ランチョンセミナーⅤ緒言 日本呼吸ケア リハビリテーション学会誌 2015 年第 25 巻第 1 号 72-76 国立病院機構八雲病院小児科 石川悠加 要旨 (mechanical insufflation-exsufflation: MI-E) は, 咳機能低下に対する唯一の補助として, 最近の国内外のガイドラインに推奨される. 下気道の痰の移動だけでなく, 上気道のクリアランスを維持するクリティカ ルな手段とされる. MI-E を使用することにより, コントロール群に比べて, 抜管後の再挿管率や ICU 滞在日数を減らす効果がある. また, 自然の咳より腹圧を上げずに排痰できるため, 腹部術後の肺合併症予防にも使用できる. 一方,MI-E の高い陽圧陰圧による声帯や咽頭喉頭の閉鎖も観察されることがわかった. そこで,MI-E に際して, 呼気 時に高い流量を得るための至適圧の検討や患者及び医療スタッフの習熟が重要となる. 最近, 咳の最大流量 (cough peak flow=cpf) 表示, 吸気呼気の高頻度振動, 咳トリガ, 吸気流量調節ができる新たな機種が市販された. これまでの MI-E 機器で効果が不十分であった患者群に対しても,CPF を高める新たな機器条件の検討やチーム医療による工夫を含めた 臨床研究が求められる. Key words:, 非侵襲的換気療法, 神経筋疾患, 気道クリアランス, 咳機能低下 第 ₂₄ 回日本呼吸ケア リハビリテーション学会学術集会 イドライン において,MI-E 関連の日本語の用語が新たに定義された ₃). 例えば, 徒手介助併用の機械による咳 MI-E に関する基本的な解説は,₂₀₁₂ 年および₂₀₁₄ 年の本誌総説を参考にしていただきたい ₁,₂). ただし,MI-E の日本語訳は, 器械による咳介助 から, に変更になっている. ここでは, 最近の国内外のガイドラインや, モデルチェンジした機種の出現に伴い, 新たな MI-E 活用と臨床研究の可能性を探る. MI-E 関連用語の定義の変遷 神経筋疾患 脊髄損傷の呼吸リハビリテーションガ 介助 (Mechanically assisted coughing=mac) は,MI-E の呼気時に胸腹部圧迫を加えるものである ( 図 ). また, CPF は, 以前から使用されてきた peak cough flow (PCF) と同じ意味であるが,PCF の提唱者である Bach らの最近の用語の変更に従って,CPF を第一に使用することに変更している. また, 日本語訳も, 以前は咳の最大流量と言われていたものであったが, 今後, 公式には, 咳のピークフローとする. MIE の機器 市販の機器で, 現在日本で MI-E として使用可能な機種は, ₄ 機種である ₂).₁₉₉₄ 年に米国 FDA 認可後に日本でも薬事認可となったカフマシーン ( エマーソン株式会社, 後にレスピロニクス株式会社, 米国 ) は,₂₀₀₀ 年にヨーロッパへの輸出をきっかけにモデルチェンジされたカフアシスト ( レスピロニクス株式会社, 後にフィリップス レスピロニクス合同会社, 米国 ) となった. さらに,₂₀₁₃ 年にカフアシスト E₇₀( フィリップス レスピロニクス合同会社, 米国 ) にモデルチェンジされ, 日本でも薬事認可となった. 他に, ミニペガソ ( ディーマ 図徒手による咳介助併用の (mechanically assisted coughing=mac) イタリア ), コンフォートカフ ( パシフィックメディコ, 韓国 ), パルサー ( シアレ イタリア ) は,₂₀₁₂ 年に日本 72 2015 The Journal of the Japan Society for Respiratory Care and Rehabilitation
