産業トピックス

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産業トピックス

経済情報:日銀短観(2011年6月)の結果について.doc

< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

FOMC 2018年のドットはわずかに上方修正

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平成 21 年 9 月 5 日 角山智 投資環境レポート (2009 年 9 月 ) 1. 主な株価指数 8 月は 中国株が大幅に値下がりしました 反面 出遅れていた英国株が好調です 市場 日本株 日本新興市場 J-REIT 米国株 英国株 中国株 ( 指数 ) (TOPIX) (JASDAQ) (

関西経済レポート (2019 年 9 月 ) 令和元年 (2019 年 )9 月 30 日 ~ 輸出減少が継続 インバウンド消費はプラスの伸びを維持 ~ 足元の経済情勢と当面の見通し 関西経済は輸出 生産が斑模様であるが 内需が下支えとなり底堅く推移している 企業部門では 輸出は中国経済の減速等によ

米労働市場は直近の回復基調に変化なし ~FRB出口政策への影響は限定的~

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平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

金融政策決定会合における主な意見

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○ユーロ

Microsoft PowerPoint - Pictet_Market_Flash_ (直近の下落).pptx

<4D F736F F D20819A819A8DC58F49835A C C8E816A2E646F63>

平成14年1月20日

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< E97708AC28BAB82C982C282A282C42E786C73>

人民元週間レポート 2019 年 3 月 29 日発行 みずほ銀行 ( 中国 ) 有限公司 中国為替資金部

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現代資本主義論

ニュースリリース 農業景況調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 1 8 日 株式会社日本政策金融公庫 平成 30 年農業景況 DI 天候不順響き大幅大幅低下 < 農業景況調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公庫 ) 農林水産事業は 融資先の担い手農業者

1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

Currency201207

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

Microsoft PowerPoint - CSIS 【三井住友銀行】 FOMC後のスペシャルレポート(USHY).pptx

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当ページは 各種の信頼できると考えられる情報源から取得した情報に基づき アクサ生命保険株式会社が作成し提供するものです 情報の内容に関しては万全を期しておりますが その正確性 完全性については これを保証するものではありません 日本株式市場 運用環境 [ 2015 年 4 月 ~2016 年 3 月

2018年夏のボーナス見通し

経済見通し

米国リート市場と米国株式市場の推移 102 ( 2015 年 12 月末 ~2016 年 2 月 12 日 ) 米国リート 米国株式 /12/ /1/6 2016/1/ /1/ /1/ /1/3

変額年金 ( 特別勘定 ) の現況をご覧になる方に 特にご確認いただきたい事項 投資リスクについて 変額年金保険の特別勘定の資産運用は 国内外の株式および公社債 国内外のその他の有価証券 貸付金 コールローンおよび預貯金等を主な運用対象としておりますので 株価の下落や金利の変動 為替の変動などにより

2013 年 8 月 19 日号

(2) 資産構成割合の推移 ( 給付確保事業 ) 1 資産配分実績の基本ポートフォリオからの乖離の推移 2 実践ポートフォリオと資産配分実績の推移 3. 運用受託機関 平成 29 年 3 月末現在 2

今回の金融政策報告書では 米国内の投資活動が弱いために輸出が想定ほど伸びていないとしながらも 金融業などサービス関連の好調さを示す分析や 商品価格下落がカナダ企業の投資活動を抑制する動きは底打ちしたとの指摘など カナダ景気に前向きな材料も散見されます 当面は 政策金利の据え置きを続けると見通します

金融市場2017年11月号

Invesco Premia Plus Fund

米国株 投資家心理が落ち着けば 上昇基調に回帰と想定 株式市場 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 長期金利の上昇を契機に急落米国株式市場は下落しました 月初に発表された1 月の雇用統計において 時間当たり賃金が市場予想を上回る伸び率となったことを受けて 長期金利が約 4 年ぶ

株式市場 米国株 国内の政策動向や海外の政治動向などに注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場はほぼ変わらずとなりました 月初には 2 月末のトランプ大統領の議会演説を好感して 株価は大幅上昇となりました しかし その後は 新政権の経済政策に対する期待が徐々に後退

経済・物価情勢の展望(2016年10月)

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産業トピックス

低インフレ 乏しい利上げ観測労働市場に目を向けると 8 月の失業率は約 年ぶりの低水準となる5.3% に低下した 雇用者数も伸びており 一部では技術者不足の声も聞かれる RBAは今後数年 失業率は自然失業率とされる5.% を目指して低下が続くとの見方を示している ただ 賃金の上昇率は ~ 月期が前年

