C NSCA JAPAN Volume 20, Number 9, pages CEU Quiz 関連記事 Key Words コーチング :coaching オーバーヘッド動作を行なうアスリート :overhead athlete バイオメカニクス :biomechanics テニスサ

Similar documents
ピッチング ( 投球 ) のバイオメカニクス ピッチングに関連する傷害は オーバーユースに起因していると考えられています 1 オーバーユースに伴う筋肉疲労により 運動で発生したエネルギー ( 負荷 ) を吸収する能力が低下します 2 つまり本来吸収されるべきエネルギーは 関節や他の軟部組織 ( 筋肉

6 腰椎用エクササイズパッケージ a. スポーツ選手の筋々膜性腰痛症 ワイパー運動 ワイパー運動 では 股関節の内外旋を繰り返すことにより 大腿骨頭の前後方向への可動範囲を拡大します 1. 基本姿勢から両下肢を伸展します 2. 踵を支店に 両股関節の内旋 外旋を繰り返します 3. 大腿骨頭の前後の移

姿勢分析 姿勢分析 お名前 北原有希様 体重 45.0 kg 運動レベル 中 生年月日 1977 年 9 月 18 日 身長 cm オレンジ色の項目は 優先度の高い項目です 最適な状態にするための姿勢矯正プログラムが提供されます 頭が前に 18.3 出ています / 前に 2.9 cm 傾

歩行およびランニングからのストップ動作に関する バイオメカニクス的研究

コンセントレーションカール 腕を鍛える筋トレメニュー 鍛えられる筋肉 : 上腕二頭筋 前腕屈筋 1. ベンチに座り 片手でダンベルを持ち 上腕を太ももの内側に固定します 2. ゆっくりとひじを曲げてダンベルを上げ ゆっくりと戻します フレンチプレス 鍛えられる筋肉 : 上腕三頭筋 1. 片手にダンベ

VI 参考資料

ストレッチング指導理論_本文.indb

GM アフ タ クター & アタ クター どの年代でも目的に合わせたトレーニングができる機器です 油圧式で負荷を安全に調節できます 中殿筋と内転筋を正確に鍛えることで 骨盤が安定し 立位や歩行時のバランス筋力を向上させます 強化される動き 骨盤 膝の安定性 トリフ ル エクステンサー ニー エクステ

アンカー TRX サスペンショントレーナーの設置箇所 フットクレードル ハンドルの下のわっかの部分 かかとやつま先をいれるときなどに使う 5 TRXフロントスクワット 45 7 TRXクロスバランスランジ アンカー に向かって立ち 肘を肩の真下に位 置して 腕を曲げ る ストラップを ぴんと張る 左

体力トレーニング 3 ると 短時間で強度の高いトレーニングを行うことができます ただし 運動のポイントをよく理解して行うことが重要です がむしゃらにこなすだけでは十分な効果を得ることができません どこをどう使っているのかを意識しながら行うようにと指導しましょう 部 位 運動形態 上半身 押す運動引く

1 体幹が安定すると早くなる? お腹まわりを安定させ 体幹が安定していると 泳いでいる時に 抵抗の少ない良い姿勢をキープできるようになり 速く泳げるようになる可能性があります体幹が安定せず 抵抗が大きい姿勢となれば 早く泳ぐことができない可能性があります また 脚が左右にぶれてしまうため 抵抗が大き

選考会実施種目 強化指定標準記録 ( 女子 / 肢体不自由 視覚障がい ) 選考会実施種目 ( 選考会参加標準記録あり ) トラック 100m 200m 400m 800m 1500m T T T T33/34 24

最高球速における投球動作の意識の違いについて 学籍番号 11A456 学生氏名佐藤滉治黒木貴良竹田竣太朗 Ⅰ. 目的野球は日本においてメジャーなスポーツであり 特に投手は野手以上に勝敗が成績に関わるポジションである そこで投手に着目し 投球速度が速い投手に共通した意識の部位やポイントがあるのではない

Gatlin(8) 図 1 ガトリン選手のランニングフォーム Gatlin(7) 解析の特殊な事情このビデオ画像からフレームごとの静止画像を取り出して保存してあるハードディスクから 今回解析するための小画像を切り出し ランニングフォーム解析ソフト runa.exe に取り込んで 座標を読み込み この

Microsoft Word docx

Taro13-有料第81号PDF.jtd

最高 9 個 ( 選択による ) 最高 1 個 最低 4 個 最低 4 個 最低 4 個 価値 0.30 基礎価値 0.20 価値 0.1~ ジャンプ / リープ - 基本価値 0.2~ 最低 8 秒 最低 2 回の身体の回転 連係動作 ( 群 ) には バランス - 最低 1 つの基礎技術要素 異

中京大学体育研究所紀要 Vol 研究報告 ソフトボールのバッティングにおけるストライド長と外力モーメントの関係 堀内元 1) 平川穂波 2) 2) 桜井伸二 Relationship between stride length and external moment in softb

School of Health &Physical Education University of Tsukuba

...S.....\1_4.ai

2 屋外での投球 ( ピッチング ) と打撃 ( バッティング ) の動作分析屋外での動作分析では 主に高速度ビデオカメラとスピードガンを用いる 高速動作であるピッチングとバッティングをスローモーション映像としてとらえ 脚や腕 バットの使い方を観察する また ピッチングでは打者の視点である正面と側面

体幹トレーニング

健康科学大学紀要第 12 号 (2016) はじめに バドミントン競技では 意図する場所にシャトルコックを打ち放つためのラケット操作の能力が競技力の優劣に影響する 実際の試合では ラリーを保つこと ( 現在のラリーの状況を維持 ) 有利なラリーを展開すること( 相手の態勢を崩す ) 得点を取るための

