腎性貧血治療における 看護師の役割

Similar documents

求人面接資料PPT

APR. JUL. AUG. MAY JUN. 2

_2009MAR.ren

九州支部卒後研修会症例


極地研 no174.indd

本文

rHuEPO低反応の原因と対策

125 2 P 1st washout 2 PB P mg/dL nd washout 2 P 5.5mg/dL< mg/dL <2.5mg/dL P P 2 D D 3 Ca 10

JHN-CQ 貧血

減量・コース投与期間短縮の基準

P001~017 1-1.indd

Epilepsy2015

請求記号:DVD 70- -1  栄光のフィレンツェ・ルネサンス  1 夜明け   55分 

2015壺溪塾表1表4_0105

1. 重篤な不正出血の発現状況 ( 患者背景 ) (1) 患者背景 ( 子宮腺筋症 子宮筋腫合併例の割合 ) 重篤な不正出血発現例の多くは子宮腺筋症を合併する症例でした 重篤な不正出血を発現した 54 例中 48 例 (88.9%) は 子宮腺筋症を合併する症例でした また 子宮腺筋症 子宮筋腫のい

透析看護の基本知識項目チェック確認確認終了 腎不全の病態と治療方法腎不全腎臓の構造と働き急性腎不全と慢性腎不全の病態腎不全の原疾患の病態慢性腎不全の病期と治療方法血液透析の特色腹膜透析の特色腎不全の特色 透析療法の仕組み血液透析の原理ダイアライザーの種類 適応 選択透析液供給装置の機能透析液の組成抗

Microsoft Word - 血液検査.docx

スライド 1

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

自動透析装置(透析補助機能)を利用した操作手順書

Microsoft Word - CDDP+VNR患者用パンフレット doc

H26_大和証券_研究業績_C本文_p indd

はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

針刺し切創発生時の対応


2010 年 6 月 25 表 身体所見 134 cm 31 kg /60 mmhg 83/ ,

PowerPoint プレゼンテーション

BLF57E002C_ボシュリフ服薬日記_ indd

PowerPoint プレゼンテーション

生化学検査 臨床検査基準値一覧 近畿大学病院 (1) 検査項目 基準値 単位 検査項目 基準値 単位 CRP mg/dl WBC /μl Na mmol/l M RBC K mmol/l F 3.86-

H1.eps

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx

血球数算定 ( 血算 ) NTT 東日本関東病院臨床検査部 栗原正博

テイカ製薬株式会社 社内資料

日本呼吸器学会雑誌第48巻第6号

参考 9 大量出血や急速出血に対する対処 2) 投与方法 (1) 使用血液 3) 使用上の注意 (1) 溶血の防止 参考 9 大量出血や急速出血に対する対処 参考 11 慢性貧血患者における代償反応 2) 投与方法 (1) 使用血液 3) 使用上の注意 (1) 溶血の防止 赤血球液 RBC 赤血球液

ROCKY NOTE 多血症 ( 赤血球増加症 ) の診断 : ストレス赤血球増加症 真性多血症 (111208) 50 代男性 採血をするといつも Hb 18 台 RBC 570 Ht 53% くらい 他の血

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本



5_使用上の注意(37薬効)Web作業用.indd

用法・用量DB

葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

2017 年 9 月 画像診断部 中央放射線科 造影剤投与マニュアル ver 2.0 本マニュアルは ESUR 造影剤ガイドライン version 9.0(ESUR: 欧州泌尿生殖器放射線学会 ) などを参照し 前マニュアルを改訂して作成した ( 前マニュアル作成 2014 年 3 月 今回の改訂

<8C9F8DB85F3338E4508CB495612E786C73>

輸液のレシピ_01基礎知識.indd

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

1)表紙14年v0


Microsoft PowerPoint - 当日H3001標準化報告会用hiramitu.pptx

消化器病市民向け

Transcription:

第 76 回東海人工透析談話会 腎性貧血治療における 看護師の役割 偕行会岐阜中津川共立クリニック野溝明弘

腎性貧血により透析患者の QOL を低下させないために 医師 看護師 臨床工学技士 栄養士

腎性貧血治療における看護師の役割 1. 腎性貧血による透析患者の QOL の低下を防止するために : 異常の早期発見のための貧血関連項目の観察 : 採血データの評価 (Hb Ht MCV MCH Fe TSAT フェリチンなど ) 身体の観察 ( 出血の観察 : 便の色, 痔出血, 生理出血など, 胃腸症状の観察, 貧血症状の観察 ) 2. 貧血治療時の患者の安全確保のために : 医師の指示に基づく正確で安全な薬剤の投与 : ESA 鉄剤ビタミン剤亜鉛カルニチンなど ESA: erythropoiesis stimulating agent 赤血球造血刺激因子製剤