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受益者の皆様へ 平成 28 年 2 月 15 日 弊社投資信託の基準価額の下落について 平素より弊社投資信託をご愛顧賜り 厚くお礼申しあげます さて 先週末 2 月 12 日 ( 金 ) 以下のファンドの基準価額が 前営業日の基準価額に対して 5% 以上下落しており その要因につきましてご報告いたし

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Outlook201806

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マーケット フォーカス経済 : 中国 2019/ 5/9 投資情報部シニアエコノミスト呂福明 4 月製造業 PMI は 2 ヵ月連続 50 を超えたが やや低下 4 月 30 日 中国政府が発表した4 月製造業購買担当者指数 (PMI) は前月比 0.4ポイントの 50.1となり 伸び率がやや鈍化し

株式市場 米国株 トランプ氏の政策への期待感後退で調整も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました 11 月 8 日 ( 現地 ) に行われた大統領選挙でトランプ氏が当選し 減税やインフラ投資の拡大などの同氏の政策に注目が集まりました 債券市場では金利が上

株式市場 米国株 上値が重く神経質な展開 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました FOMC( 米国連邦公開市場委員会 ) における利上げの有無 大統領選挙の動向 ドイツの大手銀行の資本不足懸念などに一喜一憂する展開となりました 月半ばにかけて 利上げ観測や原油

Outlook201901

経済:マーケット・フォーカス

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ヘッジ付き米国債利回りが一時マイナスに-為替変動リスクのヘッジコスト上昇とその理由

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Fidelity Charts & Graphs PowerPoint Template

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果の平均は 残留が 44% 離脱が 40% と僅差ながら残留が離脱を上回っている ( 第 1 表 ) ただしここで 調査方法毎の平均をみると インターネットを通じたオンライン調査の結果 は 残留が 40% 離脱が 41% と拮抗状態にあるのに対し 電話調査では残留が 47% 離脱 が 38% と残留

マクロ インサイト FRB FRB 長期金利 FRB bp 図表 1 FRB と市場の金利予測の乖離 FOMC 予測 vs 市場予測 年末 年末 2.0 市場が

2 / 4 < 足元の米国リート市場について > 月初来 四半期来 (2018 年 10 月以降 ) 米国リート 11.9% 10.4% 米国株式 14.7% 18.9% 2018 年 12 月 24 時点 ( 出所 ) ブルームバーグ米国株式 :S&P500 種株価指数 ( 米ドルベース トータル

経済・物価情勢の展望(2018年1月)

ファンダの鬼・柳澤 浩と小杉 篤諭の「ファンダメンタルズの学び方、活かし方セミナー!」

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変額年金 ( 特別勘定 ) の現況をご覧になる方に 特にご確認いただきたい事項 投資リスクについて 変額年金保険の特別勘定の資産運用は 国内外の株式および公社債 国内外のその他の有価証券 貸付金 コールローンおよび預貯金等を主な運用対象としておりますので 株価の下落や金利の変動 為替の変動などにより

Microsoft PowerPoint - CSIS 【三井住友銀行】 USHYファンドの分配金について IM pptx

【16】ゼロからわかる「世界経済の動き」_1704.indd

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2015 年 3 月 9 日 対外 対内証券投資の動向 (2015 年 2 月分 ) 投資信託委託会社等による対外証券投資が大幅増加 財務省の 対外及び対内証券売買契約等の状況 ( 指定報告機関ベース ) によると 2 月の対外証券投資は +2 兆 6,754 億円の取得超となり 前月の +2 兆

株式市場 米国株 景気 企業業績は依然として堅調 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 貿易摩擦への懸念から下落米国株式市場は下落しました トランプ米大統領が鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限する方針を表明したことから 世界的な貿易摩擦への懸念が高まり下落して始まりました その後 貿

SERIまんすりー2月号 今月のみどころ

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経済・物価情勢の展望(2017年7月)

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Invesco Australian Bond Fund (Monthly)

エコノミスト便り

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平成22年7月30日

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2018 年は激動の年 年初来 トルコ株式指数はトルコリラベースで最大で約 24% 下落し トルコリラは日本円に対して最大で約 45% 下落しました トルコ株式 * の推移 ( トルコリラベース ) /12 18/03 18/06 18

