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溶結凝灰岩を含む火砕流堆積物からなっている 特にカルデラ内壁の西側では 地震による強い震動により 大規模な斜面崩壊 ( 阿蘇大橋地区 ) や中 ~ 小規模の斜面崩壊 ( 南阿蘇村立野地区 阿蘇市三久保地区など ) が多数発生している これらの崩壊土砂は崩壊地内および下部に堆積しており 一部は地震時に

近畿地方整備局 資料配付 配布日時 平成 23 年 9 月 8 日 17 時 30 分 件名土砂災害防止法に基づく土砂災害緊急情報について 概 要 土砂災害防止法に基づく 土砂災害緊急情報をお知らせします 本日 夕方から雨が予想されており 今後の降雨の状況により 河道閉塞部分での越流が始まり 土石流

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【論文】

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~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

9 箇所名 江戸川区 -1 都道府県東京都 市区町村江戸川区 地区 清新町, 臨海町 2/6 発生面積 中 地形分類 盛土地 液状化発生履歴 近傍では1855 安政江戸地震 1894 東京湾北部地震 1923 大正関東地震の際に履歴あり 土地改変履歴 国道 367 号より北側は昭和 46~5 年 南

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177 箇所名 那珂市 -1 都道府県茨城県 市区町村那珂市 地区 瓜連, 鹿島 2/6 発生面積 中 地形分類自然堤防 氾濫平野 液状化発生履歴 なし 土地改変履歴 大正 4 年測量の地形図では 那珂川右岸の支流が直線化された以外は ほぼ現在の地形となっている 被害概要 瓜連では気象庁震度 6 強

写真 -1 南阿蘇村阿蘇大橋地区の斜面崩壊発生状況 ( 国際航業株式会社 株式会社パスコ撮影 ) 図 -2 平成 24 年九州北部豪雨災害時及び熊本地震時の土砂移動分布図 図 -3 平成 24 年九州北部豪雨災害時及び熊本地震時の土砂移動分布図 ( 阿蘇山外輪部の一部を拡大 ) 図 -2に示すとおり

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6. 現況堤防の安全性に関する検討方法および条件 6.1 浸透問題に関する検討方法および条件 検討方法 現況堤防の安全性に関する検討は 河川堤防の構造検討の手引き( 平成 14 年 7 月 ): 財団法人国土技術研究センター に準拠して実施する 安全性の照査 1) 堤防のモデル化 (1)

2.2 既存文献調査に基づく流木災害の特性 調査方法流木災害の被災地に関する現地調査報告や 流木災害の発生事象に関する研究成果を収集し 発生源の自然条件 ( 地質 地況 林況等 ) 崩壊面積等を整理するとともに それらと流木災害の被害状況との関係を分析した 事例数 :1965 年 ~20

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4. 堆砂


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新潟県連続災害の検証と復興への視点

土木建設技術シンポジウム2002

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斜面崩壊と土石流 斜面崩壊 斜面崩壊が土石流化して, 甚大な災害を引き起こすことが地すべり多い 人家 (2009 年 7 月防府市豪雨災害 ) アジア航測撮影

目次 1 はじめに 1 2 地震発生から設備被害確認までの経緯 2 3 調査結果 3 (1) 調査の目的と内容 3 (2) 地質調査結果 ( 斜面崩壊 ) 3 1 斜面崩壊の概要 3 2 地質と地質構造 4 3 岩盤状況と崩壊形態の推定 5 4 A B 崩壊による崩壊土砂の重なり 6 (3) 構造物

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GUPI Newsletter No / 5/20 本 サ イト は (一 社 )全国 地 質調 査 業 協会 連 合会 が 公開 主 体で GUPIは 地 盤情 報 の整 備 と公 開シ ス テム の 開発 を 担 当し て いま す 公 開 して い るボ ー リ ング 柱 状図

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1.2 主な地形 地質の変化 - 5 -

地盤の被害:斜面の被害

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7-2 材料 (1) 材料一般 1. アンカーの材料は JIS などの公的機関の規格により保証されているものか もしくは所要の品質や性能を有していることを確認したものとする 2. アンカーの材料を組み立てる場合には 各材料は他の材料に悪影響を与えないことを確認したものを使用する 1) 材料に関する一

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「南九州から南西諸島における総合的防災研究の推進と地域防災体制の構築」報告書

 