1. 貧血関連項目の観察 採血データの評価 Hb 10~11g/d 11g/dL ( 若年者 11~12g/d 12g/dL ) Ht 30~33% 33% ( 若年者 33~36% 36% ) どちらも値の経時的推移を見て ESA 投与量変更の影響についても評価する低下傾向がみられる場合はまず鉄欠乏の関連マーカーを見てみる ESA: erythropoiesis stimulating agent 赤血球造血刺激因子製剤

鉄関連マーカーの評価トランスフェリン飽和率 (TSAT( TSAT) 20% 血清フェリチン ng/ml であれば鉄剤補充について医師に相談 ( ただし HCV HBV 症例は除外 ) TSAT(%)= 血清鉄 (μg/dl)/tibc (μg/d( g/dl) MCV MCH の経時的変動の観察

赤血球恒数 ( MCV MCH ) の経過をみる MCV(μm 3 ) = Ht(%) / RBC(10 6 /μl) L) 10 MCH (pg) = Hb(g/dL (g/dl) / RBC(10 6 /μl) L) 10 これらは透析患者特有の水分貯留 除水の影響をほとんど受けず健常者と同様に評価できる鉄欠乏性貧血の場合は小球性低色素性貧血のパターンになるため MCV で小球性を MCH で低色素性を評価する (Hb( は水貯留の影響が大きいため適さない )

MCV と MCH MCH 42 40 38 36 34 32 30 28 26 24 22 y = 0.3401x - 1.1617 R 2 = 0.8232 80 85 90 95 105 110 115 120 MCV n=121 一般男性の正常範囲 一般女性の正常範囲

フェリチンと MCV 120 115 110 105 y = 0.0165x + 94.047 R 2 = 0.0566 MCV 95 90 85 80 41 39 0 50 150 200 250 300 37 350 400 フェリチン 35 MCH 33 31 29 27 フェリチンと MCH y = 0.0062x + 30.749 R 2 = 0.058 25 0 50 150 200 250 300 350 400 フェリチン

血清鉄と MCV 110 105 y = 0.0435x + 93.064 R 2 = 0.0396 MCV 95 90 血清鉄と MCH 85 80 0 20 40 60 80 120 35 140 160 Fe 33 MCH 39 37 31 29 y = 0.0271x + 29.703 R 2 = 0.1111 27 25 0 20 40 60 80 120 140 160 Fe

TSAT と MCV 110 105 y = 15.878x + 91.689 R 2 = 0.0931 MCV 95 90 TSAT と MCH 85 39 37 80 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 35 60.0% 70.0% TSAT MCH 33 31 y = 8.1104x + 29.307 R 2 = 0.1763 29 27 25 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% TSAT

MCV と MCH MCH 42 40 38 36 34 32 30 28 26 24 22 鉄欠乏の疑いが大きい y = 0.3401x - 1.1617 R 2 = 0.8232 80 85 90 95 105 110 115 120 MCV n=121 透析患者の一般的範囲か? 一般男性の正常範囲 一般女性の正常範囲

38 37 36 35 34 33 Hb*3 Ht MCV/3 MCH MCVとMCHTSAT*10 の変動を症例で見てみましょう 26.9 105 203.6 34.0 フェリチン鉄この患者の場合は MCV: 以下では鉄欠乏 MCH:33 以下では鉄欠乏 350 300 250 200 150 32 31 30 29 Feb-07 Mar-07 Apr-07 May-07 剤投与Jun-07 Jul-07 Aug-07 Sep-07 Oct-07 Nov-07 76.5 MCV MCHは症例毎の適正値があり これを把握した上でこのトレンドをチェックできれば半月に一度の鉄欠乏性貧血の評価ができる Dec-07 Jan-08 32.3 12.6 鉄剤投与Feb-08 50 0

300 250 TSAT*10 VitC MCV/3 フェリチン Hb*3 MCH フェリチンが高くても 247.4 Fe TSAT MCV MCHが低い場合はどうでしょうか? 39 37 200 150 50 0 Apr-07 96 30.3 May-07 Jun-07 Jul-07 13.6 Aug-07 20.4 101 31.1 74.4 44.9 9.0 剤シナール減量投0.6 与シナール経口投与が低い場合はVitC 欠乏を疑ってみる鉄Sep-07 Oct-07 17.8 Nov-07 98 Dec-07 Jan-08 11.2 フェリチンが高くても Fe TSAT MCV MCH Feb-08 35 33 31 29 27 25

