第 3 倉庫に係る防火安全対策 1 目的この基準は 近年 倉庫が大規模化し また 作業所的要素が出てくるなど特殊化する傾向が見られることから 倉庫に係る出火防止 延焼拡大防止 避難の安全確保等に係る具体的基準を定めたものである 2 指導対象この基準に基づき指導する防火対象物の範囲は次に掲げるものとす

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資料 1-6 認知症高齢者グループホーム等に係る消防法令等の概要 1 消防法令の概要 主な消防用設備等の設置基準消防用設備等の種別消火器屋内消火栓設備スプリンクラー設備自動火災報知設備消防機関へ通報する設備誘導灯 設置基準規模 構造にかかわらずすべて延べ面積 700 m2以上延べ面積 275 m2以

ウ火元責任者は 自主検査の結果 異常が認められたときは 防火管理者及び防火管理責任者 ( 工事責任者 ) に報告し 指示を受けて対処する (2) 放火対策ア建物の外周部及び階段等には 可燃性の工事用資材又は梱包材等は置かないようにする やむを得ず置く場合は整理整頓し防炎シート等で覆い保管する イ工事

東京都建築安全条例(昭和二十五年東京都条例第八十九号)新旧対照表(抄)

隣地境界線126 第 3 章消防用設備等の設置単位 さいたま市消防用設備等に関する審査基準 消防用設備等の設置単位消防用設備等の設置単位は 建築物 ( 屋根及び柱又は壁を有するものをいう 以下同じ ) である防火対象物については 特段の規定 ( 政令第 8 条 第 9 条 第 9 条の

消防法施行規則等の一部を改正する省令等の公布について ( 参考資料 ) 別紙 1 1 改正理由 (1) 背景住宅宿泊事業法 ( 平成 9 年法律第 65 号 ) が平成 30 年 6 月 15 日に施行され 住宅宿泊事業に係る事前の届出が同年 3 月 15 日に開始された ( 住宅宿泊事業法の施行期

屋内消火栓設備の基準 ( 第 4.2.(3). オ ) を準用すること (2) 高架水槽を用いる加圧送水装置は 屋内消火栓設備の基準 ( 第 4.2.(4). ア イ及びウ ) を準用するほか (1). ア イ及びウの例によること (3) 圧力水槽を用いる加圧送水装置は 屋内消火栓設備の基準 ( 第

消防用設備・機械器具等に係る最近の検討状況等

番号 特定共同住宅等の種類と必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等 二方向避難型特定共同住宅等である (1) 初期拡大抑制性能 ( その 2) 図面番 ア地階を除く階数が 5 以下のもの 消火器具屋外消火栓設備動力消防ポンプ設備 又は住戸用及び共同住宅用非常警報設備 イ地階を除く階数

178 第 3 章消防用設備等の設置単位 さいたま市消防用設備等に関する審査基準 2016 小規模特定用途複合防火対象物 ( 政令別表第 1⒃ 項イに掲げる防火対象物のうち 特定用途に供される部分の床面積の合計が当該部分が存する防火対象物の延べ面積の10 分の1 以下であり かつ 300m2未満であ

基準19 ハロゲン化物消火設備の設置及び維持に関する基準

2 病院次のいずれにも該当する病院のうち 相当程度の患者の見守り体制を有するもの ( 火災発生時の消火活動を適切に実施することができる体制を有するものとして総務省令で定めるもの ) 以外のもの ( ア ) 特定診療科名を有するもの ( イ ) 一般病床又は療養病床を有する病院 火災発生時の延焼を抑制

第2章第2節 第4~6

東京都建築安全条例の見直しの考え方

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保育所の設備及び運営に関する基準 保育室等 屋外 遊戯場 設備 ( 必置 ) 面積設備 ( 必置 ) 面積 調理室 便所 0 1 歳児 乳児室及びほふく室 医務室 2 歳以上児 保育室又は遊戯室 乳児室 ほふく室 3.3m2 / 人 保育室 遊戯室 1.98m2 / 人屋外遊戯場 近隣の都市公園を代

2-21 踊場を共有する階段 令第 23 条令第 121 条府条例第 33 条 図 -1 図 -2 図 -3 UP DN UP DN 3F A 2F 1F DN UP DN UP w w w w 上図のような階段形式のものについては次の通り取り扱う ただし 図 -3 においては 縦方向に A の範囲