中小企業の動向

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2012 年 10 月 15 日号

平成30年度第1四半期における運用状況等

スライド 1

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

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参考資料いちよし証券投資情報部 2019 年 10 月 7 日 極端な悲観相場の修正へ 業績の下方修正リスクも織り込み 日米経済指標に注目 最終ページに お客様にご確認いただきたい重要な注意事項を記載しております 必ずご確認ください

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生活衛生関係営業の景気動向等調査 平成17年7~9月期

Economic Indicators   定例経済指標レポート

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Transcription:

平成 19 年 (7 年 )9 月 13 日 ~ サブプライム住宅ローン問題に端を発する金融 資本市場の混乱が続く ~ サブプライム住宅ローンの焦げ付き問題は 信用不安やリスク資産からの資 金流出を引き起こし 金融 資本市場が混乱に陥っている 実体経済について も 最近発表された経済指標は 弱含みを示唆するものが少なくない 住宅市 場の冷え込みが一段と進行していることに加え 一連の問題の根源であるサブ プライム住宅ローンの延滞も増加を続けていることが明らかとなった また これまで良好な状態を維持してきた雇用環境にも変調がみられるなど 景気の 下支え要因は その数を減らしつつある こうした状況に対し 米連邦準備制度理事会 (FRB) は警戒感を強めている FRB は 短期金融市場への流動性供給や公定歩合の引き下げを行い さらに追 加措置の準備がある旨を表明している FRB は 昨年後半以降 インフレ警戒 に軸足を置いて金利据え置きを続けてきたが そうしたスタンスは大きく転換 したといえる 9 月 18 日に開催予定の連邦公開市場委員会 (FOMC) において FF 金利の引き下げが行われる可能性が高まってきた 1. 金融市場の動向 金融 資本市場では サブプライム住宅ローン問題に端を発する混乱が続い ている サブプライム住宅ローン関連投資の損失拡大懸念を背景に 信用不安 が高まり 資金調達環境は大幅にタイト化している 代表的な基準金利の一つ ( 注 1) であるLIBOR( ロンドン銀行間貸出金利 ) は 8 月 9 日以降急上昇し 足 元は 5.7% 前後で推移している ( 次頁第 1 図 ) 信用不安の影響は コマーシャ ルペーパー (CP) 市場にも拡がり CP 発行残高は減少が続いている ( 次頁第 図 ) CP の中でも特に 住宅ローン債権等を担保として発行される資産担保 CP (ABCP) が発行難に陥っており 過去 週間で ABCP の発行残高は 11.5 億ド ル減少した ABCP は 住宅ローン会社の主要な資金調達手段であるため ABCP の発行難によって資金繰りに行き詰る住宅ローン会社が増加している 1

( 注 1)8 月 9 日は 欧州の金融機関が傘下の複数のファンドについて 解約停止等を発表したことをきっかけに 信用不安が急速に高まった. 5.5 第 1 図 :LIBOR(3 ヵ月物 ) の推移.5. 第 図 :CP 発行残高の推移 ( 兆ドル ) ABCP ABCP 以外 1.5 5. 1..5.5. /1 / /7 /1 7/1 7/ 7/7 ( 年 / 月 ) ( 資料 )FRB,Federal Reserve Bulletin より三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成. /1 / /7 /1 7/1 7/ 7/7 ( 年 / 月 ) ( 資料 )FRB,Federal Reserve Bulletin より三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 また 株価も軟調が続いている 足元のダウ平均株価は ピーク (7 月 19 日 の 1,. ドル ) から 1, ドル近く低下しており S&P5 指数もピーク (7 月 19 日の 1,553.1) を約 1 ポイント下回る水準で推移している ( 第 3 図 ) 株 価下落は 程度の差はあるものの全業種に亘っており リスク回避の動きの拡 がりが窺われる ( 第 図 ) 15, 1, 13, 1, 11, 1, 9, ( ドル ) 第 3 図 : 株価の推移 ダウ平均 S&P5 右目盛 (191-3=1) /1 /7 7/1 7/7 ( 年 / 月 ) ( 資料 )Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 1,7 1, 1,5 1, -1-1 1,3 1, - - - -8 第 図 :S&P5 業種別株価下落率 (7 月 19 日ピーク比 ) 全体 一般消費財 生活必需品 エネルギー金融 ヘルスケア 工業 I T 素材 通信 電気 ガス等 ( 資料 )Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 こうしたなか FRB は 景気下ぶれ懸念を強めている バーナンキ議長は 8 月 31 日に行った講演の中で 金融市場の混乱拡大は 経済全体に影響を及ぼす 可能性がある と 先行きに対する警戒感を表明するとともに 必要な追加 措置をとる準備がある と 景気悪化の回避に向けて行動する姿勢を示した FRB はこれまでにも 短期金融市場に対する大規模な流動性供給 ( 注 ) や公定 歩合引き下げ ( 注 3) 等の対応策を打ち出してきたが 信用不安解消に十分な成果