250 200 150 50 Hb*10 CRP* Fe フェリチン MCV MCH*3 MCV MCH が高くても Hb が低い場合はどうでしょうか? 96 750 4500 EPO:6000 3000 750 31.0 33.0 葉酸 :3.9 VitB12:125 7.7 メチコバール経口投与 フォリアミン経口投与 12.3 30.3 94 110 105 95 90 85 0 Nov-02 Dec-02 Jan-03 Feb-03 Mar-03 Apr-03 MCV MCHが高い場合はVitB12 欠乏 葉酸欠乏を疑ってみる May-03 Jun-03 Jul-03 Aug-03 Sep-03 Oct-03 Nov-03 Dec-03 80

採血結果に基づく身体症状の観察次の様な場合は消化管出血等を疑い 便の色 痔出血の有無 腹部症状などを観察必要時は便潜血検査の実施 ( 抗血小板薬を定期服用している場合は特に注意が必要 ): 半月で 2% 以上の Ht 低下 (0.7g/d( 0.7g/dL 以上の Hb 低下 ) がある ESA 投与量を減量していないのに Hb(Ht Ht) ) 低下傾向が続き MCV MCH の低下がある ダイアライザー 血液回路内に残血が多く PLT の上昇がある ( 異常の早期発見のための便の観察や 胃への副作用などからみれば 鉄剤補充は静注投与がありがたい )

栄養摂取状況の評価とアドバイス貧血や鉄欠乏傾向がみられた場合 栄養摂取状況の観察 評価を行なう 同じように食べてるよ と言っていても栄養摂取量が低下している患者は多い 定期採血項目から評価するとよい : npcr は蛋白摂取量の評価ができるが 利尿やシャント狭窄による AV 再循環などがあると評価に用いることができない T-Cho, TG, Ch-E は それらの影響を受けずに栄養評価ができる ( 肝不全では T-Cho,Ch-E は利用できない )

Jul-07 Aug-07 Aug-07 Sep-07 Sep-07 Oct-07 Oct-07 Oct-07 Nov-07 Nov-07 Dec-07 Dec-07 Jan-08 Jan-08 Feb-08 Feb-08 Mar-08 300 250 200 150 50 npcr* KT/V* BUN Cr*10 T-Cho TG Ch-E Hb*10 CTR Alb*10 269 46.4 187 50.3 45.6 261 1.87 55 50 217 45 165 1.60 121 40 120 3.6 1.00 シャント V 側狭窄による AV 再循環あり 3.2 94 35 30

2. 医師の指示に基づく正確で安全な薬剤の投与 正確な薬剤投与 : ESA 鉄剤など静注剤の正確な投与 ビタミン剤亜鉛剤などの服薬指導 安全な薬剤の投与おそらく ESA 投与の場合は注入速度による副作用の心配はなさそうしかし鉄剤の場合は注入速度により副作用の発現に影響する

ガイドラインには 鉄剤の静脈投与は透析終了時に ゆっくり回路内に投与する と記されているが 静注鉄剤の能書には 40mg を2 分以上かけて徐々に静脈内注射する と記されているが 透析終了時は困難 副作用として ショック の記載あり 最も時間に追われる終了時の鉄剤静注は危険 鉄剤の静注投与は透析終了直前よりも透析中の余裕 のある時間帯のほうが良い

110 90 HD 前後の Fe 値の推移 HD 前後の Fe の変化 ( 鉄剤未使用 ) p<0.01 Fe はトランスフェリンと結合した状態で血中を流れており 分子量約 8 万のトランスフェリンは HD ではほとんど抜けない HD 前後の TSAT の推移 HD 前後の TSAT の変化 ( 鉄剤未使用 ) Fe (μg/dl) 80 70 60 50 40 30 n=122 n=122 透析前 透析後 Fe(HD 前 ) Fe(HD 後 ) TSAT でみることで 水分貯留による希釈や除水による濃縮を補正して評価することができる やはり HD 前後での差は認められない TSAT (%) 40 35 30 25 20 15 10 n=122 n=122 透析前 透析後 TSAT(HD 前 ) TSAT(HD 後 )

鉄剤投与は透析終了時でなければいけないのか? 鉄剤静注 5 分後の透析液廃液中の鉄含有量は? 1μg/dL HD1.5h に鉄剤静注 40mg 鉄剤静注 15 分後の透析液廃液中の鉄含有量は? 0μg/dL 鉄の損失量はほんのわずかだ! 透析液廃液全量中の鉄含有量は? 0~1μg/dL =0~1.2mg/120L