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平成 30 年度 北海道胆振東部地震における災害対策用機械等の活動について 報告 別紙 -2 室蘭開発建設部施設整備課 白瀬和暁中條高司福澤高信 平成 30 年 9 月 6 日に胆振地方中東部を震源として発生した地震は 最大震度 7 を北海道で初めて観測し 胆振中東部に甚大な被害と道内全域に大停電

重ねるハザードマップ 大雨が降ったときに危険な場所を知る 浸水のおそれがある場所 土砂災害の危険がある場所 通行止めになるおそれがある道路 が 1 つの地図上で 分かります 土石流による道路寸断のイメージ 事前通行規制区間のイメージ 道路冠水想定箇所のイメージ 浸水のイメージ 洪水時に浸水のおそれが

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平成26年8月豪雨災害(広島豪雨災害) におけるCOSMO-SkyMed衛星観測結果

(2) 陸域で噴火した場合に 発生を想定すべき現象について及び水蒸気噴火を想定すべきか 1) 発生が想定される現象 御倉山のような溶岩ドーム形成の可能性があり この場合はドーム崩落型の火砕流を想定していく必要がある 高粘性のマグマ ( 安山岩から流紋岩まで想定 ) 噴出による溶岩ドームの形成およびそ

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土の基本的性質 粒子の組合せ 内部の粒子の幾何学的配置 粒子の性質 外部からは見えない 連続体 + としてのマスの性質 工学 技術の対象 粒子の性質 粒子の詰まり方 ( 粒度分布 ) 異なる大きさの粒子の混じり具合 ( 個々の粒子の性質 ) 粒子の大きさ 粒子の比重 粒子の形 粒子の硬さ 強度 粒子

資料 -5 第 5 回岩木川魚がすみやすい川づくり検討委員会現地説明資料 平成 28 年 12 月 2 日 東北地方整備局青森河川国道事務所

土の三軸圧縮試験

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ハザードマップポータルサイト広報用資料

第 7 章砂防 第 1 節 砂防の概要 秋田県は 北に白神山地の二ツ森や藤里駒ヶ岳 東に奥羽山脈の八幡平や秋田駒ヶ岳 南に鳥海山など 1,000~2,000m 級の山々に三方を囲まれています これらを水源とする米代川 雄物川 子吉川などの上流域は 荒廃地が多く 土砂の発生源となっています また 本県

深層崩壊危険斜面抽出手法マニュアル(素案)

スライド 1

積粘土と同様に上下で低く 中央で高い弓形分布を示す 図 () の I L は 長田 新庄 門真で 1 以上を示し 東大阪地域の沖積粘土の特徴である超鋭敏性が伺える ただし 鴫野の I L はかなり低い 図 (3) () の c v は 先の w L が反映されているが 特に新庄の中央部の圧縮性が高い

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土層強度検査棒 計測データ例 kn/ m2 45 滑り面の可能性ありとした箇所の条件 : 地下水に飽和していること 及び SS 試験で 100kg 以下で自沈する箇所であること 土層強度検査棒による地盤強度計測結果グラフ 粘着力 計測値 30 T2 O5 25 M4 M3 20 滑り面

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熊本地震の緊急調査報告

国土技術政策総合研究所 研究資料

地すべり176号

熊本県内の石橋と熊本城跡の被災状況 今回の地震では 熊本県内の多くの石橋や熊本城跡など建造 物の文化財が被災した 通潤橋 写真 2 上 は 通水管部の間 の被覆土に亀裂 通水管の繋目のずれの発生や石垣上部が外側 方向に膨らみ等の損傷が発生した 石橋の被災例として下鶴橋 写真 2 下 の壁石垣の半分崩

資料 4 第 1 回被害想定部会 深部地盤モデル作成結果 平成 27 年 3 月 24 日 1

(a) (b) 写真 -3 流下状況 ( ケース 1) 写真 -2 (a) 家屋模型,(b) 橋梁模型表 -1 実験ケース 実験パターン 流下条件 流量 (L / min) ケース1 家屋実験 泥流 25 ケース2 家屋実験 土石流 25 ケース3 橋桁実験 泥流 25 ケース4 橋桁実験 土石流


