溜池通信 vol August 31, Biweekly Newsletter

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朝日 TV 2015/4/18-19 原発政策安倍内閣は 今後の電力供給のあり方について検討しているなかで 2030 年時点で 電力の 2 割程度を 原子力発電で賄う方針を示しています あなたは これを支持しますか 支持しませんか? 支持する 29% 支持しない 53% わからない 答えない 18%

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設問 6: あなたは普段どの程度国際的なニュースや情報に接しているか ( 注 ) この設問は2015 年より実施 (1) 毎日 (2) 週に2~3 回程度 (3) 週 1 回程度 (4) 月 1 回程度 8 8 (5)2~3ヶ月に1 回程度 2 3 (6)6ヶ月に

目次 1. 調査概要 Page 2 2. 回答者属性 Page 3 3. 問 1. 地球儀を俯瞰する外交 Page 4 4. 問 2. 日本の国連安保理非常任理事国としての取組 Page 5 5. 問 3. 東アジアの安全保障政策 Page 6 6. 問 4. 女性参画推進における国際的取組 WAW

第 4 回日豪外務 防衛閣僚協議 日本とオーストラリア : 平和と安定のための協力 共通のビジョンと目標 1. 玄葉光一郎日本国外務大臣, 森本敏日本国防衛大臣, ボブ カー オーストラリア外務大臣, スティーブン スミス オーストラリア国防大臣は,9 月 14 日にシドニーにおいて会談し, 地域的

Security declaration


また 前提となる衝突や紛争といった脅威が不明確であり 在日米軍 海兵隊の出動が見込まれる事例をはじめ 具体的な説明がなく 抽象的である このような内容では 県外移設 ができない理由が説明されているとは言えず 県民の納得のいくものではない 鳩山前総理は 昨年 5 月の記者会見において 何とか県外に見つ

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の自由 妨げられない通商活動 自制と 1982 年の国連海洋法条約 (UNCLOS) を含む国際法の普遍的な原則に従った紛争の平和的手段による解決を推進することの重要性を強調した 我々は ARF や ASEAN 海洋フォーラム拡大会合等を通じた情報共有や能力構築を含む 海洋安全保障及び海上の安全に関

A: 最近の韓国での出来事だとか 日本での出来事などについて率直に意見交換をしたわけでございますが 私が感じたのは長官の話を通じて 韓国のこの平和と朝鮮半島の平和と安定 これは日本にとっても安全保障上 大変重要なことでございまして 韓国の防衛政策も伺えましたけど 非常にしっかりとしたものであります

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

平和安全法制などの整備法整備の経緯 図表 Ⅱ 閣議決定 の概要と法制整備 閣議決定 の項目 概要 法制整備 警察や海上保安庁などの関係機関が それぞれの任務と権限に応じて緊密に協力して対応す 治安出動 海上 1 武力攻撃に 至らない るとの基本方針の下 対応能力を向上させ連携を強化するな

安全保障会議 ( 現行 ) の概要 ( 構成 ) 委員長 : 内閣官房長官 委 安全保障会議 ( 構成 ) 議長 : 内閣総理大臣 事態対処専門委員会 内閣総理大臣の諮問に基づき 以下の事項を審議 国防の基本方針 防衛計画の大綱 対処基本方針 武力攻撃事態 / 周辺事態等への対処 / 自衛隊法第 3

多少改善したようだ 首相の靖国参拝に対する見方は 米国の共和党と民主党の間では大きく異なるという意見が日本にあるが 私はそうは思わない リチャード アーミテージ マイケル グリーンなど共和党においても 靖国参拝が日韓 日中関係を悪化させることを懸念している この 2 年間の安倍政権に対するワシントン

仮訳 日本と ASEAN 各国との二国間金融協力について 2013 年 5 月 3 日 ( 於 : インド デリー ) 日本は ASEAN+3 財務大臣 中央銀行総裁プロセスの下 チェンマイ イニシアティブやアジア債券市場育成イニシアティブ等の地域金融協力を推進してきました また 日本は中国や韓国を

1 自衛隊に対する関心 問 1 あなたは自衛隊について関心がありますか この中から 1 つだけお答えください 平成 30 年 1 月 関心がある ( 小計 ) 67.8% 非常に関心がある 14.9% ある程度関心がある 52.9% 関心がない ( 小計 ) 31.4% あまり関心がない 25.9%

政策目標 5-2: 多角的自由貿易体制の維持 強化及び経済連携の推進並びに税関分野における貿易円滑化の推進 1. 政策目標の内容自由貿易の推進は我が国の対外経済政策の柱であり 力強い経済成長を実現するためには 自由貿易体制を強化し 諸外国の活力を我が国の成長に取り込む必要があるというのが 政府全体と

