評価規準については おおむね満足できる 状況 (B) について設定し 設定した評価規準に照らして まず おおむね満足できる 状況 (B) か 努力を要する 状況 (C) かを判断した上で さらに おおむね満足できる 状況 (B) と判断されるもののうち 児童生徒の学習の実現の程度について質的な高まりや深まりをもっていると判断されるものを 十分満足できる 状況 (A) とすることが適当です 評価規準の作成に当たっては 国立教育政策研究所教育課程センターのホームページを参考にしてください (http://www.nier.go.jp/kaihatsu/index.htm)

6 評価方法等の工夫 評価に当たっては 評価方法 評価の場面や時期などについて適切な方法を工夫し それらの積み重ねによって児童生徒の成長の状況を総合的に評価することが重要であり 評価方法を工夫することによって 指導の改善を図っていくことが必要です 具体的に示すと以下のようになります 評価の種類 評価を学習や指導の改善に生かす観点から 総括的な評価のみでなく 分析的な評価 記述的な評価を工夫すること評価を行う場面 学習後だけにまとめて評価するのでなく 学習前や学習の過程における評価を工夫すること評価の時期 学期末や学年末だけでなく 目的に応じて単元ごと 時間ごとなどにおける評価を工夫すること具体的な評価方法 ペーパーテストのほか 観察 面接 質問紙 作品 ノート レポート等を用い その選択 組合せを工夫することまた 自己評価については 自ら学ぶ意欲などを見る上で有効であるばかりでなく 児童生徒が自分自身を評価する力や他人からの評価を受け止める力を身に付け 自分の能力や適性などを自分で確認し 将来の生き方や進路を探求できるようにするためにも大切です 7 総括的な評価 各教科の 評定 が典型的な例です 全体的な達成状況を簡潔に表すために適した評価法であるといえます また 児童生徒の特徴を総合的にとらえる所見も一種の総括的な評価と考えることができます 単元ごとや 単位時間ごとならば 単元や 1 時間の目標の達成状況を評価し どれだけの教育成果が得られたか どれだけ習得目標が達せられたかを総括的に明らかにし 以降の学習や指導に役立てる評価法と考えることができます 8 分析的な評価 各教科を 関心 意欲 態度 や 思考 判断 表現 技能 知識 理解 などのようにいくつかの観点から分析的にとらえる評価のことで 観点別学習状況の評価がそれに当たります 分析的な評価では どの部分に改善の必要性があるかを比較的とらえやすいといわれています

9 記述的な評価 児童生徒のよい点や特徴を文章で記述する方法であり 総合的な学習の時間の評価や児童 ( 生徒 ) 指導要録の 総合所見及び指導上参考となる諸事項 などがこの評価に当たります 記述的な評価を行うに当たっては 日ごろから児童生徒の学習活動の観察や作品 自己評価などから児童生徒のよい点や特徴などをとらえて記録を蓄えておくことなどが必要になると考えられます 10 観点別学習状況の評価 目標に準拠した評価において 児童生徒の学習状況を複数の観点から評価し 学力を分析的 多面的にとらえようとする方法が 観点別学習状況の評価です 具体的には 教科目標を 基本となる四つの能力 ( 関心 意欲 態度 思考 判断 技能 表現 知識 理解 ) に分類してとらえ 評価しようとする考え方です このことにより現行の児童 ( 生徒 ) 指導要録では 能力の分類により観点を立てています 11 観点別学習状況の評価の観点 関心 意欲 態度 の評価の留意点 この観点は 本来 それぞれの教科の学習内容や学習対象に対して関心をもち 進んでそれらを調べようとしたり 学んだことを生活に生かそうとしたりする資質や能力を評価するための観点です しかし この評価については 情意面にかかわる観点であることなどから 目標に準拠した評価であることが十分理解されてなかったり 授業中の挙手の回数や発言の回数といった表面的な状況のみで評価されるなど 必ずしも適切とはいえない面も見られてきました また 評価が教員の主観に頼りがちであるという面も見受けられました そこで 関心 意欲 態度 の観点の評価に当たっては 例えば次のような方法で継続的 総合的に多様な評価方法を工夫して見取り 生徒個々の学習指導や教員の授業改善等に生かしていく必要があると考えます ポイント 発言内容の観察による評価 作品の評価 児童生徒の自己評価や相互評価 予習 復習の状況の評価 ポートフォリオ評価など多様な評価方法

12 評定 の考え方の変化 指導要録の改訂では 次のように 評定 の考え方が変わっています 昭和 55 年集団に準拠した評価 ( いわゆる相対評価 ) である評定を主体とした評価平成 3 年目標に準拠した評価を加味しつつ 集団に準拠した評価 観点別学習状況の評価を補完するものとした平成 13 年目標に準拠した評価なお 小学校第 3 学年以上において3 段階 中学校の必修教科においては5 段階で評定を行うことは 今回の改定でも変わっていません さらに 教育課程審議会答申 ( 平成 12 年 12 月 4 日 ) には 集団に準拠した評価については 各学校において必要に応じ 集団の中での相対的な位置付けに関する状況を提供することも考えられる 指導要録においても 目的に応じて 集団に準拠した評価に関する情報を 総合的所見及び指導上参考となる諸事項 欄に記録できるようにすることが適当である と述べられています 指導要録では 各教科の学習の実現状況を示すものとして 観点別学習状況 評定 所見の欄が設けられています 観点別学習状況や所見は 分析的 記述的な観点で評価されるのに対して 評定は 総括的 数値的な観点で評価がなされ 簡潔でわかりやすい評価結果を提供するものとして位置付けられています 評価というと 往々にして学期末や学年末に生徒に成績をつけることだと思われている面もありますが 評定と評価を同じ概念でとらえないことも押さえておくことが大切です 13 学校全体としての評価の取組 教育課程審議会答申 ( 平成 12 年 12 月 4 日 ) や国立教育政策研究所が作成した 評価規準の作成 評価方法の工夫改善のための参考資料 - 評価規準 評価方法等の研究開発 ( 報告 )- を参考にし 教職員の共通理解を図ります その後は 例えば 各教科において小学校では 6 学年間 中学校では 3 学年間を見通した系統性のある評価規準を単元ごとや単位時間ごとに作成したり 基礎的 基本的な学習内容の洗い出しと指導方法の工夫 改善 さらには評価補助簿を作成したりすることなどが考えられます これからの評価の基本的な考え方や評価方法などについては 情報公開の視点からも 学校の説明責任が求められています そこで 評価に関して 児童生徒や保護者に対し 入学時や年度当初はもとより 日常的に説明をする機会を設けることが必要です その取組を通して 共通理解を図るとともに指導や評価の改善に生かすことによって 学校への信頼を高めていくことが大切になってきます また 評価には 信頼性が求められますが 評価を指導に生かしていくためには 単に数値化されたデータだけが信頼性の根拠になるのではなく 評価の目的に応じて 評価する人 評価される人 それを利用する人が 互いにおおむね妥当であると判断できることが信頼性の根拠として意味を持ちます その意味でも 評価規準や評価方法等に関する情報を児童生徒や保護者に適切に提供し 共通理解を図ることが より客観的で信頼性のある評価へと高めていくことにつながるのです