プログラムを取り入れた指導事例 ( 小学校 6 年国語 ) 第 6 学年国語科学習指導案 パネルディスカッションにおいて相手の立場や意図をとらえながら話し合いをすることで, 主題に対す る考えを深めようとする姿 1. 単元名 根拠や理由を明らかにしながら互いの意見を出し合い, 考えを深めよう 教材名 パネルディスカッションをしよう ( 教育出版 6 年上 ) 2. 単元について (1) 単元の概要本単元は, 学習指導要領第 5 学年及び6 学年の A 話すこと 聞くこと の内容 イ目的や意図に応じて, 事柄が明確に伝わるように話の構成を工夫しながら, 場に応じた適切な言葉遣いで話すこと, エ話し手の意図をとらえながら聞き, 自分の意見と比べるなどして考えをまとめること, オ互いの立場や意図をはっきりさせながら, 計画的に話し合うこと を目標としたものである 5 学年の頃から 自分の意見を発表しよう と声掛けを続けてきたので, 学習中, 特に国語の学習では, ほとんどの児童が自分の意見を発表することができてはいる しかし, 自分の意見を発表できても, 他者と意見を交わすことで考えを深めたりまとめたりすることができる児童はほとんどいない 昨年度, 討論会を行い, ディベートのやり方を学習した 今年度は, 新たな話し合いの形としてパネルディスカッションを学習する 今回のパネルディスカッションでは司会, パネリスト, フロアそれぞれの役割をはっきりとさせ, 進め方を理解させ, それぞれの目標を達成させたい 司会者は, 意見を要約し相違点を示したり, 発言内容を補足したり, 質問をうまくつなげたりするなど, 討論会を発展させる パネリストは, 決められた時間内で自分の主張をはっきりと伝える フロアは, パネリストの話を聞きわからない点を質問したり, 他の人の意見を聞いて自分の考えと関連させながら話したりする それぞれの役割においてこれらの目標に向かって学習をすることを通して, 話し合いの内容を深めることができるように支援していきたい 5 年生では, 総合的な学習の時間において, 自分が興味をもった国について調べ, 伝えたいことをパワーポイントにまとめて発表した 6 年生になり, 児童の興味は徐々に広がり, 世界のニュースや様々な事柄も知るようになった そして,6 年生の総合的な学習の時間において, 水不足の国々のことを学習した 日々の水が容易には手に入れられず, 毎朝水汲みをしている子ども達の映像を見せ, 世界の水事情を調べた そして, 今回 水不足の国々のために自分たちにできることはないだろうか というテーマでパネルディスカッションを行う この話し合いのために児童は調べ学習を行い, 本やインターネットで様々な資料を用意している ここでは, 指導要領 P782 言語活動例イ 調べたことやまとめたことについて, 討論などをすること を学習する 小学校国語のまとめとして, 収集した知識や情報を関係付けながら, 自分の伝えたいことをしっかりと伝えることができる力をぜひ身につけさせたい
(2) 児童の実態 ( 省略 ) (3) 仮説との関連目的意識をもって伝え合うために, 表現の場を設定し, 支援の仕方を工夫していけば, 豊かに表現し, 伝え合う力を高めることができるだろう 場の設定 1 電子黒板を用いて資料を提示させることで, 発表の内容が聞き手に伝わりやすくなるようにする 2 論題について関連する本を学校図書館や図書館ネットワークを通して集め, すぐに手に取れる場を設ける また, 論題に関するサイトを紹介し,PCルームを有効に活用できるようにする 3JICA( 国際協力機構 ) の職員にパネリストの一人として参加していただく 専門家に参加していただくことで, 児童の意欲を高める 支援の工夫 1 司会者, パネリスト, フロアのそれぞれの役割と話し方, 聞き方を示したものを用意し, 話し合いがスムーズに行われるように支援する 2 聞き取りメモを用意し, それぞれのパネリストの意見の相違点に気づかせ, それらに対する自分の考えが明確になるようにする 生徒指導の機能との関連日々の学習の中で, 友達の意見に つなげて ( 関連付けて ) 話す ことを奨励していく 友達の意見につなげて話すためには, 友達の意見をよく聞かなければいけない そういった日々の積み重ねから, 友達の意見を尊重し合うことができるようにしていく 3. 単元の目標 論題について進んで調べたり, 話し合ったりしようとすることができる ( 国語への関心 意欲 態度 ) 事柄が明確に伝わるように話の構成を工夫しながら話すことができる ( 話すこと 聞くこと ) 話し手の意図をとらえ, 自分の意見と比べながら聞くことができる ( 話すこと 聞くこと ) 語感, 言葉の使い方に対する感覚について関心を持つことができる ( 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 ) 4. 単元の評価規準評価の項目国語への関心 意欲 態度話す 聞く能力 評価規準パネルディスカッションを通して, 論題に興味を持ち, 進んで調べ学習を行ったり, 話し合ったりしようとしている 事柄が明確に伝わるように構成を工夫して自分の考えを話している 話すこと 聞くことイ 事柄について話し手の意図をとらえながら聞き, 自分の意見と比べながら考えをまとめている 話すこと 聞くことエ