[グループⅠ]公募仕様書案

1 BCM BCM BCM BCM BCM BCMS

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

1

新 日米防衛協力のための指針 ( ガイドライン )

民主党 2016 年度定期大会 開催要項 ( 案 ) 1 開催日 2 会場 3 大会構成 4 議案 2

特集 ロシア NIS 圏で存在感を増す中国特集 ロシアの消費市場を解剖する Data Bank 中国の対ロシア NIS 貿易 投資統計 はじめに今号では ロシア NIS 諸国と中国との経済関係を特集しているが その際にやはり貿易および投資の統計は避けて通れないであろう ただ ロシア NIS 諸国の側

止力を維持しつつ 沖縄の負担軽減を実現していく旨述べた 両首脳は また 普天間飛行場の移設及び嘉手納以南の土地の返還計画を早期に進めていくことで一致した ( ウ ) 安倍総理より 宇宙 サイバーの分野で 日米の包括的対話を立ち上げることになったことを歓迎する旨述べた 2. アジア太平洋地域情勢 (1

008 しかし 自衛隊が最初から広く国民に受け入れられる存在だったかというと 決してそうではなかった 創設時から憲法違反という批判も受けながら 戦後の平和主義の中で苦しみつつ成長してきたというのが実態である かつては自衛官という存在自体を否定的に考える風潮もあったのである たとえば ノーベル文学賞を

無党派層についての分析 芝井清久 神奈川大学人間科学部教務補助職員 統計数理研究所データ科学研究系特任研究員 注 ) 図表は 不明 無回答 を除外して作成した 設問によっては その他 の回答も除外した この分析では Q13 で と答えた有権者を無党派層と定義する Q13 と Q15-1, 2 のクロ

NSS-summary

I. 集団的自衛権 A. 集団的自衛権とは集団的自衛権は 国際連合の成立の際に 初めて国際法上で創設され 国連憲章第 51 条に明文化された権利である 具体的には 自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を 自国が直接攻撃されていないにもかかわらず 実力をもって阻止する権利 であり 日本政府もこの

前提 新任務付与に関する基本的な考え方 平成 28 年 11 月 15 日 内 閣 官 房 内 閣 府 外 務 省 防 衛 省 1 南スーダンにおける治安の維持については 原則として南スー ダン警察と南スーダン政府軍が責任を有しており これを UNMISS( 国連南スーダン共和国ミッション ) の部

新旧対照表

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

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資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

自衛隊の補給支援活動に関する特別世論調査 の要旨 平成 21 年 3 月内閣府政府広報室 調査時期 : 平成 21 年 1 月 22 日 ~2 月 1 日調査対象 : 全国 20 歳以上の者 3,000 人有効回収数 ( 率 ):1,684 人 (56.1%) 1 補給支援活動の認知度 平成 21

原子力に関する特別世論調査 の概要 平成 21 年 11 月 26 日 内閣府政府広報室 調査概要 調査対象 全国 20 歳以上の者 3,000 人 有効回収数 ( 率 ) 1,850 人 (61.7%) 調査期間 平成 21 年 10 月 15 日 ~10 月 25 日 調査方法 調査員による個別


エチオピア 2017 年 2 月 エチオピアは FATF 及び ESAAMLG( 東南部アフリカ FATF 型地域体 ) と協働し 有効性強化及び技術的な欠陥に対処するため ハイレベルの政治的コミットメントを示し 同国は 国家的なアクションプランや FATF のアクションプラン履行を目的とした委員会

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第 2 問問題のねらい青年期と自己の形成の課題について, アイデンティティや防衛機制に関する概念や理論等を活用して, 進路決定や日常生活の葛藤について考察する力を問うとともに, 日本及び世界の宗教や文化をとらえる上で大切な知識や考え方についての理解を問う ( 夏休みの課題として複数のテーマについて調

ご参考資料 オーナー経営者経営者の意識調査 - 概要 - 調査期間 2003 年 9 月 1 日 ~10 月 31 日 調査機関日本では ASG グループが本調査の主体になり 日経リサーチ社に調査を委託した 調査の一貫性を保つために 各国のデータの取りまとめは 国際的な調査機関である Wirthli

日本の平和憲法と アメリカ 東アジア 川崎哲 NGOピースボート 共同代表 集団的自衛権問題研究会 代表

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2025 年 /2050 年の主要国 GDP Goldman Sachs [2007] Source: Goldman Sachs, N 11: More than an Acronym (2007)

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集団的自衛権の行使を 容認する閣議決定 終戦 日本の敗戦 日本国憲法公布 自衛隊発足 政府見解 集団的自 衛権の行使は憲法上許さ れない 自衛権発動の3要件

