資料 5-5 構造に係る基準 資料の素案 第 1 章総則 ( 設計基準 ) 1.2 用語の定義 軸組構法 : 建築基準法施行令第 3 章第 3 節に規定する木造の構法をいい 以下に定義する 軸組構法 ( 軸構造系 ) 及び 軸組構法( 壁構造系 ) を総称したもの 軸組構法( 壁構造系 ) : 建築

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第 14 章柱同寸筋かいの接合方法と壁倍率に関する検討 510

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目次構成

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階の施工方法 1 は, スパン表に従って 支点間距離が許容範囲内となるように施工します 2 根太受け金物は 原則的に床梁用を使用します ( 図 10) 釘打ちには 必ず 金物専用の ZN 釘を使用し 横架材へ ZN65 10 本 Ⅰ 形梁へ ZN40 4 本とします 3 火打梁を省略す

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資料 5-5 構造に係る基準 資料の素案 第 1 章総則 ( 設計基準 ) 1.2 用語の定義 軸組構法 : 建築基準法施行令第 3 章第 3 節に規定する木造の構法をいい 以下に定義する 軸組構法 ( 軸構造系 ) 及び 軸組構法( 壁構造系 ) を総称したもの 軸組構法( 壁構造系 ) : 建築基準法施行令第 46 条第 4 項の表 1 に掲げる軸組 ( 壁 筋かいなど 一般に 耐力壁 と総称されるもの ) による水平力抵抗要素を主に用いた軸組構法を総称したもの 軸組構法( 軸構造系 ) : 建築基準法施行令第 46 条第 2 項の集成材等建築物のうち 木造ラーメン等 建築基準法施行令第 46 条第 4 項の表 1 に掲げる軸組 ( 壁 筋かいなど 一般に 耐力壁 と総称されるもの ) による水平力抵抗要素を用いた 軸組構法 ( 壁構造系 ) 以外の軸組構法を総称したもの 四号建物 : 建築基準法第 20 条第四号に掲げる建物 木造にあっては 建築基準法施行令第 3 章第 3 節の仕様規定に適合すれば法的に構造計算が不要となる建物 準耐力壁 : 建築基準法施行令第 46 条第 4 項の壁量計算には耐力算入できないが 日本住宅性能表示基準においては耐力算入できる壁 ( 資料 ) 資料の適用に当たり 次の略語を使用している 国告 : 国土交通省告示 建告 : 建設省告示 基本的性能基準 : 官庁施設の基本的性能基準 ( 平成 18 年 3 月 31 日国営整第 156 号 国営設第 162 号 ) 総合耐震計画基準 : 官庁施設の総合耐震計画基準 ( 平成 18 年 8 月 4 日国営計第 66 号 国営整第 59 号 国営設第 57 号 ) 建築構造設計基準 : 建築構造設計基準 ( 平成 22 年 3 月 31 日国営整第 221 号 ) 建築構造設計基準の資料 : 建築構造設計基準の資料 ( 平成 22 年 3 月 31 日国営整第 222 号 ) 1

日本住宅性能表示基準 : 住宅の性能に関し表示すべき事項及びその表示方法を定める基準 ( 平成 13 年 8 月 14 日国土交通省告示第 1346 号 ) 評価方法基準 : 日本住宅性能表示基準に従って表示すべき住宅の性能に関する評価の方法の基準 ( 平成 13 年国土交通省告示第 1347 号 ) 長期使用基準 : 長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準 ( 平成 21 年国土交通省告示第 209 号 ) 荷重指針 : 建築物荷重指針 同解説 ( 日本建築学会 ) 木質規準 : 木質構造設計規準 同解説 - 許容応力度 許容耐力設計法 - 2006( 日本建築学会 ) RC 規準 : 鉄筋コンクリ-ト構造計算規準 同解説 1999( 日本建築学会 ) 基礎構造指針 : 建築基礎構造設計指針 同解説 ( 日本建築学会 ) 木造軸組設計 : 木造軸組工法住宅の許容応力度設計 2008 版 (( 財 ) 日本住宅 木材技術センター ) 枠組指針 : 枠組壁工法建築物構造計算指針 2007 年 (( 社 ) 日本ツーバイフォー建築協会 ) 2007 解説書 :2007 年版建築物の構造関係技術基準解説書 ( 国土交通省住宅局建築指導課他監修 ) RC 造 : 鉄筋コンクリ-ト造 2

第 3 章木造における構造の設計 ( 設計基準 ) 3.1 構造一般事項 (1) 構造計画は 意匠設計及び設備設計の担当者との協議のもとに 設計条件や要求性能を満たす構造体となるよう策定する (2) 敷地及び敷地周辺の地盤について 構造設計において必要な調査及び検討を行う (3) 地震動及び暴風に対して 官庁施設の所要の安全性を確保するため 耐震及び耐風に関する構造体の目標性能を定める (4) 構造体は 確実な応力伝達ができる構造要素及び接合形式により構成する (5) 構造体は 長期荷重に対して 有害な変形及び振動障害が生じないものとする (6) 水平力に対する抵抗要素は 平面的及び立面的につりあいよく配置することにより 地震動時及び暴風時における安全性を確保する (7) 構造体は その変形により建築非構造部材及び建築設備の機能に支障を及ぼすことのないよう設計する (8) 部材配置 部材断面 接合方法等は 施工性 耐久性及び耐火性について検討を行ったうえで決定する ( 資料 ) 3.1.1 構造計画構造計画に当たっては 敷地 地盤 建築物の用途 規模 将来計画 工事費 工期 耐火性能等の設計条件を十分把握し 意匠設計及び設備設計からの要求性能を満足させながら 所要の安全性 耐久性 耐火性 居住性 施工性等について構造体の性能を確保する 3.1.2 敷地及び周辺地盤敷地又はその周辺の地盤については 次のような事項を考慮して構造設計を行う (1) がけ地に近接して建築物が計画される場合 1 建築物の位置は がけ上及びがけ下いずれに建つ場合も がけ下端からの水平距離をがけ高の2 倍程度以上確保する 2 斜面のすべり破壊の検討を行い 安全を確かめる 3 がけ上に建つ建築物等の荷重を考慮して設計された擁壁等を設ける なお ここでいう がけ とは 宅地造成等規制法施行令 ( 昭和 37 年政令第 16 号 ) 第 1 条に規定するものをいう (2) 飽和砂質土層等が存在する地盤に計画される場合 1 液状化発生の有無の検討を行う 2 液状化発生が予想される場合には 液状化を考慮した地盤改良等を行う 3

(3) 地盤沈下が予想される地域に計画される場合 1 地盤改良等の地業計画を適切に行う 2 不同沈下による建物の影響が最小となるように 基礎等の剛性を高くするか またはエキスパンションを設ける等の対応を行う 3.1.3 耐震及び耐風に関する性能の目標 (1) 耐震に関する性能の目標耐震に関する性能の目標は 原則として 構法別に表 3.1 に示す方法によることとする なお 表中の割増率は 長期にわたって使用する観点から 適切に設定する 表 3.1 耐震に関する性能の目標 構法軸組構法 ( 壁構造系 ) 軸組構法 ( 軸構造系 ) 一般施設 - - 耐震に関する性能の目標長期にわたって使用する上で高い性能を求める施設 (1) 限界耐力計算を行う場合安全限界変形角を 1/40 以下とする (2) 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合 1 許容応力度計算を行う場合標準せん断力係数 Coを割増しして部材が許容応力度以内であることを確認する 2 保有水平耐力計算を行う場合稀に発生する地震動による地震力を割り増しした上で構造躯体に損傷が生じないこと 及び 極めて稀に発生する地震動による地震力を割り増しした上で構造躯体が倒壊 崩壊等しないことを確認する (1) 限界耐力計算を行う場合安全限界変形角を 1/40 以下とする (2) 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合 1 許容応力度計算を行う場合標準せん断力係数 Coを割増しして部材が許容応力度以内であることを確認するとともに 水平抵抗要素に関する荷重変形特性の検討等を行い 大地震動時の変形に対する検討を適切に行う 2 保有水平耐力計算を行う場合稀に発生する地震動による地震力を割り増しした上で構造躯体に損傷が生じないこと 及び 極めて稀に発生する地震動による地震力を割り増しした上で構造躯体が倒壊 崩壊等しないことを確認する 枠組壁工法 - 軸組構法 ( 壁構造系 )(2) による 4

木質プレハブ工法 - 軸組構法 ( 壁構造系 )(1) 又は (2)2による 型式適合認定による場合は 過半が住宅用途である場合に限定されるため 対象としない 丸太組構法 - 軸組構法 ( 壁構造系 )(2)1 による (2) 耐風に関する性能の目標耐風に関する性能の目標は 原則として 構法別に表 3.2 に示す方法によることとする なお 表中の割増率は 長期にわたって使用する観点から 適切に設定する 表 3.2 耐風に関する性能の目標 構法軸組構法 ( 壁構造系 ) 軸組構法 ( 軸構造系 ) 一般施設 - - 耐風に関する性能の目標長期にわたって使用する上で高い性能を求める施設 (1) 限界耐力計算を行う場合稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体に損傷が生じないことを確認すること 及び極めて稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体が倒壊 崩壊等しないことを確認する (2) 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合 1 許容応力度計算を行う場合 令 第 87 条の風圧力を割増して部材が許容応力度以内であることを確認する 2 保有水平耐力計算を行う場合稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体に損傷が生じないことを確認すること 及び極めて稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体が倒壊 崩壊等しないことを確認する (1) 限界耐力計算を行う場合稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体に損傷が生じないことを確認すること 及び極めて稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体が倒壊 崩壊等しないことを確認する (2) 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合 1 許容応力度計算を行う場合 令 第 87 条の風圧力を割増して部材が許容応力度以内であることを確認する 水平抵抗要素に関する荷重変形特性の検討等を行い 極めて稀に発生する暴風時の変形に対する検討を適切に行う 5

2 保有水平耐力計算を行う場合稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体に損傷が生じないことを確認すること 及び極めて稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体が倒壊 崩壊等しないことを確認する 枠組壁工法 - 軸組構法 ( 壁構造系 )(2) による 木質プレハブ工法 - 軸組構法 ( 壁構造系 )(1) 又は (2)2による 型式適合認定による場合は 過半が住宅用途である場合に限定されるため 対象としない 丸太組構法 - 軸組構法 ( 壁構造系 )(2)1 による 3.1.3 長期的な障害に対する検討 告示 ( 平 12 年建告第 1459 号 ) に基づき 梁 母屋 床板及び根太は 十分な強度や剛性を確保する等により 長期荷重に対してクリープ等による有害な変形及び振動障害が生じないようにする たわみ量に変形増大係数を乗じた値が 梁についてはスパンの 1/300 以下かつ 20mm 以下 屋根材に用いる横架材については 1/200 以下とすることを原則とする たわみ量の計算に用いる断面 2 次モーメントは 仕口等による欠損の影響を適切に考慮した値とする 変形増大係数や積雪時のたわみ制限比 断面 2 次モーメントについては 木造軸組設計 2.5.1 に準ずる また たわみ量の計算に用いる材料のヤング係数は 建築基準法令では定められていないため 木質規準 の値を用いる 床板及び根太については 板張り ( フローリング ) 仕上げ等 たわみに対する追従性の低いものを用いる場合は 1/450 以下とするなど 仕上げ材の変形追従性に応じてたわみを制限すること 振動障害については 4.5 振動による 3.1.4 水平抵抗要素水平力に対する抵抗要素の計画については 次の事項を十分考慮して設計する (1) 平面上の偏心について原則として 平面上の偏心に関する検討は四分割法ではなく偏心率の計算に依る 偏心率の計算に当たっては 準耐力壁の剛性については評価しない 四号建物及びルート 1 における平面上の偏心については 本基準においては原則すべて偏心率の計算を行い 0.30 以下であることを確認する 6

