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DSM A A A 1 1 A A p A A A A A 15 64

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博士学位申請論文内容の要旨


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50% であり (iii) 明らかな心臓弁膜症や収縮性心膜炎を認めない (ESC 2012 ガイドライン ) とする HFrEF は (i)framingham 診断基準を満たす心不全症状や検査所見があり (ii) は EF<50% とした 対象は亀田総合病院に 年までに初回発症

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子として同定され 前立腺癌をはじめとした癌細胞や不死化細胞で著しい発現低下が認められ 癌抑制遺伝子として発見された Dkk-3 は前立腺癌以外にも膵臓癌 乳癌 子宮内膜癌 大腸癌 脳腫瘍 子宮頸癌など様々な癌で発現が低下し 癌抑制遺伝子としてアポトーシス促進的に働くと考えられている 先行研究では ヒ

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(1) ビフィズス菌および乳酸桿菌の菌数とうつ病リスク被験者の便を採取して ビフィズス菌と乳酸桿菌 ( ラクトバチルス ) の菌量を 16S rrna 遺伝子の逆転写定量的 PCR 法によって測定し比較しました 菌数の測定はそれぞれの検体が患者のものか健常者のものかについて測定者に知らされない状態で


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機能分類や左室駆出率, 脳性ナトリウム利尿ペプチド (Brain Natriuretic peptide, BNP) などの心不全重症度とは独立した死亡や入院の予測因子であることが多くの研究で示されているものの, このような関連が示されなかったものもある. これらは, 抑うつと心不全重症度との密接な

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臨床研究の概要および研究計画

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ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

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タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

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統合失調症発症に強い影響を及ぼす遺伝子変異を,神経発達関連遺伝子のNDE1内に同定した

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

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3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

論文投稿前審査 学位論文審査の手順 論文投稿前審査 ( 予備審査 ) 名 学務課医歯学大学院係 学務課医歯学大学院係 論文の教授会 3 での受理可否について 医歯学大学院係から学位申請者へ結果をお知らせしますので 学位論文申請時にメール等の連絡先をお知らせください 医歯学大学院係へメールで送るかファ

要望番号 ;Ⅱ-286 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者 ( 該当するものにチェックする ) 学会 ( 学会名 ; 特定非営利活動法人日本臨床腫瘍学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 33 位 ( 全 33 要望

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3 氏 名 あお青 き木 あき顕 こ子 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 647 号平成 27 年 3 月 4 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 精神神経科学 ) 学位論文題目 Factors affecting discontinuation of initial treatment with paroxetine in panic disorder and major depressive disorder ( パニック障害と大うつ病性障害におけるパロキセチンを用いた初期 治療の中断に影響する要因 ) 論文審査委員 ( 主査 ) 教授平田幸一 ( 副査 ) 教授安西尚彦 教授上田秀一 論文内容の要旨 背景 大うつ病性障害や不安障害に対して 抗うつ薬は有効であり 依存性がないなど有用性も高いが 抗うつ薬の服薬中断に影響する要因については 明らかにされていない セロトニントランスポーター遺伝子プロモーター領域 (serotonin transporter length polymorphic region: 5-HTTLPR) 多型のS alleleが選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (selective serotonin reuptake inhibitor:ssri) のフルオキセチン投与に伴う不眠と激越に関係する可能性についての報告がある しかし 5-HTTLPR 遺伝子多型と抗うつ薬の服薬中断との関連性は認められていない また パニック障害患者のSSRI への感受性がうつ病患者よりも高いという意見もあり 大うつ病性障害を併発するパニック障害患者が 大うつ病性障害のみの患者に比べ SSRIに対し低い忍容性を示すとの報告もある 目的 今回 パニック障害と大うつ病性障害の日本人患者において SSRIであるパロキセチンの治療中断と 5-HTTLPR 多型との関連性を検討した 対象と方法 パニック障害患者 52 例と大うつ病性障害患者 88 例を対象に 初期治療として2 週間 パロキセチン投与 ( パニック障害群 ;10mg/ 日 大うつ病性障害群 :20mg/ 日 ) を行った 本研究は獨協医科大学生命倫理委員会の承認を得ており 本研究内容を文書にて説明し書面にて同意を得られた症 -11-