内の他の国を見てみよう 他の国の発電の特徴は何だろうか ロシアでは火力発電が カナダでは水力発電が フランスでは原子力発電が多い それぞれの国の特徴を簡単に説明 いったいどうして日本では火力発電がさかんなのだろうか 水力発電の特徴は何だろうか 水力発電所はどこに位置しているだろうか ダムを作り 水を

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長


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ドーハ ラウンド交渉の一分野である貿易円滑化については 平成 26 年 11 月のWTO 一般理事会において 貿易円滑化協定に関する改正議定書 が採択され 今後 3 分の2 以上の加盟国が受諾した時点で本協定は発効することになりました 各 WTO 加盟国がこの協定を実施することにより 貿易規則の透明

三衆議院議員稲葉誠一君提出自衛隊の海外派兵 日米安保条約等の問題に関する質問に対する答弁書一について1 我が国が安全保障理事会の常任理事国となるためには 国連憲章の改正が必要であるが 安全保障理事会の常任理事国は 国連憲章の改正についても いわゆる拒否権を有しており 一般的にいつて 国連憲章の改正に

企業活動のグローバル化に伴う外貨調達手段の多様化に係る課題

2-(5)-ア①-1 日米両政府への要請活動

個人情報保護法の3年ごと見直しに向けて

1. 口座管理機関 ( 証券会社 ) の意見概要 A 案 ( 部会資料 23: 配当金参考案ベース ) と B 案 ( 部会資料 23: 共通番号参考案ベース ) のいずれが望ましいか 口座管理機 関 ( 証券会社 ) で構成される日証協の WG で意見照会したところ 次頁のとおり各観点において様々

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タイトル

1. 世界における日 経済 人口 (216 年 ) GDP(216 年 ) 貿易 ( 輸出 + 輸入 )(216 年 ) +=8.6% +=28.4% +=36.8% 1.7% 6.9% 6.6% 4.% 68.6% 中国 18.5% 米国 4.3% 32.1% 中国 14.9% 米国 24.7%

(日)Brig Gen Cornish Speech (J, final).docx

Microsoft Word 米中東戦略

Invesco Premia Plus Fund

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2007年12月10日 初稿

対イラン制裁解除合意履行日以降に非米国企業 が留意すべきコンプライアンス要件 2016 年 11 月 日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) ドバイ事務所 ビジネス展開支援部ビジネス展開支援課

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れにMINUSTAH 軍事部門司令部において行われる企画及び調整の分野並びに我が国のMINUSTAHに対する協力を円滑かつ効果的に行うための連絡調整の分野における国際平和協力業務を行わしめるとともに 自衛隊の部隊等により ハイチ地震の被災者の支援等の分野における国際平和協力業務を実施することとする

2. 政党支持率政党支持率は 自民党が前回に比して 増加 が 2 社から 5 社に増え 減少 が 7 社から 3 社に減少した 立憲民主党は 前回に比して 増加 が 6 社 減少 が 2 社 変わらず 1 社となっており 前回と同じ結果になっている 他の政党は大きな変化がない 表 1 参照 3. 憲

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習う ということで 教育を受ける側の 意味合いになると思います また 教育者とした場合 その構造は 義 ( 案 ) では この考え方に基づき 教える ことと学ぶことはダイナミックな相互作用 と捉えています 教育する 者 となると思います 看護学教育の定義を これに当てはめると 教授学習過程する者 と

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Japan Academy of Personal Finance パーソナルファイナンス研究 No.2 総量規制の導入経緯と問題点 伊藤 幸郎 東京情報大学大学院 堂下 浩 東京情報大学 要旨 貸金業法は 2006 年 12 月に国会へ上程され 2010 年 6 月に完全施行へと至った 新たに導入

間を検討する 締約国が提出した 貢献 は 公的な登録簿に記録される 締約国は 貢献 ( による排出 吸収量 ) を計算する また 計算においては 環境の保全 透明性 正確性 完全性 比較可能性及び整合性を促進し 並びに二重計上の回避を確保する 締約国は 各国の異なる事情に照らしたそれぞれ共通に有して

7 民法改正 : (13) 選択的夫婦別姓の実現 (14) 婚姻最低年齢 再婚禁止 (15) 婚外子相続分差別規定廃止 是正 8 性暴力 : (16) 性暴力禁止法 (17)DV 防止法 9 日本軍 慰安婦 : (18) 河野 村山談話 (19) 国家の謝罪と補償 10 性的健康 : (20) 刑法

