2016.4.24 平成 28 年 (2016 年 ) 熊本地震 緊急報告会 ~ 防災科学技術研究所この 1 週間の取り組み ~ 情報集約 共有による災害対応支援 国立研究開発法人防災科学技術研究所総合防災情報センター臼田裕一郎 1 総合防災情報センターの 1 週間 1. 災害対応のための情報を迅速に集約 提供» 防災科研クライシスレスポンス (NIED-CRS)» 災害対応機関向け限定公開サイト 2. 各機関間での情報共有を仲介» SIP4 防災情報共有システム 3. 災害対応を支援する情報の作成 提供» インフォメーションプロダクツ構築チーム 4. 現地災害対策本部でのニーズ把握と情報提供» 防災科研 災害対応支援リエゾン 今回の取り組みは総合防災情報センターのみならず 社会防災システム研究部門及びレジリエント防災 減災研究推進センターを中心に 所内一体となって対応しています 2
1. 災害対応のための情報を迅速に集約 提供 防災科研クライシスレスポンス (NIED-CRS) 3 防災科研クライシスレスポンス サイトの構築 公開 (4/14 23:31~) 防災科研による調査速報を発信するとともに この災害に関して Web 上で公開されている各種災害情報を網羅的に集約 整理するサイトを構築 公開 http://ecom-plat.jp/nied-cr/group.php?gid=10153 自然災害情報室熊本地震 で検索 4
トピックス的な内容をページ上部に表現 5 防災科研からの情報提供 6
国 省庁 自治体 NPO 等各種組織からの情報 7 情報量の推移 アクセス数 :79,317(4/24 8:30 時点 ) 第 1 報 (4/14 23:31) 第 9 報 (4/16 15:57) 第 10 報 (4/16 19:23) 第 17 報 (4/22 14:58) 収集 集約から整理のフェーズへ それでも増えていく情報 8
災害対応支援地図に掲載している情報 1 暫定版 SIP 地震被害推定システム 推定全壊棟数分布 (2016/04/16 01:25 頃地震 ) の情報を重ね合わせた地図 9 災害対応支援地図に掲載している情報 2 熊本県庁提供の道路交通規制状況の情報をもとに 防災科研が作成 10
災害対応支援地図に掲載している情報③ 国土地理院など 各種災害対応機関が公開している情報 被災地の空中 写真など も地図上で表示可能 11 災害対応機関向け限定サイトでの情報提供 アクセス集中回避と 未確定でも対応に役立つと思われる情報を災害対応 機関向け限定で迅速に提供 提供先 熊本県災害対策本部 南西レスキュー関係者 国交省 総務省 防衛省 厚労省 日本赤十字 DMAT関係者 画面は過去のもの 現在この図は一般公開 掲載データ 病院状況マップ 避難所状況マップ 等 12
2. 各機関間での情報共有を仲介 SIP4 防災情報共有システム 13 SIP( 戦略的イノベーション創造プログラム ) について 総合科学技術 イノベーション会議の司令塔機能強化の 3 本の矢 (1) 政府全体の科学技術関係予算の戦略的策定 (2)SIP ( 戦略的イノベーション創造プログラム ) SIP( 戦略的イノベーション創造プログラム ) (3) 革新的研究開発推進プログラム (ImPACT) 総合科学技術 イノベーション会議 (CSTI) が府省 分野の枠を超えて自ら予算配分して 基礎研究から出口 ( 実用化 事業化 ) までを見据え 規制 制度改革を含めた取組を推進 <SIPの特徴 > 社会的に不可欠で 日本の経済 産業競争力にとって重要な課題 (10 件 ) をCSTIが選定 府省 分野横断的な取組み 基礎研究から実用化 事業化までを見据えて一気通貫で研究開発を推進 規制 制度 特区 政府調達なども活用 国際標準化も意識 企業が研究成果を戦略的に活用しやすい知財システム < 実施体制 > 課題ごとにPD( プログラムディレクター ) を選定 PDは関係府省の縦割りを打破し 府省を横断する視点からプログラムを推進 ガバニングボード ( 構成員 : 総合科学技術 イノベーション会 ( 内閣府資料より作成 ) 議有識者議員 ) が評価 助言を行う
府省庁連携防災情報共有システム集約 自動変換処 SIP 防災 4 情報共有 利活用 の狙い B 省 各組織からの情報の自動入力 集約 データの統合処理 加工 各組織が利活用しやすい形式への自動変換出力 等 D 庁 観測 予測データをリアルタイム提供 D 庁のデータをトリガにリアルタイム被害推定処理を行い 結果を共有 自動変換 自動変換 - A 府 加工例 : 共通状況図 - - 通行不可 自動変換 + - 派遣可能ルート 各省庁 自治体から入っている被害状況を俯瞰的に全体把握 受け入れ不可 + 受け入れ不可 + 受け入れ可府省庁連携防災情報共有システム 自動変換 自動変換 地方公共団体 関係機関等 自動変換 共有情報に基づく避難情報発令 被害確定情報の入力 情報共有に基づく利活用技術 被害推定情報等を参考に 災害派遣医療チームの派遣を判断 E 省 C 省 派遣チームからの現場情報を集約 自動入力処理 観測 予測 被害推定情報をトリガに ため池決壊予測 氾濫域推定を行い 結果を共有 15 国 交通省 DiMAPS 港湾 鉄道施設被害情報国 交通省地理院地図正射画像気象業務 援センター 1kmメッシュ解析雨量 SIP 防災 5 被害推定システム地震被害推定 間企業等通行実績 SIP 防災 4 提供 自動変換処理熊本地震における災害情報共有フロー理熊本県 防災科研インフォメーションプロダクツ構築チーム 道路規制 避難所 防災科研災害対応支援リエゾン 厚 労働省 SIP 防災 4 災害時保険医療活動 援システム ( 構築中 ) 農林 産省 SIP 防災 4 ため池防災 援システム ( 構築中 ) 国 地理院 ( 現地災害対策本部で地図 援 ) 防災科研クライシスレスポンス 災害対応機関向け限定サイト 16