研究報告 国内トップリーグ男子バレーボール選手における一側性トレーニングが 両側性筋力および跳躍能力に及ぼす影響 Effect of Single legged Squat Exercises on Bilateral Strength and Physical Ability in the Top


frontal (coronal) plane transverse (horizontal) plane sagittal plane 2) 2. 6) Chopart/Lisfranc 3. frontal (coronal) plane frontal (coronal) plane ever

A Study on Throw Simulation for Baseball Pitching Machine with Rollers and Its Optimization Shinobu SAKAI*5, Yuichiro KITAGAWA, Ryo KANAI and Juhachi

体幹トレーニングが体幹の安定性とジャンプパフォーマンスに与える影響の検討 体幹トレーニングとしては レジスタンスツイスト ( 以下 RT) を採用した RT とは 図 1 ( 上段 ) のように 仰臥位で四肢を上に挙げ四つ這いする体勢を保持している実施者に対して 体幹が捻られるように補助者が力を加え

Taro-解答例NO3放物運動H16

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word docx

Study on Throw Accuracy for Baseball Pitching Machine with Roller (Study of Seam of Ball and Roller) Shinobu SAKAI*5, Juhachi ODA, Kengo KAWATA and Yu

2 片脚での体重支持 ( 立脚中期, 立脚終期 ) 60 3 下肢の振り出し ( 前遊脚期, 遊脚初期, 遊脚中期, 遊脚終期 ) 64 第 3 章ケーススタディ ❶ 変形性股関節症ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

オットーボック フィットネスアプリ Fitness for amputees 切断者のためのフィットネス < フィットネスアプリとは > スマートフォンや タブレット端末にダウンロードし 気軽にフィットネスが出来る切断者の皆様のためのアプリが登場しました 既に義足を装着されている方や これから義足を

Microsoft PowerPoint - 1章 [互換モード]

0. はじめに 当院でこれまで行ってきたメディカルチェックでは 野球選手のケガに対するアンケート調査も行 ってきました (P.4 表 1 参照 ) アンケート調査で 肘 ( ひじ ) の痛みを訴えていた選手は 高校生で 86.7% 小学生で 41.1% でした また 小学生に対しては 超音波 ( エ

学術教養特集2 間橋 淑宏

スライド 1

かかわらず 軟骨組織や関節包が烏口突起と鎖骨の間に存在したものを烏口鎖骨関節と定義する それらの出現頻度は0.04~30.0% とされ 研究手法によりその頻度には相違がみられる しかしながら 我々は骨の肥厚や軟骨組織が存在しないにも関わらず 烏口突起と鎖骨の間に烏口鎖骨靭帯と筋膜で囲まれた小さな空隙

PowerPoint プレゼンテーション

SICE東北支部研究集会資料(2011年)

Effects of developed state of thigh muscles on the knee joint dynamics during side cutting The purpose of this study was to investigate the effects of


第 10 回 歩行のバイオメカニクス FF:足部水平 足底面がすべて地面に接地すること (Foot Flat) HO:踵離地 踵が地面から離れること (Heel Off) TO つま先離れ つま先が地面から離れること (Toe Off) 上記の定義に気をつけて歩いてみれば 歩行では両足で身体を支持してい

ピッチングの重要なポイント

1.ai

前十字靭帯再建手術を終えられた皆様へ


体育学研究 , 野球投手におけるマウンドと平地からの投球のバイオメカニクス的比較 投球速度および投球動作中の下肢および体幹の動作に着目して 蔭山 雅洋 1) 鈴木 智晴 2) 藤井 雅文 1) 中本 浩揮 1) 和田 智仁 1) 前田 明 1) Masahiro

スポーツ教育学研究(2013. Vol.33, No1, pp.1-13)

Microsoft PowerPoint - 口頭発表_折り畳み自転車

理学療法科学シリーズ臨床運動学第6版サンプル

体力向上のための実践事例集.pdf

腰痛多発業種における 作業姿勢特性調査 独立行政法人労働者健康福祉機構所長酒井國男 大阪産業保健推進センター 相談員久保田昌詞 特別相談員浅田史成 大阪労災病院勤労者予防医療センター所 長大橋誠 関東労災病院リハビリテーション科 技師長田上光男 日本産業衛生学会産業医部会 部会長岡田章

< B837B B835E82C982A882AF82E991CF905593AE90AB8CFC8FE382C98AD682B782E988EA8D6C8E40>

The Most Effective Exercise for Strengthening the Supraspinatus : Evaluation by Magnetic Resonance Imaging by TAKEDA Yoshitsugu and ENDO Kenji Departm

運動器検診マニュアル(表紙~本文)

の測定 リアクティブの測定 リアクティブ 向転換能 Change Of Direction performance <CODp> (Sheppard & Young, 2006) (Henry et al., 2012) 反応課題 ( 単純 選択 専門 ) CODp の測定 ( 直線的 ) 505

<4D F736F F F696E74202D204E4F2E36936B8EE893EF C B8CDD8AB B83685D>

海外研修 期間 :2016 年 6 月 7 日 15 日研修先 :Physiotherapy Associates Scottsdale Sports Clinic ( アメリカ合衆国アリゾナ州スコッツデール ) 研修者 : 中谷拓也 ( 理学療法士 ) 宮嵜健人 ( 理学療法士 )

20 の前脚が下がったら 18 の 0.1 の難度にダウングレードする は膝が下がり頭と足が離れたらノーカウントとなる 21 20とは違う形となる 22 2 と 3 は同じ形となる どちらかひとつしか使えない 3 の場合 手具操作 この場合は全てノーカウント フォーム 手具操作 フォーム この場合は