ルート 2 における平面上の偏心については 0.15 以下であることを確認する 0.15 を超える場合には 保有水平耐力計算以上の計算を行う 令 第 46 条第 2 項の計算を行う場合は 偏心率が 0.30 を超える場合は保有水平耐力の確認を行う 偏心率が 0.15 を超え 0.30 以下の場合はFeによる外力割増し ねじれ補正 保有水平耐力の確認のいずれかを行わなければならない ルート 3( 保有水平耐力の計算 ) の計算における偏心率の取扱いについては 法令によるほか 最新の知見を考慮して計算する その他 混構造や鉄筋コンクリート造併用建築物 (1 階を RC 2,3 階を木造としたもの ) の場合は 平 19 国告第 593 号第三号又は第四号に基づき 偏心率の計算を求める場合があるので注意する なお 偏心率による検定法として 木造軸組設計 2.3.3 を参考とする (2) 立面上の剛性について耐力壁は 上下方向に連続させて立面的につりあいよく配置する なお 建築基準法において剛性率の計算が必要なのはルート 2 以上の計算に限られる 0.6 を下回る場合には 保有水平耐力の確認を行う 鉄筋コンクリート造併用建築物 (1 階を RC 2,3 階を木造としたもの ) の場合にも 平 19 国告第 593 号第三号又は第四号に基づき 剛性率の計算を求められる場合があるので注意する なお 剛性率による検定法として 木造軸組設計 4.8.2 を参考とする (3) 建築物の形状について 1 架構の各部分が同じ振動性状になるように整形な形状とすることが望ましいが 不整形な平面計画が避けられない場合は エキスパンションジョイントを設け 別の建築物として計画し 単体の建築物としての整形化を図るか 又は振動特性を考慮したより詳細な検討を行い 応力集中部分等を適切に設計する 2 次のア~イの建築物には 原則として エキスパンションジョイントを設ける エキスパンションジョイントの幅は 大地震動時に生じる両ブロックの水平変位の和として決定する ア平面形状が T 型 L 型である場合や 平面的に階数が大きく異なる場合等で 振動特性がブロックごとに大きく異なっていると推定される建築物イ増築の際に 既存建築物に対し別棟として扱う必要がある場合 3.1.5 変形性能の確認構造体の変形により 建築非構造部材及び建築設備に脱落が生じないようにするため 構造体の変形性能について 各構法に応じてそれぞれ表 3.3 の方法により 制限値以下であること又は記載内容を満たすことを確認する 軸組構法 ( 軸構造系 ) の構造形式を採用する際には 特に留意する 7

表 3.3 各構法ごとの変形性能の確認方法 構法軸組構法 ( 壁構造系 ) 軸組構法 ( 軸構造系 ) 枠組壁工法木質プレハブ工法丸太組構法 変形性能の確認方法 (1) 限界耐力計算を行う場合安全限界変形角を 1/30 以下とする (2) 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合 柱頭柱脚等の接合部を破壊させない 水平構面を破壊させない 柱を折損させない 等に注意して設計を行う (1) 限界耐力計算を行う場合安全限界変形角を 1/30 以下とする (2) 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合水平抵抗要素に関する荷重変形特性の検討等を行い 大地震動時の変形に対する検討を適切に行う また 接合部や柱脚について十分な剛性と靱性を確保する 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合 壁脚部等の接合部を破壊させない 水平構面を破壊させない 等に注意して設計を行う (1) 保有水平耐力計算を行う場合 壁脚部等の接合部を破壊させない 水平構面を破壊させない 等に注意して設計を行う (2) 型式適合認定による場合安全限界変形角は 1/45 以下となっている 許容応力度計算を行う場合は 変形能力の小さい耐力要素を用いない 水平構面を破壊させない 等に注意して設計を行う 3.1.6 その他考慮すべき性能部材断面を決定する場合には 接合部の納まりを確保し 所要の構造体の性能を確保できるようにするとともに 燃え代も含めて 施工性 耐火性及び耐久性を十分考慮する 8

( 設計基準 ) 3.2 構造種別 (1) 木造の構造種別は 耐震性能の確保のほか 規模 形状 経済性等を考慮して決定する (2) 木造と木造以外の構法を組み合わせて混構造として設計する場合は 異種構造間の応力の伝達 剛性の違いに留意するとともに 特別な検討を行わない場合は 少なくとも各構造に対するそれぞれの規定を満足するようにしなければならない ( 資料 ) 3.2.1 混構造への配慮 (1) 高さ方向に構造が異なる場合鉄筋コンクリート造併用建築物 (1 階部分を鉄筋コンクリート造 2 階以上の部分を木造とした建築物 ) については 平 19 国告第 593 号第四号の規定に基づき 1 階の剛性率の確認及び二次設計が免除される場合の条件に留意する (2) 平面的に構造が異なる場合平 19 国告第 593 号第三号の規定に基づき 二次設計が免除されることがあるので留意する 1 エキスパンションジョイントを設け 構造種別ごとに分離して設計する 2 分離しない場合で 一体の鉄筋コンクリート造等の床 ( 十分な剛性と耐力を持つ水平構面 ) を有し この床を通じて異なる構造の耐震要素間の力の伝達が十分にできる場合等には 一体として設計する また 平面的に併用される構造の剛性が大きく異なる場合には 剛性の低い構造の部分の地震力のすべてまたはその大部分を剛性の高い構造部分で負担できるように設計し 更に 剛性の低い部分は独立してそれ自身に作用する地震力に対して設計するという方法でもよい 平面的混構造の代表的な形式と設計上の留意点について表 3.4 に示す 9

分類センタ コア 表 3.4 平面的混構造の代表的な形式分類表イメージ図留意点建物のねじれ変形が大きくなる場合は 必要に応じて建物外周部または外周付近に耐震要素を配置し ねじれ変形を防止する 片コア 建物のねじれ変形が大きくなる場合は 必要に応じて建物外周部または外周付近に耐震要素を配置し ねじれ変形を防止する 両コア 中間部の変形が過大になる場合は 必要に応じて中間部にも耐震要素を配置する いずれの分類においても 梁に発生する軸方向力に対して 梁及び異種構造間接合部において安全であることを確認する 床の剛性は 木造部分が負担すべき水平力が 剛性の高い部分に伝達できるよう設計をおこなう 10

木造と鉄筋コンクリート造を平面的に併用した構造とした場合の固有周期は フレーム解析等によりそれぞれの剛性に応じた負担率を勘案して適切に設定する (3) 部材ごとに構造が異なる場合 1 一次設計は通常通り行う ( 固有周期の計算は 部材の弾性剛性に基づき 重力式又は固有値解析により求めることが望ましい ) 2 二次設計の耐震設計ルートは構造全体の特性を考慮して決める 3 異種の構造の部材間の接合部分における応力の伝達に注意して設計する (4) 木質ハイブリッド部材を用いる場合木質系と非木質系構造材料を複合した木質ハイブリッド部材を用いる場合は 最新の知見を考慮して設計を行う 11

( 設計基準 ) 3.3 材料 (1) 木造の構造体に用いるコンクリート 鉄筋及び鋼材の材質については 日本工業規格に適合するもの又は建築基準法第 37 条の規定に基づく認定を受けたものとする (2) 構造体に用いるコンクリートに 耐久性を損なう有害な物質が含まれている可能性のある場合は 適切な対策を講ずる (3) 木造の構造体に用いる製材及び丸太は 原則として 日本農林規格に適合するもの又は建築基準法第 37 条の規定に基づく認定を受けたものとする (4) 木造の構造体に用いる構造用集成材 枠組壁工法構造用製材 単板積層材 構造用パネル及び構造用合板は 日本農林規格に適合するもの又は建築基準法第 37 条の規定に基づく認定を受けたものとする (5)(1)~(4) の組み合わせは建築物の規模 構造種別及び各材料の特性を考慮して決定する ( 資料 ) 3.3.1 コンクリート 鉄筋 鋼材の材質 (1) コンクリート普通コンクリ-トの設計基準強度は 18 N/ mm 2 以上 36 N/ mm 2 以下を標準とし 65 年程度の耐久性を期待する場合は 原則として 24N/mm 2 以上とする また 耐久性のうえで有害な物質を含むおそれのあるコンクリ-トは 原則として 構造体には使用しない ただし 地域的に塩分を含む細骨材の使用 海塩粒子による塩害等が避けられない場合には 鉄筋にエポキシ樹脂塗装を施したものを使用する ( 有効な防せい処理のなされた鉄筋の使用による防せい対策について ( 平成元年 10 月 25 日建設省住指発第 407 号 )) 等の方法がある なお エポキシ樹脂塗装鉄筋を用いる場合は 許容付着応力度が低減される等の制約に対して必要な対策を講ずる (2) 鉄筋鉄筋の径 材質は 原則として統一し 施工上の混乱を避けるためにも同径のものは材質も同じとする 表 3.5 に鉄筋の種別及び継手工法の標準を示す 表 3.5 鉄筋の種別及び継手工法の標準 鉄筋種別 継手工法 使用範囲 SD295A 重ね継手 基礎の鉄筋地階の壁 スラブ等の鉄筋地階の帯筋 あばら筋 1 階が壁式構造の主筋 SD345 ガス圧接一般の鉄筋コンクリート柱及び梁等の主筋重ね継手応力の大きな地下壁及び耐圧スラブ 12

