関西の景気動向 2013 年 5 月株式会社日本総合研究所調査部関西経済研究センター 1. 景気の現状関西の景気は 持ち直している 輸出は 円安が進み 米国経済も回復基調をたどるなど 環境が

Similar documents
関西の景気動向 2013 年 11 月株式会社日本総合研究所調査部関西経済研究センター 1. 景気の現状関西の景気は 持ち直しのペースがひところと比べて鈍化している 輸出 ( 円ベース )

関西の景気動向 2016 年 11 月株式会社日本総合研究所調査部関西経済研究センター 1. 景気の現状関西の景気は 総じてみれば足踏み状態が続いている 鉱工業生産は横ばい程度の推移にとどま

October vol

除くアジア向けは同.9% 増 米国向けは同.8% 増と増加基調で推移している 品目別にみると 輸送用機器 ( 前月比.% 減 ) や金属及び同製品 ( 同.% 減 ) には弱い動きがみられたものの 化学製品 ( 同.9% 増 ) 一般機械( 同.6% 増 ) 電気機器( 同.7% 増 ) といった主

1 ( ) 4.1% 4.4% 4.% 1 ( ) 1.2%( ) 1.6% 3.8% 1( ) 5.6% 4, % 8 6.5% % 2 4.3% 47.8% 18.8% % 13 2, % 2.2% 13.% 218 ( ).

富山県金融経済クォータリー(2018年秋)

平成 31 年 1 月 17 日東北経済産業局 管内 ( 東北 6 県 ) の経済動向 ( 平成 30 年 11 月分 ) ~ 一部に弱い動きがみられるものの 緩やかに持ち直している ~ 鉱工業生産 : 個人消費 : 住宅着工 : 公共投資 : 設備投資 : 持ち直しの動きとなっている足踏み状態とな

富山県金融経済クォータリー(2018年夏)

関西経済レポート (2019 年 9 月 ) 令和元年 (2019 年 )9 月 30 日 ~ 輸出減少が継続 インバウンド消費はプラスの伸びを維持 ~ 足元の経済情勢と当面の見通し 関西経済は輸出 生産が斑模様であるが 内需が下支えとなり底堅く推移している 企業部門では 輸出は中国経済の減速等によ

第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

1. 総論 総括判断 都内経済は 回復している 項目前回 ( 1 月判断 ) 今回 (3 年 1 月判断 ) 前回比較 総括判断回復している 回復している ( 注 )3 年 1 月判断は 前回 1 月判断以降 1 月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判断している ( 判断の要点 ) 個人消費

2911金融経済概観

( 平成 31 年 1 月判断 ) 平成 31 年 1 月 財務省北陸財務局 富山財務事務所 富山市丸の内 1 丁目 5 番 13 号 ( 富山丸の内合同庁舎 5 階 ) TEL(076) ( 財務課直通 )

統計から見た三重県のスポーツ施設と県民のスポーツ行動

1. 総論 総括判断 県内経済は 緩やかに回復しつつある 項目前回 (3 年 4 月判断 ) 今回 (3 年 7 月判断 ) 前回比較 総括判断緩やかに回復しつつある 緩やかに回復しつつある ( 注 )3 年 7 月判断は 前回 4 月判断以降 足下 (7 月末 ) の状況までを含めた期間で判断して

金融経済概観2909

実体経済 物価 (1) 現状判断 関連統計の動き 生産 輸出 増加している 増加している 鉱工業生産は 4~6 月に続き 7~9 月も前期比増加した後 10 月は小幅ながら前月比減少した 業種別にみると 輸送機械は 自動車部品を中心に緩やかに増加している 電子部品 デバイス はん用 生産用機械 (

(2) 住宅投資 住宅投資は 横ばい圏内で推移している 新設住宅着工戸数の内訳をみると 持家は 増加に転じてきている 貸家 や分譲は 水準を切り下げている (3) 設備投資設備投資は 受注や収益の好調を背景に水準を切り上げている 建設投資の先行指標である建築着工床面積 ( 非居住用 ) は 振れがあ