松山市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例施行規則平成 26 年 10 月 27 日規則第 65 号 ( 趣旨 ) 第 1 条この規則は, 松山市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例 ( 平成 26 年条例第 52 号 以下 条例 という ) の施行に関し必要な事

Microsoft Word - 法第43条第2項第2号許可基準

エ建替え後の建築物の絶対高さ制限を超える建築物の部分の水平投影面積の合計は 現に存する建築物又は現に建築の工事中の建築物の絶対高さ制限を超える建築物の部分の水平投影面積の合計を超えないこと オ建替え後の建築物の絶対高さ制限を超える建築物の部分の水平投影部分の形状は 現に存する建築物又は現に建築の工事

別添 ( 用語の定義 ) 消防法( 昭和 23 年法律第 186 号 ) 法 消防法施行令( 昭和 36 年政令第 37 号 ) 令 消防法施行規則( 昭和 36 年自治省令第 6 号 ) 規則 特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令 ( 平成 20

工事中の消防計画 第 1 工事計画について 1 工事概要 ( 別紙 1 ) 2 工事工程表 ( 別紙 2 ) 3 緊急時連絡体制 ( 別紙 3 ) 4 関連業者一覧 ( 別紙 4 ) 第 2 目的及び適用範囲 1 目的この計画は 消防法第 8 条第 1 項の規定に基づきにおける防火管理について必要な

4. エレベータホール ( 設置する場合 ) 5. エレベーター ( 設置する場合 ) 6. 共用廊下 共用階段 ること 共用玄関等からの見通しが確保されていない場合には 見通しを補完する対策が講じられていること 照明設備 1 共用メールコーナーの照明設備は 床面において50ルクス以上の平均水平面照

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ポリカーボネート板に関する建築物の屋根への適用状況

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平成  年  月  日

目次 ( )

基準2 消防用設備等の設置単位の取扱いに関する基準

日影許可諮問(熊野小学校)

条例解説6~11条

第2章 事務処理に関する審査指針

2 スプリンクラー設備の設置基準の見直し 消防法施行令第 12 条第 1 項関係 スプリンクラー設備を設置しなければならない防火対象物又はその部分に 次に掲げるもの 火災発生時の延焼を抑 制する機能を備える構造として総務省令で定める構造を有するものを除く で延べ面積が 275 m2未満のものが追加さ

建築基準法第 43 条第 2 項第 2 号の規定による許可の同意の取扱い基準 平成 18 年 6 月 1 日東広島市建築審査会 建築基準法 ( 以下 法 という ) 第 43 条第 2 項第 2 号の規定により許可を行う場合, 次 に定める基準のいずれかに該当する建築物の敷地については, 建築審査会

2 著しく消火困難な製造所等の消火設備 ( 危省令第 33 条 ) 消火活動上有効な床面からの高さ の高さの算定の起点となっている消火活動上有効な床面とは, 必ずしも建築物の床面に限られるものではなく, 火災時において第 4 種の消火設備等による消火活動を有効に行い得るものでなければならないこと (

資料2 保育所における屋外階段設置要件について

新旧対照表 (1/15)

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新千里西町B団地地区地区計画

様式第 2 号の 4 特定共同住宅等省令適用チェックリスト ( その 1) 番号 特定共同住宅等の種類と省令消防用設備等 計画 図面 番号 1 二方向避難 開放型特定共同住宅等である ( 計算書を添付する ) (1) [ 初期拡大抑制性能 ] ア地階を除く階数が 10 以下のもの 消火器具 屋内消火

( 例 ) 病床数が 60 の場合 職員の総数が5 人以上であり かつ 当該職員のうち宿直勤務者を除いた職員数が2 人以上である体制をいう イ規則第 5 条第 3 項第 1 号に規定する 職員の数 とは 一日の中で 最も職員が少ない時間帯に勤務している職員 ( 宿直勤務者を含む ) の総数を基準とす