(3) 鋼材木造において 母屋又は胴縁等に用いる場合の鋼材やボルト類は 引張強度が 400N/ mm 2 までの鋼材を対象とする 表 3.6 に 主な鋼材の種別とその主な使用部位の標準を示す 表 3.5 主な鋼材の種別とその主な使用部位の標準 構材種別 主な使用部位 規格 一般構造用圧延鋼材 SS400 6 mm未満の丸鋼及び鋼材に使用する JIS G 3101 一般構造用軽量形鋼 SSC400 仕上材取付用 2 次部材 工作物 JIS G 3350 建築用タ - ンバックル 六角ボルト 六角ナット 座金筋 くぎ 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯 冷間圧延軟鋼板及び鋼帯 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 SS400 SNR400B ボルトの材質は鋼またはステンレス鋼とする N 釘 CN 釘 SPHC SPCC 一般用 SGHC 又は SGCC 耐震ブレ - ス 水平ブレース アンカーボルト ホールダウン金物用ボルト 2 次部材の接合用 JIS A 5540 JIS A 5541 JIS A 5542 JIS B 1180 JIS B 1181 JIS B 1256 構造用合板張り耐力壁 水平構面 JIS A 5508 羽子板ボルト等の横架材 - 横架材接合部 ホールダウン金物等の耐力壁等の柱脚 - 基礎接合部 羽子板ボルト等の横架材 - 横架材接合部 ホールダウン金物等の耐力壁等の柱脚 - 基礎接合部 山形プレート等の柱 - 横架材接合部 ひねり金物等のたるき- 軒桁 母屋接合部 Z マーク金物又は C マーク金物等を用いることが可能 JIS G 3131 JIS G 3141 JIS G 3302 3.3.2 製材及び丸太の材質製材は 建築基準法第 37 条及び昭 62 建告第 1898 号において指定建築材料となっていないため 仕様規定に定めがある場合 ( 令 第 46 条第 2 項等 ) を除き 通常は木造の構造体に用いる木材を日本農林規格に適合する必要はないが 構造計算に用いる製材として一定の品質を確保する観点から 本基準においては 原則として 日本農林規格に適合する製材を用いることとする なお 日本農林規格に適合する製材を用いる必要がない場合としては 例えば仮設建築物など 長期にわたる品質の確保が不要である場合や 日本農林規格に適合する製材の入手が極めて困難な場合に限り 一定の機械的性質を確認した上で日本農林規格に適合する製材以外の製材 ( 無等級材等 ) を用いてもよいこととする 丸太についても 製材と同様の取扱いとする 13

なお 令 第 46 条第 2 項の構造計算を行う場合に用いることのできる製材は 昭 62 建告第 1898 号により 含水率 15% 以下 ( 乾燥割れにより耐力が低下するおそれの少ない構造の接合とした場合にあっては 20% 以下 ) に抑制された日本農林規格の構造用製材に限定されるため 注意が必要である 表 3.6 に 主な製材及び丸太の種別とその主な使用部位の標準を示す 表 3.6 主な製材及び丸太の種別とその主な使用部位の標準 製材種別 ( 平 12 建告第 1452 号による区分 ) 主な使用部位 規格 ( 日本農林規格 ) 製材のうち 針葉樹を材料とするもの 目視等級区分 第一号 であって 建築物の構造耐力上主要な部 構造用製材 機械等級区分 第二号 分に使用することを主な目的とするもの 許容応力度計算を行う場合の 構造耐力上主要な部分に用いる部材 構造用製材 許容応力度計算を行わない場合の 構 造耐力上主要な部分に用いる部材 構造耐力上主要な部分以外の部分に使 無等級材 第六号 用する部材 日本農林規格適合製材の入手が極めて 規格なし 困難な場合であって 一定の機械的性質 を確認した場合の構造耐力上主要な部 分に用いる部材 丸太組構法における構造耐力上主要な 部分に用いる部材 丸太 - 建築その他一般の用に供される素材 素材 ( 丸太及びそま角 ) の用に供される丸太 に適用する 3.3.3 その他の木材の材質主要構造部に用いられるその他の木材の材質は 平 12 建告第 1446 号の規定に基づき 日本工業規格又は日本農林規格に適合するものを用いる 表 3.7 に 製材及び丸太を除く主な木材の種別と内容を示す 14

表 3.7 製材以外の主な木材の種別と内容 木材種別 ( 平 12 建告第 1452 号及び平 13 国 内容 告第 1024 号による区分 ) 第 1452 号 枠組壁工法建築物の構造耐力上主要な 枠組壁工法構造用製材 第 1 項 部分に使用する材面に調整を施した針 第三号 葉樹の製材 ( 目視等級区分 ) 第 1452 号枠組壁工法構造用たて枠組壁工法構造用たて継ぎ材に使用す第 1 項継ぎ材る製材第四号 規格 ( 日本農林規格 ) 枠組壁工法構造用製材 枠組壁工法構造用たて継ぎ材 機械による曲げ応力等級区分を行う枠組壁工法構造用製材 第 1452 号第 1 項第五号 枠組壁工法建築物の構造耐力上主要な部分に使用する材面に調整を施した針葉樹の製材 ( 機械等級区分 ) 枠組壁工法構造用製材 構成するラミナの品質が同一でない構 造用集成材であって はり等高い曲げ 対称異等級構成集成材 第 1024 号第 3 第二号表 1 性能を必要とする部分に用いられる場合に 曲げ応力を受ける方向が積層面に直角になるよう用いられるもののうち 異等級構成集成材のラミナの品質 構造用集成材 の構成が中心軸に対して対称であるも のをいう 構成するラミナの品質が同一でない構 造用集成材であって はり等高い曲げ 非対称異等級構成集成材 第 1024 号第 3 第二号表 2 性能を必要とする部分に用いられる場合に 曲げ応力を受ける方向が積層面に直角になるよう用いられるもののうち 異等級構成集成材のラミナの品質 構造用集成材 の構成が中心軸に対して非対称である ものをいう 構成するラミナの品質が同一の構造用 集成材であって ラミナの積層数が 2 同一等級構成集成材 第 1024 号第 3 第二号表 3 枚又は3 枚のものにあっては はり等高い曲げ性能を必要とする部分に用いられる場合に 曲げ応力を受ける方向が積層面に平行になるよう用いられる 構造用集成材 ものをいう 15

集成材のうち 所要の耐力を目的とし 化粧ばり構造用集成柱 第 1024 号第 3 第二号表 4 て選別したひき板を積層接着し その表面に美観を目的として薄板を貼り付けたもので 主として在来軸組工法住宅の柱材として用いられるものをい 構造用集成材 う 構造用単板積層材 第 1024 号第 3 第二号表 5 単板積層材のうち 主繊維方向に直交する単板を入れる場合 その使用を最外層の隣接部分に限定したものであって 主として構造物の耐力部材として用いられるものをいう 単板積層材 パネル ( 木材の小片を接着し板状に成 型した一般材又はこれにロータリーレ 構造用パネル - ース スライサー等により切削した単板を積層接着した一般材をいう ) の 構造用パネル うち 主として構造物の耐力部材とし て用いられるものに適用する 合板のうち 建築物の構造耐力上主要 構造用合板 - な部分に使用するもの ( さね加工を施 合板 したものを含む ) をいう 16

( 設計基準 ) 3.4 荷重及び外力 (1) 構造体に作用する荷重及び外力の種類は 建築基準法施行令 ( 昭和 25 年政令第 338 号 以下 令 という ) 第 83 条の規定による (2) 固定荷重は 令 第 84 条の規定による (3) 積載荷重は 令 第 85 条第 1 項の規定による 積載荷重の部分的載荷による影響は 必要に応じて検討する (4) 積雪荷重は 令 第 86 条の規定による 雪おろしによる荷重の低減は行わない (5) 風圧力は 令 第 87 条の規定による (6) 地震力は 令 第 88 条の規定による (7) その他 必要に応じて 建物に作用する荷重を適切に考慮する ( 資料 ) 3.4.1 荷重及び外力の種類構造体に作用する荷重及び外力の種類は 令 第 83 条に定められている固定荷重 積載荷重 積雪荷重 風圧力及び地震力とする また 設備機器等による振動及び衝撃力 施工時の作業荷重並びに地中部分等における土圧又は水圧も必要に応じて考慮する 3.4.2 固定荷重木造の構造計算に用いる固定荷重は 荷重指針 及び 木造軸組設計 2.2.1 を参考に適切に計上する また 設備荷重 ALC 版等の特殊な床下地を用いる場合は 適切に計上する 木材の比重により構造体の固定荷重を計算する場合の木材の比重は 特に調査をしない限り 表 3.8 によってよい 表 3.8 木材の比重比重 γ 木材種別 ( 含水率 15% 以下 ) べいまつ くろまつ あかまつ からまつ つが等べいひ べいつが ひば ひのき もみ等とどまつ えぞまつ べにまつ スプルース すぎ べいすぎ 等 0.50 程度 0.44 程度 0.38 程度 3.4.3 積載荷重 (1) 積載荷重積載荷重については 令 第 85 条第 1 項の規定によるほか 表 3.9 に示す値を用いる なお 表に示す以外の居室等及び特殊な使われ方をされる居室等については 設計時に居室等の使用方法を十分調査し 実況に応じて算定する また フレキシビリティの観点から 2.5.2 フレキシビリティへの配慮 で検討した内容に応じて積載荷重の割増等を行う 17

表 3.9 積載荷重 ( 単位 :N/m 2 ) 室名等 床版又は小梁計算用 大梁 柱又は基礎計算用 常時人が使用する場合 ( 学校の類を除く ) ( 学校の類 ) 地震力計算用備考屋1,800 1,300 600 令 第 85 条の屋上広場を 2,900 2,400 1,300 通常人が使用しない場合 980 600 400 準用 上短期荷重とする ( 作業荷重を体育館 武道場等 980 0 0 考慮 ) 積雪荷重及び風荷重との組 合せは行わない 片持形式のハ ルコニー 庇等 1,800 1,300 600 令 第 85 条のハ ルコニーを準用 事務室 会議室及び食堂 2,900 1,800 800 令 第 85 条による 研 究 室 2,900 1,800 800 実況に応じて算定する 教 室 2,300 2,100 1,100 令 第 85 条による 劇場 映画館 演芸場 観覧場 公会堂 集会 固定席 2,900 2,600 1,600 場その他これらに類す 令 第 85 条による る用途に供する建築物の客席又は集会室 その他 3,500 3,200 2,100 法務局登記書庫 5,900 4,900 3,900 一般書庫 倉庫等 7,800 6,900 4,900 移動書架を設置する書庫 電算室の空調機室 用具庫等 一般実験室 書架段数 間隔等は検察庁支部 法務局支局等庁舎設計基準及び同設計資料による 通常の階高の室に満載の書架を配置した場合 11,800 10,300 7,400 一般書庫の 1.5 倍程度 化学系 3,900 2,400 1,600 物理系 4,900 3,900 2,500 電算室 4,900 2,400 1,300 機械室 4,900 2,400 1,300 体育館 武道場等 3,500 3,200 2,100 床版又は小梁計算用は電算室用既製床の耐荷重の値 他は 令 第 85 条の店舗の売場を準用 床版又は小梁計算用は機械の平均的な重量の値 他は 令 第 85 条の店舗の売場を準用 振動等を考慮し 令 第 85 条の劇場等 ( その他 ) を準用 18

