日本の平和憲法と アメリカ 東アジア 川崎哲 NGOピースボート 共同代表 集団的自衛権問題研究会 代表

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あなたやあなたの子どもが 国外の戦争で殺し・殺される!? 安倍政権の戦争法案

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平和安全法制などの整備法整備の経緯 図表 Ⅱ 閣議決定 の概要と法制整備 閣議決定 の項目 概要 法制整備 警察や海上保安庁などの関係機関が それぞれの任務と権限に応じて緊密に協力して対応す 治安出動 海上 1 武力攻撃に 至らない るとの基本方針の下 対応能力を向上させ連携を強化するな

必要な自衛の措置をとるための実力組織としての自衛隊を保持する との憲法改正案に反対する決議 第 1 決議の趣旨当会は 必要な自衛の措置をとるための実力組織としての自衛隊を保持するとの憲法改正案については 憲法の基本原則の一つである恒久平和主義を著しく損なう危険性が大きいので 反対する 第 2 決議の

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三衆議院議員稲葉誠一君提出自衛隊の海外派兵 日米安保条約等の問題に関する質問に対する答弁書一について1 我が国が安全保障理事会の常任理事国となるためには 国連憲章の改正が必要であるが 安全保障理事会の常任理事国は 国連憲章の改正についても いわゆる拒否権を有しており 一般的にいつて 国連憲章の改正に

朝日 TV 2015/4/18-19 原発政策安倍内閣は 今後の電力供給のあり方について検討しているなかで 2030 年時点で 電力の 2 割程度を 原子力発電で賄う方針を示しています あなたは これを支持しますか 支持しませんか? 支持する 29% 支持しない 53% わからない 答えない 18%

議案第   号

掃海を挙げているが これを実質的に見れば (1) の 今まさにそこにある危機 というよりもむしろ (2) の日米同盟の強化の意味合いが大きい そのため 政権が武力行使の要件として示す 存立危機事態 には 実質上 日米同盟存立危機事態 の要素が入り込み それが 武力行使の限界の外縁を曖昧にしている 以

の方が違憲の問題を指摘しています ポイントは 我が国が 武力の行使をする際の要件として 相手国からの我が国に対する武力攻撃が必要条件か という点にあります この点について政府は 我が国に対する武力攻撃が無くても 我が国の存立が脅かされ他に方法が無いような場合 すなわち新三要件が満たされる場合には 限

グループ発表 PKO 賛成派平和のための PKO 2015/06/16 山上咲子 1.PKO( 国連平和維持活動 ) とは何か PKO は一般的に 国連の安全保障理事会の決議に基づいて 加盟国による特別な部隊を作り 紛争の起った地域に派遣して紛争の拡大 再発防止 停戦後の平和維持のために行う活動 と

奮戦

008 しかし 自衛隊が最初から広く国民に受け入れられる存在だったかというと 決してそうではなかった 創設時から憲法違反という批判も受けながら 戦後の平和主義の中で苦しみつつ成長してきたというのが実態である かつては自衛官という存在自体を否定的に考える風潮もあったのである たとえば ノーベル文学賞を

安倍戦争法の危険 1 安倍戦争法の実際の危険 2 さらに危険な段階に入った日本の軍国主義 3 戦争法阻止のために全力を

Security declaration

安全保障法制改定法案に対する意見書

安全保障会議 ( 現行 ) の概要 ( 構成 ) 委員長 : 内閣官房長官 委 安全保障会議 ( 構成 ) 議長 : 内閣総理大臣 事態対処専門委員会 内閣総理大臣の諮問に基づき 以下の事項を審議 国防の基本方針 防衛計画の大綱 対処基本方針 武力攻撃事態 / 周辺事態等への対処 / 自衛隊法第 3

2. 憲法九条と自衛隊 2-1. 自衛隊の存在原理憲法九条の条文を読み 書いてあるままを理解すれば自衛隊の違憲性は明白である これは小学生にもわかるはずである しかし 自衛隊という名の軍隊 戦力は現に存在し そのさまざまな活動を行っている 自衛隊の存在が許される根拠として 政府は 憲法九条は自衛権を

