1 東日本大震災での多くの被害が発生!! 平成 23 年 2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は 三陸沖を震源としたマグニ チュード 9.0 仙台市内での最大震度 6 強 宮城野区 という巨大な地震でした 東部沿岸地域では 推定 7.1m 仙台港 もの津波により 家屋の浸水やライフラ

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(溶け込み)大阪事務所BCP【実施要領】

地震や防災に関する情報の取得源はテレビが最も多い 地震や防災に関する知識をどこで得ているかをたずねたところ テレビ と回答をする方が 66.6% と多数を占め の イ ンターネット (45.3%) 新聞 (30.7%) といった回答を大きく引き離した結果となりました テレビは昨年 一昨年に続き最も多

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

東京事務所版 BCP 実施要領目次応急頁 < 第 1グループ> 直ちに実施する業務 1 事務所における死傷者の救護や搬送 応急救護を行う一時的な救護スペースの設置 運営 備蓄の設置 医療機関への搬送 1 2 事務所に緊急避難してきた県民や旅行者等への対応 避難 一次避難スペースの運営 指定避難所への

地震と地震保険に関するアンケート調査結果について

< 被害認定フロー ( 地震による被害木造 プレハブ > 第 次調査 ( 外観による判定 一見して住家全部が倒壊 一見して住家の一部の階が全部倒壊 地盤の液状化等により基礎のいずれかの辺が全部破壊 いずれかに いずれにも ( 傾斜による判定 全壊 外壁又は柱の傾斜が/ 以上 ( % 以上 ( 部位

2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者

平成13年度分譲マンションアンケート調査(簡易集計結果)

() 港南区の防災 箇条 港南区の防災 箇条は平成 年に定められましたが 初めて言葉を聞いた が% と最も多く 認知度は低くなっています 内容を知っており 箇条をもとに災害時の備えを実施している は% にとどまっています [ 性年代別防災五箇条認知度 ] 高齢者の方が認知度が高くなる傾向にあり 男女

職員の運営能力の強化 避難所担当職員研修の実施 全庁対象の避難所担当職員研修(5 回開催で約 400 名参加 ) 区毎の避難所担当職員研修 男女共同参画の視点に立った避難所づくり 共助による災害時要援護者支援の取り組みについて説明 各区災害対策本部との連絡 避難所内の課題解決の調整など 地域団体等へ

家族みんなの防災ハンドブック 保存版

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アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

国土技術政策総合研究所 研究資料

H25 港南区区民意識調査

別紙 14 Q A Q A

本書の目的介護保険サービス事業所は, 高齢者の方が多く利用しており, 災害発生時には避難等の援助が必要となるため, 事業者は, 災害発生時に迅速かつ適切な行動をとれるように備えておく必要があります 本書は, 介護保険サービス事業所が災害対応マニュアルを作成する際に特に留意する点についてまとめています

10. マンション等 への充電設備設置事業の説明と提出書類 マンション等への充電設備設置事業 の特有の申請要件 以下の当該事業に特有の要件を全て満たすことが必要です 分譲 賃貸の共通 (1) 充電設備の受電元は マンション等の共用部の配電盤 分電盤等であること (2) 充電設備の利

1. はじめに 本検討は 地震保険制度に関するプロジェクトチーム報告書 ( 平成 24 年 11 月 ) において マンション等に固有のものと認められる付属物に限り 査定対象に加えることも考えられる とされたことから マンション等の付属物のうち マンション等に固有あるいは戸建住宅では一般的には設置さ

災害公営住宅藤が原アパート入居者募集 ( 随時募集 ) 災害公営住宅入居者募集について 県営藤が原アパート5 号棟は, 東日本大震災により住宅を失った方のための公営住宅 ( 賃貸住宅 ) です 現在, 入居者を随時募集しています 申込書類を提出された方を先着順で受付しておりますので, どうぞお気軽に

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参考 生活支援制度 と り災証明書に記載された住家の被害程度 の対応表 ( 目安 ) この表は 生活支援制度 と り災証明書に記載された住家の被害程度 との対応について 目安として作成したものです 各支援制度の詳細な適用条件については 3 生活支援制度一覧 (P.5~) に記載している各制度の お問

2. 相談 29

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建築物等震災対策事業について

平成 30 年 3 月 6 日 大熊町住民意向調査調査結果 ( 速報版 ) 復興庁 福島県 大熊町 調査の概要 1. 調査対象 : 世帯の代表者 (5,218 世帯 ) 2. 調査時期 : 平成 30 年 1 月 4 日 ~1 月 18 日 3. 調査方法 : 郵送配布 郵送回収 4. 回答者数 :