の薬事を取得している. また, 日本に輸入されていない Nippy Cleaway(B & D Electromedical, 英国 ) もある. これらの機械を, フェイスマスクか, 気管内挿管チューブや気管切開チューブに接続して使用する. カフアシスト E-₇₀( フィリップス レスピロニクス合同会社, 米国 ) では,CPF の実測値と深吸気量が表示される. 吸気によるトリガ ( 咳トリガまたはカフトリガ ) も可能である. また, これまでは, ペガソで, 吸気に高頻度振動 (oscillation) が可能であったが, 吸気時と呼気時にそれぞれ高頻度振動を加えることができる. これにより, さらに効果的な排痰が可能になるか, どのような圧と頻度が適応されるべきかについて, 臨床研究が求められる. 内部バッテリーおよび外部バッテリーにより, ₁ 時間程度の使用が可能で, 航空機搭載の許可も得ているため, 携帯性が著しく向上した. 米国呼吸ケア学会の気道クリアランスガイドライン米国呼吸ケア学会 (American association for respiratory care) により, 入院を要するあらゆる病態の成人 小児 ( 膵嚢胞線維症以外 ) に対して, 気道クリアランス治療が, 呼吸メカニズムの改善や無気肺, 肺浸潤影の改善,ICU 滞在期間の減少, 人工呼吸管理時間の減少, 酸素化の改善などの効果を検討した文献のシステマティックレビューを基に, ガイドラインが作成された ₄). ランダム化比較試験 (randomized controlled trial: RCT) が無いことで, ガイドラインが作成されてこなかったが, 観察研究や症例報告や専門家の見解を参考に, エキスパート達が, 以下の ₃ 群に分けて, 推奨レベルを判定した. 第 ₁ 群 : 入院を要する病態の成人, 小児の群. 肺理学療法は, 合併症のない肺炎にルーチンな治療としては推奨されない. 気道クリアランスは, 咳により痰を移動できる患者には推奨されないが, 効果的な咳指導は有効かもしれない ₂). 第 ₂ 群 : 神経筋疾患, 呼吸筋力低下または咳機能低下の群. 咳介助が推奨される. 特に CPF が ₂₇₀ L/min 未満の例に対する咳介助は, 強い生理学的な合理性がある. RCT はないが, 多くの観察研究がある. 咳介助には, 徒手によるものと,MI-E によるものがある.MI-E の定義は, 機械により, 陽圧呼吸の後に開いた気道に陰圧を加えるものである. 一方, 肺理学療法, 呼気陽圧療法 (Positive expiratory pressure: PEP), 肺内パーカッションベンチレータ (Intrapulmonary percussive ventilation: IPV), 高頻度胸壁圧迫 (High-frequency chest wall compression: HFCWC) は, エビデンスが不十分なため推奨されない. 第 ₃ 群 : 術後の群. インセンティブ スパイロメトリーや, 気道クリアランス療法は, 術後にルーチンに予防的に行うことは推奨されない. 一方, 早期離床や歩行は, 術後の合併症を減らし, 気道クリアランスを促進するために推奨される. しかし, 神経筋疾患では, 自力での歩行や坐位や体位変換が困難であることも少なくない. さらに, 術部の痛みや術創を気にして, 咳が普段より弱くなることに対して, 咳介助を行う. 呼吸ケアにおける神経筋疾患と神経 筋疾患の違い神経筋疾患 (neuromuscular disease) は, 筋ジストロフィー, 先天性ミオパチー, 脊髄性筋萎縮症 (spinal muscular atrophy: SMA), ムコ多糖症などライソゾーム病, ニューロパチーなど, 運動機能障害の主因が運動神経核以下である.ICU で発生する重症患者関連ポリニューロパチー & ミオパチー, 人工呼吸器誘発横隔膜機能不全などもある. 呼吸機能障害は吸気筋と呼気筋の筋力低下が主体である. また, 咽頭喉頭の機能低下も認めやすい. そのため, 換気低下や咳機能低下をきたしやすい. 肺や胸郭のコンプライアンスが低下すると拘束性肺障害になる. 神経 筋疾患 (neurological & neuromuscular disease) は, 運動機能障害の主因が中枢神経障害によるものも含まれる. 神経筋疾患に加え, 脳性まひや神経変性疾患も含む. 脳性まひを主体とした重症心身障害児 ( 者 ) では, 呼吸筋機能障害, 筋緊張や硬直, 不随意運動, 声帯麻痺などを複合的に認める. このため, 神経筋疾患に推奨される呼吸筋の補助を適応する場合, 工夫を要する. 