がります ) 手は頭より後ろにある状態となります ( 手のひらは自然に開いたままです ) ( 同写真 3) ヒジが低いと手が顔の前で止まってしまい キレのあるジェスチャーができません 3 ストライク のコールとともに ヒジを肩の高さに下しながら ヒジを基点に腕を振り下ろします ( 写真 4) このと

2018 ナショナルトレセン U-12 W-up アイスブレイク スペース感覚 コーディネーション GK 要素 20m 全員で GK トレーニング ボールを使ったコーディネーション オーガナイズ 12 人グループで行う 20m 20m グリッドを地域の人数に合わせて作る GK コーチが中央でメインで

Transcription:

C NSCA JAPAN Volume 20, Number 9, pages 19-27 Key Words コーチング :coaching オーバーヘッド動作を行なうアスリート :overhead athlete バイオメカニクス :biomechanics テニスサーブのパフォーマンス評価 : 筋力 スピード パワー 柔軟性トレーニングへの示唆 A Performance Evaluation of the Tennis Serve: Implications for Strength, Speed, Power, and Flexibility Training Mark S. Kovacs, PhD, CSCS 1 and Todd S. Ellenbecker, DPT, CSCS 2, 3 1 Player Development, United States Tennis Association, Boca Raton, Florida 2 Physiotherapy Associates, Scottsdale Sports Clinic, Scottsdale, Arizona 3 Association of Tennis Professionals (ATP) World Tour, Ponte Vedra Beach, Florida 要約サーブは テニスにおいて最もパワフルかつ最強の武器になりうるショットである しかし 最大の速度 パワー およびスピンのサーブをコンスタントに打てる選手は非常に少ない 本稿では テニスのサーブを 3 つの局面と 8 つの期に分け コーチやトレーナーがトレーニングプログラムに選手のサーブの質を高めるエクササイズやドリルを組み込む上で役立つパフォーマンスの評価指標に焦点を当てる サーブの 8 つの期とは (A) 開始 (B) リリース (C) ローディング (D) コッキング (E) 加速 (F) インパクト (G) 減速 および (H) 完了である 本稿では よくあるテクニックの欠点に焦点を当て サーブの確実性 速度 およびスピンを改善するためのエクササイズや推奨事項を紹介する 序論テニスのサーブは ストレングス & コンディショニング ( 以下 S&C) 専門職 スポーツ科学者 選手 コーチ 理学療法士 およびアスレティックトレーナーにパフォーマンス向上の好機を与えてくれる しかし一方で サーブが適切なテクニックで行なわれなかったり 選手の身体能力 ( 筋力 スピード パワー 柔軟性 筋持久力 および筋バランス ) が適切に強化されていなかったりすると 受傷する危険もある サーブはテニスにおいて 相手の打ったボールを返すのではなく 選手自身が 100% コントロールできる唯一のストロークである サーブは肩と腰に大きな負荷をかけるため オーバーユース障害を引き起こすおそれがある (4,12,18,20) また キネティックチェーンにおける多くのセグメントに依存し 適切なタイミングでの回旋動作と複雑で協調的な筋活動を通じてパワーを発揮するという 非常に複雑 なストロークであり (28) なおかつ戦略的には最も重要なストロークである (15,19) サーブ動作の難しさは 地面からキネティックチェーンを介してボールへと 力を累積していかなければならないところにある 力の累積は フォアハンドやバックハンドでのグラウンドストロークにおいて優れたパフォーマンスを発揮する上でも必要である サーブの優れたパフォーマンスにおいては 力の累積を実行しながら それと同時に ( ラケットを持たないほうの手で ) ボールを投げ上げ ボールが少し落ちてきたところを打つ (2) 優れたサーブを打つ選手は 下肢筋群を協調し筋活動を同期させることによって体幹 / コアに回旋 伸展 および屈曲動作の安定した基盤を与え なおかつ力発揮をも助けるという形でキネティックチェーンを活用している キネティックチェーンの構成要素をひとつでもうまく同期させられないと サーブの成果 ( 速度 スピン 配球 19

