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平成 30 年 1 月 5 日 報道機関各位 東北大学大学院工学研究科 低温で利用可能な弾性熱量効果を確認 フロンガスを用いない地球環境にやさしい低温用固体冷却素子 としての応用が期待 発表のポイント 従来材料では 210K が最低温度であった超弾性注 1 に付随する冷却効果 ( 弾性熱量効果注 2

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モータ HILS の概要 1 はじめに モータ HILS の需要 自動車の電子化及び 電気自動車やハイブリッド車の実用化に伴い モータの使用数が増大しています 従来行われていた駆動用モータ単体のシミュレーション レシプロエンジンとモータの駆動力分配制御シミュレーションの利用に加え パワーウインドやサ

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Transcription:

mems tohoku 1 MEMS センサ Smart Society 5.0 のための Enabling Technology 田中秀治工学研究科ロボティクス専攻マイクロシステム融合研究開発センター東北大学 In cooperation with

MEMS センサの全体動向 広がる応用スマートフォン, スマートウォッチ, 対話型 AI インターフェース, テレビゲーム,VR,AR,5G, ワイヤレスイヤホン,ADAS, 自動運転, 生体認証, パーソナルビークル, ドローン, ロボット Enabling Technology for Smart Society 5.0 デバイス モジュールビジネスの成長

成長する MEMS ビジネス Amazon Sharp Intel Apple Samsung HTC Yole Development 2016 Google Apple Nissan Softbank 3 DJI スマートフォンに代表されるコンシューマ用途が引き続き拡大弾性波フィルタ, マイクロフォン, 圧力センサが堅調に成長 Ninebot

ついに 12 インチ MEMS(TSMC) Chun-Wen Cheng (TSMC) et al., Transducers 2017, W1B.002, pp. 402-405 4 (a) 12 インチ MEMS ウェハ,(b) キャップウェハのある部分とない部分,(c) ウェハレベルパッケージされた MEMS チップ,(d) CMOS 回路と集積化された MEMS の断面 加速度センサ, 共振子, ピラニゲージを試作 キャビティ SOI を用いていないものの, TDK-InvenSense の Nasiri Process と類似のプロセスと思われる

MEMS センサの全体動向 広がる応用スマートフォン, スマートウォッチ, 対話型 AI インターフェース, テレビゲーム,VR,AR,5G, ワイヤレスイヤホン,ADAS, 自動運転, 生体認証, パーソナルビークル, ドローン, ロボット Enabling Technology for Smart Society 5.0 デバイス モジュールビジネスの成長 デバイス単体からモジュールへ デバイス モジュールの高度化 複雑化

モジュール化の加速 デバイス センサ単体の販売から, 個別エンドユースを踏まえたモジュール化 システム化へ ( 例 ) 慣性センサ単体ではなく, 歩数を出力するモジュール, さらに人の行動認識をするシステムやモジュール マイクロフォン単体ではなく, 音源方向特定, ビームフォーミング, ノイズキャンセリング, 音声認識をするシステムやモジュール センサフュージョンによる高性能化 複数のセンサを組み合わせて, 必要なセンサを必要なときだけ動かし, 省電力化 無線フロントエンドは LTE の導入によってさらに複雑になり, モジュール化が進展 6 モジュールを買えば, 簡単に製品開発可能ソフトウェアもレファレンス設計も付属 デバイスの製品ポートフォリオを整える重要性 M&A が盛んに ST SensorTile STM32 マイクロプロセッサ,3 軸加速度センサ,3 軸ジャイロスコープ,3 軸磁気センサ, 圧力センサ, 温度センサ, 湿度センサ, マイクロフォン, Bluetooth

MEMS センサの全体動向 広がる応用スマートフォン, スマートウォッチ, 対話型 AI インターフェース, テレビゲーム,VR,AR,5G, ワイヤレスイヤホン,ADAS, 自動運転, 生体認証, パーソナルビークル, ドローン, ロボット Enabling Technology for Smart Society 5.0 デバイス モジュールビジネスの成長 デバイス単体からモジュールへ デバイス モジュールの高度化 複雑化 デバイス モジュールメーカのレファレンス設計通りに作れば, システムができる時代になぜ, 中国の新興メーカーが格安だがそこそこ良い性能のスマートフォン等を短期間で開発できるのか?

格安スマートフォン Ulefone U007 と MediaTek チップ 清水洋治 ( テカナリエ ),EE Times Japan 2017.5.15 Ulefone U007 (54 US$~) MediaTek MT6350 ( 電源 IC とオーディオ IC) MediaTek MT6580 (RF トランシーバ, 各種メディア機能, 汎用 CPU, 通信用プロセッサなど ) 台湾, 中国製チップで構成 8