01

「活断層の補完調査」成果報告書No.H24-2


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5. 被害の概要札幌市東区東 15 丁目 ( 屯田通り ) では約 3.0km にわたって道路陥没が発生し, 交通障害が生じた. 加えて, 札幌市北区の西 4 丁目北 34 条 ~37 条においても道路陥没が発生した. 札幌市清田区里塚 1 条では宅地造成地盤の液状化が生じ, 道路や家屋に著しい沈下

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2. 急流河川の現状と課題 2.1 急流河川の特徴 急流河川では 洪水時の流れが速く 転石や土砂を多く含んだ洪水流の強大なエネルギー により 平均年最大流量程度の中小洪水でも 河岸侵食や護岸の被災が生じる また 澪筋 の変化が激しく流路が固定していないため どの地点においても被災を受ける恐れがある

L型擁壁 宅造認定 H=3 5m ハイ タッチウォール KN0202-石乱積み 透水層 止水コンクリート 敷モルタル 基礎コンクリート 土粒子止めフィルター 直高H3.0m超 最大5.0mの プレキャストL型擁壁 宅造法に基づく国土交通大臣認定取得商品です 社団法人全国宅地擁壁技術協会による工場認


リサーチ ダイジェスト KR-051 自然斜面崩壊に及ぼす樹木根系の抑止効果と降雨時の危険度評価に関する研究 京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻特定教授杉山友康 1. はじめに 鉄道や道路などの交通インフラ設備の土工施設は これまでの防災対策工事の進捗で降雨に対する耐性が向上しつつある一方で

鹿児島大学 地域防災教育研究センター 平成28年度報告書

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地盤調査報告書 スウェーデン式サウンディング試験に基づく地盤調査 調査名称 清水東町 I 号地事前調査 調査場所 熊本県熊本市北区清水東町 株式会社奥羽興産 金城重機株式会社 千葉県松戸市高塚新田 512 番 19 号 TEL FAX

横書き 2組

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ヴィエトナム高原におけるマッシュルーム栽培の基本

2.

Transcription:

幌内地区の大規模斜面崩壊と 厚真川の河道閉塞 室蘭工業大学大学院工学研究科川村志麻

幌内地区の大規模斜面崩壊箇所 1 富里地区 2 厚真川河道閉塞 4 幌内地区 3 1 吉野地区 2 富里浄水場 ( 富里地区 ) 3 幌内地区 4 厚真川河道閉塞

幌内地区の大規模な斜面崩壊 (a) (b) (c) 撮影 : 国際航業株式会社 株式会社パスコ 9 月 6 日撮影に一部加筆

吉野地区の表層崩壊と異なる斜面崩壊パターン ( 長距離土砂流動 ) 幌内地区の長距離土砂流動の発生地点は 谷地形のような箇所も多い 周辺には 日高幌内川があり 河道閉塞している箇所もあった 幌内地区の大規模斜面崩壊 16 (a) (b) 日高幌内川 C

土石流のように周りの斜面を巻き込みながら流下しているように見える なお, 地震前の台風 21 号の影響があったかどうかは不明 ( 現在 調査中 ) (a) 地点 (a) (b) C 9 月 11 日撮影 降下軽石堆積物が土砂移動にともない散乱し 堆積している状況 かなりの高速流動を伺わせる 9 月 11 日撮影 9 月 11 日撮影

流動土砂の様子 : この付近では樽前を噴出源とする降下軽石層が土塊ごと移動していた かなり泥寧化している箇所もあった 9 月 11 日撮影

桜丘 ~ 吉野地区での表層崩壊 ( 地方独立行政法人北海道立総合研究機構地質研究所報告書より )

樽前 恵庭 支笏降下軽石の代表的な構成粒子 ( 公社 ) 地盤工学会北海道支部 : 実務家のための火山灰質土より

(b) 地点 (a) (b) (a) から (b) を望む 長距離にわたって土砂が流動している 9 月 11 日撮影 C 斜面のり先部より撮影 9 月 11 日撮影 源頭部は確認できないが 山頂付近から崩壊している すべりもかなり深い 一度 緩斜面を経て土塊が移動している 9 月 11 日撮影 のり先部では 水面が確認できる 斜面から流れ出たものか 水路が閉塞されたものかは不明 また 泥寧化した土質も確認されている

日高幌内川付近より撮影 日高幌内川 土砂流動の最先端部 流動最先端部では 日高幌内川の閉塞も確認された 9 月 11 日撮影 9 月 11 日撮影 すべり土塊は 一度緩斜面を通って流出している 9 月 11 日撮影 9 月 11 日撮影 土砂流動先端部の状況 樹木のほか 火山灰質土も確認される

