まずは 1 おさらい 加齢性眼疾患研究 () は 米国連邦政府の国立衛生研究所のひとつである国立眼科研究所が 資金を提供して実施した大規模臨床試験です 目的 AMD と白内障の臨床経過 発症と危険因子の評価 AMD と視力損失の進行における 高用量の抗酸化剤と亜鉛の有用性を評価白内障と視力損失の発症と進行における 高用量の抗酸化剤の有用性を評価 デザイン大規模な多施設 無作為 前向き プラセボ対照 4757 名の被験者 55-80 歳 ( 平均年齢 69 歳 ) 5 年以上の観察研究 67% の被験者は Centrum ( ルテイン非含有 ) を服用 AMD ステージの 4 カテゴリーすべての被験者を対象 カテゴリー 1 (AMD なし ) (: Age-Related Eye Disease) 被験者対照群は AMD4 ステージのカテゴリー 1.2.3.4 のすべて ( 表 1) 2 または 3 個の小型のドルーゼンがあるか もしくはドルーゼンなし スタディー デザイン AMD 試験のみ n=128 両眼無水晶体 / 偽水晶体 プラセボ n=903 Research Group (2001). Arch Ophthalmol 119(10): 1417-36.. 抗酸化剤 + 亜鉛亜鉛のみ抗酸化剤 進行期の AMD に至るリスクを 25% 減少 失明のリスクを 19% 減少 抗酸化剤 n=945 結果 :AMD は栄養が関与する疾患 ** 推奨サプリメント処方 n=4757 AMD と白内障試験 n=3512 AMD 試験 n=3640 亜鉛 n=904 進行期の AMD に至るリスクを 21% 減少 失明のリスクを 11% 減少 白内障試験のみ n=1117 AMD なし 抗酸化剤 + 亜鉛 n=888 このスタディで病巣進展と視力低下の抑制が証明されたのは カテゴリー 3 と 4 の被験者であった ( 表 1) 進行期の AMD に至るリスクを 17% 減少 失明のリスクを 10% 減少 カテゴリー 2 ( 早期 AMD) カテゴリー 3 ( 中期 AMD) カテゴリー 4 ( 進行期 AMD) 片眼または両眼に 多数の小型のドルーゼンがあるか 少なくとも一つの中型 のドルーゼンがあるの 片眼または両眼に多数の中型のドルーゼンか 少なくとも一つの大型のドルーゼンがある 中心窩外に地図状萎縮病変があるとき あるいは片眼に進行した加齢黄斑変性か加齢黄斑変性による視力低下がある 1 日の栄養成分量 500 mgのビタミン C 400IU のビタミン E 15 mgのベータカロテン 80 mgの亜鉛 ( 酸化亜鉛として ) 2 mgの銅 ( 酸化第二銅として ) この 1 スタディが開始された当時は ルテインとゼアキサンチンが眼の健康に与える有効性を示唆する証拠は存在しましたが ルテインとゼアキサンチンが市販されていなかったため 処方には含まれませんでした
2 とは? 目的 FloraGLO ルテイン / ゼアキサンチンと DHA+EPA の併用または いずれか一種類を 処方に追加した場合 AMD の進行に至るリスクの高い患者に対しての進行に関する有効性の評価 処方から亜鉛の量を減らす場合 ベータカロテンを除いた場合または 亜鉛の量を減らしベータカロテンを除いた場合に オリジナルの 処方と同等の AMD 進行リスク低下を示すかを評価 デザイン 4203 名の被験者 55-80 歳 ( 平均 74 歳 ) AMD カテゴリー 3 と 4 の被験者 ( 表 1) 5 年以上の観察研究 (2006-2012) 82 医療施設 89% の被験者が Centrum Silver ( 0.275mg FloraGLO ルテイン含有 ) を服用 こんとコントロール n=1012 n=659 No n=19 n=1044 ß- カロテン削除 n=863 n=3036 DHA と EPA n=1068 と低亜鉛 n=689 n=1148 と n=1079 ß- カロテン削除と低亜鉛 n=825 こんとコントロール n=1012 n=659 No n=19 n=1044 ß- カロテン削除 n=863 主要解析 n=3036 DHA と EPA n=1068 と低亜鉛 n=689 n=1148 と n=1079 ß- カロテン削除と低亜鉛 n=825 2 Research Group. (2013) JAMA, In Press. JAMA のプレスリリースが重点を置いた点は この主要評価基準 主要評価基準 : FloraGLO ルテインとゼアキサンチン DHA+EPA またはそれら 2 種類を合わせて 処方に追加したことで 試験のコントロール群であるオリジナル 処方を摂取した被験者と比較し AMD の進行リスクがさらに 25% 低下するかどうかが検証されました (α=0.013) 結果 : この主要解析では 3 治療群とコントロール群との比較で AMD の進行に有意な低下は実証されませんでした 2 Research Group. (2013) JAMA, In Press.