2 加わって海外で武力を行使したりしないこと)を大きく逸脱するものです 今年3月20 日に その法案化に向けての与党協議会での合意文書がまとめられ 4月17 日には全体像が提示されました これについて自民 公明両党からの強い異存は出なかったとされています 4月下旬での与党合意や日米防衛協力のための指

論点 ( ポイント ) それでは早速入りますが まずポイントですね 憲法に反するのか ということ 安全保障に関してどんな政策をとるかは 政治の判断することです 我々が選挙で選んだ政治家が判断する しかし 安倍さんだから何でも自由にできるという訳ではない 安倍さんの発言を聞いていますと国民の命を預かる

I. 集団的自衛権 A. 集団的自衛権とは集団的自衛権は 国際連合の成立の際に 初めて国際法上で創設され 国連憲章第 51 条に明文化された権利である 具体的には 自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を 自国が直接攻撃されていないにもかかわらず 実力をもって阻止する権利 であり 日本政府もこの

2 本においても復活し 再び日本の進路を誤らせようとしているようです 第一の軍事力信仰の強まりは いうまでもなく安倍首相本人において極めて強烈なものがあります 安倍首相も 安全 や 平和 を口にしますが 非軍事的安全保障という発想はなく 安全 はあくまでも軍事力によってもたらされるものであり 平和

前提 新任務付与に関する基本的な考え方 平成 28 年 11 月 15 日 内 閣 官 房 内 閣 府 外 務 省 防 衛 省 1 南スーダンにおける治安の維持については 原則として南スー ダン警察と南スーダン政府軍が責任を有しており これを UNMISS( 国連南スーダン共和国ミッション ) の部

インド洋におけるテロ対策海上阻止活動及び海賊行為等対処活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案要綱

第 1 原則及び第 2 原則を踏み外さないための 歯止め として 以下の原則が派生する 3 他国の武力行使との一体化禁止 4 海外での自衛隊の活動は 後方地域 ( 非戦闘地域 ) における後方支援 人道復興支援に限定 ( 警護活動 安全確保活動 船舶検査活動のような危険な前線での活動禁止 ) 5 武

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反論 安全保障環境が厳しくなっているのは事実だろうが ならば 従来の専守防衛の原則を堅持し 自衛隊と海上保安庁の装備を更新 強化し さらに 切れ目のない危機対応を整えるべく 領海警備法を制定し 武器使用基準 ( 大臣訓令 ) を改正すれば済むはずである にもかかわらず 米国の二軍のように世界に軍事展

1 自衛隊に対する関心 問 1 あなたは自衛隊について関心がありますか この中から 1 つだけお答えください 平成 30 年 1 月 関心がある ( 小計 ) 67.8% 非常に関心がある 14.9% ある程度関心がある 52.9% 関心がない ( 小計 ) 31.4% あまり関心がない 25.9%

本原理が覆る 2 現在の安全保障法制を前提に自衛隊を明記すれば 少なくとも集団的自衛権の一部行使容認を追認することになる 集団的自衛権の行使要件注2 は 広範かつ曖昧であり 専守防衛を旨とした平和主義という日本国憲法の基本原理に反する 3 権力が立憲主義に反しても 事後的に追認することで正当化される

縦軸)我が国 国民に関する事項ための活動を実施可能に(国際社会に関する事項 平和安全法制 の主要事項の関係 在外邦人等輸送 ( 現行 ) 自衛隊法 在外邦人等の保護措置 ( 新設 ) 自衛隊の武器等防護 ( 現行 ) 自衛隊法 米軍等の部隊の武器等防護 ( 新設 ) 平時における米軍に対する物品役

新 日米防衛協力のための指針 ( ガイドライン )

テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案要綱

Taro-非戦平和提言(5月集会版)

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The Status of Sign Languages

3 議事概要 (1) 安倍総理から 冒頭挨拶の中で 1 我が国を取り巻く安全保障環境は 我が国が独立を果たして以来激変した 2とりわけ近年顕著なのは グローバルなパワーバランスの急激な変化であり 東アジアの安全保障環境は第一次報告書が提出された6 年前に比べても一層厳しさを増している 3 大量破壊兵