あなたやあなたの子どもが 国外の戦争で殺し・殺される!? 安倍政権の戦争法案

1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

経済変動論 0

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靖国神社問題の解決に向けて

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東京センチュリー株式会社統合レポート2018

はじめに サントリーグループは 企業理念として定める 人と自然と響きあう と Growing for Good 及びサントリーグループ企業倫理綱領に基づき 安全 安心で高品質な商品 サービスをお届けするために 国連グローバル コンパクト 署名企業として公正 公平な取引を実施し サプライチェーン上のお

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レジリエンスの取り組みに 関わるディスカッション

3 議事概要 (1) 安倍総理から 冒頭挨拶の中で 1 政府は 日本国民の生存と日本国の存立を守る責任を有している 2 憲法前文にあるとおり 日本は一国平和主義ではなく 国連の集団安全保障体制の下で自国及び国際の平和と安全を維持することを安全保障の課題としてきた 3 我が国を取り巻く厳しい国際環境を

2008年6月XX日

中国の対東南アジア戦略

参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

なぜ社会的責任が重要なのか

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はじめに 日本の平和と安全を維持し その存立を全うすることは 政府 の最も重要な責務です また 日本の安全保障政策を高い透明性をもって示すことも政府が果たすべき役割です 日本は 戦後 70 年以上にわたり 平和国家として歩んできました 自由 民主主義 人権 法の支配を擁護し 地域そして世界の平和と繁

Transcription:

溜池通信 vol.501 Biweekly Newsletter August 31, 2012 双日総合研究所 吉崎達彦 Contents ************************************************************************* 特集 : 第 3 次アーミテージ=ナイ報告書を読む 1p < 抄訳 : 報告書の 結論 ~ 提言 部分 > 6p <From the Editor> セプテンバー サプライズ? 8p ************************************************************************* 特集 : 第 3 次アーミテージ = ナイ報告書を読む 2000 年秋の第 1 号 そして 2007 年春に第 2 号が出た アーミテージ =ナイ報告書 は 日米関係に重要な役割を果たしたことで知られています 米国の知日派人脈が超党派で作ったこの提言は 日米関係のバイブル と呼ばれたし 政策提言が政治を動かす お手本でもありました これらを紹介した本誌にとっても懐かしい存在です さて 猛暑のさ中の 8 月 15 日 ワシントンのシンクタンク CSIS において このたび同報告書の第 3 弾 ( アーミテージⅢ) が公表されました 第 1 号の時と同様に 大統領選挙に合わせたタイミングで 米側知日派人脈の問題意識がよく分かる内容です 今回のポイントは 1 原子力 エネルギー 2 韓国との歴史問題 3 日米同盟再定義 の 3 点だと思います さて 日本側はどうこれに応えるべきなのでしょうか 日本外交は Tier-One 足り得るか? 今回の報告書は The U.S.-Japan Alliance Anchoring Stability in Asia は 8 月 15 日に CSIS で発表されている 1 原文はもちろんのこと 公式発表の様子が事細かにビデオクリップで見ることができるので なんとも便利な世の中になったものである 隆々たる体躯のリチャード アーミテージ座長が 冒頭 日本は一流国家 (Tier-One Nation) たるつもりがあるのか そうでないのなら この提言は閉じて 読む必要はない (7 分頃 ) と言うところで 思わずギクリとさせられる Tier-One Nation とは 十分な経済力と軍事力を有し グローバルなビジョンを持ち 指導的な役割を担う国を意味する 米国はもちろん堂々たる Tier-One だが 日本はどうなのか 決めるのは日本人自身だが そのつもりがあるのなら一緒にやろう これが本報告書の主要なメッセージである 1 http://csis.org/event/us-japan-alliance-anchoring-stability-asia 1