および確実性 ) は最適なものにならない (17) サーブはこれまで野球の投球動作と同じように研究されており 参考になるところも多いが サーブ動作と投球動作にはいくつかの重要な違いがある (5,14) それは例えば 運動面 非利き腕の使い方 産生および解放される力の軌道 下半身や股関節における動作の技術的要素 および配球の種類などの違いである もうひとつ野球の投球動作と大きく異なる点は 野球ではボールを投げるレバーアームが短いのに対して テニスのサーブではボールを打つためのセグメント ( テニスのラケット ) が長いことである (5,12,14) 本稿の目的は サーブを構成する 8 つの期を通じて サーブの実践的なパフォーマンス評価を提供することである また これら 8 つの期を基に 特定された弱点の強化やパフォーマンス向上のための競技特異的エクササイズをプログラムに導入することができる 本稿は テニスのサーブに的を絞り パフォーマンスの向上とサー ブ関連の傷害予防に効果的なS&Cエクササイズを取り上げた 数少ない文献を参考にしている (19,25,26) テニスのサーブ動作を十分に評価するためには 伝統的な投動作分析に通常用いられる構成要素を修正する必要がある (13,16) 伝統的な投動作分析には (a) ワインドアップ (b) アーリーコッキング / ストライド (c) レイトコッキング (d) 加速 (e) 減速 および (f) フォロースルーの 6 つの期が用いられるが 本稿の 8 段階からなるモデルは S&C 専門職やコーチにとってより詳細な分析ツールとなる この8 段階モデルは 大きく 3 つの局面 ( 準備局面 加速局面 フォロースルー局面 ) に分けられる これらの局面は それぞれサーブの 3 つの異なる動作目的を表している その目的とは 準備局面はエネルギーを蓄積すること 加速局面はエネルギーを解放すること フォロースルー局面は減速して動きを完全に停止し 次の動作に備えることである ただし 8 つの期を個別に論じる前に サーブにおけるキネティックチェーン の役割について考察する必要がある サーブの各段階 ( 図 1) において全身が果たしている役割を明らかにするためには 臨床的理解の観点から 身体を各セグメント別に分析することが非常に有用である サーブの各期は いずれも前の期における筋活動や技術的調整の直接の結果であり 選手のサーブを評価する際には 身体セグメント別にみるだけでなく 全身的観点からみることが重要である 8 つの期は それぞれサーブにおける特定の時点として挙げられている しかし 実際の動作は個々の静止写真の合間で起こっているのであり それらの動作こそが サーブの各期にみられる動的特性を真に表していることを忘れてはならない また 8 つのうちの 2 段階 ( コッキングとインパクト ) は 実際は時間にしてコンマ何秒の出来事であり 分析では用語を統一するために 期 と称しているが 実際にはほんの一瞬であることを強調しておかねばならない 準備局面 加速局面 3 つの局面 8 つの期 最初の動作の開始から肩の最大外旋 ( ラケットヘッドの先端が地面を向く ) まで 1. 開始 2. リリース 3. ローディング 4. コッキング 開始期 ( ボールとラケットは静止 ) からボールがラケットを持たないほうの腕でリリースされるまでリリース期から下半身が完全なローディング姿勢 ( 肘は鉛直方向で最も低い位置にあり 膝は最大限に屈曲している ) をとるまでローディング期の終了から肩の最大外旋位 ( ラケットヘッドの先端が地面を向く ) まで 肩の最大外旋位からボールインパクトの終了まで 5. 加速コッキング期の終了からインパクトまで 6. インパクトボールとラケットがぶつかるごく短い期間 フォロースルー局面 ボールインパクトの終了直後からサービス動作の終了まで 7. 減速インパクト後から上半身と下半身の減速が終了するまで 8. 完了 減速が終了し 次のストロークに備えた最初の動作が始まる前までの短い期間 図 1 テニスサーブの期と段階 20 November 2013 Volume 20 Number 9

テニスサーブの局面と期準備局面 開始期 ( 第 1 段階 ) サーブの開始は サービス動作の中でも個人差の大きい要素であり この段階では立っていることで生じる地面反力 (GRF) 以外は生じないため サーブの力発揮にも直接の影響はない ( 写真 2)(27) 多くの選手は 様々なテクニックや足の位置 タイミングを使ってサーブを開始する 開始期の目的は その後のサービス動作全体を通じてGRFを最大限に利用するための体勢を整えることである サーブの開始期にみられる個人差のほとんどはスタイル上の違いであり 必ずしもサーブの成果 ( スピード スピン 精度 および確実性 ) に直接影響を及ぼさないが この段階においてバランスや安定性のための一般的トレーニングを行なうことは有益である エクササイズ : バランスディスクを用いたテニスサーブのためのアイソメトリック クォータースクワット左右の足の下に 1 個ずつバランスディスクまたはスタビリティトレーナーを置いて立ち サービス動作の開 始姿勢をとる 膝を軽く曲げ 両手を身体の前で揃えてバランスが最適にとれた姿勢を保つ 姿勢を30 秒間保持し それを数回繰り返す 実際のサービス動作のバランス姿勢になるべく近づけるために ラケットとボールを持って行なう ( 写真 3) このエクササイズには片脚でバランスをとるバリエーションもあり 身体にさらなる要求を課し 固有感覚とバランスを強化することにおいてより難度が高い 準備局面 リリース期 ( 第 2 段階 ) リリースは ボールを非利き手 ( 右利きの選手なら左手 ) で投げ上げる段階である ボールリリースと空中でのボールの位置調整はボールインパクトを左右する重要な要素であるため リリース期はサービス動作全体の中でも非常に重要である また このリリース期が適切なパフォーマンスによって行なわれることも重要である ( 写真 4) しかし残念ながら リリースの角度 高さ スピン および速度の違いがその後のサービス動作 特に力発揮やローディング動作のメカニクスに どのような影響を及ぼすのかということについて 妥当性と信頼性のある研究データは発表されていない エクササイズ : フォームロールラット身体の左側を下にして ( 右利きの選手の場合 ) 写真 5のように身体と直角に置いたフォームロールの上に横たわる フォームロールに体側を乗せ ボールをトスする側の腕を頭上に伸ばした状態で ロールの上を前後に転がって左側の広背筋をストレッチする 下半身の体重は足の外側部で支える 30 秒のストレッチングを数セット繰り返す 準備局面 ローディング期 ( 第 3 段階 ) ローディング ( エネルギーを溜める 写真 4 準備局面 テニスサーブのリリース期 写真 2 準備局面 テニスサーブの開始期 写真 3 バランスディスクを用いたテニスサーブのためのアイソメトリック クォータースクワット 写真 5 フォームロールラット 21