Fe 400 350 300 250 200 150 50 0 フェシ ン静注後の Fe TSAT の推移 ( 症例 2) フェシ ン 40mg iv Fe 250 200 150 0 0.25 0.5 0.75 1 1.25 1.5 1.75 2 2.25 2.5 2.75 3 3.25 3.5 3.75 4 HD 経過時間 Fe(μg/dl) HD 廃液 Fe(μg/dl) TSAT(%) 透析液廃液全量中 Fe = 1μg/dL = 1.2mg/120L 50 0 TSAT 140 120 80 60 40 20 0 透析液廃液全量中 Fe = 0μg/dL = 0mg/120L フェシ ン静注後の Fe TSAT の推移 ( 症例 1) フェシ ン 40mg iv 0 0.25 0.5 0.75 1 1.25 1.5 1.75 2 2.25 2.5 2.75 3 3.25 3.5 3.75 4 HD 経過時間 Fe(μg/dl) HD 廃液 Fe(μg/dl) TSAT(%) TSAT 140 120 80 60 40 20 0

300 フェシ ン投与症例における透析前後の Fe 値 Fe 値 250 フェシ ン投与症例における透析前後の TSAT 値 TSAT 値 Fe(μg/dl) 200 150 70% 60% 50% 50 0 透析前 透析前 透析後 透析後 TSAT 40% 30% 20% 10% 0% 透析前 透析後

安全な鉄剤の静注法 ( 当施設の方法 ) 鉄剤静注は透析中の余裕のある時間帯に透析中の余裕のある時間帯に 患者さんとおしゃべりをしながら 40~50mg を2 分間かけて徐々に注入する ゆっくり注入するために 5% ブドウ糖液か 生理食塩液で 10~20m 20mLに希釈しておく どんなに忙しくても 1 分間以上の注入時間を かける

HCV HBV の症例にはできる限り鉄剤を用いない 鉄欠乏状態にすることで トランスアミナーゼ低下, 肝硬変 肝癌の発症頻度を低下させるとの報告がある 当施設においてもフェリチンを 20 未満 ( できれば 10 未満 ) にしたところ GPT が低下した症例を経験している 鉄欠乏性貧血状態で管理するので 鉄利用能を高めるために適量の VitC を補充し ESA は上限量で使用することが多い その他 必要に応じて 亜鉛剤, 他の Vit 剤, カルニチンなどを補充する

85 鉄剤投与600 500 GPT*10 Fe*3 TIBC TSAT*10 フェリチン Vit*10 Hb*3 MCV/3 MCH 106 53 37 35 33.6 418 101 400 10.8 33 300 25.8 31.6 30 31 200 247 170.7 9.6 15 8.6 12.2 29 51 27 13.6 2.2 0 Apr-06 Jun-06 Aug-06 Oct-06 Dec-06 Feb-07 Apr-07 Jun-07 Aug-07 Oct-07 シナール経口投与 Dec-07 Feb-08 25

薬剤血中濃度からみた栄養補助剤の安全 な投与量は? VitC: シナール シナール200mg を毎日か隔日で経口投与 ( 基準値 4.7~17.8 17.8μg/mL) VitB12: メチコバール メチコバール1~1.5mg を毎日経口投与 ( 基準値 233~914pg/mL 914pg/mL) 葉酸 : フォリアミン フォリアミン5mg を週 1~2 回経口投与 ( 基準値 3.6~12.9ng/mL 12.9ng/mL) 亜鉛 : プロマック プロマック0.5~1.0 1.0g を毎日経口投与 ( 基準値 59~135 135μg/dL) カルニチン : 400~600mg 400~600mg を毎 HD 後経口投与 ( 遊離カルニチン基準値 36~74 74μmol/L)

まとめ 腎性貧血による透析患者の QOL の低下を防止するために 異常の早期発見のための貧血関連項目の観察は重要である 特に採血データの評価は大切であり これに基づき身体の観察や栄養評価 指導がなされるべきである Hb Ht フェリチン TSAT だけでなく MCV MCH による評価や Ch-E E TG T-ChoT による栄養評価も日常で見ておきたい 透析時の鉄剤の静注投与は ゆっくりと注入されなければならず 注入速度が不適切であることから起こりうる副作用を避けるためには 多忙な終了時間よりも透析中の余裕のある時間帯のほうがよいと思われる トランスフェリンと結合した鉄が透析により捨てられる量はわずかである