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1999年10月 渡辺ほか 人工血管非吻合部動脈瘤の1例 661 ている 猪狩ら1)はCTからの検索でこの拡大は移植 対側の仮性動脈瘤入口部 直後よりおこり初期の拡張は1.4 1.5倍であると ま た小沢ら7)は超音波検査にて術後2週間で直径が約 23 まで増大し 以後の拡大は緩徐であると報告し ている. Nunnら8)も同様に超音波検査にて11.4 28.1%まで直径が増大した例を多数報告している こ のように人工血管の拡張性が最近議論されてきている が 一方で人工血管劣化による動脈瘤の報告も増加し 残存縫合糸 てきた 人工血管劣化による仮性動脈瘤入口部 図3 Dacron人工血管での非吻合部動脈瘤はKnoxら9) が1962年に大腿一膝裔動脈バイパスに用いたwoven 摘出した人工血管 Dacron graftにおける発生を報告したのが最初とされ tton-iuiustomoiw ている. Bergerら6)は493例のDacron製人工血管植 cnfcurvmh 込み患者の追跡調査を行い術後約3 15年の症例15 例について人工血管の穿孔 瘤形成などの欠陥を認め その頻度は仝グラフトの約3 を占めること また Blumenbergら10)は自験例約200例中6例にグラフト の破綻を認め その発生頻度は同様に約3 であった こと Trippestad11)は300例中4例約1.3%にグラフ 術後1年目のCT 図4 トの破綻を認めたと報告している この人工血管劣化の原因としては 生体側の要因と 術後1年目経過後エンハンスCT 人工血管側の要因に大別されている12) 術後腎機能の軽度悪化を認めたが 血液透析施行ま 生体側の要因としては 人工血管周囲に生じる炎症 でには至らず経過は比較的良好であった 大腿骨頚部 や溶出液などの異物に対する生体反応のほか 鼠径靭 骨折後のリハビリテーションを引き続き行ったため入 帯の接触や高血圧症などの慢性的に人工血管に加わる 院期間は長引いたが術後40日目に退院した 以後外 外力などが挙げられている 梅滓ら13)の本邦におけ 来にて経過観察しているが 術後1年経過した時点で る非吻合部動脈瘤の検討では瘤の発生部位はほとんど 施行したCTでは人工血管の左脚における仮性動脈瘤 が鼠径部および胸腹壁皮下の体表面に近いところから の拡大は認めていない(図4) 発生しているとされる また 腹腔内発生例ではぴま 考 ん性拡張の傾向 鼠径部および胸腹壁皮下発生例では 察 数珠玉状に多発する傾向を認めたとされるが 本症例 では後腹膜腔内で限局した状態であり 現在までの報 腹部大動脈一腸骨動脈領域の再建術に使用される 告例とは違う機序が窺えた Dacron人工血管の動脈瘤様拡張が報告されているが Knitted graftはwoven とされるl 本症例では術後人工血管周囲の炎症は発生していな graftに比しより拡張しやすい い 吻合部動脈瘤の部位では人工血管の断裂はなく 4) すなわち 規格径に比べた移植後の人 工血管の口径は経年的に増大し 拡大率はknitted 吻合に使用された縫合糸は切断されない状態で人工血 Dacronで10 50 1 2 5 6) woven 管側に残存しており 吻合部仮性動脈瘤は大腿動脈の 50 1 2)程度と報告されている. ついて, pulsatile knitted Dacron Dacronで5 pumpを使用してdouble graftliこ180mmhg 脆弱性が主たる原因と考えられた 交通外傷以前にす Kimら4)は伸展性に でに小さな仮性動脈瘤が認められており 動脈瘤発生 velour には鼠径部における慢性的な外力の関与があり 交通 の拍動性水圧を加 えると 3週間で口倍から1.5倍に拡張し 他方 外傷がその増大傾向を増長させたものと考えたい 一 woven 方 人工血管劣化部から出現したと考えられる仮性動 Dacron graftでは拡張がおこりにくいと報告し 31

日血外会誌 662 8巻6号 脈瘤は慢性的な外力がかかりやすい鼠径部より中枢側 られたが 大腿動脈が十分にしっかりとした組織であ の後腹膜腔内にあり 強固な繊維組織で被覆されてい ったこと これより末梢の浅大腿 深大腿動脈 さら る点から 交通外傷がこの発生に影響を与えた可能性 に膝需動脈自体が動脈硬化性変化が強く 血管自体も はないと考えたい 細かった点 プアリスク症例であった点などより 同 人工血管側の要因として手術手技により生じる繊維 一部位に吻合を行った 術後1年以上経過しており の損傷と製造過程における欠陥とが挙げられている 左側の仮性動脈瘤の増大傾向を認めていないが 今後 手術中の原因としては1 人工血管の裁断 2 人工 慎重な経過観察が必要である 血管のクランプ 3 空気抜きのための針刺しなどの 文 際に人工血管の繊維を損傷する可能性が挙げられてい 1) るが 本症例では 両Y脚のほぽ同一部位に仮性動 Igari, T Iwaya, 脈瘤が生じており ちょうど人工血管と大腿動脈を吻 ative 合する際に遮断銀子をかける部分に相当する点 また prostheses F. and alteration aorta. 