こと ) 期においては ( 写真 6) 下半身のローディング ( 足のスタンス ) における選択肢が大きく分けて 2 種類ある フットバックとフットアップのテクニックである ( 写真 7, 8) Elliott & Wood(11) は フットアップ テクニックを用いる選手のほうが鉛直方向への力発揮が大きく フットバック テクニックを用いる選手に比べて高く伸び上がれることを明らかにした また フットアップのほうが フットバックに比べて鉛直方向への力発揮と鉛直方向への変位が大きくなるという (3,11) 身体を上前方へ押し出す力のほとんどは後ろ脚が発揮し 前脚は安定した軸足として安定した回旋軸を提供する ボール速度に関しては フットアップとフットバックで差がないことをElliott & Wood(11) は明らかにしている サーブ速度は ローディング期の力強いレッグドライブが発揮する筋力の大きさと相関している ( 写真 6)(1) ある研究によると (15) エリート選手はサーブにおける水平方向への力発揮が大きいことが示すように 後方から 前方への一連の動きを利用して身体を押し出す動作は 高速のサーブを打つ上で最も重要な要素である可能性が考えられるという したがって 脚の動作 ( 鉛直および水平方向への力発揮の変化 ) を最大限に高めることは 肩の動作と効率を向上させる安定したレッグドライブを発揮する上で役立つ エリート選手のサーブは 初心者と比べて鉛直および水平方向への力発揮が大きいことが明らかになっている また エリート選手は 下位レベルの選手より早い段階で下半身の大筋群を活動させている この点は S&Cトレーニングセッションにおいて重視すべきである 一般的に 体幹 ( コア ) 下部の筋群は 準備局面の終盤 ( 第 3 段階のローディング 第 4 段階のコッキング ) において活動する (4) 肩と骨盤の斜め後方への傾斜は パワフルなサーブを打つためにコッキングの前段階 ( ローディング期 ) において必須要素である (24) 肩と骨盤の 斜め後方への傾斜 は写真 7と写真 8 で確認できるが これは ( 右利きの選手の場合 ) 右の肩と股関 節を 左の肩と股関節より下げる動作を示している この斜め後方に傾斜した姿勢は 速いサーブを打つ上で大きな要素である フォワードスイング時の体幹の側屈を通じた角運動量の生成を促進する (2) このローディング期において前膝の屈曲角度が15 以上であることは 前脚の レッグドライブ が効果的であることの観察可能な指標として優れている (7) 体幹下部の筋群の活動パターンは テニスのサーブ中 特に第 3~ 7 段階において高度な共縮を明らかに示している (4) エクササイズ : ハイケーブル シングルアーム ローテーショナル サービスプル頭上に設定したケーブルまたはエラスティックチューブの下に立ち サービス動作時のスタンスをとる 右手を伸ばして頭上のケーブルまたはチューブをつかみ 負荷に抵抗しながら身体を側方へ屈曲させて右方向への側屈動作 ( 右利きの選手の場合 ) を行ない それと同時に利き腕を写真 9 のように下方へ引く 両膝を屈曲させてサーブ 写真 6 準備局面 テニスサーブのローディング期 写真 7 フットバックのサーブテクニック 写真 8 フットアップのサーブテクニック 22 November 2013 Volume 20 Number 9

のローディング姿勢を模倣する 引っ張っていたケーブルまたはチューブを伸張性筋活動によって負荷に抵抗しながらゆっくりと上げ 元の開始姿勢に戻る エクササイズ : テニスサーブ ローディングストレッチ写真 10 のように 頭上にストラップを取り付けた壁から約 1 フィート ( 約 30 cm) 離れて立つ 非利き腕 ( ボールをトスする腕 ) でストラップの端をつかみ 前脚側の股関節を前方へ突き出したサーブ姿勢 ( ローディング姿勢 ) をとる この姿勢を30 秒保持して 大腿筋膜張筋 / 腸脛靭帯および腰方形筋における柔軟性の獲得を図る 両膝は屈曲させて サーブの爆発的な加速動作の準備段階であるローディングを模倣する この姿勢は 非利き腕の筋群をストレッチするものであり 利き腕側は実際には短縮されていることを理解しなければならない 準備局面 コッキング期 ( 第 4 段階 ) 効果的なコッキング姿勢 ( 写真 11) は 効果的なローディング期が生みだ す ( 写真 6) ラケットを体幹の後方へ振り下ろす利き腕の動作効率が向上し ラケットのボールまでの軌道が長くなることによって (9) 貯蔵される位置エネルギーをより増大させることが可能となる 準備局面の後半 ( バックスイング ) においては高い伸張性負荷 ( 予備伸張 ) が内旋筋群に加わり それがインパクト前の加速期 ( 第 5 段階 ) に転移する (1,21) プロのテニス選手の場合 肩が最大外旋位に達するのはインパクトの0.09 (±0.01) 秒前という結果が出ている (12) レッグドライブはこの段階においてほぼ完了 (= 膝の屈曲角度が 0 になる ) していた (12) 世界レベルのテニス選手において 最大外旋位に達した瞬間の肩は101 (±13 ) の外転 7 (±13 ) の水平内転 および172 (± 12 ) の外旋を示し 肘は104 (±12 ) の屈曲 手関節は66 (±19 ) の伸展を示した (12) その結果 ラケットと体幹はほぼ平行になっていた ( 写真 11) 肩の外旋はエリート野球投手 (175~185 ) と同程度である (5,14) このような大きな外旋は 実際には肩 甲上腕関節の回旋 肩甲胸郭関節の動作 および体幹の伸展が組み合わさって生じている (5,30) 準備局面の終わり ( コッキング期 写真 11) と加速期には 左内腹斜筋 ( 右利きの選手の場合 ) が非常に高い活動レベルを示す (4) ローテーターカフが安定化と圧迫の役割を担っていることは テニスサーブのこの期における高い活動レベルによって明らかである この期における中程度の活動 ( 最大随意等尺性収縮 [MVIC] の 25~53%)(28) は コッキング期に要求される動作の適切な実行において 前部と後部両方のローテーターカフの筋力と肩甲骨の安定化が重要であることを示している コッキング期における肩甲上腕関節の位置の運動学的概要は サーブの最適なパフォーマンスを可能にするだけでなく 傷害を予防する上でもきわめて重要である Elliottら (10) および Fleisigら (12) の研究は コッキング期の最大外旋位における外転角度をそれぞれ83 および101 と報告している 腕を過度に挙上させると肩にインピン 写真 9 ハイケーブル シングルアーム ローテーショナル サービスプル 写真 10 テニスサーブ ローディングストレッチ ( ストラップかTRXを使用 ) 写真 11 準備局面 テニスサーブのコッキング期 23