条第一項に規定する国際平和協力業務の実施等に関する重要事項九自衛隊法 ( 昭和二十九年法律第百六十五号 ) 第六章に規定する自衛隊の行動に関する重要事項 ( 第四号から前号までに掲げるものを除く ) 十国防に関する重要事項 ( 前各号に掲げるものを除く ) 十一国家安全保障に関する外交政策及び防衛政

3 議事概要 (1) 安倍総理から 冒頭挨拶の中で 1 政府は 日本国民の生存と日本国の存立を守る責任を有している 2 憲法前文にあるとおり 日本は一国平和主義ではなく 国連の集団安全保障体制の下で自国及び国際の平和と安全を維持することを安全保障の課題としてきた 3 我が国を取り巻く厳しい国際環境を

Taro-自衛隊改憲学習資料B5

中谷防衛相はこれも否定せず 海自の護衛艦は魚雷の攻撃を受けない安全な場所で活動 を行う と答弁した 兵站を担う護衛艦が常に安全な場所にいられるはずがない 戦場の現実を無視した机上 の空論と言うほかない 首相はきのうの集中審議で 集団的自衛権の行使を容認しても ( 他国の ) 戦争に巻き込 まれること

時代は変った 憲法は変ったか? いまこそ, 世界の中で日本の憲法を考えよう 世界 14 番目に古いと言われる日本国憲法 世界情勢は制定当時から激変しているのに 一度の改正も行われていません 日本国民はこの ⑴ 日本の憲法は 成文憲法保有 7 年間 自らの憲法の在り方を国民投票で意思表明する機会を与え

2 1 戦争法を批判するための視点 昨年の 7 1 決定 ( 集団的自衛権の容認などを内容とする閣議決定 ) でも大丈夫だとか この決定をベースにかんがえる というのはおかしい ( 7 1 決定自体が 戦争法の枠組みの中にある ) ベースにおくべきは憲法平和主義である 憲法平和主義 政府の行為によつ

平成14年■月■日

日本人と憲法 2017 調査 単純集計結果 調査方法 個人面接法 調査時期 2017 年 3 月 11 日 ( 土 )~26 日 ( 日 ) 調査対象 全国 18 歳以上の国民 調査相手 住民基本台帳から層化無作為 2 段抽出 4,800 人 (400 地点 12 人 ) 調査有効数 ( 率 ) 2

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設問 6: あなたは普段どの程度国際的なニュースや情報に接しているか ( 注 ) この設問は2015 年より実施 (1) 毎日 (2) 週に2~3 回程度 (3) 週 1 回程度 (4) 月 1 回程度 8 8 (5)2~3ヶ月に1 回程度 2 3 (6)6ヶ月に

目次 1. 調査概要 Page 2 2. 回答者属性 Page 3 3. 問 1. 地球儀を俯瞰する外交 Page 4 4. 問 2. 日本の国連安保理非常任理事国としての取組 Page 5 5. 問 3. 東アジアの安全保障政策 Page 6 6. 問 4. 女性参画推進における国際的取組 WAW

合に限定したことである 政府 自民党が 自衛隊の行動に 国際法上の正当性 という歯止めを 求める公明党に譲歩したためだ 決議がなくても 他国軍への補給 輸送支援などが必要となる事態はあり得よう 人道復興支援 と同様に 国際機関や地域機関の要請などで後方支援を行う余地を残すよう再調整すべきだ 後方支援

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高松ゼミナール卒業論文 9 条改正の目的を探る 高崎経済大学経済学部経済学科 角田広 - 目次 - p 02 p 03 p 06 p 13 p 16 p 17 はじめに第 1 章憲法 9 条の考察第 1 節 9 条 1 項通説の見解第 2 節 9 条 2 項多数派の見解第 2 章自衛

Title 憲法 改正 論議の批判的検討 Author(s) 髙良, 沙哉 Citation 地域研究 = Regional Studies(12): Issue Date URL Rights