(2) 積載荷重の部分的載荷による影響主たる用途が倉庫で 固定荷重に対する積載荷重の割合が大きい場合には 内容物の平面的な収納の方法によって載荷位置が極端に偏り 建築物全体の構造特性が 設計で仮定したものより危険側になる場合がある このような場合には 部分載荷による影響を必要に応じて考慮する なお 令 第 85 条第 2 項の規定による支える床の数に応じた柱及び基礎の鉛直荷重の低減は 原則として行わない ただし 引き抜き 転倒を検討する場合には 支える床の数に応じた低減を必要に応じて行う 3.4.4 積雪荷重 (1) 積雪荷重積雪荷重については 令 第 86 条の規定により 積雪の単位荷重に屋根の水平投影面積及びその地方における垂直積雪量を乗じて計算する ただし 規則により特定行政庁が 告示 ( 平 12 建告第 1455 号 ) によってこれらの値を定めている場合はそれによる 建築物周囲の地形及び屋根形状によっては 風の影響等により積雪分布が著しく不均一となる可能性があり 特に壁面の片側積雪及び屋根の谷部の吹きだまりについても必要に応じて考慮する また 建築物の外壁に接する積雪によって生ずる側圧が無視できなくなるおそれのある場合は 積雪の側圧による荷重を考慮して設計する (2) 雪おろしによる荷重の低減 令 第 86 条第 6 項の規定に定められている雪おろしによる荷重の低減は行わない ただし 融雪装置 落雪装置等有効な手段が講じられていれば 垂直積雪量を減らして計算できる場合がある 具体的には特定行政庁に確認する (3) 令 第 46 条第 4 項における壁量の計算を行う場合許容応力度計算を行う場合は積雪荷重が適切に考慮されるが 令 第 46 条第 4 項の壁量規定には積雪荷重が考慮されていないため 住宅用途において許容応力度計算を行わない四号建物においても 令 第 46 条第 4 項における壁量を確認する際に積雪荷重を適切に考慮する 3.4.5 風圧力 (1) 許容応力度計算を行う場合設計用風圧力は 令 第 87 条及び 告示 ( 平 12 建告第 1454 号 ) の規定により算定する また 屋根ふき材 外装材及び建築物の屋外に面する帳壁を支持する母屋及び同縁等の風圧力に対しての検討については 令 第 82 条の 4 及び 告示 ( 平 12 建告第 1458 号 ) の規定により行う 19

(2) 令 第 46 条第 4 項における壁量の計算を行う場合許容応力度計算を行う場合 風圧力は基準風速ごとに適切に考慮されるが 令 第 46 条第 4 項の壁量規定には見付け面積当たりの壁量の規定は 50cm/ m2で一定であることに鑑み 住宅用途において許容応力度計算を行わない四号建物においても 地域に応じて適切に割増を行う 3.4.6 地震力 (1) 地上部分の地震力建築物の高さが 60m 以下の地震力は 令 第 88 条及び 告示 ( 昭 55 建告第 1793 号 ) の規定により算定する なお Ai 分布の計算に用いるTと Rt の計算に用いるTは同じものを用いる (2) 地下部分の地震力地下部分に作用する地震力は 令 第 88 条第 4 項による ただし 建築物の振動性状を適切に評価して計算する場合には その方法によってもよい なお 地下部分とは 地階であるか否かにかかわらず 計算にあたって振動性状等を勘案して地下部分と見なせることができる部分とする 3.4.7 その他荷重以下の荷重は 建築構造設計基準 を参考として 適切に設定する (1) 局部地震力 (2) 設備機器に作用する地震力 (3) 通信鉄塔に作用する地震力 (4) 独立煙突に作用する地震力 (5) 杭に作用する地震力 (6) 土圧及び水圧 (7) 地下外壁に作用する土圧等 (8) 擁壁に作用する土圧等 (9) その他 移動荷重 設備機器の荷重 施工時の作業荷重による影響 20

( 設計基準 ) 3.5 構造計算 (1) 構造計算は 建築物の規模 構造種別等に応じて行い 原則として 許容応力度計算又はそれ以上の高度な計算を行う (2) 構造計算は 構造設計の信頼性を確保するよう地盤特性 荷重等を考慮して行う (3) 構造材料の強度は 令 第 95 条 第 96 条 第 97 条 第 98 条及び第 99 条の規定による (4) 地階を有する建築物は 実況に応じて 土圧及び水圧を考慮して設計する (5) 許容応力度計算は 令 第 82 条の規定により応力解析を行い 各部材の応力度の確認を行う (6) 構造材料の許容応力度は 令 第 89 条 第 90 条 第 91 条 第 92 条 第 92 条の 2 及び第 94 条の規定によるほか 使用する部材の応力度の算定方法に応じて定める (7) 大梁及び小梁の応力は 接合部の拘束条件を考慮して算定する (9) 架構は 水平力により生じる応力が 適切に算定されるようモデル化する (10) 架構の応力解析は 剛床仮定が成り立つものとして行う (11) 構造体の保有水平耐力は 法令等によるほか 最新の知見を考慮して計算する (12) 限界耐力計算及び時刻歴応答解析については 法令等によるほか 最新の知見を考慮して計算する ( 資料 ) 3.5.1 構造計算の方法構造計算にあたり 特に次の事項について留意する 建築基準法の木造建築物の構造関係規定においては 令 第 3 章第 3 節に規定される在来軸組構法 令 第 46 条第 2 項に規定される集成材等建築物 平 13 国告第 1540 号に規定される枠組壁工法及び木質プレハブ工法 平 14 国告第 411 号に規定される丸太組構法 平 19 国告第 593 号第四号に規定される鉄筋コンクリート造併用建築物が分類されている これ以外の木造建築物を建築する場合には 構造規定としては 限界耐力計算又はエネルギー法を行うか あるいは時刻歴応答計算を行って個別の認定を受けるか いずれかが必要となる また 他の構造 例えば鉄筋コンクリート造や鉄骨造との併用構造になると 平 19 国告第 593 号第三号の規定により 要求される構造計算が上記と異なるため注意が必要である 建築基準法においては 木造建築物は地階を除く階数 2 以下 高さ 13m 以下 軒の高さ 9m 以下 延べ床面積 500 m2以下のいずれかの制限を超えた場合に限り 構造計算が要求されるが 建築基準法が住宅用途を対象に最低限の基準として制定されていることから 主として事務所用途を対象としている本基準においては この制限内の建物であっても 許容応力度計算又はそれ以上の高度な計算を行い安全性の確認をする ( ただし 住宅用途に供する建築物を除く ) 21

高さが 13m 以下 軒の高さが 9m 以下の場合は ルート 1 の許容応力度計算又はそれ以上の高度な計算又はそれ以上の高度な計算 上記の高さのいずれかが制限を超えた場合であって 高さが 31m 以下の場合は ルート 2 の許容応力度等計算又はそれ以上の高度な計算 高さ 31m を超える場合であって 高さが 60m 以下の場合は ルート 3 の保有水平耐力計算又は限界耐力計算がそれぞれ要求される 各計算の内容については 木造軸組設計 1.1 を参考にすること また 木質構造の設計は 木質構造の特徴 過去の経験 知見と合理的な構造理論より成り立っている 木造軸組設計 1.3 の材料と構法の構造的特徴や構造設計法の考え方 モデル化を参考に 木質構造が他の鋼構造や鉄筋コンクリート構造とは異なることを十分理解した上で設計を行うこと その他 構造計画と構造設計上の注意事項は 木造軸組設計 1.4 を参考にすること 3.5.2 地盤特性の設定地盤特性を示す振動特性係数 Rtの計算は 2007 解説書 第 5 章荷重及び外力 5.5 地震力を参考に 適切に地盤種別を判定したうえで 令 第 88 条及び 告示 ( 昭 55 建告第 1793 号 ) の規定により算定する 3.5.3 材料強度各部材の強度計算に用いる材料強度は 令 第 95 条 第 96 条 第 97 条 第 98 条及び第 99 条の規定による JIS に定められた鉄筋 鋼材については 材料強度の 1.1 倍とすることができる なお せん断補強筋は除くこととする 3.5.4 土圧および水圧の考慮地階等で土に接する部材には 原則として 土圧および水圧を考慮する 土圧及び水圧の算定に当たっては 建築構造設計基準 4.7 土圧及び水圧を参考にして土質条件等を十分考慮して適切な値を用いる 3.5.5 許容応力度計算の方法許容応力度計算における力の組合せは 令 第 82 条第 2 項に定めるところとし 荷重及び外力については 3.4 荷重及び外力による なお それ以外の力が加わる場合には 実況に応じて組合せる なお 暴風時における転倒及び柱の引抜き等を検討する場合 積載荷重によって生ずる力については 建築物の実況に応じて積載荷重を減らした数値による 3.5.6 許容応力度計算における仮定条件許容応力度計算においては 原則として 各部材の割裂き せん断 曲げ破壊などの脆性 22

的破壊は生じさせないという仮定により 各部材を弾性体とみなし 線材に置換して応力解析を行う 3.5.9 横架材の固定条件木造の横架材は 根太や床の小梁などのように中間に支点が無い場合には 単純梁としてモデル化する また 連続梁は複数の単純梁として解いてもよい はね出し梁ははね出し単純梁としてモデル化する 軸組構法の場合の横架材であって ドリフトピン等を用いて接合部に一定の回転剛性を持たせる場合の固定条件は 3.7 軸組構法 ( 軸構造系 ) による 3.5.11 水平荷重時の設計木造は構造要素と非構造要素の識別がしにくく 実大振動実験などにより木造住宅において水平力に対し雑壁の層せん断力の負担が 1/3~ 半分程度であることが明らかとなってきた よって これらの要素を構造耐力要素として見込むことは 耐力の余力が少なくなってしまうことを勘案し 準耐力壁は耐力壁に換算しない 3.5.12 剛床の仮定剛床の仮定を成立させるため 隣接するフレームに適切に水平力が伝達できるよう 床の剛性を確保するため 水平構面の耐力検定を必須とする なお 火打材については 令 第 46 条第 3 項が適用されるが 構造用合板を釘打ちすることによる場合も 火打材とみなすことができる 23

( 設計基準 ) 3.6 軸組構法 ( 壁構造系 ) (1) 木造の構造計算は 構造体の特性に応じた構造計算の規定により行う (2) 梁 根太 床パネル 床下地により構成される床組は 鉛直荷重に対して十分な強度及び剛性を有するとともに 床組に作用する水平荷重を安全に柱及び壁組に伝達できる構造とし 音及び振動にも配慮する (3) 柱は 鉛直荷重 水平荷重により生ずる応力に対し 十分な強度及び剛性を有するものとし 建物の規模及び構造形式に応じて 適切に配置する (4) 耐力壁は 水平荷重により建築物に生じるせん断力に加え 風圧力などの面外方向荷重に対しても十分安全な構造とする (5) 柱 梁接合部は 取り付く部材の強度に対して 十分な強度及びじん性が確保されるよう設計する (6) 構造耐力上主要な軸組 壁組等の下部には 原則として土台を設け 作用するめり込み 曲げ せん断などの応力に対して十分な強度及び剛性を有するものとする ただし 軸組 壁組などを基礎に直接緊結し 耐久性上の考慮をした場合を除く ( 資料 ) 3.6.1 軸組構法 ( 壁構造系 ) における一般事項軸組構法 ( 壁構造系 ) とは 令 第 46 条第 4 項の表 1 に掲げる軸組 ( 壁 筋かいなど 一般に 耐力壁 と総称されるもの ) による水平力抵抗要素を主に用いた軸組構法を総称したものとする 軸組構法 ( 壁構造系 ) の構造計算は 図 3.1 に示す構造計算のフローにより行う フロ一には 安全性の確認方法の違いによって 以下に示すとおり 四号建物 ルート1 ルート2 ルート3 限界耐力計算又は時刻歴応答解析の計算手順がある (1) 四号建物 令 第 46 条第 4 項の壁長さは 住宅向けの荷重を想定して設定されているため 事務所用途の建築物を 四号建物 として壁量計算のみによって設計せず 許容応力度計算又はそれ以上の高度な計算を行う なお 官舎の設計など 住宅用途の設計を行う場合は適用可能とする (2) ルート 1 建築基準法第 20 条第三号に規定するとおり 構造計算を必要とする建築物のうち高さ 13m 以下かつ軒の高さ 9m 以下の建築物に適用する 3.1.4 により ルート 1 であっても本基準においては偏心率の検討を行い 0.3 以下であることを確認することを必須としているので注意する C 0 0.3 として一次設計を行った場合は 層間変形角の確認は不要となる 具体的な計算方法は 2007 解説書 6.6 木造の耐震計算の方法による 24