建築基準法第 43 条第 2 項第 2 号の規定による許可の基準 ( 包括同意基準 ) 平成 30 年 9 月 28 日 加古川市都市計画部建築指導課

(2) 路地街区 ア路地街区の内部で 防火性の向上と居住環境の改善を図るため 地区施設等に沿った建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定めることにより 道路斜線制限を緩和し 3 階建て耐火建築物の連続した街並みを形成する イ行き止まりの路地空間では 安全性の確保のため 2 方向の避難を目的とし

1 目的 建築基準法第 68 条の 5 の 5 第 1 項及び第 2 項に基づく認定に関する基準 ( 月島地区 ) 平成 26 年 6 月 9 日 26 中都建第 115 号 建築基準法 ( 昭和 25 年法律第 201 号 以下 法 という ) 第 68 条の 5 の 5 第 1 項 及び第 2

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建築基準法第43条第1項ただし書に係る一括同意基準

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小規模建築物用消防計画の手引き〔本文〕

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1600 mm 1200 mm 1200 mm 1600 mm 2200 mm 1200 mm 大阪市建築基準法取扱い要領 2-30 特別避難階段の付室の取扱い 令第 123 条第 3 項 (1) 付室の最小幅員下記のような特別避難階段の付室内の最小幅員は 法定の廊下幅及び階段幅以上とする 非常用

作成例

工事中の消防計画作成例

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鹿嶋市都市計画法の規定による市街化調整区域における

リスク調査報告書(サンプル)

第 21 換気設備等製造所等の換気設備及び排出設備の基準については 次による 1 換気設備 (1) 換気設備は 室内の空気を有効に置換するとともに 室温を上昇させないためのものであり 下記のものがある ア自然換気設備 ( 給気口と排気口により構成されるもの ) イ強制換気設備 ( 給気口と回転式又は

東京都市計画高度地区変更(練馬区決定) 【原案(案)】

第 3 章 1. の既往調査研究 1で紹介した 小規模多機能サービスに関する調査報告書 にも指摘されていたように 小規模多機能サービス事業所の整備にあたっては 建築基準法 消防法上の取り扱いの点で検討の余地を残している これに関して 2006 年 1 月に長崎県大村市の認知症高齢者グループホームで発

工事中の消防計画作成例(記入要領)

建築基準法第 86 条第 1 項 第 2 項の規定に基づく一団地の総合的設計制度及び連担建築物設計制度等の運用について 建築基準法第 86 条第 1 項 第 2 項及び法第 86 条の2 第 1 項の規定に基づく認定の運用は 平成 11 年 4 月 28 日付け建設省住街発第 48 号局長通達による

第 1 節承認基準等 第 1 危険物仮貯蔵 仮取扱承認申請に関する承認基準 ( 法第 10 条第 1 項ただし書 ) 1 仮貯蔵等の承認基準 ( タンクコンテナを除く ) (1) 危険物の仮貯蔵等を承認できる場所の位置は 危険物令第 9 条第 1 項第 1 号に掲げる製造所の位置の例によること (2

第2章 防火対象物

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藤沢市地区計画運用基準 施行平成 30 年 4 月 1 日 る 本運用基準は, 地区計画の届出に際しての審査の画一化及び円滑化を図るため, 必要な事項を定め 項目第 1 建築物等の用途の制限に関する事項第 2 建築物の容積率の最高限度に関する事項第 3 建築物の建蔽率の最高限度に関する事項第 4 建

消 防 計 画

建築基準法施行規則第10条の2第1号

8 避難経路 避難経路とは 廊下 階段 避難上有効なバルコニーその他これに類するものをいう 直接外気に開放されていること 避難上支障のない幅員及び転落防止上有効な高さの手すり等を有し 60 cm以上の幅員を有していること 3 バルコニー等に設ける仕切板等の寸法は 概ね幅 600 mm 高さ 800

第2 令別表第1の取扱い

消防同意の審査時によくある指摘事項例(概要)

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国土技術政策総合研究所 研究資料

ともに 警報を発するものをいう 第三放水型ヘッド等の構造及び性能規則第十三条の四第二項に規定する放水型ヘッド等の構造及び性能は 次に定めるところによる 一放水型ヘッド等の構造は 次によること ( 一 ) 耐久性を有すること ( 二 ) 保守点検及び付属部品の取替えが容易に行えること ( 三 ) 腐食