ジメントを引き起こすリスクがあるため この位置は傷害予防にも大きな影響を及ぼす (31) エクササイズ :2 アーム90 / 90 エクスターナルローテーション腰付近の高さに取り付けたエラスティックチューブのアタッチメント部分と向かい合わせに立つ 両肘を90 に曲げ 肩よりやや前 ( 肩甲骨面 ) に出した姿勢をとり 肩の外旋動作を行なう 前腕が床とほぼ水平の位置から開始し 垂直になるまで挙上する コントロールした動作で行ない 特に垂直の位置から開始位置に戻す際 ( 外旋筋群の伸張性収縮 ) にはローテーターカ写真 12 2 アーム90 / 90 エクスターナルローテーション フを伸張性収縮させるように意識する ( 写真 12) エクササイズ : リバース90 / 90 キャッチ & スロー片膝をついた姿勢をとり ( 右利きの選手は右膝をつく ) 同じ側の肩を 90 に外転させ 肘を90 に屈曲させる 3~4 フィート ( 約 0.9~1.2 m) 後方に立っているパートナーを軽く振り返る 重さ0.5~1 kgのボールを パートナーにアンダーハンドで手元へ投げてもらう 肘は上げたままで ボールをキャッチしたら直ちに動作を減速させる ボールをパートナーへ爆発的に投げ返し また同じ動作を繰り返す エクササイズ中は90 / 90 の姿勢を維持する ( 写真 13) 若年のジュニア選手の場合 最初はソフトボールを用いてもよい ソフトボールのほうが軽いため スキルの習得に都合がよく また 十分に強化されていないことの多いこの領域の筋群に負荷をかけすぎることがない このエクササイズに軽い負荷を用いることは 爆発的な動作を確実に行なえるという利点もある 加速局面 加速期 ( 第 5 段階 ) エリート選手では サーブの加速局面 ( 第 5~6 段階 ) に要する時間が初心者に比べて短いことが明らかになっている (15) 上級者の場合 最大外旋位からボールインパクトまでの時間は 0.01 秒以下であることも明らかになっている (12) 外側広筋 内側広筋 および腓腹筋の筋電図 (EMG) 活動が最大値を示すのは 第 5 段階の終わり近くである (15) また サーブの加速期 ( 写真 14) には 体幹のすべての筋群がEMG 活動の最大値を示した (4) ボールインパクト前のラケットの加速に伴って 腰椎は素早く反転し それまでの過伸展と右方向への捻り ( 回旋 ) すなわち 逆回旋 から 屈曲と左方向への捻り ( 回旋 ) に変化する ( 右利きの選手の場合 ) コークスクリューとも呼ばれるこの動作によって トルクの力を脊椎セグメントに伝達するのであるが (8) このような 通常あまり行なわない動作が身体にもたらす負荷を相殺するため テニス選手はコア / 腰部の系統立った傷害予防プログラムを必ず実践しなければならない 写真 13 リバース 90 / 90 キャッチ & スロー 写真 14 加速局面 テニスサーブの加速期 24 November 2013 Volume 20 Number 9

投動作の加速期におけるEMGの記録と同様に (13) 上腕の力強い短縮性内旋動作においては高い筋活動が観察されている (28) Van Gheluwe & Hebbelinck(29) による中級レベルのテニス選手を対象にした EMG 研究 およびMiyashitaら (23) による上級および初級レベルのテニス選手を対象にしたEMG 研究においても 加速期には大胸筋 三角筋 僧帽筋 および上腕三頭筋が高い活動レベルを示した 両研究とも インパクト中の加速筋群の電気的活動は比較的小さく 筋活動が最大値を示したのはインパクト直前であった 唯一の例外は 棘下筋の安定化への寄与であり この筋はインパクト中も活動を維持していた (29) サーブ動作中は継続的に収縮している肩のローテーターカフは 第 4 段階 ( コッキング ) と第 5 段階 ( 加速 ) においては安定筋と加速筋として機能し フォロースルーにおいては伸張されながら安定化機能を提供するが インパクト中に最も活動するのは棘下筋であることに注意しなければならない エクササイズ : サービス姿勢でのプライオメトリック90 /90 インターナルローテーションサービス姿勢で壁に向かって立つ 肩を 90 外転および 90 外旋させ 1 ~2 kgの小型のメディスンボールを壁に向かって投げる 投げるときも肩は 90 / 90 の姿勢を保持し はね返ってきたボールをキャッチして同じ動作を繰り返す ( 写真 15) エクササイズ : ハイリトラクション イン 90 / 90 エクスターナルローテーション腰付近の高さに取り付けたエラスティックチューブのアタッチメント部分と向かい合わせに立つ 肩を肩甲骨面 ( 身体の真横から40 前方 ) 上で90 外転させて動作を開始する 写真のように両肘を90 屈曲させたまま 左右の肩甲帯を引き寄せながら両腕を後方へ動かす 可動域いっぱいのところで姿勢を保持して 1 カウント数え 開始姿勢に戻る 肘をあまり後方まで引かず 写真のように身体の真横で止めるようにして 肩甲帯の内転 ( 引き寄せること ) を忘れずに強調する ( 写真 16) ピッククラスのプロテニス選手では 体幹が水平より上に平均約 48 傾斜しており 腕 ( 肩 ) は101 外転 そして肘 手関節 および前膝は軽く屈曲している (12) この姿勢は写真 17でも確認できる インパクト直前の肩の外転角度は平均で約 100 であり これは野球の投球動作においてボール速度を最大限に高め 肩関節への負荷を最小限に抑える角度は100±10 であるとしたMatsuoら (22) の説を裏付けている また別の研究では (24) 上級者の場合 フットアップとフットバックのいずれのテクニックを用いるかにかかわらず インパクト時の上腕と胸郭の間の挙上角度は約 110 であったと報告されている このことは テニスサーブの最適なインパクト角度は110 ±15 であることを示唆している またエリート選手のほうが 第 3~6 段階においてより力強く膝を伸展させていることが明らかになっている (15) エクササイズ : テニスサーブ ショットスロー通常のサーブの準備をするときの開始姿勢で立つ 軽量 (1~3 kg) で小型 加速局面 インパクト期 ( 第 6 段階 ) インパクトの際 ( 写真 17) オリン 写真 15 サービス姿勢でのプライオメトリック90 / 90 インターナルローテーション 写真 16 ハイリトラクション イン 90 / 90 エクスターナルローテーション 写真 17 加速局面 テニスサーブのインパクト期 25