国内外ガイドラインにおける MI-E 推奨 Duchenne muscular dystrophy (DMD) ケアの国際ガイドライン は, 米国の疾病予防管理センター (centers for disease control and prevention: CDC) が作成を推進した ₅).DMD と同様に,SMA ₆), 先天性筋ジストロフィー ₇), 先天性ミオパチー ₈) のケアの国際ガイドラインも公表された. ムコ多糖症 ₉) やポンペ病 ₁₀) の呼吸についても, 非侵襲的呼吸ケアの適応が示されている. 英国呼吸器学会 (British thoracic society: BTS) からも, 筋力低下のある小児の呼吸マネジメント ガイドラインが公 Vol.25 No.1 2015 73
表 1 フェイスマスクによる MI-E 使用頻度に関して 医師の処方 痰がからんだ時, または痰による SpO ₂ 低下時 ( 肺実質が健常な場合は ₉₄% 以下, または, 個人のベースラインを切る場合 ) に, 痰が喀出されるまで使用が一般的 ₁ サイクル ( 吸気 + 呼気 ) で排痰できた場合は, それで終了する ₁ クールは, ₅ ~ ₈ サイクルまで ( 過換気による CO ₂ 低下を回避するため ) ₅ ~ ₈ サイクル後, 自力呼吸か人工呼吸器に戻し (₁₀ 秒以上 ), 再度 MI-E 追加必要なら, ₅ ~ ₈ サイクル追加を, くり返す 痰が喀出し切れていなくても,SpO ₂ 低下が容認範囲の場合, ₅ 分 ~₁₅ 分休息してから, 再度 MI-E 定期的に MI-E( ₁ 日に ₁ ~ ₃ 回, 深呼吸, 肺や胸郭の可動性維持の目的 ) 表された ₁₁). カナダの 在宅人工呼吸ガイドライン も, 神経筋疾患の咳介助を含めた非侵襲呼吸ケアを中心に記載されている ₁₂). 本邦においても, 上記を参考に,₂₀₁₄ 年に デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン ( 日本神経学会 日本小児神経学会 国立精神 神経医療研究センター ) ₁₃), 神経筋疾患 脊髄損傷の呼吸リハビリテーションガイドライン ( 日本リハビリテーション医学会 ) ₃),₂₀₁₅ 年に NPPV ガイドライン 第 ₂ 版 ( 日本呼吸器学会 ) ₁₄) が公表され, 神経筋疾患などの咳機能低下に対する適切な MI-E ケアの普及を目指している ( 表 ₁ ). 抜管後の再挿管予防の RCT 抜管後の再挿管予防に,MI-E が効果的であるという RCT がある ₁₅). 対象は,₂₀₀₇ 年 ~₂₀₀₉ 年大学病院 ICU で₄₈ 時間以上人工呼吸後自発呼吸トライアル (spontaneous breathing trial: SBT) をパスした₇₅ 例 ( 女性 ₂₆ 例 ). 疾患は, 慢性閉塞性肺障害 (chronic obstructive pulmonary disease=copd) 急性増悪, うっ血性心不全, 市中肺炎, 院内肺炎, 術後呼吸不全, 急性肺傷害 (acute lung injury: ALI), 胸部外傷, 敗血症, 心停止であった. この患者を ₂ 群にランダムに振り分ける. コントロール群 ₄₀ 例 ( 年令 ₆₂±₁₉.₂ 才 ) は, 酸素, 胸部理学療法, 気管支拡張剤, 抗生剤など医師の指示による抜管後の標準医療を行う."MI-E 抜管プロトコル群 ₃₅ 例 ( 年令 ₆₁.₄± ₁₅.₁ 才 ) は, 標準医療に加え抜管後 ₄₈ 時間 MI-E を行う.MI-E は,₈ サイクル ₁ 日 ₃ 回 (±₄₀ cmh ₂ O, 吸気 / 呼気時間の比 =₃/₂, 休止 ₃ 秒 ) で実施. また, 抜管後 ₄₈ 時間以内の NPPV は両群共に以下の場合に適応 : 呼吸数 > ₃ ₅/min, 酸素飽和度 (SpO ₂ )<₉₀%, 心拍数や血圧の ₂₀% 以上の変動, 呼吸困難, 動脈血酸素分圧 (PaO ₂ )< ₆₀ mmhg, 動脈血炭酸ガス分圧 (PaCO ₂ )>₄₅ mmhg, ph<₇.₃₅. 非侵襲的換気療法 (noninvasive positive pressure ventilation=nppv) の失敗は, ₂ 時間以内に上記症状が軽快しない場合とした. 結果は, コントロール群 と "MI-E 抜管プロトコル群 で, 以下の項目を比較した. 