第 Ⅱ ゾーンの地区計画にはこんな特徴があります 建築基準法のみによる一般的な建替えの場合 斜線制限により または 1.5 容積率の制限により 利用できない容積率 道路広い道路狭い道路 街並み誘導型地区計画による建替えのルール 容積率の最高限度が緩和されます 定住性の高い住宅等を設ける

動車車庫については 隣地境界線又は同一敷地内の他の建築物との距離は2m 以上とし 各階の外周部に準不燃材料で造られた防火壁 ( 高さ1.5m 以上 ) を設けること (3m 以上の距離を確保した場合を除く ) に改める 号通知 記 2 自動火災報知設備の設置について の一部改正記 2 中

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倉庫火災とリスクマネジメント

第 28 条 居室の採光及び換気 屋外廊下に面した開口部の採光について 屋外階段前の開口部の採光について 採光補正係数 (1) 106 変更 81 採光補正係数 (2) 採光補正係数 (3) 線路敷の取扱い 109 削除 - 換気に有効な部分

名前 第 1 日目 建築基準法 2 用途規制 1. 建築物の敷地が工業地域と工業専用地域にわたる場合において 当該敷地の過半が工業地域内であると きは 共同住宅を建築することができる 2. 第一種低層住居専用地域内においては 高等学校を建築することができるが 高等専門学校を建築する ことはできない

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目 次 第 1 はじめに 2 1 ガイドライン策定の目的 2 2 ガイドラインの対象となる防犯カメラ 2 3 防犯カメラで撮影された個人の画像の性格 2 第 2 防犯カメラの設置及び運用に当たって配慮すべき事項 3 1 設置目的の設定と目的外利用の禁止 3 2 設置場所 撮影範囲 照明設備 3 3

許可及び認定申請等

(5) 第 1 号から前号までの規定により住宅用防災警報器が設置される階以外の階のう ち 次に掲げるいずれかの住宅の部分 ア床面積が 7 平方メートル以上である居室が 5 以上存する階の廊下 イアに規定する階に廊下が存しない場合にあっては 当該階から直下階に通ずる 階段の上端 ウアに規定する階に廊下

することが適当であることから 本通達では 特定施設の敷地の用に供される土地等には 土地又は土地の上に存する権利を取得した時において 現に特定施設の敷地の用に供されているもの及び特定施設の敷地の用に供されることが確実であると認められるものが該当することを明らかにしている なお 取得の時において特定施設

建築基準法第 43 条第 1 項ただし書による包括許可基準 平成 23 年 3 月 4 日 焼津市建築審査会承認 1 趣旨次の基準に適合するものは 建築基準法 ( 昭和 25 年法律第 201 号 以下 法 という ) 第 43 条第 1 項ただし書の規定に基づき 特定行政庁が交通上 安全上 防火上

1 届出の趣旨工事中に建築物を使用する場合は, 建築基準法に基づいて当該建築物に設置されている避難施設等の機能に支障を来たすことがよくあります もとより建築基準法は, 建築物の最低限の安全性能を定めたものですから, 避難施設等の機能に支障が生じているときに出火したりすれば, 大災害につながるおそれが

工場立地法の概要

[ 例 1] 敷地の分割例 1270 m2の敷地を 135 m2ずつに分割する場合 270 m2 135 m2 135 m m2の敷地を 140 m2と 130 m2に分割する場合 270 m2 140 m2 130 m2 2

第 1 はじめに 1 ガイドライン策定の目的安全で安心なまちづくりを進める上で 近年 防犯カメラの設置は広く有用であると認められており 市内においても防犯カメラの設置が進んでいます しかし その一方で 知らないうちに自分の姿が撮影され 目的外に利用されること等に不安を感じる市民の方もいます そこで

資料 2-3 障害者施設等の火災対策のあり方 ( 案 ) 1 認知症高齢者グループホーム火災を踏まえた課題 ⑴ 消防機関への通報について長崎市認知症高齢者グループホーム火災 ( 以下 本件火災 という ) では 自動火災報知設備の鳴動後に 火災通報装置の操作が行えず 施設からの通報がなされなかった