グラフで見る関西経済

<4D F736F F D20819A819A8DC58F49835A C C8E816A2E646F63>

2907金融経済概観


3003金融経済概観

管内 ( 東北 6 県 ) の経済動向 平成 27 年 1 月 15 日 < 管内の経済動向 > ~26 年 11 月の経済指標を中心として ~ 全体の動向 : 緩やかな持ち直し傾向にあるものの 一部に弱い動きがみられる 鉱工業生産 : 生産は一進一退で推移している 個人消費 : 持ち直し傾向にある

2 10 大費目指数の動き 平成 29 年の10 大費目指数の動きを寄与度でみると, 光熱 水道 は他の光熱( 灯油 ) や電気代の値上がりなどにより 0.26, 食料 は生鮮魚介, 酒類の値上がりなどにより0.23となり, この2 費目合計で0.49と, 総合指数ののび率 (0.6%) のうち約

平成28年平均 山形市消費者物価指数

ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

東京都の経済情勢報告 平成 31 年 1 月 30 日 財務省関東財務局 東京財務事務所 掲載した経済指標等については速報値を含む

2018年夏のボーナス見通し

最近の県内経済情勢は 回復しつつある 前回 (30 年 4 判断 ) 前回比較 今回 (30 年 7 判断 ) 総括判断回復しつつある 回復しつつある 総括判断の要点 個人消費は 百貨店 スーパーで底堅いものとなっており コンビニエンスストアで堅調となっているほか ドラッグストア販売で前年を上回って

九経マンスリー ( 平成 3 年 2 月 ) 平成 3 年 4 月 12 日経済産業局 今月の管内経済動向 : 地域の経済は 緩やかに改善している 生産は横ばい傾向 輸出は 2 か月連続のマイナス 個人消費は持ち直している 雇用情勢は改善している 国内需要や海外経済の動向などを引き続き注視する必要が

kd2017txHP

Microsoft Word - kd2018txHP

Microsoft Word - H19本文0521PDF.doc

2017年夏のボーナス見通し

2809金融経済概観

月例経済報告

2014~2016年度 東海経済見通し

月例経済報告

中小企業の動向

1. 総論 総括判断 県内経済は 平成 7 月豪雨の影響を受けたものの 全体では緩やかに回復している 項目前回 ( 平成 7 月判断 ) 今回 ( 平成 1 月判断 ) 総括判断 平成 7 月豪雨前は 緩やかに回復していたが 現時点では まずは豪雨による地域への影響全体について十分に把握する必要があ

2 自動車登録台数 ( 台 ) 2,, 図 2 消費税導入 税率引き上げ時における自動車登録台数 ( 三重県 ) の推移 景気後退期, 6, 物品税の廃止による反動増 駆け込み需要 反動減 4, アジア通貨危機平成 9 年 5 月 ~ リーマンショック 2, 平成 9 年 月金融危機 ( 三洋 拓銀

< 判断の推移 > 前月今月期間 総括判断改善 22 か月 生産高水準で推移 13 か月 個人消費持ち直し 5 か月 設備投資増加 9 か月 公共投資一服感増加の動き ( ) 1 か月 住宅投資一進一退の動き 7 か月 貿易輸出 輸入とも前年を上回る - 雇 用 着実に改善しており 労働需給の引き締

< 判断の推移 > 前月今月期間 総括判断 一部に弱い動きがみられるものの 緩やかに改善 緩やかに改善 ( ) 1 か月 ( 上方修正は 7 か月ぶり ) 生産緩やかな上昇傾向 ( ) 2 か月 個人消費足踏み状態 緩やかな持ち直しの動き ( ) 1 か月 ( 上方修正は 18 か月ぶり ) 設備投

Ⅰ平成15年平均高知市消費者物価指数の概況

A_306819_表紙_4C_200

1. 総論 総括判断 県内経済は 平成 28 年 (216 年 ) 熊本地震の影響が一部に残るものの 緩やかに回復している 項目前回 (29 年 1 月判断 ) 今回 (3 年 1 月判断 ) 総括判断 平成 28 年 (216 年 ) 熊本地震の影響が一部に残るものの 緩やかに回復している 平成