抜管後 NPPV 使用は, それぞれ,₅₀%,₄₀%( 有意差なし ).NPPV 失敗は, ₆₅%,₁₄%(P<₀.₀₅). 人工呼吸使用日数は,₁₇.₈± ₆.₄ 日,₁₁.₇±₃.₅ 日 (P<₀.₀₅).NPPV 使用日数は,₉.₄± ₄.₈ 日,₁₀.₅±₄.₁ 日 ( 有意差なし ). 再挿管率は,₄₈%, ₁₇%(P<₀.₀₅).NPPV 使用者の再挿管率は,₃₃%, ₆ %(P<₀.₀₅). 抜管後 ICU 在室日数は,₉.₈±₆.₇ 日, ₃.₁±₂.₅ 日 (P<₀.₀₅), 全 ICU 滞在日数は,₁₉.₃±₈.₁ 日,₁₆.₉±₁₁.₁ 日 ( 有意差なし ) であった. MI-E を併用することで再挿管率と抜管後の ICU 滞在日数を減らす. 再挿管の理由は, コントロール群で痰の貯留,NPPV₂ 時間後の呼吸困難が多い. 著者らは,MI-E の効果を示す RCT が無いという評価に対してこの RCT を実施したが, 明らかな効果があることはこの RCT の結果前に経験的にはわかっていたとして,MI-E に関する RCT をこれ以上行わなくても良いことを願うとコメントしていた ( 第 ₁₃ 回国際在宅人工呼吸会議,₂₀₁₂ 年 ₃ 月バルセロナ ). MI-E 効果の限界ノルウェイで, 熟練した理学療法士が,₂₀ 歳代の₂₀ 人の健常人に,MI-E を ±₂₀から ±₅₀ cmh ₂ O で実施したところ,₁₉ 人は指示に従って咳の時に声門閉鎖ができた ₁₆). 多くは, 指示通りにカフアシストの陰圧時に声門を開大させたままにすることができた. 数名で, 最初の声帯の外転に続き, 陰圧時と自力の咳の際に, 多彩な喉頭の閉塞をきたす動きが認められた. 声帯ひだの狭窄, 喉頭蓋の後屈, 下咽頭の収縮, 舌根部の背側への陰圧が強かったり, 自力の咳を加えると, 下咽頭の収縮は悪化した. -₄₀ cmh ₂ O では鼻咽頭の狭窄や口蓋垂の引き込みも報告されている. このように, 神経筋疾患でも, 声門の開大が得られなければ,MI-E の効果を得ることができず, 上気道のクリアランスを維持できない可能性があるので, 注意する. 他の呼吸理学療法により, 痰を上気道に移動させることができても, 上気道からの喀出ができなければ窒息してしまうことがある. 咳の弱い患者では, 確実な咳介助の手段を習得していなければ, 排痰困難時に気管挿管できない環境で, 肺理学療法や他の呼吸理学療法で痰を移動 74 The Journal of the Japan Society for Respiratory Care and Rehabilitation
することが危険なことがあることを認識する.CPF 表示 できる機器を用いながら,MI-E により確実な気道クリア ランスが確保できるような工夫の成果を確認する ( 表 ₂ ). 表 2 フェイスマスクによる MI-E の効果が不十分な場合 原因 : 口や声帯を閉じたり, 胸郭を硬くすると, 肺に空気が出入りしにくい対策 : リラックスして, 口や声帯を開いたままにして胸郭を硬くしないようにする 1 フェイスマスク使用や上気道からの陽圧に慣れる 2 新しい MI-E 機器で ; トリガー機能 ; 吸気流量調節 ; 肺内パーカッション機能 3 呼吸や泣くタイミングに合わせて, マニュアルで陽圧と陰圧を切り替える 腹部術後の肺合併症予防 MI-E を在宅使用している小児神経筋疾患 ₁₃ 例 (₀.₈~ ₂₃.₁ 才, 平均 ₁₀.₅ 才 ) において,MI-E の陽圧を ₂₀~₄₀ cmh ₂ O かけた際の胃内圧最大値は ₂₄ cmh ₂ O であっ た ₁₇).MI-E により胃内圧が ₆ cmh ₂ O 以上上昇すること はなかった. 陽圧と陰圧における胃内圧の差は -₈.₄ から ₅.