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大阪市再開発地区計画にかかる

便所 縮尺 福祉型便房のある便所の構造 福祉型便房並びに腰掛便座及び手すりの 設けられた便房の構造並びに床置式の小便器の構造 手すり 縮尺 外形 両端部及びわん曲部の構造並びに傾斜路及び階段の両端部の構造 視覚障害者用 床材 縮尺 視覚障害者用床材及び周囲の床材の仕上げ材料 仕上げ方法 色及び形 状

Transcription:

第 3 倉庫に係る防火安全対策 1 目的この基準は 近年 倉庫が大規模化し また 作業所的要素が出てくるなど特殊化する傾向が見られることから 倉庫に係る出火防止 延焼拡大防止 避難の安全確保等に係る具体的基準を定めたものである 2 指導対象この基準に基づき指導する防火対象物の範囲は次に掲げるものとする (1) 政令別表第 1(14) 項に掲げる防火対象物 (2) 政令別表第 1(1) 項 (4) 項 (12) 項イ及び (15) 項に掲げる防火対象物で 物品庫等 ( 小規模な倉庫室形態のものを除く ) として供される部分 (3) 政令別表第 1(16) 項に掲げる防火対象物で前 (1) 又は (2) の用途に供される部分 3 安全対策基準 (1) 出火防止対策ア喫煙管理 ( ア ) 集積場所での作業員の喫煙は原則として禁止し やむを得ず喫煙を行う場合には 不燃区画等がなされた特定の場所を指定し 必要に応じ 喫煙場所 等の掲出を行うこと ( イ ) 喫煙場所では 吸殻の後始末を励行すること イ放火の防止 ( ア ) 休日 夜間等においては 出入口を特定して関係者の出入りを把握するとともに 夜間巡回を励行すること また 建物周囲には可燃物を集積しない等整理整頓を徹底し 放火されにくい環境を確保すること ( イ ) 休日 夜間等において無人となる倉庫にあっては 出入口及びその他の開口部を確実に施錠すること (2) 通報体制の強化休日 夜間等無人となる倉庫については 即時通報の導入を検討すること 倉庫は 大空間であり 可燃物が多量に集積され延焼拡大危険が高い このため火災発生時の初期対応が重要であり 消防機関への早期の通報が望まれる (3) 延焼拡大防止対策ア防火区画の設置 ( ア ) 倉庫は 建基政令第 112 条第 1 項に規定する 用途上やむを得ない場合 においても 原則として床面積 1,500 m2以内ごとに防火区画を設けること 倉庫は 建築基準法上 用途上やむを得ない場合において当該建築物の部分の面積区画の設置が緩和されているものであり 倉庫という用途のみで緩和されるものではなく 又その建築物の全ての部分が区画免除となるわけではない - 224 -

大空間での利用や連続した機械設備等のために区画が行えない構造に該当する不燃性の物品を保管する立体的な倉庫は 建基政令第 112 条第 1 項に規定する その他これらに類する用途に供する建築物の部分 に該当する ( イ ) 延焼拡大防止のため 竪穴部分は他の部分と防火区画すること ( ウ ) 防火区画は 耐火構造の壁 床で設けることを原則とし 防火戸 防火シャッターを設ける場合は 必要最小限の範囲に限定すること 大規模な倉庫の場合は 建築計画段階において 管理単位 収容単位等が流動的であることから 利用形態に柔軟性等を持たせるため 防火区画に防火戸 防火シャッターが必要以上に設置されることが多い 防火区画は耐火構造の壁等を原則とし 防火シャッター等は その使用上やむを得ず設置される通路部分等 必要最小限の範囲で設置すること ( エ ) 倉庫に附属する事務室 湯沸室等については 集積場所との間に防火区画を設置すること 事務室等は居室として使用され 集積場所とはその出火危険も異なることから 集積部分への延焼拡大防止のため防火区画を設置する イ可燃物の集積 防火戸の管理等 ( ア ) 可燃物は 防火戸 防火シャッターからおおむね1m 以上離して集積すること 放射熱による他の防火区画への延焼拡大を抑制するとともに消防活動に必要な空間を確保するため 可燃物は防火区画を構成する防火戸 防火シャッターからおおむね1m 以上離して集積し 床には集積制限のための色分け表示等の措置を行う ( イ ) 防火区画 ( 面積区画 ) を構成する防火シャッターで 使用勝手上やむを得ず防火シャッターを多用する場合は 延焼拡大の抑制のためシャッター冷却用としてドレンチャー設備を設置すること ( ウ ) 防火シャッターで区画される部分の床には色分け明示を行うこと 集積場所では あらゆる場所に物品が存置されやすく 防火シャッターの確実な閉鎖を維持することは困難である 防火シャッターにより閉鎖される部分の床には 閉鎖障害を防止するための色分け表示の措置を講ずるとともに 自動閉鎖装置等の機能点検を励行して確実な機能を維持する ( エ ) 防火戸 防火シャッターは 作業のために必要がある場合を除き閉鎖すること ウ作業床等の設置に係る措置作業床 棚等は 火災時における荷崩れ防止を図るため 不燃材料等による構造が要求されない場合であってもこれを確保すること 階の中間に設けられる作業床 棚等は小規模なもの ( キャットウォーク等 ) を除き 原則として階 床として取り扱われる場合が多いが 建築基準法令により階数として算定されないものであっても 不燃材料等による構造を確保する (4) 初期消火対策ア消火器の増強 設置場所 ( ア ) 消火器は容易に消防活動ができる場所にも設置すること - 225 -