<8A C52E786C7378>

Microsoft Word - kd2015txHP

不動産経済 表紙OL

個人消費 ( やや良い ) スーパー 百貨店売高 スーパー売高は 全店ベースで前年同期を 年 月期の個人消費関連 は スーパー売高が 全店ベース ( 前年同期比.% 増 ) は 新規出 回り 既存店ベースは 前年同期を下回る 百貨店売高は前年同期を回る 店効果などにより 前年同期を回 りました 品目

九経マンスリー ( 平成 29 年 11 月 ) 平成 3 年 1 月 16 日経済産業局 今月の管内経済動向 : 地域の経済は 緩やかに改善している 生産は横ばい傾向 輸出は13 か月連続のプラス 個人消費は持ち直している 雇用情勢は改善している 国内需要や海外経済の動向などを引き続き注視する必要

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

1 概 況

< 判断の推移 > 前月今月期間 総括判断改善 18 か月 生産高水準で推移 9 か月 個人消費緩やかに持ち直し 持ち直し ( ) 1 か月 ( 上方修正は 1 か月ぶり ) 設備投資増加 5 か月 公共投資持ち直しの動き 堅調 ( ) 1 か月 ( 上方修正は 7 か月ぶり ) 住宅投資一進一退の

物価の動向 輸入物価は 2 年に入り 為替レートの円安方向への動きがあったものの 原油や石炭 等の国際価格が下落したことなどから横ばいとなった後 2 年 1 月期をピークとし て下落している このような輸入物価の動きもあり 緩やかに上昇していた国内企業物価は 2 年 1 月期より下落した 年平均でみ

各商品の動きについて 新規出店を含めた全店ベースの前年比でみると 衣料品の減少と飲食料品の増加がここ数年のトレンドとして定着しており 7 年も衣料品は減少し 飲食料品は増加した 衣料品が減少傾向にあるのは 販売形態の多様化により 購入先として衣料品専門店や通販 インターネットショッピングなどの選択肢

< 判断の推移 > 前月今月期間 総括判断改善 2 か月 生産高水準で推移 11 か月 個人消費持ち直し 3 か月 設備投資増加 7 か月 公共投資堅調 一服感 ( ) 1 か月 ( 下方修正は 14 か月ぶり ) 住宅投資一進一退の動き 5 か月 貿 易 輸出は前年を下回り 輸入は前年を上回る 輸

大阪経済の情勢(本文)

米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

1. 総論 総括判断 県内経済は 回復しつつある 項目前回 (29 年 1 月判断 ) 今回 (3 年 1 月判断 ) 前回比較 総括判断緩やかに回復しつつある 回復しつつある ( 注 )3 年 1 月判断は 前回 29 年 1 月判断以降 3 年 1 月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判

Economic Indicators   定例経済指標レポート

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

CW6_A3657D14.indd

第1章

個人消費の回復を後押しする政策以外の要因~所得の減少に歯止め、節約志向も一段落

4月CPI~物価は横ばいの推移 耐久財の特殊要因を背景に、市場予想を上回る3 ヶ月連続の上昇

平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

月別の売上でみると 百貨店については 夏物衣料が好調だった 7 月と一部店舗で閉店セールを行った 9 月を除いて前年同月を下回っています 一方 スーパーについては 台風の影響があった 8 月を除いて 前年同月を上回っています 1,2 1-3 平成 28 年百貨店 スーパー販売額合計 ( 北海道 :

雇用の現状_季刊版2014年夏号

1. 総論 総括判断 県内経済は 緩やかに回復している 項目前回 (3 年 1 月判断 ) 今回 (3 年 4 月判断 ) 総括判断 平成 28 年 (216 年 ) 熊本地震の影響が一部に残るものの 緩やかに回復している 緩やかに回復している 前回比較 ( 注 )3 年 4 月判断は 前回 1 月

令和元年 7 月 22 日 北陸地域の総合経済動向 ~ 一部に弱い動きがみられるものの 改善している ~ 経済概況 令和元年 5 月指標を中心として 鉱工業生産指数は 高水準で推移しているものの 一部に弱い動きがみられる 個人消費は 持ち直している 設備投資は 高水準で横ばいとなっている 住宅投資は

