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4 演算増幅器と応用 目的演算増幅器 (Operatinal Amplifier 日本ではオペアンプと俗称されることがある ) は, 入力インピーダンスと増幅率が極めて大きいという優れた特性をもつアナログ型の増幅器で, 種々の機能をもつ電子回路を実現するのに用いられる応用範囲の広い要素である. 演算増幅器は, トランジスタ, ダイオード, 抵抗, コンデンサなどを複雑に組み合わせて構成されるが, 現在では, これをアナログ IC として入手することができ, あたかも1つの電子素子とし, ブラックボックス (black bx) 的に使用することができる. 本実験の目的は, 演算増幅器の基本原理を理解し, 演算増幅器 IC を用いたいくつかの基本回路を作成してその動作を確認することである. 基本的事項演算増幅器の IC は, 図 3-1(a) に示すように,DIP(Dual In line Package) 型パッケージに封入されている. 回路を働かせるのに必要な端子 ( 例 : 図 3-1(b)) が2 列に並んでいるため Dual In line の名がついている. 図 3-1(b) には, 最も簡単な回路構成を示す. これは2つの入力端子 ( 反転 -[-IN], 非反転 -[+IN] 入力端子 ) と1つの出力端子 [OUT], それに, 正負それぞれ1つの電源端子 [+,-] をもっている. 演算増幅器を扱う場合の重要な性質はつぎの2 点に要約される. 1 いずれの入力端子からも増幅器への電流の流入はない 2 両入力端子は, 実効的に, 同じ電位にある (irtual shrt) 図 3.1 図 3.2 原理 [1] 反転増幅回路図 3-2 の回路を考える. 非反転入力端子を接地 ( アース ) し, 入力抵抗 R1, フィードバック抵抗 Rfを図のように接続する. 図の向きを正に取って, 入力電圧を v i, 出力電圧を v0とし, 抵抗 R i に流れる電流を, 図の向きに i i とする.( 上記 1より ) 演算増幅器には電流が流れ込まないので, この電流はそのまま抵抗 Rfに流れる. さらに上記 2より, 反転入力端子 (-) の電位は非反転入力端子 (+) の電位に等しく 0 となる. したがって, v i = R i i i (3-1) 上で述べたことより,Rf に流れる電流が i1 に等しい. このことから, v = - Rfi i (3-2) - 19 -

が成り立つ.(3-1) と (3-2) から, v /v i = - Rf / R i (3-3) これは, 入力電圧 v i が - Rf / R i 倍されて出力端子に現れることを意味しており, 符号が負になることから反転増幅となる. 増幅率は入力抵抗 R1とフィードバック抵抗 Rfの大 きさで決定され,Rf/R i で与えられる. [2] 加算回路図 3-3 は, 反転増幅回路の入力を2つにしたもので, 入力抵抗で決まる係数の掛かった, 重み付きの加算回路となる.2つの入力電圧を v1,v2 とし, それぞれが入力抵抗 R1, R2 を介して反転入力端子に加わる. 出力電圧を v とすると, 反転入力端子の電位は 0 で, 電流の総和は 0 となることから, v1/r1+v2/r2 = - v/rf (3-4) が成り立つ. 特別な場合として,R1 = R2 = Rf であれば, v = -(v1+v2) (3-5) となって,( 反転 ) 加算が実現できる. [3] 差動増幅回路 ( 減算回路 ) 図 3-4 の回路を差動増幅回路と呼び,2つの入力電圧 v1,v2の差を増幅する働きをもつ. 出力電圧を v とすると, 反転入力端子 A での電位は Rf(v1-v)/(R1+Rf)+v =(Rfv1+R1v)/(R1+Rf) (3-6) 一方, 非反転入力端子 B での電位は R2v2/(R2+R3) (3-7) となり, 両者は等しい. いま, R2 = R1 で,R3 = Rf であれば, v =-(Rf/R1)(v1-v2) (3-8) で, 減算増幅回路が実現できる. i2 if Rf Rf R2 2 i1 R1 1 2 1 R2 R1 R3 = Rf 図 3-3 図 3-4 - 20 -

[4] 積分回路図 3-5 のように, 反転増幅回路のフィードバック抵抗をコンデンサで置き換えた回路は入力電圧の時間積分に ( 反転 ) 比例した出力を与える. 反転増幅器と同様, v1 = R1i1 (3-1) が成り立ち, 一方,(3-2) の代わりに, v = - (1/C) i1 dt (3-9) が成立する. i1 = v1 /R1 であるから, これを (3-9) に代入すると, v = - (1/CR1) v1 dt (3-10) となる. すなわち, 出力電圧は, 入力電圧の時間積分に比例する. [5] 微分回路図 3-6 のように, 反転増幅回路の入力抵抗をコンデンサで置き換えた回路は入力電圧の時間微分に ( 反転 ) 比例した出力を与える. フィードバック部分に関しては, 反転増幅器と同様, が成り立ち, 一方, 入力部分に関しては, v = - Rfi1 (3-2) v1 = (1/C) i1 dt (3-11) すなわち, i1 = C d v1/ dt (3-12) が成り立つ. 上と同様,(3-12) の i1 を (3-2) に代入すると となる. v = -C Rfd v1/ dt (3-13) C C R i R i 図 3-5 図 3-6 実験 : 反転増幅回路増幅回路 加算回路 実験では, 反転増幅回路と積分回路を取り上げる. 時間に余裕のある者は, 差動増幅回路等を試みよ. A, 使用 IC と電源 IC として MC3403 を用いる. この IC は図 3-7 に示すように,1パッケージに4 個の同じ - 21 -