集積場所には多量の物品が集積されるため 火災が発生しても死角となる部分が多いことなどから 初期消火が遅れがちとなる このため 技術上の基準による消火器までの歩行距離にのみとらわれることなく 迅速な初期消火が行えるように階段や通路付近等容易に使用が可能な場所にも設置する ( イ ) 作業床等に設置する消火器は 当該作業床等が階数として算定されない場合であっても一の消火器に至る歩行距離が 20m 以下となるように設置すること イ屋内消火栓の設置場所等 ( ア ) 屋内消火栓 (1 号消火栓 ) は 有効活用できる場所に配置すること 大規模な倉庫では 集積場所内に屋内消火栓を設置しなければならない場合があり 火災の拡大状況によっては屋内消火栓を使用できないこともある このため 集積場所は屋内消火栓が有効活用できるよう配置したり 階段室や廊下部分に設けること ( イ ) 作業床等には 屋内消火栓を設置するかホースを増強する等の措置を講ずること (5) 避難安全対策ア集積場所内の通路確保集積場所での梱包等の作業に伴い 通路 ( 集積物相互間の通路を含む ) に物品が置かれることが予想される このため 作業を行う場合には 通路以外の場所を確保するとともに 通路には常に集積物等を置くことなく 容易に避難できる通路を確保すること イ 2 方向避難の確保荷さばき 分別等を行うなど作業所的要素が高い集積場所については 2 方向避難を確保すること また シャッターによる区画部分には くぐり戸を併設する等により2 方向避難を確保すること (6) 消防活動対策ア排煙上有効な開口部の設置倉庫は排煙設備が設置されない場合が多いため 消防活動時の排煙に配慮して屋根 外壁等に排煙上有効な開口部を設置する この場合 開口部面積はその階の床面積の 200 分の1 以上を確保することを目安とし 排煙上有効な位置に分散して設置すること イ非常用進入口の設置非常用進入口は 2 面以上の外壁に設置すること 非常用進入口の設置については 第 2 節. 第 8 非常用の進入口によること ウ進入経路の確保 ( ア ) 外壁に設けるシャッターは 水圧開放シャッターとすること ( イ ) 荷物積み卸しのためのキャノピーは 梯子車による上階への架梯に障害がない場所とし 当該場所に配置することが困難な場合には キャノピー上に順次上階に到達できるタラップを設置する等 梯子車の架梯を考慮して配置すること なお この場合 防犯上支障ないものとすること ( ウ ) 出入口等が施錠管理された倉庫については マスターキー等の存在を明確にすること テナントが多い等その管理が複数にわたる形態の倉庫については 階段の出入口を施 - 226 -