消費者物価指数における新指数の公表開始及び公表資料の掲載内容の見直しについて

< 日本経済の基調判断 > < 現状 > 景気は 緩やかな回復基調が続いている < 先行き > 先行きについては 雇用 所得環境の改善が続くなかで 各種政策の効果もあって 緩やかに回復していくことが期待される ただし 海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある 1

(3) 消費支出は実質 5.3% の増加消費支出は1か月平均 3 万 1,276 円で前年に比べ名目 6.7% の増加 実質 5.3% の増加となった ( 統計表第 1 表 ) 最近の動きを実質でみると 平成 2 年は 16.2% の増加となった 25 年は 7.% の減少 26 年は 3.7% の

<8A C52E786C7378>

2015年基準 消費者物価指数 全国 平成30年(2018年)9月分

高値となった後 下がり始めた 前述の通り CI 一致指数は 生産や雇用など様々な経済指標を統合し算出されている そのため CI 一致指数の上昇 下降にどの指標 が寄与しているのかについても 内閣府は詳細に発表している 表 1は 各指標がCI 一致指数に対してプラスに寄与したのか マイナスに寄与したの

2016年冬のボーナス見通し

管内 ( 東北 6 県 ) の経済動向 平成 28 年 8 月 12 日 < 管内の経済動向 > ~28 年 6 月の経済指標を中心として ~ 全体の動向 : 一部に弱い動きがみられるものの 緩やかに持ち直している 鉱工業生産 : 生産は一進一退となっている 個住 人宅 消着 費 : 個人消費は足踏

[000]目次.indd

2015年基準 消費者物価指数 東京都区部 平成30年(2018年)11月分(中旬速報値)

< 判断の推移 > 前月今月期間 総括判断改善 17 か月 生産高水準で推移 8 か月 個人消費緩やかに持ち直し 1 か月 設備投資増加 4 か月 公共投資持ち直しの動き 7 か月 住宅投資一進一退の動き 2 か月 貿 易輸出 輸入ともに前年を上回る 輸出は前年を下回り 輸入は前年を上回 る - 雇

県内経済は 緩やかに持ち直している なお 足下では 自動車向けなどの受注の増加や消費者マインドの改善の声が聞かれるなど 引き続き緩やかに持ち直している 総括判断 前回 ( 7-9 月 ) 持ち直しつつある 今回 ( 1-12 月 ) 緩やかに持ち直している 前回比較 足下の動き自動車向けなどの受注の

平成10年7月8日

1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(5月号)~輸出は好調も、旧正月の影響を均せば増勢鈍化

不動産経済 表紙OL

2015年基準 消費者物価指数 全国 2019年(平成31年)3月分及び2018年度(平成30年度)平均

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /1 年 7~9 月期の近畿圏市場 1. 中古マンション市場の動き 成約価格は前年比で 3 期連続上昇 1 年 7~9 月期の近畿レインズへの成約報告件数は,9 件と 前年同期比で 1.% 増加した (P1 図表 1) 新規登録件数は 15

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

< 判断の推移 > 前月今月期間 総括判断改善 16 か月 生産高水準で推移 7 か月 個人消費緩やかに持ち直し 9 か月 設備投資増加 3 か月 公共投資持ち直しの動き 6 か月 住宅投資弱含み 一進一退の動き ( ) 1 か月 ( 上方修正は 34 か月ぶり ) 貿易輸出 輸入ともに前年を上回る

Monthly San-in Economy グラフでみる経済動向 1. 公共投資 2. 設備投資 持ち直しの動きが弱まる 公共工事請負額 ( 対前年比 ) 全産業で前年度を上回る計画 設備投資額 ( 対前年度比 ) 年度実績 18 年度計画 ( 単位 :%) 全国 18 年度計画 全

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

Microsoft Word - jp1309(インターネット用).docx

資料1

<955C8E865F E A2E706466>

【No

(Taro-\222\262\215\270\225[.A4\207B.jtd)

経済情報:日銀短観(2011年6月)の結果について.doc

Transcription:

関西の景気動向 13 年 月株式会社日本総合研究所調査部関西経済研究センター http://www.jri.co.jp/report/medium/publication/kansai/ 1. 景気の現状関西の景気は 持ち直している 輸出は 円安が進み 米国経済も回復基調をたどるなど 環境が好転しているなかで下げ止まっている 企業部門においては 収益の大幅改善が見込まれる もっとも 設備投資の増勢に勢いはなく 雇用に関しても企業の慎重な態度が続いている 家計部門においては 雇用 所得環境の改善がきわめて緩慢であるものの 株価の大幅上昇もあって個人消費は底堅く推移している このなかで 鉱工業生産は持ち直しの動きがみられる 今後については 円安に伴う企業の競争力の強化や米国経済の回復のもとで輸出の増加傾向が続くことに加えて 政府の大型予算編成により公共投資が大幅に増加することなどから 景気は明確な回復過程をたどると見込まれる 2. 個別指標の動き (1) 生産 輸出動向 13 年 1~3 月期の輸出額は前期比 3.3% 増 4 月は前月比 1.2% 減となった ( 前期比 前月比は日本総合研究所試算 1~3 月期の前年同期比は.2% 減 4 月は前年同月比 4.1% 増 ) 地域別にみると 中国向け ( 香港向けを含む ) の回復は緩慢にとどまっているが 米国向け 中国を除くアジア向けが堅調に推移している もっとも このところの円安により輸出金額が押し上げられており 輸出数量を試算すると ( 財務省貿易統計の貿易指数により日本総合研究所試算 ) 地域別輸出額の推移 ( 円ベース, 季節調整値 ) 鉱工業生産指数の推移 ( 季節調整値 ) (7 年 =) 1 輸出総額対アメリカ ( 年 =) 対中国 ( 含む香港 ) 対アジア ( 除く中国 香港 ) 11 対 EU 9 8 関西 全国 ( 資料 ) 大阪税関 近畿圏貿易概況 ( 注 )13 年 4~6 月期は4 月の値 季節調整は日本総合研究所による 7 ( 資料 ) 近畿経済産業局 鉱工業生産動向 1

1~3 月期は前期比 2.8% 減と8 四半期続いて前期比マイナスとなっている このように輸出は数量ベースでは金額ベースでみるほどには増勢が強くはないが 内需の底堅さもあり 1~3 月期の鉱工業生産は前期比 2.% 増 ( 前年同期比.% 減 ) と増産に転じた 業種別には 電子部品 デバイス工業が大きく減少したが ( 前期比 13.4% 減 ) 輸送用機械( 同.7% 増 ) や一般機械工業 ( 同 4.% 増 ) が堅調であった (2) 企業収益 設備投資動向日本銀行大阪支店 短観 (13 年 3 月調査 全産業 全規模 ) によると 13 年度経常利益は前年度比 33.2% 増の計画と 企業は大幅な増益を見込んでいる 一方で 同じ調査の 13 年度設備投資計画は前年度比 1.4% 減であった 短観の年度初計画は低めとなりがちであるものの 企業収益の大幅回復を見込む割りには設備投資計画は低水準にとどまっている このことから企業は設備投資の拡大には依然として慎重であるとみられる (7 年度 =) 関西企業の経常利益修正状況 (7 年度 =) 関西企業の設備投資計画修正状況 7 ( 年度 ) ( 資料 ) 日本銀行大阪支店 短観 をもとに日本総合研究所作成 7 ( 資料 ) 日本銀行大阪支店 短観 をもとに日本総合研究所作成 ( 注 ) 含む土地投資額 ( 年度 ) (3) 雇用 所得動向 13 年 1~3 月期の有効求人倍率 ( 季節調整値 ) は.81 倍と前期より.4 ポイント改善し 日銀短観 3 月調査における雇用判断 DIも前回調査より改善した (12 年 12 月調査 +3 13 年 3 月調査 +1 プラスは 過剰 超を表す) このように労働力需給は引き締まる方向にあるが 労働力調査をみると雇用者数 ( 季節調整値 日本総合研究所による試算値 ) は伸び悩んでおり 労働市場の改善が必ずしも雇用に結びついていないことがうかがえる 1~3 月期の完全失業率 ( 季節調整値 ) は.% と 前期 (~12 月期 4.8%) に比べて僅かながら悪化した 2