首相は 朝鮮半島有事などで日本人を運ぶ米軍艦船を防護する場合や 日本に原油を運ぶタンカーが通る中東 ホルムズ海峡が機雷により封鎖され これを取り除く掃海活動などを挙げてきた ただ 公明党はホルムズ海峡が封鎖され日本が経済的な打撃を受けただけでは 存立危機事態には該当しないと主張する 日米両政府が先月

平成 29 年 ( ワ ) 第 125 号安保法制違憲 国家賠償請求事件 原 告 阿部裕ほか224 名 被 告 国 準備書面 (3) ( 朝鮮半島有事の際の新安保法制による米軍への軍事的支援活動と他国間戦争にまきこまれる具体的現実的危険 ) 宮崎地方裁判所 民事第 2 部合議係御中 2017( 平成

大綱コンセプトの変遷 初めて策定した 51 大綱 (1976 年策定 ) においては 自らが力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならないよう 必要最小限度の防衛力を保有するという考え方 すなわち 基盤的防衛力構想 を採用 その後 東西冷戦の終結といった国際情勢の変化 より安定した安全保

はじめに 日本の平和と安全を維持し その存立を全うすることは 政府 の最も重要な責務です また 日本の安全保障政策を高い透明性をもって示すことも政府が果たすべき役割です 日本は 戦後 70 年以上にわたり 平和国家として歩んできました 自由 民主主義 人権 法の支配を擁護し 地域そして世界の平和と繁

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平和安全法制整備法案と国際平和支援法案

6月号書き始め

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この長期にわたる紛争に対する政治的解決を達成することとマグレブ アラブ連合の加盟国間の協 力の強化は 安定および安全 同様にサヘル地域の全ての人々のための仕事 成長および機会を導き出 すことに貢献するであろうことを認識し 国際連合西サハラ住民投票監視団 (MINURSO) を含む 全ての平和維持活動

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第 4 回日豪外務 防衛閣僚協議 日本とオーストラリア : 平和と安定のための協力 共通のビジョンと目標 1. 玄葉光一郎日本国外務大臣, 森本敏日本国防衛大臣, ボブ カー オーストラリア外務大臣, スティーブン スミス オーストラリア国防大臣は,9 月 14 日にシドニーにおいて会談し, 地域的

艦隊のこと オリンピック五輪の年に新しい憲法を施行! 今年は戦争の放棄を定めた平和憲法が生まれ丁度 70 年の節目の年 ( 註 2) である かかだがこの記念すべき日であるにも関わらず首相は 日本会議 ( 註 3) などが主導し こ れに 美しい日本の憲法をつくる国民の会 ( 註 4) などが加わっ

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れにMINUSTAH 軍事部門司令部において行われる企画及び調整の分野並びに我が国のMINUSTAHに対する協力を円滑かつ効果的に行うための連絡調整の分野における国際平和協力業務を行わしめるとともに 自衛隊の部隊等により ハイチ地震の被災者の支援等の分野における国際平和協力業務を実施することとする

の自由 妨げられない通商活動 自制と 1982 年の国連海洋法条約 (UNCLOS) を含む国際法の普遍的な原則に従った紛争の平和的手段による解決を推進することの重要性を強調した 我々は ARF や ASEAN 海洋フォーラム拡大会合等を通じた情報共有や能力構築を含む 海洋安全保障及び海上の安全に関

第 9 部 宇宙空間における制度的枠組 第 1 章 総 論 国際社会は 宇宙空間における軍事利用を禁止又は制限する幾つかの国際的な枠組みを既に作成してきている 例えば 1967 年に発効した宇宙条約は 宇宙を宇宙空間と月その他の天体とに分け 宇宙空間については 核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ

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目次 はじめに 1 Ⅰ. 憲法解釈の現状と問題点 4 1. 憲法解釈の変遷と根本原則 4 (1) 憲法解釈の変遷 4 (2) 憲法第 9 条の解釈に係る憲法の根本原則 8 2. 我が国を取り巻く安全保障環境の変化 我が国として採るべき具体的行動の事例 13 Ⅱ. あるべき憲法解釈 17