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災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

5 防災の日を知っている方は約 8 割 防災の日については知っている 聞いたことがあると答えた方が 8 割以上を占めました 9 月 1 日が防災の日 であることまでご存知の方は全体のうち 57.5% でした (Q10 参照 ) アンケート概要 アンケートタイトル地震防災に関するアンケート リサーチ実

所得税関係 ( 住宅ローン控除の特例 ) の改正 ⑵ 震災税特法の制度 ( 適用期間の特例 ) の概要東日本大震災によって被害を受けたことにより 住宅ローン税額控除の適用を受けていた家屋 ( 以下 従前家屋等 といいます ) を居住の用に供することができなくなった居住者については その居住の用に供す

宅地の補修工事に関する費用の貸付 被害建物に関する相談窓口 応急仮設住宅の提供 被災者生活再建支援金 住宅の応急修理制度 住宅の補修工事に関する費用の貸付 ( り災証明書の提出が必要です ) 被災家屋等

障害者 ( 児 ) 防災アンケートの主旨 アンケートの概要 Ⅰ 避難に関すること Ⅱ 情報伝達に関すること Ⅲ 避難所及びその環境に関すること Ⅳ 日頃の備えに関すること 障害者 ( 児 ) 防災アンケート < 配布用 >

日本における不動産取引に関連する法律 日本の民法では 契約関係にある当事者同士が対等 公平であることが原則とされている 一方 土地や建物などの不動産を売買するときや賃貸借するときは 事業者と消費者との間に交渉力や情報量などに差が生じる こうしたことがトラブルにつながることを防ぐために 不動産取引の様

マンション建替え時における コンテキスト効果について

規制改革会議公開ディスカッション 資料2-1

資料 2-3 超大規模防火対象物等における自衛消防活動に係る訓練の充実強化方策 ( 案 ) 平成 30 年 10 月 31 日 事務局

東日本大震災に係る災害等廃棄物処理事業の実地調査について

平成 28 年熊本地震における対応 平成 28 年熊本地震 ( 前震 :4/14 本震 :4/16) において 電力 ガス等の分野で供給支障等の被害が発生 関係事業者が広域的な資機材 人員の融通を実施するなど 迅速な復旧に努めた結果 当初の想定よりも 早期の復旧が実現 また 復旧見通しを早い段階で提

当面の事業概要 < 平成 25 年度 > 実施設計業務委託 < 平成 26 年度 > 市道 1504 号線電線共同溝整備工事 道路改築工事 < 平成 27 年度 > 市道 1504 号線電線共同溝整備工事 市道 1504,1505,1507 号線道路改築工事 < 平成 28 年度 > 市道 1504

これだけは知っておきたい地震保険

国土技術政策総合研究所 研究資料

はじめに 道では 北海道行政基本条例 に基づき 道政の基本的な方向を総合的に示す計画として 新 北海道総合計画 を策定し 政策展開の基本方向の一つとして 安心で心豊かな北海道ライフスタイル を掲げ 安全 安心な生活の確保 に向け 防災 減災の体制づくり を進めています 保健福祉部では 特に 子ども

首都圏で大地震が起きると 建物 が 倒 れ ま す! 揺れで建物が倒れます 窓ガラスが割れ 道路に飛び散ります 火災があちこちで起きます 特に木造の建物が集まっている 火災 が 起 き ま す! 地域では 大規模な火災が起きる場合があります 道路 が 通れ な く な り ま す! 建物が倒れて道路


-災害に備えて-

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2014年度_三木地区概要

215 参考資料

Ⅳ-2 神奈川県の被害想定 図表 神奈川県の表層地盤のゆれやすさマップ 表層地盤のゆれやすさ全国マップ について平 成 17 年 10 月 19 日内閣府政策統括官 ( 防災担当 ) 地震による地表でのゆれの強さは 主に 地震の規模 ( マグニチュード ) 震源からの距離 表層地盤 の3

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事業継続計画(BCP)作成用調査ワークシート

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発鳥共第  号

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協定の資料 1. 番号の付け方 災害応急対策時に, 各部及び各班で利用する資料が分かるよう, 下記の規定で番号を付ける 部班連番 基準 A1 1 A: 統括部 1. 本部班 2. 情報分析班 3. 情報記録班 4. 広報班 5. 財政班 6. 渉外班 E: 建設部 1. 建設総務班 2. 応急仮設住