( 倍 ) 1..8.6.4.2..2 (DI).4 失業率と有効求人倍率の推移 所得についてみると 各府県 毎月勤労統計 調査 から計算した現金給与総額 ( 一人当たり 名目賃金 全産業 京都府 大阪府 兵庫県 の常用雇用者数で加重平均をとったもの ) は 1~2 月では前年同期比.7% 減と伸び悩んで おり 雇用者所得 ( 現金給与総額 雇用者数 ) は同.3% 減にとどまった 雇用 所得の改善ペースはきわめて鈍いと判 断される 有効求人倍率 ( 季節調整値 左目盛 ) 完全失業率 ( 季節調整値 右目盛 ) 日銀短観雇用判断 DI ( 左目盛 ) 9 8 7 ( 資料 ) 総務省 労働力調査 厚生労働省 一般職業紹介状況 日本銀行大阪支店 短観 ( 注 )DI は 過剰 - 不足 回答社数構成比 プラスは 過剰 超を示す 6 4 (7 年 =) 総実労働時間 ( 産業計 左目盛 ) ( 資料 ) 総務省 労働力調査 京都府 大阪府 兵庫県 毎月勤労統計調査 ( 注 ) 労働時間は 13 年 1~3 月期は 1~2 月の値 各府県の指数を常用雇用者数で加重平均して算出 雇用者数は日本総合研究所による季節調整値 4 2 2 4 6 8 雇用者数と労働時間の推移 ( 季調済 ) 所定外労働時間 ( 産業計 左目盛 ) 雇用者数 ( 右目盛 ) 雇用者所得の動向 ( 前年同期比 ) 現金給与総額 雇用者所得 雇用者数 ( 万人 ) ( 資料 ) 総務省 労働力調査 各府県 毎月勤労統計調査 ( 注 1) 雇用者所得 = 現金給与総額 雇用者数 ( 注 2) 雇用者所得の算出に用いた賃金指数は京都府 大阪府 兵庫県の3 府県のデータ ( 注 3)13 年 1~3 月期は1~2 月の値 8 8 8 8 (4) 消費動向 13 年 1~3 月期の勤労者世帯実質消費支出は前年同期比 4.1% 増であった 販売側統計を見ると1~3 月期のコンビニエンスストア販売額 ( 全店ベース ) は同 2.% 増であったが 大型小売販売額 ( 全店ベース ) は前年同期比.2% 減 ( 内訳は スーパー同 2.1% 減 百貨店同 2.7% 増 ) にとどまった 乗用車販売台数は1~3 月期は前年同期比.3% 減と エコカー補助金打ち切り後の 9 月以降前年比マイナスが続いている ただし 反動減のインパクトは前回のエコカー補助金終了 ( 年 9 月 ) 後ほど大きくない 3 月の消費者態度指数 ( 季節調整済 ) は 12 年 12 月と比べて目立って改善した 3

このように 個々の個人消費関連の指標には強弱があるが 所得環境の改善がはかばかしくな い割りには底堅さがあり 総じてみれば横ばい圏内で推移していると判断される 実質消費支出 ( 前年同期比 ) と消費者態度指数の推移 ( 指数 ) 1 消費者態度指数 ( 右目盛 ) 1 業態別小売販売額と乗用車販売台数の動向 ( 前年同期比 ) 百貨店販売額 ( 全店 左目盛 ) スーパー販売額 ( 全店 左目盛 ) コンビニエンスストア販売額 ( 全店 左目盛 ) 乗用車販売台数 ( 右目盛 ) 実質消費支出 ( 左目盛 ) ( 資料 ) 総務省 家計調査 消費者物価指数月報 消費動向調査 ( 注 ) 実質消費支出は勤労者世帯 閏年 (8 年 12 年 ) は 食料と光熱 水道の支出を日数による調整後 1 ( 資料 ) 近畿経済産業局 大型小売店販売状況 近畿経済の動向 ( 注 ) 小売販売額 乗用車販売台数ともに福井県を含む2 府 県の値 () 住宅 公共投資動向 13 年 1~3 月期の新設住宅着工戸数は前年同期比.% と前年並みにとどまった 利用関係別にみると 分譲マンション ( 前年同期比.2% 減 ) が大幅減となったが 持家 ( 同 7.% 増 ) 貸家 ( 同 1.% 増 ) が堅調に推移した 公共工事請負金額をみると 1~3 月期は前年同期比 8.3% 減 4 月は前年同月比.7% 減であったが 先行きについては政府の経済対策により増加基調に転じるものと見込まれる 新設住宅着工戸数 ( 前年同期比 ) 新設住宅着工戸数総数 ( 左目盛 ) 持家 ( 左目盛 ) 1 貸家 ( 左目盛 ) 分譲マンション ( 右目盛 ) 1 ( 資料 ) 国土交通省 建築着工統計調査報告 公共工事請負金額 ( 前年同期比 ) ( 資料 ) 西日本建設業保証 ( 株 ) 他 公共工事前払金保証統計 ( 注 )13 年 4~6 月期は 4 月の値 4