ARED2 のサプリメント処方内容は? こんとコントロール n=1012 n=1044 主要解析 DHA と EPA n=1068 と n=1079 こんとコントロール n=1012 n=1044 副次解析 DHA と EPA n=1068 と n=1079 No n=19 n=3036 n=1148 非無作為 No n=19 n=3036 n=1148 非無作為 n=659 ß- カロテン削除 n=863 と低亜鉛 n=689 ß- カロテン削除と低亜鉛 n=825 n=659 1 ß-カロテン削除 n=863 2* 3 4* と低亜鉛 n=689 ß-カロテン削除と低亜鉛 n=825 2 Research Group. (2013) JAMA, In Press. 2 Research Group. (2013) JAMA, In Press. 主要解析での試験サプリメント処方内容 カロテノイド ( キサントフィル類 ) o FGLルテイン */ ゼアキサンチン (L/Z) 10mg/2mg 長鎖オメガ3 脂肪酸 o ドコサヘキサエン酸 (DHA) 350mg o エイコサペンタエン酸 (EPA) 650mg 1 処方サプリメントに追加する o いわゆる本当のプラセボ ( 乳糖など ) ではない * 喫煙者は ベータカロテンを除く処方で無作為化された 副次解析での試験サプリメント処方内容 ビタミンC ビタミン E -カロテン酸化亜鉛酸化銅 1 500 mg 400 IU 15 mg 80 mg 2 mg 2* 500 mg 400 IU 0 mg 80 mg 2 mg 3 500 mg 400 IU 15 mg 25 mg 2 mg 4* 500 mg 400 IU 0 mg 25 mg 2 mg
NEI とケミンが重点を置く副次解析の結果は? 主要 3 分析 NEI: 国立眼科研究所 主要有効性分析 FGL ルテイン / ゼアキサンチン含有 vs. FGL ルテイン / ゼアキサンチン非含有 プラセポ ( コントロール ) と プラセポ ( コントロール ) と この結果 FGL ルテイン / ゼアキサンチン FGL ルテイン / ゼアキサンチン + プラセポ ( 対照群 ) Favors Treatment Favors Placebo p=0.12 p=0.70 p=0.10 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 Hazard Ratio (98.7%CI) 処方 +FGL ルテイン / ゼアキサンチンでは オリジナル処方と比べ AMD の進行リスクを 10% 低下の主効果を示しました FGL ルテイン / ゼアキサンチン含有することで AMD の進行に至るリスクの高い被験者に 更に 10% のリスク軽減を示した 進行性 AMD: HR: 0.90 P=0.04 その他の危険率 (HR) では 有意差はなかった 2 Research Group. (2013) JAMA, In Press. しかし 次のスライドが重要
SMC WLHS CTS CLUE II CPSII CARET NHANES* MCCS BCDDP BWHS NHSII IWHS NLCS CNBSS PLCO AARP NHSb 2 NHSa WHS ルテイン / ゼアキサンチンの摂取量 (mcg) 2 の被験者のルテイン / ゼアキサンチン摂取状態が 一般の米国国民に比べて高かった! 