錠する等進入が困難な場合が多い このため 管理室等で速やかにマスターキーが確保できる等の体制を確立する エ連結散水設備等の設置合成樹脂類を多量に集積する倉庫については 連結散水設備 スプリンクラー設備等を設置すること オ集積物量等の把握管理室等では 消防隊が円滑に活動できるよう 常時 倉庫の集積物の種類 数量等が確実に把握できる体制を整えること (7) 改修工事等に係る対策工事中の防火対象物を使用する場合の安全対策については 第 4 節. 第 6 工事中の防火対象物の安全対策によるほか 次によること ア仮使用部分と工事部分との区画の設置工事中の建物の使用については 仮使用部分と工事中の部分との区画の設置等一定の要件により認められているが 仮使用部分と工事部分との境界での配管 ダクト等の溶接 溶断等の際には 設置された区画の一部が撤去される状況も予想されるため 工事部分に係る区画を広めに設定すること イ消防用設備等の機能停止時の措置工事は 原則として消防用設備等の機能を確保した上で行うものとする 工事の工程上やむを得ず消防用設備等の機能を停止する場合は 自動火災報知設備については 安易に感知器を撤去したり ベルを停止したりすることなく 感知器の種別の変更等により対応し 屋内消火栓については 必要があれば仮設配管等により機能を確保すること なお 工事の進捗上その機能停止が長期間に及ぶ場合については 事前に消防署と打合せを行い 必要な代替措置を講ずること ウ溶接等火気使用時の点検励行 ( ア ) 溶接 溶断作業等では 溶断火花等が広範囲に落下 飛散しやすい状況にあるので 作業中及び作業後の点検は広範囲に行うこと ( イ ) 既存の倉庫において 軽微で短期間の工事であっても溶接 溶断等火気を使用する場合は 条例第 29 条に基づき不燃性シートや湿砂を活用する等の措置を講ずるとともに 集積場所の可燃物は火器使用箇所以外の他所に移動させ 作業後の工事箇所周囲の点検を励行すること ( ウ ) 断熱材の取扱い冷凍冷蔵倉庫においては 建物内部に発泡ウレタンフォーム等の断熱材が多用されていることから それらが燃焼した場合には爆発的燃焼となる危険がある そのため 溶接 溶断等の作業を行う場合には 火気使用箇所周囲の断熱材を確実に除去したことを確認した後作業を行うこと 4 ラック式倉庫 消防用設備等の設置については 次によること - 227 -

(1) 階の算定ラック式倉庫 ( 棚又はこれに類するものを設け 昇降機により収納物の搬送を行う装置を備えた倉庫をいう ) の部分は 階数を1として取り扱うものであること (2) 延べ面積等の算定アラック式倉庫の延べ面積は 各階の床面積の合計により算定すること この場合において ラック等を設けた部分 ( ラック等の間の搬送通路の部分を含む 以下この (2) において同じ ) については 当該部分の水平投影面積により算定すること イラック式倉庫のうち政令第 12 条第 1 項第 5 号の適用において次のいずれかに該当する場合は ラック等を設けた部分の面積により算定すること この場合 当該部分に対してのみスプリンクラー設備を設置すればよいこと ( ア ) ラック等を設けた部分とその他の部分が準耐火構造の床又は壁で区画されており 当該区画の開口部には防火設備 ( 随時開くことができる自動閉鎖装置付きのもの又は火災の発生と連動して自動的に閉鎖するものに限る ) が設けられているもの ( イ ) ラック等を設けた部分の周囲に幅 5mの空地が保有されているものウ前イに該当する場合 政令第 12 条第 4 項の適用については ラック等を設けた部分における倉庫の構造によることとしてよいこと エラック等を設けた部分の面積が 延べ面積の 10% 未満であり かつ 300 m2未満である倉庫にあっては 当該倉庫全体の規模にかかわらず 政令第 12 条第 1 項第 5 号に規定するラック式倉庫として取り扱わないことができること (3) 天井の高さの算定ラック式倉庫の天井 ( 天井のない場合にあっては 屋根の下面 ) の高さは 当該天井の平均の高さ ( 軒の高さと当該天井の最も高い部分の高さの平均 ) により算定すること (4) ラック式部品庫等に対するスプリンクラー設備等の設置 政令別表第 1(14) 項に掲げる防火対象物に該当しない用途でラック式物品庫等が存する場合 天井の高さが 10mを超える店舗内の商品倉庫や事務所の物品庫等については 集積能力が高く初期消火が困難であることから スプリンクラー設備等を設置すること - 228 -