A: 最近の韓国での出来事だとか 日本での出来事などについて率直に意見交換をしたわけでございますが 私が感じたのは長官の話を通じて 韓国のこの平和と朝鮮半島の平和と安定 これは日本にとっても安全保障上 大変重要なことでございまして 韓国の防衛政策も伺えましたけど 非常にしっかりとしたものであります

ことである 安倍首相は 二〇〇六年に刊行した著書 美しい国へ の中で つぎのように述べていた 権利(= 集団的自衛権)はあっても行使できないそれは 財産に権利はあるが自分の自由にはならない というかつての禁治産者の規定に似ている 日本も自然権としての集団的自衛権を有していると考えるのは当然であろう

平成 28 年 ( ワ ) 第 2407 号自衛隊南スーダン PKO 派遣差止等請求事件 原告平和子 被告 国 準備書面 ⑶ - 平和的生存権の具体的権利性 - 被告主張に対する批判 ( 平成 29) 年 5 月 26 日 札幌地方裁判所民事第 1 部合議係 B 御中 原告訴訟代理人弁護

訴状の構成

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平和安全法制関連法案の国会審議

平和維持活動業績資料を含む 平和維持活動の有効性に関する資料が 明快で十分に特定された達成条件に基づいて 派遣団の活動の分析と評価を改善するために用いられることを確保するという事務総長への安保理の要請を想起し 派遣団が その職務権限を効果的に実行するために必要とされる技能と柔軟性を保持するような M

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昨年 辺野古の集会に出席した故 菅原文太さんが 政治家の役割は二つある 一つは国民を飢えさせないこと もう一つは決して戦争しないことだ と強調した 国民を死に追いやるような政治をしてはいけないということだ 今回 安全保障法制が成立して 様々な理由で海外派遣が可能になるだろう これまでにも自衛隊が海外

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また 前提となる衝突や紛争といった脅威が不明確であり 在日米軍 海兵隊の出動が見込まれる事例をはじめ 具体的な説明がなく 抽象的である このような内容では 県外移設 ができない理由が説明されているとは言えず 県民の納得のいくものではない 鳩山前総理は 昨年 5 月の記者会見において 何とか県外に見つ


靖国神社問題の解決に向けて


2 当時 読売新聞は これを 時代錯誤の非武装中立論への回帰 と論評した 社会党は 自 社 さ による連立政権時代の 1994 年に与党として 自衛隊の存在に関して合憲論へと転換し 日米安保体制の意義についても肯定的に評価したことは事実である その限りでは 宣言 は自衛隊 日米安保条約に対する評価を

自衛隊の補給支援活動に関する特別世論調査 の要旨 平成 21 年 3 月内閣府政府広報室 調査時期 : 平成 21 年 1 月 22 日 ~2 月 1 日調査対象 : 全国 20 歳以上の者 3,000 人有効回収数 ( 率 ):1,684 人 (56.1%) 1 補給支援活動の認知度 平成 21

日米関係から見た集団的自衛権論議―日米防衛協力の進展と集団的自衛権―

実であれば このように人命を盾にとって脅迫をするということは誠に許しがたく 強い怒りを覚えているという旨を発言をし そして防衛省としましても 防衛駐在官等を通じまして 情報収集に万全を期す所存である旨を伝えたところでございます そして わが国としてもテロに屈することなく 日英で協力をして 国際社会に

訴 状 原告ら中西新太郎ほか別紙原告目録記載のとおり ( 計 254 名 ) 原告ら訴訟代理人 別紙原告ら訴訟代理人目録記載のとおり 東京都千代田区霞が関一丁目 1 番 1 号 被告国 代表者法務大臣金田勝年 2016 年 9 月 16 日 横浜地方裁判所御中 横

1 尖閣諸島に関する認知 (1) 尖閣諸島の認知 平成 25 年 7 月 知っていた 91.1% 知らなかった 7.7% 知っていた 知らなかった ( 該当者数 ) 総数 ( 1,801 人 ) (%) -

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スライド タイトルなし

謝辞

Transcription:

日本の平和憲法と アメリカ 東アジア 2015.1.19 川崎哲 NGOピースボート 共同代表 集団的自衛権問題研究会 代表

2014.7.1 集団的自衛権の行使を 容認する閣議決定 1945.8 終戦 日本の敗戦 1946.11 日本国憲法公布 1954.7 自衛隊発足 1972.11 政府見解 集団的自 衛権の行使は憲法上許さ れない 1973.6 自衛権発動の3要件

考えなければならない3つのこと 1 国際社会における武力行使 2 アジアにおける日本 3 日本における民主主義

1 国際社会における武力行使 国連憲章と憲法9条 個別的自衛権 集団的自衛権 集団安全保障 国際的な責任 対等な日米同盟

日本国憲法 第二章 戦争の放棄 第九条 日本国民は 正義と秩序を基調とする国際 平和を誠実に希求し 国権の発動たる戦争と 武 力による威嚇又は武力の行使は 国際紛争を解決 する手段としては 永久にこれを放棄する 第二項 前項の目的を達するため 陸海空軍その 他の戦力は これを保持しない 国の交戦権は こ れを認めない

国連憲章 1945.6 署名 第一章 目的および原則 第2条 4 すべての加盟国は その国際関係にお いて 武力による威嚇または武力の行使を 慎ま なければならない 第六章 紛争の平和的解決 第七章 平和への脅威 侵略に関する行動 安保理の役割 非軍事的措置 軍事的措置 第51条 国連加盟国に対する武力攻撃に対して は 安保理が必要な措置をとるまでの間 個別的ま たは集団的自衛の固有の権利を害するものではな い 自衛権の行使措置は直ちに安保理に報告する

個別的自衛権 集団的自衛権 軍事同盟を想定 集団安全保障 国連安保理

自衛の措置としての武力の行使の 新三要件 2014.7.1 閣議決定 我が国に対する武力攻撃が発生したこと 又は 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が 発生し これにより我が国の存立が脅かされ 国民の 生命 自由及び幸福追求の権利が根底から覆される 明白な危険があること これを排除し 我が国の存立を全うし 国民を守 るために他に適当な手段がないこと 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

武力行使への制約を マイナスとみるのか プラスとみるのか

9条世界会議 Global Article 9 Conference to Abolish War 2008年5月4 6日 4-6 May 2008 全国4カ所でのべ3万人が参加 Over 30,000 people participated in 4 cities of Japan 42カ国 地域から 海外参加者200人 200 overseas participants from 42 countries / regions 戦争を廃絶するための9条世界宣言 Global Article 9 Declaration to Abolish War

グローバル9条キャンペーン 日本国憲法9条は普遍的価値を有するも のと認知されるべきであって 東北アジアの 平和の基盤として活用されるべきである 1999 ハーグ平和会議 Hague Appeal for Peace 2005 国連紛争予防会議 GPPAC Global Partnership for the Prevention of Armed Conflict 2006 バンクーバー世界平和フォーラム Vancouver World Peace Forum

武力によらない平和 へ 1 紛争の予防と平和的解決 2 資源を軍備から人間に 3 平和に生きる権利

マイレッド マグワイア 北アイルランド Mairead Maguire, Northern Ireland 対話と非暴力 Dialogue and non-violence 紛争の根源に対処 Addressing root causes of conflicts 過去への謝罪と和解 Dealing with the past and reconciliation

発展のための軍縮 Disarmament for Development 平和に対する企業の責任 武器の製造 輸出 Corporate responsibility to peace (Arms production and exports)

国連憲章26条 軍事費の最小化 コスタリカの取り組み 国連安保理の議論 コスタリカ コンセンサス

米国の 国防予算 削減の動き 同盟国への要請拡大

2 アジアにおける日本 そしてアメリカ 抑止力を高めることによって 戦争が起きにくくなる 中国の反応 ー領土問題 韓国の反応 ー歴史問題 中国人の53% 日本人の29%が 2020年まで に戦争が起こりうる 2014.9言論NPO 中国日報