この問いかけは 今の日本にはかなり重い響きを含んでいよう そのまま世論調査で問いかけた場合 もう Tier-One である必要はない という声が多数を占めそうである 日本は高齢化しているし 経済は良くならないし 政治家は頼りなくてしょっちゅう代わるし 何より震災後の疲労感のようなものがある 日本は一流国家を目指すのか それとも二流で満足するのか は いささか挑発的な問いかけである アーミテージたちは 当然 日本が Tier-One を目指してもらわないと困る そうでないと 日米同盟は十分に力を発揮することができないし Super Tier-One を目指すところの米国の戦略に支障をきたすからだ 実はこれと同じ問いかけを 日本外交はずっと続けきているのではないかと筆者は考えている 以下は 3 年前の本誌 政権交代後の日本外交 (2009 年 10 月 2 日 ) で示した 日本外交は A 案と B 案のどちらを目指すべきか という選択肢である 従来の議論 : A 案 (A=Ambitious Japan) 小泉政権 自民党? 日本は超大国のはしくれ 国際的な責務を果たすべし 現状認識 日本は世界第 2 位の経済大国 リーダーとしての役割あり 方向性 普通の国 を目指す まず集団的自衛権の解釈変更を 対米関係 日米関係が外交の基軸 日米安保条約は国際公共財 対アジア関係 アジアの盟主 の座を中国と争う 対国連 当然 常任理事国の地位を目指す イラク アフガン 中東の安定は日本の国益 応分の負担を行う 北朝鮮問題 対話と圧力 では 圧力 に力点 経済外交 ドーハラウンド FTA 交渉を通じて貿易自由化に貢献 新しい方針 : B 案 (B=Blue Japan) 鳩山政権 民主党? 日本は衰退過程にあることを自覚し 抑制的な外交を展開すべし 現状認識 経済より安全保障優先の世界では日本はミドルパワー 方向性 国際貢献は非軍事に限定 なるべく憲法の範囲内で 対米関係 安保体制は堅持するも 従来通り Reluctant な同盟国 で 対アジア関係 地域覇権国になる中国をなるべく刺激しない ( 例 : 靖国神社 ) 対国連 真面目な一加盟国として汗を流す 環境問題で貢献 イラク アフガン 無駄な努力にはなるべく手を貸さない 民間の支援を中心に 北朝鮮問題 対話と圧力 では 対話 に力点 経済外交 農産物の自給率向上 戦略物資の確保に努める 3 年後の今になって読み返してみると 日本経済は世界第 2 位から 3 位に落ち 常任理 事国入りも現実味が薄れている ついでに TPP 交渉参加などの新材料も付け加えてみたく なるが 間違いなく今は当時以上に B 案 (Tier-Two) を選ぶ人が増えているだろう 2

日米を エネルギー同盟 に ちょうど現在 政府のエネルギー 環境会議が 2030 年時点の原発比率をめぐり 国民に向けて 0% 15% 20~25% という選択肢を提示している 報道によれば 脱原発 を支持する意見が多く 2030 年代前半にゼロ とする案が有力になっているという 仮に日本が明確に脱原発を目指すとなれば 経済の低成長下は避けられないだろうし 国力としてもミドルパワーたることを自覚することになるだろう 外交政策は当然 Plan B となる が それでは米国側が困るのである アーミテージⅢは慎重な物言いで 野田政権の大飯原発再稼働を支持し 日本が一流国家であり続けるために原子力発電の継続を と訴えている そしてフクシマの教訓を踏まえ 原子炉の安全な設計や確実な規制の在り方などで 日本は主導的な役割を求めている 日本国内の原発論議に対し 大きな波紋を投げかけそうな主張である 日本は原子力の継続を というのは 米国側の事情を反映した主張といえる そもそも日本の原子力技術は 日米原子力協定 (1955 年 ) に基づいて米国が提供したものである それが日本側技術の発展に伴い 1988 年の新協定では日本側の自由度が大幅に認められるようになった 2 逆にこの間に米国の原子力産業は空洞化が進み 今や GE やウェスティングハウス社といえど 日立や東芝などの日本企業抜きには原発が建てられなくなっている 日本の原子力産業が衰退に向かうと非常に困るのである さらにドイツやスイスが脱原発に向かう一方で ロシア 中国 インドなどが原子力開発に熱意を燃やしているのも 米国としては気がかりなところであろう そして肝心の米国自身は シェールガスのお陰で国内の火力発電のコストが低下し 新規の原発建設への意欲が低下している また ここへ来て使用済み燃料処分政策が停滞し NRC( 原子力規制委員会 ) が新規の原発建築許可を停止する決定を下したところである 今回のアーミテージⅢは 冒頭から Energy Security の項目を掲げ 原子力 天然ガス メタンハイドレード 石油ガス開発という 4 つの小項目を挙げている 日米同盟を単なる軍事同盟ではなく Energy Ally Resource Ally にしよう 将来的には CEESA( 包括的経済エネルギー安全保障協定 :Comprehensive Economic, Energy and Security Agreement) を締結しようと提唱している また 米国は資源ナショナリズムに走ることなく 日本向けに LNG を売るべし 議会は輸出についての FTA 要件を外すべき といった項目が入っている 同時に 米国のガスインフラに日本の投資を呼び込むことも盛り込まれている 原発再稼働では 諫言 だが シェールガスの提供は 甘言 というところだろうか これはもう 日米エネルギー同盟 の提案と言っていい 日本側としてこの提案にどう応えるべきか 現在のエネルギー論議に一石を投じることは間違いないだろう 2 ちなみに日米原子力協定は 2018 年に更新の時期を迎える予定である 3