栄養状態の高い 2 被験者たちルテイン / ゼアキサンチン (L/Z) の血清中濃度基準が NHANES(National Health and Nutrition Examination Survey: 米国全州健康栄養調査 ) よりも有意的に高かった 2 被験者のルテイン / ゼアキサンチンの一日の摂取量は 0.043 39.8 mg であった 3% の被験者が 自己の判断でルテイン / ゼアキサンチンを摂っていたと認めた ルテイン / ゼアキサンチンの 1 日の摂取平均量において NHANS を含む 19 の集団の被験者と 2 の被験者を比較すると 2 被験者の平均摂取量を超える試験は 僅かに 2 つであった 8 FGL ルテイン / ゼアキサンチン含有と FGL ルテイン / ゼアキサンチン非含有の比較 (L/Z) 含有により 26% AMD の進行に至るリスクを減少させた * o 第 1 五分位 ( 五分位の中で最低の部分 ): HR: 0.74 P<0.01 o 第 5 五分位 : 有意差なし 第 1 五分位被験者のルテイン / ゼアキサンチン摂取量は この被験者のなかでは 一般的な米国国民に近い摂取量です L/Z intake for lowest quintile is more representative of the general population o ルテイン / ゼアキサンチンの一日摂取量は 1-2mg/ 日 しかし米国の一般的国民のルテイン / ゼアキサンチンの食事由来の摂取量は 1 日あたり 1 mg未満です この試験で有用性が証明された 10 mgのルテインと 2mg のゼアキサンチン量よりもはるかに少ない量です 五分位における AMD の進行に至るリスクが高い人への有用性評価 7 6 5 4 3 2 1 0 * mean for ages 1. Johnson, E. J., et al. (2010) J Am Diet 10, 1357-1362. 2. National Health and Nutrition Examination Survey 2005-2006 3. 2 Research Group. (2013) JAMA, In Press. 4. Zhang, X, et al. (2012) Am J Clin Nutr 95, 713-725. L/Z 摂取量 五分位分類 Favors L/Z Favors No L/Z 低い 1 HR=0.74 p=0.01 2 3 4 高い 5 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.3 1.5 Hazard Ratio (95%CI) * 五分位分類とは? ルテイン / ゼアキサンチンの 1 日の摂取量を基に 5 つのグループに分類 5 つのグループの中で 最もルテイン / ゼアキサンチンの摂取量が低いグループを第 1 五分位と言う
ベータカロテンは必要ない! ** 処方 ( ベータカロテン含有 ) vs. 処方 ( ベータカロテン除く )+FGL ルテイン / ゼアキサンチン ベータカロテンを FGL ルテイン / ゼアキサンチンに置き換えることで AMD の進行に至る被験者のリスクを 18% 減少させた 進行性の AMD に至るリスク : HR: 0.82 P=0.02 ベータカロテンの安全性 β- カロテン (N = 1348) 肺がんにおける β- カロテンの主要効果 β- カロテンなし (N = 1341) P - value 23 件 (2.0%) 11 件 (0.9%) 0.04 β- カロテン含有 サプリメント摂取により 91% の喫煙経験者に肺がんのリスクが増加した ( 禁煙期間 > ランダム化以前の 1 年 ) ルテイン / ゼアキサンチンの安全性 * 喫煙者を含む分析 肺がんにおけるルテイン / ゼアキサンチンの主要効果 ルテイン / ゼアキサンチン (N = 2123) ルテイン / ゼアキサンチン非含有 (N = 2080) * 喫煙者を含む分析 P - value ** 処方 ( ベータカロテン含有 ) vs. 