(3) ルート 2 高さ 13m 超で 31m 以下の建築物又は軒の高さ 9m 超の建築物に適用される このルートで要求されるのは以下の通り 1 令 第 82 条各号に規定する許容応力度計算を行う 2 層間変形角が 1/200( 変形により建築物の部分に著しい損傷が生じるおそれのない場合は 1/120) 以内であることを確認する 3 剛性率が 0.60 以上であることを確認する 4 偏心率が 0.15 を超えないことを確認する 5 筋交いが負担する水平力の割合に応じてβにより地震力を割り増す 6 水平力を負担する筋交い端部 接合部 耐力壁の接合部さらに柱及びはりの仕口部及び柱又ははりの継手部は 十分な強度を確保する 7 建築物の地上部分の塔状比が 4 以下であることを確認する 具体的な計算方法は 2007 解説書 6.6 木造の耐震計算の方法及び 木造軸組設計 4.8 ルート 2 の計算等による (4) ルート 3 木造の架構の保有水平耐力の計算に当たっては 各部材及びそれらの接合部が存在応力を伝えることを確かめる必要がある 特に 木造の架構の変形性能は 接合部の性能に拠るところが大きく 想定する耐力を十分に発揮できるように設計する 木造建築物の構造特性係数 Ds の算出については 昭 55 建告第 1792 号第 2 において 木造の架構について構造特性係数 Ds を算出する方法が示されているが その判断基準が明確でないため 適用が難しくなっている 部材や接合部の終局耐力の計算方法については 木質規準 や 日本建築センター 大断面木造建築物設計施工マニュアル 1988 年版 を参考とすることができる 25

図 3.1 軸組構法の構造計算フロー スタート 高さ 13m, 軒の高さ 9m 階数 2 延べ面積 500m2かつ 住居系 ( 宿舎等 ) 用途に限る 判断 1 建築物の規模 用途 国土交通大臣が認める計算 ( 限界耐力計算等 ) 判断 1 その他 仕様規定 / 令 43 条 令 46 条 3 項 平 12 建告 1460 号については ただし書きを適用する 耐久性等関係規定 一次設計 ( 許容応力度の確認 ) 一次設計 Yes 許容応力度計算による確認 集成材等建築とするか No 不要高さ 13m 軒の高さ 9m 不要高さ 13m 軒の高さ 9m 規模等による構造計算適合判定の要否 必要 No 集成材等建築とするか Yes 層間変形角の確認 3 層間変形角 1/200 ねじれの検討 4 規模等による構造計算適合判定の 要否 層間変形角の確認 3 層間変形角 1/200 ねじれの検討 4 層間変形角の確認層間変形角 1/200 必要 高さ 高さ >31m 二次設計 高さ 31m 偏心率 0.3 偏心率 0.3 判断 1 判断 1 ルート 2 ルート 3 へ 剛性率 0.6 偏心率 0.15 塔状比 4 No Yes 筋交いの β による水平力の割増し筋交い接合部の破壊防止 保有水平耐力の確認 Qu Qun Qun=DsFesQud 転倒の検討 ( 塔状比 >4 の場合 ) 軸組工法 ( 軸構造系 ) とする場合は 大地震動時の変形を検討する ルート 1 ルート 2 ルート 3 エンド 注 ) 及び下線部は 法令等には規定がないもを示す 1 判断とは設計者の設計方針に基づく判断であり 例えば31m 以下の建築物であってもルート3の計算としてもよいことを表している 2 耐震計算 ( 令第 3 章第 8 節 ) には含まれないが参考として示したものである 3 C0 0.3として許容応力度計算を行った場合は不要である 4 偏心率が0.3を超える場合は保有水平耐力の確認を また 偏心率が0.15を超え0.3 以下の場合は Feによる外力割り増し ねじれ補正又は保有水平耐力の確認のいずれかを行う 26

3.6.2 床組の設計 (1) 床組の設計床組を構成する梁 けたその他の横架材は 十分な曲げ強度 せん断強度を有するものとする また たわみや振動による障害が生じないよう設計する (2) 切り欠き梁 床 根太 床パネルの切り欠きはできるだけ避ける 特に 中央部下面など引張応力の大きな部分には設けないか 割裂きを考慮して十分な有効断面を確保する (3) 水平構面水平構面と 軸組 壁組などの他の構造部分との接合部は 作用する応力を伝達できる十分な耐力 剛性を有するものとする 火打材は 住宅の用に供するものであって 比較的小規模な建物にのみ用いる 床版は 面内に生じるせん断力以上の強度及び剛床仮定を満たす剛性を確保し 必要に応じて水平筋かいを設ける 水平構面については 所定の水平力に対して安全であることを確認するため 水平剛性の検定を必須とする 単位長さあたりの許容せん断耐力があたえられた水平構面の仕様は 木造軸組設計 2.4.5 を参考とする (4) 床を支持する耐力壁線の間隔床構面の水平剛性は その接合と構成によって大きく異なる 評価方法基準 の規定では 2 階建て以下の木造の建築物に対して床倍率の計算を行うことが定められており 床構面の仕様により 耐力壁線の間隔が制限を受けるように設定されている 木造軸組設計 では 直接的な壁線間隔の制限はないが 剛性の高い床であっても耐力壁線間隔は8m 以下 耐力壁線で囲まれる面積は 40 m2以下を一つの目安とすると計画が立てやすいとしている (5) 傾斜軸組の取り扱いについて主要軸組自体を傾斜させた軸組の扱いは 木造軸組設計 2.4.5 を参考とし θ 60 なら屋根 60 を超える場合は壁とみなす (6) その他の水平構面の許容せん断耐力と剛性 木造軸組設計 6 に示す試験方法と評価方法にもとづいて水平構面の面内せん断試験を行った水平構面については 試験成績書にもとづく短期許容せん断耐力と剛性の値を 単位長さあたりの値に換算して用いることができる また 木造軸組設計 4.4 及び 4.5 に示される水平構面については適用条件の範囲内において 詳細計算法にもとづいて計算された短期許容せん断耐力および剛性の値を用いてよいものとする (7) 小屋組の振れ止め小屋組の振れ止めとは 一般にくも筋かいと呼ばれる材を指し 小屋束の横倒れを防止し 小屋組の一体化を図ることが目的である 振れ止めの間隔は 桁行方向 梁間方向のいずれにおいても 4m 以内 ( たすき掛け等 小屋束の両面に設ける場合は 8m 以内 ) とする 27

3.6.3 柱の設計 (1) 柱は 細長比を抑え 圧縮力に対する座屈を生じないよう設計する 構造耐力上主要な柱については 原則として 令 第 43 条ただし書きを適用することとし 平 12 建告第 1349 号の検討を行い 圧縮力に対して 1 階の柱だけでなくすべての柱が座屈しないように許容応力度計算を行う (2) 単一の柱には 原則として継手を設けてはならない (3) 柱に欠き込みを設ける場合は 中央部分を避ける 3.6.4 耐力壁の設計 (1) 耐力壁の剛性と許容せん断耐力耐力壁の剛性と許容せん断耐力は 壁倍率 壁長という長さ比例則の前提が成立するものとして扱っている 一般に 壁の高さが高くなると耐力は落ちるため 筋かい耐力壁の場合は 最小幅 90cm かつ 高さ/ 幅 3.5 とし 最大幅については 2m 程度以下ごとに柱を設け その柱間の対角に筋かいを設けるようにする 面材耐力壁については 最小幅 60cm かつ 高さ / 幅 5 とし 最大幅については面材 1 枚あたりの幅が同程度であれば 横に何枚も連続した長い壁でも長さ比例則を適用することに問題はない 耐力壁の設計は 木造軸組設計 2.3 及び 2.4 を参考とする (2) その他の耐力壁について壁倍率の大臣認定を取得した耐力壁や 木造軸組設計 6 に示される試験方法と評価方法にもとづいて耐力壁の面内せん断試験を行った耐力壁については 試験成績書にもとづく短期許容せん断耐力と剛性の値を用いてもよいものとする また 木造軸組設計 4 に示される耐力壁については 適用条件の範囲内において 詳細計算にもとづいて計算された短期許容せん断耐力や剛性の値を用いてもよいものとする (3) 高倍率の耐力壁について上述の詳細計算により 高い許容せん断耐力を与えることも可能だが あまりにも高耐力の耐力壁だけに水平力を集中して負担させる設計は 周辺部材に想定外の破壊を生じさせる危険性があることから 許容応力度設計における耐力壁の短期許容せん断耐力の上限は 13.72kN/m(7 倍 1.96kN/m) とする しかしながら 実験等により周辺部材を含めた構造安全性の確認がされた場合に限りその条件で使用することが出来る 具体的な方法等は 木造軸組設計 2.1.2 を参考とする (4) 特殊な耐力壁の配置について梁上に載る耐力壁は原則として許容しない なるべく耐力壁は上下階で連続させて配置するものとし それができない場合であっても壁脚の両側を柱で受けることとする X 軸に対してθの角度を有する斜め壁 ( 平面 ) については 木造軸組設計 2.4.1 を参考とし その耐力 剛性を X 方向に加算する場合は cos 2 θを Y 方向に換算する場合は sin 2 28

θを乗じた値とする 換気扇やスイッチ類などの小開口を耐力壁に設ける場合 木造軸組設計 2.4.1 を参考とし 一定の仕様を満たしたものについては 技術的助言 1335 号により 開口部に該当しないものとして取扱うことが出来る (5) 筋かいの設計 1 筋かいは 全体曲げによる架構の変形 引張側柱の引抜きを考慮し また 圧縮側柱の座屈が生じないよう設計する 2 引張り筋かいは じん性を確保するために 接合部で破断することのないよう設計する 3 圧縮力を負担する筋かいなどは 座屈と材端のめり込みを考慮して設計する 座屈は壁組の構面内外について考慮する 4 筋かいは その端部の踏み外しがないように適切に処理する 5 筋かいは耐力上支障のある欠込みをしてはならない (6) 面材耐力壁の設計 1 構造用面材などは 構造用耐力上の安全性および配置場所などの使用環境を考慮して選択する 2 構造用面材などを取り付ける軸組 枠組 桟組などにおける材および材相互の接合は 構造用面材などの存在により生じる応力に対して十分安全なものとする 3 構造用面材などと軸組 枠組 桟組などとの接合は その壁に期待する耐力を発揮させるのに十分な接合方法とする 4 面材張り大壁 面材張り真壁の詳細計算法にもとづいて計算された短期許容せん断耐力および剛性の値を用いてよい 3.6.4 接合部 ( 各構面相互 構面を構成する各部材相互 ) の配慮事項令 47 条に基づき 主要な継手 仕口については 存在応力を有効に伝達でき かつ 地震時に容易に外れないように緊結する (1) 耐力壁の柱頭柱脚接合部について筋かいの上下端部および耐力壁の両端の柱の上下端部は 平 12 建告 1460 号の仕様規定で定める接合方法によるか 又は 同ただし書きによる構造計算により安全を確認しなければならない この時 耐力壁の終局耐力や靭性などが大地震時に担保されるように 柱頭柱脚接合部の先行破壊を防ぐ必要があるため 耐力壁の短期許容せん断耐力時の応力にもとづいて構造計算しなければならない 計算によって短期許容引張耐力を導くことのできる接合仕様は 木質基準 で降伏耐力の算定方法が定められている仕様 ( 異なる接合具が組み合わされた場合の加算は不可 ) で 曲げ降伏型接合具を用いる場合については 接合する木材の厚さが当該接合に用いる接合具の径の8 倍以上である接合部に限るものとし 縁端距離や間隔など接合具配置や多本数の場合の低減係数などについても 木質基準 の規定に従うものとする 29