のメディスンボールをラケットを持つほうの手で持ち ローディング姿勢 ( 写真 18 左 ) から 砲丸投げタイプ の投動作を用いてメディスンボールを上前方へ投げる 写真のように膝を屈曲させ 体幹を回旋 側屈させてローディング姿勢を強調する エクササイズの爆発的な性質により 選手の身体はコートの上前方へ移動する フォロースルー局面 減速期 ( 第 7 段階 ) 減速期 ( 写真 19) は テニスのサービス動作において最も激しい段階のひとつである 傷害予防トレーニングの大部分を上半身の減速動作のメカニクスと筋力の向上に費やし サービス動作のこの段階を最適化する必要がある サーブ動作中は常に 左内腹斜筋の活動が右内腹斜筋を上回っているが この減速期だけは例外である (4) 減速期における体幹と腕の間の減速力は300 N 以上にも達する この力は 体重の0.5~0.75 倍かそれ以上に相当する伸延力に抵抗して肩を安定させ 支持するために必要である (6) バランスの崩れた姿勢 ( 減速期 ) をとりながら体幹を安定させるため 減速期においては右脊柱起立筋が高い活動を示す (4) フォロースルー局面は 後部ローテーターカフ 前鋸筋 上腕二頭筋 三角筋 および広背筋が中程度の活動 を示すのが特徴である インパクト後に上腕骨が減速される間 後部ローテーターカフは最大随意等尺性収縮 (MVIC) の30~35 % の活動レベルを示す (28) これは肩甲上腕関節の安定性を維持し フォロースルー局面に生じる伸延力を相殺するために必要である エクササイズ : プライオメトリック 90 / 90 チュービングエクスターナルローテーション腰よりやや高い位置に取り付けたエラスティックチューブのアタッチメント部分と向かい合わせに立つ エクササイズ中は常に肩を90 外転させ 肘を90 屈曲させた姿勢を保つ 中程度の張力のチューブを用いて 90 の外旋位から開始する ( 写真 20) 写真のように 腕は肩甲骨面に沿ってやや前方に位置させる この姿勢から腕を素早く内旋させ 前腕を床と水平にする 前腕が水平に達したら 直ちに腕を外旋させて前腕を床に対して垂直の位置に戻す この姿勢を保持して 2 秒カウントしたら再び素早い往復動作を繰り返す 10~15レップを数セット 後部ローテーターカフが疲労するまで続 ける エクササイズ動作 ( 上腕骨の回旋 ) をうまく個別化して行なえるようになるまでは 動かすほうの肘を反対側の手で支えると 90 の外転位を保持しやすいであろう フォロースルー局面 完了期 ( 第 8 段階 ) サーブ完了後の着地動作のメカニクス ( 写真 21) は 下半身 / コアの伸張性負荷の大部分がそこで生じるため 非常に重要な部分である 完了期はサーブのパフォーマンスには影響を及ぼさないが 着地時の 衝撃吸収 にはきわめて重要である この段階が適切に行なわれないと 全身にかかるストレスが大きくなり 著者らの見解では 負荷に関連した受傷リスクが高まるおそれがある エクササイズ : ジャンプ イントゥ シングルレッグRDL 伝統的なシングルレッグのルーマニアンデッドリフト (RDL) の修正版である 唯一の違いは 小さく前方へジャンプしてからシングルレッグRDLを行なって 着地のメカニクスと動作を模倣する点である これらは テニス選手が年間に何千回とサーブを打つ上 写真 18 テニスサーブ ショットスロー 写真 19 フォロースルー局面 テニスサーブの減速期 写真 20 プライオメトリック90 / 90 チュービングエクスターナルローテーション 26 November 2013 Volume 20 Number 9