ニューヨークタイムズ の安倍政権への論評 2013.1.3 歴史を否定しようとする企て 2013.12.29 教科書で歴史を修正 2013.12.31 武器ではなく平和憲法を輸出せよ 2014.3.3 靖国神社参拝 危険な修正主義 2014.5.8 憲法が政府の気まぐれで変えられてはならない

アーミテージ ナイ 報告(2012.8) 原発推進 TPP交渉参加 秘密保護法制定 武器輸出三原則緩和 日本版NSC設置 海賊との戦い シーレーン 米軍と自衛隊が平時から戦 時まですべての環境に対処 ホルムズ海峡封鎖時に掃海 艇派遣 PKO 他国の部隊保護

2014.4オバマ大統領来日 日本 米国は日本が集団的自衛権問題の検討を歓迎 尖閣諸島に日米安保条約が適用 米国 日中間で対話や信頼醸成ではなく 事態がエスカ レートしていくのを看過するのは重大な誤り

日米防衛 ガイドライン 改定 中間報告 (2014.10.8) 切れ目のない 力強い 柔軟かつ実効的な日米共 同の対応 日米同盟のグローバルな性質 地域の他のパートナーとの協力 日米両政府の国家安全保障政策間の相乗効果 政府一体となっての同盟としての取り組み

日米外交 防衛官僚 日本はより大きな 責任を果たせ アメリカの戦争に 巻き込まれる 日本の武力行使は なお限定的 日本はアメリカの要請を 断れるのか 歴史修正主義への 懸念 日本の戦争に巻き込 まれる 戦後レジームからの脱却 東アジアで高まる緊張 安倍首相 右翼 政治家

対等な同盟

東アジア平和共同体は可能か

3 日本における民主主義 立憲主義 ー憲法は政府をしばるもの 最終的には総理の判断 秘密保護法の運用開始 高まるナショナリズム 投票率の低下と お任せ民主主義 集団的自衛権 閣議決定されたが 法制はこれから

今後のながれ 2月 安保法制 与党協議 4月 統一地方選 日米ガイドライン 安保関連法案 国会提出 5 7月 国会論戦

安保法制はどのようなものになるか 日本が攻撃されていない事態 でも ①自衛隊が出動しうる ②国民の権利が制限されうる 有事と平時の切れ目なく 武力行使でない といいなが ら 武力行使に近づいていく 領海警備 後方支援 海外派 兵恒久法 武器使用基準 2015.1.10 朝日新聞

存立事態 の新設 誰がどのように判 断するのか 国会の事前承認は 地理的な制限は 国民の権利保護は

今後の安保論議の大前提 紛争の平和的解決 武力行使は 他に手段がないとき のみ いたずらに自衛隊を危険にさらさない 必要最小限 専守防衛 戦死 が現実味を帯びる時代に 東アジア共同体へ 非軍事的な安全保障 国際貢献 非国家主体の脅威に対処

日本国憲法前文 政府の行為によって再び戦 争の惨禍が起ることの ないやうにすることを決意し ここに主権が国民に 存することを宣言し 日本国民は 平和を愛する諸国民の公正と信 義に信頼して われ らの安全と生存を保持しようと 決意した われらは 全世界の国民が ひとしく 恐怖と欠乏から免れ 平和のうちに生存する権利 を有することを確認する いづれの国家も 自国のことのみに専念して他国を 無視してはならないのであって 自国の主権を 維持し 他国と対等関係に立たうとする各国の責務 である

憲法9条 Article 9 of the Japanese Constitution 定め Provision 戦争の放棄 Renunciation of war 戦力の不保持 No war potential and no belligerency 平和に生きる権利 Human rights to live in peace 背景 Background ヒロシマ ナガサキ Hiroshima and Nagasaki オキナワ Okinawa アジア侵略への反省 Aggression to Asian neighbours

日本の平和主義の 原点に帰る 民主主義 平和に生きる権利 軍事によらない発展 核廃絶

集団的自衛権問題研究会 毎月一回のNews & Review 公開研究会 2月17日 火 18 30 文京シビックセンター http://shudantekijieiken.blogspot.jp/ 川崎哲 kawasaki@peaceboat.gr.jp