演算増幅器が作りつけられている. 増幅器の動作には電源が必要である (+ と-). ブレッドボードに AC アダプタを接続して得られる 5 と GND(Grund) を用い, 図 3-8 に示す回路を作成して駆動電源 + と- を得る. なお, 両電源の中央点は, 基準点として, 演算増幅器のグランド (grund r earth) とする.FG やオシロスコープを接続する際のグランドはここに取る. ブレッドボード電源 オペアンプ IC + へ 5 GND 1kΩ 1kΩ 回路基準点 (GND) プローブ GND/ GND へ オペアンプ IC - へ 図 3-7 (Tp iew) 図 3-8 B. 実験手順 1. 電源ラインの配線ブレッドボードを使用する際, 電源 (+5 と GND) が取り出しやすいように上部と下部に配線する.+5 は赤被覆の導線,GND は黒被覆の導線を用いる. ブレッドボードには, 内部で既に一部配線がなされているので, 配線図を確認して行うこと. 2. 反転増幅回路の実験 2.1 図 3-2 の回路をブレッドボード上に作成する. 実際の回路では, R1=Rf= 10 kω とする. 2.2 電源と入力を接続する. 電源は図 3-8 の +,- を IC のそれぞれの端子 (+, -) に接続する. 入力は FG(Functin Generatr) の出力を反転入力端子 (-IN) に接続し, 非反転入力端子 (+IN) を図 3-8 の基準点 (GND) に接続する. 2.3 FG の出力を正弦波に設定し, 周波数を 1kHz, 出力電圧を最低にしておく (Amplitude のつまみを左一杯まで回す ). 2.4 反転増幅回路の入出力をオシロスコープ (OSC) で観測できるように, 回路と OSC を接続する.OSC の Ch.1 と Ch.2 に, それぞれ, 入力 (-IN) と出力 (OUT) を接続する. 2.5 入力信号 (FG の出力 ) の振幅や周波数を変えながら,OSC でその入力とそれに対する反転増幅器の出力を同時に観測し, 入出力の関係を, 波形の測定を通して, 確認する. 出力信号に雑音が乗る場合には, 図 3-8 の 1 kωの抵抗と並列に容量の大きなコンデンサ ( たとえば,1μF [105]) を接続する. オシロスコープを ALT モードにして, 同時観測ができるようにする. 入力の振幅は FG の Amplitude のつまみ, 周波数は Frequency のつまみとボタン ( khz) を用いて変える. 設定し - 22 -

た周波数は FG の表示と設定した周波数範囲 ( khz) で知ることができる. 2.6 反転の確認入力波形 (Ch.1) に対して出力波形 (Ch.2) が上下反転したものになっているか確認する [ 一方の山が谷になり, 谷が山に対応しているか?] 2.7 入出力関係入力電圧 ( 振幅, あるいは pp( ピークトゥピーク )) を, 順次,0.05 (50 m) 毎に,0.1 から 0.5 * まで変え (Ch.1 の波形の電圧を測定する ), それぞれに対する出力電圧 (Ch.2) を測定せよ ( データは 8~10 個取る ). 得られた結果を Ch1 と Ch.2 の関係が分かるように表にして示せ [ 記録様式は下記参照 ]. さらに, 結果を方眼紙上にグラフとして表せ. この関係は, 原理から予想されるものと合致しているか? そうでなければ, 何故か? 注 * : 入力電圧の大きさは厳密に, たとえば,0.25 などである必要はない, ほぼ 0.25 などに設定する. ただし, 設定した入力電圧は測定して記録しておくこと. 注 : 未知の入出力関係を知りたいとき, 一般には, 入力電圧を順次変えていく方法は得策ではない. 入力電圧を最初に少し大きく振って出力の様子を観察し, それに応じて入力の変え方を決定する.[ 記録書式は下記参照 ] 2.8 入力電圧を約 0.2 で一定にし, 周波数を 1 khz, 10 khz, 100 khz, 200 khz, 500 khz と変えて **, それぞれの周波数について出力電圧を測定せよ. 測定値から増幅率 ( 出力電圧 / 入力電圧 ) を計算で求めよ. 注 ** : この場合もほぼ 1 khz などでよい. 周波数は記録しておくこと.[ 記録書式は下記参照 ] 2.9 フィードバック抵抗 Rfを 10kΩから 33 kωに変更して,2.7 の実験を行い, 結果を表とグラフで示せ ( データは 8~10 個取る ). 出力波形が歪まないように入力電圧を小さくする. [ ボタン -20 db, あるいは, -40 db を用いる ].[ 記録書式は下記参照 ] 2.10 図 3-2 の回路にもう一つ入力抵抗を追加して 加算回路を構成する 2 台目の FG( 信号発生器 ) から 周波数の異なる矩形波 三角波などを入力し 波形を観測する ( 携帯電話などで写真などが撮れるならば 波形を撮影して報告する ) 加算回路については 定性的 な報告のみで構わない 記録書式の例 ( 後で経過を確かめたくなったときそれができるように ) 2.7 測定条件 入力信号の周波数 10 khz など 入力抵抗 Ri = 10 kω, フィードバック抵抗 Rf = 10 kω 入力電圧 vi (peak t peak) 出力電圧 v (peak t peak) 増幅率 OLT/DI 目盛数 電圧 ( 単位 ) OLT/DI 目盛数 電圧 ( 単位 ) v/vi 0.1 1.3 0.13 0.1 1.2 0.12-0.79 0.2 1.1 0.22 0.2 1.2 0.24-1.1 注意 : 増幅率の負 (-) は, 入力信号と出力信号が反転しているため. - 23 -