で強化しなければならないものである ( 写真 22) まとめ サーブは非常に複雑で重要なテニスのストロークである 本稿では 8 段階からなるテニスサーブのパフォーマンス評価を提供し 筋力 パワー 柔軟性 筋持久力の観点から見て弱い領域を強化するためのエクササイズを提言した References 1. Bahamonde RE. Joint power production during flat and slice tennis serves. In: Proceedings on the 15th International Symposium on Biomechanics in Sports. Wilkerson JD, Ludwig KM, and Zimmerman WJ, eds. Denton, TX: ISBS 1997. p. 489-494. 2. Bahamonde RE. Changes in angular momentum during the tennis serve. J Sports Sci 18: 579-592, 2000. 3. Bahamonde RE and Knudson D. Ground reaction forces of two types of stances and tennis serves. Med Sci Sports Exerc 33: S102, 2001. 4. Chow JW, Park S, and Tillman MD. Lower trunk kinematics and muscle activity during different types of tennis serves. Sports Med Arthosc Rehabil Ther Technol 1: 24, 2009. 5. Dillman CJ, Fleisig GS, and Andrews JR. Biomechanics of pitching with emphasis upon shoulder kinematics. J Orthop Sports Phys Ther 18: 402-408, 1993. 6. Ellenbecker TS, Roetert EP, Kibler WB, and Kovacs MS. Applied biomechanics of tennis. In: Athletic and Sports Issues in Musculoskeletal Rehabilitation. Magee D, Manske RC, and Zachazewski J, eds. St Louis, MO: Saunders, 2010. pp. 265-286. 7. Elliott B, Fleisig GS, Nicholls R, and Escamilla R. Technique effects on upper limb loading in the tennis serve. J Sci Med Sport 6: 76-87, 2003. 8. Elliott BC. Biomechanics of the serve in tennis. A biomedical perspective. Sports Med 6: 285-294, 1988. 9. Elliott BC. Biomechanics of tennis. In: Tennis. Renstrom P, ed. Oxford, United Kingdom: Blackwell Publishing, 2002. pp. 1-28. 10. Elliott BC, Marhs T, and Blanksby B. A three-dimensional cinematographical analysis of the tennis serve. Int J Sport Biomech 2: 260-270, 1986. 11. Elliott BC and Wood GA. The biomechanics of the foot-up and foot-back tennis service techniques. Aust J Sports Sci 3: 3-6, 1983. 12. Fleisig G, Nicholls R, Elliott B, and Escamilla R. Kinematics used by world class tennis players to produce high-velocity serves. Sports Biomech 2: 51-71, 2003. 13. Fleisig GS, Andrews JR, Dillman CJ, and Escamilla RF. Kinetics of baseball pitching with implications about injury mechanisms. Am J Sports Med 23: 233-239, 1995. 14. Fleisig GS, Barrentine SW, Zheng N, Escamilla RF, and Andrews J. Kinematic and kinetic comparison of baseball pitching among various levels of development. J Biomech 32: 1371-1375, 1999. 15. Girard O, Micallef JP, and Millet GP. Lowerlimb activity during the power serve in tennis: Effects of performance level. Med Sci Sports Exerc 37: 1021-1029, 2005. 16. Jobe FW, Tibone JE, Perry J, and Moynes D. An EMG analysis of the shoulder in throwing and pitching: A preliminary report. Am J Sports Med 11: 3-5, 1983. 17. Kibler WB.The 4000-watt tennis player: Power development for tennis. Med Sci Tennis 14: 5-8, 2009. 18. Kibler WB and Safran M. Tennis injuries. In: Epidemiology of Pediatric Sports Injuries. Caine D, and Maffuli N, eds. Basel, Switzerland: Karger. 2005, pp. 120-137. 19. Kovacs M, Chandler WB, and Chandler TJ. Tennis Training: Enhancing On-court Performance. Vista, CA: Racquet Tech Publishing, 2007. 20. Kovacs MS. Tennis physiology: Training the competitive athlete. Sports Med 37: 1-11, 2007. 21. Kovacs MS, Roetert EP, and Ellenbecker TS. Efficient deceleration: The forgotten factor in tennis-specific training. Strength Cond J 30: 58-69, 2008. 22. Matsuo T, Matsumoto T, Takada Y, and Mochizuki Y. Influence of lateral trunk tilt on throwing arm kinetics during baseball pitching. In: Proceedings of XVIII International Symposium on Biomechanics in Sports. Hong Y and Johns DP, eds. Hong Kong, China: The Chinese University of Hong Kong, 2000. pp. 882-886. 23. Miyashita M, Tsundoda T, Sakurai S, Nishizona H, and Mizunna T. Muscular activities in the tennis serve and overhead throwing. Scand J Sport Sci 2: 52-58, 1980. 24. Reid M, Elliott B, and Alderson J. Lower-limb coordination and shoulder joint mechanics in the tennis serve. Med Sci Sports Exerc 40: 308-315, 2008. 25 Roetert EP and Ellenbecker TS. Complete Conditioning for Tennis. Champaign, IL: Human Kinetics, 2007. 26 Roetert EP, Ellenbecker TS, and Reid M. Biomechanics of the tennis serve: Implications for strength training. Strength Cond J 31: 35-40, 2009. 27 Roetert EP and Groppel JL, eds. World-Class Tennis Technique. Champaign, IL: Human Kinetics, 2001. 28 Ryu KN, McCormick FW, Jobe FW, Moynes DR, and Antonell DJ. An electromyographic analysis of shoulder function in tennis players. Am J Sports Med 16: 481-485, 1988. 29 Van Gheluwe B and Hebbelinck M. Muscle actions and ground reaction forces in tennis. Int J Sport Biomech 2: 88-99, 1986. 30 Veeger HEJ and van der Helm FCT. Shoulder function: The perfect compromise between mobility and stability. J Biomech 40: 2119-2129, 2007. 31 Wuelker N, Korell M, and Thren K. Dynamic glenohumeral joint stability. J Shoulder Elbow Surg 7: 43-52, 1998. From Strength and Conditioning Journal Volume 33, Number 4, pages 22 30. 著者紹介 Mark S. Kovacs: 全米テニス協会 (USTA) 選手育成部門のスポーツ科学 / S&C 上級マネージャー 写真 21 フォロースルー局面 テニスサーブの完了期 写真 22 ジャンプ イントゥ シングルレッグRDL Todd S. Ellenbecker:Physiotherapy Associates Scottsdale Sports Clinicの理学療法士 臨床部長 および臨床研究ナショナルディレクター ATP( 男子プロテニス協会 ) ツアーのスポーツ医学ディレクターと 全米テニス協会 (USTA) スポーツ科学委員会委員長も務める 27