被災マンションの復旧について

北栄町耐震改修促進計画の目的等 目的 本計画は 町民生活に重大な影響を及ぼす恐れのある地震被害から 町民の生命 財産を保護するとともに 地震による被害を軽減し 社会秩序の維持と公共の福祉に資するため 建築物の計画的な耐震化を促進することを目的とします 計画の実施期間 本計画の実施期間は 国及び県の実

地震被害予測システムにより建物被災度を予測 また 携帯電話と地図を利用した 被害情報集約システム では GPS 機能と地理情報システムとの連係により 現在位置周辺にある同社施工済物件を検索し 物件や周辺の被害状況を文字 静止画 動画を添付して報告することができる これら被害情報を地理情報システムに集

建替えに係る現行の法令 施策 2 区分所有法の概要 区分所有法は民法の特別法として マンションを含む区分所有建築物の所有関係や 建物及びその敷地の共同管理について規定 同法は 建替えの意思決定方法についても規定 主な規定内容 独立した専有部分は 単独所有できる その他の共用部分は 区分所有者全員の共

「南九州から南西諸島における総合的防災研究の推進と地域防災体制の構築」報告書

第 7 章鹿児島県と連携した耐震改修促進法による指導及び助言等 国の基本方針では 所管行政庁はすべての特定建築物の所有者に対して法に基づく指導 助言を実施するよう努めるとともに 指導に従わない者に対しては必要な指示を行い その指示に従わなかったときは 公表すべきであるとしている なお 指示 公表や建

平成 28 年度 県民 Webアンケート 第 6 回自主防災の取り組みについて 実施期間 2016/9/15~2016/9/21 アンケート会員数 224 人回収数 191 件 ( 回収率 85.3%) 近年 全国各地で自然災害が多発しており 奈良県でもいつ大きな災害に見舞われるかわかりません 災害

1. 1 地震保険制度の導入に向けた議論は 1878 年にドイツ人のマイエット教授が国営での地震保険制度創設を提唱したところから開始されたが 当時は自由主義的な思想や制度が取り入れられた時期だったこともあり 同制度は否決された そして 1890 年に公布された旧商法に 民間の保険会社が取り扱う火災保

序章 計画改定の背景 足立区では 昭和 57 年 3 月に 大地震による火災から区民の生命と財産を守る た め 足立区防災まちづくり基本計画 を策定し この計画に基づき各種事業を展開し てきました その後 平成 7 年 1 月 17 日に発生した阪神 淡路大震災では 密集市街地に被害が 集中し 改め

白紙のページ

 り災証明について

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平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

平成23年東北地方太平洋沖地震の概要について

売買 売買仲介アンケート調査結果とりまとめ Ⅰ 各社の企業概要 (1) 本社所在都道府県 2

の両方を提出する必要がある 問 3 還付額は 領収証に記載されている金額を還付するのか それともレセプト情報から自己負担分を計算するのか 領収証により保険診療に係る一部負担金の額を確認して還付する 問 4 領収証の紛失 または医療機関等の全壊等により 対象の被保険者が負担した一部負担金の額の確認が取

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措置法第 69 条の 4(( 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 )) 関係 ( 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の範囲 ) 69 の 4-7 措置法第 69 条の 4 第 1 項に規定する被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 ( 以下 69 の 4-8 までにおいて 居

1 首都直下地震の概要想定震度分布 (23 区を中心として震度 6 強の想定 ) 首都直下地震 想定震度分布 出典 : 中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループ 首都直下地震の被害想定と対策について ( 最終報告 ) ( 平成 25 年 12 月 ) 2

NO. 2 事業名 埋蔵文化財発掘調査事業 ( 鹿島区 ) 事業番号 A-4-2 事業実施主体 南相馬市 交付期間 H24-H26 総交付対象事業費 55,014( 千円 ) 復興事業 ( 防災集団移転 ) に伴い市内に所在する遺跡について 発掘調査事業を実施する 鹿島区内遺跡数 9 遺跡 対象面積

第 1 章要緊急安全確認大規模建築物の耐震診断結果の報告 1 要緊急安全確認大規模建築物について平成 25 年 11 月 25 日の耐震改修促進法の改正により 不特定多数の者が利用する建築物及び避難弱者が利用する建築物のうち大規模なもの等が要緊急安全確認大規模建築物として規定され 平成 27 年 1