次主な学習活動と内容支援 ( ) と評価 ( ) 第一次言語についての知識 理解 技能 パネルディスカッションを通して, 互いの意図や立場を明確にし ながら考えを深め合っている 伝統的な言語文化に関する事項カ 5. 指導計画と支援 (12 時間扱い ) 1. 教科書の例示から, パネルディスカッ ションについてイメージをもつ (1 時間 ) これまでに児童が経験してきた話し合いとパネルディスカッションとの違いを児童が理解できるようにする 全員がパネリストとフロアを行うことを伝え, 見通しをもって学習することができるようにする 第 二 次 2. パネルディスカッションにおける話し合いの仕方と, パネリスト 司会者 フロア の役割について知る (1 時間 ) 教科書の例示を読み, パネルディスカッションの話し合い方と, 目的を確認する 3. 論題について自分の考えを書き, それをもとにグループに分かれ, 必要な資料や提示物を作成する (8 時間 + 総合的な学習の時間 ) 1 自分の考えを書く 2 グループに分かれ, 根拠となる資料を調べる 3 調べたことをもとに, 発表方法を考え, 発表用のメモを作成する 予想される意見募金をする, 自分たちが水を節約する, 温暖化を止める, 水を運ぶための道を整備する井戸の掘り方を教える等 予想される資料 論題 水不足の国々のために, 私たちにできることは何だろうか を提示する パネルディスカッションの進め方を板書する 司会者の役割を確認する パネルディスカッションの進め方や司会の役割などを理解している 意見を発表し, 話し合うことによって考えを深めていくことが学習のめあてであることを伝える これまでに経験してきた話し合いを想起し, パネルディスカッションとの違いを考えている 司書教諭の協力を得て, 図書資料やインターネットの関連サイトの情報を用意する 論題に対する児童の考えをもとに, 教師がグループを作る 自分の考えが明確になるよう構成を考えさせ, 発表メモを作成させる 予想される質問を考えさせ, それに対する答えを用意させる 司会者には, 個別に指導を行っておく 自分たちの考えが明確に伝わるよう, 話し方や資料の説明の仕方を指導する
模造紙, パワーポイント等 4 グループごとに発表の練習をする 5 リハーサルをし, 教師のアドバイスをもとに資料や発表の手直しをする 自分の考えを効果的に発表するために必要な資料 を集めたり, 作成したりしている 意欲的に発表練習に取り組んでいる 4. パネルディスカッションを行う (1 時間 ) 本時 1 パネリストの発表 2 パネリスト同士の意見交換, フロアの質問 意見 3 話し合いをもとにパネリストによるまとめの発言 4 司会者のまとめ 5. パネルディスカッションを振り返り自分の考えの変化や深まりをまとめる (1 時間 ) 司会者, パネリスト, フロアの役割を事前に決めておく ( グループで一人が代表でパネリスト, 残りの児童はフロア ) 第二回発言での質問や意見の参考になるようにフロアには聞き取りメモを用意し, 各パネリストの発表の要旨をメモさせる 計画通りに討論を進めている ( 司会者 ) 自分の立場や考えを明確にして話したり, 資料を用いたりして効果的に発表したりしている ( パネリスト ) 他のパネリストやフロアの質問や意見をもとに自分の考えを深めたり広げたりしている ( パネリスト ) メモを取りながら聞き, 質問や意見を述べている ( フロア ) それぞれのパネリストの意見を聞き, 自分の考えを深めたり広げたりしている ( フロア ) パネルディスカッションを通して論題に対し, 自分の考えがどう変容したかを文章にまとめる 考えが変わったり, 深まったりした理由を尋ね, 発表させる パネルディスカッションの良さや, 自分の考えの変化や深まりをまとめている 6. 本時の学習活動本時 (11/12) (1) 目標 それぞれの役割を果たしながら, 進んでパネルディスカッションに参加し, 論題について話したり, 聞いたりしようとする ( 国語への関心 意欲 態度 ) それぞれのパネリストやフロアの意見を聞き, 自分の考えを深めたり広げたりすることができる ( 話すこと 聞くこと )
(2) 展開時配 学習活動と予想される児童の反応 支援 ( ) と評価 ( ) 3 1. 本時のめあてを確認する 司会者, パネラー, フロアのめあてを確認す る 意見のちがいを大事にしながらパネルディスカッションを行い, 自分の考えを深めよう 35 7 2. パネルディスカッションをする (1) パネリストが意見を述べる (2) 司会者が要点をまとめて, フロアに伝える (3) パネリストどうしで意見のやりとりをする (4) フロアからの質問にパネリストが答え, クラス全員で話し合う (5) パネリストがまとめの発言をする (6) 司会者が話し合い全体をまとめる 司会者 話題になったことを, メモしてまとめ, 話し合いをスムーズに行うようにする それぞれの意見の相違点をはっきりさせる パネリスト 自分の考えを明確にして話したり, 資料を用いて効果的に発表したりする フロア 発表や提示資料でわからないことは, きちんと質問する 自分が調べたことと比べながら, 意見を言う パネリストの発言 ( 予定 ) 募金をする 自分たちが節水する 温暖化を止める 水を運ぶための道を整備する 井戸の掘り方を教える その他の技術を教える 3. 本時の話し合いのふりかえりを書き, 考えが変わったところ, 深まったところ等を発表する 話し合いがスムーズに進むよう, 司会は各パネリストの意見を事前に聞き, 司会原稿を作成しておく フロアからの質問が出て, それに答えることによって自分たちの考えを伝えるようにするため, パネリストは最初の発表ですべてを話してしまわないようにさせる パネリストの一人として, 実際にアフリカで活動した経験のある JICA の さんに参加していただくことで, より専門的な考えを話していただくと共に, 児童の意欲を高める 前の人の意見を受けながら, つなげて ( 関連付けて ) 話すようにさせる パネルディスカッション中には, 必要に応じて教師が助言する 自分が調べたことと比べながら, 質問したり意見を言ったりすることができるよう助言する それぞれの役割を果たしながら, 進んでパネルディスカッションに参加し, 論題について話したり, 聞いたりしている 自分の伝えたいことが明確に伝わるように話している 本時の学習のふりかえりを書かせ, 友達の考えを聞き, どのように自分の考えが変化したり深まったりしたかを発表させる 違った考えを聞くことで, 自分の考えを深めることができたか