(2) 柱頭柱脚接合部の引抜力の計算引抜力の設計方法は 木造軸組設計 2.4.3 を参考とし N 値計算法 ラーメン置換モデル せん断パネル置換モデルなど いずれによってもよいが 力学的に適切に あるいは安全側に考慮された方法でなければならない (3) 接合部の断面欠損について部材の断面検定においては 接合部の欠損を適切に評価する 欠損の評価方法は 木造軸組設計 2.5.1 を参考とすることができる 3.6.5 土台の設計 (1) 土台は 作用するめり込み 曲げ せん断等の応力に対して十分な剛性及び強度を有するものとする (2) 土台は 基礎にアンカーボルトなどを用いて緊結する 土台は 軸組 壁組などの上部構造によって伝えられるせん断力 軸方向力などを 基礎に確実に伝達できるものとする (3) 土台と軸組 壁組などの上部構造との接合部は 上部構造に生じるせん断力 軸方向力 曲げモーメントを 土台に確実に伝達できるものとする 土台の詳細な設計は 木造軸組設計 2.4.9 土台の曲げとアンカーボルトの引張り および せん断の検定を参考とすることができる 30

( 設計基準 ) 3.7 軸組構法 ( 軸構造系 ) (1) 木造の構造計算は 構造体の特性に応じた構造計算の規定により行う (2) 梁 根太 床パネル 床下地により構成される床組は 鉛直荷重に対して十分な強度及び剛性を有するとともに 床組に作用する水平荷重を安全に柱及び壁組に伝達できる構造とし 音及び振動にも配慮する (3) 柱は 鉛直荷重 水平荷重により生ずる応力に対し 十分な強度及び剛性を有するものとし 建物の規模及び構造形式に応じて 適切に配置する (4) 耐力壁は 水平荷重により建築物に生じるせん断力に加え 風圧力などの面外方向荷重に対しても十分安全な構造とする (5) 柱 梁接合部は 取り付く部材の強度に対して 十分な強度及びじん性が確保されるよう設計する (6) 構造耐力上主要な軸組 壁組等の下部には 原則として土台を設け 作用するめり込み 曲げ せん断などの応力に対して十分な強度及び剛性を有するものとする ただし 軸組 壁組などを基礎に直接緊結し 耐久性上の考慮をした場合を除く ( 資料 ) 3.7.1 軸組構法 ( 軸構造系 ) における一般事項軸組構法 ( 軸構造系 ) とは 令 第 46 条第 2 項のいわゆる集成材等建築物のうち 木造ラーメンのように耐力壁形式以外の水平力抵抗要素を用いた軸組構法を総称したものとする 軸組構法 ( 軸構造系 ) の構造計算は 壁構造系とともに図 3.1 に示す構造計算のフローにより行う なお 令 第 46 条第 2 項ルートは 第一号イによる材料の制限 第一号ロによる柱脚の土台又は基礎への緊結 第一号ハによる大臣が定める基準に従った構造計算が必要となる (1) 四号建物の計算 令 第 46 条第 2 項は仕様規定の適用外となる (2) ルート 1 1 3-6 軸組構法 ( 壁構造系 ) の ルート 1 に準ずる 2 令 第 82 条各号に規定する許容応力度計算を行うほか 昭 62 建告第 1899 号で要求されている 令 第 82 条の 2 に規定する層間変形角に関する構造計算や 令 第 82 条の 6 第二号ロに規定する偏心率の数値を用いたねじれに関する検討を行う (3) ルート 2 3-6 軸組構法 ( 壁構造系 ) の ルート 2 に準ずる (4) ルート 3 集成材等建築物の構造特性係数 Ds については 昭 55 建告第 1792 号第 2 において 材料 31

の寸法の制限 ( 柱及びはりの小径が 15cm 以上で かつ 木材の繊維方向と直交する断面の面積が 300cm 2 以上 ) の前提で 架構の崩壊時の部材の応力レベルと接合部の構造形式に従って Ds 値を定めることとなっているが その判断基準が明確でないため 適用が難しくなっている 第 2 第 1 項第二号のうち接合部の部材ランクは ボルトの径と木材の板厚との比率で定められる 木質規準 の接合部の部材ランク JA が SB に JB が SC に JC が SD に対応する 第 2 第 1 項第四号の 剛節架構 とは 接合部が完全に剛な条件となることを期待しているものではなく 部材に作用する曲げモーメントに接合部で抵抗する架構 (2 ヒンジアーチ 3 ヒンジアーチ ラーメン等 ) の意味で用いられている 3.7.2 床組の設計 3-6 軸組構法 ( 壁構造系 ) と同じ 3.7.3 柱の設計 3-6 軸組構法 ( 壁構造系 ) と同じ 3.7.4 耐力壁の設計 3-6 軸組構法 ( 壁構造系 ) と同じ 3.7.5 接合部の設計 3-6 軸組構法 ( 壁構造系 ) と同じ本基準においては 二方向ともラーメン架構とすることは推奨しないが 実施する場合は 最新の知見を考慮して設計する 個別設計が必要となる接合部については 木質規準 により各種接合部の計算を行う 3.7.6 土台の設計 3-6 軸組構法 ( 壁構造系 ) と同じ 32

( 設計基準 ) 3.8 枠組壁工法 (1) 枠組壁工法の構造計算は 構造体の特性に応じた構造計算の規定により行う ( 資料 ) 3.8.1 枠組壁工法枠組壁構法の設計は 軸組構法に比べ平 13 国告第 1540 号に詳細に規定されているため これに沿って設計することとし 図 3.2 に示す構造計算のフローにより行う また 告示により 第 1 から第 12 までの規定に応じて計算方法が定まっており 表 3.10 のように整理される 構造計算 その他 表 3.10 枠組壁構法において尊守すべき告示仕様及び必要な構造計算 構造計算方法 許容応力度計算 ( 接合部 屋根葺き材を含む ) 剛性率の確認偏心率の確認風圧力による層間変形角の確認地震力による層間変形角の確認保有水平耐力の確認 第 10 第二号 第 10 第一号 性能規定 第 12 ( 第 9) - - - - - - 2 - - - - - - - - 2 - - - - - - - - - - - - - - 2 - - - - - - - - - - - - - 仕様規定 告示第 1~ 第 8 をすべて満たすもの 建物概要 ( 1) 構造計算適合性混構造 2 階建て判定対部位の仕様空間 間口の 3 階建て木造 3 階 ( 適判非建物形態建物形態以下 か象が告示仕様サイズが告示または建て共同対称のに制限なに制限なつ500m2 ( 高さ13m 超 からはずれ仕様からはず 500m2超住宅場合 ) しし尊守すべき告示仕様以下軒高 9m 超 ) る建物れる建物 ( 2) 必要な構造計算 ( ルート2)( ルート3) 第 1 階数 2 階建て 3 階建て 3 階建て 3 階建て 3 階建て 3 階建て 3 階建て 3 階建てまでまでまでまでまでまでまでまで 制限なし 制限なし 第 2 材料 - 第 3 土台 二アンカーボルトの仕様 - - - - 床版 二床根太支点間距離 8m - - - 第 4 三床根太間隔 65cm - - - - 七 くぎ打ち仕様 - - - - 第 5 壁等 五 壁量計算 ( 3) ( 3) ( 3) ( 3) ( 3) - - - - 告六耐力壁線区画示 60(72) m2 - - - 仕九たて枠材の仕様様 - - - - 十一頭つなぎの設置 - - - - 十二開口幅 4m 開口比 3/4 - - - 十五くぎ打ちの仕様 - - - - 第 6 根太等の横架材 - - 第 7 小屋九くぎ打ちの組等仕様 - - - - 第 3~ 第 7の上記以外 - - 第 8 防腐措置等 架構のじん性 一部仕様規定 4-2 - - - 1: 建物概要が重複する場合には 双方に要求される構造計算すべてを行わなければならない 2: 平成 19 年国土交通省告示第 593 号に混構造の規定がある 併用される構造 ( 鉄骨造 鉄筋コンクリート造等 ) により 必要とされる構造計算等が異なる 3: 第 10 第二号が適用される場合には 壁量計算は不要である 第 10 第二号を適用しても 必要とされる構造計算は実質的に変わらない 4: 昭和 55 年建設省告示第 1791 号 ( 平成 19 年国土交通省告示第 595 号にて改正 ) 第 1 に定める構造計算 塔状比の規定が新たに追加されている 限界耐力計算 限界耐力計算 33

図 3.2 枠組壁構法の構造計算のフロー START NO 告示全文に該当するか YES 適用除外の対象 告示第 1 YES 告示第 5 以外の NO 許容応力度計算 -1 及び第 3~ 第 7 告示第 9を適用する場合 耐力壁 層間変形角 ただし下記 A Bを除く 要求される計算項目 保有水平耐力 令 82 条各号に定める許容応力度計算 YES 構造耐力上主要な接合部検討 NO 風圧力による層間変形角計算 許容応力度計算 -2 地震圧力による層間変形角計算 層間変形角の検討 令 82 条の3に定める保有水平耐力の計算 保有水平耐力 A 適用除外の対象 地上面上 30cm 以内の構造 許容応力度の確認の際に使用する係数は許容応力度計算 -1と同様 床根太支点間距離 床のくぎ打ち 壁倍率 壁量 耐力壁線間距離 12m 壁線区画面積 72 m2 ( 区画長辺 / 区画短辺 2) 壁開口 3/4 4m 壁のくぎ打ち 小屋のくぎ打ち NO 判断 YES 告示第 5 以外の NO 許容応力度計算 -1 告示第 10 第一号に該当 耐力壁 偏心率の検討 要求される計算項目 令 82 条各号に定める許容応力度計算 YES 構造耐力上主要な接合部検討 令 82 条の6に定める偏心率計算 許容応力度計算 -2 偏心率の検討 許容応力度の確認の際に使用する 係数は許容応力度計算 -1 と同様 B 適用除外の対象 アンカーボルトの配置 床のくぎ打ち 床根太の間隔 壁倍率 壁量 壁交差部のたて枠構成 壁のくぎ打ち 壁面材のくぎ打ち 頭つなぎの施工 小屋のくぎ打ち 判断 YES 告示第 5 以外の NO 許容応力度計算 -1 告示第 10 第二号に該当 耐力壁 要求される計算項目 令 82 条各号に定める許容応力度計算 YES 許容応力度計算 -2 構造耐力上主要な接合部検討 許容応力度の確認の際に使用する 係数は許容応力度計算 -1と同様 NO 判断 告示第 1 から第 7 に該当するか YES 2 階建て以下延床面積 500 m2以下 告示第 5 第五号による壁量計算により安全を確認しても可 NO NO 告示第 2に不適合許容応力度計算 -1 限界耐力計算令 82 条の5 注 上記において 設計者の判断により要求される計算内容以上の計算ルートによってより詳細な構造検証を行うことは 構造の安全性確保のために有効である 設計者判断によってより詳細な構造計算を行う場合 注 全てのルートにおいて告示第 8 は必須である 34