が上がっているとは言い難い状況にある そのため FRB の次の一手として FF 金利の引き下げが行われるとの観測が高まっている 8 月 31 日の講演でバー ナンキ議長は 実体経済の動向を見極める上で ヒアリング情報や最もタイム リーな指標に特段の注意を払っていくと述べており それらの情報が景気下ぶ れ懸念の強まりを示唆するものであった場合 FF 金利引き下げの可能性が高ま ろう ( 注 )8 月 9 日に. 億ドル 8 月 1 日に 38. 億ドル 9 月 日に 31.5 億ドル等 ( 注 3)8 月 17 日に 公定歩合を.5% ポイント引き下げ 5.75% とした. 実体経済の動向 (1) 住宅 ~ 住宅市場は環境悪化が続く ~ サブプライム住宅ローン問題の震源地である住宅市場は 環境悪化が続いて いる 9 月 5 日に発表された 7 月の中古住宅販売契約指数は 89.9( 前月比 1.%) と 年 9 月以来の低水準となった ( 第 5 図 ) 同じく 9 月 5 日に発 表された 地区連銀景況報告 ( ベージュブック ) でも 住宅ローンの貸出基準 厳格化によって 住宅市場が大きく下押しされている と 住宅市場の冷え込 み継続が報告された ( 注 ) また 9 月 日に米抵当銀行協会 (MBA) が発表した 住宅ローン延滞率統 計によると 第 四半期のサブプライム住宅ローンの延滞率は 1.8%( 前期比 +1.5% ポイント ) と 1998 年の統計開始以来 番目の高さとなった ( 第 図 ) ( 注 5) 延滞の増加は サブプライム住宅ローンを原資産として発行される住宅ロー ン担保証券 (RMBS) や債務担保証券 (CDO) の価値毀損要因となるため 信用 不安のさらなる深刻化につながる可能性がある 13 第 5 図 : 中古住宅販売契約指数の推移 (1=1) 1 第 図 : 住宅ローン延滞率の推移 1 1 1 11 1 1 8 全体サブプライムローンプライムローン 9 8 1 3 5 7 ( 資料 )NAR Pending Home Sales Index より三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 98 99 1 3 5 7 ( 資料 )MBA,National Delinquency Survey より 三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 ( 注 )9 月 5 日発表のベージュブックは 8 月 7 日までのヒアリング情報に基づいて作成されている ( 注 5) サブプライム住宅ローン延滞率の過去最高値は 年第 四半期の 1.9% 3

() 雇用 消費 ~8 月の非農業雇用者数は 年ぶりに減少に転じる~ 雇用環境は これまで良好な状態が続いてきたが 足元で変調の動きが出ている 9 月 7 日発表の雇用統計では 失業率は前月比横ばいの.% に留まったものの 非農業雇用者数が前月比. 万人となり 年ぶりに減少に転じた ( 第 7 図 ) 個別業種では 住宅市場の影響を強く受ける 建設業( 前月比. 万人 ) や製造業 ( 同. 万人 ) で減少が目立った 製造業については 自動車メーカーの人員削減 ( 同 1.1 万人 ) も影響した また 政府部門の雇用減少 ( 同.8 万人 ) も大きな下押し要因となった なお 今回の雇用統計では 7 月の非農業雇用者数も下方改定され 8 月にかけて雇用の鈍化が進んできたことが示された ( 前月差 千人 ) 第 7 図 : 非農業雇用者数と失業率の推移.5 3 1-7 月下方改定分. 5.5 5. -1 - 非農業雇用者数失業率 右目盛 3 5 7 ( 資料 ) 米国労働省,Monthly Labor Review より三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成.5. FRB は 8 月 7 日に開催された前回の FOMC の声明文で 景気の下支え要因として良好な雇用 所得環境と堅調な海外景気の二つを挙げていたが 8 月の雇用統計によって そのうちの一つが揺らいだといわざるを得ない (3) 企業活動 ~ 足元は底堅いが 先行きには不透明感 ~ 企業部門は 比較的底堅さを保っているが 先行きについてはやや不透明感も出始めている 8 月の ISM 指数は 製造業 (5.9%) 非製造業(55.8%) ともに 業況悪化 改善の分岐点である 5 を上回ったものの 春先からの持ち直し傾向には歯止めが掛かった形となった ( 次頁第 8 図 )