例を対象とした 対象としたパニック障害患者と大うつ病性障害患者の末梢血からDNAを抽出し 5-HTTLPR 遺伝子型をpolymerase chain reaction 法にて同定した HPLC 法により パロキセチン血清中濃度を測定し 検出限界値以下の症例は服薬不遵守による中断と定義した 結果 1 全体の治療中断率に有意差はなかったが パニック障害群 (28.8%) が大うつ病性障害群 (19.3%) を上回った 2Fisherの直接法によりパニック障害群と大うつ病性障害群を比較したところ パニック障害患者において 大うつ病性障害患者よりも有意に高い服薬不遵守による治療中断率が認められた 大うつ病性障害患者では パニック障害患者よりも有意に高い追跡不能 ( 来院しなかった ) による治療中断率が認められた 3 多重ロジスティック回帰分析の結果から パニック障害群において 5-HTTLPR 遺伝子型が副作用による治療中断に影響し L/S 型がS/S 型よりも高い中断率である傾向が示された (p=0.054) 考察 投与量の違いを加味すると 今回の結果から 初期治療の2 週間において パニック障害患者のパロキセチンに対する忍容性は大うつ病性障害患者と比較して低い可能性が示された また パニック障害群では服薬不遵守による脱落が多く 大うつ病性障害群では通院を中断してしまう患者が多かった 大うつ病性障害患者は性格傾向として内向性が高く このため通院を止めてしまうが 一方 パニック障害患者は外向性が高いことから 服薬をしていなくても通院を継続したと考えられた また 本研究結果では パニック障害における5-HTTLPR 遺伝子型 L/S 型例の副作用による中断率が S/S 型例と比べ高い傾向を示していた しかし 大うつ病性障害においては同様の関係を認めなかった 欧米の研究では 5-HTTLPR 遺伝子多型のS alleleは良好な治療継続に関わると考えられており 人種によって差異がある可能性が考えられた 結論 今回の研究の結果 パニック障害患者における5-HTTLPR 遺伝子型が パロキセチン初期治療での副作用による中断に関与する可能性が示された 論文審査の結果の要旨 論文概要 大うつ病性障害や不安障害に対して 抗うつ薬は有効であり 有用性も高いが 抗うつ薬の服薬中断に影響する要因については 明らかにされていない Serotonin transporter length polymorphic region (5-HTTLPR) 多型のSalleleがselective serotonin reuptake inhibitor (SSRI) のフルオキセチン投与に伴う不眠と激越に関係する可能性についての報告があるものの 5-HTTLPR 遺伝子多型と抗うつ薬の服薬中断との関連性は認められていない また パニック障害患者のSSRIへの感受性がうつ病患者よりも高いという意見もあり 大うつ病性障害を併発するパニック障害患者が 大うつ病性障害のみの患者に比べ SSRIに対し低い忍容性を示すとの報告もある 本申請論文では パニック障害と大うつ病性障害の日本人患者において SSRIであるパロキセチンの治療中断と 5-HTTLPR -12-