(c) 地点 (a) (b) C (C) 地点の斜面崩壊の様子 写真では分かり難いが 前述の航空写真では斜面上部は谷地形になっており そこから崩壊土砂が流出した 構成される火山灰質土も先程と同様である 9 月 14 日撮影 右下の写真はドローンにより撮影 ( 北海道大学 今教授より提供 ) 9 月 14 日撮影

9 月 14 日撮影 今回調査した崩壊地 (a)(b)(c) では 一番大規模なすべり崩壊 9 月 14 日の状況 ( 土木学会地震災害調査団の寒地土木研究所川村主任研究員より写真提供 )

斜面崩壊 土砂流動 厚真川 厚真川の河道閉塞 9 月 8 日撮影 ( 北海道開発局室蘭開発建設部提供 )

幌内地区と富里地区の間にある厚真川の河道閉塞 厚真川 9 月 8 日撮影 写真左側より流出した土砂により 厚真川が河道閉塞 5 万 ~6 万 m 3 の土砂流出があった 崩壊斜面は 比較的緩斜面のようである ( 北海道大学清水教授提供 )

9 月 11 日撮影 崩壊後の斜面を確認すると 緩斜面からの流出している 他の地区と同じように 火山灰質土が確認できる 崩壊斜面下部には 火山灰質層だけではなく 岩盤も確認できる 厚真橋下流側のまで土砂が流出している 護岸ブロック等に損傷は認められない

崩壊土砂は撤去され 河道は確保されていた 右岸は土のうによって仮復旧されている 厚真川現在の状況 9 月 18 日撮影 ( 北海道開発局室蘭開発建設部提供 )

崩壊箇所より採取した降下火山灰質土の地盤工学的考察 ( 既往のデータとの比較 )

近年の地震では 火山性の堆積物からなる斜面において崩壊が発生した事例として (1)2008 年岩手宮城内陸地震 (2)2016 年熊本地震 が挙げられる

第四紀火山と噴出物の分布 震源 テフラ名の後の数値は等層厚線の示す層厚 cm 数値のないものは火砕流堆積物を示す ( 公社 ) 地盤工学会北海道支部 : 実務家のための火山灰質土より

道央地方に分布する代表的な火山灰地盤の工学情報として (1) 樽前山起源 Ta: 樽前降下軽石には Ta-a から Ta-d まで 4 ユニットがあり 粗粒な軽石であるが 粒径と風化の程度が異なる Ta-a~Ta-d の層厚は 1m~ 4m 程度のものが多い N 値は 1 から 3 程度 (2) 恵庭岳起源 En: 恵庭降下軽石 En は灰黄褐色を呈する最大径 200mm の軽石が主体である 最大層厚は 5m 程度 N 値は 3 から 8 程度 (3) 支笏カルデラ起源 Spfa:10 ユニットからなる降下軽石 Spfa-1 の軽石の最大径は 45mm 程度 最大層厚は約 8m で N 値は 3~10 程度 ( 公社 ) 地盤工学会北海道支部 : 実務家のための火山灰質土より

柱状図箇所 ( 厚真町 ) 火山灰質土層 厚真町内の柱状図では 深度 18m 付近まで樽前 恵庭 支笏を噴出源とする火山灰質土層が確認されている 10m 以浅の火山灰層では N 値 10 以下の箇所もある 参考資料として提示 泥岩 ( 公社 ) 地盤工学会北海道支部 : 実務家のための火山灰質土より

1 早来 2 幌内地区 3,8 4 試料採取地点 ( 表層から白灰色 ~ 灰黄褐色の降下軽石堆積物を採取 )

1 早来斎場周辺 ( 乾燥後 ) 2 吉野地区 ( 乾燥後 ) 採取時の含水比 W=128.1% 採取時の含水比 W=159.1% 3 幌内地区大規模崩壊 (2) ( 乾燥後 ) 採取時の含水比 W=116.5% 4 幌内地区大規模崩壊 (3) ( 乾燥後 ) 採取時の含水比 W=90.7%