MEMS センサの全体動向 広がる応用スマートフォン, スマートウォッチ, 対話型 AI インターフェース, テレビゲーム,VR,AR,5G, ワイヤレスイヤホン,ADAS, 自動運転, 生体認証, パーソナルビークル, ドローン, ロボット Enabling Technology for Smart Society 5.0 デバイス モジュールビジネスの成長 デバイス単体からモジュールへ デバイス モジュールの高度化 複雑化 デバイス モジュールメーカのレファレンス設計通りに作れば, システムができる時代になぜ, 中国の新興メーカーが格安だがそこそこ良い性能のスマートフォン等を短期間で開発できるのか? サプライチェーンにおけるデバイス モジュールメーカの力 up 利益率が驚くほど高いデバイス モジュールメーカ デバイス モジュールメーカとプラットフォーマの時代へ

最新 MEMS 売上ランキング 10 2016 年には, ついに Broadcom( 旧 Avago Technologies) が 2 位に STMicroelectronics は 4 位まで後退 首位になった 2012 年 (1B US$ 超え ) の約 6 割の売上 Quorvo が肉薄 M&A によって TDK がトップ 10 入り (9 位 )

材料とデバイスイノベーションのスナップッショット スマートフォンに用いられている FBAR フィルタ (MEMS 技術を用いた弾性波フィルタの一種 ) FBAR は圧電材料 AlN を用いた弾性波共振子 圧電薄膜としての AlN の研究は 1970 年代から FBAR は東北大学の中村喜良先生らを含む 3 つのグループが, 1980 年に独立に発表

RF フロントエンド (2G + 3G) G. Hueber et al., IEEE Microwave Magazine, August 2015, 26-35 アンプ デュプレクサ ( フィルタの組合せ ) アンテナ スイッチ フィルタ 12 フィルタだらけ最近のはもっと複雑 ( 特にキャリア アグリゲ ションによって )

FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator) 実用化までの挑戦的な主要課題 AlN の成膜において, 理論限界ぎりぎりの k 2 を実現しつつ, 応力を制御し, さらに膜厚をウェハ内で ±0.05 % の精度で制御 Q 値を上げるためエネルギーを閉じ込めつつ, スプリアス ( 不要振動 ) を抑制 ( 両者は基本的には背反した要求 ) 成膜技術と膜厚トリミング技術の発展 設計の進化 エネルギー閉じ込め構造 スプリアス抑制構造 ( フレーム構造, アポダイゼーションなど ) 13 FBAR フィルタ (Avago, 現 Broadcom) FBAR ( 富士通, 現太陽誘電 )

AlN のスパッタ堆積 (S-Gun Sputter) V. V. Felmetsger and P. N. Laptev (Tegal), Chiba Symposium 2010 40 khz 外側 / 内側のターゲットが交互にアノード / カソードとなる アノード消失なし基板をRFプラズマクリーニングしてから AlNを堆積配向性には下地の表面平滑性が重要ガス流量で膜応力を制御 14 膜厚分布の調整 外側 / 内側ターゲットにかかるパワーを調整 (SAU) または, 外側 内側ターゲット間に DC バイアスを印加

材料とデバイスイノベーションのスナップッショット スマートフォンに用いられている FBAR フィルタ (MEMS 技術を用いた弾性波フィルタの一種 ) FBAR は圧電材料 AlN を用いた弾性波共振子 圧電薄膜としての AlN の研究は 1970 年代から FBAR は東北大学の中村喜良先生らを含む 3 つのグループが, 1980 年に独立に発表 1990 年代末,HP(Agilent Avago Broadcom) が実用化 実用化のタイミングが重要 ( 米 PCS) Avago-Broadcom Avago-Broadcomは急成長, 絶好調 年間 30 億個以上のFBARフィルタをモジュールにして販売 デバイスもモジュールも難しすぎて, 限られた企業しか作れない 大和証券

ScAlN( 産総研, デンソー ) Influence of growth temperature and scandium concentration on piezoelectric response of scandium aluminum nitride alloy thin films, 1 M. Akiyama, 2 K. Kano, 2 A. Teshigahara, 1 AIST, 2 DENSO, Appl. Phys. Lett., 95 (2009) 162107 常誘電体 ( キュリー点なし ) Sc 40% 強で圧電性最大圧電定数 d 33 > 25:AlN の約 5 倍弾性定数 :AlN の約半分誘電率 ε ~ 2.7 10-10 F/m:AlN の約 3 倍 400 ºC でスパッタ成膜可能 (400 ºC 以上でスパッタすると,Sc 35% 付近で圧電定数にディップが生じる ) 16 成膜温度 400 ºC

材料とデバイスイノベーションのスナップッショット スマートフォンに用いられている FBAR フィルタ (MEMS 技術を用いた弾性波フィルタの一種 ) FBAR は圧電材料 AlN を用いた弾性波共振子 圧電薄膜としての AlN の研究は 1970 年代から FBAR は東北大学の中村喜良先生らを含む 3 つのグループが, 1980 年に独立に発表 1990 年代末,HP(Agilent Avago Broadcom) が実用化 実用化のタイミングが重要 ( 米 PCS) Avago-Broadcom Avago-Broadcomは急成長, 絶好調 年間 30 億個以上のFBARフィルタをモジュールにして販売 デバイスもモジュールも難しすぎて, 限られた企業しか作れない Avago-Broadcom は高結合の Sc ドープ AlN を用いた FBAR フィルタも実用化 大和証券