( 設計基準 ) 3.9 木質プレハブ工法 (1) 木質プレハブ工法は 取得された型式適合認定 図書省略認定の内容にしたがって設計を行うか その内容を超える場合は 適切な構造計算により設計を行う ( 資料 ) 3.9.1 木質プレハブ工法の一般事項木質プレハブ工法の設計は 枠組壁工法と同じ告示である平 13 国告第 1540 号に規定されているが 枠組壁構法に比べ ほとんど具体的な仕様規定がなく 事実上 以下の 3 つの計算方法に限定される 建築基準法第 68 条の 10 及び 11 に基づく型式適合認定による方法 施行規則第 1 条の 3 に基づく図書省略認定による方法 平 13 国告第 1540 号第 9 に基づく保有水平耐力計算による方法図 3.3 に示す構造計算のフローにより行う (1) 型式適合認定木質プレハブ工法の型式適合認定の内容では 過半の住居系用途と他の用途の併用住宅が認められているものの 2 階以上の積載荷重が住居用荷重程度までに限定されていたり 用途が建築基準表別表第一 (2) で規定している用途に限定されている場合があるため 事務執拗と単独建物には適用できないので留意する なお 建築基準表別表第一 (2) で規定している用途とは 病院 診療所 ( 患者の収容施設があるものに限る ) ホテル 旅館 下宿 共同住宅 寄宿舎その他これらに類するもので政 令 で定めるもの を指す (2) 図書省略認定型式認定が 令 第 136 条の2の 11 第一号の一連の規定が定められ 申請時の省力化が図られているのに対し 図書省略認定は 構造耐力のみを省略対象としている (3) 保有水平耐力計算平 13 国告第 1540 号には 木質プレハブ工法を行うための適切な仕様規定に関する定めがないため (1) 型式適合認定 (2) 図書省略認定によらない場合は 事実上 第 9 に基づく保有水平耐力計算を行うこととなる 木質プレハブ工法において保有水平耐力計算を行うにあたっては 専門の知識を要することから 公平性を担保できる場合であって 実績のあるメーカーの協力を得られる場合に限り適用可能とする 35

図 3.3 木質プレハブ工法の構造計算のフロー スタート 型式適合認定 図書省略認定に定める規模 ( 階数 2 延べ面積 500m2等 ) 用途( 戸建て住宅 共同住宅等 ) 判断 1 建築物の規模 用途 国土交通大臣が認める計算 ( 限界耐力計算等 ) 60m 高さ >31m 耐久性等関係規定 型式適合認定 ( 令第 136 条の2の11 第一号 ) の設計仕様で定められた範囲 方法 図書省略認定 ( 施行規則第 1 条の3) の設計仕様で定められた範囲 方法 一次設計 ( 許容応力度の確認 ) 保有水平耐力の確認 Qu Qun Qun=DsFesQud 転倒の検討 ( 塔状比 >4の場合 ) エンド 1 判断とは設計者の設計方針に基づく判断であり 例えば 31m 以下の建築物であってもルート 3 の計算としてもよいことを表している 36

( 設計基準 ) 3.10 丸太組構法 (1) 丸太組構法の構造計算は 構造体の特性に応じた構造計算の規定により行う ( 資料 ) 3.10.1 丸太組構法の一般事項丸太材等を水平に積み重ねる構法をとする 構造計算は 図 3.4 に示す構造計算のフローにより行う フローには 安全性の確認方法の違いによって 以下に示すとおり 国土交通省告示第 411 号に定める仕様書的規定 ルート 1 ルート 2 及びルート 3 がある (1) 平 14 国告第 411 号に定める仕様書的規定小規模な建物建築物 ( 延べ面積 300 m2以下 高さが 8.5m 以下 地階を除く階数が1 以下 ( 小屋裏利用 2 階建ては可 )) は平 14 国告 411 号に定める仕様書的規定に適合すれば良い ただし 告示には明確な記載はないが 住宅向けの荷重設定のため 事務所用途には適用は不可とする (2) 許容応力度計算平 14 国告 411 号第 1 第 2 項及び仕様書的規定を適用除外とする場合は 2003 丸太組構法技術基準解説 を参考とし 許容応力度計算を行う (3) ルート 2 及びルート 3 の計算建築基準法における木造建築物の特定建築物の要件又は 鉄骨造との併用構造の場合の1 階鉄骨造部分に対する特定建築物の要件により ルート 2 又はルート 3 の構造計算が要求される 37

図 3.4 丸太組構法の構造計算のフロー スタート 耐力壁高さ>4m 1~2 階耐力壁高さ>6m その他特殊な構造方法 YES NO YES 地階を除く階数 =1 又は小屋裏利用 2 階建 延べ面積 300m2かつ高さ 8.5m NO NO YES 混構造 YES NO 105cm 2 丸太材等の NO 断面積 1400cm 2 1 階 RC 造 YES 1,2 階丸太組 2 階丸太組 YES (3 階小屋裏 ) NO YES 丸太材等の断面積 耐力壁線間隔 6m NO 150cm 2 かつ上下の かつ 接する幅 9cm 囲まれる面積 30m2 NO YES 丸太材等断面積 120cm 2 上下の接する幅 7cm 外壁交差部の YES 実験又は計算による確認 通しボルト省略 NO NO 1 階 S 造 2 階丸太組 (3 階小屋裏 ) YES YES 1 階 S 造のスパン 6m NO YES 交点耐力壁等 YES NO だぼ本数の適用除外 NO 1 階 RC 部分が特定建築物の NO 要件を満たす YES 耐力壁線間隔 10m かつ 囲まれる面積 60 m2 NO NO 高さ 13m 軒高 9m 延面積 500 m2 YES YES 高さ 13m 軒高 9m NO YES だぼ本数チェック つり合いの確認 許容応力度計算 ルート2 又は ルート2 相当 許容応力度計算 その他断面算定等 偏心率 0.15 ルート3 の計算 限界耐力計算 エンド 38

3.10.2 丸太組構法における配慮事項丸太組構法における配慮事項は 平 14 国告 411 号第 1 第 2 項及び仕様書的規定による場合は以下の通りとする (1) 耐力壁の規定耐力壁の高さは 4m 未満とする 耐力壁の幅 :h 0.3 h 1 階部分と 2 階部分の耐力壁の高さの和は 6m 以下 (2) 耐力壁線間隔 (3) 耐力壁線間隔は 6m 以下 かつ 耐力壁線により囲まれた部分の水平投影面積は 30 m2以下 (4) 許容応力度計算によって確かめられた場合はこの限りではないが 壁線間隔が 10m を超える場合又は耐力壁線により囲まれた部分の水平投影面積が 60 m2を超える場合にあっては 各方向の偏心率が 0.15 以下であることを確認しなければならない (5) 耐力壁線相互の交さ部においては 各方向に耐力壁を設け かつ 丸太材等を構造耐力上有効に組み 壁面から端部を 20cm 以上突出させなければならない (6) 外壁の耐力壁相互の交さ部においては 耐力壁最上部から土台等まで貫く直径 13mm 以上の通しボルトを設けなければならない ただし 許容応力度計算によって確かめられた場合はこの限りではない (7)2 階部分の耐力壁線の直下には 1 階部分の耐力壁線を設けなければならない (8) 耐力壁の端部及び開口部周辺は構造耐力上有効に補強しなければならない (9) 耐力壁内には 構造耐力上有効にだぼを設けなければならない (10) 床版に作用する水平力を周囲の構造耐力上主要な架構等に伝達できる剛性及び耐力を有する構造である 39

3.11 木造における基礎 ( 設計基準 ) (1) 基礎は 敷地及び地盤の調査等に基づき 建築物の規模及び構造種別を考慮して 地盤性状に応じたものとし 令第 38 条及び第 93 条の規定による (2) 地盤調査は 地盤種別と建築物の規模を考慮して予備調査及び本調査を行う (3) 基礎は 沈下等による障害を生じさせることなく 上部構造を安全に支持し 経済性を考慮したものとする (4) 水平力に対する設計は 上部構造の機能確保に有害な影響を与える損傷を生じないように行う (5) 杭基礎の設計は 杭に作用する荷重 杭の力学的性能 地盤条件 施工性 経済性等を考慮して材料及び工法を選定する ( 資料 ) 3.11.1 一般事項基礎は 原則として鉄筋コンクリート造とし 良好な地盤に支持させ 上部構造からの力によって沈下等の障害が生じることのないよう設計する 基礎を支持する層は洪積層以前の安定した地盤を選定することが望ましいが 経済性を考慮して上部の沖積層に支持させることもある いずれの場合も沈下 負の摩擦力 液状化等の検討を行い 有害な障害が生じないことを確認する 同一建物では 異種基礎は用いない ただし 地盤条件等によりやむを得ない場合は 基礎及び上部構造に障害が生じないことを確認した上で用いることができる 3.11.2 地盤調査 (1) 予備調査は 地盤概要の把握及び本調査の計画の資料とするため 既往の地盤調査資料の収集 文献調査及び現地調査を行う (2) 本調査は 基礎形式及び施工方法を選定するために支持層の深さ 支持力 沈下性状 液状化危険度の予測 地下水位等の地盤の性質を把握できる内容とする 3.11.3 直接基礎の設計直接基礎の設計は 基礎底面に作用する鉛直力による応力度が地盤の許容応力度以下であること 及び沈下によって上部構造に有害な影響を与えないことを確認する (1) 地盤の許容応力度の算定地盤の許容応力度は 告示 ( 平 13 国交告第 1113 号 ) の規定に基づき算定する なお 片側土圧を受ける場合及び地震動時 強風時等水平荷重が作用する場合には 斜め荷重の影響を考慮する また 基礎荷重面の形状に応じた係数 α βについては 告示 ( 平 13 国交告第 1113 号 ) によるほか 基礎構造指針 5.2.1 鉛直支持力表 5.2.2 による なお 平板載荷試験による場合は 載荷面下 載荷板幅の 2 倍程度の範囲以内にある地盤についての検討でしかないため 基礎荷重面からその幅の 2 倍程度の深さまで地層が一 40