トピックス消費者物価指数の動向 大阪市消費者物価指数の推移をみると 総 合指数は 12 年 2 月の 98.6 を底に 3 月は 98.8 4 月は 99. と 12 年 月以降の下 落傾向に歯止めがかかっている 変動幅の大 きい生鮮食品を除く総合指数でみても 2 月 は 98.8 3 月は 99.1 4 月は 99.3 と上昇し ている しかし 足元の上昇は 円安に伴うガソリ ンや電気 ガス料金の値上げに加えて 衣料 品価格の季節初めの高値という一時的な要 因が大きい 被服及び履物 の指数は過去 年間の平均でみると 月から 8 月にかけて前月比マイナスに転じることから 足元の上昇傾向 はこの点を差し引いてみる必要がある 詳細にみれば 円安に伴うコスト高から食料品の一部に 値上げの動きがみられ 総務省小売物価統計調査により品目別 ( 大阪市 直近の公表値は 3 月分 ) の動向をみると 食パンやみそは 2 月 3 月と前月比プラスで推移している ただし 大阪市消 費者物価指数で公表されている食料品全体 ( 生鮮食品を除く ) でみれば 2 月は前月比プラスだ ったが 3 月と 4 月は前月比マイナスであり 上昇傾向が定着しているわけではない 月に電気料金が大幅に引き上げられたことや ( 電力料金の % 程度の値上げは消費者物価指 数を.4% ポイント引き上げ ) 円安による原燃料価格上昇に伴い相応の値上げが生じる可能性も ある しかし 日銀大阪支店 短観 では仕入価格 DI の上昇に比べて販売価格 DI の上昇は抑 制されていることから コスト高は卸売段階で吸収される部分が大きいとみられ 当面 物価が 幅広く上昇する可能性は低いと判断される ( 年 =).. 99. 99. 消費者物価指数の動向 総合生鮮食品を除く総合 98. 11 12 13 ( 年 / 月 ) ( 資料 ) 大阪府 大阪市消費者物価指数 大阪市消費者物価指数 大費目等の推移 ( 前月比および前月比寄与度 ) 前月比 寄与度 13 年 13 年 2 月 3 月 4 月 2 月 3 月 4 月 総合.4.2.2.4.2.2 食料.9..2.3.1.1 生鮮食品を除く食料.1.1.1... 食パン 1.3.9 - - - - みそ 2.6.6 - - - - 外食...... 住居..1.2... 光熱 水道.6. 1....1 家具 家事用品.6. 1.2... 家庭用耐久財.7. 1.7... 被服及び履物.1 4.4 2.7..2.1 保健医療.3..3... 交通 通信.2.4.4... 教育.1..... 教養娯楽.7.8.4.1.1. 教養娯楽用耐久財 4.1 7.4...1. 諸雑費.2..2... ( 資料 ) 大阪府 大阪市消費者物価指数 総務省 小売物価統計調査 ( 注 ) 食パンとみそは小売価格による比較 価格判断 DI( 大企業製造業 上昇 - 下落 ) の推移 (DI) 仕入価格 販売価格 11 12 13 ( 資料 ) 日本銀行大阪支店 短観