右脚の仮性動脈瘤を形成した交通孔が 遮断錨子をか 献 in S. : Postoper- the size of Dacron implanted Surgery Hoshino, in the infrarenal Today, 25 : 605-607, 1995. 術後拡張についての検討一ウープンダクロンと 生じている点 さらに左側ではその後大腿一膝窓動脈 ゼラチン被覆ニッテドダクロンの比較 人工臓 バイパス術が施行されているが このとき人工血管部 器 24 分の遮断は施行していない点が重要である 空気抜き : 1 32-1 34 1995. 3 宇藤純一 後藤平明 平田智美他 被覆人工血 のための針刺し部分にも相当する点も否定できないが 管の問題点 移植後早期の炎症と拡張に関する その可能性は少ないと考えたい GelsealとHemashieldの比較 日血外会誌 6: 385-392, Meadox本社の検討では非吻合部動脈瘤の発生は 4) 1981年6月以前に製造されたものに限られており Kim, 1997. G. E Imparato, Dilatation 1982年以降のものには生じていないとされる 構造 5) なる2種類のDacron繊維 断面が円形の繊維round et yarn)が使 6 でその後の非吻合部動脈瘤の発生は報告されていない 477-491, yamが何らかの原因で劣化し 圧がround functional M. L, Barton, E. A. Sauvage, in Dacron 175-180, 1991. L.R. : Late fiber deterio- arterial grafts. Ann. Surg 193 : 1981. 俊 安積孝悦 南木道生他 人工血管置 換術後の人工血管の経時的変化に関する研究 yarnのみ 脈管学 22 にかかったため瘤化をきたしたと報告している 本症 8) 例のDacronグラフトも1982年以前に製造されたも Nunn, : 629, 1982. D. B, Freemann, C. : Postoperative のであることより 非吻合部動脈瘤の発生はグラフト aortic 自体の脆弱性を背景にして 腹部大動脈 両大腿動脈 grafts. Surg 189 : バイパス術施行時の遮断錨子による人工血管の圧挫が 9) 大きく関与したものと考えたい Knox, artery 治療として人工血管置換術が理想的とされるが 本 症例においては大腿動脈吻合部から非吻合部動脈瘤形 R. Mo Gelfand, Berger, K. and 7 小沢 and Surg 114 : 1296-1303, 1979. J. Vase. Surg 14 : ration Nuchoら14 は1つの仮説としてtrilobar Arch. grafts I. et al. : a1. : Clinical significance of aotic graft dilata- tion. 1982年以降のものはすべてround A. Mo Nathan, synthetic Blumenberg, yarnのみの1種類で作成されるようになり 現在ま とされる, of aneurysma. 上の変化として1981年以前のグラフトには形状の異 用されていたが, abdominal 2 舟木成樹 川田忠典 菊地慶太他 人工血管の けて圧挫された両端の部位に対をなすようにそれぞれ yarn,断面がクローパー状の繊維trilobar vascular after 10 An Dacron insertion. Ann. gery, 81 : 32 occurring Ann. five and in a femoral one-half Surg 156 : 827-830, years 1962. as an arterialprosthesis. Sur- 493-496, 1911. Trippestad, A.:Late double evaluation. R. M. and Gelfand, M.L.: Failure 除し 新たに人工血管を間置する形で再建した 吻合 位に再度吻合することは避けなければならないと考え ultrasonic prosthesis of knitted Dacron 11) P. alterations in size of a Dacron W. G. : Aneurysm Blumenberg, Hudgins, 741-745, 1979. 成部より中枢側の比較的健常と思われた部分までを切 部動脈瘤の発生原因が大腿動脈の脆弱性であり 同部 M. H. and rupture of knitted Dacron velour arterialprostheses : Report on four