韓国との歴史問題に言及 アーミテージⅢが盛り込んだ第 2 の注目点は 韓国との歴史問題 への言及である エネルギー問題と同様に ⅠやⅡにはまったくなかった視点である これまた米国にとって 日米韓 3 か国の協力が従来以上に重要になっていることの反映であろう かねてアーミテージ氏がよく使う表現によれば 中国は 再興 (Re-rise) 過程にある 政治的に安定し経済的にも反映する中国は 他の国にとってもありがたい存在だが それは確実なものではなく 南シナ海や尖閣の問題に見られるような摩擦も生じている そしてまた 北朝鮮の核開発や拉致問題も厳として存在する かかる状況において 日韓が歴史問題で対立する構図は 双方の同盟国である米国にとっては頭の痛い問題であろう ちなみにアーミテージⅢの発表は 8 月 15 日で 李明博大統領の竹島上陸は 8 月 10 日であるから このところの急速な日韓関係の悪化は報告書としても想定外であったかもしれない アーミテージⅢは 日韓の歴史問題に米国が介入することは避けつつも Seoul and Tokyo should reexamine their bilateral ties through a realpolitik lens. ( 日韓双方は 政治的現実主義の観点から二国間関係を再検証すべし ) と 未来志向の解決を促している ただし この 1 か月の韓国側の姿勢 ( というより 李明博大統領の暴走と言うべきか ) を見る限り 日米韓の協調 は言うは易く 行うは難いと言わざるを得ない 現在 期せずして日中韓は揃って 政権移行期 にある かかる状況では領土問題は イージーな国内向け人気取りにつながりやすく 建設的な動きは期待しにくいのが正直なところである それでも 近年の北東アジアにおける安全保障環境を振り返ってみると 日米関係は鳩山政権下で 漂流 し 逆に米韓関係は良好な オバマ= 李明博関係 の下で堅調であったことも間違いないところである 日米同盟は 普天間問題 オスプレイ導入 など いつも負の形で取り上げられ 武器輸出三原則の緩和 などの成果もあったとはいえ 日米間の前向きな対話がどれだけあったかというといささか心もとない 同盟のパフォーマンスは 米韓 > 日米 であったことは否定できないだろう さらに言えば 昨今の領土問題は日本の国際的プレゼンス低下と無関係ではないことを自覚する必要があろう 例えば今月 ムーディーズは韓国のソブリン格付けを Aa3 に引き上げたが これは韓国にとって過去最高の水準であり 日中と同じレベルである 韓国側とすれば 日本何するものぞ 的な感慨を覚える一つの要因であろう 日本の影響力は以前ほどではない という認識があるからこそ 強い態度に出られてしまうのだ 日本側として自覚すべきことは それまで自他ともに Tier One Nation と認めてきた国が Tier Two Nation に転落しそうだと思われた瞬間に 周囲の国からハラスメントを受けるのは自然な成り行きだということである 換言すれば 日本外交を A 案 から B 案 にシフトダウンすれば それだけ負担が減って楽になる とは限らないということである 4

日米同盟のこれまでとこれから アーミテージ Ⅲ の中でもっとも胸に突き刺さったくだりは 筆者にとっては 結論 の 第 2 パラグラフ冒頭の以下の部分であった In the period of drift, Operation Tomodachi bought the U.S.-Japan alliance some time. It gave the alliance the meaning and value it urgently needed following the idiosyncratic political discord of the last three years. 震災後の トモダチ作戦 は 日本人に日米同盟のありがたみを痛感させてくれたけれ ども 米側の専門家たちから見れば 漂流 状態であった同盟に 時間稼ぎ をしてく れたに過ぎなかった ただし 同盟漂流 は 1990 年代にも経験済みの事態であり そ のために アーミテージ Ⅰ が誕生した経緯がある 今回もきっと立て直しはできるはず という思いが執筆者たちにあるのではないだろうか それくらい 米側にとって日米同盟に対する期待は大きい なにしろ今の米国は 財政 制約下で安全保障政策を考える必要があり その中で中国の再興から不穏な中東情勢まで さまざまな脅威に対応しなければならない 例えば提言にあるように イランによるホ ルムズ海峡封鎖発言のような際に 日本が単独で掃海艇を派遣 してくれれば 米国はも ちろんのこと 関係各国がどれだけ助かるか おそらくこの場合 機雷除去作業といえど も憲法上の 戦闘行為 と見なされてしまうだろう しかし シーレーン防衛は日本自身 の国益となるはずである 日本よ Tier-One Nation たれ 日米同盟を再々定義することによって 漂流 を打ち止め にし 再び日米同盟の黄金時代を築こうではないか アーミテージ Ⅲ はそのように言って いるように思えるのだが 問題は日本側の対応次第と言うことになる Ⅰ と Ⅱ と Ⅲ の比較 アーミテージⅠ アーミテージⅡ アーミテージⅢ 発表 2000 年 10 月 2007 年 2 月 2012 年 8 月 場所 国防大学 INSS CSIS CSIS 現状 ジャパン パッシング 日米関係は最高の状態 漂流後のトモダチ作戦 懸念 冷戦後の同盟漂流 中国の台頭 Tier-Two への転落 枠組み 日米二国間 マルチ ( 民主国の連携 ) 日米韓 + 民主国 Concept 日米同盟を米英同盟に 日米がアジアを導く エネルギー同盟 最後に アーミテージ Ⅲ の 結論 と 提言 部分を以下 2p にまとめておいた 全体 の雰囲気を味わっていただければ幸いである 5