3. 災害対応を支援する情報の作成 提供 インフォメーションプロダクツ構築チーム 17 災害対応に役立つ情報を作り出す 1. 被害の概況を把握するための情報» リアルタイム被害推定情報» 利活用機関 DMAT 自衛隊 消防 2. 現場に向かう手段を把握するために必要な情報» 道路通行可否情報» 利活用機関 DMAT 自衛隊 物資輸送や救援 救助 支援関係 3. 被災者にどういう支援が必要かを把握するための情報» 避難所状況情報» 利活用機関 DPAT 保健士 通信業者 ボランティア 18
1 道路規制状況図の作成フロー 1. 熊本県道路都市局より 交通規制地点情報一覧表 と 交通規制箇所図 を提供 2. これをもとに 防災科研インフォメーションプロダクツ構築チームが電子地図化し クライシスレスポンスサイトより公開 3. 一日 2 回程度の更新頻度で常に最新の情報を提供 道路交通規制情報一覧表 道路交通規制箇所図 反映 災害対応支援地図 19 道路交通規制状況図の作成 道路交通規制情報一覧表 赤い記述部分が変更点 20
道路交通規制状況の作成 交通規制箇所図 21 道路交通規制状況の作成 変更点がある道路規制情報を地図上で更新 22
熊本県道路交通規制情報 熊本県庁提供の道路交通規制状況の情報をもとに 防災科研が作成 23 大分県道路交通規制情報 4/22 大分県提供の道路交通規制情報を災害対応支援地図 限定公開版含む で公開 24
2 避難所状況情報作成のフロー (4/21) 25 避難所情報の入力フォーマット (4/18 時点 ) 各市区町村向けに避難所情報を集約するフォーマットを作成» まずは必要情報だけを集約できるようなかたちで表現 避難所情報は国土数値情報より作成 開設している避難所が不明である 現在フォローしている避難所以外にも避難者がいる避難所があるので 確認を行いたい 調べる情報は避難者数と停電 断水 都市ガスの状況のみとし その他必要な情報は要望等に記入 26
避難所情報の集約における問題点 各自が集めた避難所情報に共通するフィールド項目がない 避難所情報を単純に突合することが困難 (= 集約化できない ) 国土数値情報より作成した避難所情報 熊本県庁で集約した避難所情報 ( 健康福祉課 ) DMAT が収集した情報から作成した EMIS の避難所情報 熊本市で集約した避難所情報 27 避難所情報の項目別比較にみる集約の困難さ データ数約 2,000 避難所名称 国土数値情報厚労省 EMIS 熊本県集約熊本市 約 600 (4/18) ( 調査分のみ ) 住所 開設状況 ( 調査分のみ ) 約 400 (4/19) ( 開設把握分 ) ( 一部なし ) ( 開設把握分 ) データ数や避難所名称がバラバラで 単純に情報を合わせることができない 住所情報も記入がないなど 場所の把握ができない すべての避難所情報を 1 つに集約して把握することは困難 共通の ID となるフィールド情報の必要性 ( 標準化 ) 約 260 (5 区合計 ) ( 開設把握分 ) ( 区で異なる ) ( 開設把握分 ) 避難者数 位置情報 ( 座標 ) 32
政府の現地災害対策本部にて掲示 (4/22) 35 4. 現地災害対策本部でのニーズ把握と情報提供 防災科研 災害対応支援リエゾン 36
熊本県災害対策本部の様子 (4/15) 37 熊本県災害対策本部会議の様子 (4/22) 38
政府現地災害対策本部の様子 (4/22) 39 益城町災害対策本部の様子 (4/17) 役場 自衛隊 警察 消防などの連携 40
防災科研災害対応支援リエゾンの役割 現地の災害対策本部でのニーズを察知し 情報集約や地図作成等を支援 41 政府現地対策本部関係者への説明 (4/20) 避難所分布や避難者数を示した地図を使いながら説明 42
政府現地対策本部 定例会議での発言 (4/22) 43 市災害対応担当者への説明 ( 阿蘇市 ) 44
総合防災情報センター 1 週間のまとめ 45 成果と課題 できたこと» 迅速な情報集約 発信 (NIED-CRS)» 迅速な組織間情報共有仲介 (SIP4 情報共有システム )» 各機関の活動に必要な情報プロダクトの作成 発信» 迅速なリエゾン派遣 (4/15~, 延べ13 名 ) 困難だったこと» 情報公開に必要なライセンス処理 内部利用のみ 閲覧のみ など 情報によって違いが発生» ビッグデータ 参加型情報の集約処理 公式情報の補完として定量的に活用したかったが» 新たな負荷発生の抑制 情報集約のための突合処理 ( あらかじめ標準化されていれば ) 国や県との調整 市町村との連携 必要性への理解 46
今後の計画 この災害の中でやるべきこと» 重複活動を防ぎ全体効率を上げる基盤情報の整備と提供 現在は 避難所情報に集中 ID 名称 位置情報の統一化 利活用機関での情報更新と集約の超効率化 情報共有の必要性への認知向上» 災害対応 復旧復興に有効なインフォメーションプロダクツ 次の災害までにやるべきこと» 各分野における作業手順の標準化 SOP: Standard Operating Procedure» 共有するべき情報とその項目の標準化 COP: Common Operational Picture» まず 防災科研から! 例 :NIED-CRS もあらかじめ構造化しておき 常に発信準備がされた状態で待機し いざ災害時には即時に発信 更新 47