2.8 測定条件 入力抵抗 Ri = 10 kω, フィードバック抵抗 Rf = 10 入力電圧 vi = 0.20 など kω 入力の周波数 出力電圧 v (peak t peak) 増幅率 数値 単位 OLT/DI 目盛数 電圧 ( 単位 ) v/vi 1.01 khz 0.05 3.9 0.20-1.0 102.5 khz 0.05 3.8 0.19-0.95 2.9 測定条件 入力信号の周波数 10 khz など 入力抵抗 Ri = 10 kω, フィードバック抵抗 Rf = 33 kω 入力電圧 vi (peak t peak) 出力電圧 v (peak t peak) 増幅率 OLT/DI 目盛数 電圧 ( 単位 ) OLT/DI 目盛数 電圧 ( 単位 ) v/vi 0.1 1.1 0.11 0.2 1.6 0.32-2.9 0.2 0.97 0.19 0.2 3.1 0.62-3.3 実験 : 積分回路回路 微分回路 3.1 回路の作成反転増幅回路のフィードバック抵抗 Rf をコンデンサ C に代えて積分回 路を構成する. コンデンサは 0.01 μf(10 4 pf) を使用する.[10 10 3 pf 103] 3.2 実験は, 反転増幅回路の場合と同様, 入力と出力の関係をオシロスコープで観測しながら進めるが, ここでは, 入出力信号の波形相互の関係に注目する. FG の出力を方形波に設定する. その電圧を 0.20 とし, 周波数を 10 khz とする. 出力波形は三角波になるか? 歪んでいる場合は,FG の OFFSET のつまみを静かに引き出し, 左右に回してみる (Ch.1 に付随するレバーを DC にしておくと入力波形に直流成分が加わることが分かる ). 出力波形が三角波形になったら, レバーを DC にした状態で, ブラウン管上の方形波 [ 入力 ] と三角波 [ 出力 ] の波形を, 相互の時間関係がわかるように, 目盛り線を含めて写し取る. 必ず, 横軸, 縦軸の設定 ( μs/div や m/div など ) を記入すること. 3.3 一定電圧 ( 方形波電圧 ) を方形波の半周期分積分して得られる三角波のピークの電圧を - 24 -

測定し,(3-10) での定数 CR1を求めよ. これを回路で実際に使用した CR1の値と比較せよ. 原理は以下を参考にせよ. =-(1/CR) i d t (3-14) CR=-(1/) i d t = -(1/P)iDC (T / 2) (3-15) P:[ 出力 ] 三角波の p-p 電圧, T: 方形波の周期 idc:[ 入力 ] 方形波 ( 正 ) 直流成分 [=p-p 電圧 /2] こうすれば, 入力電圧 idc, 出力電圧 Pと周期 T の測定からCRの値が決まる. 一方, 実験に用いた抵抗の値 R[Ω] とコンデンサの容量 C[F] からも,CRの値が決まる両者がほぼ等しくなることを, 実験的に確かめる. 注意 :C: 単位 [F] ( ファラッド ),R: 単位 [Ω] ( オーム ) で表すと,C R は [s] の単位で表される ( なお,(3-15) 式の右辺 : [] [s]/[] = [s]) 3.4 入力信号に正弦波を入れる この時 出力波形がどうなるか観測し 位相差を測定する レポートでは 画面の写真と位相差についての定性的な考察を行うこと 3.5 C と R を入れ替えて微分回路を構成する 微分回路に方形波 正弦波 三角波をそれぞれ入力し どんな出力が得られるか波形を観測する 観測した波形について定性的に考察せよ - 25 -