多型との関連性を検討した パニック障害患者 52 例と大うつ病性障害患者 88 例を対象に 初期治療として2 週間 パロキセチンの投与 ( パニック障害群 ;10mg/ 日 大うつ病性障害群 :20mg/ 日 ) を行った パロキセチン血清中濃度を測定して 検出限界値以下の症例を服薬不遵守による中断と定義した また 副作用によるパロキセチン治療中断例を副作用による中断と定義し パロキセチン治療を開始して2 週間後に来院しなかった例を追跡不能による中断と定義した 1 全体の治療中断率に有意差はなかったが パニック障害群 (28.8%) が大うつ病性障害群 (19.3%) を上回った 2Fisherの直接法によりパニック障害群と大うつ病性障害群を比較したところ パニック障害患者において 大うつ病性障害患者よりも有意に高い服薬不遵守による治療中断率が認められた 大うつ病性障害患者では パニック障害患者よりも有意に高い追跡不能 ( 来院しなかった ) による治療中断率が認められた 3 多重ロジスティック回帰分析の結果から パニック障害群において 5-HTTLPR 遺伝子型が副作用による治療中断に影響し L/S 型がS/S 型よりも高い中断率である傾向が示された (p=0.054) 今回の結果からは 投与量の違いを考慮に入れると 初期治療の2 週間において パニック障害患者のパロキセチンに対する忍容性は大うつ病性障害患者と比較して低いと考えられた パニック障害における5-HTTLPR 遺伝子型 L/S 型の副作用による中断率が S/S 型例と比較して高い傾向を示していた しかし 大うつ病性障害においては同様の関係を認めなかった 欧米の研究では 5-HTTLPR 遺伝子多型のSアリルは良好な治療継続に関わると考えられており 人種によって差異がある可能性が考えられた 本研究では パニック障害患者における5-HTTLPR 遺伝子型が パロキセチン初期治療での副作用による中断に関与する可能性が示された 研究方法の妥当性 申請論文は 精神科操作的診断基準であるDiagnostic and Statistical manual of Mental disorders -fourth edition-text Revision(DSM-IV-TR) を用いて精神医学的診断を行い さらにパニック障害患者に対してPanic and Agoraphobia Scaleを用い 大うつ病性障害患者に対して 治療開始前に Montgomery-Åsberg Depression Rating Scaleを用いて重症度評価を行い 厳密に対象群の設定がなされている 初期治療として2 週間 パニック障害群と大うつ病性障害群にパロキセチンの投与を行い high performance liquid chromatographyにより パロキセチン血清中濃度を測定し 検出限界値以下の症例を服薬不遵守による中断と定義した また 対象としたパニック障害と大うつ病性障害患者の5-HTTLPR 遺伝子型をpolymerase chain reaction 法にて同定し 遺伝子型を解析した 統計解析には重回帰分析 多重ロジスティック回帰分析 カイ二乗検定 Fisher s exact test Welch s t-test Student s t-testを使用し Windows 版 Dr.SPSS II for Windows, IBM SPSS statistics version 19.0で解析した 以上より 本研究方法は妥当なものである 研究結果の新奇性 独創性 大うつ病性障害や不安障害に対して 抗うつ薬は有効であり 依存性がないなど有用性も高いが 抗うつ薬の服薬中断に影響する要因については 明らかにされていない 申請論文では パニック障害と大うつ病性障害の日本人患者において SSRIのパロキセチンの治療中断と 5-HTTLPR 多型と -13-

の関連性を検討し パニック障害患者における5-HTTLPR 遺伝子型が パロキセチン初期治療での副作用による中断に関与する可能性を導き出した 特に服薬中断との関連はこれまでに報告されていないため 本研究は新奇性 独創性に優れたものと評価できる 結論の妥当性 申請論文では DSM-IV-TRを用いて適切に対象群の設定がなされ 適切な重症度評価 適切な統計解析を用いて パロキセチンの治療中断と 5-HTTLPR 多型との関連についての解析が行われている そこから導き出された結論は 論理的に矛盾するものではなく かつ先行研究の結果と照らし合わせても 矛盾するものではない 当該分野における位置付け 申請論文における結果は パニック障害における5-HTTLPR 遺伝子型 L/S 型の副作用によるパロキセチン初期治療での中断率が S/S 型と比べ高い傾向を示している 投薬前に遺伝子検査を行い その遺伝子型から 適切な薬剤を選択し 副作用を回避できる可能性がある 遺伝子情報による患者各々に応じた最適な医療 つまり オーダメード医療を目指し これにより 疾患の重症化の回避や医療レベルの向上が期待できる 申請者の研究能力 申請者は 精神科臨床の現場において多くの研鑽を積み 特に本申請論文に関連するパニック障害と大うつ病性障害におけるパロキセチンを用いた初期治療の中止に影響する要因に関する学会発表を既に行っている 申請論文についても国際誌 Neuropsychiatric Disease and Treatmentに受理され 既にインターネット上で公開 (doi: 10.2147/NDT.S68670) されており 申請者の研究能力は高いと評価できる 学位授与の可否 本論文は独創的で質の高い研究内容を有しており 当該分野における貢献度も高い よって 博士 ( 医学 ) の学位授与に相応しいと判定した ( 主論文公表誌 ) Neuropsychiatric Disease and Treatment 10:1793-1798, 2014-14-