地震防災に関するアンケート調査結果について

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マンション管理士 平成 28 年度マンション管理士全国公開模試総合成績表 VU16122

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Q&A Q1 災害弔慰金の支給内容について教えて下さい A1 水害などの 災害 で亡くなられた方の遺族は 災害弔慰金が支給を受けられる場合があります 支給額は 生計維持者の方が死亡した場合 500 万円 その他の方が死亡した場合 250 万円です 災害弔慰金の支給対象はこれまで 配偶者 ( 事実上の

Q&A Q1 水害により被害を受けた場合 住宅の補修のための支援制度には どのようなものがありますか A1 災害救助法に基づく応急修理制度があります 住宅が半壊し ( 全壊 でも応急修理をすれば居住可能な場合は対象 ) 自ら修理する資力のない世帯について これを修理することにより被災者が仮設住宅等に

の課題フェイズごとの食に関する問題 大規模な水害や地震が起きると ライフラインが寸断されたり家屋が倒壊 損傷したりして自宅で食事を摂ることができなくなります しばらくすると支援物資が運ばれてきますが 道路の寸断により時間がかかり食料が手に入りにくい状況も想定されます また 避難所や野外へ避難する人が

マンション管理の現状と課題

事例集-表紙

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どんなところを注意したらいいの? まず 建物の見分け方から始めましょう 中古住宅を購入するときは何年に建てられたかを確認してください 昭和 56 年に建築基準法が改正され 耐震基準が厳しくなりました これより古いものを旧耐震基準 新しいものを新耐震基準と呼んでいるんだよ じゃあ 昭和 56 年築 よ

Transcription:

1 東日本大震災での多くの被害が発生!! 平成 23 年 2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は 三陸沖を震源としたマグニ チュード 9.0 仙台市内での最大震度 6 強 宮城野区 という巨大な地震でした 東部沿岸地域では 推定 7.1m 仙台港 もの津波により 家屋の浸水やライフライン施 設の損壊など 大きな被害をもたらしました 更に 丘陵部地域においては 擁壁崩壊 地 すべり等が発生し 5,728 件にのぼる宅地が被災しました 市内の約 1,400 棟の分譲マンションでは 倒壊にいたるマンションはありませんでしたが 100 棟以上が 全壊 のり災判定を受けるなど 建物や附帯設備に甚大な被害が多数発生し ました 2

1 建物への影響 市内のマンションでは 建物の傾斜や構造躯体の破損など構造的な被害は少なかったもの の 以下のような被害が多く生じました 共用廊下やバルコニーなどの非耐力壁の損傷 高架水槽 受水槽等の外部部材の破損 敷地内のアスファルト舗装の沈下 これに伴う配管の損傷 2 生活環境への影響 市内ほぼ全てのマンションで電気 都市ガス 水道のライフラインが停止したことにより 生活面に支障をきたしました ライフライン停止時の水や食料の調達 運搬 高層階からの避難困窮など 高層建築物 ならではの課題が生じました 特に 断水とエレベーターの停止により 水の入手や運搬が困難であったという声が 高齢者などから多く聞かれました 通信手段の途絶により 災害情報の入手に苦慮した事例もありました 3