様であることが確認されない場合は この値だけでなく他の方法も考慮して検討しなければならない (2) 沈下量の検討 1 沈下量の計算地盤のヤング係数とポアソン比を適切に設定し 即時沈下量を計算する 具体的な算定は 基礎構造指針 5.3.1 直接基礎の沈下計算による なお 沈下による構造物への影響を正しく評価するには 建物剛性と地盤との相互作用を考慮する必要があり 基礎梁を格子梁形式とし柱脚下に基礎ばねを配置した格子梁モデル等により算定する また 軟弱な粘性土地盤のような圧密沈下の恐れのある地盤における圧密沈下量の算定は 基礎構造指針 5.3.1 直接基礎の沈下計算 (2) 圧密沈下の計算による 2 沈下量の許容値建築物に対してどの程度の沈下を許容し得るかは 地盤の条件 基礎の形式 上部構造の特性 周囲の状況 経済性等を考慮し 決定しなければならない 建物規模が小さい場合の許容値の目安としては 基礎構造指針 5.3.3 沈下量の評価を参考とする また 許容総沈下量は 対象とする建物の基礎形式や支持地盤によって異なり 構造種別ごとの許容総沈下量の目安としては 基礎構造指針 5.3.3 沈下量の評価 (4) 沈下限界値の目安表 5.3.6 構造別の総沈下量の限界値の例を用いる 3 極限支持力の検討建築物の地上部分の塔状比が4を超える場合にあっては 告示 ( 平 19 年国交告第 594 号第 4) により極限支持力の検討を行う 4 地盤定数の設定許容応力度及び沈下量の計算に用いる諸数値は 各試験結果を基に適切に設定する必要があるが 簡便な方法として次により推定することもできる ア内部摩擦角 (φ) 及び粘着力 (C) 一軸圧縮試験 三軸圧縮試験などの各種土質試験及び実験等により推定すべきであるが 簡便法としてN 値を用いる場合には 次式のほか多くの提案式があるため 実況に応じた式を用いて算定する 砂地盤の場合 φ=15+ 15N 45( 度 ) C=0 ただし N>5 (3.1) 粘土地盤の場合 φ=0,c=q u (3.2) 2 イ許容支持力 ( q a ) 及び一軸圧縮強度 ( q u ) 設計に当たっては 試験により確認することが必要であるが 場合によっては 41

建築基礎設計のための地盤調査計画指針 ( 日本建築学会 ) 表 1.4.1 表 2.1.6 を参考にN 値や地表面からの深さにより算定するほか 予備調査結果などを基に推定し 実況に応じた値を用いる ウ圧縮係数 ( C ) c 原則として 圧密試験により求めるが 基礎構造指針 (1988 年版 )4.3.2 圧密沈下量の計算 (4.3.21) 式を用いてもよい エ沈下量の計算に用いる場合の地盤のヤング係数 (E) 及びポアソン比 (ν ) 原則として 乱さない試料に対する圧縮試験又は現位置試験により求めるべきであるが ポアソン比は 一般に 基礎構造指針 5.3.2 地盤の定数の設定 (2) 地盤のポアソン比によることができる また ヤング係数は 標準貫入試験のN 値から算定する場合 ( 砂質地盤のみ ) は 基礎構造指針 5.3.2 地盤の定数の設定 c. 標準貫入試験 (5.2.23) 式 (5.2.24) 式によるか 土質試験に基づく場合は 基礎構造指針 5.3.1 直接基礎の沈下計算 (1) 即時沈下の計算 1) 弾性論に基づく沈下の計算 (5.3.1) 式 (5.3.22) 式の関係式による算定によってもよい なお 沈下量の計算に当たっては 地盤構成 建築物の形状等を考慮し 実況に応じたヤング係数を用いるようにする (3) 地盤改良地盤改良を実施したあとの地盤に対しては 地盤条件等に適した試験法により改良の目的に十分適合したことを確かめる必要がある また 地盤の部分的改良を行った場合は 改良部分の地盤の状況に応じ その下部の地盤についても支持力及び不同沈下などに対し 建築物が安全であることを確かめる なお セメント系固化材 ( 土壌の汚染に係る環境基準について ( 平 3 環境庁告示第 46 号 ) に基づく六価クロム低溶出型 ) を用いて改良された地盤及びその改良体の許容応力度については 告示 ( 平 13 国告第 1113 号第 3) の規定によるほか 地盤改良後の地盤の評価に関しては 建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針 ( 日本建築センター ) 建築基礎のための地盤改良設計指針案 ( 日本建築学会 ) を参考とする 3.11.4 滑動抵抗基礎底面に水平力が作用する場合は 基礎のすべりに対する検討を行う 滑動抵抗は 原則として 基礎底面と地盤との摩擦抵抗により評価する 摩擦抵抗は 基礎構造指針 5.4.1 基礎の滑動抵抗 (1) 底面の摩擦抵抗 (5.4.1) 式により算定し 水平力が摩擦抵抗を超えないよう設計する 地盤が傾斜していて偏土圧を受けたり 基礎梁のないアーチ架構やシェル構造などのように 水平力が常時作用する場合は 水平力に対する抵抗力として基礎底面の摩擦抵抗だけでは不足するおそれがあるため 滑動抵抗基礎の根入れを深くしたり 基礎底面に突起を設けるなどの対策を講ずる 42

基礎底面との摩擦係数は 支持層となる地盤のせん断抵抗を基に決定する 土質試験を実施していない場合は μとして 基礎構造指針 8.2.4 評価方法表 8.2.4 によることができる ただし 支持層が粘性土の場合 粘着力以上のせん断抵抗はとれないので適切に評価する 3.11.5 杭基礎の設計杭の許容支持力等 杭の設計に関する事項は 建築構造設計基準 による 3.11.6 その他基礎に関する留意事項 (1) 建築物が隣地又は既存建築物と近接している場合は 地盤掘削等に伴う地中応力度の変化が隣地へ及ぼす影響を考慮する (2) 地盤沈下 側方流動及び斜面崩壊の可能性のある場合は それらの発生により基礎の障害が生じないようにするとともに 上部構造へ及ぼす影響をできるだけ少なくする対策を講ずる (3) 液状化 地盤沈下 側方流動及び斜面崩壊の可能性のある場合は 建築物の部分のみでなく その敷地内の工作物及び地下埋設物等に及ぼす影響をできるだけ少なくする対策を講ずる (4) 敷地の内外に高低差がある場合は 必要に応じて 地盤の安定性に関する検討を行ない 適切な対策を講じる 43

変形性能の確認及び高い性能を求める場合の整理 資料 5-5 別紙 3.1.5 変形性能の確認 一般施設 3.1.3(1) 耐震に関する性能の目標 3.1.3(2) 耐風に関する性能の目標 長期にわたって使用する上で高い性能を求める施設 一般施設 長期にわたって使用する上で高い性能を求める施設 共通 軸組構法 ( 壁構造系 ) 令 第 46 条第 4 項の表 1 に掲げる軸組 ( 壁 筋かいなど 一般に 耐力壁 と総称されるもの ) による水平力抵抗要素を主に用いた軸組構法を総称したものとする 構造体の変形により 建築非構造部材及び建築設備に脱落が生じないようにするため 構造体の変形性能について 各構法に応じてそれぞれ表 3.3 の方法により 制限値以下であること又は記載内容を満たすことを確認する 軸組構法 ( 軸構造系 ) の構造形式を採用する際には 特に留意する (1) 限界耐力計算を行う場合安全限界変形角を 1/30 以下とする (2) 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合は 柱頭柱脚等の接合部を破壊させない 水平構面を破壊させない 柱を折損させない 等に注意して設計を行う 耐震に関する性能の目標は 原則として 構法別に表 3.1 に示す方法によることとする なお 表中の割増率は 長期にわたって使用する観点から 適切に設定する - (1) 限界耐力計算を行う場合安全限界変形角を 1/40 以下とする (2) 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合 1 許容応力度計算を行う場合標準せん断力係数 Co を割増しして部材が許容応力度以内であることを確認する 2 保有水平耐力計算を行う場合稀に発生する地震動による地震力を割り増しした上で構造躯体に損傷が生じないこと 及び 極めて稀に発生する地震動による地震力を割り増しした上で構造躯体が倒壊 崩壊等しないことを確認する 耐風に関する性能の目標は 原則として 構法別に表 3.2 に示す方法によることとする なお 表中の割増率は 長期にわたって使用する観点から 適切に設定する - (1) 限界耐力計算を行う場合稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体に損傷が生じないことを確認すること 及び 極めて稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体が倒壊 崩壊等しないことを確認する (2) 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合 1 許容応力度計算を行う場合 令 第 87 条の風圧力を割増して部材が許容応力度以内であることを確認する 2 保有水平耐力計算を行う場合稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体に損傷が生じないことを確認すること 及び 極めて稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体が倒壊 崩壊等しないことを確認する 軸組構法 ( 軸構造系 ) 令 第 46 条第 2 項の集成材等建築物のうち 木造ラーメン等 上段の軸組構法 ( 壁構造系 ) 以外の軸組構法を総称したものとする (1) 限界耐力計算を行う場合安全限界変形角を 1/30 以下とする (2) 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合水平抵抗要素に関する荷重変形特性の検討等を行い 大地震動時の変形に対する検討を適切に行う また 接合部や柱脚について十分な剛性と靱性を確保する - (1) 限界耐力計算を行う場合安全限界変形角を 1/40 以下とする (2) 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合 1 許容応力度計算を行う場合標準せん断力係数 Co を割増しして部材が許容応力度以内であることを確認するとともに 水平抵抗要素に関する荷重変形特性の検討等を行い 大地震動時の変形に対する検討を適切に行う 2 保有水平耐力計算を行う場合稀に発生する地震動による地震力を割り増しした上で構造躯体に損傷が生じないこと 及び 極めて稀に発生する地震動による地震力を割り増しした上で構造躯体が倒壊 崩壊等しないことを確認する - (1) 限界耐力計算を行う場合稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体に損傷が生じないことを確認すること 及び 極めて稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体が倒壊 崩壊等しないことを確認する (2) 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合 1 許容応力度計算を行う場合 令 第 87 条の風圧力を割増して部材が許容応力度以内であることを確認する 水平抵抗要素に関する荷重変形特性の検討等を行い 極めて稀に発生する暴風時の変形に対する検討を適切に行う 2 保有水平耐力計算を行う場合稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体に損傷が生じないことを確認すること 及び 極めて稀に発生する暴風による風圧力を割り増しした上で構造躯体が倒壊 崩壊等しないことを確認する 枠組壁工法 許容応力度計算又は保有水平耐力計算を行う場合は 壁脚部等の接合部を破壊させない 水平構面を破壊させない 等に注意して設計を行う - 軸組構法 ( 壁構造系 )(2) による - 軸組構法 ( 壁構造系 )(2) による 木質プレハブ工法 丸太組構法 (1) 保有水平耐力計算を行う場合 壁脚部等の接合部を破壊させない 水平構面を破壊させない 等に注意して設計を行う (2) 型式適合認定による場合安全限界変形は1/45 以下となって許容応力度計算を行う場合は 変形能力の小さい耐力要素を用いない 水平構面を破壊させない 等に注意して設計を行う - - 軸組構法 ( 壁構造系 )(1) 又は (2)2 による 型式適合認定による場合は 過半が住宅用途である場合に限定されるため 対象としない 軸組構法 ( 壁構造系 )(2)1 による - - 軸組構法 ( 壁構造系 )(1) 又は (2)2 による 型式適合認定による場合は 過半が住宅用途である場合に限定されるため 対象としない 軸組構法 ( 壁構造系 )(2)1 による