<アーミテージ=ナイ報告書から> "Conclusion 結論 ~ Recommendations 提言 ( 抄訳 ) < 結論 > 昨今の日本に関する論議には 危機 困難 先送り などの用語がつきまとう 衰退過程にある兆候かもしれないが 我々はそれが自明だとは思わない 日本は重要な岐路にあり 日本には不作為と指導力のどちらかを選ぶ力がある アジア太平洋地域における変化の中で 日本が地域に貢献する今ほどの機会はない 指導力を選ぶことで 日本は一級国としての地位 日米同盟における対等なパートナーの役割を確実にできよう 同盟が漂流した時期 トモダチ作戦 は日米同盟に時間を稼いでくれた 過去 3 年間の奇妙な政治的混乱の後で 同盟に必要だった意味と価値をもたらしてくれた ただし同盟が直面する困難を乗り越えるには それだけでは十分ではない 急速に進化する戦略環境と甚だしき財政的困難により 日米はより賢明で順応性のある関与が求められる 本報告書の提言は 米国と日本が前進するための領域に焦点を当てている 同様に重要なのは両国の実行である そこで最終提言として 我々は米日双方に同盟への関与を明らかにすべく 選任の政策担当者を指名するよう望む 日米同盟にはその価値と 必要がある < 日本への提言 > * 慎重な原発再稼働を支持する 2020 年 CO₂の 25% 削減という目標のためにもそれは避けられない 円高の下で エネルギー多消費型産業を国外脱出させないことも重要 福島の教訓に則り 日本は安全な原子炉や健全な規制を推進することで主導的役割を果たせ * 日本は海賊対策 ペルシャ湾航行 シーレーン保護などの多国籍活動への関与を継続すべき イラン核開発のような地域への脅威にも対決姿勢をとるべき *TPP 交渉への参加だけでなく CEESA( 包括的経済エネルギー安保協定 ) を締結せよ * 日本は韓国との歴史問題に立ち向かうべき 長期的戦略的な観点に立ち 政治的な動きを避けよ 日米韓の三国協力のために 日韓は遅れている防衛協力を締結すべし * 日本は特に印 豪 比 台湾などの民主的パートナー国との関係緊密化を続けよ * 役割 任務の見直しにおいて 日本は地域有事における自国防衛と米国防衛を責任範囲に含めるべき 同盟にはより活発で 共有され 相互運用性が高く 日本の領土外にも及ぶ諜報活動が求められている 平時から緊張 危機 戦争状態まですべての事態において 米軍と自衛隊が日本国内で完全協力できるような法制化が望ましい * イランによるホルムズ海峡封鎖発言のような際に 日本は単独で掃海艇を派遣すべきである また航行の自由確保に向け 米国と共同して南シナ海監視活動を強化すべき * 日本は防衛省の法的能力を促進し 二国間や国家安全保障上の機密を保護すべき *PKO 活動への全面参加を可能にすべく 日本は PKO の担当業務に民間人や他の PKO 部隊の保護 ( 必要な場合は武力行使も含む ) を拡大すべきである 6