2. 被災対応を通じて見えてきた様々な課題 マンション管理支援ネットワークせんだい みやぎ が実施した 被災状況に関するアンケート調査報告書 復旧状況に関するアンケート調査報告書 では 震災を経験された管理組合の皆様から貴重なご意見が寄せられ それを通じて様々な課題が明らかになりました マンション管理組合の適正な管理運営の推進を目的として 関連団体 専門家団体 行政等が相互に連携して 平成 17 年に設立された支援団体です (1) 復旧 修繕をめぐる制度上の課題公的支援制度被災者生活再建支援制度は 阪神大震災をきっかけとして平成 10 年 5 月に被災者生活再建支援法に基づき創設された制度で 自然災害により居住する住宅が全壊するなど生活基盤に著しい被害を受けた世帯に支援金を支給し 生活の再建を支援するものですが 対象が居住者に限られることから 住戸を賃貸化して居住していない所有者に対しては支援金が支給されませんでした また 災害救助法に基づく 住宅の応急修理 は 災害により住宅が半壊以上の被害を受け 自ら修理する資力のない世帯に対して 被災した住宅の居室 台所 トイレ等日常生活に必要な最小限の部分を応急的に修理する制度であり 東日本大震災ではマンション共用部分への適用が拡大されましたが 半壊の判定を受けたマンションにおいては区分所有者に収入要件が課せられるなど手続きの煩雑さなどから申請書類のとりまとめを断念する声もきかれ 全てのマンションで活用されるまでに至りませんでした これらのことから 震災の復旧費用をマンション各戸で負担するといった議論をまとめることに困難が生じました 地震保険宮城県内の住宅における地震保険の加入は 全国的にも高い状況 ( 火災保険契約に地震保険が付帯されている割合は 2010 年度 68.7% 2011 年度 81.1%) でしたが 未加入だったマンションにおいては修繕費用の工面に困難が生じました また 加入していた場合でも 被災程度により保険金額に大きな差 ( 半損 ; 保険金額の 50% 一部損; 保険金額の 5%) が生じました 建物解体に伴う区分所有者の全員合意区分所有法では マンションを解体するための合意形成に係る規定が無く 民法による合意 ( 全員合意 ) に拠らざるを得ないことから 住戸を賃貸化して所有者が遠隔地にいる場合や連絡が取れない区分所有者がいる場合は 全員合意 が高いハードルとなりました この課題を受けて 法務省において 平成 25 年 6 月に被災マンション法が改正され 法で定める災害時の 全部または一部滅失の場合の取り壊し等の決議要件 が定められました さらに 国土交通省においては マンションの建替えに関する指針として作成された マンション建替えに向けた合意形成に関するマニュアル の改正が行われています -4-

(2) 災害時の対応に関する課題居住者同士の安否確認などの迅速化今回の震災において ほとんどのマンションでは 居住者が各々建物から避難し 混雑する避難所などで大変な思いをなさった事例が多かったようです 大きな災害が発生した場合 高齢者や障害者などのいわゆる 災害時要援護者 は 避難に時間を要したり 自力で安全な場所へ避難する際に困難が生じたりすることから 大きな被害を受けやすいといわれています このような災害時要援護者をはじめマンションの居住者の安全を守るためには 居住者同士が協力して安否確認や災害時要援護者の避難誘導を迅速に行わなければならない ということが課題として浮き彫りになりました 高齢者 障害者 乳幼児を持つ親 妊産婦 外国人など 介助を必要とせずに行動することや十分な情報を得ることが難しい方々日中は役員がいない 今回の震災は平日の日中に発生したため 普段から中心的役割を担う管理組合の役員等が不在であったマンションでは 組織的な対応が取れなかったことも報告されています 災害発生時にマンションにいる居住者で対応できる体制づくりを進めることの重要性が認識されました 便利が一転 不便に 今回の震災では マンションにおけるライフラインの復旧まで概ね 電気 3 日間 水道 1 週間 都市ガス1ヵ月を要しました このライフラインのサービス停止は 日常生活に様々な影響を与え 震災を機に 多くのマンションでは 特定のエネルギーに過度に依存しないことや停電に備えた非常電源の確保 断水に備えた水の備蓄確保等 ライフラインの途絶に備えた対策の重要性が改めて認識されました 地域とのかかわりが少ない マンションから指定避難所に向かったが 満員で入れない状況などからマンションに戻らざるを得なかったり 周辺町内会の集会所へ避難した事例が報告されています また 一旦は指定避難所に避難したものの 乳児や障害のある子どもを抱えていたため 周囲への遠慮から自宅へ戻って行ったという事例もありました このことから 災害に備えて 日頃から周辺町内会などとの連携やコミュニティ形成を図ることの重要性が改めて認識されました -5-

3. 住民の相互協力で災害を乗り切った! 東日本大震災では 事前に自主的な防災活動が行われていなかったマンションと 行われていたマンションにおいて対応が大きく異なりました -6-

ともに暮らすマンション居住者同士の支え合いで 互いの安全と非常時の不便な生活環境 を上手に乗り切った事例も多々ありました 4. 災害に対する事前の備えが必要! 今回の震災において 事前に備えをしていたマンションでは いち早く対応することができました 今後の地震災害に備え 自宅のみならず マンション単位での防災力向上の取り組みが求められており また 防災マニュアル作成に対する気運も高まっています このようなことから 本市では マンション内のコミュニティ形成にも配慮しながら 居住者同士が協力して防災活動が進められるよう 防災マニュアル の作成を支援する手引書として 本書を作成しました -7-