Spfa 降下火山灰質土の特徴として 礫分含有率は高くなる r s (g/cm 3 ) w n (%) D 50 (mm) Uc LL(%) PL(%) 1 早来 2.56 128.1 6 8.6 - - 2 吉野採取した調査地点の火山灰質土は 2.44 159.2 6.8 Spfa 4.6 より粒径 - - 3 幌内 (2) が大きい 2.53 116.5 3 4 - - 4 幌内 (3) 2.52 90.7 4.1 3.9 - - 5Spfa( 富川 ) 2.22-1.25 2.8 - - 6Spfa( 柏原 ) 2.34-1.42 3.1 - - 7Spfa( 美々 ) 2.28-1.1 4 - - 8 幌内 (2) 粘性土 2.73 23.2 - - 54.6 29.2

En-a 粒度分布から判断すると 調査地点の降下火山灰質土は恵庭岳を噴出源とするEn-aに類似の傾向を示している ( 特に幌内地区の大規模崩壊箇所 ( 青 3と緑 4) において ) r s (g/cm 3 ) w n (%) D 50 (mm) Uc LL(%) PL(%) 1 早来 2.56 128.1 6 8.6 - - 2 吉野 2.44 159.2 6.8 4.6 - - 3 幌内 (2) 2.53 116.5 3 4 - - 4 幌内 (3) 2.52 90.7 4.1 3.9 - - 5Spfa( 富川 ) 2.22-1.25 2.8 - - 6Spfa( 柏原 ) 2.34-1.42 3.1 - - 7Spfa( 美々 ) 2.28-1.1 4 - - 8 幌内 (2) 粘性土 2.73 23.2 - - 54.6 29.2

樽前 Ta-a~c 樽前 Ta-d 既往の報告にある樽前 Ta-a~Ta-d の土粒子の密度と調査地点のそれとの比較 ( 参考資料 : 実務家のための火山灰質土より )

恵庭 En-a 調査地点の火山灰質土は 既往の En-a より少し低い値を示すものの, それらの値に近い ( 早来 幌内地区 ) 既往の報告にある恵庭 En-a の土粒子の密度と調査地点のそれとの比較 ( 参考資料 : 実務家のための火山灰質土より )

支笏 Spfa-1 支笏 Spfa-2 支笏 Spfa-7 支笏 Spfa-10 調査地点の火山灰質土は 既往の Spfa よりも相対的に高い値を示す 既往の報告にある支笏 Spfa の土粒子の密度と調査地点のそれとの比較 ( 参考資料 : 実務家のための火山灰質土より )

幌内地区のすべりは恵庭降下軽石層 (En-a) まで影響している可能性がある 桜丘 ~ 吉野地区での表層崩壊 ( 地方独立行政法人北海道立総合研究機構地質研究所報告書より )

調査した幌内地区周辺の斜面崩壊 限られた情報ではあるが の特徴について 1. 幌内地区では 吉野地区の表層崩壊と比べ 大規模かつ崩壊面が深い斜面崩壊が発生している なお 日高幌内川上流においても大規模斜面崩壊が確認されている 2. 崩壊地点から採取した白灰色 ~ 灰黄褐色の降下軽石堆積物の物性評価 ( 粒度分布と土粒子密度 ) では, 幌内地区の採取試料は恵庭岳を噴出源とする En-a に近い性状を示した 恵庭軽石層 (En-a) まですべりの影響がある可能性が示唆された

道内火山灰質土の粒子破砕と強度変化 支笏 駒ヶ岳 摩周を噴出源とする火山灰質土と風化残積土 ( まさ土 ) の強度変化 ( 過去の研究成果に加筆 )

支笏 駒ヶ岳 摩周を噴出源とする火山灰質土と風化残積土 ( まさ土 ) の粒子破砕特性 ( 過去の研究成果に加筆 ) 道内火山灰質土の粒子破砕特性

今後の調査 検討課題として 1. 同じ堆積状況下ある斜面において 崩壊した箇所としていない箇所との相違点 2. 表層崩壊した箇所と比較的深部で崩壊した崩壊メカニズムの相違点 樽前 恵庭 支笏を噴出源とする降下軽石火砕堆積物は 粒子破砕性を示す土質である これらの土質材料に対する 3. 地震による斜面崩壊に及ぼす粒子破砕の影響 を調査 解明する必要がある

ご清聴ありがとうございました 本調査の実施に際し, 皆様のご協力を得ました 国土交通省北海道開発局 北海道 誠にありがとうございました