7 第 8 図 :ISM 指数の推移 5 非製造業 55 5 5 製造業 1 3 5 7 ( 出所 ) 全米供給管理協会,ISM Reports On Business より三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 なお 在庫循環をみると 足元は在庫調整が一巡したばかりであり 通常であれば 在庫積み増しの動きを受けた生産活動の活発化によって 雇用や設備投資の増加が展望される局面である ( 第 9 図 ) しかし 金融 資本市場の混乱が続く中で 企業が積極的に在庫積み増しに動くとは考えにくい 8 月にかけての雇用の鈍化が企業マインド全般の慎重化の表れである可能性も否定できず 企業部門の先行きにも不透明感が漂い始めた兆候と捉えるべきであろう 8 第 9 図 : 出荷在庫バランスの推移 ( 製造業 + 卸小売業 ) 在庫積み増し局面 - - - 在庫調整局面 -8 1 3 5 7 ( 注 ) 出荷在庫バランス = 出荷伸び率 - 在庫伸び率 ( ともに前年比 ) ( 資料 ) 米国商務省,Survey of Current Business より三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 3. 金融政策の動向 FRB は 昨年 月までの連続利上げによって FF 金利を 5.5% まで引き上げ その後は据え置きを続けてきた ( 次頁第 1 図 ) 金利据え置きを継続する中での FRB の金融政策運営スタンスは 緩やかな景気拡大が持続するとの予想に基づき インフレ警戒に軸足を置くものであった 5

9 8 7 5 3 1 FF 金利公定歩合 第 1 図 :FF 金利と公定歩合の推移 9 91 9 93 9 95 9 97 98 99 1 3 5 7 ( 資料 )FRB,Federal Reserve Bulletin より三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 しかし サブプライム住宅ローン問題をきっかけとする金融 資本市場の混乱が深刻さを増したことにより FRB のスタンスは大きく転換した 8 月 17 日の公定歩合引き下げの際に発表した声明で FRB は 経済成長に対する下ぶれリスクが明らかに高まった と従来の見通しを下方修正するとともに 必要に応じて行動する準備がある との文言で FF 金利引き下げの可能性を示唆した FRB のスタンス変更は 前述した 8 月 31 日のバーナンキ議長の講演でも改めて示され より明確なものとなった こうした動きを受け 金融市場では利下げ期待が高まっており 9 月 18 日の FOMC で.5~.5% ポイントの利下げが行われるとの見方が大勢を占めるようになっている 当室はこれまで FRB は当面 FF 金利の据え置きを続けるとの見方をメインシナリオとしてきた しかし 最近の FRB のスタンス変更や雇用統計を始めとする経済指標の軟化を踏まえ FF 金利据え置き継続の可能性は大きく後退したと判断する FRB は リアルタイムの情報を重視する構えであり 今後の情報によって左右される余地は残されているものの 現時点では 9 月 18 日の FOMC で FF 金利の引き下げが実施される公算が大きいとみる なお その場合の利下げ幅は.5% ポイントとなる可能性が高いとみている.5% ポイントの可能性も排除できない訳ではないが 企業部門が少なくとも足元では底堅さを保っていることに加え FRB が景気下支え要因の一つとみてきた 堅調な海外景気も今のところ健在であるなかでの利下げであるため まずは.5% ポイントの利下げが妥当であろう また 最近の原油価格上昇にみられるように これまで金融政策上の主たる懸念とされてきたインフレリスクも完全には後退していない そのため FRB は 金融緩和が行き過ぎたものとならないよう 慎重に行動せざるを得ないところであろう

( 円ドル相場動向については 経済マンスリー 日本 に記載しております ) 照会先 : 経済調査室 ( 次長佐久間 ) TEL:3-3-3 E-mail: koji_sakuma@mufg.jp 当資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり 何らかの行動を勧誘するものではありません ご利用に関しては すべてお客様御自身でご判断下さいますよう 宜しくお願い申し上げます 当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが 当室はその正確性を保証するものではありません 内容は予告なしに変更することがありますので 予めご了承下さい また 当資料は著作物であり 著作権法により保護されております 全文または一部を転載する場合は出所を明記してください また 当資料全文は 弊行ホームページ http://www.bk.mufg.jp/ でもご覧いただけます 7