3. 関西の主要経済指標 実質家計消費支出大型小売店販売額有効求人倍率完全失業率 鉱工業生産指数 関西 全国 関西 全国 関西 全国 関西 全国 関西 全国 11 年.4 2.7.3.9.63.6. 4.6 1.7 2.3 12 年 1. 1.6.6..74..1 4.3 3..3 12/ 4~6 月 3.3 2.4 2..7.74..2 4.6 3..3 7~9 月 2.2 1. 2.1 1.6.76.81 4.8 4.3 4.3 4.6 ~12 月.6 1.6...77.82 4.7 4. 2.8.9 13/ 1~3 月 4.1 4.9.2.8.81.8. 4.3. 7.7 12/ 3 月 1.2 4.3 1.2 6.1.71.76.7 4.7 4.8 14.2 4 月 2.1 3.8 1..1.73.79.9 4.8 1.8 12.9 月 6.8.9 1.3.1.74.. 4. 1.6 6. 6 月.4 2. 3.2 2.2.7.81 4.7 4.4 6.9 1. 7 月 11.4 1. 4.2 4..76.81 4.9 4.4.7.8 8 月 2.8.9.2..77.81 4.9 4.2 4.7 4.6 9 月 2..6 1.4.2.76.81 4.7 4.2 2.7 8.1 月 1.4.7 2.3 2.4.76.81 4.8 4.1 1.3 4. 11 月 1. 1.8 2.1 1.6.77.82 4.8 4. 3.7. 12 月 1.7 2.2 1..7.77.83 4. 4. 3.3 7.9 13/ 1 月 1.8 4.1 2.4 2.9..8.1 4.2 1.9.8 2 月.9 2.7 2.7 2.9.81.8. 4.2 9.3. 3 月 11.2 7.6 4. 3..83.86 4.9 4.3 3.4 6.7 建築着工床面積 新設住宅着工戸数 公共工事請負金額 輸出額 輸入額 関西 全国 関西 全国 関西 全国 関西 全国 関西 全国 11 年 1. 6.2.3 2.6 11.8 3.4 1. 2.7 1.9 12.1 12 年 3. 7.2.2.8 1.7 14.3 6.8 2.7 2.3 3.8 12/ 4~6 月 6..9 18. 6.2 21. 1. 7.9 4.8 2.1. 7~9 月 1. 9.1 4.2 1.1 8. 13.3 7.2 8.2.3.3 ~12 月 22.8 1. 2.3 1..3 17.7 3.7. 1.. 13/ 1~3 月 1. 17...1 8.3 6..2 1.2 6.6 8. 13/ 4 月 6..9 37.6.3 9.9.4 11.1 7.9 2. 8. 月 19.3.4 17.3 9.3.1 36.7 4.8. 6.1 9.3 6 月 6.8.6 1.3.2 21.6 14.1 7.3 2.3 2.4 2.2 7 月 4.9 1.9 12.7 9.6 13.2 26.6 9.8 8.1 1.2 2.3 8 月 29.1.3 1.. 18.7 19.2 8.2.8.8.2 9 月 41. 33.1 2.9 1. 2.9 1.9 3..3 1.1 4.2 月 24..6 12.2 2.2 34.4 28.2 4.8 6..2 1. 11 月 1.1 14.9 3.7.3 38. 6.2 3.9 4.1 2.8.9 12 月 42. 21. 1.8. 1.8 1.6 2..8.1 1.9 13/ 1 月 6. 2.8 6.9. 12.6 6.7 6.9 6.3 6. 7.1 2 月 13. 26.2 1. 3. 4. 4.8 8.7 2.9 12.6 12. 3 月 2.7 32. 6.2 7.3.4 11.7 2.2 1.1 2.3.6 4 月 - - - -.7 28.6 4.1 3.8. 9.4 ( 資料 ) 総務省 厚生労働省 国土交通省 近畿経済産業局 大阪税関 西日本建設業保証株式会社 ( 注 ) 関西は 2 府 4 県 ただし大型小売店販売額 鉱工業生産指数は福井県を含む 2 府 県 有効求人倍率 完全失業率を除き 前年比増減率 実質家計消費支出は 農林漁家を含む勤労者世帯 消費者物価指数は 年基準 完全失業率は原数値 大型小売店販売額は全店ベース 建築着工面積は民間非居住用 6