材料とデバイスイノベーションのスナップッショット このスナップショットから学ぶことは : デバイス モジュールでは, 材料, 設計, 生産 の全てにおいて極めて高い技術を開発または用意した者のみがイノベーションに達する 実用化のタイミングが重要 先んじて潜在的なビジネスチャンス ( 具体的ニーズ ) をつかみ, スピード感を持って研究開発 科学技術振興に留まらず, イノベーションを目指すなら ナノテクのシステム化 ナノシンセシス

日本の課題 : デバイス センサー分野 デバイス性能で勝負できない 多くの研究者が 新コンセプト に逃げている しかも, 筋の通った 新コンセプト は少ない Only one はできても, Number one は難しい なぜか? デバイス設計, 製作, システム化 ( フロントエンドを含むエレクトロニクス,FPGA, ソフトウェアなどとの ) まで, 総合的に研究開発できる力が不足 グランドチャレンジ には挑戦できない できる研究グループ にはあるクリティカルな規模がある 基礎研究でも性能で勝負した例 :MEMS 重力センサ

MEMS 重力計 R. P. Middlemiss et al. (University of Glasgow), Measurement of the Earth Tides with a MEMS Gravimeter, Nature, 531, pp. 614-617 第一に MEMS 構造が優れているが, MEMS センサの他, 低ノイズ化のためのエレクトロニクス, 真空パッケージング, 精密温度制御, データ処理など, 全ての要素が揃わないと 40 μgal/ Hz の感度は出ない 21 資源探索, 遺跡探索, 地下トンネル探索, 海抜計測などの用途

デバイス分野の状況分析 ナノテクプラットフォームによって微細加工の裾野は広がった ( 極めて有意義 ) 素人でも比較的簡単に微細構造が手に入る ナノテクプラットフォームはツールであり, ツールを整えただけでは目的半ば プロの利用者 ( デバイス研究者 ) も増えるべき しかし, アカデミックでのデバイス研究の難しさから, 日本ではデバイス研究者の人口は減っている MEMS の学術基盤は, 微小機械における損失とノイズの実学 DARPA は, これを踏まえたファンディングを手を変え品を変え,20 年以上行っている 王道がわかる研究者が少なくない 個々のテーマはスピードを要する 一方, 長期視点に立ちデバイス研究の実力を上げていく必要がある Smart Society 5.0 を迎え, デバイス モジュールメーカとプラットフォーマの時代 が来る 日本はどちらが得意か? ツール を整えた今, 今度は中身に投資する時機

デバイス分野の状況分析 既存の大学研究室や産総研では, MEMS センサのグランドチャレンジ のような研究開発は簡単ではない フラウンホーファー研究機構のモデルは参考になる ( たとえば ) 研究開発を ビジネス として行う ビジネスモデルを作り, それに沿って民間企業等からコントラクトが取れたかどうかを評価 契約額 ( 顧客の内部研究費は含めない ) に応じて公的資金によって支援 支援は契約額の 30% 程度以下 大学研究室と併存 ( 卓越大学院の思想 )

マイクロデバイスの研究開発, お手伝いします 基礎研究から製品開発まで小片ウェハから6インチウェハまで企業単独での開発より短時間 低コストで成果が得られるように支援します 本学で試作したデバイスの商用利用も可能です MEMSの技術と事業に関するコンサルティングも行っています 企業からのオーダーに応じてプライベートセミナーを開催します 田中 ( 秀 ) 研究室が一貫してお世話 研究室クリーンルーム 小片ウェハ マイクロ ナノセンター (MNC) 4 インチウェハ マイクロシステム融合研究開発センター 6 インチウェハ 25

最近, こんな事例があります ファウンドリで作製した LSI ウェハに, 本学で TSV を形成して, これを顧客企業で作製した MEMS と, 本学でウェハレベル集積化 顧客企業が希望する仕様の MEMS を本学で設計, 仙台地域の MEMS ファウンドリで試作 顧客企業の次世代デバイスの提案, 開発 本学で開発した装置を顧客企業が購入し, それを本学に設置してプロセス開発 共同研究員の受け入れによる共同研究 装置利用機会提供 設計指導 ( 学術指導 ) 社内プライベートセミナー, コンサルティング 26

S. Tanaka Laboratory Department of Robotics & Microsystem Integration Center Tohoku University Professor Shuji Tanaka Project Prof. Michio Kadota Assoc. Prof. Hideki Hirano Assoc. Prof. Jörg Frömel Assoc. Prof. Masanori Muroyama Research menu in 2017 Sensor systems for human-friendly robots Frequency control devices (SAW and BAW devices) Advanced inertial sensors Acoustic sensors Integrated biosensors Piezoelectric thin films and devices (Epitaxial PZT on Si) Heterointegration and wafer-level packaging technology MEMS process tools (ALD, wafer bonder etc.) Assoc. Prof. Shinya Yoshida Assist. Prof. Takashiro Tsukamoto In cooperation with