₈ cmh ₂ O であった. ₃ 例の自力の咳における胃内圧最 大値は ₂₅ cmh ₂ O で,MI-E 使用時より高かった. このよ うに,MI-E によりかかる腹部の陽圧は, 自力の咳より低 く, 神経筋疾患の腹部手術後に MI-E 使用を考慮できる. ただし, 術前に使用経験のない症例では, 本人の拒否や抵抗などが加わることにより,MI-E の方が自力の咳より腹圧がかかることも推測されるので, 術前の導入が奨められる. (hpa) では排痰に不十分な CPF と考えられる例が,±₆₀ cmh ₂ O(hPa) では十分な CPF を呈する場合もある. ただし, 機器に表示される CPF がピークフローメータで測定する CPF と同様に評価できるものなのか, 検討を要する. さらに, 必要に応じて, 患者が耐えられる場合, ₇₀~₈₀ cmh ₂ O(hPa) も試行する価値があるかもしれない ( 同上 ). しかし, あまり圧を高くすると, 咽頭の収縮が増強したり, 声門の開大が得られなかったりする可能性もあり, 圧を高くすると単純に CPF が上がるわけではない. 圧が高くなると不快が増したり, 副作用の頻度に影響を及ぼす可能性もあり, 至適圧の検討は, 病態や個々で, 慎重に行う必要がある. 高頻度振動の圧や頻度, 吸気と呼気の組み合わせなども, 今後の臨床研究を要する. 結 語 咳の機能を補助する唯一の機器である MI-E 機器は, 咳機能低下に対して適応となる. 咳機能低下は, 神経筋疾患だけでなく, 重症患者関連ポリニューロパチー & ミオパチー, 人工呼吸器誘発横隔膜機能不全, また, 自然に肺活量が低下してきた高齢者にも認められるものである. 新たな機能を備えた MI-E 機器の使用により,CPF を高める機器条件の工夫やチーム医療の習熟が求められる. 著者の COI(conflicts of interest) 開示 : 本論文発表内容に関して特に申告すべきものはない. Mechanical insufflation-exsufflation Yuka Ishikawa Department of pediatrics, National Organization Yakumo Hospital 至適圧の検討 文 献 現在の市販の MI-E 機器の開発に関わった Bach らの総説 ₁₈) に文献引用で解説されているように,₁₉₅₀ 年代前半に,Barach らが, 咳を模倣した流量の快適性と効果を実験し,+₄₀ mmhg および-₄₀ mmhg としていた ₁₉-₂₂). その知見を基に, 市販の MI-E 機器が開発された際に, 企業では目盛を cmh ₂ O に変更していたにもかかわらず, 至適圧は ±₄₀ cmh ₂ O と推奨とされてきていた ₂₃) (Bach, J.R. との私信,₂₀₁₃ 年 ). しかし,±₄₀ mmhg は,±₅₄ cmh ₂ O に相当するため, 至適圧は,±₅₄ cmh ₂ O(hPa) に変更する必要があるかもしれない ( 同上 ). さらに, 新しいカフアシスト E-₇₀ における CPF 表示において,±₅₀ cmh ₂ O (hpa) より,±₆₀ cmh ₂ O(hPa) の方が高い場合もしばしばある. 中には,±₅₀ cmh ₂ O ₁) 石川悠加 : 器械による咳介助. 日呼ケアリハ学誌,₂₂: ₃₈₁-₃₈₄,₂₀₁₂. ₂) 三浦利彦, 石川悠加 : 咳機能評価と徒手や. 日呼ケアリハ学誌,₂₄:₂₉₂-₂₉₇,₂₀₁₄. ₃) 日本リハビリテーション医学会神経筋疾患 脊髄損傷の呼吸リハビリテーションガイドライン作成委員会 : 神経筋疾患 脊髄損傷の呼吸リハビリテーションガイドライン. 金原出版, 東京,₂₀₁₄. ₄)Strickland, S.L., Rubin, B.K., Drescher, G.S., et al: AARC clinical practice guideline:effectiveness of nonpharmacologic airway clearlance therapies in hospitalized patients. Respiratory Care, ₅₈: ₂₁₈₇-₂₁₉₃, ₂₀₁₃. ₅)Bushby, K., Finkel, R., Birnkrant, D.J., et al: Diagnosis and management of Duchenne muscular dystrophy, part ₂: implementation of multidisciplinary care. The Lancet Neurology, ₉: ₁₇₇-₁₈₉, ₂₀₀₉. Vol.25 No.1 2015 75
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