処方 ( ベータカロテン除く )+ FGL ルテイン / ゼアキサンチン ルテイン / ゼアキサンチン含有により 視力損失リスクが 16% 減少させた ルテイン / ゼアキサンチン含有により法的盲のリスクを 18% 減少させた 33 件 (1.5%) 31 件 (1.5%) 0.80 ルテイン / ゼアキサンチン含有 サプリメント摂取により 範囲眼のリスク増加には影響はなかった 62% の喫煙経験者 両群においてほぼ同じであった カロテノイドとルテインの競合吸収 JAMA の論文には 5 年目の血清中ルテイン濃度は ルテインとゼアキサンチンおよびベータカロテン含有 処方に無作為に割り付けられた被験者において ルテインとゼアキサンチンおよびベータカロテン非含有 処方に無作為に割り付けられた被験者よりも低かった (p=0.02) と記されています これらのデータは 以前のヒトと動物での研究で観察されたように ルテインとゼアキサンチンとベータカロテンの間で 吸収に関する競合があることを示唆しています この競合により AMD への進行に対するルテインとゼアキサンチンの有意な ( プラセボと比較して ) 効果に関し 試験結果の値が低下した可能性があります
2 結論! 主要解析 : ARED オリジナル処方の対照群と 3 治療群との比較では AMD の進行リスクの有意な低下は実証されませんでした この主要評価基準は オリジナルの 処方を摂取する被験者に関し 3 治療群の試験母集団における AMD の進行にリスクが さらに 25% 低下することを前提とするものです 3 治療群 : 処方 +FGL/ ゼアキサンチン 処方 +FGL/ ゼアキサンチン +, 処方 + 処方 +FGL ルテイン / ゼアキサンチンでは オリジナル処方と比べ AMD の進行リスクを 10% 低下の主効果を示しました 処方 + では AMD の進行のリスク低下への主効果を示しませんでした 亜鉛の必要性を実証するには このデータでは不十分でした 副次解析 : ルテインとゼアキサンチンの摂取量が低い被験者では ルテインとゼアキサンチン非含有と比べ 処方にルテインとゼ アキサンチンを追加することで AMD への進行を 26% 低下させました (HR は 0.74, P=0.01) 白内障に関するルテインとゼアキサンチンの有効性評価では 食事由来のルテインとゼアキサンチンの摂取量が第 1 五分位の被験者では 白内障手術への進行が 32% 葉 k 内相発祥が 30% 減少 重度の白内障に至る進行リスクが 36% 減少しました ベータカロテン vs. ルテイン / ゼアキサンチンベータカロテンを除いた 処方にルテイン / ゼアキサンチンを追加した処方と ベータカロテンを含む 処方を比較した結果 処方からベータカロテンを除きルテイン / ゼアキサンチンに置き換えた場合は AMD への進行を 18% 低下 (HR は 0.82, p=0.02) させ 統計的有意な結果が得られました
NEI 推奨 :2 処方の新提案 Discussion of 2 Study AMD 患者の 50% 以上が 喫煙者もしくは喫煙経験者である そのため肺がんの罹患リスクを低減させるため 処方からベータカロテンを除外し 処方の安全性を高める 喫煙歴のある人 ( 臨床試験開始までの 1 年以内に喫煙した被験者 ) が オリジナルの 処方に含まれるベータカロテンを摂取したとき 肺がんのリスクが上昇することが実証されました AMD 患者の約 50% に喫煙歴があります これらのデーは AMD 患者の半数で ベータカロテンを含む 処方を摂取した場合に 肺がんにかかるリスクが上昇する可能性を示唆しています ルテインとゼアキサンチンを含むサプリメンテーションには 肺がんのリスク上昇の危険性はありせん トータルなエビデンスを考慮し ルテイン / ゼアキサンチンは 処方においてベータカロテンの代替となる 最適なカロテノイドと示唆されました 2 処方 ビタミン C (500 mg) ビタミン E (400 IU) ベータカロテン (15 mg) 削除 ルテイン (10 mg)/ ゼアキサンチン (2 mg) 亜鉛 (80 mg 酸化亜鉛として ) 銅 (2 mg 酸化第二銅として ) 長鎖オメガ-3 脂肪酸 () 追加 追加の必要なし