< 日米同盟への提言 > * 福島の教訓に鑑み 日米は原子力の調査開発協力を再活性化し 原子炉設計の安全性や国際的に健全な規制慣行を推進すべきである * 安全保障関係の一環として 日米は天然資源でも同盟国であるべき 日米はメタンハイドレードの調査開発で協力し 代替エネルギー技術の開発に関与すべし * 日米韓は歴史問題に関するトラック 2 会議を拡大し これら微妙な問題での意見集約を目指し 各国政府の指導者たちに向けて働きかけるべき * 中国の 再興 (Re-rise) に対し 能力と政策を開発せねばならない 平和で繁栄する中国は日米にとってプラスだが 経済的繁栄と政治的安定は所与のものではない 中国の核心的利益の拡張 軌道修正などの可能性に対し 同盟は適応する必要がある * 人権問題は重要な目標であり 特にビルマ カンボジア ベトナムなどでの日米の関与は成果が期待できる 北朝鮮については 日米同盟は韓国と共に広範な人道問題に取り組む その中には食糧安保 災害援助 公衆衛生 そして非核化と拉致問題が含まれる * 日米は エアシーバトル や 弾力的防衛力 などの概念を連携させよ 新たな任務 役割見直しでは 地理的視野の拡大と 軍事 政治 経済力などの包括的な検討が必要 * 米陸軍と海兵隊は 陸上自衛隊との相互運用性を高め 水陸両用作戦などで前進せよ * 日米は民間空港の利用 トモダチ作戦の教訓 水陸両用能力などで 二国間防衛演習の質を向上させよ グァム マリアナ諸島 豪州などでの訓練機会も活用すべし * 日米は将来の兵器を共同開発する機会を増やすべきである 短期の案件では相互利益を考慮して特定プロジェクトを考慮し 長期の案件も特定すべきである * 日米は韓国などと間で抑止力対話を再活性化させ 主要同盟国との信頼感を醸成せよ * 日米は情報安全基準のために 共同サイバーセキュリティセンターを設立すべし < 米国への提言 > * 米国は資源ナショナリズムや民間介入を避け 危機の際にも同盟国に LNG を提供すべきである 議会は天然ガス輸出の FTA 要件を解除し 日本を他の顧客と同様に扱うべし *TPP 交渉における主導国として 米国は交渉過程と合意草案をより明らかにすべきである 日本の TPP 参加は 米国の戦略的目標と見られるべきである * 日韓の歴史問題について米国は判決を下す立場にない ただし米国は外交努力によって両国の緊張を緩和し 日韓の核心的安全保障上の利益への注意を喚起すべきである * 在日米軍は日本防衛の責任を負う 米国はこれにより多くを振り向けることを要す * 米国は 武器輸出 3 原則 の緩和を活用し 日本の防衛産業の技術を米国向け さらには豪州など向けに輸出することを勧奨すべきである * 技術協力の機会を促進し 防衛産業の官僚主義を改善 合理化すべきである * 米国は大統領指名により 日米同盟円滑化の責任者を命じよ 日本もまた同様の仕組みを希望するかもしれない 7

<From the Editor> セプテンバー サプライズ? とうとう 8 月も今日で終わり ロンドン五輪の熱狂もようやく薄れ ( パラリンピックは始まったばかりですが ) いよいよ 9 月の始まりです この夏 欧米の政治家たちは 宿題 を忘れてお休みモードでしたが 市場は 政策対応がなされるだろう と高をくくり 中途半端に リスクオン を重ねてきたようです でも これから先は課題が山積で 特にユーロ関連は無事に済みそうにありません ちゃんと消費税増税を決めた日本は まだしも立派であったかもしれません 9 月の予定 もしくは懸念材料 日本 米国 欧州 9/8 通常国会会期末 9/21 民主党代表選 9/22 公明党代表選 9/26 自民党総裁選 9/ 下野田首相国連総会へ? 9/ 下新エネ政策決定? 8/31 ジャクソンホール会議でバーナンキ議長が演説 9/3-6 民主党大会 ( ノースカロライナ州シャーロット ) 9/7 雇用統計 数値次第では米連銀が追加緩和策? 9/12-13 FOMC 9/6 ECB 理事会 9/12 オランダ総選挙 9/12 ドイツ憲法裁判所が ESM への見解を発表 9/ 中スペイン国債が投機格付けに格下げ? 9/ 中西政府が支援を要請? 政治日程と経済日程が 微妙に混み合っているところが不気味です ちょうど 4 年前にも 米大統領選挙の党大会が行われて そのさ中にポールソン米財務長官が金融不安の鎮静化を目指していたのですが 9 月 15 日にリーマンブラザーズ証券が倒産したことを思い出します 久しぶりに セプテンバー サプライズ などという言葉が脳裏に浮かびます さて そうなった場合の日本経済はどうなるか 先進国経済が当てにならず 中国やインドにも死角がありそうとなると 残るは東南アジアくらいしかありません 実はそれこそが 日本経済にとっての最後の命綱なのではないか そんな仮説を抱きつつ 来週はタイ シンガポール ベトナムに出張してきます というわけで 本誌は 1 週間の前倒しでお届けしました 502 号以降は平常運転 ( 隔週刊 ) に戻ります * 次号は 2012 年 9 月 21 日 ( 金 ) にお届けする予定です 編集者敬白 本レポートの内容は担当者個人の見解に基づいており 双日株式会社および株式会社双日総合研究所の見解を示すものではありません ご要望 問合わせ等は下記あてにお願します 100-8691 東京都千代田区内幸町 2-1-1 飯野ビル http://www.sojitz-soken.com/ 双日総合研究所吉崎達彦 TEL:(03)6871-2195 FAX:(03)6871-4945 E-MAIL: yoshizaki.tatsuhiko@sea.sojitz.com 8